JP3881834B2 - 荷役車両用荷受台昇降装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷役車両用テールゲートリフタ等の荷受台昇降装置、特に車体に昇降可能に設けた昇降枠に、荷受台をそれが起立位置と水平伏倒位置又は後傾伏倒位置との間で起伏回動し得るように軸支した構造の装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構造の荷受台作動装置は従来公知であり、その公知の装置においては、昇降枠の昇降を強制的に行わせるための昇降用油圧シリンダや、荷受台の起伏回動を強制的に行わせるためのチルト用油圧シリンダを備えていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが従来装置では、各油圧シリンダとこれに油圧ポンプからの作動油を導く油圧導管との間を接続するために、シリンダバレル外面より起立する基部と、その基部先端より略90度屈曲する先部とよりL字状に形成されたエルボ型ジョイントが使用されていたので、そのジョイントのシリンダバレル外面からの張出し量が比較的大きくなってしまう問題があった。
【0004】
特に車体後部と昇降枠との間の比較的狭小な空間に、昇降枠を一定姿勢で昇降案内する平行リンク機構を配設し、昇降用油圧シリンダを平行リンク機構の一部のリンクアームに連動連結させて設置し、或いはチルト用油圧シリンダを平行リンク機構の下部リンクアームと兼用するよう設置した構造のものでは、それら油圧シリンダが昇降枠の昇降動作に関連して上下回動する。このため、各油圧シリンダのシリンダバレルの左右側面又は上側面に上記エルボ型ジョイントのような比較的大きな突起物があると、それが当該シリンダ周辺の他の油圧シリンダ、リンクアーム等の機能部品の作動の妨げとなる虞れがある。
【0005】
そこで斯かるジョイントを油圧シリンダのシリンダバレルの下側面に配設することが考えられるが、その場合には、昇降枠の下降時にこれに連動して下方回動する油圧シリンダが地面に接近する際に、そのシリンダバレル下方に比較的大きく張出している上記ジョイントが地上の障害物(例えば車止め等)と干渉して損傷する虞れがある。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、従来装置の上記問題を解決することができる荷役車両用荷受台昇降装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、車体と昇降枠とに、上部リンクアームの両端及び下部リンクアームの両端を各々回動自在に枢支連結して、該昇降枠を同一姿勢で昇降案内する平行リンク機構を構成し、その平行リンク機構の一方のリンクアームと車体間に、昇降枠の昇降を強制的に行わせるための油圧シリンダを介装し、昇降枠に、荷受台を起伏回動可能に軸支した荷役車両用荷受台昇降装置であって前記油圧シリンダに作動油を導くための油圧導管をジョイントを介して該油圧シリンダのシリンダバレルに接続 るようにしたものにおいて、前記ジョイントは、ョイント油室を内部に有して前記シリンダバレルの下側面に隣接する本体基部の一側よりパイプ部を一体に延設して構成されるジョイント本体と、前記ジョイント油室に軸部外周が臨むように該ジョイント本体を貫通して前記シリンダバレルにその側方から螺着されるジョイントボルトとを備えると共に、このジョイントボルトに、前記シリンダバレル内の作動油室と前記ジョイント油室とを連通させるための連通油路が形成され、前記パイプ部は、く字状に屈曲していて、その屈曲部よりも後側部分が、前記本体基部より車両前方に向かってシリンダバレルの左右一方側に傾斜して延びていると共に、該屈曲部よりも前側部分が、シリンダバレルの外周面の母線に沿うように前方に延びて前記油圧導管端末部に一体的に接続され、前記前側部分は、それの一部が車両側面視及び底面視においてシリンダバレルの外周部とオーバラップしていることを特徴とする。
【0008】
また請求項2の発明は、車体と昇降枠とに、上部リンクアームの両端及び油圧シリンダの両端を各々回動自在に枢支連結して、該昇降枠を同一姿勢で昇降案内する平行リンク機構を構成すると共に、昇降枠に、荷受台を起伏回動可能に軸支し、該油圧シリンダを、昇降枠の昇降動作時に所定の中間伸長状態にロック可能とし、また昇降枠が上限位置にあるときに該油圧シリンダを中間伸長状態より伸長作動させることで荷受台を起立回動させるようにした荷役車両用荷受台昇降装置であって前記油圧シリンダに作動油を導くための油圧導管をジョイントを介して該油圧シリンダのシリンダバレルに接続するようにしたものにおいて、前記ジョイントは、ョイント油室を内部に有して前記シリンダバレルの下側面に隣接する本体基部の一側よりパイプ部を一体に延設して構成されるジョイント本体と、前記ジョイント油室に軸部外周が臨むように該ジョイント本体を貫通して前記シリンダバレルにその側方から螺着されるジョイントボルトとを備えると共に、このジョイントボルトに、前記シリンダバレル内の作動油室と前記ジョイント油室とを連通させるための連通油路が形成され、前記パイプ部は、く字状に屈曲していて、その屈曲部よりも後側部分が、前記本体基部より車両前方に向かってシリンダバレルの左右一方側に傾斜して延びていると共に、該屈曲部よりも前側部分が、シリンダバレルの外周面の母線に沿うように前方に延びて前記油圧導管端末部に一体的に接続され、前記前側部分は、それの一部が車両側面視及び底面視においてシリンダバレルの外周部とオーバラップしていることを特徴とする。
【0009】
さらに請求項の発明は、請求項1又は2の発明の特徴に加えて、前記シリンダバレルには、それの下側面に開口し且つ作動油室と連通する横孔が形成され、その横孔に前記ジョイントボルトの軸部が螺挿され、そのボルトの軸部の先端面に前記連通油路の一端が、また該軸部の、ジョイント油室に臨む外周面に同連通油路の他端がそれぞれ開口することを特徴とする。
【0010】
上記請求項1,の各発明の特徴によれば、従来のようにエルボ型ジョイント構造を用いたものと比べ、シリンダバレル外面からのジョイントの張出しが効果的に抑えられるから、油圧シリンダの作動に伴う該ジョイントと、シリンダ周辺の他物との相互干渉を効果的に回避して、その干渉に因るジョイント損傷を未然に防止できまたジョイントとの相互干渉を容易に回避し得ることで、シリンダ周辺の他物の配置の自由度も高くなる。また特に上記ジョイントのパイプ部は、く字状に屈曲していて、その屈曲部よりも後側部分が、シリンダバレル下側面に隣接する本体基部より車両前方に向かってシリンダバレルの左右一方側に傾斜して延びていると共に、該屈曲部よりも前側部分が、シリンダバレルの外周面の母線に沿うように前方に延びており、その前側部分は、それの一部が車両側面視及び底面視においてシリンダバレルの外周部とオーバラップしているので、このパイプ部の、シリンダバレル本体から下方及び側方への張出量を極力抑えることが可能となり、該パイプ部と他物との衝突を効果的に回避することができる。そして、上記ジョイントは、これをシリンダバレルの下側面に配置したことで、油圧シリンダの作動時にシリンダ周辺の他のリンクアーム等の作動の妨げとならないようにすることができ、また斯かる配置であってもジョイントの下方への張出しが前述のように効果的に抑えられるから、昇降枠の下降に連動して下方回動する油圧シリンダが地面に接近しても、該ジョイントが地上の障害物(例えば車止め等)と干渉して損傷するのを効果的に回避できる。
【0011】
また特に請求項の発明の特徴によれば、シリンダバレルの内部油路を兼ねる横孔の開口部に、ジョイントのボルト軸部をジョイント本体を通して単にねじ込むだけで、ジョイントを迅速容易に組付け可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0013】
添付図面において、図1〜図5は本発明の第1実施例を示すものであって、図1は荷役車両の全体側面図、図2は図1の2−2線拡大断面図、図3は図2の3矢視図、図4は、昇降用油圧シリンダと油圧導管間のジョイント部を示す一部破断拡大図(図2の4−4線拡大断面図)、図5は図4の5矢視図である。また図6〜図8は本発明の第2実施例を示すものであって、図6は図2対応図、図7は図3対応図(図6の7矢視図)、図8は、チルト用油圧シリンダと油圧導管間のジョイント部を示す一部破断拡大図(図6の8−8線拡大断面図)である。
【0014】
先ず、図1〜図5を参照して第1実施例について説明する。荷役車両の車体Bは、車体枠Fと、その車体枠F上に搭載され荷物を収容し得る荷箱1とよりなり、その荷箱1の後端開口は、そこに開閉可能に設けた扉(図示せず)により閉じられる。
【0015】
また車体Bの後部には、所謂テールゲートリフタと呼ばれる荷受台昇降装置TLが配設される。即ちその車体枠Fの後部には、左右一対の昇降枠2が一定の姿勢(図示例では鉛直姿勢)を保ったまま昇降できるように左右一対の平行リンク機構Lを介して支持され、左右少なくとも一方(図示例では両方)の平行リンク機構Lと車体枠Fとの間には、昇降枠2を昇降駆動する昇降用油圧シリンダC1 が介装される。更に左右の各昇降枠2には、方形板状の荷受台Tが水平な張出位置Hと鉛直な格納位置Vとの間を起伏回動できるように軸支5uされ、その荷受台Tの基部枠4と昇降枠2との間には、該荷受台Tを前記軸支部5u回りに強制的に起伏回動させる荷受台チルト用油圧シリンダC2 が介装される。
【0016】
前記各平行リンク機構Lは、車体枠Fの後部に固定した支持ブラケットFBと、該ブラケットFBの上部及び下部に各々の一端を上下揺動可能に軸支された上下一対のリンクアーム3u,3dと、その両リンクアーム3u,3dの他端を上部及び下部にそれぞれ軸支5u,5dさせた昇降枠2とより構成され、上部リンクアーム3u他端と昇降枠2との軸支部5uは、荷受台Tと昇降枠2との軸支部と同一軸線上に設定される。
【0017】
上下一対のリンクアーム3u,3dは、互いに近接した状態で左右に並列配置されており、これにより、その両リンクアーム3u,3dが側面視で一部重なる形状、配置であってもその両者の上下回動時における相互干渉を無理なく回避することができる。また左右の上部リンクアーム3uの上端相互間は、その間を確実に同調作動させるべくクロスメンバ3cで一体的に結合される。
【0018】
各平行リンク機構Lの上下一方のリンクアーム(図示例では上部リンクアーム3u)と車体枠Fとの間に前記昇降用油圧シリンダC1 が介装される。その上部リンクアーム3uは、その後部下側縁が下方に膨出形成されていて、その膨出部に昇降用油圧シリンダC1 のシリンダバレル10基端が枢軸5cを介して回動可能に連結される。またその油圧シリンダC1 のピストンロッド11先端は、車体側の支持ブラケットFBの下端部に枢軸5bを介して回動可能に連結され、従って該油圧シリンダC1 は下部リンクアーム3dよりも低位置にある。
【0019】
尚、昇降枠2の上限位置は、平行リンク機構Lと車体枠Fとの間に適宜設けられたストッパ手段(図示せず)により規制され、またその下限位置は、該昇降枠2が接地することにより規制される。
【0020】
前記昇降用油圧シリンダC1 は単動式であり、そのシリンダバレル10内の作動油室cに外部の油圧導管Aを通して油圧ポンプ(図示せず)から作動油が導かれると、該油圧シリンダC1 は伸長作動して昇降枠2を上昇させる。またその作動油室c内の作動油を上記油圧導管Aを通して油タンク(図示せず)に戻すことにより、該油圧シリンダC1 は荷受台T等の自重で収縮作動して昇降枠2を下降させる。前記油圧シリンダC1 と油圧ポンプ・油タンクとの間の連通切換は、該油圧シリンダC1 に付設し或いは該油圧シリンダC1 外の適所に設置した図示しない切換弁手段により随時行われる。
【0021】
シリンダバレル10は、図示しないピストンが臨む作動油室cを内部に有する円筒状のバレル本体10mと、そのバレル本体10mの基端に一体に形成された車幅方向に扁平な端壁部10eとを備えており、その端壁部10eには、油圧シリンダC1 を上部リンクアーム3uにピボット連結する枢軸5cを回動可能に嵌合させる軸受孔9hが形成される。
【0022】
またシリンダバレル10には、作動油室cに連なる縦孔9aが前記端壁部10eとバレル本体10mとに亘って形成され、更に端壁部10eには、その下側面に開口し且つ縦孔9aと直接連通する横孔9bが形成され、この横孔9bの開口部に形成された雌ネジ部に後述するジョイントボルトJbが螺挿される。
【0023】
前記油圧導管Aは、油圧シリンダC1 の高い作動油圧に耐えられる高耐圧の油圧ホースより構成され、その端末部Aeが本発明のジョイントJを介して油圧シリンダC1 のシリンダバレル10に連結される。
【0024】
このジョイントJは、油圧導管Aの端末部Aeに接続されてシリンダバレル10の基部外面(下面)に沿うように延び、油圧導管A内の油通路15に連なるジョイント油室16を内部に有するジョイント本体Jmと、そのジョイント油室16に軸部17外周が臨むようにジョイント本体Jmを貫通してシリンダバレル10の基端下面(即ち端壁部10eの下側面に開口する前記横孔9b)にその下側方より螺着されるジョイントボルトJbとより構成される。このジョイントボルトJbには、シリンダバレル10内の作動油室cに連なる油孔9a、9bとジョイント油室16とを連通させる連通油路18が形成される。
【0025】
前記ジョイント本体Jmは、ジョイント油室16を有する目玉状の本体基部20と、この本体基部20の一側より一体に延設されたパイプ部21とより形成されており、そのパイプ部21の内部油路21aは、ジョイント油室16に直接連通している。ジョイント油室16は、前記本体基部20を上下に横切る貫通孔より構成され、その貫通孔の中央部には、中ぐり加工等により大径孔部(環状膨大室)が形成される。
【0026】
またパイプ部21は、シリンダバレル10の基部下側面に沿うように且つバレル本体10mの基端外周でく字状に屈曲するように形成される。そのパイプ部21の屈曲部よりも後側部分21rは、本体基部20より前方(バレル本体11m)に向かってシリンダの左右一方側に傾斜して延びている。また該パイプ部21の屈曲部よりも前側部分21fは、円筒状バレル本体10mの外周面の母線に沿うように前方に延びていて、油圧導管Aの端末部Aeにカシメ等の固定手段を以て一体的に嵌合接続される。そして、その前側部分2 1fは、それの一部が車両側面視(図4)及び底面視(図5)においてシリンダバレル10の外周部とオーバラップしている。パイプ部21を斯かる屈曲形状、配置としたことにより、このパイプ部21の、バレル本体11mから下方及び側方への張出量を極力抑えることが可能となり、該パイプ部21と他物との衝突を効果的に回避することができる。
【0027】
前記ジョイントボルトJbの軸部17には、該軸部17内を縦通する縦油路18aと、この縦油路18aに直接連通すべく該軸部17内を互いにクロスして横切る複数の横油路18bとが形成されており、これらの油路18a,18bにより前記連通油路aが構成される。これにより、ボルトJbの軸部17の先端面には前記連通油路18の一端(縦油路18aの外端)が開口すると共に、その軸部17の、ジョイント油室16に臨む外周面には同連通油路18の他端(各横油路18bの外端)が開口する。
【0028】
ジョイント本体Jmにおける本体基部20の一側面と、シリンダバレル10の端壁部10e下面との対向面間には、その間を油密にシールする環状パッキン22が挟持され、またその本体基部20の他側面と、ジョイントボルトJbの頭部19裏面との対向面との間にも、同様の環状パッキン22が挟持される。従ってジョイント本体Jmのジョイント油室16を通してジョイントボルトJbをシリンダバレル10の端壁部10e下側面に単にねじ込むだけで、シリンダバレル10内の作動油室cと油圧導管A内の油通路15との間を即座に連通させることができる。
【0029】
尚、図示はしないが、荷受台チルト用油圧シリンダC2 のシリンダバレルとこれに作動油を導く油圧導管との間を接続するジョイントについても、上記と同様のジョイント構造が採用されている。
【0030】
次に前記実施例の作用を説明する。図3の鎖線に示すように荷受台Tが鉛直格納位置Vにある状態において、チルト用油圧シリンダC2 を収縮作動させることにより、荷受台Tを水平張出位置H(図3実線参照)まで下方に回動させることができる。次いで昇降用油圧シリンダC1 を収縮作動させて昇降枠2を下降させることにより、荷受台Tを、水平張出姿勢を保持したまま下降させることができる。また以上とは逆の順序で各油圧シリンダC1 、C2 を順次伸長作動させることにより、荷受台Tに対し上記と逆の作動を行わせることができる。かくして、水平張出姿勢にある荷受台Tの昇降により、荷箱1の荷台面と地面との間での荷物の昇降作業(即ち搬入搬出作業)を行うことができる。
【0031】
ところで昇降用油圧シリンダC1 は、前述のように平行リンク機構Lの最低部に位置するので、そのシリンダバレル10、従って油圧導管AのジョイントJが昇降枠2の下降に伴い地面に接近するが、このジョイントJは、ジョイント油室16を内部に有してシリンダバレル10の下側面に沿うように延びるジョイント本体Jmと、そのジョイント油室16に軸部17外周が臨むようにジョイント本体Jmを貫通してシリンダバレル10にその下側方から螺着されるジョイントボルトJbとより構成されていて、シリンダバレル10下面からのジョイントJの張出しを極力抑え得る構造が採られている。このため、油圧シリンダC1 の作動に伴う該ジョイントJと、シリンダC1 周辺の他物との相互干渉を効果的に回避して、その干渉に因るジョイント損傷を未然に防止できる。また前記ジョイント構造によれば、シリンダバレル10の横孔9bの開口部にジョイントボルトJbの軸部17を、ジョイント本体Jmを通して単にねじ込むだけで、ジョイントJの組付けを迅速且つ容易に行うことができる。
【0032】
また図6〜図8には、本発明の第2実施例が示される。この実施例では、第1実施例における平行リンク機構Lの下部リンクアーム3dに代えて、チルト用油圧シリンダC2 が設けられていて、該油圧シリンダC2 自体が下部リンクアームを兼ねる構造となっている。従って、第1実施例のような荷受台T内におけるチルト用油圧シリンダの設置は省略されている。
【0033】
前記油圧シリンダC2 は、昇降枠2の昇降動作時(即ち昇降用油圧シリンダC1 の伸縮作動時)に、所定の中間伸長状態(即ち最伸長状態よりは短く且つ最収縮状態よりは長い状態)に油圧的に又は機械的にロック可能に構成される。しかもそのロックされた中間伸長状態での油圧シリンダC2 の長さと同じ長さの下部リンクアーム3dを別に製造しておけば、その油圧シリンダC2 及び下部リンクアーム3d以外の平行リンク機構Lの構成部品を共通化しながら、それら油圧シリンダC2 及び下部リンクアーム3dを選択的に用いて二種類の平行リンク機構Lを製造でき、コスト節減が図られる。
【0034】
而してチルト用油圧シリンダC2 を上記の配置としたことにより、図7実線で示すように昇降枠2が上限位置にあるときに該油圧シリンダC2 を前記中間伸長状態より伸長作動させると、荷受台Tを鉛直格納位置Vまで起立回動させることができる。また昇降枠2が上限位置ないし中間上昇位置にあるときに前記油圧シリンダC2 を前記中間伸長状態より収縮作動させると、荷受台Tを水平張出位置Hより後下がりに傾斜した傾斜張出位置H′まで下方に回動させることができて、地面より若干高いプラットホームPHと荷箱1との間での荷物積卸しの際に便利である。
【0035】
而してこの実施例においては、昇降用油圧シリンダC1 のシリンダバレル10と油圧導管Aとの間を接続するジョイントJは元より、チルト用油圧シリンダC2 のシリンダバレル10′と油圧導管Aとの間を接続するジョイントJについても、第1実施例で詳述したジョイントJと同様の構造、配置で設置される。従って、この第2実施例におけるジョイント構造の説明は省略する。尚、図8において、各構成要素の参照符号は、第1実施例で対応する構成要素の参照符号と同じ符号を用いている。
【0036】
この第2実施例においても、第1実施例のジョイント構造と同様に、昇降用油圧シリンダC1 及びチルト用油圧シリンダC2 の各シリンダバレル10,10′下面からのジョイントJの張出しを極力抑えることができるため、油圧シリンダC1 、C2 の作動に伴う該ジョイントJと、シリンダC1 、C2 周辺の他物との相互干渉を効果的に回避して、その干渉に因るジョイント損傷を未然に防止できる。またそのジョイントJとの相互干渉を容易に回避し得ることで、シリンダ周辺の他物の配置の自由度も高くなる。
【0037】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこの実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。例えば、前記実施例では、車体Bに昇降枠2を一定姿勢で昇降させるために平行リンク機構Lを用いたものを示したが、本発明(請求項1,3)では、平行リンク機構に代えて、昇降枠を車体に固定の鉛直レールに沿って鉛直に昇降案内できるようにしてもよい。また荷受台昇降装置TLを床下収納可能とした構造の荷役車両に本発明を適用してもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上のように発明によれば、従来のようにエルボ型ジョイント構造を用いたものと比べ、シリンダバレル外面からのジョイントの張出しを極力抑えることができるため、油圧シリンダの作動に伴う該ジョイントと、シリンダ周辺の他物との相互干渉を効果的に回避して、その干渉に因るジョイント損傷を未然に防止できる。またそのジョイントとの相互干渉を容易に回避し得ることで、シリンダ周辺の他物の配置の自由度も高くなる。
【0039】
特に上記ジョイントのパイプ部は、く字状に屈曲していて、その屈曲部よりも後側部分が、シリンダバレル下側面に隣接する本体基部より車両前方に向かってシリンダバレルの左右一方側に傾斜して延びていると共に、該屈曲部よりも前側部分が、シリンダバレルの外周面の母線に沿うように前方に延びており、その前側部分は、それの一部が車両側面視 及び底面視においてシリンダバレルの外周部とオーバラップしているので、このパイプ部の、シリンダバレル本体から下方及び側方への張出量を極力抑えることが可能となり、該パイプ部と他物との衝突を効果的に回避することができる。そして、上記ジョイントは、これをシリンダバレルの下側面に配置したことで、油圧シリンダの作動時にシリンダ周辺の他のリンクアーム等の作動の妨げとならないようにすることができ、また斯かる配置であってもジョイントの下方への張出しを前述のように効果的に抑えることができるため、昇降枠の下降に連動して下方回動する油圧シリンダが地面に接近しても、該ジョイントが地上の障害物(例えば車止め等)と干渉して損傷するのを効果的に回避できる。
【0040】
また特に請求項の発明によれば、シリンダバレルの内部油路を兼ねる横孔の開口部に、ジョイントのボルト軸部をジョイント本体を通して単にねじ込むだけで、ジョイントの組付けを迅速且つ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係る荷役車両の全体側面図
【図2】 図1の2−2線拡大断面図
【図3】 図2の3矢視図
【図4】 昇降用油圧シリンダと油圧導管間のジョイント部を示す一部破断拡大図(図2の4−4線拡大断面図)
【図5】 図4の5矢視図
【図6】 第2実施例を示す図2対応図
【図7】 第2実施例を示す図3対応図(図6の7矢視図)
【図8】 チルト用油圧シリンダと油圧導管間のジョイント部を示す一部破断拡大図(図6の8−8線拡大断面図)
【符号の説明】
A・・・・・・油圧導管
Ae・・・・・端末部
B・・・・・・車体
1 ・・・・・昇降用油圧シリンダ
2 ・・・・・チルト用油圧シリンダ
c・・・・・・作動油室
J・・・・・・ジョイント
Jb・・・・・ジョイントボルト
Jm・・・・・ジョイント本体
L・・・・・・平行リンク機構
T・・・・・・荷受台
2・・・・・・昇降枠
3d・・・・・下部リンクアーム
3u・・・・・上部リンクアーム
9b・・・・・横孔
10,10′・・・シリンダバレル
15・・・・・油通路
16・・・・・ジョイント油室
17・・・・・ジョイントボルトの軸部
18・・・・・連通油路

Claims (3)

  1. 車体(B)と昇降枠(2)とに、上部リンクアーム(3u)の両端及び下部リンクアーム(3d)の両端を各々回動自在に枢支連結して、該昇降枠(2)を同一姿勢で昇降案内する平行リンク機構(L)を構成し、その平行リンク機構(L)の一方のリンクアーム(3u)と車体(B)間に、昇降枠(2)の昇降を強制的に行わせるための油圧シリンダ(C 1 )を介装し、昇降枠(2)に、荷受台(T)を起伏回動可能に軸支した荷役車両用荷受台昇降装置であって
    前記油圧シリンダ(C1 )に作動油を導くための油圧導管(A)をジョイント(J)を介して該油圧シリンダ(C1 )のシリンダバレル(10)に接続するようにしたものにおいて、
    前記ジョイント(J)は、ョイント油室(16)を内部に有して前記シリンダバレル(10)の下側面に隣接する本体基部(20)の一側よりパイプ部(21)を一体に延設して構成されるジョイント本体(Jm)と、前記ジョイント油室(16)に軸部(17)外周が臨むように該ジョイント本体(Jm)を貫通して前記シリンダバレル(10)にその側方から螺着されるジョイントボルト(Jb)とを備えると共に、このジョイントボルト(Jb)に、前記シリンダバレル(10)内の作動油室(c)と前記ジョイント油室(16)とを連通させるための連通油路(18)が形成され
    前記パイプ部(21)は、く字状に屈曲していて、その屈曲部よりも後側部分(21r)が、前記本体基部(20)より車両前方に向かってシリンダバレル(10)の左右一方側に傾斜して延びていると共に、該屈曲部よりも前側部分(21f)が、シリンダバレル(10)の外周面の母線に沿うように前方に延びて前記油圧導管(A)端末部に一体的に接続され、
    前記前側部分(21f)は、それの一部が車両側面視及び底面視においてシリンダバレル(10)の外周部とオーバラップしていることを特徴とする、荷役車両用荷受台昇降装置。
  2. 車体(B)と昇降枠(2)とに、上部リンクアーム(3u)の両端及び油圧シリンダ(C 2 )の両端を各々回動自在に枢支連結して、該昇降枠(2)を同一姿勢で昇降案内する平行リンク機構(L)を構成すると共に、昇降枠(2)に、荷受台(T)を起伏回動可能に軸支し、該油圧シリンダ(C 2 )を、昇降枠(2)の昇降動作時に所定の中間伸長状態にロック可能とし、また昇降枠(2)が上限位置にあるときに該油圧シリンダ(C 2 )を中間伸長状態より伸長作動させることで荷受台(T)を起立回動させるようにした荷役車両用荷受台昇降装置であって
    前記油圧シリンダ(C2 )に作動油を導くための油圧導管(A)をジョイント(J)を介して該油圧シリンダ(C2 )のシリンダバレル(10′)に接続するようにしたものにおいて、
    前記ジョイント(J)は、ョイント油室(16)を内部に有して前記シリンダバレル(10′)の下側面に隣接する本体基部(20)の一側よりパイプ部(21)を一体に延設して構成されるジョイント本体(Jm)と、前記ジョイント油室(16)に軸部(17)外周が臨むように該ジョイント本体(Jm)を貫通して前記シリンダバレル(10′)にその側方から螺着されるジョイントボルト(Jb)とを備えると共に、このジョイントボルト(Jb)に、前記シリンダバレル(10′)内の作動油室(c)と前記ジョイント油室(16)とを連通させるための連通油路(18)が形成され
    前記パイプ部(21)は、く字状に屈曲していて、その屈曲部よりも後側部分(21r)が、前記本体基部(20)より車両前方に向かってシリンダバレル(10′)の左右一方側に傾斜して延びていると共に、該屈曲部よりも前側部分(21f)が、シリンダバレル(10′)の外周面の母線に沿うように前方に延びて前記油圧導管(A)端末部に一体的に接続され、
    前記前側部分(21f)は、それの一部が車両側面視及び底面視においてシリンダバレ ル(10′)の外周部とオーバラップしていることを特徴とする、荷役車両用荷受台昇降装置。
  3. 前記シリンダバレル(10,10′)には、それの下側面に開口し且つ作動油室(c)と連通する横孔(9b)が形成され、その横孔(9b)に前記ジョイントボルト(Jb)の軸部(17)が螺挿され、そのボルト(Jb)の軸部(17)の先端面に前記連通油路(18)の一端が、また該軸部(17)の、ジョイント油室(16)に臨む外周面に同連通油路(18)の他端がそれぞれ開口することを特徴とする、請求項1又は2に記載の荷役車両用荷受台昇降装置。
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