JP3882438B2 - 断熱容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、即席麺や即席みそ汁などを収容する断熱容器に関し、特には、熱湯を注いでそのまま飲食することの可能ないわゆるインスタント食品やインスタント飲料用の紙カップ状の断熱容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、即席麺などの収容物に熱湯を注いで食する断熱容器としては、例えば、発泡ポリスチレン樹脂などを成形したプラスチック容器、耐水加工した紙カップ本体の周壁の外側に波状紙を貼着し、さらに、波状紙の上から薄紙を貼着して空気断熱層を形成させた紙容器などが知られている。
【0003】
ところが、材質に発泡プラスチック樹脂を使用する容器は断熱性には優れているものの、燃焼カロリーが高く、焼却、廃棄上での問題があり、さらには消費者の環境意識の高まりに伴う消費行動の変化により発泡プラスチック樹脂に代わる易廃棄性、易燃焼性の容器が求められている。
【0004】
また、紙カップに波状紙や薄紙を巻き付け貼着して空気断熱層を形成させた紙容器は、断熱性には問題ないものの、接着剤を使用しているために糊付け工程が必要となる。また、作業工程が比較的複雑であるという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、断熱容器に関する以上のような問題点に着目してなされたもので、紙を主要素材とし、易廃棄性、易焼却性を有し、臭気発生の恐れがなく、比較的作業工程の簡単な断熱容器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明は、胴部と底部とからなり、開口部周縁が外側にカールした口縁部を有し、胴部と底部の接合部に環状脚部を形成させた内容器である紙カップと、紙カップの胴部外側に嵌め込まれる紙製筒体とから構成される断熱容器であって、前記紙製筒体の上部周縁に内側へ略縦長楕円形状にカールした縦長カール部を、また下部周縁には内側へ略横長楕円形状に大きくカールした底受け部を形成すると共に、前記縦長カール部の内側を紙カップの口縁部直下の胴部外側と接触固定し、環状脚部の先端と前記底受け部の内側とは接着剤を介して接着固定した、紙カップ胴部と紙製筒体の間に断熱空間層を設けたことを特徴とする断熱容器である。
【0008】
さらにまた、第2の発明は、第1の発明において、前記紙製筒体の縦長カール部内側と内容器である紙カップ胴部外側とは、接着剤を介して固定されていることを特徴とする断熱容器である。
【0009】
上記のように本発明によれば、紙製筒体の上部周縁に内側へカールした上部カール部を形成させ、上部カール部を押しつぶすなどして縦長カール部を形成し、また紙製筒体の下部周縁に内側へ大きくカールした下部カール部を形成させ、該下部カール部を押しつぶすなどして底受け部を形成すると共に、紙製筒体の縦長カール部の内側を紙カップである内容器の口縁部直下の胴部外側と接触固定し、紙製筒体の底受け部の内側を紙カップである内容器の底部外側と接着剤を介して接着固定することで、紙カップである内容器胴部と紙製筒体の間に断熱空間層を設けたので、親指を口縁部にかけてその他の指を底受け部にかけるような持ち方をしても、底受け部が幅広のためその他の指が内容器の底部に触れにくく、熱さを強く感じることはない。
【0010】
紙製筒体の縦長カール部内側と内容器胴部外側とを接着剤を介して固定させると、断熱容器の横押し強度(リップ強度)がさらに強くなる。
【0011】
横押し強度(リップ強度)とは、カップ口縁部の横押し方向の強度であって、即席麺用の断熱カップ等には特に要求される品質項目で、カップを手で握持して食する際、リップ強度が弱いとカップを手で持った際変形してしまい食べにくく、また、中身がこぼれ易くなり、火傷などの問題が生ずる恐れがある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
本発明の断熱容器は、例えば図1に示すように、胴部11と底部12とからなり、胴部上縁に外側にカールした口縁部13を有し、上方が開放された内容器10と、内容器の胴部外側に嵌め込まれる紙製筒体20とから構成され、内容器胴部と紙製筒体の間に断熱空間層30を形成してなる。
【0013】
内容器10は、紙カップが好適に使用できる。
【0014】
紙カップは、胴部を形成する胴部材、底部を形成する底部材とも、坪量が170〜400g/m2 程度の紙カップ原紙の両面または片面に低密度ポリエチレン樹脂を10〜50μm程度塗布したポリエチレン加工紙を一般的な紙カップ成形機にセットして作製することができる。
紙カップの構造は、胴部11と底部12とからなり、開口部周縁が外側にカールした口縁部13を有し、胴部と底部の接合部に環状脚部14を形成させたものである(図1参照)。
【0017】
紙製筒体20は、坪量が190〜420g/m2 程度のコートボール、白ライナー、カップ原紙等の板紙を素材とし、内容器の胴部と底部の一部を覆う大きさの所定寸法の略扇形に打ち抜き、紙製筒体ブランクを作製する。
なおカップ原紙を使用すると、パルプが伸び易く成形性に富むので後記する上部カール部、下部カール部や縦長カール部、底受け部が成形し易い。
【0018】
ついで、紙製筒体ブランクの両端を重ね合わせ、例えば、アクリル樹脂系、エチレン・酢酸ビニール樹脂系等のエマルジョン型接着剤を介して接着させ、筒状に加工する。
あるいは、紙製筒体ブランクの裏面に低密度ポリエチレン樹脂を塗布し、熱により接着させ、筒状に加工しても良い。
【0019】
筒状に加工した筒体の上部周縁と下部周縁をそれぞれインカール金型を使用して加圧およびまたは加熱加圧成形して、筒体の上部周縁には内側にカールした上部カール部21aを、下部周縁には内側に大きくカールした下部カール部22aを形成させる(図2参照)。
【0020】
上部カール部21aを押しつぶして縦長カール部21を形成させる方法としては、例えば、紙製筒体の内部にエクスパンション部材を挿入し、それを水平方向に広げて上部カール部を押しつぶす方法、上部カール部をローレット状のものを水平方向に回転させながら押しつぶす方法、外径が紙製筒体の上部カール部の内径より若干大きめの部材を(水平方向に回転させながら)紙製筒体内に押し込み上部カール部を押しつぶす方法等、公知の方法、装置を用いれば良い。
【0021】
また、下部カール部22aを押しつぶして底受け部22を形成させる方法としては、例えば、筒体を雌型に嵌め込み、上方より雄型で押しつぶす方法等の公知の方法、装置を用いれば良い。
【0022】
紙製筒体20のうち内容器10への嵌め込みはつぎのように行う。すなわち、先ず、内容器の底部外周縁全体と筒体の口縁部直下の胴部周方向全部に、例えば、エチレン・酢酸ビニール樹脂系のエマルジョン型接着剤を適量塗布した後、内容器を底部の方から紙製筒体の中に嵌め込み、紙製筒体の上縁内側は内容器の口縁部13の直下の胴部外側と接着固定され、紙製筒体の下縁である底受け部22は内容器の底部周縁と接着固定され、本発明の断熱容器とする。そして、内容器胴部11と紙製筒体20の間の空間が断熱空間層30となる。
【0023】
紙製筒体の口縁部直下の胴部の周方向に接着剤を塗布せずに、紙製筒体の上縁内側と内容器の胴部外側とを接触固定させても良い。
【0024】
【実施例】
以下に本発明の実施例をさらに具体的に説明する。
〈実施例1〉
先ず、胴部を形成する胴部材として坪量240g/m2 のカップ原紙の片側に厚さ30μmの低密度ポリエチレン樹脂を塗布したポリエチレン加工紙を、また、底部を形成する底部材として坪量200g/m2 のカップ原紙の片側に厚さ30μmの低密度ポリエチレン樹脂を塗布したポリエチレン加工紙をそれぞれ準備し、一般的な紙カップ成形機を使用して、ポリエチレンを内側にした、高さ105mm、口径140mm、底径100mm、環状脚部の高さ(深さ)10mm、口縁部厚さ5mm、テーパー角度7.5°の内容器10である紙カップを成形した。
【0025】
別に坪量270g/m2 のコートボールを用いて、所定寸法の扇形の紙製筒体ブランクを作製し、この扇形の紙製筒体ブランクの両端を重ね、エチレン・酢酸ビニール樹脂系のエマルジョン型接着剤を介して接着させ、筒状に成形した。
【0026】
筒状に加工した筒体の上部周縁と下部周縁をそれぞれインカール金型を用いて加熱加圧成形し、筒体の上部周縁には内側にカールした上部カール部21aを、また筒体の下部周縁には内側に大きくカールした下部カール部22aをそれぞれ形成した。
【0027】
上部カール部21aは、筒体内部にエクスパンション部材を挿入して水平方向に拡げて曲縁部を押しつぶし、縦長カール部21を形成させた。また、下部カール部22aは、筒体を雌型に嵌め込み、上方より雄型で加圧して大曲縁部を2つ折りするように押しつぶし、底受け部22を形成させ、上部口径131mm、下部口径100mm、高さ100mm、縦長カール部厚さ1.4mm、底受け部長さ(奥行き)8mm、テーパー角度6.8°の紙製筒体20を作製した。
【0028】
ついで、紙カップの環状脚部の先端(底)全体と口縁部直下の胴部の周方向全体に、エチレン・酢酸ビニール樹脂系のエマルジョン型接着剤を塗布しておき、紙製筒体20を内容器10である紙カップの底の方から嵌め込み接着固定させ、実施例1の断熱容器とした(図3参照)。
環状脚部の先端(底)は、底受け部22の筒体面より3mm内側に入った位置で固定されたので、内容器である紙カップ胴部と紙製筒体の間に形成される断熱空間層30の厚さは3mmとなる。
【0029】
この断熱容器の断熱効果を評価するため、容器に即席麺を収容し、熱湯を注いで3分間放置後、容器の胴部を手指等で握持したが、容易に手で持つことができた。また、親指を口縁部に、他の指を底受け部にかけて持ってみたが底面に触れることなく、容易に持つことができた。
【0030】
【発明の効果】
上記のように本発明の断熱容器は、表面に発泡加工などを施してないので印刷が綺麗にできる。
内容器と紙製筒体のテーパー角度を自由に変えられるため、断熱容器の積み重ね高さ(スタック高さ)を自由に変えられる。
外側の紙製筒体をリテーナー等に入れて真円にしてから環状脚部の先端(底)に接着剤を付けた内容器(紙カップ)を紙製筒体に挿入すれば、なりゆきで真円となって接着でき、紙製筒体と内容器(紙カップ)の一体化時の機械の簡素化、収率アップが図れる。
【0031】
紙製筒体の底受け部は環状脚部よりも内側に出っ張っているので、丼状の容器の場合、内容物を食する際、口縁部に親指をかけ、その他の指を底受け部にかけて断熱容器を持ち上げてもその他の指が内容器の底面に触れにくくなり、熱くなることがない。
内容器が紙カップの場合、環状脚部の先端(底)全部が紙製筒体と接着され、環状脚部の先端(底)は隠れているため、底面からの見栄えが良く、たとえ湯がこぼれても紙カップの端面から湯がしみ込むことがない。
紙製筒体の印刷部分の端面が表に出てこないので、カップをスタックした際のインキとれられがない(底部にインキなしの部分を設けなくて良い)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の断熱容器の一例を示す部分断面説明図である。
【図2】 本発明の断熱容器に使用する紙製筒体の一例で、押しつぶす前の状態を示す部分断面説明図である。
【符号の説明】
10‥‥内容器、紙カップ
11‥‥胴部
12‥‥底部
13‥‥口縁部
14‥‥環状脚部
20‥‥紙製筒体
21‥‥縦長カール部
21a‥上部カール部
22‥‥底受け部
22a‥下部カール部
30‥‥断熱空間層
Claims (2)
- 胴部と底部とからなり、開口部周縁が外側にカールした口縁部を有し、胴部と底部の接合部に環状脚部を形成させた内容器である紙カップと、紙カップの胴部外側に嵌め込まれる紙製筒体とから構成される断熱容器であって、
前記紙製筒体の上部周縁に内側へ略縦長楕円形状にカールした縦長カール部を、また下部周縁には内側へ略横長楕円形状に大きくカールした底受け部を形成すると共に、前記縦長カール部の内側を紙カップの口縁部直下の胴部外側と接触固定し、環状脚部の先端と前記底受け部の内側とは接着剤を介して接着固定した、紙カップ胴部と紙製筒体の間に断熱空間層を設けたことを特徴とする断熱容器。 - 前記紙製筒体の縦長カール部内側と内容器胴部外側とは、接着剤を介して固定されていることを特徴とする請求項1記載の断熱容器。
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