JP3884553B2 - クロック分周器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クロック分周器に係り、特に50%のデューティサイクルを有し、入力クロックの奇数倍の周期を有するクロックに分周することができるようにして、様々な周期のクロックを必要とするシステムへの適用性を高めたクロック分周器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、添付図面を参照して従来のクロック分周器について説明する。
図1は従来のリップルキャリカウンタ(ripple-carry counter)を用いたクロック分周器の構成ブロック図であり、図2はリップルキャリカウンタを用いたクロック分周器の動作波形図である。
図1は、リップルキャリカウンタを用いたクロック分周器を示すもので、logic_1 信号が1のとき、図2の動作波形図に示すように、入力されるクロック信号(clk-in)のネガチブエッジで各プリッププロップ1a、1b、1c、1dの出力値が変わる。最終段のプリッププロップを除いたそれぞれのプリッププロップの出力値は次段のプリッププロップの動作クロックとして使われる。例えば、MOD−Nのカウンタを用いたクロック分周器は、入力クロックの個数を数え、所定のクロック数だけカウントしたら出力を0とし、再度クロックの個数を数え、所定のクロックの個数だけ数えたら出力を1とする形式である。すなわち、クロック分周器への入力が10MHz(100ns)で、所望の出力が10nsであるとすれば、カウント値が始めに5になるまでは0とし、カウント値が再度5になると1にする。ここで、MOD−Nカウンタとは、カウンタの状態がN個あるリップルカウンタのことである。リップルカウンタを構成するプリッププロップの個数がM個であるとき、存在する状態数Nとの関係は、N=2M である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の技術のクロック分周器は基準クロック(入力クロック)の偶数倍の周期を有するクロックを作る形態であって、奇数倍の周期を有するクロック信号を実現しにくく、これを実現しても50%未満のデューティサイクルとすることができない。よって、様々な周期のクロックを必要とするシステムへの適用性が低下するという問題点があった。
本発明は、上記の従来のクロック分周器の問題点を解決するためになされたもので、個々のクロックが50%のデューティサイクルを有し、入力クロックの奇数倍の周期を有するクロックに分周することができるようにして、様々な周期のクロックを必要とするシステムへの適用性を向上させたクロック分周器を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達するための本発明のクロック分周器は、入力クロックに対して所定の奇数倍の周期を有する出力クロックを得るために入力する入力除数からその入力除数を2で割った商からなる第1除数と入力除数からその商を引いた数である第2除数を出力する奇数倍周期信号出力部と、入力クロック信号をカウントし、そのカウント値を第1除数と比較して両者の一致後に出力し、かつその一致後、リセットして再度入力クロックをカウントしてその値を第2除数と比較して一致後に再度出力するクロック分周制御部と、入力クロックを受け、クロック分周制御部の最初の出力後の入力クロックのポジティブエッジで遷移し、次の出力で次に遷移する分周されたクロック出力信号を出力するクロック分周信号出力部とを備えることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明実施形態のクロック分周器について詳細に説明する。
図3は本実施形態のクロック分周器の構成ブロック図である。
本クロック分周器は、奇数倍周期信号出力部30(CLK_DVSOR)と、奇数倍周期信号出力部30の出力を受けてクロック分周に必要な制御信号を出力するクロック分周制御部31と、その制御信号に基づいて奇数倍周期に分周されたクロック信号を出力するクロック分周信号出力部32とを備えている。奇数倍周期信号出力部30は、入力クロック(clk_i) に対して所望の奇数倍周期を有する出力クロック(clk_o) を得るために入力する除数(DIV<N:1>)から、カウント及び比較段階で必要な数、すなわち第1除数、第2除数(divsr 1)(divsr 2)を出力するブロックである。
【0006】
図4は奇数倍周期信号出力部30の詳細構成図である。本実施形態においては入力クロックを5倍の周期を有する信号に分周する例を示す。したがって、分周するための入力除数(DIV<4:1>)は十進数で5、二進数で0101である。すなわち、DIV(4:1>=0101、DIV<1>=1、DIV<2>=0、DIV<3>=1、DIV<4>=0である。この場合、最上位ビットが0であるので入力は下位3ビットだけで処理している。いうまでもなく、入力除数がより大きい場合はそれに応じた回路構成となる。
奇数倍周期信号出力30は、入力除数(DIV)を入力クロック(clk_i)及びロード信号に基づいてそれぞれ第1除数(divsr 1)、第2除数(divsr 2)として出力する第1除数出力部45と第2除数出力部46とで構成される。第1除数出力部45は、ロード信号に基づいて入力除数(DIV 3) と帰還された除数とを多重化して出力する第1MUX43aと、同様にロード信号に基づいて入力除数(DIV 2) と帰還された除数とを多重化して出力する第2MUX43bとを備えている。さらに、第1MUX43aと入力クロックとに接続され、反転された入力クロックに基づいて第1MUX43aの出力値から2ビットからなる第1除数の下位ビット(divsr1<0>) を出力する第1Dプリッププロップ44aと、同様に第2MUX43bと入力クロックとに接続され、反転された入力クロックに基づいて第2MUX43bの出力値から第1除数の上位ビット(divsr1<1>)を出力する第2Dプリッププロップ44bとを備えている。
【0007】
そして、第2除数出力部46は、第1除数出力部45と同様の第3、4MUX43c、43dと第3、4Dフリップフロップ44c、44dを備えている。これらの第3、第4MUX43c、34dへの入力は第1除数出力部45とは若干異なる。
2つの入力除数(DIV<1><2>) がNANDゲート40へ入力され、NAND演算された結果と入力除数(DIV<3>)とを入力とする排他的NORすなわちE−NORゲート41の出力が第3MUXの一方の入力に接続されている。他方の入力は帰還された除数であるのは第1除数出力部45の場合と同じである。一方、第4MUX43の帰還された除数以外の入力には2つの入力除数(DIV<2><1>) を排他的ORするE−ORゲート42の出力が接続されている。また、それぞれのフリップフロップ44c、44dの出力は反転された入力クロックに基づいてそれぞれのMUXの出力を第2除数(divsr2<0>)、(divsr2<1>)として出力する。
なお、第1除数は入力除数を2で割った商であり、第2除数は入力除数からその商、すなわち第1除数を差し引いた値である。すなわち、入力除数が5であれば、第1除数は2、第2除数は3となる。従ってdivsr1<0>は0、divsr1<1>は1、divsr2<0>は1、divsr2<1>は1である。
【0008】
要するに、奇数倍周期信号出力部30は、入力されたクロックを奇数倍周期のクロックに分周しようとするとき、その奇数倍の数字と同じ数字である除数を入力除数として入力させ、その入力除数を2で割った商である第1除数と入力除数から第1除数を引いた値である第2除数を出力させる回路である。すなわち、5倍周期のクロックなら第1除数が2、第2除数が3で、11倍周期のクロックを得るなら第1除数が5で第2除数が6である。それを得られるなら奇数倍周期信号出力部30はどのような構成にしても良い。
【0009】
次に、クロック分周制御部31の詳細構成を図5に基づいて説明する。
クロック分周制御部31は、クロック信号をカウントし、そのカウント値と第1除数、第2除数と比較してクロック分周に必要な制御信号を出力する。そのために、入力されたクロック信号をカウントして出力するカウンタ部50と、そのカウント値と奇数倍周期信号出力部30から出力される第1除数(divsr 1) 又は第2除数(divsr 2) と比較して出力する比較器51と、比較器51の比較出力値を受けてクロックリセット信号(clk_rst) を出力するとともにカウンタ部50をリセットするカウンタリセット信号(cnt-rst) と、比較対称を変える比較選択信号(com-sel) を出力する制御部52とを備えている。制御部52の比較選択信号により、比較器51はカウント値を第1除数と第2除数のうちいずれか1つと比較してそれぞれ一致したときに制御部52へ出力する。
【0010】
このクロック分周制御部31は、第1除数、第2除数と入力クロックとを入力とし、初期化された後入力クロックをカウントし、そのカウント値が第1除数と等しくなったときにカウンタをリセットさせるとともに比較器の比較対称を第1除数から第2除数へ変え、再度入力クロックをカウントし、それが第2除数と一致したときにカウンタをリセットし、かつ比較器の比較対称を第1除数へと戻すようになっている。また、同時に比較器からの一致信号によって入力クロックを分周するためのクロックリセット信号を出力するようになっている。
【0011】
図6はクロック分周信号出力部32の詳細構成図で、logic_1 信号により入力が1とセッティングされているDプリッププロップで構成される。クロック分周制御部31から出力されるクロックリセット信号(clk_rst) が1であれば、入力クロックの立ち上がりで出力されるクロック(clk_o) は1へ遷移し、クロックリセット信号が0であれば、クロック分周信号出力部32はリセットされ、出力されるクロックは0へ遷移する。したがって、出力クロック(clk_o) が最初に遷移する個所は、入力クロック(clk-i)のポジチブエッジ(0→1) であり、次に遷移する箇所はネガチブエッジ(1→0)と2個所で遷移が生じる。
【0012】
上記のように構成された本実施形態のクロック分周動作について詳細に説明する。
図7は5倍の周期とデューティサイクルが50%を有する分周されたクロックを出力するクロック分周器の出力波形図であり、図8はクロック分周制御部31の状態図であり、図9は本実施形態の出力波形図である。
まず、本実施形態クロック分周器は、50%のデューティサイクルを有する奇数パルスのクロック信号を出力するためのものである。奇数倍の周期と50%のデューティサイクル(t/T×100:T=期間,t=信号値が1である時間)であるとすれば、入力除数(DIV) の数を2で割った商の値だけ入力クロック信号(clk-i) が過ぎた後のエッジ遷移が発生する個所で本実施形態の出力が0から1へ遷移し、再び入力クロックの個数が、入力除数(DIV) の値から前の商の値を引いた値になったとき、1から0へ遷移する。
【0013】
すなわち、入力除数(DIV)=Value 1であれば、
divsr 1 = Value 1 / 2の商であり、divsr 2 = DIV - divsr 1である。
例えば、50Mhzの入力クロック信号を分周して10Mhzの出力クロック信号を得るには、DIV = 50/10 = 5であり、divsr 1 = 2、 divsr 2 = 3である。任意の基準入力クロック信号からユーザが得ろうとするクロックを求めるためには、奇数倍周期信号出力部30に必要な入力除数(DIV) の値を入力し、ロード値の入力で、奇数倍周期信号出力部30は、第1除数(divsr 1) と第2除数(divsr 2) を出力する。この第1除数と第2除数を受けたクロック分周制御部31は、その出力(clk_rst) が現在どの値を有するかに応じて、カウントした値を第1除数と第2除数のうちどれと比較するかを決定する。クロックリセット信号(clk_rst) が0の間に、カウントした値を第1除数と比較し、一致すると出力されるクロックリセット信号(clk_rst) を1とする。逆に、クロックリセット信号(clk_rst) が1であれば、カウント値を第2除数と比較し、一致すればクロックリセット信号clk_rstを0とする。このクロックリセット信号(clk_rst)を用いて出力されるクロック(clk_o) を変化させる。
【0014】
図8はクロック分周制御部31の状態図である。リセット0の入力で初期化され、clk_rstおよびclk_cntとも0となる。条件なしに動作するので、入力クロックが入力されるとリセット状態から0状態へと移り、カウンタが動作する。その0の状態でカウンタの値がdivsr 1の値に等しくなると、状態は1の状態に移り、clk_rst =1の値を出力し、クロックカウント値を0とする。そして、1の状態では比較器51はdivsr 2と比較するようになりカウント値がdivsr 2の値になるとclk_rst = 0の値を出力し、クロックカウント値も0とする。
【0015】
【発明の効果】
本発明のクロック分周器は、奇数倍に分周するためにその奇数倍に相当する除数を入力除数として入力させ、それを2で割った第1除数と入力除数から第1除数を引いた第2除数とを出力させ、入力クロックをカウントして、そのカウント値が第1除数と一致した後のクロックの立ち上がり時に分周されるクロックを遷移させ、かつ入力クロックが第1除数と一致したときから再度入力クロックをカウントし、その2度の目のカウント値が第2除数と一致したときに分周されるクロックを他の方向に遷移させるようにしているので、50%のデューティサイクルを有する奇数倍の周期のクロックに入力クロックを分周することができる。したがって、様々な周期のクロックを必要とするシステムへの適用性を高める効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のリップルキャリカウンタを用いたクロック分周器の構成ブロック図。
【図2】 リップルキャリカウンタを用いたクロック分周器の動作波形図。
【図3】 本発明実施形態のクロック分周器の構成ブロック図。
【図4】 奇数倍周期信号出力部の実施形態の詳細構成図。
【図5】 クロック分周制御部の実施形態の詳細構成図。
【図6】 クロック分周信号出力部の実施形態の詳細構成図。
【図7】 5倍の周期と50%のデューティサイクルを有する上記実施形態の出力波形図。
【図8】 クロック分周制御部の実施形態の状態図。
【図9】 上記実施形態のクロック分周器の出力波形図。
【符号の説明】
30 奇数倍周期信号出力部
31 クロック分周制御部
32 クロック分周信号出力部
Claims (5)
- 入力クロックに対して所定の奇数倍の周期を有する出力クロックを得るために入力する入力除数からその入力除数を2で割った商からなる第1除数を出力する第1除数出力部と、入力除数からその商を引いた数である第2除数を出力する第2除数出力部とで構成された奇数倍周期信号出力部と、
入力クロック信号をカウントし、そのカウント値を第1除数と比較して両者の一致後に出力し、かつその一致後、再度入力クロックをカウントしてその値を第2除数と比較して一致後に再度出力するクロック分周制御部と、
クロック分周制御部から出力された信号によって奇数倍周期に分周されたクロック信号を出力するクロック分周信号出力部と
を含むことを特徴とするクロック分周器。 - 前記奇数倍周期信号出力部の第1除数出力部は、
ロード信号に基づいて入力除数の一つのビットと帰還される信号を多重化して出力する第1MUXと、
ロード信号に基づいて入力除数の他の一つのビットと帰還される信号を多重化して出力する第2MUXと、
反転された入力クロックに基づいて第1MUXの出力値から第1除数の第1のビットを出力する第1Dフリップフロップと、
反転された入力クロックに基づいて前記第2MUXの出力値から第1除数の第2のビットを出力する第2Dフリップフロップと、からなり、
前記奇数倍周期信号出力部の第2除数出力部は、
入力除数のさらに他のビットと第2MUXに入力される入力除数のビットとをNAND演算するNANDゲートと、
NANDゲートの出力と第1MUXに入力される入力除数のビットとを排他的NOR演算するE−NORゲートと、
NANDゲートへの入力信号と同一の入力信号を排他的OR演算するE−ORゲートと、
ロード信号に基づいてE−NORゲートの出力値と帰還される信号を多重化して出力する第3MUXと、
ロード信号に基づいて前記E−ORゲートの出力値と帰還される信号を多重化して出力する第4MUXと、
反転された入力クロックに基づいて第3MUXの出力値から第2除数の第1ビットを出力する第3Dフリップフロップと、
反転された入力クロックに基づいて第4MUXの出力値から第2除数の第2ビットを出力する第4Dフリップフロップと、
で構成されることを特徴とする請求項1に記載のクロック分周器。 - クロック分周制御部は、入力されるクロック信号をカウントして出力するカウンタ部と、
カウンタ部のカウント値と奇数倍周期信号出力部から出力される第1除数と最初に比較し一致したときに出力信号を出してカウンタをリセットさせ、かつその後再度カウンタ部のカウント値と第2除数とを比較して一致したときに出力する比較器と、
比較器の出力信号受け、その出力でカウンタ部をリセットするカウンタリセット信号と、分周された信号を出力させるためのクロックリセット信号と、比較器へ比較対称を選択させるための比較選択信号を出力する制御部と、
で構成されることを特徴とする請求項1に記載のクロック分周器。 - クロック分周信号出力部は、入力が1とセッティングされているDプリッププロップで構成されることを特徴とする請求項1に記載のクロック分周器。
- クロック分周信号出力部は、クロック分周制御部から出力されるクロックリセット信号が1となった後のクロックの立ち上がりで出力される分周されたクロックを1に遷移させ、クロックリセット信号が0となったときにクロック分周信号出力部がリセットされ、出力される分周されたクロックへ遷移させることを特徴とする請求項4に記載のクロック分周器。
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