JP3883575B2 - 殺菌剤混合物 - Google Patents

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Description

本発明は、
a)式I
Figure 0003883575
で表され、式中Rが水素またはハロゲンを意味するオキシムエーテルカルボキシアミドと、
b)マンガンエチレンビス(ジチオカルバマート)(亜鉛錯体)(IIa)、
マンガンエチレンビス(ジチオカルバマート)(IIb)、
亜鉛アンモニアートエチレンビス(ジチオカルバマート)(IIc)、および亜鉛エチレンビス(ジチオカルバマート)(IId)から成る群から選択されるいずれかのジチオカルバマート(II)とを、相乗的有効量で含有する殺菌剤混合物に関する。
更に本発明は、化合物IとIIとの混合物を用いて有害菌類を防除する方法、およびこの様な混合物を製造するための各化合物IおよびIIの使用法に関する。
式Iの化合物、その製造法、および有害菌類に対する前記化合物の作用は文献(国際特許出願公開第95/18789)に開示されている。
更に、ジチオカルバマートII(IIa:通常名称:マンコゼブ(mancozeb)、米国特許第3379610号明細書、IIb:通常名称:マンネブ(maneb)、米国特許第2504404号明細書、IIc:通常名称:メチラム(metiram)、米国特許第3248400号明細書、IId:通常名称:ジネブ(zineb)、米国特許第2457674号明細書)、その製造法、有害菌類に対する作用も開示されている。
本発明は、使用量を低下させ、公知化合物の作用範囲を拡大させるために、各有効物質の総合施与量を減少させて混合し、有害菌類に対して、より優れた作用を示す混合物(相乗混合物)を提供することをその課題とする。
しかるに、本発明の上記課題は冒頭に定義された混合物により達成されることが、本発明者等により見出された。更に、化合物Iおよび化合物IIを同時に一緒に、または別々に、または化合物Iと化合物IIを相前後して連続的に用いることにより、これらの化合物をそれぞれ単独で用いた場合よりも良好に有害菌類が防除されることが本発明者等に見出された。
式IのRは水素またはハロゲン原子、例えば弗素、塩素、臭素または硫黄、特に水素、弗素または塩素、更に好ましくは水素または弗素を意味する。
C=N結合に対して、式Iの化合物はEまたはZ形態(カルボン酸官能基に対して)で存在可能である。従って、本発明においてこれらは純粋なEまたはZ異性体として、E/Z異性体混合物としてのいずれの形態でも使用可能である。E/Z異性体混合物またはE異性体が好ましく用いられるが、E異性体が特に好ましい。
化合物Iの側鎖のオキシムエーテル基のC=N二重結合は、いずれも純粋なEまたはZ異性体として、またはE/Z異性体混合物として存在可能である。本発明の混合物中で、化合物Iは異性体混合物として使用されるが、純粋な異性体としても使用可能である。使用を考慮すると、特に好ましい化合物Iとして、双方のオキシムエーテル基が側鎖中に存在するか、またはE形態(E/E)を成すものが用いられる。
NH基の塩基性により、化合物Iは無機または有機酸と、或いは金属イオンと、塩または付加物を形成することができる。
無機酸の例には、ハロゲン化水素酸、例えば弗化水素酸、塩酸、臭化水素酸および沃化水素酸、硫酸、燐酸および硝酸が挙げられる。
適する有機酸は、例えば蟻酸、炭酸およびアルカン酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸およびプロピオン酸、およびグリコール酸、チオシアン酸、乳酸、琥珀酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、蓚酸、アルキルスルホン酸(炭素原子数1−20の直鎖または分岐状アルキル基を有するスルホン酸)、アリールスルホン酸または−ジスルホン酸(1個または2個のスルホ基を有するフェニルまたはナフチル等の芳香族基)、アルキルホスホン酸(炭素原子数1−20の直鎖または分岐状アルキル基を有するホスホン酸)、アリールホスホン酸または−ジホスホン酸(1個または2個の燐酸基を有するフェニルまたはナフチル等の芳香族基)、上記アルキルまたはアリール基は他の置換基、例えばp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸等である。
適する金属イオンの例には、特に第2主族元素、特にカルシウム、マグネシウムのイオン、第3および第4主族元素、特にアルミニウム、錫および鉛のイオン、および第1〜第8副族元素、例えばクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛等のイオンがある。第4周期の副族元素の金属イオンが特に好ましく用いられる。これら金属は多種の原子価で存在可能である。
混合物を製造する場合は、純粋な有効成分IおよびIIと、有害菌類または他の有害動物、例えば昆虫、ダニまたは線虫類を防除するための他の有効成分、または除草または生長抑制有効成分または肥料を、必要に応じて混合することができる。
新規化合物は、広範囲な植物病理学的菌類、特に子嚢菌類、担子菌類に対して優れた作用し、秀でている。これらの数種類はは組織的に作用し、茎葉または土壌殺菌剤として使用可能である。
これらは種々の農作物、例えば綿、野菜(例えばキュウリ、豆およびウリ)大麦、芝、オート麦、コーヒー、トウモロコシ、果実、稲、ライ麦、大豆、ブドウ、小麦、観賞用植物、サトウキビおよび多種類の種子における多種細菌を防除するにあたり特に重要である。
新規の化合物は次のような植物病の防除に特に適している。
穀物類のエリシペ・グラミニス(Erysiphe graminis;うどん粉病)、
ウリ科のエリシペ・キコラケアラム(Erysiphe cichoracearum)およびスフェロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)、
リンゴのポドスフェラ・ロイコトリカ(Podosphaera leucotricha)、
ブドウのウンキヌラ・ネカトル(Uncinula necator)、
穀物類のプッキニア(Puccinia)種、
ワタおよびシバのリゾクトニア種(Rhizoctonia)、
穀物類およびサトウキビのウスチラゴ(Ustilago)種、
リンゴのベンツリア・イネクアリス(Venturia inaeqalis;腐敗病)、
穀物類のヘルミントスポリウム種(Helminthosporium)、
コムギのセプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)、
イチゴおよびブドウのボトリチス・キネレア(Botrytis cinerea;灰色カビ)、
ナンキンマメのセルコスポラ・アラキジコラ(Cercospora arachdicola)、
コムギおよびオオムギのシュードケルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)、
イネのピリクラリア・オリザエ(Pyricularia orizae)
ジャガイモおよびトマトのフィトピトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)、
種々の植物のフサリウム(Fusarium)およびベルチキルリウム(Verticillium)種、
ブドウのプラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)、
果実および野菜のアルテルナリア(Alternaria)種。
新規化合物を、例えばパエシロミセス・バリオッティ(Paecilomyces variotii)の資材保護(木材の保護)に用いることも可能である。
化合物IおよびIIは同時に一緒に、別々に、または連続して施与可能であるが、別々に施与する場合の順序は、通常、防除結果に影響を与えるものではない。
通常、化合物IおよびIIは、一般的に200:1〜0.1:1、好ましくは100:1〜1:1、特に50:1〜5:1(II:I)の重量比で使用される。
所望の効果の性質に応じて、本発明の混合物の化合物Iの施与割合は、1ヘクタールあたり0.005〜0.5kg、好ましくは0.01〜0.5kg、特に0.01〜0.3kgとされる。これに対応して化合物IIの施与割合は、1ヘクタールあたり0.1〜10kg、好ましくは0.5〜5kg、特に好ましくは1〜4kgである。
種子を処理する場合、種子1kgにあたりに0.001〜100g、好ましくは0.01〜50g、特に0.01〜10gの量の有効物質が一般的に用いられる。
植物病理学的有害菌類を防除する場合、化合物IおよびIIの個別施与または同時施与、または化合物IおよびIIの混合物の施与は、植物の播種後、または植物の出芽前または後に、種子、植物または土壌に噴霧または振りかけることにより行われる。
本発明の殺菌作用相乗混合物または化合物IまたはIIは、例えば直接的に噴霧可能な溶液、粉末、懸濁液、高濃度の水性、油性またはその他の懸濁液または分散液、エマルジョン、油性分散液、ペースト、ダスト剤、散布剤または顆粒の形で噴霧、ミスト法、ダスト法、散布法または注入法によって適用することができる。適用形式は、完全に使用目的に基づいて決定される。いずれの場合にも、本発明の有効物質の可能な限りの微細分が保証されるべきである。
製剤は公知方法で、例えば有効物質を溶剤および/または賦形剤を添加して得られる。従来より不活性添加剤、例えば乳化剤または分散剤を製剤に添加して用いる。
界面活性剤としては、リグノスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、およびジブチルナフタリンスルホン酸等の芳香族スルホン並びに脂肪酸の各アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルキルスルホナート、アルキルアリールスルホナート、アルキルスルファート、ラウリルエーテルスルファート、脂肪アルコールスルファート、並びに硫酸化ヘキサデカノール、ヘプタデカノールおよびオクタデカノールの塩、並びに脂肪アルコールグリコールエーテルの塩、スルホン化ナフタリンおよびナフタリン誘導体とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ナフタリン或はナフタリンスルホン酸とフェノールおよびホルムアルデヒドとの縮合生成物、ポリオキシエチレン−オクチルフェノールエーテル、エトキシ化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、またはポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタート、ソルビットエステル、リグニン−亜硫酸廃液およびメチルセルロースが挙げられる。
粉末、散布剤および振りかけ剤は、化合物IまたはII、或いは化合物IおよびIIの混合物と、固状担体物質とを混合または一緒に磨砕することにより製造することができる。
粒状体(例えば被覆粒状体、含浸粒状体および均質粒状体)は、単一のまたは複数の有効成分を固状担体物質に結合することにより製造することができる。
固状担体物質は例えば鉱物土、例えばシリカゲル、珪酸、シリカゲル、珪酸塩、タルク、カオリン、石灰石、石灰、白亜、膠塊粒土、石灰質黄色粘土、粘土、白雲石、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、磨砕合成樹脂、肥料例えば硫酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素および植物性生成物例えば穀物粉、樹皮、木材およびクルミ穀粉、セルロース粉末および他の固状担体物質である。
通常、製剤は、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜90重量%の、化合物IまたはIIのいずれか、または化合物IとIIとの混合物を含有する。この際有効物質は純度90〜100%、特に95〜100%(NMRまたはHPLCスペクトルによる)で使用される。
化合物IまたはII、その混合物、或いは上記製剤は、殺菌有効量の混合物、個別使用の場合は化合物I、IIで有害菌類、またはこれらから保護されるべき植物、種子、土壌、土壌、資材または空間を処理することにより用いられる。
本発明の混合物の有害菌類に対する相乗効果の例
以下の実験により各化合物および混合物の殺菌作用を示す。
単独のまたは混合物としての有効物質を、70重量%のシクロヘキサノール、20重量%のNekanil(登録商標)LN(Lutensol(登録商標)AP6、エトキシル化アルキルフェノールを基礎とする乳化作用および分散作用を有する湿潤剤)および10重量%のEmulphor(登録商標)EL(Emulan(登録商標)EL、エトキシル化脂肪アルコールを基礎とする、乳化剤)から成る混合物中の濃度10重量%の乳濁液として加工し、所望の濃度を得るために水で希釈した。
被害を受けた葉面を%で評価し、上記実験を評価した。この%による値を効果の程度として換算した。有効物質の混合物により、予期される効果の程度を以下のコルビーの式[R.S.Colby、Weeds 15、20−22(1967)]により算出し、実際に観察された効果の程度と対比した。
コルビーの式:
E=x+y−x・y/100
で示され、式中
Eは濃度[a]および[b]の有効物質AおよびBの混合物を使用した場合の、未処理対照の予想される効果程度(%)、
xは有効物質Aを濃度[a]で使用した場合の、未処理対照の効果程度(%)、
yは有効物質Bを濃度[b]で使用した場合の、未処理対照の効果程度(%)
をそれぞれ意味する。
上記効果(E)は以下のアボット[Abbot]の式
E=(1−α)・100/β
により求められ、式中
αは処理後の植物の菌類による被害(%)、
βは未処理(対照)植物の菌類による被害(%)、
をそれぞれ意味する。
効果程度0は、処理された植物が未処理の植物と同様の被害を受けたことを示し、効果100は処理された植物が全く被害を受けなかったことを示す。
有効成分混合物の、予想される効果をコルビーの式を用いて算出し、これを実際に観測された効率と比較した。
フィトホトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)(胴枯れ病)
トマト(Grosse Fleischtomate種)の鉢植え植物の葉に、まず有効成分の水性組成物を噴霧した。約24時間後、植物の葉をフィトホトラ・インフェスタンスの遊走子懸濁液で感染させた。次いで処理後の植物を16−18℃、相対大気湿度100%で6日保管し、細菌の繁殖程度を測定した。
Figure 0003883575
Figure 0003883575

Claims (12)

  1. a)式I
    Figure 0003883575
    で表され、式中Rが水素またはハロゲンを意味するオキシムエーテルカルボキシアミドと、
    b)マンガンエチレンビス(ジチオカルバマート)(亜鉛錯体)(IIa)、
    マンガンエチレンビス(ジチオカルバマート)(IIb)、
    亜鉛アンモニアートエチレンビス(ジチオカルバマート)(IIc)、および亜鉛エチレンビス(ジチオカルバマート)(IId)から成る群から選択されるいずれかのジチオカルバマート(II)と、
    を相乗的有効量で含有する殺菌剤混合物。
  2. 請求項1に記載の式Iのオキシムエーテルカルボキシアミドと、マンガンエチレンビス(ジチオカルバマート)(亜鉛錯体)(IIa)とを含有する、請求項1に記載の殺菌剤混合物。
  3. 請求項1に記載の式Iのオキシムエーテルカルボキシアミドと、マンガンエチレンビス(ジチオカルバマート)(IIb)とを含有する、請求項1に記載の殺菌剤混合物。
  4. 請求項1に記載の式Iのオキシムエーテルカルボキシアミドと、亜鉛アンモニアートエチレンビス(ジチオカルバマート)(IIc)とを含有する、請求項1に記載の殺菌剤混合物。
  5. 請求項1に記載の式Iのオキシムエーテルカルボキシアミドと、亜鉛エチレンビス(ジチオカルバマート)(IId)とを含有する、請求項1に記載の殺菌剤混合物。
  6. 化合物IIと化合物Iの重量比が、200:1〜0.1:1である、請求項1に記載の殺菌混合物。
  7. 請求項1に記載の式Iの化合物と、請求項1に記載の式IIの化合物とにより、有害菌類、その生息圏および菌類から保護されるべき植物、種子、土壌、領域、資材、空間を処理することを特徴とする、有害菌類の防除方法。
  8. 請求項1に記載の式Iの化合物と、請求項1に記載の式IIの化合物とを、同時に一緒に、別々に、または連続して施与することを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 1ヘクタールあたり0.005〜0.5kgの請求項1に記載の化合物Iにより、有害菌類、その生息圏、および菌類から保護されるべき植物、種子、土壌、領域、資材または空間を処理することを特徴とする請求項7に記載の方法。
  10. 1ヘクタールあたり0.1〜10kgの請求項1に記載の化合物IIにより、有害菌類、その生息圏、および菌類から保護されるべき植物、種子、土壌、領域、資材または空間を処理することを特徴とする請求項7に記載の方法。
  11. 請求項1に記載の殺菌作用相乗混合物を製造するための、請求項1に記載の化合物Iの使用法。
  12. 請求項1に記載の殺菌作用相乗混合物を製造するための、請求項1に記載の化合物IIの使用法。
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