JP3882209B2 - エステル化合物およびそれを有効成分とする有害生物防除剤 - Google Patents
エステル化合物およびそれを有効成分とする有害生物防除剤 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエステル化合物およびそれを有効成分とする有害生物防除剤に関する。
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
これまで、ある種の第2菊酸エステル化合物がある種の害虫に対し殺虫効力を示すことが、Pesticide Biochemistry and Physiology, 41(2), 178-189(1991) に記載されている。
しかしながら、該化合物は効力等の点から、有害生物防除剤の有効成分として必ずしも常に満足すべきものとはいいがたい。
【0002】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記状況に鑑み、すぐれた有害生物防除効果を有する化合物を見出すべく鋭意検討を重ねた結果、下記一般式 化2で示されるエステル化合物がすぐれた有害生物防除効果を有することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は一般式 化2
【化2】
〔式中、R1 は2−プロピニル基または2−プロペニル基を表し、R2 はC1 〜C5 のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert−ブチル基)、C3 〜C5 のアルケニル基(例えば、2−プロペニル基)、C3 〜C5 のアルキニル基(例えば、2−プロピニル基)、C1 〜C5 のハロアルキル基(例えば、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、クロロエチル基)またはC3 〜C5 のシクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロブチル基またはシクロペンチル基)を表す。〕
で示されるエステル化合物(以下、本発明化合物と記す。)およびそれを有効成分とする有害生物防除剤を提供する。
【0003】
【発明の実施の態様】
本発明化合物において、有害生物防除効果等の点から、R1 は2−プロピニル基が好ましく、R2 として好ましいものとしてメチル基、エチル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、シクロプロピル基があげられる。
【0004】
本発明化合物には、シクロプロパン環部分の不整炭素原子に由来する光学異性体(1R−シス/1R−トランス/1S−シス/1S−トランス)およびCOOR2 の結合した二重結合に由来する幾何異性体(E/Z)が存在するが、本発明には、これらのうち有害生物防除活性を有するすべての光学異性体および幾何異性体ならびにそれらの任意の割合の混合物が含まれる。
本発明化合物において、シクロプロパン環部分は1Rの立体配置ものが好ましい。
【0005】
本発明化合物は、たとえば以下の方法により製造することができる。
一般式 化3
【化3】
〔式中、R2 は前述と同じ意味を有する。〕
で示されるカルボン酸化合物またはその反応性誘導体と、該化合物1モルに対し、一般式 化4
【化4】
〔式中、R1 は前述と同じ意味を有する。〕
で示されるアルコール化合物通常1〜1.5モルの割合とを反応させる方法。
一般式 化3のカルボン酸化合物の反応性誘導体としては、例えば酸ハロゲン化物や酸無水物等があげられ、好ましくは、酸塩化物があげられる。
一般式 化3で示されるカルボン酸化合物そのものと一般式 化4で示されるアルコール化合物を反応させる場合、該反応は、通常、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)等の脱水剤の存在下、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、ベンゼン、トルエン等の有機溶媒中で行われる。反応にはピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンまたはジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基を共存させることもできる。反応温度は通常、−10℃から+100℃もしくは用いる有機溶媒の沸点までの範囲内であり、好ましくは0℃から30℃までの範囲内である。
一般式 化3で示されるカルボン酸化合物のカルボン酸塩化物と一般式 化4で示されるアルコール化合物の反応は、通常、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、ベンゼン、トルエン等の有機溶媒中で、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基の存在下に行う。反応温度は通常−10℃から+100℃もしくは用いる有機溶媒の沸点までの範囲内であり、好ましくは0℃から+30℃である。
反応終了後の反応液は、有機溶媒抽出、洗浄、濃縮等の通常の後処理を行い、目的の本発明化合物を単離することができる。必要ならばクロマトグラフィー等の通常の操作によってさらに精製してもよい。
【0006】
本発明化合物を製造する際の一方の中間体である一般式 化3で示されるカルボン酸化合物は、たとえば特公昭35-166号公報等に記載された方法に準じて製造することができる。
本発明化合物を製造する際のもう一方の中間体である一般式 化4で示されるアルコール化合物は、たとえば米国特許第4827020号明細書に記載された方法に準じて製造することができる。
【0007】
本発明化合物が防除効力を発揮する有害生物としては、たとえば、下記のものがあげられる。
半翅目害虫
ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ、イナズマヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイ等のヨコバイ類、アブラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等
鱗翅目害虫
ニカメイガ(ニカメイチュウ)、コブノメイガ、ノシメコクガ等のメイガ類、ハスモンヨトウ、アワヨトウ、ヨトウガ等のヨトウ類、モンシロチョウ等のシロチョウ類、コカクモンハマキ等のハマキガ類、シンクイガ類、ハモグリガ類、ドクガ類、ウワバ類、カブラヤガ、タマナヤガ等のアグロティス属 (Agrothis spp.)、ヘリオティス属 (Heliothis spp.)、コナガ、イガ、コイガ等
双翔目害虫
アカイエカ、コガタアカイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ、タマネギバエ等のハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類等
鞘翅目害虫
ウェスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ等のコガネムシ類、コクゾウムシ、イネミズゾウムシ等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ、コクヌストモドキ等のゴミムシダマシ類、キスジノミハムシ、ウリハムシ等のハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ等のエピラクナ属 (Epilachna spp.) 、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ等
【0008】
網翅目害虫
チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等
総翅目害虫
ミナミキイロアザミウマ、ハナアザミウマ等
膜翅目害虫
アリ類、スズメバチ類、アリガタバチ類、カブラハバチ等のハバチ類等
直翅目害虫
ケラ、バッタ等
隠翅目害虫
ヒトノミ等
シラミ目害虫
ヒトジラミ、ケジラミ等
等翅目害虫
ヤマトシロアリ、イエシロアリ等
等の有害昆虫類
ハダニ類
ニセナミハダニ、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ等
マダニ類
オウシマダニ類
室内塵性ダニ類
コナダニ類、チリダニ類、ツメダニ類、イエダニ類等
等の有害ダニ類
【0009】
本発明化合物を有害生物防除剤の有効成分として用いる場合は、通常、固体担体、液体担体、ガス状担体、餌と混合するか、あるいは蚊取線香やマット等の基材に含浸し、必要あれば界面活性剤、その他の製剤用補助剤を添加して、油剤、乳剤、水和剤、水中懸濁剤・水中乳濁剤等のフロアブル剤、粒剤、粉剤、エアゾール、蚊取線香・電気蚊取マット・ノーマット(液体電気蚊取:吸液芯型殺虫用加熱蒸散装置)等の加熱蒸散剤、自己燃焼型燻煙剤・化学反応型燻煙剤、多孔セラミック板燻煙剤等の加熱燻煙剤、樹脂蒸散剤・含浸紙蒸散剤等の非加熱蒸散剤、フォッギング等の煙霧剤、ULV剤、毒餌等に製剤して使用する。
これらの製剤には、有効成分として本発明化合物を、通常、重量比で0.001 〜95%含有する。
製剤化の際に用いられる固体担体としては、たとえば粘土類(カオリンクレー、珪藻土、合成含水酸化珪素、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、タルク類、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等)等の微粉末あるいは粒状物などがあげられ、液状担体としては、たとえば水、アルコール類(メタノール、エタノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、灯油、軽油等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、エーテル類(ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等)、酸アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、ジメチルスルホキシド、大豆油、綿実油等の植物油等があげられ、ガス状担体、すなわち噴射剤としては、たとえばフロンガス、ブタンガス、LPG(液化石油ガス)、ジメチルエーテル、炭酸ガス等があげられる。
界面活性剤としては、たとえばアルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類およびそのポリオキシエチレン化物、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類、糖アルコール誘導体等があげられる。
【0010】
固着剤や分散剤等の製剤用補助剤としては、たとえばカゼイン、ゼラチン、多糖類(でんぷん粉、アラビアガム、セルロース誘導体、アルギン酸糖)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルクロリドン、ポリアクリル酸類等)があげられ、安定剤としては、たとえばPAP(酸性リン酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、植物油、鉱物油、界面活性剤、脂肪酸またはそのエステル等があげられる。
蚊取線香の基材としては、たとえば木粉、粕粉等の植物生粉末とタブ粉、スターチ、グルテイン等の結合剤との混合物等があげられる。
電気蚊取マットの基材としては、たとえばコットンリンターまたはコットンリンターとパルプとの混合物のフィブリルを板状に固めたもの等があげられる。
自己燃焼型燻煙剤の基材成分としては、たとえば硝酸塩、亜硝酸塩、グアニジン塩、塩素酸カリウム、ニトロセルロース、エチルセルロース、木粉などの燃焼発熱剤、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、重クロム酸塩、クロム酸塩などの熱分解刺激剤、硝酸カリウムなどの酸素供給剤、メラミン、小麦デンプンなどの支燃剤、珪藻土などの増量剤、合成糊料などの結合剤等があげられる。
化学反応型燻煙剤の基材成分としては、たとえばアルカリ金属の硫化物、多硫化物、水硫化物、含水塩、酸化カルシウム等の発熱剤、炭素質物質、炭化鉄、活性白土などの触媒剤、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ポリスチレン、ポリウレタン等の有機発泡剤、天然繊維片、合成繊維片等の充填剤等があげられる。
非加熱蒸散剤の基材としては、たとえば熱可塑性樹脂、濾紙、和紙等があげられる。
毒餌の基材成分としては、たとえば穀物粉、植物油、糖、結晶セルロース等の餌成分、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアセレチック酸等の酸化防止剤、デヒドロ酢酸等の保存料、トウガラシ末などの誤食防止剤、チーズ香料、タマネギ香料、ピーナッツオイルなどの誘引剤等があげられる。
フロアブル剤(水中懸濁剤または水中乳濁剤)の製剤は、一般に1〜75%の化合物を0.5〜15%の分散剤、0.1〜10%の懸濁助剤(たとえば、保護コロイドやチクソトロピー性を付与する化合物)、0〜10%の適当な補助剤(たとえば、消泡剤、防錆剤、安定化剤、展着剤、浸透助剤、凍結防止剤、防菌剤、防黴剤等)を含む水中で微小に分散させることによって得られる。水の代わりに化合物がほとんど溶解しない油を用いて油中懸濁剤とすることも可能である。保護コロイドとしては、たとえばゼラチン、カゼイン、ガム類、セルロースエステル、ポリビニルアルコール等が用いられる。チクソトロピー性を付与する化合物としては、たとえばベントナイト、アルミニウムマグネシウムシリケート、キサンタンガム、ポリアクリル酸等があげられる。
【0011】
このようにして得られる製剤は、そのままであるいは水等で希釈して用いる。また、他の殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、土壌害虫防除剤、殺菌剤、除草剤、植物生長調節剤、共力剤、肥料、土壌改良剤と混合して、または混合せずに同時に用いることもできる。
用いられる他の殺虫剤、殺ダニ剤としては、例えばフェニトロチオン〔O,O−ジメチルO−(3−メチル−4−ニトロフェニル)ホスホロチオエート〕、フェンチオン〔O,O−ジメチルO−(3−メチル−4−(メチルチオ)フェニル)ホスホロチオエート〕、ダイアジノン〔O,O−ジエチル−O−2−イソプロピル−6−メチルピリミジン−4−イルホスホロチオエート〕、クロルピリホス〔O,O−ジエチル−O−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジルホスホロチオエート〕、DDVP〔2,2−ジクロロビニルジメチルホスフェート〕、等の有機リン系化合物、
BPMC〔2−sec −ブチルフェニルメチルカーバメート〕、プロポキスル〔2−イソプロポキシフェニルN−メチルカーバメート〕、等のカーバメート系化合物、
【0012】
エトフェンプロックス〔2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジルエーテル〕、フェンバレレート〔(RS)−α−シアノ−3−フェニキシベンジル(RS)−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート〕、エスフェンバレレート〔(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(S)−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチレート〕、フェンプロパトリン〔(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート〕、シペルメトリン〔(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1RS−シス,トランス)−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート〕、ペルメトリン〔3−フェノキシベンジル (1RS−シス,トランス)−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート〕、デルタメトリン〔(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R−シス)−3−(2,2−ジブロモビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート〕、2−メチル−2−(4−ブロモジフルオロメトキシフェニル)プロピル(3−フェノキシベンジル)エーテル、トラロメスリン〔(1R−シス)3〔(1'RS)(1',2',2',2'−テトラブロモエチル)〕−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジルエステル〕、シラフルオフェン〔4−エトキシフェニル{3−(4−フルオロ−3−フェノキシフェニル)プロピル}ジメチルシラン〕、d−フェノトリン〔3−フェノキシベンジル (1R−シス,トランス)−クリサンテマート〕、シフェノトリン〔(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R−シス,トランス)−クリサンテマート〕、d−レスメトリン〔5−ベンジル−3−フリルメチル(1R−シス,トランス)−クリサンテマート〕、アクリナスリン〔(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R−シス(Z))−(2,2−ジメチル−3−{3−オキソ−3−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルオキシ)プロペニル}シクロプロパンカルボキシレート〕、シフルトリン〔(RS)−α−シアノ−4−フルオロ−3−フェノキシベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート〕、ラムダハロトリン〔(RS)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1RS−シス(Z))−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロプ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート〕、テフルスリン〔2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル(1RS−シス(Z))−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロプ−1−エニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート〕、トランスフルスリン〔2,3,5,6−テトラフルオロベンジル(1R−トランス)−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート〕、プラレスリン〔(S)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−2−シクロペンテン−1−イル (1R−シス,トランス)−クリサンテマート、d−アレスリン〔2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロペニル)−2−シクロペンテン−1−イル (1R−シス,トランス)−クロサンテマート、d−テトラメスリン〔3,4,5,6−テトラフタルイミドメチル (1R−シス,トランス)−クリサンテマート等のピレスロイド化合物、
【0013】
イミダクロプリド〔1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−インデンアミノ〕等のニトロイミダゾリジン誘導体、クロルフルアズロン〔1−(3,5−ジクロロ−4−(3−クロロ−5−トリフルオロメチルピリジン−2−イルオキシ)フェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア〕、テフルベンズロン〔1−(3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア〕、フルフェノクスロン〔1−(4−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−フルオロフェニル〕−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア〕等のベンゾイルフェニルウレア系化合物等があげられる。
【0014】
本発明化合物を農業用有害生物防除剤の有効成分として用いる場合、その施用量は通常10アールあたり、0.1〜500g、乳剤、水和剤、フロアブル剤等を水で希釈して施用する場合、その施用濃度は0.1〜1000ppm であり、粒剤、粉剤等は何ら希釈することなく、製剤のままで施用する。また、家庭・防疫用有害生物防除剤の有効成分として用いる場合、乳剤、水和剤、フロアブル剤等は水で0.1〜10000ppmに希釈して施用し、油剤、エアゾール、燻蒸剤、燻煙剤、蒸散剤、煙霧剤、ULV等、毒餌等についてはそのまま施用する。
これらの施用量、施用濃度は、いずれも製剤の種類、施用時期、施用場所、施用方法、害虫の種類、被害程度等の状況によって異なり、上記の範囲にかかわることなく増加させたり、減少させたりすることができる。
【0015】
【実施例】
以下、製造例、製剤例および試験例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
製造例1
(1R,トランス)−2,2−ジメチル−3(E)−〔2−メチル−2−(メトキシカルボニル)エテニル〕シクロプロパン−1−カルボン酸0.217gを乾燥ベンゼン5mlに溶解し、塩化チオニル70μlと触媒量のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を加え、1時間加熱還流下に反応を行なった。反応溶液を減圧下に濃縮し、対応するカルボン酸クロリドを得た。1−(2−プロピニル)−3−ヒドロキシメチル−2,4−イミダゾリジオン0.163g、トリエチルアミン0.17mlおよび触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを乾燥THF5.0mlに溶解し、0℃に冷却した。該溶液に、先程調製したカルボン酸クロリドのTHF溶液2.0mlを滴下し、その後室温で14時間攪拌した。この反応溶液を飽和塩化アンモニウム水に注加し、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去し、粗生成物を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1(v/v))に付し、1−(2−プロピニル)−2,4−イミダゾリジオン−3−イルメチル (1R,トランス)2,2−ジメチル−3(E)−〔2−メチル−2−(メトキシカルボニル)エテニル〕シクロプロパン−1−カルボキシレート(本発明化合物 (1))(0.245g)を得た。
nD 23.51.5204
1H−NMR(CDCl3 溶媒,TMS内部標準,250Mz)
δ値 (ppm):6.42(dq,1H)、5.62(d,1H)、5.48(d,1H)、4.27(d,2H)、4.06(s,2H)、3.73(s,3H)、2.37(t,1H)、2.22(dd,1H) 、1.93(d,3H)、1.70(d,1H)、1.32(s,3H)、1.21(s,3H)
【0016】
製造例2
(1R,トランス)−2,2−ジメチル−3(E)−〔2−メチル−2−(2−プロピニル)オキシカルボニル)エテニル〕シクロプロパン−1−カルボン酸0.175gを乾燥ベンゼン5mlに溶解し、塩化チオニル52μlと触媒量のDMFを加え、1時間加熱還流下に反応を行なった。反応溶液を減圧下に濃縮し、対応するカルボン酸クロリドを得た。1−(2−プロピニル)−3−ヒドロキシメチル−2,4−イミダゾリジオン0.120g、トリエチルアミン0.13mlおよび触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを乾燥THF5.0mlに溶解し、0℃に冷却した。該溶液に、先程調製したカルボン酸クロリドのTHF溶液2.0mlを滴下し、その後室温で14時間攪拌した。この反応溶液を飽和塩化アンモニウム水に注加し、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去し、粗生成物を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1(v/v))に付し、1−(2−プロピニル)−2,4−イミダゾリジオン−3−イルメチル (1R,トランス)2,2−ジメチル−3(E)−〔2−メチル−2−(2−プロピニルオキシカルボニル)エテニル〕シクロプロパン−1−カルボキシレート(本発明化合物 (3))(0.183g)を得た。
nD 23.51.5250
1H−NMR(CDCl3 溶媒,TMS内部標準,250Mz)
δ値 (ppm):6.48(dq,1H)、5.63(d,1H)、5.48(d,1H)、4.73(t,2H)、4.27(d,2H)、4.06(s,2H)、2.46(t,3H)、2.37(t,1H)、2.23(dd,1H) 、1.95(d,3H)、1.73(d,1H)、1.32(s,3H)、1.22(s,3H)
【0017】
製造例3
(1R,トランス)−2,2−ジメチル−3(E)−〔2−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)エテニル〕シクロプロパン−1−カルボン酸0.258gを乾燥ベンゼン5mlに溶解し、塩化チオニル67μlと触媒量のDMFを加え、1時間加熱還流下に反応を行なった。反応溶液を減圧下に濃縮し、対応するカルボン酸クロリドを得た。1−(2−プロピニル)−3−ヒドロキシメチル−2,4−イミダゾリジオン0.155g、トリエチルアミン0.16mlおよび触媒量の4−ジメチルアミノピリジンを乾燥THF5.0mlに溶解し、0℃に冷却した。該溶液に、先程調製したカルボン酸クロリドのTHF溶液2.0mlを滴下し、その後室温で14時間攪拌した。この反応溶液を飽和塩化アンモニウム水に注加し、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去し、粗生成物を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1(v/v))に付し、1−(2−プロピニル)−2,4−イミダゾリジオン−3−イルメチル (1R,トランス)2,2−ジメチル−3(E)−〔2−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)エテニル〕シクロプロパン−1−カルボキシレート(本発明化合物 (5))(0.281g)を得た。
nD 23.51.4900
1H−NMR(CDCl3 溶媒,TMS内部標準,250Mz)
δ値 (ppm):6.52(dq,1H)、5.63(d,1H)、5.48(d,1H)、4.51(m,2H)、4.28(d,2H)、4.05(s,2H)、2.36(t,1H)、2.24(dd,1H) 、1.96(d,3H)、1.76(d,1H)、1.33(s,3H)、1.23(s,3H)
【0018】
本発明化合物の例のいくつかを化合物番号とともに以下に示す。
(1)1−(2−プロピニル)−2,4−イミダゾリジオン−3−イルメチル (1R,トランス)2,2−ジメチル−3(E)−〔2−メチル−2−(メトキシカルボニル)エテニル〕シクロプロパン−1−カルボキシレート
(2)1−(2−プロピニル)−2,4−イミダゾリジオン−3−イルメチル (1R,トランス)2,2−ジメチル−3(E)−〔2−メチル−2−(エトキシカルボニル)エテニル〕シクロプロパン−1−カルボキシレート
(3)1−(2−プロピニル)−2,4−イミダゾリジオン−3−イルメチル (1R,トランス)2,2−ジメチル−3(E)−〔2−メチル−2−(2−プロピニルオキシカルボニル)エテニル〕シクロプロパン−1−カルボキシレート
(4)1−(2−プロピニル)−2,4−イミダゾリジオン−3−イルメチル (1R,トランス)2,2−ジメチル−3(E)−〔2−メチル−2−(2−プロペニルオキシカルボニル)エテニル〕シクロプロパン−1−カルボキシレート
(5)1−(2−プロピニル)−2,4−イミダゾリジオン−3−イルメチル (1R,トランス)2,2−ジメチル−3(E)−〔2−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)エテニル〕シクロプロパン−1−カルボキシレート
(6)1−(2−プロピニル)−2,4−イミダゾリジオン−3−イルメチル (1R,トランス)2,2−ジメチル−3(E)−〔2−メチル−2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピルオキシカルボニル)エテニル〕シクロプロパン−1−カルボキシレート
(7)1−(2−プロペニル)−2,4−イミダゾリジオン−3−イルメチル (1R,トランス)2,2−ジメチル−3(E)−〔2−メチル−2−(メトキシカルボニル)エテニル〕シクロプロパン−1−カルボキシレート
(8)1−(2−プロピニル)−2,4−イミダゾリジオン−3−イルメチル (1R,トランス)2,2−ジメチル−3(E)−〔2−メチル−2−(シクロプロピルオキシカルボニル)エテニル〕シクロプロパン−1−カルボキシレート
【0019】
次に製剤例を示す。なお、部は重量部を表わし、本発明化合物は前記の化合物番号で示す。
製剤例1 乳剤
化合物(1)〜(8)の各々20部をキシレン65部に溶解し、乳化剤ソルポール3005X(東邦化学登録商標名)15部を加え、よく攪拌混合して、各々の20%乳剤を得る。
製剤例2 水和剤
化合物(1)〜(8)の各々40部にソルポール3005X(前記)5部を加え、よく混合して、カープレックス#80(塩野義製薬登録商標名、合成含水酸化ケイ素微粉末)32部、300メッシュ珪藻土23部を加え、ジュースミキサーで攪拌混合して、各々の40%水和剤を得る。
製剤例3 粒剤
化合物(1)〜(8)の各々1.5部およびAGSORBLVM-MS24/48(OIL DRI 社製モンモリロナイトの焼成品、粒径24〜48メッシュの粒状担体)98.5部を加えてよく混合し、各々の1.5%粒剤を得る。
製剤例4 マイクロカプセル剤
化合物(1)〜(8)の各々10部、フェニルキシリルエタン10部およびスミジュールL−75(住友バイエルウレタン社製トリレンジイソシアネート)0.5部を混合した後、アラビアガムの10%水溶液20部中に加え、ホモミキサーで攪拌して、平均粒径20μmのエマルジョンを得る。次に、これにエチレングリコール2部を加え、さらに60℃の温浴中で24時間反応させてマイクロカプセルスリラーを得る。
一方、ザンサンガム0.2部、ビーガムR(三洋化成製アルミニウムマグネシウムシリケート)1.0部をイオン交換水56.3部に分散させて増粘剤溶液を得る。
上記マイクロカプセルスリラー42.5部および増粘剤溶液57.5部を混合して、各々の10%マイクロカプセル剤を得る。
製剤例5 フロアブル剤
化合物(1)〜(8)の各々10部とフェニルキシリルエタン10部を混合した後、ポリエチレングリコールの10%水溶液20部中に加え、ホモミキサーで攪拌して、平均粒径3μmのエマルジョンを得る。
一方、ザンサンガム0.2部、ビーガムR(三洋化成製アルミニウムマグネシウムシリケート)1.0部をイオン交換水58.8部に分散させて増粘剤溶液を得る。
上記エマルジョン40部および増粘剤溶液60部を混合して、各々の10%フロアブル剤を得る。
製剤例6 粉剤
化合物(1)〜(8)の各々5部をカープレックス#80(前記)3部、PAP0.3および300メッシュタルク91.7部を加え、ジュースミキサーで攪拌混合し、各々の5%粉剤を得る。
【0020】
製剤例7 油剤
化合物(1)〜(8)の各々0.1部をジクロロメタン5部に溶解し、これを脱臭灯油94.9部に混合して、各々の0.1%油剤を得る。
製剤例8 油性エアゾール
化合物(1)〜(8)の各々1部、ジクロロメタン5部および脱臭灯油34部を混合溶解し、エアゾール容器に充填し、バルブ部分を取り付けた後、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)60部を加圧充填して、各々の油性エアゾールを得る。
製剤例9 水性エアゾール
化合物(1)〜(8)の各々0.6部、キシレン5部、脱臭灯油3.4部および乳化剤{アトモス300(アトラスケミカル社登録商標名)}1部を混合溶解したものと、純水50部とをエアゾール容器に充填し、バルブ部分を取り付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)40部を加圧充填して、各々の水性エアゾールを得る。
製剤例10 蚊取線香
化合物(1)〜(8)の各々0.3gをアセトン20mlに溶解し、蚊取線香用担体(タブ粉:粕粉:木粉を4:3:3の割合で混合)99.7gと均一に攪拌混合した後、水120mlを加え、充分練り合わせたものを成型乾燥して、各々の蚊取線香を得る。
製剤例11 電気蚊取マット
化合物(1)〜(8)の各々0.8g、ピペロニルブトキサイド0.4gにアセトンを加えて溶解し、トータルで10mlとする。この溶液0.5mlを2.5cm×1.5cm、厚さ0.3cmの電気マット用基材(コットンリンターとパルプの混合物のフィブリルを板状に固めたもの)に均一に含浸させて、各々の電気蚊取マット剤を得る。
製剤例12 液体電気蚊取り
化合物(1)〜(8)の各々3部を脱臭灯油97部に溶解し、塩化ビニル製容器に入れ、上部をヒーターで加熱できるようにした吸液芯(無機粉体をバインダーで固め、焼結したもの)を挿入することにより、各々の液体電気蚊取を得る。
製剤例13 加熱燻煙剤
化合物(1)〜(8)の各々100mgを適量のアセトンに溶解し、4.0cm×4.0cm、厚さ1.2cmの多孔セラミック板に含浸させて、各々の加熱燻煙剤を得る。
製剤例14 常温揮散剤
化合物(1)〜(8)の各々100μgを適量のアセトンに溶解し、2cm×2cm、厚さ0.3mmの濾紙に均一に塗布した後、アセトンを風乾して、各々の常温蒸散剤を得る。
製剤例15 防ダニシート
化合物(1)〜(8)の各々のアセトン溶解を濾紙に1m2当り1gとなるように滴下含浸し、アセトンを風乾して、各々の防ダニシートを得る。
【0021】
次に、本発明化合物が有害生物防除剤の有効成分として有用であることを試験例により示す。なお、本発明化合物は前記の化合物番号で示し、比較対照に用いた化合物は表1の化合物番号で示す。
【表1】
試験例1
壁面にマーガリンを薄く塗布した直径9cmのポリエチレンカップにチャバネゴキブリ成虫10頭(雌雄各5頭)を放飼し、16メッシュのナイロンゴースでふたをし、内径10cm高さ37cmのアクリル製シリンダーの底部に設置した。製剤例7に準じて得られた供試化合物の0.1%油剤0.6mlをスプレーガンにて圧力0.6気圧でシリンダーの上端から直接スプレーした。0.75分後、供試虫のノックダウン虫数を調査した(2反復)。結果を表2に示す。
【表2】
【0022】
【発明の効果】
本発明化合物は優れた有害生物防除効果を示す。
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