JP3877408B2 - 車載用冷却器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の走行によって生じる走行風との熱伝達により冷却を行う車載用冷却器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両に搭載された変圧器やリアクトル等の電気機器の冷却のために設けられる走行風を利用した車載用冷却器である車両用冷却器においては、例えば特公昭57−42203号公報の車載変圧器用の油冷却器のように、走行方向に対して直角方向の平面内に複数本配列されたU字型油冷却管群を走行方向にさらに複数組配するよう構成されている。図20(a)は前記特許公報に示された従来の車両用油冷却変圧器の側面図を、図20(b)はその正面図を示している。図において、100は車両進行方向 、101はU字型に整形された管状の冷却管、102はヘッダで、このヘッダ102に冷却管101は溶接等により取り付けられている。103は冷却媒体の出入口を形成する流通口で、同じくヘッダ102に溶接等で取り付けられている。104は取り付けられたU字型の冷却管101群の中心に位置する貫通部である。
【0003】
次に図を用いて冷却媒体の経路を示すと、車両用変圧器本体から配管を介して送られてきた例えば油などの冷却媒体は流通口103に入り、ヘッダ102から冷却管101内を通り再びヘッダ102へ流入する。そして流通口103から配管を介して再び車両用変圧器本体へ戻る。冷却媒体が冷却管101を流通する際に、冷却管101外表面において自然対流と、走行風が冷却管101群の表面を通過する際の強制対流とによる熱伝達により外部空気と熱交換が行われるので冷却媒体は冷却される。ここで、強制対流熱伝達による冷却効果を促進するために、前記冷却器101は走行風量の大きい車両側部に設置されていた。
【0004】
また、車両用リアクトルの冷却方式において、同様に走行風を利用した発明に関しては、実開昭55−47749号公報があり、その外観図を図21に示す。図において、105は外周を円筒で覆われた円筒巻線、106は前記円筒巻線105を支持するための支持材、107は支持材106を介して円筒巻線105が固定される車体、108はリアクトルの冷却風出入口の口径に合わせた大きさを有する漏斗状あるいは一部欠損した漏斗状の風ガイド、109は通風方向である。また、車両107の床下に取り付けられた前記円筒巻線105は、円筒状に巻回し、水平方向に風を流通させるように設置されている。
【0005】
車両が走行すると、リアクトル近傍には車両進行方向100とは反対方向に走行風が吹き、その走行風が漏斗状の風ガイド108によって集められ、円筒巻線105の内部に導びかれてそこに発生する熱を奪って巻線を冷却する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特公昭57−42203号公報に記載された従来の車載変圧器用の油冷却器では、以下のような欠点がある。まず、冷却管101により構成された圧力損失の大きな冷却器を圧力損失の存在しない開放空間に流れる走行風中に曝すため、走行風は圧力損失の大きな冷却管101群間には流れ難く、上流端から冷却管101群間に侵入した外部空気の大半は開放空間に流出することとなり、冷却能力が低下する。さらに、走行風を冷却管群間に導くための導風構造を有しないため、風取り入れ能力に劣る。また、冷却管が車側側に露出しているため、飛石や降雪等に対し強度的な問題があった。
【0007】
次に、実開昭55−47749号公報に記載された従来の車載リアクトルの冷却方式では、走行風を効率よく取り入れるための風ガイドを有するものの、被冷却体である円筒巻線の外周が円筒により覆われ通気性を有しないため、上記特公昭57−42203号公報に記載された従来の車載変圧器用の油冷却器のような、冷却体に覆いを設けない露出構造の場合よりも圧力損失が増大し、風ガイド108による採風効果が相殺されてかえって冷却体の通過風量が減少して冷却効果が損なわれるという問題点がある。
【0008】
この発明は以上のような問題点を解消するためになされたもので、熱伝達に有効な走行風の風量を少しでも多く確保して冷却能力の向上を図ることができる車載用冷却器を得ることを目的とする。
また、冷却能力を損なうことなく飛石等による損傷を防止することができる車載用冷却器を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る車載用冷却器は、車両の走行方向に所定の長さを有し上記走行方向と直角に上記走行方向に沿って一定の面積を有する空間内に、その両端がヘッダに接続された略U字型の冷却管を、上記車両の走行方向と直角な面内に複数本、かつ上記走行方向に沿って複数列分布配設してなり、上記冷却管と上記車両の走行によって生じる走行風との熱伝達により冷却を行う車載用冷却器において、
上記空間の上記走行方向の中央部分を除き上記走行方向の両端から所定長の部分を、上記面積の外周に沿って覆うように配設された導風板を備えたものである。
【0010】
また、請求項2に係る車載用冷却器は、請求項1において、その導風板は、その走行方向と直角な開口面積が、空間の上記走行方向中央寄りから上記走行方向端部にかけて順次増大するようにしたものである。
【0011】
また、請求項3に係る車載用冷却器は、請求項2において、その導風板は、その走行方向を含む平面で切断した断面が直線状となるようにしたものである。
【0012】
また、請求項4に係る車載用冷却器は、請求項2において、その導風板は、その走行方向を含む平面で切断した断面が、その走行方向両端では上記走行方向と平行となるようにしたものである。
【0013】
また、請求項5に係る車載用冷却器は、請求項1または2において、その導風板を、走行方向に連なって配設された複数の導風板片からなるものとし、上記一の導風板片の上記走行方向一端と該一の導風板片に隣接する導風板片の上記走行方向他端とが、上記走行方向と直角な方向に所定の間隔を介して位置するようにしたものである。
【0014】
また、請求項6に係る車載用冷却器は、請求項5において、その各導風板片は、空間の走行方向端部側におけるその走行方向と直角な開口面積が、上記空間の走行方向端部側から上記走行方向中央寄りにかけて順次増大するようにしたものである。
【0015】
また、請求項7に係る車載用冷却器は、請求項1において、その導風板を熱良導体で構成し、空間内の最外周に配設された冷却管と上記導風板とを熱的に接続したものである。
【0016】
請求項8に係る車載用冷却器は、車両の走行方向に所定の長さを有し上記走行方向と直角に上記走行方向に沿って一定の面積を有する空間内に、その両端がヘッダに接続された略U字型の冷却管を、車両の走行方向と直角な面内に複数本、かつ上記走行方向に沿って複数列分布配設してなり、上記冷却管と上記車両の走行によって生じる走行風との熱伝達により冷却を行う車載用冷却器において、
上記直角な面内の最内周に配設された冷却管と上記ヘッダとにより形成される風貫通部内に設けられ、上記走行方向端から上記風貫通部に侵入した走行風を上記冷却管の配設部分へ導く貫通部導風体を備えたものである。
【0017】
また、請求項9に係る車載用冷却器は、請求項8において、その貫通部導風体は、走行方向を軸とし上記走行方向と直角な断面が、風貫通部の上記走行方向中央から端部へかけて順次減少する柱状体としたものである。
【0018】
また、請求項10に係る車載用冷却器は、請求項8において、その貫通部導風体は、略平行に所定の間隔を介して配設され風貫通部の走行方向端部側が凸となる略傘形状の複数の導風体片からなり、上記各導風体片の上記走行方向と直角な面積が、上記風貫通部の上記走行方向中央から端部へかけて順次減少するようにしたものである。
【0019】
また、請求項11に係る車載用冷却器は、請求項1ないし7のいずれかに記載の導風板と請求項8ないし10のいずれかに記載の貫通部導風体とを備えたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における走行風を利用した車載用冷却器の車両への取り付け構造を車両進行方向から示した図である。図中、1は車両床下に設置された変圧器やリアクトル等の車載電気機器本体、2は車載電気機器本体1の発熱を奪った冷却媒体を冷却するための冷却器、3は冷却媒体を搬送するための駆動源であるポンプ、4はポンプ3と冷却器2とを結び冷却媒体を通す配管、5は車載電気機器本体1が取り付けられている車両、6は車輪、7はレール、8は道床である。
【0021】
車載電気機器本体1より発生する熱は、水、油等の液体の顕熱変化、フロンガス、代替フロンガス等の圧縮サイクルにおける相変化を利用した潜熱/顕熱変化により冷却媒体に吸収され、ポンプ3より配管4を介して側面に設けられた冷却器2に搬送される。通常、冷却器は鉄、アルミ、銅等の熱伝導率の高い金属管をU字型に形成し、それらの冷却管を複数本車両の進行方向と垂直な平面内及び車両の進行方向に配置して構成されている。配管4を介して冷却器2に送られてきた冷却媒体は、冷却器2を構成する冷却管内部に導かれた後、管内対流熱伝達により管内壁に熱を奪われる。管内壁に移動した熱は、熱伝導により管壁を移動して管外壁へ至る。管外壁は低温且つ高速の走行風と接しているため、管外空気との対流熱伝達により熱は走行風に持ち去られる。冷却器2を通過することで冷却された冷却媒体は、再び配管4を介して車載電気機器本体1へ戻り車載電気機器本体1からの発熱を奪う。このようなサイクルを繰り返すことにより、走行風を利用して車載電気機器本体1を冷却することができる。
【0022】
ところが、走行風を利用した車両用冷却器2は車両5の床下に設置されるため、冷却器の走行方向上流側に他の車載電気機器が設置されることも多く、十分な走行風が冷却器前面に当たらない場合も多い。また冷却器自体は、外周にカバーを有しない冷却管の集合体であるため、冷却器前面より管群間に侵入した走行風が冷却管群間内部を流れる際に、圧力損失の大きい冷却管群間より外部の開放空間へ急速に漏れだしていき、冷却器の走行風下流部では熱交換能力が著しく低下する問題があった。
【0023】
図2(a)は、上記の2つの問題点を解決するための車載用冷却器の正面図であり、図2(b)はその側面図である。図において9は鉄、アルミ、銅等の熱伝導率の高い金属を肉厚の薄いU字型に整形した冷却管で、その両端は溶接等によりヘッダHに接続されている。10(10a、10b)は冷却器2の走行方向の両端部から約4列目の冷却管9群の最外周に位置する冷却管9を取り巻き覆うように設けられた2枚の導風板、11は最内周の冷却管9とヘッダHとにより形成される風貫通部である。なお、この風貫通部11に侵入した走行風は、冷却のための熱伝達にほとんど寄与することなく通過してしまうので、この風貫通部11の断面積は極力小さい方がよいが金属管をU字型に曲げ加工する際の工作上の制限から冷却管9の最小曲率半径が定まり、これに応じて風貫通部11の断面積が決まることになる。12は車両走行方向で、図では両方の向き12a、12bを矢印で示している。13は走行風方向で、その向き13a、13bは走行方向の向きと逆となる。14は冷却器2が車両進行とともに通過していく開放空間、15(15a、15b)は走行風が流入する風取込口、16(16a、16b)は2つに分断して設けられた導風板10a、10bのうち風上側に位置するものの風下端である風出口である。
【0024】
車両が矢印12aの向きに進行している場合、冷却器2には矢印13aの向きから走行風が吹く。この場合、走行風は走行風上流側の導風板10aの風取込口15aより冷却器2内部に侵入し、走行風上流端の冷却管9に衝突して冷却管9外壁面から熱を奪いつつさらに冷却管9群の内部に侵入する。この際、前面冷却管9から約4列目の冷却管までの長さに渡って、冷却器2の最外周の冷却管9を取り囲むように導風板10aが設置されているため、風取込口15aより侵入した走行風は、管群間から開放空間14中に流出せず、そのまま矢印13aの向きに直進しながら熱交換を行う。導風板10aに覆われた空間を通過した走行風は、冷却器2中央部の導風板10の無い空間に至り、通過する際の圧力損失が大きい冷却管9群間から風貫通部11あるいは開放空間14に流出する。逆に車両が矢印12bの向きに進行している場合には、走行風は矢印13bの向きから導風板10bの風取込口15bを介して冷却器2内部へ侵入するので、同様の動作が実現する。
【0025】
ここで、従来の冷却器と本発明の冷却器の内部の風の流れの違いを図を用いて説明する。図3は、従来の冷却器を走行方向を含む平面で切断して内部の風の流れを示した側断面図であり、図4は本発明の冷却器2の同じく内部の風の流れを示した側断面図である。図中矢印は走行風の流れを示す速度ベクトルで、大きさは流速の速さを、方向は流れの向きを示す。まず、図3の従来の冷却器では、大部分の走行風は、矢印13aの向きから冷却管9群に侵入した直後に、通過する際の圧力損失が大きい冷却管9群間から圧力損失のない開放空間14へ流出する。図から明らかなように、冷却器2の走行風上流側近傍のみで流速が速く、3列目以降急速に流速が低下し、5列目以降ではほとんど流れが存在しないことが分かる。従って、車両走行方向に複数列の冷却管9を設けた冷却器では、前縁効果によって走行風上流端の冷却管9で局所熱伝達率が最大となり、その後走行風が開放空間14に流出して管群間の流速が激減するため、対流熱伝達に伴う局所熱伝達率も急激に低下する。つまり、図3のような従来の冷却器では、走行風が侵入する走行風上流近傍の数列の冷却管9でしか効率の良い熱交換が行われないことが分かる。
【0026】
一方、本発明の冷却器2を示した図4では、冷却器2の走行風上流側から侵入した走行風は、導風板10aが存在するため走行風上流の冷却管2列を通過直後に解放空間14へ流出することができない。導風板10aに囲まれた冷却管9群間を導風板10aと平行に直進する走行風は、若干風貫通部11へ流出するものの、ほとんどその流量を減少させることなく冷却管9群の外表面から熱を奪う。導風板10aに囲まれた領域を通過した走行風は、開放空間14と連通するため、冷却管9群間から開放空間14へ流出する。このような流れ場を有する冷却器2では、走行風が侵入する走行風の最上流端冷却管9で前縁効果により局所熱伝達率が最大となり、導風板10aに覆われている部分では流量がほとんど変化しないため、対流熱伝達により大きな熱伝達率が維持される。走行方向中央の導風板10aに覆われていない部分では、開放空間14へ走行風が流出するものの、従来の冷却器と比べて冷却管9群間で大きな通過流速があり、充分な局所熱伝達率が得られる。
【0027】
ここで、冷却器2の走行方向中央部に導風板10を設けていない理由を述べる。冷却器2の全面が導風板10で覆われている場合には、風取込口15から冷却器内部に侵入した走行風は外部に流出できないため圧力損失が大きくなり、流入量は激減する。勿論、冷却器2の熱交換能力も低下する。そこで、冷却器2の走行方向中央部に導風板10を設けず導風板10を走行風の上流側と下流側に2分して設けることで、冷却器2全体の圧力損失を低減し、内部への風の流入量を増大させて冷却性能を向上させることができる。
【0028】
また、車両が駅に停車した場合を想定すると、車載電気機器本体1の発生損失は十分低い値になるが、停車中の冷却器2の冷却能力が極端に低下するとそれまでの蓄熱容量のために冷却媒体の温度が上昇することが考えられる。この場合、この発明のように、冷却器2の中央には導風板10が設けられていないので、停車中で走行風が存在しなくても、この中央部分に自然対流による上昇気流が発生し、これが導風板10a、10b内の空気を引き込むので、冷却器2の冷却能力の極端な低下が防止され、冷却媒体の温度の上昇を防ぐという利点もある。
【0029】
以上のように構成されているため、冷却器は大流量の走行風を冷却器の走行方向中央部まで保持しつつ、その冷却性能を向上させることができる。
【0030】
なお、本実施の形態では、導風板10a、10bは冷却器2の走行方向の両端から4列目までを覆うように設けられていたが、覆うべき長さ(列数)は冷却器2の置かれる外環境によりその最適長さは若干変わるものであり、少なくとも走行方向の両端から1列目以上を覆い、走行方向中央部には設けないものであればよい。
【0031】
実施の形態2.
次に、風取込口15の開口面積を増大させて採風量を増大させる発明について述べる。図5(a)は本発明の実施の形態2における車載用冷却器の正面図、図5(b)はその側面図である。図において導風板10a、10bは冷却器2の走行方向両端部から4列目までの冷却管9の最外周を取り囲むように設けられている。さらに、風取込口15a、15bの開口面積は導風板10a、10bの中央側に位置する風出口16a、16bの開口面積よりも大きく、その間を直線状に結ぶよう薄板によって導風板10a、10bが設けられている。
【0032】
車両が矢印12aの向きに走行している場合、走行風は矢印13aの向きに吹く。一般に車両用の冷却器は床下等の車体に近接した部位に設置される。従って、より多くの走行風を冷却器2内部に取り入れるためには、車体近傍に発達した走行風の境界層の外側に冷却器2を設置すべきである。ところが、寸法上、車両には安全上の問題から車両限界と呼ばれる機器取り付けの突出量制限が存在する。そのため、冷却器2は境界層内部にしか取り付けられないことになり、冷却器2には車両走行速度よりも低い流速の風が当たる。そこで、より効率的に走行風を取り込むために、図に示したような開口面積を増大させた風取込口15a、15bを設ける。図2の導風板と比較して、より多くの走行風を冷却器内部に導入することができ、延いては風量増加に伴い冷却性能が飛躍的に向上することは明らかである。
【0033】
従って、風取込口15a、15bの開口面積を風出口16a、16bの開口面積よりも大きくすることにより、冷却器2通過風量を増大させ、冷却性能を向上させることができる。
【0034】
さらに、導風板の曲面形状を最適化することにより、より多くの走行風を冷却器2に導入することができる。即ち、図6(a)は導風板の形状を最適化した冷却器2の正面図、図6(b)はその側面図である。図において、導風板10a、10bは風取込口15a、15bの開口面積を風出口16a、16bの開口面積よりも大きくし、かつ、車両走行方向を含む平面で切断した断面形状が、風取込口15a、15bと風出口16a、16bにおいて極値をとり換言すれば走行方向と平行の水平となり、両端からの中央で変極点となるような3次曲線により構成されている。このような断面形状が3次曲線となるような構成とすることにより、風取込口15a、15bより取り入れられた走行風は、導風板10a、10bの内壁に沿って滑らかに縮流されるため、その壁面上で剥離が生じず、縮流に伴う圧力損失を抑制することができる。
【0035】
従って、このような3次曲線の断面形状を有する導風板を設けることにより、より多くの走行風を冷却器に導入し、その冷却効率を向上させることができる。
【0036】
本実施の形態では、導風板10a、10bは冷却器2の走行方向両端から4列目までを覆うように設けられていたが、覆うべき長さ(列数)は冷却器2の置かれる外環境によりその最適長さは若干変わるものであり、少なくとも冷却器2の走行方向両端から1列目以上を覆い、走行方向中央部には設けないものであればよい。
【0037】
実施の形態3.
実施の形態1ないし2においては、導風板10a、10bは冷却器2の走行風上流側と下流側の2つの部分に分け、それぞれ一枚の板材を加工変形して構成されていた。ここで、導風板10a、10bはそれぞれ複数の板材より構成されていてもよく、例えば図7(a)は本発明の実施の形態3におけるもので、導風板10a、10bをそれぞれ4枚の導風板片10A〜10Dより構成した場合の冷却器2の正面図であり、図7(b)はその側面図である。図において導風板10aを構成する複数の導風板片10A〜10Dは、冷却器2の最外周の冷却管9を取り囲むように設けられ、それぞれ風取込口15A〜15Dと風出口16A〜16Dとそれらを直線的に結ぶ板材とにより成っており、各導風板片10A〜10Dの風取込口15A〜15Dの開口面積は風出口16A〜16Dの開口面積よりも大きくなるように漏斗状に形成されている。また、各導風板片10A〜10Dの風取込口15A〜15Dの開口面積は、冷却器2の走行方向端部に位置するものほど小さくなるように構成されている。
なお、導風板10bについては説明を省略するが、走行方向中央に対して対称に同じく4枚の導風板片で構成されている。
【0038】
次に動作について説明する。本実施の形態においても、冷却器2の走行方向中央には導風板を設けないため、冷却管9群間を通り抜ける際の圧力損失が小さく、冷却器2内部へ流入する走行風の量を増大させることができる。さらに、導風板10が複数の採風効果を有する漏斗状の導風板片10A〜10Dにより構成され、各導風板片10A〜10Dの風取込口15A〜15Dの開口面積が走行風上流側に隣接する導風板片のそれよりも大きくなるよう形成されているため、走行風上流より供給される走行風を風上側導風板片の風取り込みによって阻害されることなく風下に至るまで冷却器2内部に取り込むことができる。また、それぞれの導風板片10A〜10Dが走行風上流から下流に向かってその断面積を減少させるように構成されているため、冷却器2内部へ侵入した走行風は、導風板片10A〜10Dに沿った冷却管9群内部へ向かうベクトル成分を与えられるため、冷却器2内部の通過流速を増大させる。
【0039】
以上のように、より多くの走行風を冷却器2に導入し、冷却効率を向上させることができる。
更に、車両が停車中の場合、先述した通り、導風板10が存在しない走行方向中央部分は自然対流による熱伝達が行われるが、導風板10が存在する部分も、各導風板片10A〜10Dの間隙を通って気流の上昇が可能となり、その分停車中の冷却器2の冷却能力が増大するという利点もある。
【0040】
なお、図7では各導風板片10A〜10Dは、その開口面積が直線状に変化するものとしたが、曲線状に変化する例えば円弧翼状のものとすれば、風の流れがより円滑となって流入風量も増大し、その分冷却器2の冷却能力が増大する。
【0041】
本実施の形態では、導風板10は冷却器2の走行方向の両端部から4列目までの冷却管9の最外周を覆うように設けられていたが、覆うべき長さ(列数)は冷却器2の置かれる外環境によりその最適長さは若干変わるものであり、少なくとも冷却器2の走行方向両端から1列目以上を覆い、走行方向中央部には設けないものであればよい。
【0042】
実施の形態4.
実施の形態1ないし3において、導風板10は最外周の冷却管9を取り囲むように設けられており、最外周の冷却管9とは接しなくてもその性能を発揮することができた。ここでは、前記導風板10を最外周の冷却管9と接するように配置することにより、冷却効率をさらに向上させる発明につき述べる。図8(a)は、本発明の実施の形態4における車載用冷却器の正面図であり、図8(b)はその側面図である。図において導風板10(10a、10b)は最外周に位置する冷却管9の外周側壁面に溶接されて固定されている。
【0043】
導風板10は鉄、アルミ、銅、或いはその他の合金のように高い熱伝導率を有し、且つ堅牢な素材により成っており、同様に熱伝導率の高い金属により構成された冷却管9に溶接接続されることにより、最外周の冷却管9から溶接部を介して導風板10に対して接触熱抵抗を発生せず効率的に熱が伝導する。この場合、導風板10は採風作用を有するばかりでなく、放熱フィンとして作用し、冷却器全体の伝熱面積を増大させるため、冷却効率を大幅に向上させることができる。
【0044】
以上のように、導風板10を最外周の冷却管9に溶接接続させることにより、より多くの走行風を冷却器2に導入し、且つ伝熱面積を増大させて冷却効率を向上させることができる。なお、本実施の形態では導風板10と最外周の冷却管9を溶接により接続する例について示したが、導風板10と冷却管9を接続し接触熱抵抗を低減できるものであればどのような接続方法を用いても同様の効果が得られる。
【0045】
本実施の形態では、導風板10は冷却器2の走行方向両端部から4列目までの冷却管9の最外周を覆うように設けられていたが、覆うべき長さ(列数)は冷却器2の置かれる外環境によりその最適長さは若干変わるものであり、少なくとも冷却器の走行方向両端から1列目以上を覆い、走行方向中央部には設けないものであればよい。
【0046】
なお、以上の各実施の形態では、U字型の冷却管9を使用し、これを走行風がその径方向から当たるように配列した冷却器2に適用した場合について説明したが、この発明はこれに限らず、例えば、その軸方向が走行方向と一致する部分を含む形で冷却管が配列された冷却器であっても、要は、走行方向に所定の長さを有し走行方向と直角に所定の面積を有する空間内に複数本の冷却管を分布配設してなる冷却器には同様に適用することができ同等の効果を奏する。
【0047】
実施の形態5.
U字型冷却管9を複数集積して形成された冷却器2では、既述した通り、金属管の曲げ加工の限界に起因する工作上の問題によりその曲げの半径に下限が存在するため冷却管2群の内側に風貫通部11が生じる。図20に示した従来の車載用冷却器では、図3に示した冷却器2内部の流れの様子から分かるように、風貫通部11の走行方向両端部に到達した走行風は、流体抵抗がごく僅かしか存在しない風貫通部11を流量を減少させることなく通過する。しかしながら、このような高速の流れが存在する前記風貫通部11に隣接する冷却管9は最内周に位置するものに限られるため、風貫通部11を通り抜ける大部分の走行風は熱交換に寄与せず冷却器2を通過する。以下は、この点の不具合を解消するものである。
【0048】
図9(a)は本発明の実施の形態5における車載用冷却器の正面図を示す。また、図9(b)はその側面図である。図において、17は最内周のU字型冷却管9の外表面に接することなく風貫通部11内に設置された貫通部導風体であり、前記貫通部導風体17は冷却器2の走行方向に対して両端あるいはその途中より中央に向かって徐々に走行方向に垂直方向の断面積を増大させ、冷却器2の中心において最大断面積を有し、その断面積は最大でも最内周冷却管9の外表面に接触せず、できるかぎり前記最内周冷却管9群の形状に沿うよう構成されている。例えば図9においては、貫通部導風体17は6面体部17Aと中心軸を通る平面で2分割した2つの円錐体部17Bを合わせた柱状を有しており、最内周側の冷却管9に接することなくその最内周包絡面とほぼ相似の表面形状を備えたものとなっている。
【0049】
次に前記冷却器2内部の流れ場の様子を明らかにする。図10は、紙面右から左方向に車両が進行した場合の図9に示した車両走行風によって冷却器2内部に生じる空気の流れ場を図示したものである。図において、走行風は矢印13aの向きに冷却管9群間及び風貫通部11に侵入する。冷却管9群間の走行風は、管群間を通過する際に流体損失を受けるため、より損失の少ない開放空間14へ徐々に流出する。一方、風貫通部11へ侵入した走行風は、風貫通部11に設けられた、上述した形状の貫通部導風体17によってその流路が徐々に狭められるため、走行風下流に向かって徐々に冷却管9群間側へ導かれ、冷却器2の走行方向中央部に至るまでにほぼ全流量が冷却管9群間へ流入する。従って、冷却管9群間には風貫通部11を通る走行風が走行方向中央部に至るまで徐々に流入することにより、ほぼ全域に渡って高速の流れが形成される。勿論、貫通部導風板17の走行方向に垂直な断面積が減少する風貫通部11の後半領域では、図に示すような剥離領域18が形成されてこの渦に接する管壁における対流熱伝達率を減少させるが、走行風上流における冷却管9群間の流速増大による局所熱伝達率の顕著な増大が、上記対流熱伝達率減少分を充分に補い全体として冷却効率は大幅に向上する。
【0050】
以上のように、風貫通部11に貫通部導風板17を設けたので、風貫通部11への走行風の流れを冷却管9群間に導入して冷却効率を大幅に向上させることができる。
【0051】
ここで、貫通部導風体17の形状は、前記風貫通部11の流路が徐々に減少するよう、その断面積を、冷却器2の走行方向両端あるいはその途中から走行方向中央へかけて徐々に増大させ、冷却器2の走行方向中央において最大断面積を有し、その断面積は最大でも最内周冷却管9の外表面に接触せず、できるかぎり前記最内周冷却管9群の形状に沿うよう構成されていれば如何なる形状でもよい。例えば、図11に示した貫通部導風体17は、図8のものの6面体部17Aの両端の梁の高さを減少させ、走行方向に垂直な断面積が冷却器2の走行方向中央に向かって増大するよう構成されたものである。また、図12に示した貫通部導風体17は、6面体部17Aと2つの四面体部17Cとを組み合わせた形状を有している。図13の貫通部導風体17は、図12のものの両端の梁の高さを減少させ、その断面積が中心に向かって滑らかに増大するよう構成したものである。
【0052】
これらの貫通部導風体17においても、風貫通部11の走行風流路が走行方向中央に向かって徐々に狭まり、風貫通部11に流入した走行風を冷却管9群間に導入することができるので、同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0053】
実施の形態6.
図14(a)はこの発明の実施の形態6における車載用冷却器の正面図、図14(b)はその側面図である。ここでは、貫通部導風体17を略平行に所定の間隔を介して配設された複数の導風体片17A〜17Dで構成している。そして、図に示すように、各導風体片17A〜17Dは、走行方向端部側が凸となる略傘形状をしており、風貫通部11に流入した走行風が円滑に冷却管9群側へ導かれるようにしている。更に、その全体としての包絡外形が先の形態例で説明した柱状体の貫通部導風体17と同等となるよう、走行方向から見た各導風体片17A〜17Dの面積は、走行方向中央から端部へかけて順次減少させている。勿論、各導風体片17A〜17Dは走行方向中央に対して対称に構成されている。
【0054】
以上のように、ここでは、貫通部導風体17が一定の間隔を介して配設された複数の導風体片17A〜17Dにより構成されているので、車両の走行中は、先の実施の形態5で説明したと同様、風貫通部11に侵入した走行風をこの貫通部導風体17が冷却管群へ導き全体として冷却器2の冷却能力が増大することは勿論、車両の停車中は、各導風体片17A〜17Dの間隙を経て自然対流による上昇気流を流し得るので、貫通部導風体17を設けたことによる車両停車中の自冷能力の低下がなくなるという利点がある。
【0055】
実施の形態7.
以上に示した実施の形態において、U字型に形成された冷却管9を複数本集積し、その最外周の冷却管9を覆うように中間部が断絶した導風板10を設けたり、または風貫通部11の走行風流路を走行方向中央に向かって走行方向両端から徐々に狭めるように貫通部導風体17を設けた。本実施の形態では、前記導風板10と貫通部導風体17を同時に備えた場合の冷却器2について説明する。図15(a)は、本発明の実施の形態7における冷却器2の正面図であり、図15(b)はその側面図、図15(c)はその上面図である。
【0056】
図16は、本冷却器の内部の走行風の流れ状況を示す、車両走行方向中央における垂直断面図である。車両が紙面右から左の方向に走行する場合、走行風は矢印13aの向きから冷却器2の内部に侵入する。走行風は、走行風上流側の導風板10aの滑らかな絞り覆い形状により増速されながら管群間へ侵入する上、導風板10の働きによって開放空間14への流出が阻害される。一方、風貫通部11へ流入した走行風は、貫通部導風体17によりその流路が徐々に狭められるに従い、強制的に管群間へ導入される。従って、風貫通部11を流れる走行風の流量分だけ管群間の流速が増大し、且つ開放空間14への流出が抑制されつつ高効率の熱交換が行われる。ここで、導風板10と貫通部導風体17を設置することにより、冷却器2全体の圧力損失が増大して、通過風量が減少することが危惧されるが、導風板10が冷却器2の走行方向中央に設けられていないので、走行風の流出経路が確保され、圧力損失の増大は微量に留まる。
【0057】
このように、冷却器2に導風板10と貫通部導風体17とを共に設けたので、一度冷却管9群間へ流入した走行風の冷却管9群間から開放空間14への流出を抑制しつつ、風貫通部11の走行風を冷却管9群間へ導入し、管群間の流速を増大させて冷却効率を大幅に増大させることができる。
【0058】
さらに、導風板10及び貫通部導風体17の組み合わせは、図に示したものだけではなく、実施の形態1ないし実施の形態6までに詳述した何れの形態を有するものの組み合わせでも同様の効果を奏する。
【0059】
実施の形態8.
北海道や東北地方のような寒冷地を走行する車両に、走行風を利用した冷却器を装着する場合、ホーム側壁と道床とより成る角部に雪が吹き溜まって堅牢な雪塊に成長し、車両床下に取り付けられた前記冷却器に衝突してこれを破損させる恐れがある。このような問題を解決するために、従来では網状の金属性保護カバーを冷却管9の周囲に設けた例もあるが、前述のように採風構造を有していなかったため、冷却器全面にわたって高効率の熱交換をすることは不可能であった。
【0060】
そこで、採風構造を有しつつ、構造強度を増大させるための発明につき、図を用いて説明する。図17(a)は本発明の実施の形態8を示す車載用冷却器の正面図であり、図17(b)はその側面図である。図において、19は採風効果と構造強化効果とを有した保護カバーである。この保護カバー19は、最外周の冷却管9を冷却器2の走行方向全長に渡り、かつ、冷却管9の車両方向には車側側の飛石や雪塊等の障害物が衝突すると考えられる一部に限定して覆うようになっている。前記保護カバー19は、導風板10と同様に冷却管9群間に流入した走行風の開放空間14への流出を防止する。ここで、保護カバー19は最外周の冷却管9を完全に覆うように設けられてはいないので、冷却器2全体の圧力損失は微量しか増大せず、通過風量を減少させない。さらに、板状の保護カバーを設けることにより、飛石や雪塊等の衝突に対しても、冷却管9が破損することを防止することができる。
【0061】
このように、冷却器2に保護カバー19を設けたので、冷却器2の通過風量を増大させて冷却効率を増大させ、且つ飛石や雪塊等の衝突に対する保護機能を有することができる。
【0062】
また、ここでは導風板10は車両進行方向と平行な形状となっていたが、走行方向両端の開口面積を走行方向中央の断面積よりも大きくなるように直線或いは先の実施の形態2の導風板10の説明で触れた3次曲線等のような滑らかな曲線となるよう構成すると、同様の効果に加えて採風効果による冷却効率の向上を図ることができることは言うまでもなく、さらに風貫通部11に貫通部導風体17を設けることにより、より一層冷却効率を向上させることができる。
【0063】
実施の形態9.
実施の形態8では、保護カバー19は板状の部材により形成されていたため、保護カバー19に覆われている管群間を通過する際の圧力損失が、他の部位と比較して若干大きくなるため、保護カバー19の無い管群間あるいは風貫通部11への走行風の流出が発生する。そこで、保護カバー19を通気性を有するよう加工することにより、保護カバー19に覆われた部位の圧力損失を低減して冷却器2の通過風量を増大させることができる。図18(a)は、本発明の実施の形態9における、通気性を保持した保護カバー19を設けた車載用冷却器の正面図であり、図18(b)はその側面図である。図において、20は保護カバー19の走行方向両端所定長を除く走行方向中央付近に保護カバー19を貫通するように複数個設けられた通風孔である。
【0064】
この場合、保護カバー19は、走行風の入口部には通風孔20を有しないため、冷却器2の最も局所熱伝達率の高い、走行方向両端の走行風入口近傍の流れを開放空間14へ流出させること無く冷却管9群間に保持する効果を有し、さらにその下流中央部には複数の通風孔20を有するので、それらの通風孔20より冷却管9群間の走行風を開放空間14へ漏洩させて冷却器2全体の圧力損失が著しく増大することを抑制する働きを有する。ここで、通風孔20は冷却器2の全体構造に依存した最適な位置に配置すべきであり、少なくとも保護カバー19の走行方向両端には設けないよう配置すればよい。また、通風孔20の径は、障害物が貫通しない大きさで、その形状は、丸型、楕円型、四角型、菱形、スリット等何れのものでもよく、少なくとも飛石或いは雪塊等の障害物の衝突に対し強度を維持できるよう設けられなければならない。
【0065】
以上のように、保護カバー19に通風孔20を設けることにより、衝突に対する強度を向上させつつ、且つ採風量を増大させて冷却効率を向上させることができる。
【0066】
さらに、図19(a)は、保護カバー19の代わりにルーバー構造の板材である複数の保護ルーバー21を設置した冷却器2の正面図であり、図19(b)はその側面図である。図において、各保護ルーバー21は、冷却器の走行方向両端方向に向かって開口するよう走行方向中央を対称面として設置されており、車両が何れの方向に進行しても、採風能力を発揮できるよう構成されている。また、飛石或いは雪塊等の衝突に耐え得るようできる限り冷却管9が露出しないよう各保護ルーバー20を走行方向に重ねるか或いは保護ルーバー20の走行方向長さと同一ピッチで設置するものである。ここで、図では各冷却管9につき1つの保護ルーバーが覆うよう構成されているが、保護ルーバー21の長手方向長さは最大、冷却器2の走行方向長さの1/2以下であれば如何なる長さであってもよい。
【0067】
以上のように衝突に対する強度を向上させつつ、且つ採風量を増大させて冷却効率を向上させることができる。
また、車両の停車時には、自然対流による上昇気流がこれら保護ルーバー21間を通過することができるので、その分、停車時の冷却能力の低下が緩和される。
なお、実施の形態8、9で説明した保護カバー19と、実施の形態5、6で説明した貫通部導風体17とを併設するようにしてもよい。この場合、飛来物に対する機械的強度が向上するとともに、走行風の冷却管群への導入量が増大して冷却器の冷却能力も一層向上する。
【0068】
また、以上の各実施の形態では、車両の床下に取り付けられる変圧器またはリアクトルを冷却するための冷却器に適用した場合について説明したが、この発明はこれらに限られるものではなく、車両に搭載されその走行によって生じる走行風との熱伝達により冷却を行う冷却管を備えた車載用冷却器に広く適用することができ同等の効果を奏する。
【0069】
【発明の効果】
以上のように請求項1に係る車載用冷却器は、車両の走行方向に所定の長さを有し上記走行方向と直角に上記走行方向に沿って一定の面積を有する空間内に、その両端がヘッダに接続された略U字型の冷却管を、上記車両の走行方向と直角な面内に複数本、かつ上記走行方向に沿って複数列分布配設してなり、上記冷却管と上記車両の走行によって生じる走行風との熱伝達により冷却を行う車載用冷却器において、
上記空間の上記走行方向の中央部分を除き上記走行方向の両端から所定長の部分を、上記面積の外周に沿って覆うように配設された導風板を備えたので、この導風板が冷却管群に侵入した走行風を冷却器の走行方向中央部まで保持し、冷却性能が増大する。
【0070】
また、請求項2に係る車載用冷却器の導風板は、その走行方向と直角な開口面積が、空間の上記走行方向中央寄りから上記走行方向端部にかけて順次増大するようにしたので、冷却器の通過風量が増大して冷却性能が更に向上する。
【0071】
また、請求項3に係る車載用冷却器の導風板は、その走行方向を含む平面で切断した断面が直線状となるようにしたので、導風板の構造が簡便で安価となる。
【0072】
また、請求項4に係る車載用冷却器の導風板は、その走行方向を含む平面で切断した断面が、その走行方向両端では上記走行方向と平行となるようにしたので、導風板に取り込まれる走行風の流れが滑らかになり結果として風量が増大して冷却性能が向上する。
【0073】
また、請求項5に係る車載用冷却器は、その導風板を、走行方向に連なって配設された複数の導風板片からなるものとし、上記一の導風板片の上記走行方向一端と該一の導風板片に隣接する導風板片の上記走行方向他端とが、上記走行方向と直角な方向に所定の間隔を介して位置するようにしたので、これら導風板片が走行風に方向性を与え、冷却管群への導入風量が増大して冷却性能が向上するとともに、車両停車時の冷却能力の低下を緩和する。
【0074】
また、請求項6に係る車載用冷却器の各導風板片は、空間の走行方向端部側におけるその走行方向と直角な開口面積が、上記空間の走行方向端部側から上記走行方向中央寄りにかけて順次増大するようにしたので、冷却管群の下流側への走行風の供給が増大して冷却性能が向上する。
【0075】
また、請求項7に係る車載用冷却器は、その導風板を熱良導体で構成し、空間内の最外周に配設された冷却管と上記導風板とを熱的に接続したので、冷却器の熱伝達面積が増大し、冷却性能が一層向上する。
【0076】
請求項8に係る車載用冷却器は、車両の走行方向に所定の長さを有し上記走行方向と直角に上記走行方向に沿って一定の面積を有する空間内に、その両端がヘッダに接続された略U字型の冷却管を、車両の走行方向と直角な面内に複数本、かつ上記走行方向に沿って複数列分布配設してなり、上記冷却管と上記車両の走行によって生じる走行風との熱伝達により冷却を行う車載用冷却器において、
上記直角な面内の最内周に配設された冷却管と上記ヘッダとにより形成される風貫通部内に設けられ、上記走行方向端から上記風貫通部に侵入した走行風を上記冷却管の配設部分へ導く貫通部導風体を備えたので、風貫通部への走行風の流れが冷却管群へ流入し冷却性能が大幅に向上する。
【0077】
また、請求項9に係る車載用冷却器の貫通部導風体は、走行方向を軸とし上記走行方向と直角な断面が、風貫通部の上記走行方向中央から端部へかけて順次減少する柱状体としたので、走行風の風貫通部から冷却管群への流れが滑らかになり、結果としてその風量が増大して冷却性能が向上する。
【0078】
また、請求項10に係る車載用冷却器の貫通部導風体は、略平行に所定の間隔を介して配設され風貫通部の走行方向端部側が凸となる略傘形状の複数の導風体片からなり、上記各導風体片の上記走行方向と直角な面積が、上記風貫通部の上記走行方向中央から端部へかけて順次減少するようにしたので、風貫通部への走行風の流れが冷却管群への流入して、冷却性能が増大するとともに、車両停車時の冷却能力の低下が緩和される。
【0079】
また、請求項11に係る車載用冷却器は、請求項1ないし7のいずれかに記載の導風板と請求項8ないし10のいずれかに記載の貫通部導風体とを備えたので、冷却管群の通過風量が一層増大して冷却性能が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 車載用冷却器の車両への取り付け構造を示す図である。
【図2】 この発明の実施の形態1における車載用冷却器を示す図である。
【図3】 従来の冷却器における走行風の流れの様子を示す図である。
【図4】 この発明の実施の形態1の車載用冷却器における走行風の流れの様子を示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態2における車載用冷却器を示す図である。
【図6】 図5の車載用冷却器の変形例を示す図である。
【図7】 この発明の実施の形態3における車載用冷却器を示す図である。
【図8】 この発明の実施の形態4における車載用冷却器を示す図である。
【図9】 この発明の実施の形態5における車載用冷却器を示す図である。
【図10】 この発明の実施の形態5の車載用冷却器における走行風の流れの様子を示す図である。
【図11】 図9の車載用冷却器の変形例を示す図である。
【図12】 図9の車載用冷却器の更に他の変形例を示す図である。
【図13】 図9の車載用冷却器の更に他の変形例を示す図である。
【図14】 この発明の実施の形態6における車載用冷却器を示す図である。
【図15】 この発明の実施の形態7における車載用冷却器を示す図である。
【図16】 この発明の実施の形態7の車載用冷却器における走行風の流れの様子を示す図である。
【図17】 この発明の実施の形態8における車載用冷却器を示す図である。
【図18】 この発明の実施の形態9における車載用冷却器を示す図である。
【図19】 図18の車載用冷却器の変形例を示す図である。
【図20】 従来の車載用冷却器を示す図である。
【図21】 従来の図20とは異なる車載用冷却器を示す図である。
【符号の説明】
1 車載電気機器本体、2 冷却器、5 車両、9 冷却管、
10,10a,10b 導風板、10A〜10D 導風板片、11 風貫通部、
12(12a、12b) 車両走行方向、14 開放空間、17 貫通部導風体、
17A〜17D 導風体片、19 保護カバー、20 通風孔、21 保護ルーバー。

Claims (11)

  1. 車両の走行方向に所定の長さを有し上記走行方向と直角に上記走行方向に沿って一定の面積を有する空間内に、その両端がヘッダに接続された略U字型の冷却管を、上記車両の走行方向と直角な面内に複数本、かつ上記走行方向に沿って複数列分布配設してなり、上記冷却管と上記車両の走行によって生じる走行風との熱伝達により冷却を行う車載用冷却器において、
    上記空間の上記走行方向の中央部分を除き上記走行方向の両端から所定長の部分を、上記面積の外周に沿って覆うように配設された導風板を備えたことを特徴とする車載用冷却器。
  2. 導風板は、その走行方向と直角な開口面積が、空間の上記走行方向中央寄りから上記走行方向端部にかけて順次増大するようにしたことを特徴とする請求項1記載の車載用冷却器。
  3. 導風板は、その走行方向を含む平面で切断した断面が直線状となるようにしたことを特徴とする請求項2記載の車載用冷却器。
  4. 導風板は、その走行方向を含む平面で切断した断面が、その走行方向両端では上記走行方向と平行となるようにしたことを特徴とする請求項2記載の車載用冷却器。
  5. 導風板を、走行方向に連なって配設された複数の導風板片からなるものとし、上記一の導風板片の上記走行方向一端と該一の導風板片に隣接する導風板片の上記走行方向他端とが、上記走行方向と直角な方向に所定の間隔を介して位置するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の車載用冷却器。
  6. 各導風板片は、空間の走行方向端部側におけるその走行方向と直角な開口面積が、上記空間の走行方向端部側から上記走行方向中央寄りにかけて順次増大するようにしたことを特徴とする請求項5記載の車載用冷却器。
  7. 導風板を熱良導体で構成し、空間内の最外周に配設された冷却管と上記導風板とを熱的に接続したことを特徴とする請求項1記載の車載用冷却器。
  8. 車両の走行方向に所定の長さを有し上記走行方向と直角に上記走行方向に沿って一定の面積を有する空間内に、その両端がヘッダに接続された略U字型の冷却管を、車両の走行方向と直角な面内に複数本、かつ上記走行方向に沿って複数列分布配設してなり、上記冷却管と上記車両の走行によって生じる走行風との熱伝達により冷却を行う車載用冷却器において、
    上記直角な面内の最内周に配設された冷却管と上記ヘッダとにより形成される風貫通部内に設けられ、上記走行方向端から上記風貫通部に侵入した走行風を上記冷却管の配設部分へ導く貫通部導風体を備えたことを特徴とする車載用冷却器。
  9. 貫通部導風体は、走行方向を軸とし上記走行方向と直角な断面が、風貫通部の上記走行方向中央から端部へかけて順次減少する柱状体としたことを特徴とする請求項8記載の車載用冷却器。
  10. 貫通部導風体は、略平行に所定の間隔を介して配設され風貫通部の走行方向端部側が凸となる略傘形状の複数の導風体片からなり、上記各導風体片の上記走行方向と直角な面積が、上記風貫通部の上記走行方向中央から端部へかけて順次減少するようにしたことを特徴とする請求項8記載の車載用冷却器。
  11. 請求項1ないし7のいずれかに記載の導風板と請求項8ないし10のいずれかに記載の貫通部導風体とを備えたことを特徴とする車載用冷却器。
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