JP3875782B2 - 経糸テンショナを制御する装置及び同装置を備えた織機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体を内蔵し、かつ経糸テンショナに連結されるスプリング部材と、同経糸テンショナの位置を検出するためのセンサ及びテンショナビームを調節する目的にてスプリング部材の圧力を増減させることによりそのバネ力を変更するための制御弁を有する制御システムとを備える経糸テンショナを制御するための装置並びに同装置を備えた織機に関する。
【0002】
【従来の技術】
織機には経糸テンショナが設けられていることは周知である。経糸テンショナは、常に同一の中央位置にて保持されるテンショナビームを有する。経糸テンショナの主要な機能としては、経糸開口形成時に経糸の長さを補償すること、及び経糸張力、即ちテンショナビームを介した経糸の緊張を生成すること、が挙げられる。
【0003】
経糸張力は、織物の種類に依存することも周知である。
上述のような装置は、ドイツ連邦共和国実用新案登録第9304801.7号に開示されている。同装置では、回動可能に軸受されたテンショナビームが位置センサによって監視され、かつ空気バネによって付勢されている。経糸張力は空気圧の変化に比例する。従って、制御弁が空気バネに連結され、空気バネの空気圧を変化させて経糸張力を変更している。空気バネは所定の弾性特性を有し、従って制限された範囲内においてのみ使用され得る。経糸テンショナがコイルバネあるいはトーションバーによって張力を与えられたとしても同様に適用される。
【0004】
上記装置では、糸の種類が違う場合、張力を与えるバネを取り替える必要性が生ずるので不都合であり、従来より解決されるべき問題となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の問題を解決するような経糸テンショナを制御するための装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、流体を内蔵し、かつ経糸テンショナに連結されるスプリング部材と、経糸テンショナの位置を検出するためのセンサ並びに前記スプリング部材(21,51)及び圧力線に連結される制御弁を有する制御システムとを備える経糸テンショナを制御するための装置であって、同制御弁(22)は、経糸テンショナ(4)に配置されたテンショナビーム(11,61)を調節する目的にて前記流体の圧力を増減させることによりスプリング部材(21,51)のバネ力を変更し、かつ同制御システムは、遮断部材を介してスプリング部材に連通する少なくとも一つのコンテナを備え、経糸テンショナの回動範囲を制御する目的にてスプリング部材(21,51)と連通する容量を増減させることによりスプリング部材のバネ剛性(バネ定数)を変更させることを特徴とする装置によって達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1,2,4及び5に示すように、経糸1は、経糸ビーム2から、偏向ビーム3、経糸テンショナ4、ヘルドフレーム5、筬6及び織物7を経て、織物巻取り装置8へ案内される。経糸ビーム2には経糸送出装置9が備えられている。経糸テンショナ4は、製織工程において、経糸1に張力を与えるように機能する。経糸テンショナ4は、テンショナ部材11及び同テンショナ部材11を回動可能に軸支するための支持部12を備え、軽量かつ複数の支持部12によって支持されている。支持部12は、テンショナ部材11が軸心15を中心にして回動され得るように支持ビーム14にて保持される。
【0008】
図1を参照すると、支持ビーム14には少なくとも一つのレバー16が装着され、同レバー16は、スプリング部材としての空気バネ21に連結される。空気バネ21は、後述する制御システム(Regelvorrichtung)の一部をなす。空気バネ21は、その一端が織機フレーム17に固定され、他端は、空気バネ21が二つの矢印Bにて示す方向に調節可能となるように、部材18にてレバー16に連結されている。制御システムは、前述の空気バネ21、空気放出弁を備え、かつ電気的に作動される制御弁22、経糸テンショナ4の位置を検出するためのセンサ23、圧力線24、接続線25及び制御装置(Steuervorrichtung)を含む。制御装置は、織機(図示しない)の制御システムの一部として、あるいは分離したユニットとして実行されるコントロールユニット31を備え、織機のターミナル32に対して信号を伝達するように接続される。制御装置はまた、経糸テンショナ4の回動範囲を特定するための配置26を備える。配置26は2つの群からなり、それらの群の各々がコンテナ33と2ポート2位置切換弁34を備える。両群が直列に接続され、タップライン36を介して接続ライン25に接続される。振動を減衰させるために、各群にはそれぞれ絞り35が連結される。制御弁22、2ポート2位置切換弁34及び絞り35は、信号伝達可能にコントロールユニット31に対して連結される。
【0009】
本発明の装置の機能を以下に述べる。経糸テンショナを所望の位置に設定すること、経糸テンショナの回動範囲の特定、経糸張力の設定及び減衰の設定は、ターミナル32にて実行される。センサ23、制御弁22及び空気バネ21によって形成される制御システムは、所望の値を設定することによって作動し、経糸テンショナ4は、空気バネ21の圧力負荷及び経糸送出装置9の制御によって中央の所望位置に配置され、制御システムによって常にこの位置に保持される。経糸張力のずれによって所望位置からずれると、所望の経糸張力及び経糸テンショナを所望位置へ戻すために、位置センサからの信号あるいは経糸応力センサからの信号が、経糸送出装置の制御、あるいは空気バネの空気圧を変化させるために使用される。経糸応力センサからの信号に代えて、空気バネの空気圧に由来する信号を使用することも可能である。
【0010】
必要とされる経糸張力が製造されるべき織物の種類にて異なることは公知である。緯糸密度が大きい織物の場合は、より大きな糸張力及び小さな回動範囲が必要とされ、一方、緯糸密度が小さい織物の場合は、一定の糸張力及びより大きな回動範囲が必要とされる。従って、空気バネのバネ剛性を変える必要がある。即ち、公知の経糸テンショナにおいては、バネを取り替える必要がある。これは既に述べたように、公知のテンショナにおける欠点でもある。
【0011】
本発明の装置では、一つ以上のコンテナ33が一つ以上の弁34を解放することによって、空気バネ21に接続される。この方法では、容量が増加すると、空気バネ21のバネ剛性が変化する。従って、異なるバネ部材を使用した場合と同様の条件がコントールユニット31によって設定され得る。更に、測定ライン37は、空気バネ21における圧力に対して供給されている。
【0012】
既に周知の通り、経糸張力は、第一に、経糸開口の形成によって変化するので、経糸張力の周期的な変動が発生する。重い織物には大きな経糸張力が選択され、経糸の弾性によって変動が抑えられ、一方、軽い織物では、小さな経糸張力が選択され、変動は経糸テンショナによって補償される。
【0013】
上述の装置を使用すると、これらの変動は有利な方法、即ち空気バネのバネ剛性の変化によって調節される。従って、経糸テンショナは、開口形成時において、経糸張力を部分的に補償するために使用される。即ち、開口形成の際、経糸テンショナは、開口を形成するために必要とされる経糸長さの一部を緩め、開口閉鎖時に、再び締められる。
【0014】
経糸の弾性特性によって操作時に振動が生ずる。これらの振動を減衰するために、制御可能な絞り35がコンテナ33の上方に配置される。
次いで、本発明における第二の実施形態を図2及び3に従って説明する。これらは、図1に示す第一の実施形態とは空気バネ21の配置及び経糸テンショナ4の回動範囲を特定するための配置27が異なる。この配置において、各々がコンテナ33、2ポート2位置切換弁34及び絞り35を含む複数の群は並列に接続され、分岐ライン36を介して連結ライン25に接続される。図3に示すように、複数の経糸テンショナ4が設けられ、少なくとも一つの空気バネ21が各経糸テンショナ4に連結される。空気バネ21は支持部38に固定される。尚、同支持部38は織機の一部であり、図3にその詳細が示されている。
【0015】
図4は本発明の装置の第三の実施形態を示す。この装置は、図1及び2の装置と実質的には同様に構成されているが、空気バネ21の空気圧を変化させるための装置41を設けられた点が異なる。同装置41は空気バネ42と、カムディスク43及びコントロールユニット31に連結される電気駆動部44を備えた駆動手段とを含む。
【0016】
前述の装置と異なり、空気バネ42を周期的に負荷するために制御回路が使用され得る。この間に、逆止弁46を介して分岐ライン36に接続された分離3ポート3位置切換弁45、或いは制御弁22が設定部材として制御システムに設けられている。例えば、筬打ち時において、経糸張力はこれらの装置によって増大され、それにより織物の緯糸密度が有利に増大し、更に、開口形成時において開口の分割を改善するために経糸が開口を通過する時間を増大させる。
【0017】
図5〜7を参照すると、図6は、織機の本体フレーム17に変位可能に配置されるテンショナビーム11を備えた経糸テンショナ4を示す。経糸テンショナ4を案内するために必要な部材は図示されていない。図6に示すように、空気バネ51はその一端が経糸テンショナ4に連結され、他端が連結部52によって支持部38に連結されている。空気バネ51は、連結ライン25を介して制御システム(図示しない)に連結されている。テンショナビーム11は、複数の経糸テンショナ4によって支持されている。同テンショナ4は、任意の間隔をおいて配置されている。これら間隔は同一であっても、異なっていてもよい(図5参照)。連結部52は、空気バネ51が垂直軸53を中心にして回動され得るように動作する。図7に示すように、テンショナビーム11は、その長手方向に撓み、経糸に作用する張力は、ほぼ一定のレベルに保持され得る(図7参照)。
【0018】
図8及び9を参照する。図8に示すように、複数のテンショナビーム部材61が、図5に示す単一のテンショナビーム11に代わって設けられている。既に記載された型式と同様の、少なくとも一つの経糸テンショナ4、一つの空気バネ51及び一つの制御システムがこれらのテンショナビーム部材61の各々に連結される。図7に示したような撓みがテンショナビーム部材61によっても実質的に生ずることが可能である。経糸列の連続的な張力面を形成するために、テンショナビーム部材61の各々の間には連結部材62が設けられている。連結部材62は、中央部63及び球状の外面を備えた一対の挿入部64を有する。
【0019】
図10は、経糸テンショナ4の位置を設定すべく、流体力学的に駆動される装置を示す。この装置では、圧力調整用制御回路及び容量変更用制御回路を備えた空気バネ21に加えて、付随的な設定部材71及び電気的に作動する制御弁72が設けられている。付随的な設定部材71は、例えばベローズであり、その一端が空気バネ21に連結され、他端が支持部38に固定されている。電気的に駆動可能である制御弁72は、一端がライン73を介して設定部材71に連結され、他端がライン74を介して流体圧力源(図示しない)に連結されている。コンテナ33の容量を変更するために、この装置には2ポート2位置切換弁75が設けられ、同弁75は一端がライン74を介して流体圧力源に連結され、他端がコンテナ33に連結されている。制御弁72及び2ポート2位置切換弁75は信号伝達可能に織機のコントロールユニット31に連結されている。
【0020】
図11は経糸テンショナ4の位置を変更するための、空気圧及び機械的に駆動される装置を示す。同装置では、駆動装置78を備えたピストン装置77が設けられ、同駆動装置78はターミナル32から装置77を信号伝達可能に制御するために、織機のコントロールユニット31に連結されている。
【0021】
テンショナビーム11,61を管状とし、管の撓みを阻止するために充填材料(図示しない)を管に供給することも更に可能である。この場合、管は金属製あるいは非金属製であり得る。
【0022】
装置は、経糸テンショナ4と作動連結されるバネ部材21及び2ポート2位置切換弁34を介してスプリング部材21,51と連通するコンテナ33を有する制御システムを含み、同制御システムでは、スプリング部材の容量を増減させることによって、作業者が位置する側にあるターミナルからスプリング部材のバネ剛性及び経糸テンショナの位置を変更できる。
【0023】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によって、経糸テンショナを制御するための装置が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う装置の第一の実施形態の概略図。
【図2】本発明に従う装置の第二の実施形態の概略図。
【図3】図2の矢印Aの方向から眺めた図。
【図4】本発明に従う装置の第三の実施形態の概略図。
【図5】図3に従う装置の変形例を示す図。
【図6】図5における線VI−VIに沿った断面図。
【図7】装置を操作する方法の概略図。
【図8】図5に従う装置の変形例を示す図。
【図9】図8における線IX−IXに沿った断面図。
【図10】本発明に従う装置の第四の実施形態の概略図。
【図11】本発明に従う装置の第五の実施形態の概略図。
【符号の説明】
1…経糸、2経糸ビーム、3…偏向ビーム、4…経糸テンショナ、5…ヘルドフレーム、6…筬、7…織物、9…経糸送出装置、11,61…テンショナ部材、12…支持部、14…支持ビーム、15…軸、16…レバー、17…織機のフレーム、21,51…空気バネ、22,72…制御弁、23…センサ、24…圧力ライン、25…接続ライン、31…コントロールユニット、32…ターミナル、33…コンテナ、34,75…2ポート2位置切換弁、35…絞り、37…測定ライン、41…装置、42…第二の空気バネ、43…カムディスク、44…電気駆動部、45…3ポート3位置切換弁、71…設定部材、73,74…ライン、77…ピストン装置、78…駆動装置。

Claims (15)

  1. 経糸テンショナ(4)を制御するための装置であって、前記装置は、
    流体を内蔵し、かつ前記経糸テンショナ(4)に連結されるスプリング部材(21,51)と、
    前記経糸テンショナ(4)の位置を検出するためのセンサ(23)並びに前記スプリング部材(21,51)及び圧力線に連結される制御弁(22)を有する制御システムと、
    を備え、
    前記制御弁(22)は、前記経糸テンショナ(4)に配置されたテンショナビーム(11,61)を調節する目的にて前記流体の圧力を増減させることにより前記スプリング部材(21,51)のバネ力を変更し、
    前記制御システムは、遮断部材(34)を介して前記スプリング部材(21,51)に連通する少なくとも一つのコンテナ(33)を備え、前記経糸テンショナ(4)の回動範囲を制御するために前記スプリング部材(21,51)と連通する容量を増減させることによりスプリング部材(21,51)のバネ剛性を変更させることを特徴とする装置。
  2. 直列あるいは並列に接続される複数のコンテナ(33)及び遮断部材(34)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 絞り(35)が前記各コンテナ(33)に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
  4. 前記制御弁(22)、前記遮断部材(34)及び前記絞り(35)が信号伝達可能にて制御システム(31)及びターミナル(32)の少なくとも一方に接続されることを特徴とする請求項に記載の装置。
  5. 前記スプリング部材(21)に接続され、同スプリング部材(21)の圧力を変更するための装置(41)を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
  6. 前記スプリング部材(21)に連通するように接続される第二のスプリング部材(42)を設けたことを特徴とする請求項5に記載の装置。
  7. 前記第二のスプリング部材(42)を駆動するための手段(43,44)を設けたことを特徴とする請求項6に記載の装置。
  8. 前記制御弁(22)は、前記スプリング部材(21)の圧力変化を検出して前記制御弁(22)を制御する調整回路の設定部材であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
  9. 前記第二のスプリング部材(42)及び前記制御弁(22)の少なくとも一方が周期的に駆動制御されることを特徴とする請求項乃至8のいずれか1項に記載の装置。
  10. スプリング部材(21)に接続され、流体圧力源により作動可能な設定部材(71)及び前記設定部材(71)を作動するための電気的に作動可能な弁(72)によって特徴づけられ、前記設定部材(71)が前記経糸テンショナ(4)の位置を変更するために、ライン(73)を介して前記制御弁(72)に接続される請求項1乃至9のいずれか1項に記載の装置。
  11. 流体にてコンテナ(33)の容量を変更すべく、ライン(74)を介してコンテナ(33)に連通する弁(75)を設けたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の装置。
  12. 前記経糸テンショナ(4)の位置を変更するために、同経糸テンショナ(4)と作動連結される駆動部(78)を有するピストン装置(77)を備えたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の装置。
  13. テンショナビーム(11)を備え、かつ請求項1乃至12のいずれか1項に記載の装置を備えた経糸テンショナ(4)であって、
    前記テンショナビーム(11)が単一の部材あるいは複数の部材から構成されるように設計され、かつ少なくとも一つのスプリング部材(21,51)がテンショナビーム(11)あるいは複数のテンショナビーム(61)の各々に接続されることを特徴とする経糸テンショナ。
  14. 前記テンショナビーム(11,61)が管状構造であり、かつ金属製あるいは非金属製である請求項13に記載の経糸テンショナ(4)。
  15. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の装置を備えた織機。
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