JP3881486B2 - 固体電解コンデンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はタンタル粉末などの弁作用金属の焼結体を、ヒューズを介して外部リードと接続し、パッケージ内に内蔵する固体電解コンデンサに関する。さらに詳しくは、パッケージから導出される外部リードをパッケージの底面側に折り曲げてフォーミングする構造の固体電解コンデンサにおいて、コンデンサ素子の角部がパッケージから露出してもヒューズが機能しなくなることのない構造の固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の固体電解コンデンサは、図3に示されるように、コンデンサ素子1の陽極リード11が第1の外部リード2と抵抗溶接などにより電気的に接続され、コンデンサ素子1の側壁に形成される陰極12がヒューズ4を介して、第2の外部リード3とそれぞれ電気的に接続され、その周囲が樹脂によりモールド成形されて樹脂製パッケージ5で被覆されることにより形成されている。第1および第2の外部リード2、3は、モールドにより樹脂製パッケージ5が形成された後にリードフレームから切断されて分離され、フォーミングされることにより、図3に示される構造に形成されている。
【0003】
コンデンサ素子1の陽極リード11と外部リード2との抵抗溶接は、コンデンサ素子1を保持した状態で溶接されるが、非常に細いタンタルワイヤなどを溶接するため、図3に誇張して示されるように、傾きが生じる。このようなコンデンサ素子1の溶接による傾きは、溶接を注意深く行ってもなくすることがない。
【0004】
一方、近年の電子部品の軽薄短小化に伴い、固体電解コンデンサでも非常にパッケージの小さいものが要求される反面、特性的には、大容量でリーク電流が小さいなどの高特性の固体電解コンデンサが要求されている。固体電解コンデンサの容量を大きくしたり、特性を向上させるためには、コンデンサ素子1の体積をできるだけ大きくする必要があるが、前述のようにパッケージ5の外形はできるだけ小さくすることが要求されており、コンデンサ素子1の下におけるパッケージ5の肉厚Aは、0.01〜0.2mm程度しかなく、僅かの傾きでもコンデンサ素子1がパッケージから露出しやすい。とくにコンデンサ素子1の長さ(図の左右の方向)を長くすると、僅かの傾きでもその端の角部が露出しやすい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、コンデンサ素子は、その陽極リードの溶接により傾きが生じやすいが、その傾きによりその角部などが樹脂製パッケージ5からはみ出ると、外観的にはそれほど目立たなくても、コンデンサ素子の露出する角部と第2の外部リード3とが接触し、ヒューズ4が機能しなくなるという問題がある。一方、前述のように、大容量化の要求に伴ないコンデンサ素子の体積を大きくすることも要求され、歩留りが低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、小さなパッケージに大きなコンデンサ素子を内蔵しながら、歩留りを向上してコストダウンを図り、さらにヒューズの機能も維持した高性能な固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による固体電解コンデンサは、弁作用金属の焼結体の一壁面から該焼結体内に陽極リードの一端部が埋め込まれて形成される陽極および前記焼結体の側壁に形成される陰極を有するコンデンサ素子と、前記陽極リードが一端部に溶接される第1の外部リードと、前記陰極がヒューズを介して一端部に電気的に接続される第2の外部リードと、前記コンデンサ素子の周囲および前記第1および第2の外部リードとの接続部を被覆するパッケージとからなり、前記第1および第2の外部リードの他端部が前記パッケージの底面側に折り曲げられると共に、前記第2の外部リードの他端部で前記パッケージに面する側に耐熱性の絶縁性樹脂を塗布して硬化させることにより形成される絶縁性被膜が設けられている。
【0008】
この構造にすることにより、コンデンサ素子の角部などがパッケージから露出しても、直接外部リードと接触することがなく、ヒューズ機能を害することがない。その結果、コンデンサ素子の体積を充分に大きくすることができ、同じパッケージの大きさで容量を大きくしたり、粉末粒子を粗くしてリーク電流を減らすことにより電気的特性を改良するか、または同じ電気的特性を維持してパッケージの外形を小さくすることができる。
【0009】
前記耐熱性の絶縁性樹脂は、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、およびアクリル樹脂のいずれかを用いることができる。この絶縁性樹脂により形成されれば、少ない量の絶縁被膜により確実にコンデンサ素子の陰極との接触を避けることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、図面を参照しながら本発明の固体電解コンデンサについて説明をする。本発明の固体電解コンデンサは、図1にその一実施形態である断面説明図が示されるように、弁作用金属の焼結体の一壁面からその焼結体内に陽極リード11の一端部が埋め込まれて形成される陽極および焼結体の側壁に形成される陰極12を有するようにコンデンサ素子1が形成されている。そして、陽極リード11の他端部が第1の外部リード2の一端部に抵抗溶接などにより接続され、陰極12はヒューズ4を介して第2の外部リード3の一端部に電気的に接続されている。そして、コンデンサ素子1の周囲および第1および第2の外部リード2、3との接続部がパッケージ5により被覆されている。第1および第2の外部リード2、3の他端部はパッケージ5の底面側に折り曲げられてフォーミングされているが、本発明では、第2の外部リード3の他端部側とパッケージ5の底面との間に絶縁性被膜6が介在されていることに特徴がある。
【0012】
図1に示される例では、第2の外部リード3の、フォーミングによりパッケージ5に面する側に、たとえば耐熱性のポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの耐熱性の絶縁性樹脂を塗布して硬化させることにより、絶縁性被膜6が形成されている。耐熱性の樹脂を用いるのは、このコンデンサを回路基板などに実装する場合、回路基板の接続部にハンダペーストなどを塗布してコンデンサを載置し、リフロー炉などでハンダが溶融する温度200〜260℃程度に上昇させるため、その温度に絶え得るようにするためである。
【0013】
この絶縁性被膜6は、たとえばモールド成形により樹脂製のパッケージ5を形成し、リードフレームから第1および第2の外部リード2、3を切り離した後、その端部側をハンダ層内に浸漬してハンダメッキを行い、ついで、裏面側(フォーミングしたときのパッケージ5と対向する面)に、ディスペンサまたは印刷などによりポリイミドなどを塗布して、150〜250℃程度に昇温することにより、数十μm程度の厚さに形成される。この絶縁性被膜6は、余り厚すぎるとフォーミングしたときにパッケージ5の底面より、リードがはみ出して実装の際に安定して回路基板などの上に載置することができず、一方、絶縁性被膜6は、電気的絶縁を維持することができればよく、30〜100μm程度の厚さ設けられれば充分である。また、外部リード3のパッケージ5と対向する面と反対面は、回路基板などにハンダ付けされるため、絶縁性被膜6が付着しないようにする。この絶縁性被膜6はリードフレームの状態で予め形成されていてもよい。
【0014】
前述の例は、第2の外部リード3の内側に絶縁性皮膜6を形成したが、この絶縁性被膜6は、コンデンサ素子の角部などがパッケージからはみ出て第2の外部リード3と直接電気的に接触するのを避けるのが目的であるため、第2の外部リード3に被膜しなくても、たとえば図2にリードをフォーミングする前のコンデンサの底面から見た底面図が示されるように、パッケージ5のコンデンサ素子1の露出部分に絶縁性被膜7を付着してもよい。この場合、パッケージ5と同じ色(通常は黒色)の被覆物を付着すれば、外観的にも素子見え(コンデンサ素子1がパッケージ5からはみ出して見えること)もなくなる。たとえばパッケージ5に用いるようなエポキシ樹脂に黒色フィラーを混入したものを塗布して温度を上げて硬化させることもできるし、黒インクなどを塗布して乾燥させてもよい。
【0015】
このパッケージ5に絶縁性被膜7を設ける場合は、目視によりコンデンサ素子1が露出しているものだけに塗布すればよく、その割合は相対的に少ないため、塗布するものが少なくてすみ、効率的であると共に、電気的絶縁のみでなく、外観的にも改良される。また、露出の有無に拘らず、全数塗布の方法を用いれば、露出の有無を検査しなくてもよい。
【0016】
さらに、必ずしもいずれかに塗布して設けなくても、絶縁シートを介在させて、外部リード2、3をフォーミングするだけでもよい。すなわち、外部リード2、3の折曲げ部とパッケージ5の底面との間隙は殆どなく、テフロンのような絶縁シートを介在させて外部リード3を折り曲げれば、その外部リードにより絶縁シートが保持される。
【0017】
コンデンサ素子1は、タンタル、アルミニウム、ニオブなどの弁作用金属の粉末が角形に成形されると共に、その一壁面に陽極リード11が埋め込まれて焼結され、陽極酸化により粉末の周囲にTa2O5などの酸化膜が形成され、焼結体の外周に二酸化マンガン層、グラファイト層、銀層などが形成されて陰極12が形成されている。焼結体の大きさは種類によって異なるが、たとえば0.3mm立方程度から数mm立方程度の大きさに成形される。また、外部リード2、3は、42合金、Ni、Cuなどの板材を打ち抜いたリードフレームから形成されている。
【0018】
この固体電解コンデンサを製造するには、たとえばタンタル粉末を前述の大きさに成形すると共にその一壁面に、たとえば太さが0.2mmφ程度のタンタル線を埋め込んで真空中で焼結することにより、陽極リード11が一壁面に埋め込まれた焼結体を形成する。そして、陽極リード11の付け根部分にテフロンリング13を被せ、このコンデンサ素子の陽極リード11の先端部を、たとえばステンレス板で形成したステンレスバーに数十個程度溶接する。
【0019】
ついで、ステンレスバーに溶接された分をまとめて、たとえばリン酸水溶液中に浸漬し、陽極リード11を陽極として陽極酸化をすることにより、タンタル粉末の周囲にTa2O5からなる酸化物被膜を形成する(化成処理)。その後、硝酸マンガン水溶液中に浸漬し、二酸化マンガン層(図示せず)を焼結体の内部およびその外周面に形成すると共に、前述の酸化皮膜の形成工程を数回繰り返す再化成処理を行う。さらにその外表面にグラファイト層(図示せず)を形成し、さらにその外表面に銀層(図示せず)を形成することにより、その表面が陰極12とされたコンデンサ素子1が形成される。
【0020】
このコンデンサ素子1の陽極リード11を、リードフレームに形成された第1の外部リード2に抵抗溶接し、また、陰極12を、リードフレームの第2の外部リード3にヒューズ4を介して熱圧着などにより電気的に接続する。この際、陽極リード11と反対側が多少下がるように溶接をし、ヒューズ部分がパッケージ5から露出しないように陽極リード11を外部リード2と溶接することが望ましい。従来は、この陽極リード11の溶接後、コンデンサ素子1の端部と底面との間隔を測定していたが、本発明では、全てがつぎのモールド工程に送られる。
【0021】
このコンデンサ素子1が溶接されたリードフレームをモールド金型内にセッティングする。この際、コンデンサ素子1の端部が下側に傾きすぎているものもあるが、傾きの大きいものでも、コンデンサ素子1の先端部分(陽極リード11と反対側の底面の角)のみが点または直線状にモールド用金型の空洞の下面に当り、溶接部分の曲りはある程度修正される。ついで、モールド金型の空洞内にモールド用樹脂を充填することにより、コンデンサ素子1および外部リード2、3との接続部がモールド用樹脂により被覆されてパッケージ5が形成される。リードフレームから各リードを切断分離し、フォーミングすることにより、本発明による固体電解コンデンサが形成される。
【0022】
この場合、コンデンサ素子1のモールド金型に当った部分はパッケージ5から露出するが、その露出部分は、コンデンサ素子1の底面の角部が点または線状に露出するだけとなる。この露出部分は、前述のように、第2の外部リード3のパッケージと面する側に絶縁性被膜6が形成されるか、露出部分のパッケージ5に直接絶縁性被膜が塗布されることにより、コンデンサ素子1の陰極12と第2の外部リード3とが直接接触することもなく、またコンデンサの裏面側でもあり、特性上、または外観上からも何ら影響を受けない。
【0023】
本発明によれば、コンデンサ素子の一部が、パッケージから露出しても、外部リードと直接接触することがなく、ヒューズを短絡することがない。しかも、コンデンサ素子の露出する場所は、コンデンサの底面側であり、外観的に殆ど問題はない。また、パッケージ側にパッケージと同じ色の絶縁性被膜を設けることにより、外観的な問題も全くなくなる。そのため、従来コンデンサ素子の露出を気にして、パッケージの厚さを一定以上確保するようにコンデンサ素子を小さくしていたのを、パッケージ内で殆ど一杯にコンデンサ素子を大きくすることができ、コンデンサの容量やリーク電流などの電気的特性を大幅に向上させることができる。さらに、露出不良が減り歩留りの向上を図ることができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、コンデンサ素子がパッケージから露出しないように小さくしたり、組立工程で溶接の曲りを修正する必要がないので、コンデンサ素子を大きくすることができると共に、組立工数が減少し、さらに歩留りが向上する。その結果、容量を大きくするか、同じ容量でも粉末粒子を大きくしてリーク特性を向上するか、または電気的特性を同程度に維持しながらパッケージの外形を小さくすることができる。さらに、工数減および歩留りの向上によりコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による固体電解コンデンサの一実施形態の断面説明図である。
【図2】本発明の固体電解コンデンサによる他の実施形態の断面説明図である。
【図3】従来の固体電解コンデンサの断面説明図である。
【符号の説明】
1 コンデンサ素子
2 第1の外部リード
3 第2の外部リード
5 パッケージ
11 陽極リード
12 陰極
Claims (2)
- 弁作用金属の焼結体の一壁面から該焼結体内に陽極リードの一端部が埋め込まれて形成される陽極および前記焼結体の側壁に形成される陰極を有するコンデンサ素子と、前記陽極リードが一端部に溶接される第1の外部リードと、前記陰極がヒューズを介して一端部に電気的に接続される第2の外部リードと、前記コンデンサ素子の周囲および前記第1および第2の外部リードとの接続部を被覆するパッケージとからなり、前記第1および第2の外部リードの他端部が前記パッケージの底面側に折り曲げられると共に、前記第2の外部リードの他端部で前記パッケージに面する側に耐熱性の絶縁性樹脂を塗布して硬化させることにより形成される絶縁性被膜が設けられてなる固体電解コンデンサ。
- 前記耐熱性の絶縁性樹脂が、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、およびアクリル樹脂のいずれかである請求項1記載の固体電解コンデンサ。
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