JP3878322B2 - エアベアリングシリンダ及び半導体製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エアベアリングシリンダ及び半導体製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体製造プロセスにおいて使用される装置の代表例として、例えばダイボンダ等が知られている。この種の装置は、通常、二次元方向または三次元方向に駆動可能なボンディングヘッドを備えており、そこには半導体チップを真空吸着するためのロッドを有するエアシリンダが取り付けられる。特に近年ではロッドの高精度制御が要求されていることから、エア圧を利用した非接触タイプの軸受け部材を備えるエアベアリングシリンダを取り付けたものが登場するに至っている。従来におけるエアベアリングシリンダ61の一例を図8に示す。
【0003】
図8に示されるように、このエアベアリングシリンダ61を構成するシリンダブロック62は、図示しないボンディングヘッドに対して一体移動可能に設置される。シリンダブロック62には、同ブロック62の下端面にて開口するロッド挿通孔63が形成されている。
【0004】
ロッド挿通孔63内には、真空吸着用ロッド64が自身の長手方向に沿って移動可能に挿通されている。ロッド64の下端面には、半導体チップ65を真空吸着するための治具66が一体移動可能に取り付けられている。ロッド64内には真空引き通路67が形成されている。真空引き通路67の一方側はロッド64の下端面において開口し、他方側は外周面の所定箇所において開口している。シリンダブロック62において前記真空引き通路67の開口に対応する位置には通路68aが形成され、その通路68aはさらに真空引きポート68に連通されている。従って、真空引きポート68及び通路68aを介した真空引きにより、半導体チップ65をロッド64の下端面側に吸着可能となっている。
【0005】
ロッド挿通孔63内の2箇所には、軸受け部材としての多孔質体69が配設されている。これらの多孔質体69には、通路70a,70b及び前記通路70a,70bに連通するポート70を介して加圧エアが供給される。すると、多孔質体69から噴射される加圧エアの作用によって、ロッド64がシリンダブロック62に対して非接触的に支承されるようになっている。
【0006】
ロッド64の上端部分には、ロッド64をシリンダブロック62の下端面から突出させる方向に移動させるための推力をもたらす基端側圧力作用部71が形成されている。基端側圧力作用部71を収容している圧力作用室72には、通路73aを介してポート73が連通している。このポート73及び通路73aを経て圧力作用室72に供給される制御エアは、基端側圧力作用部71に作用してロッド70を下方に押圧する。
【0007】
一方、ロッド64の中程部分には、ロッド64をシリンダブロック62内に没入させる方向に移動させるための推力をもたらす先端側圧力作用部74が形成されている。先端側圧力作用部74を収容している圧力作用室75には、通路76aを介してポート76が連通している。このポート76及び通路76aを経て圧力作用室75に供給される制御エアは、先端側圧力作用部74に作用してロッド64を上方に押圧する。即ち、このエアベアリングシリンダ61は、ロッド64が2方向に駆動可能な複動型となっている。
【0008】
上記のように構成されたエアベアリングシリンダ61は、ロッド64に半導体チップ65を真空吸着した状態でボンディングヘッドを水平駆動し、半導体チップ65をリードフレーム上まで搬送する。次いで、ボンディングヘッドを垂直駆動し、リードフレームのダイエリアに半導体チップ65を当接させる。このとき、ロッド64が所定かつ弱い設定圧力で半導体チップ65を押圧する結果、ダイエリアに半導体チップ65が接合されるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このようなエアベアリングシリンダ61においてさらなるロッド64の制御精度の向上を図ろうとした場合、その1つの対策としてはロッド64等の部品加工精度の改善が考えられる。しかしながら、部品加工精度の改善という対策では制御精度の向上にも自ずと限界があるばかりでなく、部品の高精度加工を行うためには高度の技術を必要とする。よって、かかる対策ではシリンダ61の製造が困難になるおそれがある。
【0010】
ところで、このようなシリンダ61では、ロッド64及び治具66に対して重力が絶えず働いていることから、その自重分を解消する何らかの機構を設けることが、さらなる制御精度の向上を達成するうえで望ましい。そのための自重解消機構としては、例えば図8のごときものが考えられる。即ち、同図のロッド64の下端部近傍には、さらにもう1つの圧力作用部77が形成されている。この自重解消用の圧力作用部77は、ロッド挿通孔64の開口部近傍位置に形成された別の圧力作用室78内に配置されている。この圧力作用室78には、通路79aを介してポート79が連通している。ポート79には、ロッド64及び治具66の自重解消に必要な圧力の制御エアが供給される。すると、その制御エアが圧力作用部77に作用する結果、ロッド64を上方に持ち上げる推力をもたらす。このため、ロッド64及び治具66と重力とがちょうどバランスし、実質的にそれらの自重分が解消され、微少な荷重の制御がある程度は可能となっている。
【0011】
しかしながら、上記のような箇所に自重解消機構を設けるとすると、ロッド64及びシリンダブロック62の全長を長くする必要があり、シリンダ61全体の長大化につながってしまう。また、ロッド形成材料に対して圧力作用部71,74,77を形成する加工を行うべき箇所が増える結果、ロッド61の構造の複雑化や製造コストの増大が避けられない。
【0012】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、制御精度に優れるとともに、全体の長大化をある程度防止することができるエアベアリングシリンダを提供することにある。
【0013】
本発明の第2の目的は、上記目的に加え、比較的構造が簡単でかつ製造が容易なエアベアリングシリンダを提供することにある。
本発明の第3の目的は、上記目的に加え、高性能の半導体を製造するうえで好適な半導体製造装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、ロッド挿通孔を有するシリンダブロックと、前記ロッド挿通孔に自身の長手方向に沿って駆動可能に挿通されるロッドと、前記ロッド挿通孔の内壁面に設けられかつ前記ロッドに対して加圧エアを噴出することで前記ロッドを非接触的に支承する軸受け部材とを備えるエアベアリングシリンダにおいて、少なくとも前記ロッドの自重分を解消するための推力をもたらす第1の圧力作用部と、同ロッドを駆動制御するための推力をもたらす第2の圧力作用部とを前記ロッドに形成するとともに、前記ロッド挿通孔の内壁面と前記ロッドの外周面との間にできる互いに独立した2種の圧力作用室のうち、第1の圧力作用室に前記第1の圧力作用部を配置しかつ第1のポートを介してそこに制御エアを供給可能とし、第2の圧力作用室に前記第2の圧力作用部を配置しかつ第2のポートを介してそこに制御エアを供給可能とし、前記第1及び第2の圧力作用部を、前記ロッドの中心を基準として互いに反対面側となる位置関係、又は隣接する面となる位置関係で形成したことを特徴とするエアベアリングシリンダをその要旨とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、ロッド挿通孔を有するシリンダブロックと、前記ロッド挿通孔に自身の長手方向に沿って駆動可能に挿通されかつロッド付帯部材が取り付けられた突出端側を下方に向けた状態で挿通されるロッドと、前記ロッド挿通孔の内壁面に設けられかつ前記ロッドに対して加圧エアを噴出することで前記ロッドを非接触的に支承する軸受け部材とを備えるエアベアリングシリンダにおいて、前記ロッド及び前記ロッド付帯部材の自重分を解消するための推力をもたらす第1の圧力作用部と、同ロッドを駆動制御するための推力をもたらす第2の圧力作用部とを前記ロッドに形成するとともに、前記ロッド挿通孔の内壁面と前記ロッドの外周面との間にできる互いに独立した2種の圧力作用室のうち、第1の圧力作用室に前記第1の圧力作用部を配置しかつ第1のポートを介してそこに制御エアを供給可能とし、第2の圧力作用室に前記第2の圧力作用部を配置しかつ第2のポートを介してそこに制御エアを供給可能とし、前記第1及び第2の圧力作用部を、前記ロッドの中心を基準として互いに反対面側となる位置関係、又は隣接する面となる位置関係で形成したことを特徴とするエアベアリングシリンダをその要旨とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記第1の圧力作用部の有効受圧面積は、前記第2の圧力作用部の有効受圧面積と同等かまたはそれよりも大きく設定されているとした。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記ロッドには前記第1の圧力作用部がもたらす推力の方向と逆向きの推力をもたらす第3の圧力作用部が形成され、前記シリンダブロックにはその第3の圧力作用部が配置されている第3の圧力作用室内に制御エアを供給するための第3のポートが設けられているとした。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記第1及び第2の圧力作用部は、ともに前記ロッドの突出端側を向くようにして形成されているとした。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項5において、前記第1及び第2の圧力作用部は、ともに前記ロッドの長手方向に対して垂直関係にある同一平面内に存在しているとした。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項2乃至6のいずれか1項において、前記ロッドは真空引き通路を有する真空吸着用ロッドであり、前記ロッド付帯部材は前記ロッドに被吸着物を保持するための治具であり、前記シリンダブロックには真空引きポートが前記真空引き通路の外周側開口に対応して設けられているとした。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項2乃至7のいずれか1項に記載されたエアベアリングシリンダを構成要素とし、そのシリンダにおける前記ロッドの突出端側に取り付けられたロッド付帯部材に半導体チップを真空吸着した状態でその半導体チップを搬送する搬送押圧機構を備えた半導体製造装置をその要旨とする。
【0022】
以下、本発明の「作用」について説明する。
請求項1,3〜7に記載の発明によると、第1の圧力作用室に供給された制御エアは、同室内に配置された第1の圧力作用部に作用して、少なくともロッドの自重分を解消するための推力をそのロッドにもたらす。その結果、ロッドとそのロッドに働く重力とがバランスし、制御精度に与える重力の影響が低減される。
また、第2の圧力作用室に供給された制御エアは、同室内に配置された第2の圧力作用部に作用して、同ロッドを駆動制御するための推力をもたらす。ここで第1及び第2の圧力作用室は互いに独立していることから、各圧力作用室には各々適圧の制御エアを別個に供給することができる。ゆえに、自重解消に必要な推力を得るための制御エアと、駆動制御に必要な推力を得るための制御エアとを切り離すことができ、それらを共通化しなくてもよくなる。その結果、小さな制御圧での駆動制御が可能となり、その制御圧を適宜調整することによって、ロッドを高精度で駆動制御することができる。また、両圧力作用室が互いに独立していれば、例えば自重解消のための構成と駆動制御のための構成とを近接させて配置することも可能になる。ゆえに、このように配置すれば、シリンダ全体の長大化もある程度は回避することができる。さらに、両圧力作用室が互いに独立していることから、例えばそれらの有効受圧面積の大小関係を任意に設定することも容易となる。
また、両圧力作用部を上記のような位置関係で形成すれば、それらが配置される両圧力作用室を互いに独立した状態に維持することが比較的容易となり、両圧力作用室間での制御エアの干渉が回避される。このことはロッドの駆動制御の高精度化に貢献する。
【0023】
請求項2〜7に記載の発明によると、第1の圧力作用室に供給された制御エアは、同室内に配置された第1の圧力作用部に作用して、ロッド及びロッド付帯部材の自重分を解消するための推力をそのロッド等にもたらす。その結果、突出端側を下方に向けた状態で挿通されたロッド及びロッド付帯部材とそれらに働く重力とがバランスし、制御精度に与える重力の影響が低減される。また、第2の圧力作用室に供給された制御エアは、同室内に配置された第2の圧力作用部に作用して、同ロッドを駆動制御するための推力をもたらす。ここで第1及び第2の圧力作用室は互いに独立していることから、各圧力作用室には各々適圧の制御エアを別個に供給することができる。ゆえに、自重解消に必要な推力を得るための制御エアと、駆動制御に必要な推力を得るための制御エアとを切り離すことができ、それらを共通化しなくてもよくなる。その結果、小さな制御圧での駆動制御が可能となり、その制御圧を適宜調整することによって、ロッドを高精度で駆動制御することができる。また、両圧力作用室が互いに独立していれば、例えば自重解消のための構成と駆動制御のための構成とを近接させて配置することも可能になる。ゆえに、このように配置すれば、シリンダ全体の長大化もある程度は回避することができる。さらに、両圧力作用室が互いに独立していることから、例えばそれらの有効受圧面積の大小関係を任意に設定することも容易となる。
また、両圧力作用部を上記のような位置関係で形成すれば、それらが配置される両圧力作用室を互いに独立した状態に維持することが比較的容易となり、両圧力作用室間での制御エアの干渉が回避される。このことはロッドの駆動制御の高精度化に貢献する。
【0024】
請求項3に記載の発明によると、両圧力作用部の有効受圧面積の大小関係を上記のように設定しておけば、自重解消用の推力よりも小さい駆動制御用の推力をロッドにもたらすことができる。従って、狭い範囲での微妙な圧力調整が可能となり、より高精度にロッドを駆動制御することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によると、前記ロッドには前記第1の圧力作用部がもたらす推力の方向と逆向きの推力をもたらす第3の圧力作用部が形成され、前記シリンダブロックにはその第3の圧力作用部が配置されている第3の圧力作用室内に制御エアを供給するための第3のポートが設けられていれば、複動型となるため2方向へのロッドの駆動制御の高精度化に貢献できる。
【0026】
請求項5に記載の発明によると、両圧力作用部をともにロッドの突出端側を向くようにして形成すれば、自重解消用の推力の方向と駆動制御用の推力の方向とを同一にすることができる。また、自重解消用の推力の方向と駆動制御用の推力の方向とが反対方向になるものと比較して、構造が簡単なものとなりかつ製造が容易になる。
【0027】
請求項6に記載の発明によると、両圧力作用部をともにロッドの長手方向に対して垂直関係にある同一平面内に存在した構造であれば、ロッド形成材料に対して圧力作用部を形成する加工を行うべき箇所が少なくて済む。よって、ロッドの構造の複雑化が回避されるとともに、加工労力の低減によって製造コストの増大が回避される。しかも、このように配置すれば、シリンダ全体の長大化が確実に回避され、コンパクトなシリンダとすることができる。
【0028】
請求項7に記載の発明によると、真空引きポート及び真空引き通路を介して真空引きを行うことにより、真空吸着用ロッドの突出端部に取り付けられた治具に被吸着物が保持される。このような構造のエアベアリングシリンダであると、例えばダイボンダ等における押圧装置としての使用に適したものとなる。
【0029】
請求項8に記載の発明によると、高制御精度が可能なロッドに取り付けられたロッド付帯部材に真空吸着された半導体チップを搬送した後、その半導体チップを接合面に対して高い精度で押圧することができる。従って、破損等を伴うことなく半導体チップを接合面に対して確実に接合することができ、製造される半導体も高性能なものとなる。
【0030】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態のエアベアリングシリンダ1を利用したシリンダシステムC1 を図1〜図4に基づき詳細に説明する。
【0031】
このシリンダシステムC1 は、半導体製造装置(ここでは具体的にはダイボンダ)の一部を構成するものである。この装置は、三次元方向に駆動可能な図示しないボンディングヘッドを備えている。そして、本実施形態のシリンダシステムC1 はそのボンディングヘッドに設置されていて、当該ヘッドとともに一体的に駆動されるようになっている。
【0032】
図1,図2等に示されるように、このシリンダシステムC1 は、エアベアリングシリンダ1と、それに加圧エアを給排するための構造とからなる。まず、エアベアリングシリンダ1の構造について説明する。
【0033】
同エアベアリングシリンダ1を構成する金属製のシリンダブロック2は、ロッド挿通孔3を有している。ロッド挿通孔3は断面略矩形状であって、シリンダブロック2の上下方向に沿って延びている。同ロッド挿通孔3は非貫通であって、シリンダブロック2の下端面の略中央部のみにて開口している。なお、このロッド挿通孔3は大きく分けて3つの領域(即ちシリンダブロック2の下端面側から順に小断面積領域3a、中断面積領域3b及び大断面積領域3c)からなる。
【0034】
また、このシリンダブロック2は、実際には複数のシリンダブロック構成体を組み合わせて一体化することにより構成されている。ただし、図面作成の便宜上、前記シリンダブロック2を一体物として図示している。
【0035】
図1,図2等に示されるように、ロッド挿通孔3には真空吸着用ロッド4が自身の長手方向に沿って移動可能に挿通されている。このロッド4は、断面正方形状をした上半部31と、断面長方形状をした下半部32とに大きく分けられる(図3参照)。ロッド4の先端側(即ち下端側)は、シリンダブロック2の下端面側にあるロッド挿通孔3の開口から突出している。このロッド4の下端面には、ロッド付帯部材としての真空吸着用治具6がロッド4と一体移動可能に取り付けられている。この治具6には被吸着物である半導体チップ5が真空吸着される。
【0036】
真空吸着用ロッド4の内部には、例えばドリル加工等を施すことによって真空引き通路7が形成されている。真空引き通路7の一方側はロッド4の下端面において開口し、他方側はロッド4の外周面の所定箇所において開口している。前記治具6にもその真空引き通路7に対応する位置に貫通孔が形成されている。図3に示されるように、真空引き通路7の外周面側開口7aは、ロッド4の軸線方向に沿って長い長円形状に形成されていることがよい。一方、真空引き通路7の下端面側開口7bは円形状に形成されている。
【0037】
図1〜図3に示されるように、ロッド4における非突出状態の基端部(即ち上端部)は、フランジ状のストッパ部11になっている。このストッパ部11は大断面積領域3c内において移動可能に配置されている。従って、ストッパ部11の寸法は、中断面積領域3bの寸法よりも大きく、かつ大断面積領域3cの寸法よりも小さい必要がある。
【0038】
ロッド挿通孔3における大断面積領域3cの内壁面には、緩衝部材としての一対のゴムクッション12,13が固定されている。一方のゴムクッション12は円盤状であって、ストッパ部11の上側面に当接可能な位置にある。他方のゴムクッション13は円環状であって、ストッパ部11の下側面に当接可能な位置にある。これら一対のゴムクッション12,13はロッド4に加わる衝撃を緩衝するとともに、ロッド4の移動可能範囲(即ちストローク長)を決定する役割を果たしている。
【0039】
図1,図2に示すように、ロッド挿通孔3の内壁面の複数箇所(本実施形態では2箇所)には、軸受け部材としての多孔質体15,16が設けられている。具体的に説明すると、ロッド挿通孔3の大断面積領域3cにおける内壁面には、多孔質体取付凹部17が形成されている。この取付凹部17には、基端側軸受け部材としての板状の多孔質体15が4つ取り付けられている。一対の多孔質体15は対向した状態で離間配置されている(図1参照)。一方、ロッド挿通孔3の小断面積領域3aにおける内壁面には、多孔質体取付凹部18が形成されている。この取付凹部18には、先端側軸受け部材としての多孔質体16が4つ取り付けられている。一対の板状の多孔質体16も同様に対向した状態で離間配置されている(図1参照)。なお、基端側の多孔質体15は、ロッド4の挿通時においてその上半部31の外周面のうちの2つに対面する。先端側の多孔質体16は、ロッド4の挿通時においてその下半部32の外周面のうちの2つに対面する。
【0040】
前記多孔質体15,16の形成材料としては、例えば焼結アルミニウム、焼結銅、焼結ステンレス等の金属材料を使用することができる。その他にも、焼結三ふっ化樹脂、焼結四ふっ化樹脂、焼結ナイロン樹脂、焼結ポリアセタール樹脂等のような合成樹脂材料や、焼結カーボン、焼結セラミックスなどが使用可能である。
【0041】
図1に示されるように、シリンダブロック2の一側面には給気ポート21が形成されている。この給気ポート21は、エア供給源Pに対して配管L1 を介して直接的に接続されている。多孔質体取付凹部17のある領域と給気ポート21とは、通路21aを介して連通されている。また、2つの多孔質体取付凹部17,18同士は、通路21bを介して連通されている。
【0042】
従って、給気ポート21に加圧エアを供給すると、その加圧エアは通路21aを通り抜けて基端側の多孔質体15の外周面に到達するとともに、通路21a,21bを通り抜けて先端側の多孔質体16の外周面に到達する。そして、前記加圧エアは、両多孔質体15,16の内周面側からロッド4の外周面に向けて噴出される。上記のように噴出された加圧エアの発生する静圧により、ロッド4がシリンダブロック2のロッド挿通孔3に対して非接触的に支承される。即ち、このエアベアリングシリンダ1は静圧スラスト軸受けを備えたものとなっている。
【0043】
シリンダブロック2において多孔質体16の下側に相当する箇所には、ロッド4を包囲する集気空間が形成されている。この集気空間は、シリンダブロック2の一側面に形成された排気ポート22に通路22aを介して接続されている。前記排気ポート22は、配管L2を介して図示しない真空ポンプに接続されている。従って、多孔質体16から噴出した加圧エアの大部分は、まず集気空間内に集められた後、真空ポンプの働きにより排気ポート22を介して外部に排出される。
【0044】
シリンダブロック2の一側面において、真空引き通路7の外周面側開口7bに対応する位置には、真空引きポート23が設けられている。この真空引きポート23は、通路23aを介してロッド挿通孔3内に連通している。真空引きポート23は、配管L6 を介して図示しない真空ポンプに接続されている。従って、真空ポンプの働きにより、配管L6 、真空引きポート23、通路23a、真空引き通路7を介して、治具6の下面側領域の空気が吸引される。その結果、治具6の下面側領域が負圧となり、そこに半導体チップ5が吸着されかつ保持されるようになっている。なお、外周面側開口7bは長円形状に形成されていることから、ロッド4の移動位置の如何を問わず常に通路24aと対向した状態を維持する。
【0045】
シリンダブロック2の一側面において、ロッド挿通孔3の大断面積領域3cに対応する箇所には、第3の推力ポート24が設けられている。第3の推力ポート24は、通路24aを介して第3の圧力作用室P3 に連通している。第3の推力ポート24から供給される制御エアは、第3の圧力作用室P3 内に配置されているロッド4のストッパ部11に作用する。この場合、ストッパ部11の上側面積から下側面積を差し引いたものに相当する領域が、本実施形態における第3の圧力作用部P3 として実質的に機能する。図1,図2に示されるように、第3の圧力作用部P3 の有効受圧面積は、ロッド4の上半部31の断面積S3 と等しいものとなる。
【0046】
そして、この第3の圧力作用部P3 に制御エアが作用すると、ロッド4が下方に押圧される。従って、ロッド4を前進させる推力、より具体的にいうとロッド4をシリンダブロック2の下端面から突出させる方向の推力が、同ロッド4にもたらされる。
【0047】
図3等に示されるように、本実施形態の真空吸着用ロッド4の有する4つの外周面のうち、2つのものは段差部分がなくフラットになっている。2つのフラットな外周面(シール面39)は、ロッド4の中心を基準として互いに反対面側となる位置関係に形成されている。そして、ロッド挿通孔3において中断面積領域3bがある部分の内壁面には、2つのシール面39に対応すべく2箇所にメタルシール38が形成されている。なお、メタルシール38とシール面39とがなすクリアランスは、数μm以内という極めて小さな値に設定されている。
【0048】
ロッド4の有するシール面39以外の2つの外周面はフラットではなく、段差部分を備えている。このような段差部分は、上半部31と下半部32との境目の領域に存在する。本実施形態では、前記段差部分の下端面に第1及び第2の圧力作用部P1 ,P2 としての役割を担わせている。なお、前記第1の圧力作用部P1 は、ロッド4及び治具6の自重分を解消するための推力をロッド4にもたらす。第2の圧力作用部P2 は、ロッド4を駆動制御するための推力をもたらす。
【0049】
第1及び第2の圧力作用部P1 ,P2 は、ロッド4の中心を基準として互いに反対面側となる位置関係にあって、ともにロッド4の突出端側、つまり下端側を向くようにして形成されている。また、図1,図3等からも明らかなように、両圧力作用部P1 ,P2 は、ともにロッド4の長手方向に対して垂直関係にある同一平面内に存在している。
【0050】
第1の圧力作用部P1 の有効受圧面積S1 は、第2の圧力作用部P2 の有効受圧面積S2 と同等かまたはそれよりも大きく(有効受圧面積比S1 /S2 ≧1)設定されていることがよい。好ましくは両者の有効受圧面積比S1 /S2 が2以上に、さらに好ましくは4以上に設定されることがよい。図面作成の便宜上、実際よりも有効受圧面積比S1 /S2 が小さく描かれているものの、本実施形態では有効受圧面積比S1 /S2 =5に設定している。なお本実施形態では、第1の圧力作用部P1 の有効受圧面積S1 は、上述した第3の圧力作用部P3 の有効受圧面積S3 の1/2に設定されている。
【0051】
ロッド挿通孔3にロッド4を挿通した場合、ロッド挿通孔3の内壁面とロッド4の外周面との間には2つの空間ができる。第1の圧力作用部P1 が配置されている空間を第1の圧力作用室35と呼び、第2の圧力作用部P2 が配置されている空間を第2の圧力作用室36と呼ぶことにする。
【0052】
第1及び第2の圧力作用室P1 ,P2 は、ロッド4の中心を基準として互いに反対面側となる位置関係で形成される。これら2つの圧力作用室P1 ,P2 は、メタルシール38及びシール面39の存在により、互いに隔てられている。従って、両圧力作用室P1 ,P2 同士の間で加圧エアの往来は、実用上無視できる程度に少ない。ゆえに、その意味において両者P1 ,P2 は互いに独立したものとなっている。
【0053】
図1,図4に示されるように、シリンダブロック2の一側面において、ロッド挿通孔3の中断面積領域3bの下部に対応する箇所には、第2の推力ポート26が設けられている。第2の推力ポート26は、通路26aを介して第2の圧力作用室P2 に連通している。従って、第2の推力ポート26に供給された制御エアは、前記通路26aを経て第2の圧力作用室P2 に到ることができる。
【0054】
一方、シリンダブロック2において第2の推力ポート26がある位置のちょうど反対面側の箇所には、第1の推力ポート25が設けられている。第1の推力ポート25は、通路25aを介して第1の圧力作用室P1 に連通している。従って、第1の推力ポート25に供給された制御エアは、前記通路25aを経て第1の圧力作用室P1 に到ることができる。
【0055】
そして、第1及び第2の圧力作用部P1 ,P2 に制御エアが作用すると、ロッド4が上方に所定の力で押圧される。従って、ロッド4を後退させる推力、より具体的にいうとロッド4をシリンダブロック2の下端面から没入させる方向の推力が、同ロッド4にもたらされる。ただし、第1の圧力作用部P1 のもたらす推力のほうが、第2の圧力作用部P2 のもたらす推力よりも数倍大きく設定されている。これは両圧力作用部P1 ,P2 の役割の相違に基づくものである。
【0056】
図1に示されるように、第3の推力ポート24に接続された配管L3 及び第2の推力ポート26に接続された配管L4 は、それらに共通の配管L5 に接続されている。さらに、その配管L5 はエア供給源Pに接続されている。第3の推力ポート24及び第2の推力ポート26に共通の配管L5 の途上には、レギュレータR1 及び圧力制御弁としての電空レギュレータR2 が設けられている。レギュレータR1 は、エア供給源Pからの加圧エアを所定圧力に減圧する役割を果たす。このレギュレータR1 の下流側に位置する電空レギュレータR2 は、同レギュレータR1 により減圧された加圧エアをさらに減圧して所望の制御エアにする役割を果たしている。即ち、共通の配管L5 上では2段階の減圧が行われる。
【0057】
従って、第3の推力ポート24及び第2の推力ポート26にはそれぞれ配管L3 ,L4 を介して等しい圧力の制御エアが供給される。なお、レギュレータR1 の設定圧は手動により適宜調節可能であり、電空レギュレータR2 の設定圧力は外部の図示しないコントローラにより適宜調節可能となっている。
【0058】
第2の推力ポート24側の配管L4 上には電磁弁等が何ら設けられていないのに対し、第3の推力ポート24側の配管L3 には電磁弁としての電磁切換弁Bが設けられている。この電磁切換弁Bは、配管L3 の流路を開放する位置と閉鎖する位置との2位置に切換可能な構成を有する。従って、電磁切換弁Bの切換に基づき、第3の推力ポート24への制御エアの供給または遮断の切換が可能となっている。なお、電磁切換弁Bは前記コントローラに接続されていて、同コントローラにより自動的に切り換えられる。これに対して、第2の推力ポート26側には、常に一定圧力値の制御エアが供給される。
【0059】
図1に示されるように、電磁切換弁Bが配管L3 の流路を閉鎖している場合には、第3の推力ポート24への制御エアの供給は遮断され、第2の推力ポート26へのみ制御エアが供給される。このとき、制御エアは第2の圧力作用部P2 に作用して、ロッド4を後退させる。
【0060】
一方、電磁切換弁Bが配管L3 を開放している場合には、第3の推力ポート24及び第2の推力ポート26へそれぞれ等しい圧力の制御エアが供給される。その結果、第2の圧力作用部P2 にはロッド4を後退させる推力が作用するとともに、第3の圧力作用部P3 にはロッド4を前進させる推力が作用する。既述のとおり、第1の圧力作用部P1 の有効受圧面積S1 は、上述した第3の圧力作用部P3 の有効受圧面積S3 の1/2に設定されている。従って、このときロッド4は前進することとなる。
【0061】
また、第1の推力ポート25に接続された配管L7 は、エア供給源Pと給気ポート21とをつなぐ配管L1 に対して接続されている。この第1の推力ポート25側の配管L7 には、手動により設定圧が適宜調節可能なレギュレータR3 が設けられている。なお、このレギュレータR3 の設定圧は、前記レギュレータR1 の設定圧とは異なる値、即ちロッド4及び治具6の自重分を解消する推力をもたらすのに最適な値に設定されている。従って、第1の推力ポート25側には、常に一定圧力値の制御エアが供給される。
【0062】
次に、上記のように構成されたエアベアリングシリンダ1及びシリンダシステムC1 の動作を説明する。
エア供給源Pから供給される加圧エアは、給気ポート21を介して常時多孔質体15,16に供給されている。従って、多孔質体15,16からロッド4に対して噴出される加圧エアの圧力により、ロッド4がロッド挿通孔3内の多孔質体15,16に対して非接触的に支承されている。多孔質体15,16から噴出された加圧エアは、集気空間に集められた後、真空ポンプの作用により外部に排出される。また、エア供給源Pから供給される制御エアは、第1の制御ポート25を介して、一定の圧力で常時第1の圧力作用室P1 内に供給されている。従って、ロッド4及び治具6は、それらの自重分にほぼ見合う大きさの推力で持ち上げられている。即ち、ロッド4及び治具6の自重が解消されている。
【0063】
図1に示されるように、電磁切換弁Bが配管L3 を閉鎖している場合には、第3の推力ポート24への制御エアの供給は遮断され、第2の推力ポート26へのみ制御エアが供給される。このとき、前記制御エアは第2の圧力作用室P2 に作用し、ロッド4を後退(上動)させる。
【0064】
この状態で、治具6により半導体チップ5を吸着保持すべく、ボンディングヘッドを所定のチップ供給位置まで移動させたうえで、コントローラにより電磁切換弁Bを切り換えて配管L3 を開放する。すると、第3の推力ポート24及び第2の推力ポート26へそれぞれ等しい圧力の制御エアが供給される結果、ロッド4が前進(下動)する。これに先立って真空引きを開始しておけば、治具6の下面側に半導体チップ5を吸着保持することができる。この後、再びロッド4を後退させる。
【0065】
次に、半導体チップ5を吸着保持した状態でボンディングヘッドをリードフレームのダイエリア上に移動させる。そして、ロッド4を前進させて、治具6で半導体チップ5をダイエリアに所定の押圧力で押し付ける。その結果、半導体チップ5が接合面であるダイエリアに対して確実に接合される。この後、真空引きを停止して半導体チップ5を釈放した後、ロッド4を後退させれば、一連のダイボンディング工程が終了する。
【0066】
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態のシリンダシステムC1 では、第1の圧力作用室35及びその内部に配置された第1の圧力作用部P1 に制御エアが作用して、ロッド4及び治具6の自重分を解消するための推力をロッド4等にもたらされる。その結果、ロッド4及び治具6とそれらに働く重力とがバランスし、制御精度に与える重力の影響が低減される。また、第2の圧力作用室36に供給された制御エアは、その内部に配置された第2の圧力作用部P2 に作用して、ロッド4を後退方向に駆動制御するための推力をもたらす。
【0067】
第1及び第2の圧力作用室35,36は互いに独立していることから、各圧力作用室35,36には各々適圧の制御エアを別個に供給することができる。ゆえに、自重解消に必要な推力を得るための制御エアと、後退方向への駆動制御に必要な推力を得るための制御エアとを切り離すことができる。よって、それらを共通化しなくてもよくなるというメリットがある。その結果、小さな制御圧での駆動制御が可能となり、その制御圧を適宜調整することによって、ロッド4を高精度で駆動制御することができる。
【0068】
また、両圧力作用室35,36が互いに独立していれば,自重解消のための構成と駆動制御のための構成とを近接させて配置することも可能になり、エアベアリングシリンダ1全体の長大化の回避にも有利になる。なお、本実施形態では、メタルシールのシール作用をもって、両圧力作用室35,36の独立をより確実なものとしている。
(2)本実施形態のシリンダシステムC1 では、両圧力作用室P1 ,P2 が互いに独立していることから、それらP1 ,P2 の有効受圧面積S1 ,S2 の大小関係を任意に設定することも容易に行うことができる。そして、ここでは第1の圧力作用部P1 の有効受圧面積S1 を、第2の圧力作用部P2 の有効受圧面積S2 よりもかなり大きく(ここでは5倍に)設定している。従って、かかる設定によれば、自重解消用の推力よりも小さい駆動制御用の推力をロッド4にもたらすことができる。従って、狭い範囲での微妙な圧力調整が可能となり、より高精度にロッド4を駆動制御することができる。このため、半導体チップ5を極めて高精度の押圧力でダイエリアに対して押し付けることが可能となり、破損等を伴うことなく半導体チップ5をダイエリアに対して確実に接合することができる。即ち、押圧力に過不足がなくなるからである。勿論、半導体チップ5の剥離等も未然に回避できるので、製造される半導体の高信頼化・高瀬能化を図ることができる。
【0069】
(3)本実施形態のシリンダシステムC1 では、第1及び第2の圧力作用部P1 ,P2 をロッド4の中心を基準として互いに反対面側となる位置関係で形成している。従って、それらP1 ,P2 が収容される両圧力作用室35,36を互いに独立した状態に維持することが比較的容易となり、両圧力作用室35,36間での制御エアの干渉を回避することができる。このことはロッド4の駆動制御の高精度化にも貢献している。
【0070】
また、両圧力作用室35,36においては、ともにロッド4の軸線に対して垂直な方向にも制御エアの圧力が働いている。しかしながら、第1の圧力作用室35における圧力作用方向と第2の圧力作用室36における圧力作用方向とは反対方向であり、結果として互いに相殺されてしまう。従って、これにより軸受け部材のスラスト方向の剛性を向上させることができる。
【0071】
(4)本実施形態のシリンダシステムC1 では、第1及び第2の圧力作用部P1 ,P2 は、ともにロッド4の突出端側である下端側を向くようにして形成されている。そして、このようにロッド4を形成すれば、自重解消用の推力の方向と駆動制御用の推力の方向とを同一にすることができる。
【0072】
また、自重解消用の推力の方向と駆動制御用の推力の方向とが反対方向になるものと比較して、構造が簡単なものとなりかつ製造が容易になる。つまり、ロッド4の製造にあたって上半部31の中心線からずらした位置に下半部32を設けた構造とする必要がなく、しかもロッド挿通孔3内への組み付けも簡単だからである。加えて、左右の重量バランスに優れたロッド構造とすることができる。
【0073】
(5)本実施形態のシリンダシステムC1 では、第1及び第2の圧力作用部P1 ,P2 が、ともにロッド4の長手方向に対して垂直関係にある同一平面内に存在した構造となっている。従って、両圧力作用部P1 ,P2 が同一平面内に存在していない構造を採用した場合に比べて、ロッド形成材料に対して圧力作用部P1 ,P2 を形成する加工を行うべき箇所が少なくて済む。よって、ロッド4の構造の複雑化を回避することができるとともに、加工労力の低減によって製造コストの増大を回避することができる。しかも、このように配置すれば、ロッド4及びシリンダブロック2を短く形成することができ、シリンダ1全体の長大化が確実に回避される。ゆえに、両圧力作用部P1 ,P2 が同一平面内に存在していない構造を採用した場合に比べ、コンパクトなシリンダ1とすることができる。
【0074】
(6)本実施形態のダイボンダは、上記のエアベアリングシリンダ1を利用したシリンダシステムC1 を構成要素とする搬送押圧機構を備えたものとなっている。従って、高制御精度が可能なロッド4に取り付けられた治具6に真空吸着された半導体チップ5を搬送した後、その半導体チップ5をダイエリアに対して高い精度で押圧することができる。従って、破損等を伴うことなく半導体チップ5を接合面に対して確実に接合することができ、製造される半導体も高信頼性・高性能なものとなる。
【0075】
(7)本実施形態のシリンダシステムC1 では、第2の圧力作用部P2 がもたらす推力の方向と逆向きの推力をもたらす第3の圧力作用部P3 を、ロッド4の基端部に形成している。そして、シリンダブロック2には、第3の圧力作用部P3 が配置されている第3の圧力作用室P3 内に制御エアを供給するための第3の推力ポート24が設けられている。従って、エアベアリングシリンダC1 が複動型となり、前進・後退という2方向へロッド4を高精度で駆動制御することができる。
【0077】
(8)本実施形態の真空吸着用ロッド4において、ロッド4の長手方向に直交する方向に切断した断面は、上半部31及び下半部32ともに矩形状、つまり非円形状になっている。このため、ロッド4はロッド挿通孔3内を自由に回転することができず、回り止めが図られている。従って、真空吸着時に半導体チップ5が不用意に回転して、位置ずれを起こすような心配がなく、その点においてダイボンダにおける押圧装置として好適なものとなっている。
【0078】
(9)軸受け部材である2種の多孔質体15,16は、ロッド挿通孔3の内周面における2箇所にロッド軸線方向に沿って離間して配設されている。そして、第1及び第2の圧力作用部P1 ,P2 並びにそれらを収容する圧力作用室35,36は、これら2種の多孔質体15,16間に配置されている。従って、ロッド4がロッド軸線方向に沿って離間した2箇所で支承されることとなり、スラスト方向の剛性がよりいっそう高くなる。勿論、このエアベアリングシリンダ1は、スラスト方向の剛性のみならず、ラジアル方向の剛性にも優れている。つまり、大きなラジアル荷重に耐えることができ、両圧力作用室35,36に独立した圧力を加えたときでも、その影響が少なくなっている。
【0079】
(10)本実施形態では、ロッド4を非接触的に支承すべく加圧エアを噴出する軸受け部材として、微細な孔を有する多孔質体15,16を使用している。そのため、加圧エアが多孔質体15,16の内周面からロッド4の外周面に向けてムラなく均等に噴出される。従って、ロッド4と多孔質体15,16とのクリアランスが小さくても、ロッド4が多孔質体15,16と摺接する可能性は低く、ロッド4の偏心を抑制することができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明を具体化した実施形態2のエアベアリングシリンダ41を利用したシリンダシステムC2 を図5に基づいて説明する。ここでは実施形態1と相違する点を主に述べ、共通する点については同一部材番号を付すのみとしてその説明を省略する。
【0080】
このシリンダシステムC2 では、基本的にシリンダブロック2Aの構成が実施形態1のものと異なっている。即ち、実施形態1のシリンダブロック2における上端面側にあるいくつかの構造(大断面積領域3c、ゴムクッション12、第3の推力ポート24及び通路24a)が省略されている。その結果、シリンダブロック2Aの全長がいくぶん短くなっている。
【0081】
また、ロッド挿通孔3は非貫通なものではなく、上下両端面にて貫通したものとなっている。ロッド挿通孔3にロッド4を挿通した場合、ロッド4の上端部にあるストッパ部11が上端面側開口から突出した状態となる。
【0082】
なお、第3の推力ポート24の省略に伴い、そこに制御エアを供給するための構造(配管L3 及び電磁切換弁B)も省略されている。つまり、本実施形態のエアベアリングシリンダ41は、ロッド4を下方に移動させる構成を持たない、いわゆる単動型となっている。そして、この点が複動型であった前記実施形態1と相違する。従って、本シリンダシステムC2 では、第2の推力ポート26に供給する制御エアを電空レギュレータR2 により適宜調整することで、ロッド4を図5の上方に移動させるための推力を高精度で制御することができる。この場合、第1の推力ポート25に供給する制御エアのもたらす推力を、ロッド4及び治具6の自重分より僅かに小さく設定しておく必要がある。
【0083】
従って、本実施形態によれば、前記第1の実施形態の上記(1)〜(6)(8)〜(10)に記載の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
【0084】
(11)本実施形態のエアベアリングシリンダ41であると、構造的にみて複動制御は行えないものの、それに必要な構造が省略された分だけ、シリンダ41全体を長さ方向にコンパクトなものとすることができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明を具体化した実施形態3を図6,図7に基づいて説明する。ここでは実施形態2と相違する点を主に述べ、共通する点については同一部材番号を付すのみとしてその説明を省略する。
【0085】
図7(a)に示されるように、このシリンダシステムC3 においては、実施形態2とは異なる形状の真空吸着用ロッド4Aが用いられている。本実施形態のロッド4Aは、断面矩形状の上半部52に対し、その中心線からずらした位置に断面矩形状の下半部53を設けたような構造とされている。同ロッド4Aの有する4つの外周面のうち、2つのものは段差部分がなくフラットになっている。2つのフラットな外周面、即ちシール面39は、ロッド4Aの中心を基準として互いに反対面側となる位置関係に形成されている。前記シール面39以外の2つの外周面はフラットではなく、段差部分を備えている。なお、このような段差部分は、上半部52と下半部53との境目の領域に存在している。
【0086】
ただし、本実施形態では、第1の圧力作用部P1 としての役割を担う段差部分のみがロッド4Aの突出端側(下端側)を向くようにして形成されている。従って、第2の圧力作用部P2 としての役割を担う段差部分は、ロッド4Aの非突出端側(上端側)を向くようにして形成されている。つまり、両圧力作用部P1 ,P2 が軸線方向に沿って互いに反対の方向を向いている。なお、図7(a)からも明らかなように、両圧力作用部P1 ,P2 は、ともにロッド4Aの長手方向に対して垂直関係にある同一平面内に存在している。第1の圧力作用部P1 の有効受圧面積S1 は、ここでは第2の圧力作用部P2 の有効受圧面積S2 と同等(有効受圧面積比S1 /S2 =1)に設定されている。もっとも、図7(b)のロッド4Bのように、自身の長手方向に対して垂直関係にある同一平面内に存在しないものとして、両圧力作用部P1 ,P2 を形成してもよい。
【0087】
一方、シリンダブロック2Bには、実施形態2とは異なる形状のロッド挿通孔3が形成されている。同ロッド挿通孔3の内面形状は、ロッド4Aの外面形状に即したものとされている。そして、上記のようなロッド挿通孔3にロッド4Aを挿通させると、ロッド4Aの中心を基準として互いに反対側となる位置に、第1の圧力作用室35及び第2の圧力作用室36ができる。
【0088】
本実施形態のエアベアリングシリンダ51は、ロッド4Aを下方に移動させる構成を持たない単動型である点に関しては実施形態2と等しい。しかしながら、第2の推力ポート26に制御エアが作用した場合、ロッド4Aには下方への推力が働く点で相違する。そして、第2の推力ポート26に供給する制御エアを電空レギュレータR2 により適宜調整すれば、ロッド4Aを図6の下方に移動させるための推力を高精度で制御することができる。この場合には、第1の推力ポート25に供給する制御エアのもたらす推力は、ロッド4A及び治具6の自重分より僅かに大きく設定されている必要がある。
【0089】
従って、本実施形態によれば、前記第1及び第2の実施形態における上記(1)(3)(6)(8)(9)(10)(11)に記載の効果を得ることができる。
【0090】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
◎ 第1の推力ポート25をシリンダブロック2,2A,2Bにおける反対側の側面、つまり第2の推力ポート26等が形成されている側面に形成してもよい。このようにすれば集中配管化に好都合となる。
【0091】
◎ 第1及び第2の圧力作用部P1 ,P2 を、ロッド4,4A,4Bの中心を基準として互いに反対面側とはならない位置関係、例えば隣接する面に形成することも可能である。
【0092】
◎ 第1の推力ポート25につがなる配管L7 をレギュレータR1 と電空レギュレータR2 との間に接続するようにして、配管L7 上のレギュレータR3 を省略することも可能である。このようにすれば、より簡略なシリンダシステムとすることができる。
【0093】
◎ 前記各実施形態では、ロッド軸線方向に沿って離間した2箇所に軸受け部材としての多孔質体15,16を設けたものを例示した。これに対し、一方の多孔質体15(または16)のみを用い、他方のもの16(または15)を省略して実施してもよい。
【0094】
◎ また、一対の板状の多孔質体15を対向して離間配置した前記各実施形態に代えて、例えば多孔質体15を環状に形成してもよい。勿論、多孔質体16についても同様のことがいえる。以上のように形成すると、多孔質体15,16によりロッド4,4A,4Bの外周面が包囲され、その全域にわたって加圧エアを噴射することができる。
【0095】
◎ 前述のごとく、本発明は両第2の圧力作用部P1 ,P2 の有効受圧面積S1 ,S2 が任意に設定可能な構成を有している。従って、必要に応じて、例えば第1の圧力作用部P1 の有効受圧面積S1 を、第2の圧力作用部P2 の有効受圧面積S2 よりも小さく設定することも勿論許容される。
【0096】
◎ 軸受け部材である多孔質体15,16を、シリンダブロック2,2A側ではなくロッド4,4A,4B側に設けた構成も許容される。このようにすると、シリンダ1,41,51全体をスリム化することができる。
【0097】
◎ ゴムクッション12,13以外の緩衝部材として、例えばゴム以外の材料からなる板材を用いてもよい。この場合、衝撃を緩和し得る性質を有する材料であれば、一般的に知られている各種の合成樹脂(例えばフッ素系樹脂など)からなる板材を使用することが可能である。
【0098】
◎ ゴムクッション12,13等の緩衝部材は、不要であれば省略されてもよい。このようにすると、エアベアリングシリンダ1,41,51がよりいっそうコンパクトなものとなる。
【0099】
◎ 前記各実施形態において例示した真空吸着用治具6には、半導体チップ5等のような被吸着物を吸着するための構造としての貫通孔が1つ形成されていた。これに対して、治具6の有する貫通孔の開口部に多孔質体を介在させ、その多孔質体の表面(下面)を半導体チップ5の吸着面としてもよい。このようにすれば、半導体チップ5に対して局部的に真空圧が作用しにくくなり、半導体チップ5の変形・破損を未然に防止することができる。
【0100】
◎ 前記各実施形態では、エアベアリングシリンダ1,41,51を含むシリンダシステムC1 ,C2 ,C3 を、ダイボンダのボンディングヘッドにおける押圧搬送機構として利用したものを例示して説明した。これに代えて本発明のシリンダシステムC1 ,C2 ,C3 を、例えばシリコンウェハの洗浄機等、他の半導体製造プロセスに用いられる装置に適用してもよい。また、半導体製造プロセスと無関係の他の装置に、同システムC1 ,C2 ,C3 を適用してもよい。
【0101】
◎ ダイボンダのボンディングヘッドにおける搬送押圧機構のようにロッド4,4A,4Bの回り止めが要求される用途以外の用途に用いるのであれば、断面円形状のロッドとしても構わない。
【0102】
次に、前述した実施形態により把握される技術的思想を、必要に応じその効果とともに以下に列挙する。
(1) 請求項1,2において、前記第1の圧力作用部の有効受圧面積は、前記第2の圧力作用部の有効受圧面積の2倍以上(より好ましくは4倍以上)大きく設定されていることを特徴とするエアベアリングシリンダ。
【0103】
(2) 請求項1乃至7のいずれか1つにおいて、前記ロッドには前記第1の圧力作用部がもたらす推力の方向と逆向きの推力をもたらす第3の圧力作用部が形成され、前記シリンダブロックにはその第3の圧力作用部が配置されている第3の圧力作用室内に制御エアを供給するための第3のポートが設けられていることを特徴とするエアベアリングシリンダ。従って、この技術的思想2に記載の発明によると、複動型となるため2方向へロッドを高精度で駆動制御できる。
【0105】
(4) 請求項1乃至7のいずれか1つにおいて、前記第1及び第2の圧力作用室は、メタルシールのシール作用により互いに独立した状態に保持されることを特徴とするエアベアリングシリンダ。従って、この技術的思想4に記載の発明によると、両圧力作用室がより確実に独立状態に保持される。
【0106】
(5) 請求項7において、前記真空吸着用ロッドは、同ロッドの長手方向に直交する方向に切断した断面が非円形状であることを特徴とするエアベアリングシリンダ。従って、この技術的思想5に記載の発明によると、ロッドの回り止めが図られるため、半導体製造装置の押圧装置として好適なものとすることができる。
【0107】
(6) 請求項1乃至7のいずれか1つにおいて、前記軸受け部材は、前記ロッド挿通孔の内周面における少なくとも2箇所に離間して配設されていることを特徴とするエアベアリングシリンダ。従って、この技術的思想6に記載の発明によると、ロッドが離間した2箇所で支承され、スラスト方向及びラジアル方向の剛性がよりいっそう高くなる。
【0108】
(7) 請求項1または2において、前記第1及び第2の圧力作用部の有効受圧面積が任意に設定可能な構成を有することを特徴とするエアベアリングシリンダ。
【0109】
(8) 請求項1または2において、前記第1の圧力作用部の有効受圧面積は、前記第2の圧力作用部の有効受圧面積と同等かまたはそれよりも小さく設定されていることを特徴とするエアベアリングシリンダ。
【0110】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜7に記載の発明によれば、制御精度に優れるとともに、全体の長大化をある程度防止できるエアベアリングシリンダを提供することができる。
【0111】
また、より高精度にロッドを駆動制御することできる。
請求項5に記載の発明によれば、比較的構造が簡単でかつ製造が容易なものとすることができる。
【0112】
請求項6に記載の発明によれば、構造の簡単化及び製造コストの低減に加えて、シリンダ全体のコンパクト化を図ることができる。
請求項7に記載の発明によれば、吸着機能を有したものとなるので、例えばダイボンダ等における押圧装置としての使用に適したものとすることができる。
【0113】
請求項8に記載の発明によれば、上記の優れたエアベアリングシリンダを利用していることから、高性能の半導体を製造するうえで好適な半導体製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態のエアベアリングシリンダを示す断面図。
【図2】同実施形態において図1のA−A線断面図。
【図3】同実施形態のエアベアリングシリンダに用いられる真空吸着用ロッドの斜視図。
【図4】同実施形態において図2のB−B線断面図。
【図5】第2実施形態のエアベアリングシリンダを示す断面図。
【図6】第3実施形態のエアベアリングシリンダを示す断面図。
【図7】(a)は第3実施形態のエアベアリングシリンダに用いられる真空吸着用ロッドの斜視図、(b)は(a)の変形例を示す斜視図。
【図8】従来のエアベアリングシリンダを示す断面図。
【符号の説明】
1,41,51…エアベアリングシリンダ、2,2A,2B…シリンダブロック、3…ロッド挿通孔、4,4A,4B…(真空吸着用)ロッド、5…被吸着物としての半導体チップ、6…ロッド付帯部材としての治具、7…真空引き通路、7b…外周側開口、15,16…軸受け部材としての多孔質体、25…第1の(制御)ポート、26…第2の(制御)ポート、35…第1の圧力作用室、36…第2の圧力作用室、S1 …第1の圧力作用部の有効受圧面積、S2 …第2の圧力作用部の有効受圧面積、P1 …第1の圧力作用部、P2 …第2の圧力作用部。
Claims (8)
- ロッド挿通孔を有するシリンダブロックと、前記ロッド挿通孔に自身の長手方向に沿って駆動可能に挿通されるロッドと、前記ロッド挿通孔の内壁面に設けられかつ前記ロッドに対して加圧エアを噴出することで前記ロッドを非接触的に支承する軸受け部材とを備えるエアベアリングシリンダにおいて、
少なくとも前記ロッドの自重分を解消するための推力をもたらす第1の圧力作用部と、同ロッドを駆動制御するための推力をもたらす第2の圧力作用部とを前記ロッドに形成するとともに、前記ロッド挿通孔の内壁面と前記ロッドの外周面との間にできる互いに独立した2種の圧力作用室のうち、第1の圧力作用室に前記第1の圧力作用部を配置しかつ第1のポートを介してそこに制御エアを供給可能とし、第2の圧力作用室に前記第2の圧力作用部を配置しかつ第2のポートを介してそこに制御エアを供給可能とし、
前記第1及び第2の圧力作用部を、前記ロッドの中心を基準として互いに反対面側となる位置関係、又は隣接する面となる位置関係で形成したことを特徴とするエアベアリングシリンダ。 - ロッド挿通孔を有するシリンダブロックと、前記ロッド挿通孔に自身の長手方向に沿って駆動可能に挿通されかつロッド付帯部材が取り付けられた突出端側を下方に向けた状態で挿通されるロッドと、前記ロッド挿通孔の内壁面に設けられかつ前記ロッドに対して加圧エアを噴出することで前記ロッドを非接触的に支承する軸受け部材とを備えるエアベアリングシリンダにおいて、
前記ロッド及び前記ロッド付帯部材の自重分を解消するための推力をもたらす第1の圧力作用部と、同ロッドを駆動制御するための推力をもたらす第2の圧力作用部とを前記ロッドに形成するとともに、前記ロッド挿通孔の内壁面と前記ロッドの外周面との間にできる互いに独立した2種の圧力作用室のうち、第1の圧力作用室に前記第1の圧力作用部を配置しかつ第1のポートを介してそこに制御エアを供給可能とし、第2の圧力作用室に前記第2の圧力作用部を配置しかつ第2のポートを介してそこに制御エアを供給可能とし、
前記第1及び第2の圧力作用部を、前記ロッドの中心を基準として互いに反対面側となる位置関係、又は隣接する面となる位置関係で形成したことを特徴とするエアベアリングシリンダ。 - 前記第1の圧力作用部の有効受圧面積は、前記第2の圧力作用部の有効受圧面積と同等かまたはそれよりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエアベアリングシリンダ。
- 前記ロッドには前記第1の圧力作用部がもたらす推力の方向と逆向きの推力をもたらす第3の圧力作用部が形成され、前記シリンダブロックにはその第3の圧力作用部が配置されている第3の圧力作用室内に制御エアを供給するための第3のポートが設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエアベアリングシリンダ。
- 前記第1及び第2の圧力作用部は、ともに前記ロッドの突出端側を向くようにして形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエアベアリングシリンダ。
- 前記第1及び第2の圧力作用部は、ともに前記ロッドの長手方向に対して垂直関係にある同一平面内に存在していることを特徴とする請求項5に記載のエアベアリングシリンダ。
- 前記ロッドは真空引き通路を有する真空吸着用ロッドであり、前記ロッド付帯部材は前記ロッドに被吸着物を保持するための治具であり、前記シリンダブロックには真空引きポートが前記真空引き通路の外周側開口に対応して設けられていることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載のエアベアリングシリンダ。
- 請求項2乃至7のいずれか1項に記載されたエアベアリングシリンダを構成要素とし、そのシリンダにおける前記ロッドの突出端側に取り付けられたロッド付帯部材に半導体チップを真空吸着した状態でその半導体チップを搬送しかつ接合面に押圧する搬送押圧機構を備えた半導体製造装置。
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