JP3875759B2 - 硬化性接着性組成物および積層フィルム - Google Patents

硬化性接着性組成物および積層フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、包装用フィルムとして有用な積層フィルムおよび積層フィルムの接着性層に用いられる硬化性接着性組成物に関する。さらに詳しくは、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、塩化ビニリデン系ポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、セロハン等の熱可塑性樹脂のフィルムを積層した積層フィルムや、比較的低価格で強度を付与できるポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、塩化ビニル、セロハン等の熱可塑性樹脂フィルムを基材とし、その上に塩化ビニリデン系ポリマーやエチレンビニルアルコールコポリマー等の湿気や酸素に対してバリヤー性を付与する層を積層させた積層フィルム、およびこれら積層フィルムの接着性層に用いられる硬化性接着性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、塩化ビニリデン系ポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、セロハン等の熱可塑性樹脂のフィルムを積層した積層フィルムや、比較的低価格で強度を付与できるポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、塩化ビニル、セロハン等の熱可塑性樹脂フィルムを基材とし、その上に塩化ビニリデン系ポリマーやエチレンビニルアルコールコポリマー等の湿気や酸素等に対してバリヤー性を付与する層を積層させた積層フィルムは、各層構成により防湿性、ガスバリヤー性などの機能を発揮するため、食品用包装フィルム等として幅広く使用されている。
【0003】
これらの積層フィルムにおいては層間の接着性や耐水性を向上させるため、初期段階では該熱可塑性フィルムの表面にコロナ放電処理、火炎処理、アルカリや酸による化学処理等を施し表面の接着性を改良することが実施されていた。が、近年ではさらなる要求性能に対応すべく、積層フィルムにおけるフィルム同士の張り合わせに接着剤として接着性組成物の層を設けたり、また、熱可塑性樹脂フィルム上に塩化ビニリデン系ポリマーの樹脂層をコーティングするような場合にはプライマーとして接着性組成物層を設けたりすることが検討されている。例えば、米国特許第3023126号明細書には、ポリウレタン系プライマーを用いることが提案され、米国特許第4214039号明細書には、酸中和されたアミノ基含有ポリマーとエポキシ樹脂との水系硬化性プライマーを用いること等が提案されている。
【0004】
また、オキサゾリン基含有化合物の応用としては、従来よりオキサゾリン基含有ポリマーとカルボキシル基含有ポリマーからなる硬化性樹脂組成物が開示されている(特公昭63−48884号公報)。また、オキサゾリン基含有ポリマーとカルボキシル基含有ポリマーからなる硬化性樹脂組成物の一液での安定性を向上させるために、カルボキシル基含有ポリマーのカルボキシル基を、塩基性化合物で予め中和する方法も開示されている。このようなオキサゾリン基含有ポリマーとカルボキシル基含有ポリマーからなる硬化性樹脂組成物は、架橋反応により耐水性および耐薬品性などの性能の優れた塗膜を形成することができ、塗料、接着剤、インキ等に用いることが提案されている。
【0005】
一方、ポリエチレンイミンに代表される1級および2級アミノ基含有ポリマーは、1級および2級アミノ基による各種基材への密着性が良好なため、プライマー、接着剤等の多分野にわたり用いられている。さらに1級および2級アミノ基含有ポリマーやポリアミドアミン等に代表される1級アミノ基含有化合物を塗料、接着剤として用いる場合において、耐水性、耐薬品性等の塗膜の性能を向上させるために、エポキシ樹脂などの架橋剤を混合することにより、硬化性組成物として用いることも開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来提案された接着性組成物では、湿気に対して敏感なため取り扱い難かったり、可使時間が短く作業性に問題があったり、熱水浸漬時に変色する等の問題があった。すなわち、米国特許3023126号明細書で提案されているポリウレタン系の組成物は湿気に対して敏感で取り扱いが難しい。また米国特許4214039号明細書で提案されている組成物は、酸中和されたアミノ基含有ポリマーとエポキシ樹脂とからなる水系でかつ硬化性の接着性を付与する組成物であるため、混合後の可使時間が短く、さらに熱水浸漬時に変色する等の点で改善の余地があった。
【0007】
また、特公昭63−48884に開示されているオキサゾリン基含有ポリマーとカルボキシル基含有ポリマーからなる硬化性組成物を、積層フィルムに応用しても接着性の点で不十分である。さらにポリエチレンイミンに代表される1級および2級アミノ基含有ポリマーとエポキシ樹脂との硬化性組成物を積層フィルムに応用した場合には、可使時間が生じ作業性の悪いものであった。
【0008】
したがって、本発明の課題は、可使時間が長く、耐水性さらには耐熱水性に優れ、かつ密着性にも優れる硬化性接着性組成物およびそれを用いた積層フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明にかかる硬化性接着性組成物は、第一の熱可塑性樹脂層と第二の熱可塑性樹脂層が接着性層を介して積層された積層フィルムの前記接着性層に用いられる硬化性接着性組成物において、1級および/または2級アミノ基とカルボキシル基とを1分子内に有するポリマー、および、多価オキサゾリン化合物を含有し、前記ポリマーは、少なくとも1種の不飽和カルボン酸とその他の不飽和モノマーとを重合してなるカルボキシル基含有ポリマーのカルボキシル基の一部をアルキレンイミンで変性することにより得られたものである、ことを特徴とする。
【0010】
そして、本発明にかかる積層フィルムは、第一の熱可塑性樹脂層と第二の熱可塑性樹脂層が接着性層を介して積層された積層フィルムにおいて、前記接着性層として、上記本発明にかかる硬化性接着性組成物が用いられている、ことを特徴とする。
【0011】
また、前記本発明の硬化性接着性組成物において、第一の熱可塑性樹脂層および/または第二の熱可塑性樹脂層がポリオレフィンフィルム、ポリアミドフィルムまたはポリエステルフィルムであるもの、機能性層としての熱可塑性樹脂層が塩化ビニリデン系ポリマー層であるものをも提供する。
本発明においては、オキサゾリン基は、カルボキシル基に対する反応性の方がアミノ基に対する反応性よりも高いため、1級および/または2級アミノ基とカルボキシル基を有するポリマーと多価オキサゾリン化合物とを混合しても、アミノ基のうちの大部分はオキサゾリン基との反応には消費されない。特に150℃以下の温度においての乾燥硬化条件においてはその傾向は顕著となる。したがって、接着性層中ではアミノ基が存在することになり、熱可塑性樹脂層間の密着性が著しく向上するものである。さらに、カルボキシル基とオキサゾリン基が反応し、架橋構造を形成するために耐水性も付与でき、耐熱水性にも優れ、このとき変色もおこらない。また、この接着性層を形成する1級および/または2級アミノ基とカルボキシル基とを1分子内に有するポリマーと、1分子内に2個以上のオキサゾリン基を有する化合物との混合物は、可使時間が長く作業性の点でも優れている。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる積層フィルムは、▲1▼第一の熱可塑性樹脂層と第二の熱可塑性樹脂層が接着性層を介して積層されたもの、ないし、▲2▼熱可塑性樹脂層からなる基材層の上に接着性層を介して湿気および/または酸素に対してバリアー性のある熱可塑性樹脂層からなる機能性層が積層されたものである。
【0013】
上記▲1▼の積層フィルムは、二つのタイプに大別することができる。一つは、一方の熱可塑性樹脂層が比較的厚く基材層としての役割を果たし、他方の熱可塑性樹脂層が比較的薄く基材層に機能をプラスする機能性層としての役割を果たしているタイプ(タイプ1)である。もう一つは、二つの熱可塑性樹脂層の間に前記のような主従の関係がないタイプ(タイプ2)である。タイプ1の一つの形態として上記▲2▼の積層フィルムが挙げられる。
【0014】
タイプ1の基材層としては、比較的低価格で強度を付与できるものが好ましく、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、セロハン等のフィルムが挙げられる。また、これらの混合物からなるフィルム、これらを共重合したフィルム、これらをラミネートしたフィルムなどを用いてもよい。フィルムは延伸されていてもよい。タイプ1の基材層の厚みとしては、1〜300μm程度であり、好ましくは5〜100μm程度である。
【0015】
タイプ1の機能性層としては、上記▲2▼の積層フィルムの湿気および/または酸素に対してバリヤー性のある熱可塑性樹脂層からなる機能性層が挙げられる。その例としては、塩化ビニリデン系ポリマー層、エチレンビニルアルコールコポリマー層が挙げられる。湿気および/または酸素に対してのバリヤー性が高く、酸素のバリヤー性が湿度の影響を受けにくいこと、また安価な点で塩化ビニリデン系ポリマー層が特に好ましい。塩化ビニリデン系ポリマーとは、塩化ビニリデンモノマーをポリマー組成中に少なくとも50重量%含んでなるものであって、バリヤー性やヒートシール性等の物性を用途に合わせるため、共重合成分として、塩化ビニルモノマー、酢酸ビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸またはこれらのエステル、スチレンの中から選ばれる少なくとも一種を0〜50重量%未満の範囲で含んでいてもよい。塩化ビニリデン系ポリマーはエマルションの形態、有機溶剤に溶解した形態、またはフィルムや固体の状態で市販されている。タイプ1の機能性層の厚みとしては、0.1〜100μm程度であり、好ましくは1〜20μm程度である。
【0016】
タイプ2の熱可塑性樹脂層としては、タイプ1の基材層として用いられるもの、タイプ1の積層フィルムを挙げることができる。
積層フィルムの製造方法としては、熱可塑性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂フィルムを接着剤層(接着性層)を介してラミネートする、熱可塑性樹脂フィルム上にプライマー層(接着性層)を形成し、その上に熱可塑性樹脂組成物を塗工または押し出しキャストする等の方法が挙げられる。タイプ1の積層フィルムの場合は、後者の方法が好ましく、基材層となる熱可塑性樹脂フィルムの上に、プライマー層を形成し、その上に機能性層となる熱可塑性樹脂組成物を塗工することが好ましい。特に、機能性層として塩化ビニリデン系ポリマー層を用いる場合には、エマルションの形態で塗工することが好ましい。タイプ2の積層フィルム場合はいずれの製法でもよい。
【0017】
本発明の積層フィルムは、二つの熱可塑性樹脂層を積層した形態を最小構成単位とするものであり、用途に応じてさらに熱可塑性樹脂層あるいはアルミニウム、紙などを積層して三つ以上の層からなる積層フィルムとしてもよい。また、積層フィルムの積層間または表面に印刷が施されていてもよい。
本発明の積層フィルムは、食品用の包装フィルム等として有用である。例えば、スナック菓子であれば、KOPP/PE/CPP、OPP/PE/Al/PE、漬け物、味噌などの水物食品であれば、KOPP/PE、KPET/PE/EVA、乾燥食品であれば、KOPP/CPP、液体スープであれば、KON/PE/EVAといった積層フィルムが有用であるが、これに限定されず様々な組み合わせの積層フィルムとすることができる。ここで、OPP:延伸ポリプロピレンフィルム、CPP:未延伸ポリプロピレンフィルム、PE:ポリエチレンの塗膜またはフィルム、PET:ポリエチレンテレフタレートの塗膜またはフィルム、ON:延伸ナイロンフィルム、EVA:エチレンビニルアルコールコポリマーの塗膜またはフィルム、OPP、PET、ONの前のK:塩化ビニリデン系ポリマー層によりOPP、PET、ONがコーティングされていること、Al:アルミニウム層を表す。KOPP、KPET、KONなどの塩化ビニリデン系ポリマー層コーティング品(Kコート品)を積層する場合には、塩化ビニリデン系ポリマー層側を内側にした方がよい。外側にすると、製袋時に塩化ビニリデン系ポリマーがメルトして表面がむらむらになったり、ソーラーに塩化ビニリデン系ポリマーが粘着したりするからである。
【0018】
本発明の特徴は、上記のような積層フィルムの熱可塑性樹脂層間の接着性を付与する層として、1級および/または2級アミノ基とカルボキシル基とを1分子内に有するポリマー、および、多価オキサゾリン化合物を含有する硬化性接着性組成物の硬化物を用いることにある。特に、ポリオレフィンフィルム、ポリアミドフィルムまたはポリエステルフィルム上に、塩化ビニリデン系ポリマーの層をコーティングする際のプライマー層として用いた場合に効果が大きい。さらには、延伸ポリプロピレンフィルム上に、塩化ビニリデン系ポリマーの層をコーティングする際のプライマー層として用いた場合に効果が大きい。かかる接着性層の厚みとしては0.05〜20μm程度であり、好ましくは0.1〜3μm程度である。加熱硬化温度は60〜200℃程度とすることができるが、アミノ基を残存させ密着性を高めるためには150℃以下程度とすることが好ましい。
【0019】
以下に、かかる硬化性接着性組成物について詳細に説明する。
本発明におけるカルボキシル基および1級および/または2級アミノ基を有するポリマー(以下、ポリマー(A)ということがある)は、重合体1分子中にカルボキシル基および1級および/または2級アミノ基を有する。1級および/または2級アミノ基は、3級アミノ基やアミド基よりも密着性に優れる。1級および/または2級アミノ基としては、一般式(I)で示されるものが例として挙げられる。
【0020】
【化1】
Figure 0003875759
【0021】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 はそれぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アリール基、または、シアノ、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボアルコキシ置換のアルキル、アラルキル、アリール基であり、aは0または1、nは1以上である)
このようなポリマー(A)を得る方法としては、カルボキシル基含有ポリマー(A−1)のカルボキシル基の一部を1級および/または2級アミノ基に変性する方法、不飽和カルボン酸と(メタ)アクリル酸グリシジル等を用いて重合したカルボキシル基およびグリシジル基含有重合体のグリシジル基をアンモニア等のアミン化合物にて1級および/または2級アミノ基に変性する方法、(メタ)アクリル酸グリシジル等の不飽和グリシジル基含有モノマーをアンモニア等のアミン化合物にて変性したものや、アリルアミンおよび(メタ)アクリル酸アミノエチル等の1級および/または2級アミノ基含有モノマーと不飽和カルボン酸を用いて重合する方法等が挙げられる。これらの中で、カルボキシル基含有ポリマー(A−1)のカルボキシル基の一部を1級および/または2級アミノ基に変性する方法が最も好ましい。
【0022】
カルボキシル基含有ポリマー(A−1)は、少なくとも一種の不飽和カルボン酸(a−1)を含むモノマー成分(a)を重合してなる。
不飽和カルボン酸(a−1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、ケイ皮酸およびクロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸もしくはそのモノエステル類などを挙げることができ、これらの群から選ばれる一種または二種以上の混合物を使用することができる。
【0023】
不飽和カルボン酸(a−1)の含有量は、特に限定されるものではないが、ポリマー(A−1)中の2重量%以上が好ましい。
モノマー成分(a)は、必要に応じて不飽和カルボン酸(a−1)の他に、不飽和カルボン酸(a−1)と共重合可能で、かつカルボキシル基と反応しない不飽和モノマー(a−2)を使用することができる。不飽和モノマー(a−2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化α,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族モノマー類等が挙げられ、これらの一種または二種以上の混合物を使用することができる。
【0024】
ポリマー(A−1)は、モノマー成分(a)を、従来公知の重合法、例えばバルク重合法、溶液重合法、乳化重合法および懸濁重合法などにより重合される。必要に応じてメルカプタン化合物などの連鎖移動剤を用いて、重合度の制御を行ってもよい。
ポリマー(A−1)としては、カルボキシル基を有するものであれば特に制限はなく、溶剤溶解性、非水分散性、水溶性、水希釈性および水分散性等のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられ、これらの一種または二種以上の混合物を使用することができる。
【0025】
ポリマー(A−1)中のカルボキシル基をアミノ基に変性する方法としては、アルキレンイミン(a−3)を用いる方法、ポリオキシアルキレンポリアミン等のポリアミンを用いる方法等が挙げられるが、アルキレンイミン(a−3)を用いて開環付加させる方法がより好ましい。
アルキレンイミン(a−3)は、下記一般式(II)
【0026】
【化2】
Figure 0003875759
【0027】
(式中、R6 、R7 、R8 、R9 、R10はそれぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アリール基または、シアノ、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボアルコキシ置換のアルキル、アリール基である)
で表されるものである。
アルキレンイミンとしては、具体的には、エチレンイミン、1,2−プロピレンイミン、1,2−ドデシレンイミン、1,1−ジメチルエチレンイミン、フェニルエチレンイミン、ベンジルエチレンイミン、ヒドロキシエチルエチレンイミン、アミノエチルエチレンイミン、2−メチルプロピレンイミン、3−クロロプロピルエチレンイミン、メトキシエチルエチレンイミン、ドデシルアジリジニルフォルメイト、N−エチルエチレンイミン、N−(2−アミノエチル)エチレンイミン、N−(フェネチル)エチレンイミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンイミン、N−(シアノエチル)エチレンイミン、N−フェニルエチレンイミン、N−(p−クロロフェニル)エチレンイミン等を挙げることができ、これらの群から選ばれる1種または2種以上の混合物を使用することができる。中でも、エチレンイミンおよび1,2−プロピレンイミンが工業的に入手しやすく好適である。
【0028】
アルキレンイミンを用いてカルボキシル基を変性すると、−COO−基に、一般式(I)で表される1級および/または2級アミノ基が結合したもの、すなわち下記式で表される基が得られる。
【0029】
【化3】
Figure 0003875759
【0030】
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、a、nは一般式(I)と同様)
ここで理論的にはnは1以上であるが、カルボキシル基とアルキレンイミンとの反応においては、反応時のカルボキシル基とアルキレンイミンの比率に関わらず、1つのカルボキシル基にアルキレンイミンが1分子反応したものと、2分子以上反応したものを含む分布のある生成物となる。したがって、平均するとnは1を越えるものとなる。
【0031】
アルキレンイミンによって変性されるカルボキシル基は、ポリマー(A−1)中の不飽和カルボン酸(a−1)量として1〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜15重量%であり、化合物(B)のオキサゾリン基との反応のために、ポリマー(A−1)中の不飽和カルボン酸(a−1)量として1重量%以上のカルボキシル基を残存させることが好ましい。アルキレンイミンによって変性されるカルボキシル基が、ポリマー(A−1)中の不飽和カルボン酸(a−1)量として1重量%未満では、形成された接着性層の密着性が低下するために好ましくなく、30重量%をこえると形成された接着性層の耐水性等の性能が低下するため好ましくない。未変性のポリマー(A−1)中の不飽和カルボン酸量が1重量%未満では化合物(B)との反応に際して実質有効量とはなりえず、形成された接着性層の耐水性等の性能が低下するため好ましくない。
【0032】
本発明におけるカルボキシル基および1級および/または2級アミノ基を有するポリマー(A)において、一般式(I)のn=1であるポリマー(A)を得る方法としては、アリルアミンや(メタ)アクリル酸アミノエチル等のアミノ基含有不飽和モノマーを用いる方法が挙げられる。しかしながら、アリルアミンは他の不飽和モノマーとの低重合性のため、種々の用途に適したポリマー(A)を得ることは困難であり、また(メタ)アクリル酸アミノエチルは、不安定なモノマーのため使用には特別な配慮が必要となる。しかしながら、ここに挙げたカルボキシル基含有ポリマー(A−1)のカルボキシル基をアルキレンイミンによってアミノ基に変性する方法は、上記の問題がなく、カルボキシル基および1級および/または2級アミノ基を有するポリマー(A)を容易に得ることができる優れた方法である。
【0033】
ポリマー(A)中のカルボキシル基は、オキサゾリン基と高い反応性を有する。したがって、一液型として好適に用いるため、あるいは二液型であっても可使時間を長くするためには、カルボキシル基を塩基性化合物で中和することが好ましい。
塩基性化合物としては、アンモニア;メチルアミン等の1級アミン;ジメチルアミン等の2級アミン;トリエチルアミン等の3級アミン;ジメチルエタノールアミン、n−ブチルアミン、ジエチルアミンなどの脂肪族アミン;シクロへキシルアミン等の環状脂肪族アミン;ピペリジン、モルホリン、N−エチルピペリジン、N−エチルモルホリン、ピリジン等のヘテロ環状アミン;ベンジルアミン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアリニン等の芳香族アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハライド;酢酸テトラメチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩;硫酸水素テトラメチルアンモニウム、硫酸水素テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム無機酸塩;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、モノヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等の(ヒドロキシ)アルキルアンモニウムヒドロキシド;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;バリウム、ストロンチウム、カルシウム、ランタンなどの遷移金属の水酸化物、[Pt(NH3 6 ]OH4 等の錯塩の遊離塩等を挙げることができ、これらの一種または二種以上の混合物を使用することができる。
【0034】
上記塩基性化合物は、ポリマー(A)中のカルボキシル基の中和に要する理論量の0.1〜3倍モル使用されることが好ましい。塩基性化合物の量が、理論中和量の0.1倍モル未満では、未中和のカルボキシル基のために一液での安定性が低下し、塩基性化合物量が3倍モルを越えると、架橋反応性および接着性層の性能を低下させるため好ましくない。
【0035】
なお、中和を行うのはポリマー(A)の段階に限られず、ポリマー(A−1)の段階で中和を行い、その後にアミノ基に変性してポリマー(A−1)を得てもよい。
多価オキサゾリン化合物(以下、化合物(B)ということがある)としては、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィドなどが挙げられ、これらの一種または二種以上の混合物を使用することができる。
【0036】
また、化合物(B)がポリマーである場合には、下記一般式(III )
【0037】
【化4】
Figure 0003875759
【0038】
(式中、R11、R12、R13、R14はそれぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アリールまたは置換アリール基であり、R15は不飽和結合を有する非環状有機基である)
で表される不飽和オキサゾリン(b−1)を必須成分として含むモノマー成分(b)を重合したオキサゾリン基含有ポリマーが挙げられる。
【0039】
不飽和オキサゾリン(b−1)としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの群から選ばれる一種または二種以上の混合物を使用することができる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に入手しやすく好適である。
【0040】
不飽和オキサゾリン(b−1)の含有量は、特に限定されるものではないが、化合物(B)中の5重量%以上が好ましい。5重量%未満では形成された接着性層の耐水性等の性能が低下するため好ましくない。
モノマー成分(b)は、必要に応じて不飽和オキサゾリン(b−1)の他に、不飽和オキサゾリン(b−1)と共重合可能で、かつオキサゾリン基と反応しない不飽和モノマーを使用することができ、上記不飽和モノマー(a−2)と同様のものを使用しうる。これらの不飽和モノマーは1種または2種以上の混合物を使用することができる。
【0041】
化合物(B)がポリマーの場合は、モノマー成分(b)を、ポリマー(A−1)と同様に従来公知の重合法により重合することにより得られる。必要に応じてメルカプタン化合物などの連鎖移動剤を用いて重合度の制御を行ってもよいのも同様である。
本発明の組成物は、上記カルボキシル基および1級および/または2級アミノ基を有するポリマー(A)、および多価オキサゾリン化合物(B)を含有するものである。ポリマー(A)と化合物(B)の混合の割合は、特に限定されるものではないが、各種基材への密着性や耐水性および耐薬品性等の優れた接着性層を形成するためには、ポリマー(A)中のカルボキシル基1当量に対して、化合物(B)中のオキサゾリン基を0.1〜3.0当量になるように混合することが好ましい。より好ましくは、0.3〜2.0当量である。0.1当量未満では、反応が不十分であるため形成された接着性層の耐水性等の性能が低下するため好ましくなく、3.0当量を越えると未反応の化合物(B)の増加のため、同様に形成された接着性層の耐水性等の性能が低下するため好ましくない。なお、ここでいう「ポリマー(A)のカルボキシル基」には、塩基性化合物で中和されたカルボキシル基を含む。
【0042】
本発明の硬化性接着性組成物の溶媒としては、公知の溶媒が使用できる。例えば、水、トルエン、キシレンやその他の高沸点の芳香族溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルおよびセロソルブアセテートなどのエステル系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、n−ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびイソブチルアルコールなどのアルコール系溶剤、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール系溶剤、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤などを挙げることができ、これらの群から選ばれる1種または2種以上の混合物を使用することができる。特に、本発明の硬化性接着性組成物は、水系溶媒の使用が可能であり、毒性や引火性の問題のないものとすることができる。水系溶媒とは、水または水に可溶な有機溶媒を含んだ水であり、例えば、水単独、水−エチルアルコール混合溶媒、水−イソプロピルアルコール混合溶媒、水−プロピレングリコールモノメチルエーテル混合溶媒等が使用できる。水系溶媒における水の含有量は10重量%以上とすることが好ましい。
【0043】
本発明の硬化性接着性組成物は、上記ポリマー(A)および化合物(B)に、塩基性化合物やその他の添加剤を必要に応じて混合したものであるが、混合方法および混合順序は特に限定されない。より一液での安定性を上げるためには、ポリマー(A)と塩基性化合物の混合物に、化合物(B)を添加混合することが好ましい。
【0044】
本発明の組成物には、必要に応じてフィラーや顔料、顔料分散剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、流動性調整剤、界面活性剤等の添加剤を使用してもよい。
本発明の組成物は、一液型で用いてもよいし、二液型で用いてもよい。
本発明の組成物は、ポリマー(A)および化合物(B)の調製に用いられるモノマー成分(a)、アルキレンイミン(a−3)、塩基性化合物、およびモノマー成分(b)中のモノマーと化合物の種類および量を適宜選択することにより、接着性層の架橋密度、弾性、表面張力などを調整でき、その結果、積層フィルムの種々用途での必要性能に対して接着性、耐水性、耐久性、無変色性などに対応できる硬化性接着性組成物が得られ、この接着性層を持った積層フィルムを提供できるものである。
【0045】
【実施例】
以下に実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(参考例1)(カルボキシル基含有重合体(A−1)の合成、およびカルボキシル基および1級および/または2級アミノ基含有重合体(A)の合成)
攪拌機、環流冷却器、温度計、窒素導入管および滴下ロートを備えた1Lのフラスコに、イソプロピルアルコール280部とn−ブトキシエタノール126部を仕込んだ後、窒素を導入しつつ80℃に昇温した。メタクリル酸80.5部、メチルメタクリレート63部、ブチルアクリレート136.5部、スチレン70部およびアゾビスイソブチロニトリル9部からなる単量体混合物を2時間にわたって滴下した。滴下終了後、80℃で6時間熟成した後冷却し、トリエチルアミン41.4部を添加し、均一に混合して不揮発分44.4%のカルボキシル基含有重合体(A−1A)を得た。この重合体に、37%エチレンイミン水溶液61.6部を40℃以下にて30分にわたり滴下した。滴下終了後80℃に昇温し、4時間反応後冷却し、脱イオン水84部を添加し、均一に混合して不揮発分40.0%の重合体(A1)を得た。この重合体(A1)のカルボキシル基は、滴定により酸価89.9mgKOH/gであり、n=1.6であった。
(参考例2)(カルボキシル基含有重合体(A−1)の合成、およびカルボキシル基および1級および/または2級アミノ基含有重合体(A)の合成)
参考例1と同様なフラスコに、脱イオン水397部と25%アニオン系活性剤(ハイテノール18E、第一工業製薬製)水溶液40部を仕込んだ後、窒素を導入しつつ70℃に昇温した。アクリル酸48部、メチルメタクリレート56.8部、ブチルアクリレート157.2部およびスチレン138部からなる単量体混合物40部をフラスコ内に添加し15分攪拌を行った後、1.75%過酸化水素水溶液4.6部と3%L−アスコルビン酸水溶液4.2部を添加し、重合を開始した。重合開始15分後から残りの単量体混合物を1時間30分にわたって滴下した。この間1.75%過酸化水素水溶液41部と3%L−アスコルビン酸水溶液37部を、単量体混合物と同様に1時間30分にわたってフラスコ内に滴下した。滴下終了後、70℃で2時間熟成した後冷却し、25%アンモニア水13.6部を添加し、均一に混合して不揮発分43.9%のカルボキシル基含有重合体(A−1B)を得た。この重合体に、13%エチレンイミン水溶液220.3部を40℃以下にて60分にわたり滴下した。滴下終了後50℃に昇温し、4時間反応後冷却し、不揮発分38.0%の重合体(A2)を得た。この重合体(A2)のカルボキシル基は、滴定により酸価52.2mgKOH/gであり、n=2.5であった。
(参考例3)(カルボキシル基含有重合体(A−1)からのカルボキシル基および1級および/または2級アミノ基含有重合体(A)の合成)
参考例1と同様なフラスコに、市販のアクリル系水分散樹脂(酸価78mgKOH/g、アンモニア中和でpH8.4、不揮発分49%)(A−1C)700部を仕込み、8.2%エチレンイミン水溶液198.5部を40℃以下にて60分にわたり滴下した。滴下終了後50℃に昇温し、4時間反応後冷却し、不揮発分40.0%の重合体(A3)を得た。この重合体(A3)のカルボキシル基は、滴定により酸価26mgKOH/gであり、n=1.2であった。
(比較参考例1)(カルボキシル基および3級アミノ基含有重合体の合成)
参考例1と同様なフラスコに、イソプロピルアルコール280部とN−ブトキシエタノール126部を仕込んだ後、窒素を導入しつつ80℃に昇温した。メタクリル酸35部に、トリエチルアミン41.4部を冷却下に添加し中和したメタクリル酸トリエチルアミン中和物76.4部、メチルメタクリレート63部、ブチルアクリレート136.5部、スチレン70部、ジメチルアミノエチルメタクリレート45.5部およびアゾビスイソブチロニトリル9部からなる単量体混合物を2時間にわたって滴下した。滴下終了後、80℃で6時間熟成した後冷却し、不揮発分44.4%のカルボキシル基および3級アミノ基含有重合体(A1’)を得た。
(比較参考例2)(酸中和された1級および/または2級アミノ基含有重合体の合成)
参考例1と同様なフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルを300g仕込んだ後、窒素を導入しつつ80℃に昇温した。メタクリル酸70部、メチルメタクリレート60部、ブチルアクリレート110部、スチレン60部およびアゾビスイソブチロニトリル12部からなる単量体混合物を3時間にわたって滴下した。滴下終了後、80℃で6時間熟成した後冷却し、不揮発分50%のカルボキシル基含有重合体(A−1E)を得た。この重合体の酸価は、滴定により114mgKOH/gであった。この重合体にエチレンイミン60部を40℃以下にて30分にわたり滴下し、滴下終了後80℃に昇温して5時間反応後冷却し、35%塩酸116部を添加して不揮発分46%の酸中和された1級および2級アミノ基含有重合体(A1”)を得た。
【0046】
なお、この重合体(A1”)の酸中和前の重合体のカルボキシル基は滴定で1mgKOH/g以下でほとんどカルボキシル基が残っていなかった。またこのときの残存エチレンイミンのガスクロ分析と滴定により測定した残存したカルボキシル基量から算出し、n=1.6であった。
(参考例4)(オキサゾリン基含有重合体(B)の合成)
参考例1と同様なフラスコに、脱イオン水547部と25%アニオン系活性剤(ハイテノールN−08、第一工業製薬製)水溶液48部を仕込み、適量の25%アンモニア水にてpHを9.0に調製した後、窒素を導入しつつ70℃に昇温した。過硫酸カリウムの5%水溶液40部を添加した後、ブチルアクリレート208部、スチレン112部および2−イソプロペニル−2−オキサゾリン80部からなる単量体混合物を3時間にわたって滴下した。滴下終了後、80℃に昇温し、2時間熟成した後冷却した。冷却後適量の25%アンモニア水にてpH8.0に調整し、不揮発分40.0%のオキサゾリン基含有重合体(B−1)を得た。
(参考例5)(オキサゾリン基含有重合体(B)の合成)
参考例1と同様なフラスコに、イソプロピルアルコール400部を仕込み、窒素を導入しつつ60℃に昇温した。2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の10%水溶液200部を添加した後、エチルアクリレート80部、メチルメタクリレート120部および2−イソプロペニル−2−オキサゾリン200部からなる単量体混合物を3時間にわたって滴下した。滴下終了後、内温を70℃に昇温し、3時間熟成した後冷却した。冷却後適量の25%アンモニア水にてpH8.0に調整し、不揮発分40.0%のオキサゾリン基含有重合体(B−2)を得た。
(実施例1〜8および比較例1〜10)
カルボキシル基含有重合体(A−1)、カルボキシル基および1級および/または2級アミノ基含有重合体(A)およびオキサゾリン基含有重合体(B)を用いて、表1に示した配合組成において、硬化性樹脂組成物を調製した。
【0047】
これらの組成物を、下記方法による評価を行い、評価結果を表1に併記した。
【0048】
【表1】
Figure 0003875759
【0049】
なお、熱可塑性フィルムとしてはポリプロピレンフィルム(東洋紡績株式会社パイレンP2761、フィルム厚60μm)を用い、各接着性組成物をバーコーターにて層厚が0.4μmとなるように塗布し、100℃に調整された熱風乾燥機内で30秒間乾燥し、次に前もって25重量%のアンモニア水にてpH9に、かつ固形分を30重量%に調整した塩化ビニリデン系エマルション(旭化成工業株式会社製サランラテックスL513)をバーコーターにて層厚が3μmとなるように塗布し、100℃に調整された熱風乾燥機内で1分間乾燥し各試験片を調整し、さらに50℃で2日間養生してから下記接着性、熱水接着性、熱水変色性の評価を行った。
<調整プライマー混合液の可使時間>
缶瓶に調整プライマー混合液(ただし10重量%イソプロピルアルコール希釈率を変更し固形分40重量%としたもの)を密閉して50℃にて保存し、外観よりゲル化するまでの時間を測定した。
【0050】
24時間以内:×
24時間から72時間:△
72時間以上:○
<接着性>
試験片のポリプロピレンフィルム層と塩化ビニリデン系ポリマー層間の接着性を引張試験機にてT型剥離強度(g/25mm)を測定した。
<熱水接着性>
試験片を95℃の熱水に90分間浸漬し、取り出した後前記接着性と同様のT型剥離強度(g/25mm)を測定した。
<熱水変色性>
熱水試験後の外観で判断した。
【0051】
【発明の効果】
本発明によると、可使時間が長く、耐水性さらには耐熱水性にも優れ、かつ密着性にも優れる硬化性接着性組成物およびそれを用いた積層フィルムを提供することができる。特に、延伸ポリプロピレンフィルム上に塩化ビニリデン系ポリマー層をコーティングする際のプライマー層として前記硬化性接着性組成物を用いた場合に効果が大きい。

Claims (7)

  1. 第一の熱可塑性樹脂層と第二の熱可塑性樹脂層が接着性層を介して積層された積層フィルムの前記接着性層に用いられる硬化性接着性組成物において、1級および/または2級アミノ基とカルボキシル基とを1分子内に有するポリマー、および、多価オキサゾリン化合物を含有し、前記ポリマーが、少なくとも1種の不飽和カルボン酸とその他の不飽和モノマーとを重合してなるカルボキシル基含有ポリマーのカルボキシル基の一部をアルキレンイミンで変性することにより得られたものである、ことを特徴とする硬化性接着性組成物。
  2. 前記多価オキサゾリン化合物が、下記一般式( III
    Figure 0003875759
    (式中、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 はそれぞれ水素、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アリールまたは置換アリール基であり、R 15 は不飽和結合を有する非環状有機基である)
    で表される不飽和オキサゾリンを必須成分として含むモノマー成分を重合してなるオキサゾリン基含有ポリマーである、請求項1に記載の硬化性接着性組成物。
  3. 前記カルボキシル基含有ポリマー中のアルキレンイミンで変性される不飽和カルボン酸量が1〜30重量%である、請求項1または2に記載の硬化性接着性組成物。
  4. 第一の熱可塑性樹脂層と第二の熱可塑性樹脂層が接着性層を介して積層された積層フィルムにおいて、前記接着性層として、請求項1から3までのいずれかに記載の硬化性接着性組成物が用いられている、ことを特徴とする積層フィルム。
  5. 第一の熱可塑性樹脂層からなる基材層の上に接着性層を介して湿気および/または酸素に対してバリヤー性のある第二の熱可塑性樹脂層からなる機能性層が積層された積層フィルムである、請求項4に記載の積層フィルム。
  6. 機能性層としての熱可塑性樹脂層が塩化ビニリデン系ポリマー層である、請求項5に記載の積層フィルム。
  7. 第一の熱可塑性樹脂層および/または第二の熱可塑性樹脂層がポリオレフィンフィルム、ポリアミドフィルムまたはポリエステルフィルムである、請求項4に記載の積層フィルム。
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