JP3884338B2 - コンクリート用型枠及び該型枠製造用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐強アルカリ性に優れたコンクリート用型枠、及び該型枠の製造に用いられるポリウレタン系エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンクリート用の型枠としては、木製あるいは金属製の型枠が使用されてきた。しかし、これら木製あるいは金属製の型枠を使用してコンクリート成形体を製造した場合、型枠とコンクリートとが固着しやすいため、コンクリート成形体を脱型した後、型枠の表面にコンクリートが付着して残ったり、また、コンクリート成形体の表面が平滑にならないなどの不具合を生じていた。
【0003】
そのため、型枠とコンクリートとの間の離型性を向上させて、脱型を容易にするため、例えば、特開昭49−18913号公報では、熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いたコンクリートブロック用の型枠が提案されており、また、特開平7−47527号公報では、熱可塑性樹脂にパラフィンワックスを練り合わせた合成樹脂組成物を用いたコンクリート型枠が提案されている。
【0004】
しかし、特開昭49−18913号公報に記載のコンクリートブロック用型枠を用いてコンクリート成形体を製造した場合には、型枠表面に離型剤を塗布しないと良好に脱型することができず、繰り返して使用するときには、その度毎に離型剤を塗布する必要があり、成形作業が煩雑となる。また、特開平7−47527号公報に記載のコンクリート型枠を用いて成形した場合には、繰り返して使用すると、型枠とコンクリートとの間の離型性が低下し、良好に脱型できなくなる。
【0005】
さらに、近年、土木建築の分野では、建造物の装飾化が進むにつれて、表面に複雑な起伏を施したコンクリート成形体の化粧パネルが使用されることも多く、このようなコンクリート成形体の化粧パネルを良好に成形でき、しかも繰り返して使用できるようなコンクリート型枠の開発が望まれている。
【0006】
そこで、特開平11−310621号公報では、離型剤を使用しなくても繰り返して使用でき、得られるコンクリート成形体の表面平滑性および仕上がり面の美観が良好で、複雑な形状の成形も良好に行なうことができる、コンクリート型枠およびそれに使用するポリウレタンエラストマーが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11−310621号公報に記載のコンクリート型枠用ポリウレタンエラストマーは、アルカリ性に対する耐久性が低く、特に温度が高くなるにつれてこの傾向が強くなる。コンクリートの成分の一つであるセメントは強塩基であり、また、水と反応して凝結するときに水和熱を発生する。特に硬化速度を早めた場合は、コンクリートの温度が40〜50℃あるいはそれ以上にも達する場合がある。また、コンクリートはアルカリ性であり、雨水にさらされるとアルカリ性の水溶液がコンクリート成形体からしみ出してくるため、前記公報に記載のポリウレタンエラストマー製の型枠は、アルカリ性の水溶液にふれてその物性が顕著に低下し、耐久性が著しく悪化するという問題がある。
この公報に開示されているポリウレタンエラストマーは、硬化剤としてビス(β−ヒドロキシエトキシベンゼン)が使用されているため、硬化剤の液温を融点以上の120℃近辺にせざるを得ず、作業性に問題がある。
【0008】
また、従来から、建築物の壁材として軽量コンクリートパネルが使われているが、最近ではさらに、外壁用の軽量コンクリートパネルは意匠付きが好まれるようになってきたため、型枠もこれまでのフラットな木材や金属の板材から、凹凸を付けやすい樹脂製型枠が用いられるようになっている。
軽量コンクリートは、硬化条件から大きく2つに分類される。一つは常圧湿潤硬化であり、もう一つは高圧高湿度のオートクレーブ硬化である。同一密度で比較するとオートクレーブ硬化方式が強度が格段に大きいので、壁材としてはオートクレーブ硬化方式のパネル(ALC板)が主流になっている。
意匠付きコンクリートパネルを作るときは、金属の平板製の型枠より高価な意匠付きの樹脂製型枠と、ALC板製造では、大きなオートクレーブを用いる必要があるので生産速度が重視されている。
コンクリートは硬化温度が高いほど硬化速度が大きいので、70〜80℃の高い温度で一次硬化が行われることが提案されている(特開2000−169260号公報参照)。
このように、70〜80℃の高温度耐強アルカリ性の意匠付き型枠材としては、シリコーンゴムが知られているのみで、ウレタン樹脂製のものは知られていなかった。
【0009】
本発明は、コンクリート硬化時の高温度の強アルカリ性に対して優れた耐久性を有するポリウレタン系エラストマー製のコンクリート用型枠、さらには製造時の作業性に優れた型枠及び該型枠製造用組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、次の(1)〜(4)である。
(1) イソシアネート基含有プレポリマーと活性水素化合物とを含有するコンクリート用ポリウレタン系エラストマー型枠製造用組成物であって、前記イソシアネート基含有プレポリマーが、有機ポリイソシアネートと側鎖1,2−ビニル基を60〜70質量%有するポリブタジエンポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーであること、を特徴とする前記コンクリート用ポリウレタン系エラストマー型枠製造用組成物。
【0011】
(2) イソシアネート基含有プレポリマーと活性水素化合物と可塑剤とを含有するコンクリート用ポリウレタン系エラストマー型枠製造用組成物であって、前記イソシアネート基含有プレポリマーが、有機ポリイソシアネートと側鎖1,2−ビニル基を60〜70質量%有するポリブタジエンポリオールとを反応させて得られるイソシネート基含有ウレタンプレポリマーであり、かつ、前記可塑剤がアジピン酸ジエステル及び/又はアルキル置換されていてもよいジフェニルエタンであること、を特徴とする前記コンクリート用ポリウレタン系エラストマー型枠製造用組成物。
【0012】
(3) イソシアネート基含有プレポリマーと活性水素化合物とを反応させて得られるポリウレタン系エラストマーからなるコンクリート用型枠であって、前記イソシアネート基含有プレポリマーが、有機ポリイソシアネートと側鎖1,2−ビニル基を60〜70質量%有するポリブタジエンポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーであること、を特徴とする前記コンクリート用型枠。
【0013】
(4) イソシアネート基含有プレポリマーとポリアミン化合物とを反応させて得られるポリウレタン系エラストマーからなるコンクリート用型枠であって、前記イソシアネート基含有プレポリマーが、有機ポリイソシアネートと側鎖1,2−ビニル基を60〜70質量%有するポリブタジエンポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーであること、を特徴とする前記コンクリート用型枠。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のコンクリート用型枠は、ポリウレタン系のエラストマーからなる。
このポリウレタン系エラストマーは、85℃におけるpH13のアルカリ水溶液浸漬試験で10日経過後の硬度が25℃で55〜90であり、かつ、同条件後における引裂強度の維持率が80%以上である。具体的には、分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーと活性水素化合物とを反応させて得られるものである。
分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーは、その粘度が75℃で500〜2000mPa・s、更に500〜1800mPa・sであることが好ましく、具体的には、有機ポリイソシアネートと側鎖1,2−ビニル基を60〜70質量%有するポリブタジエンポリオールとを反応させて得られる、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーである。
【0015】
前記有機ポリイソシアネートとしては、ポリウレタン系エラストマーの製造に通常使用されるものはいずれも本発明において使用できる。具体的には例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,2′−MDI、2,4′−MDI、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−TDI、4,4′−トルイジンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエートなどの脂肪族ジイソシアネート、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジイソシアネート、およびこれらジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、二量体、三量体、または、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)などが挙げられる。これらのうち、芳香族ジイソシアネートが好ましく、MDIとTDIが更に好ましい。
これらは単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0016】
前記の側鎖1,2−ビニル基を60〜70質量%有するポリブタジエンポリオールの数平均分子量は、得られるポリウレタン系エラストマーの諸物性の点から、500以上であることが好ましく、特に1000〜5000であることが好ましい。更に、この側鎖1,2−ビニル基を60〜70質量%有するポリブタジエンポリオールの水酸基価は、前記と同様の点から、10〜150mgKOH/gの範囲が好ましく、特に30〜80mgKOH/gであることが好ましい。
【0017】
前記活性水素化合物としては、分子中に2個以上の活性水素(基)を含有するものであり、その粘度が25℃で500mPa・s以下、更に450mPa・s以下であることが好ましい。具体的には、高分子ポリオール、低分子ポリオール、低分子アミノアルコール、水、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等以外に、高分子ポリアミン、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコールの一部、尿素、ポリアミド樹脂等のポリアミン化合物が挙げられる。また、これらの中から選択した一種又は二種以上を同時に用いてもよい。
これらの化合物のうち、前記有機ポリイソシアネートの官能基数に対応して、低分子ポリオール、低分子ポリアミン、高分子ポリアミン、及びこれらの2種以上の混合物が好適である。
【0018】
高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテル・エステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられ、数平均分子量500以上のものである。
ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸、それらの酸エステル、酸無水物等と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、クオドロールあるいはビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の低分子ポリオール、あるいはエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の低分子ポリアミン、モノエタノールアミン等のアミノアルコール等の単独、又はこれらの混合物との脱水縮合反応で得られる化合物が挙げられる。さらに、ε−カプロラクトン等の環状エステル(すなわちラクトン)モノマーの開裂重合により得られるラクトン系ポリエステルポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリ(オキシエチレン)ポリオール、ポリ(オキシプロピレン)ポリオールが挙げられる。
ポリエーテル・エステルポリオールとしては、例えば、前記のポリエーテルポリオールと前記のジカルボン酸、酸無水物等とから製造される化合物が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前記のポリエステルポリオールの合成に用いた低分子ポリオールとジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等との反応から得られる化合物が挙げられる。
【0019】
低分子ポリオールとしては、具体的には、前記ポリエステルポリオールの原料として挙げた低分子ポリオール、すなわち、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、クオドロール、ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンあるいはビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
これらは数平均分子量62〜500のものが好ましい。
【0020】
高分子ポリアミンとしては、例えば、ポリプロピレングリコールの末端ジアミノ化物などの、数平均分子量500以上でポリエーテルポリオールの末端がアミノ基となったポリエーテルポリアミンが挙げられる。
【0021】
低分子ポリアミンとしては、数平均分子量62〜500の、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等のジアミン、また、ジエチレントリアミン等のトリアミン等が挙げられる。
【0022】
低分子アミノアルコールとしては、数平均分子量62〜500の、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−フェニルジプロパノールアミン等が挙げられる。
【0023】
また、前記のエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等は、一般にポリウレタン工業において公知の活性水素基を含有する、数平均分子量500以上のものである。
【0024】
本発明におけるエラストマーは、プレポリマー法によって、イソシアネート基含有プレポリマーと前記活性水素化合物とを100℃以下で混合したのち10分経過後の25℃における粘度が100000mPa・s以下、更に80000mPa・s以下で反応させて製造するのが好ましい。
【0025】
すなわち、まず、有機ポリイソシアネートと側鎖1,2−ビニル基を60〜70質量%有するポリブタジエンポリオールとを反応させて、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成する。分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成するには、有機ポリイソシアネートと側鎖1,2−ビニル基を60〜70質量%有するポリブタジエンポリオールとを、有機ポリイソシアネートのイソシアネート基が側鎖1,2−ビニル基を60〜70質量%有するポリブタジエンポリオールの水酸基に対して過剰となる比率で反応させればよい。具体的には、有機ポリイソシアネートと側鎖1,2−ビニル基を60〜70質量%有するポリブタジエンポリオールとを、その当量比(イソシアネート基/水酸基)が好ましくは1.2〜4.0、更に好ましくは1.5〜3.0となるような割合で反応させる。
なお、この反応においては、必要に応じて、有機金属系、アミン系などの公知のウレタン化触媒を併用してもよい。反応終了後には、必要に応じて、未反応の有機ポリイソシアネートを、例えば、蒸留や抽出などの公知の手段を用いて除去する。
得られる分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーのイソシアネート基(NCO)含量は、0.3〜35質量%であることが好ましく、更には0.5〜15質量%、特に1〜10質量%であることが好ましい。
【0026】
次いで、得られた分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマーと活性水素化合物とを、その当量比(イソシアネート基/活性水素(基))が好ましくは0.8〜1.2となるような割合で加えて混合し、必要に応じて減圧脱泡した後、この混合物をコンクリート用型枠を成形するための金型に注入し、例えば約60〜140℃に加熱して硬化させる。この反応の際にも、必要に応じて、公知のウレタン化触媒を併用することができる。金型は、例えば約60〜140℃に予め加熱しておくことが好ましい。(熱硬化性)ポリウレタン系エラストマーは、通常、約20分〜数時間加熱硬化させた後に脱型可能となるが、硬化条件としては、脱型の前後を合わせて上記温度で4〜24時間程度加熱硬化させることが好ましい。また必要に応じて、室温で3〜7日間程度熱成させる。これによって、(熱硬化性ポリウレタン系)エラストマー製のコンクリート用型枠が製造される。
【0027】
このようにして製造されるポリウレタン系エラストマーは、85℃におけるpH13のアルカリ水溶液浸漬試験で10日経過後の硬度が25℃で55〜90であり、かつ、同条件後における引裂強度と強度の維持率が80%以上であり、また、このようにして製造されるポリウレタン系エラストマー製のコンクリート用型枠は、JIS K7312により測定した引裂強度が10.0(kN/m)以上であることが好ましい。引裂強度が10.0(kN/m)未満の場合には、強度が不足して、コンクリート成形体を繰り返し使用する場合において、該型枠に亀裂が生じ、連続してコンクリート成形体を得られない場合がある。また、JIS K7312に記載のA形スプリング式硬さ試験機で測定した硬度が60A〜98Aであることが好ましい。硬度が60A未満の場合には、強度が不足してコンクリート成型時において圧力に耐えられなくなり、意匠の凹凸によって型枠が変形し、満足なコンクリート成形体が得られない場合がある。また、硬度が98Aを超えると弾性がなくなり、複雑な形状を有するコンクリート成形体の脱型時において該成形体に欠けや割れが発生し、脱型が困難になる場合がある。
【0028】
脱型のしやすさから、本エラストマーに可塑剤を加えて、硬度を70〜80に調節することが好ましい。
使用できる可塑剤は耐高温アルカリ性が必要であり、ジブチルフタレートやジオクチルフタレートでは良好な結果が得にくく、アジピン酸ジエステルやアルキル置換されていてもよいジフェニルエタンを使用するのが好ましい。
本発明におけるポリウレタン系エラストマーには、必要に応じて、消泡剤、レベリング剤、艶消し剤、難燃剤、揺変剤、粘着付与剤、増粘剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、反応遅延剤、脱水剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、耐候安定剤、染料、無機顔料、有機顔料、体質顔料などの公知の添加剤を適宜配合することができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
[イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成]
合成例1
ポリブタジエンポリオールA(1,4−cis/1,4−trans/1,2−vinyl=10〜15質量%/20〜25質量%/60〜70質量%、官能基数=1.9、数平均分子量=2000)680gに、4,4′−MDI320gを加え、窒素雰囲気下、80℃で4時間撹拌して反応させた。反応途中のイソシアネート基含量を滴定により測定し、イソシアネート基含量の減少が止まった時点で反応を終了して、イソシアネート基(NCO)含量8.1質量%、粘度530mPa・s(75℃)のウレタンプレポリマー(A)を製造した。
結果をまとめて表1に示す。
【0030】
合成例2〜8
表1に示す各原料を用い、合成例1と同様にして、イソシアネート基を含有するウレタンプレポリマー(B)〜(H)を製造した。
結果をまとめて表1に示す。
なお、表1において、
2,4−TDI:2,4−トリレンジイソシアネート
4,4′−MDI:4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート
ポリブタジエンポリオールA:
1,4−cis/1,4−trans/1,2−vinyl=10〜15質量%/2
0〜25質量%/60〜70質量%、官能基数=1.9、数平均分子量=2000の
ポリブタジエンポリオール
ポリブタジエンポリオールB:
1,4−cis/1,4−trans/1,2−vinyl=0質量%/90質量%
/10質量%、官能基数=1.8、水酸基価=35〜55mgKOH/g、数平均分
子量=2000のポリブタジエンポリオール
ポリブタジエンポリオールC:
1,4−cis/1,4−trans/1,2−vinyl=20質量%/60質量
%/20質量%、官能基数=2.3、水酸基価=46.6mgKOH/g、数平均分
子量=2800のポリブタジエンポリオール
ポリイソプレンポリオール:
1,4−cis/1,4−trans/1,2−vinyl=20質量%/60質量
%/20質量%、官能基数=2.1、数平均分子量=2800のポリイソプレンポリ
オール
PTG1000:
ポリテトラメチレンエーテルグリコール、数平均分子量1000、保土谷化学社製
DEA−1500:
ポリエステルポリオール、数平均分子量1500、日本ポリウレタン社製
UH−2030:
アクリルポリオール、数平均分子量2500、東亞合成化学社製
【0031】
【表1】
【0032】
実施例1
[コンクリート用型枠の製造]
合成例1で得られたウレタンプレポリマー(A)100gを60℃に予備加熱し、これに予め60〜80℃で加熱しておいた1,4−ブタンジオール4.9gとトリメチロールプロパン3.3gとの混合物(25℃における粘度:130mPa・s)を加えて均一になるよう撹拌混合した。これをすばやく減圧脱泡した後、60℃に予備加熱しておいた、コンクリート用型枠を成形するための金型に注ぎ、同温度で30分間加熱して硬化させた後、7日間熟成させて、熱硬化性ポリウレタン系エラストマー製のコンクリート用型枠を製造した。
また、前記と同様にして、物性試験用シートを作成した。
得られたコンクリート用型枠、30%水酸化カリウム水溶液に85℃で10日間浸漬したコンクリート用型枠について、諸物性を測定した。
また、硬化速度をウレタンプレポリマー(A)と硬化剤の合計量が300gスケールで、500mlのポリカップ中で保温なしの条件で測定したところ、10分後の粘度は14400mPa・s(B型回転粘度計により測定)であった。
【0033】
[物性試験方法]
(1)硬度
JIS K7312に従ってA型スプリング式硬さ試験機により測定した。
(2)M100
JIS K7312に従って測定した。
(3)TB
JIS K7312に従って測定した。
(4)TR
JIS K7312に従って測定した。
(5)耐アルカリ性試験
上記K7312に規定する試験片をシートから打ち抜き、PH13の水酸化カリウム水溶液に浸漬した。液温は85℃、浸漬時間は10日間である。試験片厚み2mm(JIS K6258を準用)。
【0034】
[コンクリート成形体の製造]
珪石粉1800g、生石灰300g、普通ポルトランドセメント900g、アルミニウム粉末1800g及び水を混合したスラリーを、前記のコンクリート用型枠に注いだ。断熱用覆いをかけ、5時間放置後、型から出し、その後オートクレーブで180℃×10気圧で完全硬化させて、表面に複雑な起伏を有する軽量発泡コンクリート成形体を製造した。
このコンクリート成形体は、複雑な形状をしているのにもかかわらず、脱型は容易であった。
脱型したコンクリート成形体の表面状態を観察するとともに、上記の操作を繰り返してコンクリート成形体を製造し、型枠表面にコンクリートが付着して脱型が困難になるまでの連続使用回数を調べた。
これらの結果をまとめて表2に示す。
表2において、
アジピン酸ジエステル:大八化学工業社製「BXA」
ジブチルジグリコールアジペート
芳香族炭化水素:日本石油化学社製「日石ハイゾールSAS−296」
主成分;1−フェニル−1−キシリルエタン及び1−フェニル−1−
エチルフェニルエタン
【0035】
実施例2〜5、比較例1〜9
表2〜4に示す各原料を用い、実施例1と同様にして、熱硬化性ポリウレタン系エラストマー製のコンクリート用型枠を製造し、この型枠の諸物性を測定した。なお、実施例4において、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとジェファーミンD−2000を混合してから10分後の粘度は38000mPa・s/25℃であった。
次に、このコンクリート用型枠を使用してコンクリート成形体を製造し、脱型の容易さ、および脱型したコンクリート成形体の表面状態を観察するとともに、繰り返してコンクリート成形体を製造し、型枠表面にコンクリートが付着して脱型が困難になるまでの連続使用回数を調べた。
これらの結果をまとめて表2〜4に示す。
表3及び4において、
ジェファーミンD−2000:
ポリプロピレングリコールの末端ジアミノ化物、数平均分子量2000、粘度250
mPa・s/25℃
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の型枠における(ポリウレタン系)エラストマーは、高温においても耐強アルカリ性に優れているため、コンクリート用の型枠として使用したとき、物性の低下が少なく、耐久性に優れている。更に、本発明のコンクリート用型枠は、内部離型剤や外部離型剤を使用しなくても、繰り返し使用が可能で、得られるコンクリート成形体は表面が平滑で、仕上がり面の美観も良好であり、複雑な形状の成形も良好に行なうことができる。
Claims (4)
- イソシアネート基含有プレポリマーと活性水素化合物とを含有するコンクリート用ポリウレタン系エラストマー型枠製造用組成物であって、
前記イソシアネート基含有プレポリマーが、有機ポリイソシアネートと側鎖1,2−ビニル基を60〜70質量%有するポリブタジエンポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーであること、を特徴とする前記コンクリート用ポリウレタン系エラストマー型枠製造用組成物。 - イソシアネート基含有プレポリマーと活性水素化合物と可塑剤とを含有するコンクリート用ポリウレタン系エラストマー型枠製造用組成物であって、
前記イソシアネート基含有プレポリマーが、有機ポリイソシアネートと側鎖1,2−ビニル基を60〜70質量%有するポリブタジエンポリオールとを反応させて得られるイソシネート基含有ウレタンプレポリマーであり、かつ、前記可塑剤がアジピン酸ジエステル及び/又はアルキル置換されていてもよいジフェニルエタンであること、を特徴とする前記コンクリート用ポリウレタン系エラストマー型枠製造用組成物。 - イソシアネート基含有プレポリマーと活性水素化合物とを反応させて得られるポリウレタン系エラストマーからなるコンクリート用型枠であって、
前記イソシアネート基含有プレポリマーが、有機ポリイソシアネートと側鎖1,2−ビニル基を60〜70質量%有するポリブタジエンポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーであること、を特徴とする前記コンクリート用型枠。 - イソシアネート基含有プレポリマーとポリアミン化合物とを反応させて得られるポリウレタン系エラストマーからなるコンクリート用型枠であって、
前記イソシアネート基含有プレポリマーが、有機ポリイソシアネートと側鎖1,2−ビニル基を60〜70質量%有するポリブタジエンポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーであること、を特徴とする前記コンクリート用型枠。
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