JP3882020B2 - 自動車の燃料移送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車の燃料タンクに設けられた燃料移送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の燃料タンクは、例えば特開平4−218429号公報に示されるように底部中央にドライブシャフトを跨ぐ屈曲部を形成した鞍型のものが広く一般的である。
【0003】
また、このような鞍型の燃料タンクでは、その底部及びその近傍部分が底部中央の屈曲部によって車幅方向においてタンク左側とタンク右側とに分割されてしまうため、エンジンからのリターン燃料を利用したジェットポンプ等の燃料移送手段を設けて、燃料残量が少なくなった際に、一方のタンクから、エンジンへ燃料を供給するインナーポンプが配設された他方のタンクに燃料を移送するようにしたものが知られている。
【0004】
一方、特開平2−155832号公報に示されるように燃料タンクの底壁に旋回槽を取り付けて、自動車の旋回走行時等に燃料タンク内の燃料が遠心作用等を受けて一方に偏ってもインナーポンプの吸い込みに支障を来さないように、所要量の燃料を該旋回槽に貯留するようにしたものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来、鞍型の燃料タンクにおいては、前述のように、底部中央にドライブシャフトを跨ぐ屈曲部を形成して、底部及びその近傍部分を該屈曲部によって車幅方向にタンク左側とタンク右側とに分割してあったため、その形状を工夫することにより旋回槽を設けずとも、一方のタンクが旋回槽代わりとなって、自動車の旋回走行時等に燃料タンク内の燃料が遠心作用等を受けても、インナーポンプの吸い込みに支障はなかったが、航続距離の延長等の要求や、周辺部品とのレイアウト等の関係から鞍型の燃料タンクが大型化が進むと、このような鞍型の燃料タンクにも旋回槽を備えることが必要となってきた。
【0006】
しかし、これら旋回槽および燃料移送手段の両方を、それぞれ燃料タンク内に設けるとなると、タンク内スペースを占領してタンク容量を制約してしまうことは勿論、配管作業等が多くなる等、組み付け作業工数が増えてしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は旋回槽および燃料移送手段を設けてあっても、燃料タンクの容量を十分に確保することができ、しかも組み付け作業性を向上することのできる自動車の燃料移送装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にあっては、燃料タンクの底壁に旋回槽を備えると共に、該燃料タンク内に設けたインナーポンプ近傍に燃料を移送する燃料移送手段を備えた構造であって、前記旋回槽内への燃料供給手段として設けられたジェットポンプへの連結管と、燃料移送手段として設けられたジェットポンプとを一体成形し、ジェットポンプユニットを形成し、前記ジェットポンプユニットを、リターンチューブおよび燃料移送用チューブに接続するアッパボディと、該アッパボディの下部に設けられ、インナーポンプ近傍への燃料供給口と前記旋回槽への連結管の接続部とを有するロアボディと、これらアッパボディとロアボディとの間に挟み込むように配設されたフィルタおよびジェットポンプノズル部とで構成したことを特徴としている。
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載のアッパボディ下面に前記フィルタを収容可能な孔部を設けて、該フィルタをアッパボディとジェットノズル部との間に挟み込むように配設すると共に、該ジェットノズル部にジェットノズルおよび旋回槽への連結管の導入部を一体に形成し、かつ、該ジェットノズル部でアッパボディ下面を閉塞するようにしたことを特徴としている。
請求項3の発明にあっては、請求項2に記載のジェットノズル部の下方からロアボディを接合し、旋回槽への連結管の導入部と、ジェットポンプ負圧室を隔成したことを特徴としている。
【0009】
請求項4の発明にあっては、請求項1〜3の何れかに記載のジェットポンプユニットを、燃料タンクを密閉する蓋部に配管されたリターンチューブおよび燃料移送用チューブに直接接続したことを特徴としている。
【0010】
請求項5の発明にあっては、請求項4に記載のジェットポンプユニットの外周に、燃料タンクの前記蓋部裏面に当接する壁部を設けたことを特徴としている。
【0011】
請求項6の発明にあっては、請求項5に記載の壁部を燃料タンクの前記蓋部裏面に溶着固定したことを特徴としている。
【0012】
請求項7の発明にあっては、請求項1〜6に記載のジェットポンプユニットにプレッシャレギュレータからの配管を接続するチューブコネクタを一体に形成したことを特徴としている。
【0017】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、旋回槽内への燃料供給手段として設けられたジェットポンプへの連結管と、燃料移送手段として設けられたジェットポンプとを一体成形し、ジェットポンプユニットを形成してあるため、旋回槽および燃料移送手段を設けてあっても、燃料タンクの容量を十分に確保することができ、しかも組み付け作業性を向上することができる。
請求項1に記載の発明によれば、前記ジェットポンプユニットを、リターンチューブおよび燃料移送用チューブに接続するアッパボディと、該アッパボディの下部に設けられ、インナーポンプ近傍への燃料供給口と前記旋回槽への連結管の接続部とを有するロアボディと、これらアッパボディとロアボディとの間に挟み込むように配設されたフィルタおよびジェットポンプノズル部とで構成してあるため、構造が簡単でコスト的に有利に得ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、前記アッパボディ下面に前記フィルタを収容可能な孔部を設けて、該フィルタをアッパボディとジェットノズル部との間に挟み込むように配設すると共に、該ジェットノズル部にジェットノズルおよび旋回槽への連結管の導入部を一体に形成し、かつ、該ジェットノズル部でアッパボディ下面を閉塞するようにしてあるため、構造が簡単でコスト的に有利に得ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、前記ジェットノズル部の下方からロアボディを接合し、旋回槽への連結管の導入部と、ジェットポンプ負圧室を隔成してあるため、簡単な構造でジェットポンプ負圧室を確実に隔成することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の効果に加えて、前記ジェットポンプユニットを、燃料タンクを密閉する蓋部に配管されたリターンチューブおよび燃料移送用チューブに直接接続してあるため、構造を簡単化でき取付作業性を高めることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4の効果に加えて、前記ジェットポンプユニットの外周に、燃料タンクの前記蓋部裏面に当接する壁部を設けてあるため、該壁部を介して前記ジェットポンプユニットを燃料タンクの蓋部裏面で支持することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加えて、前記壁部を燃料タンクの前記蓋部裏面に溶着固定してあるため、ジェットポンプユニットを該蓋部でより確実に支持することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜6の効果に加えて、前記ジェットポンプユニットにプレッシャレギュレータからの配管を接続するチューブコネクタを一体に形成してあるため、リターンレス式のプレッシャレギュレータを用いた燃料タンクにも対応することができ、コスト的に有利に得ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に詳述する。
【0027】
図1は本発明を利用した燃料タンクの全体を示す概念図で、1は自動車の燃料タンクを示している。
【0028】
前記燃料タンク1は底部中央にドライブシャフト2を跨ぐ屈曲部を形成した鞍型タイプで、このような鞍型の燃料タンク1では、その底部及びその近傍部分が底部中央の屈曲部によって車幅方向においてタンク左側1aとタンク右側1bとに分割されてしまうため、不図示のエンジンからのリターン燃料を利用したジェットポンプ等の燃料移送手段3を設けて、燃料残量が少くなった際に、一方のタンク1aから、不図示のエンジンへ燃料を供給するインナーポンプ4が配設された他方のタンク1bに燃料を移送するようにしている。
【0029】
また、前記燃料タンク1の底壁には旋回槽5が取り付けられ、自動車の旋回走行時等に燃料タンク1内の燃料が遠心作用等を受けて一方に偏っても前記インナーポンプ4の吸い込みに支障を来さないように、所要量の燃料を該旋回槽5内に貯留するようにしている。
【0030】
図2〜4は本発明の燃料移送装置の要部であるジェットポンプユニットを示す図で、6はジェットポンプユニットを示している。
【0031】
該ジェットポンプユニット6は前記旋回槽5内への燃料供給手段として設けられたジェットポンプ7への連結管9と、燃料移送手段3として設けられたジェットポンプ8とを一体成形している。
【0032】
10は、燃料タンク1の上部に設けられた開口部を密閉する蓋部を示しており、該蓋部10には不図示のエンジンからの余剰燃料を燃料タンク1に戻すリターンチューブ11を接続するチューブコネクタ21と、燃料移送手段3の燃料移送用チューブ12が接続するチューブコネクタ22が形成され、前記ジェットポンプユニット6を、これらチューブコネクタ21,22を介してリターンチューブ11および燃料移送用チューブ12に接続するようにしている。
【0033】
特に本実施形態では、前記ジェットポンプユニット6は、前述のリターンチューブ11および燃料移送用チューブ12に接続するアッパボディ6Aと、該アッパボディ6Aの下部に設けられ、インナーポンプ4近傍への燃料供給口13と前記旋回槽5への燃料を供給するジェットポンプ7への連結管9の接続部を有するロアボディ6Bと、これらアッパボディ6Aとロアボディ6Bとの間に挟み込むように配設されたフィルタ14およびジェットポンプノズル部15とで構成している。
【0034】
該ジェットポンプユニット6のアッパボディ6Aの外周には、燃料タンク1の前記蓋部10裏面に当接する壁部16を設けて、該壁部16を前記蓋部10の裏面に溶着して固定するようにしている。
【0035】
しかも、該アッパボディ6Aには、不図示のプレッシャレギュレータからの配管を接続するチューブコネクタ20を一体に形成している。
【0036】
なお、リターンチューブ11側のチューブコネクタ21と、プレッシャーレギュレータからの配管を接続するチューブコネクタ20とは、何れか一方が閉塞された状態で使用される。
【0037】
また、前記フィルタ14は、旋回槽5内への燃料供給手段として設けられたジェットポンプ7への連結管9と、燃料移送手段3として設けられたジェットポンプ8との上流部に共有して設けている。
【0038】
具体的には、前記アッパボディ6A下面に、前記フィルタ14を収容可能な孔部を設けて、該フィルタ14をアッパボディ6Aとジェットノズル部15との間に挟み込むように配設している。
【0039】
該ジェットノズル部15にはジェットノズル17および旋回槽5への連結管9の導入部18を一体に形成すると共に、該ジェットノズル部15でアッパボディ6Aの下面を閉塞するようにしている。
【0040】
しかも、ジェットノズル部15のさらに下方からロアボディ6Bを接合して、旋回槽5への連結管9の導入部18と、ジェットポンプ負圧室19を隔成するようにしている。
【0041】
図中、23は燃料タンク1から不図示のエンジンへ燃料を送り出すフィードチューブが接続されるチューブコネクタ、24はジェットポンプユニット内の圧力が所定値以上になった場合にその圧力を逃がすためのリリーフ弁を示す。
【0042】
以上の実施形態の構造によれば、旋回槽5内への燃料供給手段として設けられたジェットポンプ7への連結管9と、燃料移送手段3として設けられたジェットポンプ8とを一体成形して、ジェットポンプユニット6を形成してあるため、旋回槽5および燃料移送手段3を設けてあっても、燃料タンク1の容量を十分に確保することができ、しかも組み付け作業性を向上することができる。
【0043】
特に本実施形態によれば、前記ジェットポンプユニット6を、燃料タンク1の蓋部10に配管されたリターンチューブ11および燃料移送用チューブ12に直接接続してあるため、構造を簡単化でき取付作業性を高めることができる。
【0044】
また、前記ジェットポンプユニット6の外周に、燃料タンク1の前記蓋部10裏面に当接する壁部16を設けてあるため、該壁部16を介して前記ジェットポンプユニット6を燃料タンク1の蓋部10裏面で支持することができるため、リターンチューブ11と燃料移送用チューブ12のそれぞれのチューブコネクタ21,22とジェットポンプユニット6との接合部にかかるころび方向等の荷重が軽減され、接合部のシール性が長期間維持され得るのに加え、前記壁部10を燃料タンク1の前記蓋部10裏面に溶着固定してあるため、より確実に支持することができる。
【0045】
一方、前記ジェットポンプユニット6のアッパボディ6Aに図外のプレッシャレギュレータからの配管を接続するチューブコネクタ20を一体に形成してあるため、リターンチューブ11側のチューブコネクタ21を閉塞し、プレッシャレギュレータからの配管をチューブコネクタ20に接続することによってリターンレス式のプレッシャレギュレータを用いた燃料タンク1にも対応することができ、コスト的に有利に得ることができる。
【0046】
また、前記旋回槽5内への燃料供給手段として設けられたジェットポンプ7への連結管9と、燃料移送手段3として設けられたジェットポンプ8との上流部にフィルタ14を共有して設けてあるため、部品点数を削減し、組立作業性を高められると共に、フィルタ14の面積を大きくとることができるので、混入物などによる目詰まりを防止することができる。
【0047】
さらにこの実施形態では、前記ジェットポンプユニット6を、リターンチューブ11および燃料移送用チューブ12に接続するアッパボディ6Aと、該アッパボディ6Aの下部に設けられ、インナーポンプ4近傍への燃料供給口13と前記旋回槽5への連結管9の接続部とを有するロアボディ6Bと、これらアッパボディ6Aとロアボディ6Bとの間に挟み込むように配設されたフィルタ14およびジェットポンプノズル部15とで構成すると共に、前記アッパボディ6A下面に前記フィルタ14を収容可能な孔部を設けて、該フィルタ14をアッパボディ6Aとジェットノズル部15との間に挟み込むように配設する一方、該ジェットノズル部15にジェットノズル17および旋回槽5への連結管9の導入部18を一体に形成して、該ジェットノズル部15でアッパボディ下面を閉塞するようにしてあるため、構造が簡単でコスト的に有利に得ることができる。
【0048】
しかも、前記ジェットノズル部15のさらに下方からロアボディ6Bを接合して、旋回槽5への連結管9の導入部18と、ジェットポンプ負圧室19を隔成してあるため、簡単な構造でジェットポンプ負圧室19を確実に隔成することができる。
【0049】
なお、前述の実施形態では、ジェットポンプユニット6のアッパボディ6Aに設けた壁部16を燃料タンク1の蓋部10の裏面に容着固定したものを示したが、前記蓋部10に設けたリターンチューブ11および燃料移送用チューブ12のチューブコネクタ21,22に係着固定するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を利用した燃料タンクの全体を示す概念図。
【図2】同実施形態の分解斜視図。
【図3】同実施形態の平面図。
【図4】図3のA−A線に沿う断面図。
【符号の説明】
1 燃料タンク
3 燃料移送手段
4 インナーポンプ
5 旋回槽
6 ジェットポンプユニット
6A アッパボディ
6B ロアボディ
7 ジェットポンプ
8 ジェットポンプ
9 連結管
10 蓋部
11 リターンチューブ
12 燃料移送用チューブ
14 フィルタ
15 ジェットポンプノズル部
16 壁部
17 ジェットノズル
18 導入部
19 負圧室
20 チューブコネクタ
Claims (7)
- 燃料タンクの底壁に旋回槽を備えると共に、該燃料タンク内に設けたインナーポンプ近傍に燃料を移送する燃料移送手段を備えた構造であって、
前記旋回槽内への燃料供給手段として設けられたジェットポンプへの連結管と、燃料移送手段として設けられたジェットポンプとを一体成形し、ジェットポンプユニットを形成し、
前記ジェットポンプユニットを、リターンチューブおよび燃料移送用チューブに接続するアッパボディと、該アッパボディの下部に設けられ、インナーポンプ近傍への燃料供給口と前記旋回槽への連結管の接続部とを有するロアボディと、これらアッパボディとロアボディとの間に挟み込むように配設されたフィルタおよびジェットポンプノズル部とで構成したことを特徴とする自動車の燃料移送装置。 - 前記アッパボディ下面に前記フィルタを収容可能な孔部を設けて、該フィルタをアッパボディとジェットノズル部との間に挟み込むように配設すると共に、該ジェットノズル部にジェットノズルおよび旋回槽への連結管の導入部を一体に形成し、かつ、該ジェットノズル部でアッパボディ下面を閉塞するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動車の燃料移送装置。
- 前記ジェットノズル部の下方からロアボディを接合し、旋回槽への連結管の導入部と、ジェットポンプ負圧室を隔成したことを特徴とする請求項2に記載の自動車の燃料移送装置。
- 前記ジェットポンプユニットを、燃料タンクを密閉する蓋部に配管されたリターンチューブおよび燃料移送用チューブに直接接続したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の自動車の燃料移送装置。
- 前記ジェットポンプユニットの外周に、燃料タンクの前記蓋部裏面に当接する壁部を設けたことを特徴とする請求項4に記載の自動車の燃料移送装置。
- 前記壁部を燃料タンクの前記蓋部裏面に溶着固定したことを特徴とする請求項5に記載の自動車の燃料移送装置。
- 前記ジェットポンプユニットにプレッシャレギュレータからの配管を接続するチューブコネクタを一体に形成したことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の自動車の燃料移送装置。
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