JP3879799B2 - 複合処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばパーソナルチェック等の記録媒体に記録されている磁気インク文字(MICR(MagneticInkCharacterRecognition)文字ともいう)を読み取り、引き続いてその記録媒体に印字を行う複合処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、商取引や店舗での買い物には、小切手やパーソナルチェック(以下、「小切手等」という)が広く用いられている。一般に、小切手等の表側面には金額やサイン(表書き)が記載されているほか、銀行番号、口座番号等の必要記載事項の一部や小切手番号等の規格化された情報が、磁気インク文字(以下「MICR(MagneticInkCharacterRecognition)文字」という。)によって所定の位置に記載されている。
【0003】
この磁気インクの有無は、磁気ヘッドによって検出できるため、磁気インク文字を読み取って記載事項を抽出する磁気インク文字読み取り装置(MICR:MagneticInkCharacterReader)が開発されている。店舗等において、小切手等の有価証券を受け取ったオペレータは、そのようなMICRの読取機構によって記載事項を読み取って小切手等の有効性を確認した後、印字装置を用いて認証や受け取り店舗の名称等の小切手等への裏書き事項を印刷する処理を行うようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、この種の小切手等の場合、上記表書きは本人の手書きによって行われていたが、近年、この表書きを印刷装置によって行うことが広がりつつある。
【0005】
しかしながら、上述したMICR文字の読み取り、裏書き及び表書き印字を別々の装置で行うことにすると、処理に長時間を要するという問題がある。
【0006】
そこで、このような一連の処理を簡略化するため、MICR文字の読み取りと裏書き印字を、単一の搬送経路上に配置した磁気ヘッド及び印字ヘッドを用いてシーケンシャルに処理することができる複合処理装置も提案されている。
【0007】
しかし、この複合処理装置を用いた場合であっても、表書き印字を行うためには裏書き印字を行った後に小切手等を裏返して再度装置に装填しなければならず、処理時間が長くかかるととともに、オペレータの操作も複雑であるという課題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、処理時間が短く、かつ、簡単な操作で記録媒体上の磁気情報の読み取りと表書き及び裏書き印字を行いうる複合処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、本発明の複合処理装置は、情報が記録された記録媒体を案内する搬送経路と、前記搬送経路に沿って配置され、前記記録媒体に記録されている情報を読み取る情報読取ヘッドと、前記搬送経路に沿って配置され、前記記録媒体の第1の面に印字を行う第1の印字ヘッドと、前記搬送経路の前記第1の印字ヘッドとは反対側に沿って配置され、前記記録媒体の前記第1の面と反対の第2の面に印字を行う第2の印字ヘッドと、前記搬送経路に連通して配置され、前記記録媒体が挿入される挿入口と、前記搬送経路に連通して配置され、前記記録媒体が排出される排出口とを有する複合処理装置であって、前記情報読取ヘッドは、前記挿入口と前記第2の印字ヘッドとの間に配置され、前記第1の印字ヘッドは、前記第2の印字ヘッドと前記排出口との間に配置される複合処理装置において、
前記第1の印字ヘッドに対向して配置され、前記第1の印字ヘッドによって印字されるロール状の記録媒体を搬送するロール搬送機構を有し、前記ロール搬送機構は、前記第2の印字ヘッドを外部に対して露出するべく移動可能に設けられてなることを特徴とする。
【0010】
かかる構成により、第1及び第2の印字部によって記録媒体の両面にそれぞれ印字を行うように構成されていることから、例えば、パーソナルチェック用の記録媒体に対して表書き印字及び裏書き印字を行う際に記録媒体を裏返す必要がなく、その結果、処理時間が短くなるとともに、オペレータの行う操作も簡単なものになる。又、パーソナルチェック用の記録媒体の表書き印字及び裏書き印字を行うに際し、第1の印字部及び第2の印字部の印字ヘッドを最適の位置に配することができ、これにより表書き印字及び裏書き印字を同時に行うことが容易になる。更に、第1の印字ヘッドにおいてロール紙に印字を行うように構成した場合であっても、紙搬送部を回動することにより第2の印字部のリボンカセット若しくはインクカートリッジの装着又は取り外しが可能になるため、容易に交換を行うことができる。
【0011】
この場合において、前記ロール搬送機構は、前記ロール状の記録媒体に印字を行う第3の印字ヘッドを有することがさらに望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る複合処理装置の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1及び図2は、本実施の形態の複合処理装置1の全体構成を示すものであり、図1は、内部構成を示す概略構成図、図2は複合処理装置1の内部を前方から見た斜視図である。また、図3は、本実施の形態の要部の概略構成を示すものである。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態の複合処理装置1においては、例えば、樹脂等からなる本体カバー2の内部の後方にロール紙Rが配置され、その前方側にロール紙Rを搬送するためのロール紙搬送機構3が設けられる。
【0014】
一方、ロール紙搬送機構3の前方側には、インクリボン方式によって印字を行う第1の印字部4がロール紙搬送機構3に隣接して配置されている。この第1の印字部4は記録媒体であるロール紙R及びチェック紙Sに印字を行うためのもので、樹脂等からなる本体前カバー5によって覆われている。
【0015】
なお、上述のロール紙Rを支持する支持ローラ10、11、ロール紙搬送機構3及び印字部4は、金属等からなる本体フレーム6に取り付けられる。
【0016】
図2に示すように、第1の印字部4は、本体フレーム6に取り付けられたガイドレール7に沿って本体フレーム6の両側部間を移動自在となるように構成される。そして、本体フレーム6には、インクリボン40aを収容したリボンカセット40が装着されるようになっている。また、図1に示すように、第1の印字部4は、印字を行うための印字ヘッド4aがロール紙搬送機構3に設けられたプラテン部8と対向するように配置される。
【0017】
一方、ロール紙Rは、その巻芯部9と平行に配置された一対の支持ローラ10、11によって回転自在に支持され、本体カバー2の下方側から上方に向かってその先端部が引き出されるように構成される。
【0018】
ロール紙搬送機構3は支軸12を中心として回動自在に設けられ、図1の実線で示す位置からロール紙R側に引き倒すことができるように構成されている。ここで、ロール紙搬送機構3にはロール紙Rの搬送経路が形成されている。すなわち、ロール紙搬送機構3に設けられた紙案内ローラ13と紙送りローラ14、15によってロール紙Rを引き込み、ガイド部17によってロール紙Rの送り方向を上方向へ向けて第1の印字部4の印字ヘッド4aとプラテン部8との間を経由し、一対の搬送ローラ18、19によって、本体上カバー20に設けられた排出口20a(図2参照)から印字後のロール紙Rを排出するように構成される。
【0019】
なお、図1に示すように、本体上カバー20は、支軸22を中心として回動自在に取り付けられている。
【0020】
ロール紙搬送機構3の下方には、チェック紙Sに対して裏書き印字を行うための第2の印字部23が設けられている。この第2の印字部23は、リボンカセット方式のインクリボン(図示せず)を用いて印字を行うものである。特に本実施の形態の場合、第2の印字部23は、インパクトシャトル方式による印字ヘッド23aを有している。そして、この第2の印字部23は、装置本体に対して着脱可能な印字ユニットから構成されている。なお、インパクトシャトル方式とは、所定の間隔を隔てて印刷行と平行な方向に配置された複数のインパクトドット要素を備えたユニットを、印刷行と平行な方向に、前記所定の間隔だけ移動させながら1ドットラインの印字を行い、その後、記録媒体を1ドットライン分移動させるという動作を繰り返すことによって所望の印字結果を得る方式である。インパクトドット要素を1ライン備えるのみでよいので、ユニット全体が薄く構成でき、また、ユニットを往復動させる機構が簡単なので全体として小型でしかも安価に構成できるという特長がある。この方式のプリンタは例えば米国特許4,373,438号に詳細に説明されている。
【0021】
図1及び図2に示すように、第1の印字部4の下方には、チェック紙Sの搬送経路が形成されている。すなわち、装置本体の前側部分に一対のガイド部材24、25によって紙挿入口26が形成され、これらのガイド部材24、25は上方向に湾曲して上記第2の印字部23の近傍まで延びるようになっている。そして、ガイド部材24、25の途中には搬送ローラ対の第1の搬送ローラ27、28が配設されている。また、チェック紙Sの搬送経路上、第1の印字部4と第2の印字部23の間、本例では内側のガイド部材27の先端部の近傍には、第2の搬送ローラ29、30が配設されている。
【0022】
このように、本実施の形態においては、第2の搬送ローラ29、30のチェック紙排出方向(紙挿入口26から後述する排出口21へ向かう方向。図3における矢印F方向)下流側に第1の印字部4が配設され、第2の搬送ローラ29、30のチェック紙排出方向上流側に第2の印字部23が配設されている。
【0023】
このような構成とすることにより、チェック紙Sの表書き印字及び裏書き印字を行うに際し、第1の印字部4及び第2の印字部23の各印字ヘッド4a及び23aを、通常の裏書き位置を考慮した場合の最適の印字位置に配することができるようになっている。
【0024】
また、第2の搬送ローラ29、30の上方には、本体上カバー20と本体前カバー5とによって、チェック紙Sを排出するための排出口21が形成される。
【0025】
図3に示すように、チェック紙Sは、第1の搬送ローラ27、28及び第2の搬送ローラ29、30によって矢印F(排出)方向又はこれと逆の矢印B方向に搬送されるように構成されている。この場合、搬送ローラ27及び搬送ローラ29は、図示しない駆動機構によって同期して回転するようになっている。
【0026】
ここで、第1の搬送ローラ27、28は下側のローラ28が上側のローラ27に対して接離自在となるように構成されている。また、第2の搬送ローラ29、30の図中右側のローラ30は上述のロール紙搬送機構3に配設され、図中左側のローラ29に対して接離自在となるように構成されている。なお、第1及び第2の搬送ローラを接離自在とする機構には、プランジャ等の周知の機構を用いることができる。
【0027】
また、紙搬送経路上、第1の搬送ローラ27、28と第2の搬送ローラ29、30との間には、フォームストッパ31が設けられる。このフォームストッパ31は、挿入されたチェック紙Sを一旦停止させるためのものであり、所定のタイミングで搬送経路から退避できるように構成されている。
【0028】
また、フォームストッパ31の近傍には、チェック紙Sの有無を検出するチェック紙センサ32が設けられる。このチェック紙センサ32としては、例えば透過型や反射型のフォトセンサ等が用いられる。
【0029】
一方、第1の搬送ローラ27、28の近傍には、チェック紙Sに記録されたMICR文字を読み取るための情報読取ヘッドとしての磁気ヘッド33が設けられている。この磁気ヘッド33は、読み取り処理を行う際にチェック紙Sを磁気ヘッド33に押し付けることによってチェック紙Sをヘッド部分に密着させるための図示しない押圧部材を備えている。押圧部材としてはローラ、低摩擦係数のパッド等の周知の部材を用いることができる。また、押圧部材によるチェック紙Sの押圧を解除することが可能となっており、このための機構としてプランジャ等の周知の駆動機構を用いることができる。
【0030】
なお、上記第1の印字部4、第2の印字部23、第1の搬送ローラ27、28及び第2の搬送ローラ29、30の駆動部、フォームストッパ31の駆動部、チェック紙センサ32、磁気ヘッド33等は、図示しないインターフェース及びバスを介して、CPU、ROM、RAM等から構成される制御部(図示せず)に接続されている。ここで、この制御部は、チェック紙センサ32、磁気ヘッド33の検出又は読み取り結果を認識、判断し、その結果に基づいて上記第1の印字部4、第2の印字部23、第1の搬送ローラ27、28及び第2の搬送ローラ29、30の駆動部、フォームストッパ31の駆動部等の複合処理装置1の各部分の動作を制御する機能を有している。
【0031】
また、本実施の形態の複合処理装置1は、上述したチェック紙Sのみならず、例えばA4サイズのスリップ紙等を搬送することができ、また第1の印字部4によってそのようなスリップ紙に対して所定の印字を行うように構成されているものである。
【0032】
図4は、本発明に係る複合処理装置の制御方法の1例を示すものである。
【0033】
まず、ステップS1において、チェック紙Sのセット待ちを行う。すなわち、第1の紙送りローラ27、28の下側のローラ28を図3の点線で示す位置に移動させて第1の紙送りローラ27、28を開状態にするとともに、フォームストッパ31を搬送経路内に突出させる。従って、オペレータはこの状態で、図2に示すように、チェック紙Sを表側面(MICR文字が印刷されている側)を上にし、且つ、チェック紙Sの側端を本体フレーム6に設けられた案内部6aに沿わせて紙挿入口26から挿入する。これにより、チェック紙Sの先端部がフォームストッパ31に突き当たり、また、その側端部が案内部6aに沿った状態で所定の位置に位置決めされる。なお、この所定の位置はチェック紙Sの基準位置であり、この位置に基づいて以降の処理、即ち、MICR文字の読み取り、裏書き印字及び表書き印字の各処理が行われる。
【0034】
チェック紙Sの先端部がチェック紙センサ32によって検出されると、チェック紙Sが確実にセットされたと判断してステップS2の処理を開始する。
【0035】
ステップS2では、チェック紙Sを排出方向(矢印F方向)へ搬送する。すなわち、第1の紙送りローラ27、28の下側のローラ28を図3の実線で示す位置に移動させ、第1の紙送りローラ27、28を閉状態にしてチェック紙Sを把持するとともに、フォームストッパ31を搬送経路から待避させる。そして、第1の紙送りローラ27、28を正方向に回転させることによりチェック紙Sを矢印F方向へ搬送する。
【0036】
本例においてはチェック紙Sの先端部の位置決めを行うためにフォームストッパ31を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、フォームストッパ31がない場合においては、チェック紙Sがチェック紙センサ32によって検出されたら第1の紙送りローラ27、28を閉状態にしてチェック紙Sを把持し、チェック紙Sがチェック紙センサ32によって検出されなくなるまで矢印B方向へ搬送する。そして徐々に矢印F方向に搬送してチェック紙Sがチェック紙センサに検出された位置で搬送を停止する。これにより、チェック紙Sの先端をチェック紙センサの位置、即ち基準位置に位置づけることができる。
【0037】
ステップS3では、チェック紙Sが所定の位置に到達した時点においてチェック紙Sの搬送を一旦停止する。所定の位置とは、MICR文字列の端部が磁気ヘッド33の検出部を通過した位置である。この処理を頭出し処理という。
【0038】
ステップS4では、第1の紙送りローラ27、28を逆方向に回転させてチェック紙Sを排出方向と反対方向(矢印B方向)へ搬送しながら磁気ヘッド33を駆動することにより、チェック紙Sの表側面に記録されているMICR文字の読み取りを行う。ここで磁気ヘッドの駆動とは、バイアス磁界を発生させながらその磁界のMICR文字による変化を読み取ることをいう。読み取りが終了すれば搬送を停止する。
【0039】
ステップS5では、MICRヘッドにおける読み取り結果に基づいてチェック紙Sの有効/無効を判断し、無効であると判断した場合にはステップS6に移行し、有効であると判断した場合にはステップS8に移行する。ここで、チェック紙Sが無効である場合というのは、チェック紙Sが適切に挿入されていない場合、チェック紙S以外のスリップ紙が挿入されている場合、チェックそのものが無効等の場合である。
【0040】
なお、この判断は本例の装置で行ってもよいが、本装置が接続されるホスト装置で行ってもよい。即ち、読み取り結果である文字コード及びステータスデータを本装置からホスト装置に送信し、ホスト装置でその文字コード及びステータスデータに基づいて上記の判断を行い、その結果を本装置が受信するのである。これにより、チェックを振り出した銀行等への照会等のさらに高度な処理を用いての判断が可能となる。
【0041】
ステップS6では、チェック紙Sを排出方向と反対方向へ搬送し、さらに、ステップS7において、チェック紙Sをそのまま紙挿入口26から排出する。この処理は本装置が上記結果に基づいて自動的に行ってもよいが、ホスト装置に接続されている場合には、ホスト装置からのコマンドに応じて行うようにしてもよい。これにより、さらに柔軟性の高い処理を行うことができる。
【0042】
ステップS8では、第1の紙送りローラ27、28を正方向に回転させてチェック紙Sを引き続き行われる印刷処理に備えて再度排出方向へ搬送する。なお、当該搬送処理はホスト装置からの所定のコマンドに応じて行うことも可能である。
【0043】
この場合、例えば次のような手順によって第1の搬送ローラ27、28から第2の搬送ローラ29、30へのチェック紙Sの受け渡しを行う。すなわち、第2の搬送ローラ29、30の第2の印字部23側のローラ30を図3の点線で示す位置に移動しておき、チェック紙Sの先端部が第2の搬送ローラ29、30の間に到達した時点でチェック紙Sの搬送を一旦停止し、そして、ローラ30を図3の実線で示す位置に移動してチェック紙Sを把持し、第2の搬送ローラ29、30を正方向に回転してチェック紙Sを矢印F方向へ搬送する。なお、この場合、第1及び第2の搬送ローラの開閉を行う機構の動作が充分早い場合には、必ずしもチェック紙Sの搬送を停止しなくてもよい。
【0044】
ステップS9では、第2の印字部23を駆動してチェック紙Sの裏側面に裏書き印字を行うとともに、第1の印字部4を駆動してチェック紙Sの表側面に表書き印字を行う。なお、これらの印字処理はホスト装置から受信した印字データその他の制御コマンドに基づいて行うこともできる。この場合、必要に応じて、チェック紙Sを矢印F及びB方向に搬送しながら印字を行う。その後、ステップS10では、チェック紙Sをさらに矢印F方向へ搬送して排出口20aから排出する。かかる排出処理もホスト装置からのコマンドに応じて行ってもよい。
【0045】
以上述べたように本例においては、チェック紙Sの各面にそれぞれ表書き印字及び裏書き印字を行う第1及び第2の印字部4、23が設けられ、MICR文字を読み取った後、チェック紙Sを排出方向へ搬送しつつ同時にあるいは平行して表書き印字及び裏書き印字を行うように構成されていることから、チェック紙Sを装置に一回装填して操作するだけですべての処理を行うことができる。
【0046】
その結果、本例によれば、処理時間を大幅に短縮することができるとともに、チェック紙Sを裏返す必要がないので、オペレータの行う操作を簡単なものとすることができる。
【0047】
しかも、本例の場合、チェック紙SのMICR文字が記録されている面を上にして装填することができるため、オペレータがチェック紙Sの表側面を見ながらそのセットを行うことができ、チェック紙Sの装填作業を容易に行うことができる。
【0048】
また、本例においては、ロール紙Rを第1の印字部4の印字位置を経由して搬送するロール紙搬送機構3が回動自在に構成されていることから、このロール紙搬送機構3を回動することにより第2の印字部23のリボンカセット等のインキング部材を容易に交換することができる。
【0049】
さらに、第2の印字部23は、装置本体に対して着脱可能な印字ユニットで構成されていることから、第2の印字部23をオプション部品として取り扱うことが可能になり、ユーザーにおける選択の幅を広げることができる。
【0050】
さらにまた、第2の印字部23は、インパクトシャトル方式による印字ヘッドを有するものであるから、第2の印字部23を薄く、小型にすることができ、これにより装置構成の小型化を図ることができる。
【0051】
この例のように、チェック紙Sを排出方向と反対方向(矢印B方向)へ搬送させながら磁気ヘッド33によりMICR文字の読み取りを行う場合は、第1の搬送ローラ27、28は磁気ヘッド33の上流側に配置してチェック紙Sを磁気ヘッド33及びその押圧部材から引き出すように構成すると、チェック紙Sが薄くてその剛性が低くても磁気ヘッド33を通過するチェック紙Sの搬送速度は安定し、読み取り精度は向上する。
【0052】
図5は、本発明に係る複合処理装置の制御方法の第2の例を示すものである。
【0053】
ステップS21において、上記例の場合と同様にチェック紙Sのセットを待ち、チェック紙Sのセットが検出されたらステップS22において、チェック紙Sを把持する。なお、必要に応じて、MICR文字列の先端部が磁気ヘッドの読取部に位置するように、チェック紙Sを矢印F又はB方向に搬送してもよい。
【0054】
ステップS23では、チェック紙Sを排出方向へ搬送させながら磁気ヘッド33によってチェック紙Sの表側面のMICR文字を読み取る。なお、この処理に先立って、第2の搬送ローラ29、30を開放状態としておくことが望ましい。閉状態としておくとチェック紙Sの先端がこのローラに衝突してチェック紙Sの搬送速度が変化し、読み取りエラーを招来する場合があるからである。
【0055】
ステップS24では、上述のステップS5におけると同様、MICRヘッドによる読み取り結果に基づいてチェック紙Sの有効/無効を判断し、無効であると判断した場合にはステップS25に移行し、有効であると判断した場合にはステップS27に移行する。ここで、チェック紙Sが無効である場合というのは、チェック紙Sが適切に挿入されていない場合、チェック紙S以外のスリップ紙が挿入されている場合、チェック紙Sそのものが無効等の場合である。
【0056】
なお、この判断は本例の装置で行ってもよいが、本装置が接続されるホスト装置で行ってもよい。即ち、読み取り結果である文字コード及びステータスデータを本装置からホスト装置に送信し、ホスト装置でその文字コード及びステータスデータに基づいて上記の判断を行い、その結果を本装置が受信するのである。これにより、チェックを振り出した銀行等への照会等のさらに高度な処理を用いての判断が可能となる。
【0057】
ステップS25では、チェック紙Sを排出方向と反対方向へ搬送し、さらに、ステップS26において、チェック紙Sをそのまま紙挿入口26から排出する。なお、当該搬送処理はホスト装置からの所定のコマンドに応じて行うことも可能である。
【0058】
ステップS27では、引き続き行われる印刷処理に備えて、第2の印字部23がチェック紙Sの後端部の近傍に印字可能な所定位置までチェック紙Sを更に排出方向へ搬送させる。なお、MICR読み取りの終了時点でチェック紙Sが当該位置より紙排出口26の側に位置している場合には、チェック紙Sを排出方向とは反対の方向へ搬送することになる。また、当該搬送処理はホスト装置からの所定のコマンドに応じて行うことも可能である。
【0059】
ステップS28では、チェック紙Sを排出方向と反対方向へ搬送させながら第2の印字部23によってチェック紙Sの裏側面に裏書き印字を行う。なお、この印字処理はホスト装置から受信した印字データその他の制御コマンドに基づいて行うこともできる。この場合、必要に応じて、チェック紙Sを矢印F及びB方向に搬送しながら印字を行う。
【0060】
裏書き印字終了後、ステップS29において、チェック紙Sを排出方向とは反対方向へ更に搬送する。ステップ30では、チェック紙センサ32によってチェック紙Sの終端である下端部を検出することによりチェック紙Sの頭出し位置の確認を行う。
【0061】
ステップS31では、上述した方法によってチェック紙Sの頭出しを行った後、チェック紙Sを排出方向へ搬送させながら第1の印字部4によってチェック紙Sの表側面に表書き印字を行う。なお、この印字処理はホスト装置から受信した印字データその他の制御コマンドに基づいて行うこともできる。この場合、必要に応じて、チェック紙Sを矢印F及びB方向に搬送しながら印字を行う。
【0062】
ステップS32では、チェック紙Sをさらに排出方向へ搬送して排出口20aから排出する。なお、当該搬送処理はホスト装置からの所定のコマンドに応じて行うことも可能である。
【0063】
本例によれば、チェック紙Sを装置に一回装填して操作するだけですべての処理を行うことができることに加え、異なるサイズのスリップ紙を処理する場合であっても、チェック紙Sに対して確実に表書き印字及び裏書き印字を行うことができる。
【0064】
また、第1の印字ヘッドと第2の印字ヘッドが同時に印字することがないので、使用されるピ−ク電流を小さくすることができ、電源や回路を構成する素子を廉価で更には小さくできる。
【0065】
この例のように、チェック紙Sを排出方向へ搬送させながら磁気ヘッド33によってチェック紙Sの表側面のMICR文字を読み取る場合は、第1の搬送ローラ27、28を磁気ヘッド33の下流側に配置してチェック紙Sを磁気ヘッド33から引き出すように構成すると、チェック紙Sが薄くてその剛性が弱くても磁気ヘッド33を通過するチェック紙Sの搬送速度は安定し、読み取り精度は向上する。
【0066】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。例えば、上述の実施の形態においては、第1及び第2の印字部としてリボンカセット方式のインクリボンを使用して印字を行うものを用いたが、本発明はこれに限られず、例えばインクジェット方式の印字ヘッドによって印字を行うものを用いることもできる。その場合には、印字の際の音を静かにすることができ、また、印字ヘッドとプラテンの間のギャップの精度をそれほど高く設定する必要がないというメリットがある。
【0067】
あるいは、第1及び第2の印字部をリボンからインクを溶着させて記録媒体に転写させる熱転写方式のサーマルプリンタを用いてもよい。しかもリボンは、複数回印字することが可能なマルチタイプのインクリボンが望ましい。この場合、印字の際の音を静かにできるとともに装置全体を薄くすることができる。
【0068】
また更に、第2印字部のみをインクジェット方式のプリンタ、若しくは熱転写方式のサーマルプリンタを用いてもよい。この場合、第2印字部には、裏書きであるため印字行数や印字数が少なく、また多枚紙への印字も要求されないことと、インパクト方式に比して印字品質が格段によいことから効果的である。
【0069】
また、記録媒体としてチェック紙を用いて説明したが、両面に印字できるものなら何でもよく、例えば、シート材がロール状になっているものであっても、若しくは印字可能な樹脂で形成されたフィルム状のシートであっても構わない。樹脂の記録媒体を用いる場合、第1及び第2の印字部はインクジェット方式の印字ヘッドがより効果的である。
【0070】
更に、磁気ヘッド33へチェック紙Sを密着させる機構として、押圧ローラを用いた例としたが、回転しないものであっても構わない。その場合、搬送負荷を小さくするようにチェック紙Sとの摩擦係数が小さいものが望ましい。
【0071】
本例の装置においてはロール紙搬送機構3を支軸12回りに回動可能に設け、閉状態(図1における実線の状態)にある場合に印字ヘッド4aによってロール紙Rに印字を行う構成としている。しかし、本発明はかかる構成に限定されるものではなく、ロール紙搬送機構3の搬送経路中にロール紙R専用の印字ヘッドを設けてもよい。この印字ヘッドはサーマルヘッドであることが望ましく、その構造は、例えば特開平9−141595号公報(米国特許出願08/752,782)に詳細に記載されている。
【0072】
【発明の効果】
以上述べたように請求項1記載の発明によれば、磁気情報が記録された記録媒体を挟持して搬送経路に沿って移動させる為の第1のローラ対と、搬送経路沿に配置され、記録媒体に記録されている磁気情報を読み取る情報読取ヘッドと、搬送経路に対して情報読取ヘッドの側であって、読取ヘッドの記録媒体の搬送方向下流側に位置し、情報読取ヘッドによって読み取られた結果に基づいて記録媒体に印字を行う第1の印字ヘッドと、情報読取ヘッドと第1の印字ヘッドとの間に位置であって、搬送経路に対して第1の印字ヘッドとは反対側に配置され、情報読取ヘッドによって読み取られた結果に基づいて記録媒体に印字を行う第2の印字ヘッドとを備えたことにより、表書き印字と裏書き印字を同時に行うように構成されていることから、記録媒体を装置に一回装填して操作するだけですべての処理を行うことができる。また、第1の印字ヘッドに対向して配置され、ロール状の記録媒体を搬送するロール搬送機構を有し、ロール搬送機構は、第2の印字ヘッドを外部に対して露出するべく移動可能に設けられてなるから、第1の印字ヘッドにおいてロール紙に印字を行うように構成した場合であっても、紙搬送部を回動することにより第2の印字部のリボンカセット若しくはインクカートリッジの装着又は取り外しが可能になるため、容易に交換を行うことができる。
【0073】
その結果、本発明によれば、処理時間を大幅に短縮することができるとともに、スリップ紙を裏返す必要がないので、オペレータの行う操作を簡単なものとすることができるだけでなく、装置内部の消耗品の交換も簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る複合処理装置の実施の形態の全体内部構成を示す概略構成図である。
【図2】 同実施の形態の複合処理装置の内部を正面方向から見た斜視図である。
【図3】 同実施の形態の複合処理装置の要部を示す概略構成図である。
【図4】 本発明に係る複合処理装置の制御方法の第1の例を示すフローチャートである。
【図5】 本発明に係る複合処理装置の制御方法の第2の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 複合処理装置
3 紙搬送部
4 第1の印字部
4a 印字ヘッド
8 プラテン部
18、19 搬送ローラ
23 第2の印字部
23a 印字ヘッド
24、25 ガイド部材
26 紙挿入口
27、28 搬送ローラ(搬送ローラ対)
29、30 搬送ローラ(搬送ローラ対)
31 フォームストッパ
32 チェック紙センサ
33 MICR読取ヘッド(情報読取ヘッド)
40 リボンカセット
R ロール紙
S チェック紙(スリップ紙)

Claims (1)

  1. 情報が記録された記録媒体を案内する搬送経路と、
    前記搬送経路に沿って配置され、前記記録媒体に記録されている情報を読み取る情報読取ヘッドと、
    前記搬送経路に沿って配置され、前記記録媒体の第1の面に印字を行う第1の印字ヘッドと、
    前記搬送経路の前記第1の印字ヘッドとは反対側に沿って配置され、前記記録媒体の前記第1の面と反対の第2の面に印字を行う第2の印字ヘッドと、
    前記搬送経路に連通して配置され、前記記録媒体が挿入される挿入口と、
    前記搬送経路に連通して配置され、前記記録媒体が排出される排出口とを有する複合処理装置であって、
    前記情報読取ヘッドは、前記挿入口と前記第2の印字ヘッドとの間に配置され、
    前記第1の印字ヘッドは、前記第2の印字ヘッドと前記排出口との間に配置される複合処理装置において、
    前記第1の印字ヘッドに対向して配置され、前記第1の印字ヘッドによって印字されるロール状の記録媒体を搬送するロール搬送機構を有し、
    前記ロール搬送機構は、前記第2の印字ヘッドを外部に対して露出するべく移動可能に設けられてなることを特徴とする複合処理装置。
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