JP3877089B2 - 回路接続用接着剤及び回路板の製造法 - Google Patents

回路接続用接着剤及び回路板の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板同士またはICチップや電子部品と回路基板の接続に用いられる接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
回路基板同士またはICチップや電子部品と回路基板の接続とを電気的に接続する際には、接着剤または導電粒子を分散させた異方導電接着剤が用いられている。すなわち、これらの接着剤を電極間に配置して、加熱、加圧によって電極同士を接続後、加圧方向に導電性を持たせることによって電気的接続を行うことができる。例えば、特開昭62−141083では、エポキシ樹脂をベースとした回路接続用接着剤が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エポキシ樹脂をベース樹脂とした従来の接着剤を用いた接着剤は、耐熱性が充分でなく、熱衝撃試験、PCT試験、はんだバス浸漬試験などの信頼性試験を行うと回路基板の接続部において、接続抵抗の増大や接着剤の剥離が生じるという問題がある。このような問題を解決するために、接着剤として耐熱性に優れるポリイミド樹脂を用いる方法が考えられるが、ポリイミド樹脂は、一般に接着時の溶融粘度が高いため、接続時、回路基板の接続電極間の接着樹脂を排除することができず、結果として接続電極間の電気的導通を確保できないという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、相対向する回路電極を加熱、加圧によって、加圧方向の電極間を電気的に接続する加熱接着性接着剤において、前記接着剤がポリイミド系樹脂を主成分とする接着剤層とエポキシ樹脂を主成分とする接着剤を積層したことを特徴とする多層フィルム状接着剤に関するものである。
本発明の回路板の製造法は、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に本発明の接着剤を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の多層フィルム状接着剤は、ポリイミド系樹脂を主成分とする接着剤層とエポキシ樹脂を主成分とする接着剤層が積層されてなる。
本発明において用いられるポリイミド樹脂を主成分とする接着剤に使用されるポリイミド樹脂としては、例えば下記化1で表されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて得られるポリイミド樹脂が挙げられる。
【0006】
【化1】
Figure 0003877089
テトラカルボン酸二無水物とジアミンの縮合反応は、有機溶媒中で行う。この場合、テトラカルボン酸二無水物とジアミンは、等モル又はほぼ等モルで用いるのが好ましく、各成分の添加順序は任意である。
用いる有機溶媒としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、m−クレゾール、o−クロルフェノール等がある。
反応温度は80℃以下、好ましくは0〜50℃である。反応が進行するにつれ反応液の粘度が徐々に上昇する。この場合、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が生成する。
ポリイミド樹脂は、前記反応物(ポリアミド酸)を脱水閉環させて得ることができる。脱水閉環は120℃〜250℃で熱処理する方法や化学的方法を用いて行うことができる。120℃〜250℃で熱処理する方法の場合、脱水反応で生じる水を系外に除去しながら行うことが好ましい。この際、ベンゼン、トルエン、キシレン等を用いて水を共沸除去してもよい。
化学的方法で脱水閉環させる場合は、閉環剤として無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息酸の酸無水物、ジシクロヘキシルカルボイミド等のカルボジイミド化合物等を用いる。このとき必要に応じてピリジン、イソキノリン、トリメチルアミン、アミノピリジン、イミダゾール等の閉環触媒を用いてもよい。閉環剤又は閉環触媒は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対し、それぞれ1〜8モルの範囲で使用するのが好ましい。
【0007】
また、本発明のポリイミド樹脂を主成分とする接着層には、必要に応じてエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤の他シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系添加剤等を適宜加えてもよい。
本発明において、エポキシ樹脂を主成分とする接着剤に用いられるエポキシ樹脂としては、エピクロルヒドリンとビスフェノールAやF、AD等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラックやクレゾールノボラックから誘導されるエポキシノボラック樹脂やナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエステル、ビフェニル、脂環式等の1分子中に2個以上のグリシジル基を有する各種エポキシ化合物等を、単独あるいは2種以上を混合して用いることが可能である。
【0008】
潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等、及びこれらの変性物があり、これらは単独あるいは2種以上の混合体として使用できる。特に、エポキシ化合物とアミン化合物またはエポキシ化合物、アミン化合物と活性水素化合物の各成分を反応させたアミンアダクト型の潜在性硬化剤が速硬化性、保存安定性の点で好適である。
【0009】
本発明においてエポキシ樹脂を主成分とする接着剤は、エポキシ樹脂100重量部に対して潜在性硬化剤1〜200重量部混合することによって作製できる。
また、この接着剤層にはフィルム形成性をより容易にするために、フェノキシ樹脂などの熱可塑性樹脂を配合することもできる。特に、フェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂と構造が類似しているため、エポキシ樹脂との相溶性、接着性に優れる等の特徴を有するので好ましい。エポキシ樹脂を主成分とする接着剤の溶融粘度(接着剤から硬化剤を除去した溶融粘度)が5000ポイズを越える場合は、接続時に接着剤が接続電極間から排除されず導電粒子と接続電極との電気的導通が確保できないという問題が生じる。
【0010】
本発明のそれぞれの接着剤層には、回路電極の高さばらつきを吸収するために、異方導電性を積極的に付与する目的で導電粒子を分散することもできる。本発明において導電粒子は、例えばAu、Ni、Ag、Cu、Wやはんだ等の金属粒子またはこれらの金属粒子表面に、金やパラジウム等の薄膜をめっきや蒸着によって形成した金属粒子であり、ポリスチレン等の高分子の球状の核材に、Ni、Cu、Au、はんだ等の導電層を設けた導電粒子を用いることができる。粒径は、基板の電極の最小の間隔よりも小さいことが必要で、電極の高さばらつきがある場合、高さばらつきよりも大きいことが好ましく、1μm〜10μmが好ましい。また、接着剤に分散される導電粒子量は、0.1〜30体積%であり、好ましくは0.2〜15体積%である。
【0011】
本発明のフィルム状接着層の形成は、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、潜在性硬化剤、導電粒子等からなる接着剤組成物を有機溶剤に溶解あるいは分散により液状化して、剥離性基材上に塗布し、硬化剤の活性温度以下で溶剤を除去することにより行われる。
【0012】
本発明で得た接続材料を用いた電極の接続について説明する。この方法は、接着剤材料を、基板上の相対峙する電極間に形成し、加熱加圧により両電極の接触と基板間の接着を得る電極の接続方法である。電極を形成する基板としては、半導体、ガラス、セラミック等の無機質、ポリイミド、ポリカーボネート等の有機物、ガラス/エポキシ等のこれら複合の各組み合わせが適用できる。
【0013】
また本発明の接続材料は、例えばフェイスダウン方式により半導体チップを基板と接着フィルムで接着固定すると共に両者の電極どうしを電気的に接続する場合にも使用できる。
すなわち、第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に本発明の接続材料を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させ回路板を製造することができる。
【0014】
このような回路部材としては半導体チップ、抵抗体チップ、コンデンサチップ等のチップ部品、プリント基板等の基板等が用いられる。
これらの回路部材には接続端子が通常は多数(場合によっては単数でも良い)設けられており、前記回路部材の少なくとも1組をそれらの回路部材に設けられた接続端子の少なくとも一部を対向配置し、対向配置した接続端子間に接着剤を介在させ、加熱加圧して対向配置した接続端子どうしを電気的に接続して回路板とする。
回路部材の少なくとも1組を加熱加圧することにより、対向配置した接続端子どうしは、直接接触により又は異方導電性接着剤の導電粒子を介して電気的に接続することができる。
【0015】
【作用】
本発明によれば、従来の耐熱性の点では有利なポリイミド系接着剤の問題であった接続電極間の電気的導通不良を、ポリイミド系接着剤層に溶融粘度が低いエポキシ樹脂を主成分とする接着剤層を積層することによって、接続時の溶融粘度を低下でき、結果として耐熱性を持ち合わせながら、相対向する回路電極間の電気的導通を良好にできた。また、本発明のフィルム状接着剤は、ポリイミドを主成分とする接着層面を、ポリイミド膜が絶縁層として用いられているチップやポリイミド樹脂系基材等、一般に良好な接着強度が得にくいとされる部材に接続する際、良好な接着強度が得やすいという利点もある。
【0016】
【実施例】
実施例1
以下に、本発明に基づいて詳細に説明する。
エチレンビストリメート二無水物(0.1モル)と2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(0.1モル)を反応させて合成したポリイミド樹脂100gをジメチルアセトアミド/シクロヘキサン/(1/1)の混合溶液233gに溶解し、30%の溶液を得た。この溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み40μm)にロールコータで塗布し、80℃で10分、続いて150℃で30分加熱し、厚み20μmのポリイミド樹脂を主成分とする接着層1を作製した。
次に、フェノキシ樹脂175gを酢酸エチル400gに溶解し、30%の溶液を得た。次いで、アミンアダクト型潜在性硬化剤100gとビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量185)225gをこの溶液に加え、攪拌し、さらにニッケル粒子(直径:5μm)を2vol%分散して、フィルム塗工用溶液を得た。この溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み40μm)にロールコータで塗布し、100℃10分乾燥し厚み20μmのエポキシ樹脂を主成分とする接着層2を作製した。
次に、接着層1と接着層2を40℃で加熱しながら、ロールラミネータでラミネートすることによって、ポリイミド樹脂を主成分とする接着層とエポキシ樹脂を主成分とする接着層が積層されたフィルム状接着剤を得た。
次に、作製したフィルム状接着剤を用いて、金バンプ(面積:80μm×80μm、スペース30μm、高さ:15μm、バンプ数288)付きチップ(10mm×10mm、厚み:0.5mm)と、Ni/AuめっきCu回路プリント基板の接続を以下に示すように行った。フィルム状接着剤(12mm×12mm)のエポキシ樹脂を主成分とする接着層面をNi/AuめっきCu回路プリント基板(電極高さ:20μm、厚み:0.8mm)に80℃、10kgf/cm2 で貼り付けた後、セパレータを剥離し、チップのバンプとNi/AuめっきCu回路プリント基板(厚み:0.8mm)の位置合わせを行った。次いで、230℃、30g/バンプ、15秒の条件でチップ上方から加熱、加圧を行い、本接続を行った。本接続後の接続抵抗は、1バンプあたり最高で6mΩ、平均で2mΩ、接続抵抗は108 Ω以上であり、これらの値は−55〜125℃の熱衝撃試験1000サイクル処理、PCT試験(121℃、2気圧)200時間、260℃のはんだバス浸漬10秒後においても変化がなく、良好な接続信頼性を示した。
【0017】
実施例2
デカメチレンビストリメート二無水物(0.08モル)及びペンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(0.02モル)の酸無水物と、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(0.08モル)及び3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン(0.02モル)のジアミンを反応させて合成したポリイミド樹脂100gをジメチルアセトアミド/シクロヘキサノン/(1/1)の混合溶液233gに溶解し、30%の溶液を得た。この溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み40μm)にロールコータで塗布し、80℃で10分、続いて150℃で30分加熱し、厚み20μmのポリイミド樹脂を主成分とする接着層1を作製した。
次に、フェノキシ樹脂175gを酢酸エチル400gに溶解し、30%の溶液を得た。次いで、アミンアダクト型潜在性硬化剤100gとビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量185)225gをこの溶液に加え、攪拌し、さらにニッケル粒子(直径:5μm)を2vol%分散してフィルム塗工用溶液を得た。この溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み40μm)にロールコータで塗布し、100℃10分乾燥し厚み20μmのエポキシ樹脂を主成分とする接着層2を作製した。
次に、接着層1と接着層2を40℃で加熱しながら、ロールラミネータでラミネートすることによって、ポリイミド樹脂を主成分とする接着層とエポキシ樹脂を主成分とする接着層が積層されたフィルム状接着剤を得た。
次に、作製したフィルム状接着剤を用いて、金バンプ(面積:80μm×80μm、スペース30μm、高さ:15μm、バンプ数288)付きチップ(10mm×10mm、厚み:0.5mm)と、Ni/AuめっきCu回路プリント基板の接続を以下に示すように行った。フィルム状接着剤(12mm×12mm)のエポキシ樹脂を主成分とする接着層面をNi/AuめっきCu回路プリント基板(電極高さ:20μm、厚み:0.8mm)に80℃、10kgf/cm2 で貼り付けた後、セパレータを剥離し、チップのバンプとNi/AuめっきCu回路プリント基板(厚み:0.8mm)の位置合わせを行った。次いで、230℃、30g/バンプ、10秒の条件でチップ上方から加熱、加圧を行い、本接続を行った。本接続後の接続抵抗は、1バンプあたり最高で6mΩ、平均で2mΩ、接続抵抗は108 Ω以上であり、これらの値は−55〜125℃の熱衝撃試験1000サイクル処理、PCT試験(121℃、2気圧)200時間、260℃のはんだバス浸漬10秒後においても変化がなく、良好な接続信頼性を示した。
次に、作製した接着フィルム2を用いて、金バンプ(面積:80μm×80μm、スペース30μm、高さ:15μm、バンプ数288)付きチップ(10mm×10mm)と、Ni/AuめっきCu回路プリント基板(電極高さ:20μm、厚み:0.8mm)の接続を以下に示すように行った。フィルム状接着剤(12mm×12mm)をNi/AuめっきCu回路プリント基板に80℃、10kgf/cm2 で貼り付けた後、セパレータを剥離し、チップのバンプとNi/AuめっきCu回路プリント基板の位置合わせを行った。次いで、170℃、30g/バンプ、20秒の条件でチップ上方から加熱、加圧を行い、本接続を行った。本接続後のチップの反りは、3.8ミクロン(チップ側に凸状の反り)であった。本接続後の接続抵抗は、1バンプあたり最高で18mΩ、平均で8mΩ、接続抵抗は108 Ω以上であり、これらの値は−55〜125℃の熱衝撃試験1000サイクル処理、PCT試験(121℃、2気圧)200時間、260℃のはんだバス浸漬10秒後においても変化がなく、良好な接続信頼性を示した。
【0018】
比較例1
実施例1ポリイミド樹脂を100gをジメチルアセトアミド/シクロヘキサン/(1/1)の混合溶液233gに溶解し、30%の溶液を得た。この溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み40μm)にロールコータで塗布し、80℃で10分、続いて150℃で30分加熱し、厚み40μmのポリイミド樹脂を主成分とするフィルム状接着剤を作製した。
次に、作製したフィルム状接着剤を用いて、金バンプ(面積:80μm×80μm、スペース30μm、高さ:15μm、バンプ数288)付きチップ(10mm×10mm、厚み:0.5mm)と、Ni/AuめっきCu回路プリント基板の接続を以下に示すように行った。フィルム状接着剤(12mm×12mm)をNi/AuめっきCu回路プリント基板(厚み:0.8mm)に80℃、10kgf/cm2 で貼り付けた後、セパレータを剥離し、チップのバンプとNi/AuめっきCu回路プリント基板の位置合わせを行った。次いで、230℃、30g/バンプ、20秒の条件でチップ上方から加熱、加圧を行い、本接続を行った。本接続後の接続抵抗を測定したところ、一部のバンプで接着剤の排除性低下に基づく導通不良があった。
【0019】
比較例2
実施例2ポリイミド樹脂を100gをジメチルアセトアミド/シクロヘキサン/(1/1)の混合溶液233gに溶解し、30%の溶液を得た。この溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み40μm)にロールコータで塗布し、80℃で10分、続いて150℃で30分加熱し、厚み40μmのポリイミド樹脂を主成分とするフィルム状接着剤を作製した。
次に、作製したフィルム状接着剤を用いて、金バンプ(面積:80μm×80μm、スペース30μm、高さ:15μm、バンプ数288)付きチップ(10mm×10mm、厚み:0.5mm)とNi/AuめっきCu回路プリント基板の接続を以下に示すように行った。フィルム状接着剤(12mm×12mm)をNi/AuめっきCu回路プリント基板(厚み:0.8mm)に80℃、10kgf/cm2 で貼り付けた後、セパレータを剥離し、チップのバンプとNi/AuめっきCu回路プリント基板の位置合わせを行った。次いで、230℃、30g/バンプ、20秒の条件でチップ上方から加熱、加圧を行い、本接続を行った。本接続後の接続抵抗は108 Ω以上であったが、接続抵抗は、1バンプあたり最高で10800mΩ、平均で7600mΩ、で良好な電気的導通を確保できなかった。また、接続抵抗は−55〜125℃の熱衝撃試験200サイクル処理、PCT試験(121℃、2気圧)40時間、260℃のはんだバス浸漬10秒後において電気的導通が不良になった。
【0020】
【発明の効果】
以上のように本発明の接着剤によれば、耐熱性に優れるポリイミド樹脂を主成分とする接着層と溶融流動性に優れるエポキシ樹脂を主成分とする接着層を積層化したフィルム状接着剤であるため、接続時に溶融粘度を低下でき、結果として耐熱性を持ち合わせながら、相対向する回路電極間の電気的導通を良好にでき、熱衝撃、PCTやはんだバス浸漬試験等の信頼性試験おいて、接続部での接続抵抗の増大や接着剤の剥離がなく、接続信頼性が向上する。
したがって、本発明のフィルム状接着剤は、ICチップ、プリント基板、液晶パネル、コンデンサ、プリント基板等の相対向する回路電極を接続時の加圧方向にのみ電気的に接続するために、好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 相対向する回路電極を加熱、加圧によって、加圧方向の電極間を電気的に接続する加熱接着性接着剤において、前記接着剤がポリイミド系樹脂を主成分とする接着剤層とエポキシ樹脂を主成分とする接着剤層を積層した層を備えることを特徴とする回路接続用接着剤。
  2. エポキシ樹脂を主成分とする接着剤が潜在性硬化剤を含有することを特徴とする請求項1記載の回路接続用接着剤。
  3. エポキシ樹脂を主成分とする接着剤の接続温度における溶融粘度が5000ポイズ以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の回路接続用接着剤。
  4. 接着剤の各層の少なくとも一つの層に0.01〜30体積%の導電粒子が分散されていることを特徴とする請求項1〜3各項記載の回路接続用接着剤。
  5. 第一の接続端子を有する第一の回路部材と、第二の接続端子を有する第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子を対向して配置し、前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子の間に請求項1〜4各項記載の回路接続用接着剤を介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の接続端子と第二の接続端子を電気的に接続させる回路板の製造法。
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