JP3880436B2 - 投写型画像表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶パネル上に生成された画像を投射光学系(例えば投影レンズ)により被投射面上に投射して拡大表示する投射型画像表示装置(液晶プロジェクター)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液晶パネル(液晶、液晶表示素子)を光源からの光束により照明し、液晶パネルで変調され、そこから射出する透過光または反射光に基づく画像を投影レンズによりスクリーン上に拡大投影する液晶プロジェクターについての技術が種々と提案されている。
【0003】
液晶プロジェクターに良く用いられる液晶パネルは、通常、液晶層の前後に偏光子や、検光子等の偏光フィルターが設けられている。
【0004】
偏光フィルターは入射する光のうち特定の偏光成分のみを透過し、それと偏光方向が直交する偏光成分を遮断する特性を有している。
【0005】
一般的に液晶(液晶パネル)を用いた画像表示装置は、液晶の特性により、コントラスト(光の透過と不透過の比)の視野角特性(視野角依存性)がある為、液晶表示面の中心に対して見る角度(方向)が異なるとコントラストが変化してしまう特性を有していた。
【0006】
コントラスト視野角特性のある液晶パネルに基づく画像をスクリーン面上に投射すると方位によって明るさにムラが生じ、カラー液晶プロジェクターのときは色ムラが発生することがあった。
【0007】
従来より、このようなムラを目立たなくするための一方法として、コントラスト視野角特性の悪い部分の光を拾わないようにするために、液晶パネルから見込む照明光学系のFナンバーを大きくしたり、コントラスト視野角特性を改善する視野角改善フィルムを偏光板と液晶パネルの間に配置したりして、黒表示時の色ムラの発生が目立たないようにしていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
液晶パネルから見込む照明光学系のFナンバー(明るさ)を大きく(暗く)する為に光源から発せられた照明光を照明光学系で圧縮する必要があったので、照明系にフライアイレンズを用いているときは、液晶パネル側のフライアイレンズ板の大きさを光源側のフライアイレンズ板より小さくする方法があるが、この方法は偏光変換素子の開口絞りによる光源像のケラレが大きくなり、照明効率が低下して、スクリーン投影される画像の明るさが低下してくるといった問題があった。
【0009】
また、偏光板と液晶パネルの間に視野角改善フィルムを配置する方法があるが、この方法は液晶パネルと視野角改善フィルムの間隔および視野角改善フィルムと偏光板の間隔が狭くなり、冷却風の通りが悪くなるため、液晶パネルや、偏光板の冷却が困難になってくるという問題があった。また、視野角改善フィルムの部品が増えるため、装置が複雑になるという問題もあった。
【0010】
本発明は、液晶パネルのコントラストの視野角依存性の問題を軽減又はなくす新規な構成を有する投射型画像表示装置の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の投写型画像表示装置は、
視野角に依りコントラストが異なる、赤色用、緑色用、及び青色用液晶パネルと、
光源手段から発せられた光を前記赤色用、緑色用、及び青色用液晶パネルそれぞれに対応する赤色光、緑色光、及び青色光に分解する色分解光学系を含み、前記赤色用、緑色用、及び青色用液晶パネルそれぞれを照明する照明光学系と、
前記3つの液晶パネルを用いて形成した画像を投射する投射光学系と、
前記3つの液晶パネルと前記投射光学系との間に、前記複数の液晶パネルを用いて形成した各色光の画像を合成する色合成光学系を有する投写型画像表示装置であって、
前記色合成光学系は、1つの液晶パネルから該投射光学系に至る光束が奇数回反射される奇数回反射光路と、他の1つの液晶パネルから該投射光学系に至る光束が反射なし若しくは偶数回反射される偶数回反射光路とを形成しており、
前記液晶パネルのコントラスト視野角特性に応じて、前記照明光学系のFナンバーを方位によって異ならせた開口絞りを、前記光源手段と前記色分解光学系との間に有しており、前記開口絞りが左右対称及び上下対称であることを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明は請求項1の発明において、
前記照明光学系が、前記光源手段から前記色分解光学系に向かって順に、偏光変換素子、第1正レンズ、反射ミラーを有しており、
前記絞りが、前記第1正レンズと前記反射ミラーとの間に配置されていることを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明は請求項1の発明において、
前記開口絞りは、前記液晶パネルのコントラスト視野角特性におけるコントラストが最も悪い方位の照明光学系のFナンバーが、コントラスト視野角特性におけるコントラストの良い方位の照明光学系のFナンバーより、大きくなるようにしていることを特徴としている。
【0014】
請求項4の発明は請求項1乃至3のいずれか1つを、
前記液晶パネルの表示部は長方形状をしており、前記開口絞りは、該液晶パネルの長辺方向に対して斜めの方向の照明光学系のFナンバーが、該液晶パネルの長辺方向および短辺方向に対応する各Fナンバーより大きくなるように形状に形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項5の発明は請求項1乃至4のいずれか1つを、
前記開口絞りは、開口部の大きさが、可変であることを特徴としている。
【0026】
図5は、液晶プロジェクターに使用される液晶(液晶パネル)のコントラスト視野角特性の測定値の一例の説明図である。図6は液晶の正面説明図である。
【0027】
図5に示すコントラスト視野角特性は図6に示す液晶パネル18を出射側から測定したもので、液晶パネル18の入射側および出射側に、偏光板を配置して液晶に印加する電圧をON−OFFしたときの透過光量と不透過光量の比より、コントラストの測定を行った結果である。入射側に設けた偏光板は図6の紙面上下方向(Y方向)に偏光軸が配置され、出射側の偏光板は、図6の紙面左右方向(X方向)に偏光軸が配置されるようにして、コントラスト視野角特性の測定を行った結果である。
【0028】
図5に示すコントラスト視野角特性は、X方向を0度方向とし、反時計周りに角度をとっている。視野角は例として10度(10DEG)、20度(20DEG)、30度(30DEG)を示し、コントラストが20、50、100、200となる視野角を各々示している。
【0029】
細い実線はコントラストが200となる液晶パネル18からの各方位における射出角度を結んで描いたもので、同様に細い点線がコントラスト100、一点鎖線がコントラスト50、2点鎖線がコントラスト20となる射出角度を示す。
【0030】
図5に示すようにコントラスト視野角特性は、液晶パネル18の表示部(有効範囲)の中心Fからみた、方位の違いにより大きく変化している。この測定した液晶パネル18の場合には、紙面右下方向の方位角315度方向のコントラストが最も悪く、紙面右下方向から液晶パネル18をみたときの黒表示時のもれ光が多い結果となっている。
【0031】
後述する実施形態に示すように、液晶プロジェクターの照明系に使用されるフライアイレンズ板は、各々のレンズ駒が、液晶パネルの表示面とほぼ相似形なものを2次元的に配列したもので、一般的に全体の形状は、ほぼ正方形に近い。このため、図5に示したようなコントラスト視野角特性を有した液晶パネルの照明光学系にほぼ正方形の形のフライアイレンズ板を用いた場合、斜め方向の照明光学系のFナンバーが最も明るくなり、コントラスト視野角特性が最も悪い方向の照明光の入射角度が最も大きいため、コントラストむらが生じやすくなる。
【0032】
また、通常、液晶プロジェクターにおいては、投射レンズの光軸より上側のスクリーンに像を投影させるために、例えば図6の液晶パネル18の短辺方向の上端Eの位置付近に投射レンズの光軸が位置するように投射レンズと液晶パネルの位置関係を設定させている。
【0033】
液晶プロジェクター用の投射レンズは、一般的に周辺光量が50%程度で、周辺にいくほど口径食が大きくなり、周辺では、投射レンズの瞳は楕円状の瞳となる。
【0034】
このため、投射レンズの口径食が液晶パネル18の有効範囲内の4隅の位置A,B,C,Dにより異なってくる。
【0035】
図7は、図5のコントラスト視野角特性と、図6の液晶パネル18の位置Aにおける口径食に対応した角度を重ね合わせた説明図である。口径食に対応した角度は、点Aが投射レンズの光軸と液晶パネル18との交点Eに対して紙面左方向に位置するので、紙面上下方向の角度が紙面左右方向に対して大きい楕円となっている。
【0036】
図8は、図5のコントラスト視野角特性と、図6の液晶パネル18の位置Bにおけるロ径食に対応した角度を重ね合わせた説明図である。口径食に対応した角度は、位置Bが投射レンズの光軸と液晶パネル18との交点Eに対して紙面右方向に位置するので、紙面上下方向の角度が紙面左右方向に対して大きい楕円となっている。
【0037】
液晶パネル位置のAおよび位置Bにおける口径食は、同一形状なので、コントラストむらは原理的に生じない。
【0038】
図9は、図5のコントラスト視野角特性と、図6の液晶パネル18の位置Cにおける口径食に対応した角度を重ね合わせた説明図である。口径食に対応した角度は、点Cが投射レンズの光軸と液晶パネル18との交点Eに対して紙面左下方向に位置するので、紙面左上方向に長軸が向く楕円となる。
【0039】
図10は、図5のコントラスト視野角特性と、図6の液晶パネル18の位置Dにおける口径食に対応した角度を重ね合わせた説明図である。口径食に対応した角度は、点Dが投射レンズの光軸と液晶パネル18との交点Eに対して紙面右下方向に位置するので、紙面右上方向に長軸が向く楕円となる。
【0040】
図9と図10を比較すると、図9のほうが、口径食に対応する角度範囲内におけるコントラスト視野角特性の悪い部分の面積が、図10と比較すると多く、図6の位置Cに対応するスクリーン位置の黒表示時の光もれが、図6の位置Dに対応するスクリーン位置の黒表示時の光もれに対して多くなり、コントラストむらが生じてくる。
【0041】
このため、カラー液晶プロジェクター等において、3枚の液晶パネルを用いて、三色合成を行い、スクリーン上にカラー画像を投影する場合、黒表示のときに色ムラが発生してくる。
【0042】
これは、コントラストの視野角特性が同じ液晶パネルを3枚用いても、色合成光学系において、反射回数が異なると、液晶パネルの黒表示時の光もれが最も多い画面内の場所が反転してしまうために生ずる。
【0043】
即ち、三板式の液晶プロジェクターの黒表示時の色むらは、以下の3つの条件がそろったときに発生する。
【0044】
(ア−1)液晶パネルの方位によりコントラスト視野角特性が異なる。
【0045】
(ア−2)色合成系の各色チャンネルの反射回数が異なる(奇数または0および偶数)。
【0046】
(ア−3)投射レンズの入射瞳の口径食が、液晶パネルの表示画面内の場所により異なる。(投射レンズ光軸が液晶パネル表示中心とずれている)。
【0047】
以上のように液晶パネルにコントラスト視野角特性があり、このような液晶パネルを用いると、投射像に方位によって明るさのむらや色むらが発生してくる。
【0048】
そこで本実施形態では、液晶パネルを照明する照明光学系と、液晶パネルで変調された画像を投影するための投射光学系の少なくとも一方に、開口絞りを設けて、該液晶パネルのコントラスト視野角特性の方位に対応して、該照明光学系又は/及び該投影光学系のFナンバーが異なるようにしている。
【0049】
特にカラー液晶プロジェクターのときは、複数の液晶パネルで変調された各色光の画像を合成する色合成光学系を1つの液晶パネルから該投射光学系に至る光路が奇数回反射光路と、他の1つの液晶パネルから該投射光学系に至る光路が反射なし若しくは偶数回反射光路を有するように形成し、該液晶パネルのコントラスト視野角特性の方位に対応して、該照明光学系又は/及び該投射光学系のFナンバーが異なるようにしている。例えば照明光学系又は投射レンズを構成するレンズのレンズ外径を変えたり又は適切な形状の開口形を有する絞りを設けている。
【0050】
次に本実施形態の投射型画像表示装置について説明する。
【0051】
図1は本発明の投写型画像表示装置の実施形態1の要部断面図である。
【0052】
図1において、光源手段1から発せられた白色光は、放物面鏡2よりほぼ平行な光束に変換され、複数の矩形のレンズアレイより構成される第1フライアイレンズ3により複数の矩形のレンズアレイより構成される第2フライアイ4の各コマのほぼ中心部に光源像を形成する。偏光変換素子5により、片方の偏光成分のみに揃えられた光束は、第1正レンズ6によりダイクロイックミラー、レンズを介して、液晶パネルより成る画像変調手段上16、18、20に重ね合わされる。
【0053】
即ち第1正レンズ6からの光はミラー7で反射し、青反射ダイクロイックミラー8に入射する青反射ダイクロミラー8により反射された青色光は高反射ミラー9、第2正レンズ15を介して、青色用の液晶パネル16の表示部に集光される(青色チャンネル)。
【0054】
青反射ダイクロミラー8を透過した緑および赤色の光成分のなかの緑色成分は、緑色を反射するダイクロミラー10により反射され、第3正レンズ17を介して、緑色用の液晶パネル18の表示部に集光される。
【0055】
ダイクロミラー10を透過した赤色成分の光は、第4正レンズ11、高反射ミラー12、第5正レンズ13、高反射ミラー14、第6正レンズ19を介して、赤色用の液晶パネル20の表示部に集光される(赤色チャンネル)。第4正レンズ11と第5正レンズ13は、赤色チャンネルが他の色チャンネルより光路が長いため、ほぼ等倍結像するリレーレンズの役目を果たしている。
【0056】
ここで各部材8〜15、17、19は色分解光学系の一要素を構成している。尚、本実施形態において、各色光角に光源手段を設けて、各々対応する液晶パネルを照明するようにしても良い。光源手段1から各液晶パネルに至る光路に位置する部材は照明光学系の一要素を構成している。
【0057】
各色の画像変調手段16、18、20で変調された光は、第1プリズム23、第2プリズム24、第3プリズム21、第4プリズム22より構成される色合成プリズム4PPにより色合成され、投射レンズ25により、不図示のスクリーンにカラー画像として投影される。
【0058】
色合成プリズム4PPは、プリズム23とプリズム24の接合面に赤色成分を反射させ青および緑色成分を透過させるダイクロ膜が形成され、プリズム21とプリズム22の接合面には、青色成分を反射させ緑色成分を透過させるダイクロ膜が形成されている。尚、色合成プリズムを公知の3つのプリズムより構成しても良い。
【0059】
第1正レンズ6と高反射ミラー7の間には、絞り(開口絞り)26が配置されており、図1の紙面右側には、紙面右側方向から見た場合の絞り26の形状を示している。
【0060】
絞り26は、液晶パネル16、18、20の長辺方向に対して開口26aの形状が光軸を中心に45度傾いた正方形となっている。液晶パネル18の中心18aから下方向の方位角を0度とし、時計まわり方向へ回転すると角度が増加するとした場合に、45度、135度、225度および315度方向の方位角の照明光学系のFナンバー(明るさ)が液晶パネル18の0度および90度の方位角のFナンバーと比較して、大きく(暗く)なるように配置されている。
【0061】
即ち、液晶パネルのコントラスト-視野角特性におけるコントラストが最も悪い方位315度及びそれが反射された時に重なる方位の照明光学系のFナンバーが、コントラスト-視野角特性におけるコントラストの相対的に良い方位及びそれが反射された時に重なる方位の照明光学系のFナンバーより大きくなるようにしている。
【0062】
これは、図5に示すように、液晶パネル18のコントラスト視野角特性が液晶パネルの方位角の315度方向で特に悪い部分があり、照明光学系において、絞り26から液晶パネル18まで達する間の光路における反射回数が青色用液晶パネル16は3回と奇数回反射であり、緑色用液晶パネル18は2回と偶数回反射であり異なるため、青色用液晶パネル16から見た絞り26は、緑色用液晶パネル18から見た場合と比較して、絞り26の液晶パネルの長辺方向の左右方向が反転してしまう。
【0063】
このため、緑色用液晶パネル18と青色用液晶パネル16に同じコントラスト視野角特性の液晶パネルを用いる場合、仮に緑色用液晶パネル18のコントラスト視野角特性におけるコントラストの悪い部分のみを遮光する左右非対称な絞りを設けると、青色用液晶パネル16にとっては、コントラスト視野角特性におけるコントラストの悪い部分を遮光することができなくなるので、左右対称な開口を有する絞り形状としている。
【0064】
また、絞り26から赤色用液晶パネル20に達するまでに、反射回数は3回と奇数回反射であり(左右反転)、第4正レンズ11、第5正レンズ13、第6正レンズ19により、ほぼ等倍結像される(左右上下反転)ため、赤色用の液晶パネル20に対する絞り26は、赤色用の液晶パネル20から見たときに上下反転されて見える。このため絞り26は、液晶パネルの長辺方向を左右方向とした場合、上下方向にも対称な絞り形状としている。
【0065】
このように、照明光学系の光軸を中心として、左右上下方向に対称な絞り形状とすることにより、各色用の液晶パネルのコントラスト視野角特性の悪い部分からの照明光の入射を遮断し、どの液晶パネルに対しても、同一の角度で、照明光を入射させることが可能としている。
【0066】
これにより、液晶パネルのコントラスト視野角特性が液晶パネルの方位角によって異なる特性を有していてもコントラストむらや色むらのない黒表示のスクリーン像を得ている。
【0067】
また、色合成プリズム4PPは、青色用液晶パネル16から、不図示のスクリーンまで1回反射(左右反転)し、かつ投射レンズ25により投影される(左右上下反転)ので結局上下方向のみ反転される。緑色用液晶パネル18から、不図示のスクリーンまで0回反射(左右反転しない)し、投射レンズ25により投影される(左右上下反転)ので結局左右上下反転される。赤色用液晶パネル20から、不図示のスクリーンまで2回反射(左右反転しない)し、投射レンズ25により投影される(左右上下反転)ので結局左右上下反転される。
【0068】
よって、本実施形態の絞り26を使用しないと、青色用液晶パネル16のみが、他の液晶パネルと比較して左右反転してしまうので、液晶パネルに方位角によってコントラスト特性が異なる、コントラスト特性がほぼ同じ特性の液晶パネルを3枚使用する場合に、黒表示時の光もれが多いスクリーン上の部分が左右反転してしまうため、色むらが生じてしまう。
【0069】
より具体的には、図6に示す液晶パネル18の黒表示時の光漏れが多い点Cに対応する不図示のスクリーン上の点は、緑色用の液晶パネル18が色合成プリズム4PPで0回反射、赤色用液晶パネル20が色合成プリズム4PPで2回反射するので、プロジェクター側から見たとき左上となり、スクリーン上の左上が緑と赤の加色混合により、黄色くなる。一方青色用の液晶パネル16は色合成プリズム4PPで、1回反射されるので左右反転され、黒表示時の光漏れが多い点Cに対応するスクリーン上の位置は右上となる。
【0070】
よって、絞り26を配置しない場合に、図5に示すようなコントラスト-視野角特性の液晶パネルを使用した場合には、スクリーンの左上が黄色くなり、右上が青くなる色むらが発生する。
【0071】
図11は、図1に示した本実施形態の絞り26の開口部に対応した角度と、液晶パネル18のコントラスト視野角特性を重ねた説明図である。さらに、図6に示した液晶パネルの点Cにおける投射レンズの口径食に対応した角度を点線に示す。
【0072】
図12は、図1に示した本実施形態の絞り26の開口部に対応した角度と、液晶パネル18のコントラスト視野角特性を重ねた説明図である。さらに、図6に示した液晶パネル18の点Dにおける投射レンズの口径食に対応した角度を点線に示す。
【0073】
絞り26により、図11の投射レンズの口径食に対応する角度を示す点線の内部にあるコントラスト視野角特性の悪い部分からの照明光が遮断されるので、液晶パネルの点Cにおける黒表示時のもれ光が減少し、コントラストむらが減少する。
【0074】
図12では、投射レンズの口径食に対応する角度を示す点線の内部にあるコントラスト視野角特性の悪い部分の面積が少ないので、絞り26を入れても、液晶パネル18の点Dにおける黒表示時のもれ光の変化は少ない。
【0075】
絞り26を入れることにより、図11、図12に示すように、液晶パネル18の点Cと点Dにおける黒表示時のもれ光の量がほぼ同じとなるので、スクリーン画面全域でほぼ同一のコントラストが得られ、液晶表示範囲内のコントラストむらを減少させることができる。これにより、各色の液晶パネルにおける、黒表示時の明るさがスクリーン画面内でほぼ均一になるため、スクリーン像の色むらを減少させている。
【0076】
尚、本実施形態において、上記の如き絞りを照明光学系の光路中に設ける代わりに投射レンズ25の光路中に(瞳位置に開口絞りとして)設けて投射光学系のFナンバーが液晶パネルのコントラスト視野角特性に応じて方位によって異なるようにしても良い。
【0077】
又、上記の如き絞りを照明光学系と投影光学系の双方の光学系に設けて良い。又、絞りの開口の形状又は大きさを規制しても良い。又、絞りの代わりにNDフィルター等の光学フィルターを用いて、又は、照明光学系又は投射光学系を構成する一部のレンズのレンズ外径を変えて液晶パネルのコントラスト視野角特性の方位に対応して、照明光学系又は/及び投射光学系のFナンバーが異なるようにしても良い。
【0078】
図2は、本発明の投写型画像表示装置の実施形態2の要部断面図である。
【0079】
図1の構成とほぼ同様の構成であるが、図1に比べて、本実施形態2は絞り27の形状が異なっている。
【0080】
本実施形態2は図5における、液晶パネルのコントラスト視野角特性の形状にさらに最適化した、星型の開口27aを有する絞り27を用いている。
【0081】
絞り27の開口27aをこのような星型の形状にすることにより、コントラスト視野角特性の悪い部分の照明光学系のFナンバーをさらに大きくすることができるので、図1に示した実施形態1より、さらに、コントラストむらおよび色むらを減少させることができる。
【0082】
図3は、本発明の投写型画像表示装置の実施形態3の要部断面図である。
【0083】
図3の実施形態3は、絞り28を投射レンズ25の内部に配置することにより、液晶パネルのコントラスト視野角特性に対応して、投射レンズのFナンバーの値をかえてコントラストむら、色むらを改善している。絞り28は、液晶パネル18の長辺方向に対して斜め45度方向のFナンバーが最も大きくなるように形成されている。
【0084】
投射レンズ25および絞り28は、液晶パネル18の中心に対して、スクリーン投影像を投射レンズの光軸より上側に投影するために、ずれて配置されている。
【0085】
図4は本発明に用いる絞りの概略図である。絞り29はその開口29aが変化するように絞り板30a、30bを移動させている。
【0086】
本実施形態の絞り29は、2枚の絞り板30a、30bにより構成され、紙面上下方向に移動することにより、開口部29aの大きさを変えることができるよう構成している。
【0087】
図4は絞り29の開口部29aの大きさを変える場合を示しているが、大きさ又は/及び開口形状を変えるようにしても良い。
【0088】
この2枚の絞り板30a、30bを、照明光学系あるいは、投射レンズのいずれか又は双方に配置することにより、明るさを重視したいときには、開口部を大きくし、コントラストを重視したいときには、開口部を小さくすればよく、明るさとコントラストのバランスが調整可能となる。
以上説明した実施形態は3板式のカラー画像を投射する投射型表示装置するものであったが、本発明は、単板式のモノクロ画像又はカラー画像を投射する投射型表示装置にも適用できる。
【0089】
【発明の効果】
例えば液晶パネルを用いて形成した画像を投射するときの同画像の黒表示時のコントラストむらおよび色むらを少なくし、良好なる投射像が得られる投射型画像表示装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1の要部断面図
【図2】 本発明の実施形態2の要部断面図
【図3】 本発明の実施形態3の要部断面図
【図4】 本発明に用いる絞りの正面図
【図5】 一般的な液晶パネルのコントラスト視野角特性の説明図
【図6】 図5のコントラスト視野角特性に対応した液晶パネルの方向を示す説明図
【図7】 図5のコントラスト視野角特性に、液晶パネルA位置における投射レンズの口径食に対応する角度を重ね合わせた説明図
【図8】 図5のコントラスト視野角特性に、液晶パネルB位置における投射レンズの口径食に対応する角度を重ね合わせた説明図
【図9】 図5のコントラスト視野角特性に、液晶パネルC位置における投射レンズの口径食に対応する角度を重ね合わせた説明図
【図10】 図5のコントラスト視野角特性に、液晶パネルD位置における投射レンズの口径食に対応する角度を重ね合わせた説明図
【図11】 図5のコントラスト視野角特性に、液晶パネルC位置における投射レンズの口径食に対応する角度および絞り26の開口部に対応する角度を重ね合わせた説明図
【図12】 図5のコントラスト視野角特性に、液晶パネルD位置における投射レンズの口径食に対応する角度および絞り26の開口部に対応する角度を重ね合わせた説明図
【符号の説明】
26、27、28 開口絞り
29、30 絞り羽根

Claims (5)

  1. 視野角に依りコントラストが異なる、赤色用、緑色用、及び青色用液晶パネルと、
    光源手段から発せられた光を前記赤色用、緑色用、及び青色用液晶パネルそれぞれに対応する赤色光、緑色光、及び青色光に分解する色分解光学系を含み、前記赤色用、緑色用、及び青色用液晶パネルそれぞれを照明する照明光学系と、
    前記3つの液晶パネルを用いて形成した画像を投射する投射光学系と、
    前記3つの液晶パネルと前記投射光学系との間に、前記複数の液晶パネルを用いて形成した各色光の画像を合成する色合成光学系を有する投写型画像表示装置であって、
    前記色合成光学系は、1つの液晶パネルから該投射光学系に至る光束が奇数回反射される奇数回反射光路と、他の1つの液晶パネルから該投射光学系に至る光束が反射なし若しくは偶数回反射される偶数回反射光路とを形成しており、
    前記液晶パネルのコントラスト視野角特性に応じて、前記照明光学系のFナンバーを方位によって異ならせた開口絞りを、前記光源手段と前記色分解光学系との間に有しており、前記開口絞りが左右対称及び上下対称であることを特徴とする投写型画像表示装置。
  2. 前記照明光学系が、前記光源手段から前記色分解光学系に向かって順に、偏光変換素子、第1正レンズ、反射ミラーを有しており、
    前記絞りが、前記第1正レンズと前記反射ミラーとの間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の投写型画像表示装置。
  3. 前記開口絞りは、前記液晶パネルのコントラスト視野角特性におけるコントラストが最も悪い方位の照明光学系のFナンバーが、コントラスト視野角特性におけるコントラストの良い方位の照明光学系のFナンバーより、大きくなるようにしていることを特徴とする請求項1の投写型画像表示装置。
  4. 前記液晶パネルの表示部は長方形状をしており、前記開口絞りは、該液晶パネルの長辺方向に対して斜めの方向の照明光学系のFナンバーが、該液晶パネルの長辺方向および短辺方向に対応する各Fナンバーより大きくなるように形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の投写型画像表示装置。
  5. 前記開口絞りは、開口部の大きさが、可変であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の投写型画像表示装置。
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