JP3875526B2 - 端子ばね構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性接触片部がプレス成形により形成される端子ばね構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の端子ばね構造としては、図7に示すものがある。図7に示すように、底壁部100と、この底壁部100に延設され、底壁部100の上方に折り返されるように折曲された折り返し部101と、この折り返し部101の先端側に延設され、挿入される相手側端子(図示せず)に弾性復帰力で圧接する弾性接触片部102とが一体的に導電性部材より形成されている。そして、折り返し部101は、プレス加工に際して芯金(図示せず)を使用し、所定の曲率を有するアール形状に形成される。これは、芯金を用いることなく折曲し、局部的にでも小さな曲率半径の部分が形成されると、一般的な導電性部材ではその部分にヒビや割れが発生するからである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の端子ばね構造では、芯金を使用するため、プレス加工時間が長く、生産性が悪いという問題があった。一方、芯金を使用しなければプレス加工時間を短くできるが、上述したように折り返し部101にヒビや割れを有する不良品が発生するおそれがある。
【0004】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、生産性の向上と不良品の発生防止とを両立できる端子ばね構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、底壁部と、この底壁部に延設され、底壁部の上方に折り返されるように折曲された折り返し部と、この折り返し部の先端側に延設され、挿入された相手側端子に弾性復帰力で圧接する弾性接触片部とを導電性部材よりプレス成形で作成される端子ばね構造であって、前記底壁部には、折り返し側に突出するインデントからなる過大折曲防止部を設け、この過大折曲防止部に当接し、且つ、前記底壁部との間に空間を有するように前記折り返し部を折曲させたことを特徴とする。
【0008】
この端子ばね構造では、プレス加工で折り返し部を形成する際にインデントからなる過大折曲防止部により過大折曲が防止されることから、芯金を用いることなく、しかも、折り返し部にヒビや割れが発生しない製品を作成できる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の端子ばね構造であって、
前記弾性接触片部は、前記折り返し部に延設された直線部と、この直線部の先端側に延設され、前記底壁部に対し上がり傾斜方向に傾斜された上がり片部と、この上がり片部の先端側に延設され、前記底壁部に対し下し傾斜方向に傾斜された下り片部と、この下り片部の先端側に延設され、前記底壁部上に接触する摺動片部とから構成されたことを特徴とする。
【0012】
この端子ばね構造では、請求項1の発明の作用に加え、相手側端子が挿入されると、摺動片部が底壁部上を摺動して相手側端子の挿入を許容する位置へと弾性接触片部が変移し、相手側端子には上がり片部と下り片部の両方より弾性復帰力が作用される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1及び図2は本発明の第1実施形態を示し、図1は端子のプレス加工前の平面図、図2はプレス加工により形成された端子ばね構造の要部斜視図である。
【0015】
端子1は、延性(大きな塑性変形をしなければ破損しない性質)に富んだ導電性部材()にて形成され、図1の端子原型プレートAをプレス加工することにより形成される。図1の端子原型プレートAにプレス加工後の名称(折曲箇所部分を除く)を用いて端子1の概略を説明すると、端子1は、底壁部2と、この底壁部2の両側に第1折曲部3を介して延設された一対の側壁部4と、この一対の側壁部4の側端に第2折曲部5を介して延設された一対の天壁部6と、一対の天壁部6の一方にプレス加工で設けられた端子接触部8と、底壁部2の2箇所に第3折曲部9を介して設けられた電線圧接部10と、各側壁部4に第4折曲部11を介して設けられた仕切り壁部12と、底壁部2の一端側に折り返し部13を介して延設された弾性接触片部14とから主に構成されている。
【0016】
弾性接触片部14は、折り返し部13側より順に直線部14aと第6折曲部14bと上がり片部14cと第7折曲部14dと下り片部14eと摺動片部14fとから構成されている。そして、各折曲部3,5,9,11,14b,14dと折り返し部13と摺動部14fの箇所がプレス加工によって所定の方向に、且つ、所定の角度だけ折曲されることによって端子1がプレス成形される。このプレス成形によって図2に示す端子ばね構造も形成される。
【0017】
次に、図2の端子ばね構造を説明すると、底壁部2の一端側には、底壁部2の上方に折り返されるように折曲された折り返し部13と、この折り返し部13の先端側に延設された弾性接触片部14とが設けられている。弾性接触片部14は、折り返し部13に延設された直線部14aと、この直線部14aの先端側に延設され、底壁部2に対し上がり傾斜方向に傾斜された上がり片部14cと、この上がり片部14cの先端側に延設され、底壁部2に対し下し傾斜方向に傾斜された下り片部14eと、この下り片部14eの先端側に延設され、底壁部2上に接触する摺動片部14fとから構成されている。そして、弾性接触片部14と端子接触部8との間に相手側端子(図示せず)が挿入されると、挿入される相手側端子に押圧されて弾性接触片部14が弾性変形して相手側端子の挿入が許容され、挿入された相手側端子を弾性復帰力で圧接することによって所定の接触圧で相手側端子が接触される。
【0018】
上記端子ばね構造によれば、非常に大きな塑性変形をしなければ破損しない延性材料の導電性部材にて形成されているので、プレス加工で折り返し部13を形成する際に局部的に小さな曲率半径で折曲されてもその部分が破損することがないことから、芯金を用いることなく折り返し部13にヒビや割れが発生しない製品を作成できる。従って、生産性の向上と不良品の発生防止とを両立できる。
【0019】
又、前記実施形態では、弾性接触片部14は、折り返し部13に延設された直線部14aと、この直線部14aの先端側に延設され、底壁部2に対し上がり傾斜方向に傾斜された上がり片部14cと、この上がり片部14cの先端側に延設され、底壁部2に対し下し傾斜方向に傾斜された下り片部14eと、この下り片部14eの先端側に延設され、底壁部2上に接触する摺動片部14fとから構成されているので、相手側端子(図示せず)が挿入されると、摺動片部14fが底壁部2上を摺動して相手側端子の挿入を許容する位置へと弾性接触片部14が変移し、相手側端子には上がり片部14cと下り片部14eの両方より弾性復帰力が作用される。従って、相手側端子と弾性接触片部14との間が大きな接触圧で接触され、確実な接触状態が得られる。
【0020】
図3は第1実施形態の第1変形例を示す端子ばね構造の斜視図であり、図4は第1実施形態の第2変形例を示す端子ばね構造の斜視図である。図2の第1実施形態とその各変形例とを比較するに、図2の第1実施形態の折り返し部13は、ほぼ同一曲率の円周形状に折曲され、直線部14aが底壁部2の上方に平行に延びている。これに対し、図3の第1変形例の折り返し部13は、鋭角状に折曲され、直線部14aが底壁部2の斜め上方に向かって延びている。又、第4の第2変形例の折り返し部13は、底壁部2に密着曲げで折曲され、直線部14aが底壁部2に密着しつつ延びている。
【0021】
この第1、第2変形例の端子ばね構造にあっては、折り返し部13が小さな曲率半径で形成されるが、端子1が延性に富んだ導電性部材にて形成されているという上述と同様の理由により、芯金を用いることなく、しかも、折り返し部13にヒビや割れを発生させないで製品を作成できる。従って、生産性の向上と不良品の発生防止とを両立できる。以上より、前記第1実施形態及びその変形例によれば、折り返し部13の折曲形状を問わないため、折り返し部13を自由にプレス加工できる。但し、図2の第1実施形態のように、ほぼ同一曲率の円周形状に折曲する方が好ましいのはもちろんである。
【0022】
図5及び図6は本発明の第2実施形態を示し、図5は端子のプレス加工前の平面図、図6はプレス加工により形成された端子ばね構造の要部斜視図である。
【0023】
この第2実施形態の端子20は、前記第1実施形態と異なり、延性に富まない導電性部材()にて形成されている。又、端子20は、前記第1実施形態と同様に、図5の端子原型プレートBをプレス加工することにより形成されるが、前記第1実施形態と比較して、底壁部2には折り返し側に突出する過大折曲防止部であるインデント21が設けられている。インデント21は底壁部2の一部をプレス加工することにより形成される。そして、前記第1実施形態と同様に、各折曲部3,5,9,11,14b,14dと折り返し部13と摺動部14fの箇所がプレス加工によって所定の方向に、且つ、所定の角度だけ折曲されることによって端子がプレス成形される。このプレス形成によって図6に示す端子ばね構造も形成される。
【0024】
図6に示すように、折り返し部13は、インデント21に当接し、且つ、底壁部2との間に空間22を有するように折曲されている。但し、密着曲げの要領で単に折曲加工すれば、インデント21に当接し、底壁部2との間に空間22を有するような折曲ができる。他の構成は前記第1実施形態と同様であるため、図面に同一符号を付してその説明を省略する。
【0025】
上記端子ばね構造によれば、プレス加工で折り返し部13を折曲形成する際にインデント21により過大折曲が防止されることから、芯金を用いることなく、しかも、折り返し部13にヒビや割れが発生しない製品を作成できる。従って、この第2実施形態でも前記第1実施形態と同様に、生産性の向上と不良品の発生防止とを両立できる。又、密着曲げの要領で単に折曲成形すれば、インデント21に当接し、且つ、底壁部2との間に空間22を有するような折曲、つまり、ほぼ同一曲率の円周形状となる折曲ができるため、折り返し部13のプレス加工が容易である。
【0026】
又、前記第2実施形態では、過大折曲防止部がインデント21にて構成されているので、底壁部2のプレス加工により過大折曲防止部を形成できるため、容易に形成できる。
【0027】
又、弾性接触片部14は、前記第1実施形態と同様に、直線部14aと上がり片部14cと下り片部14eと摺動片部14fとから構成されているので、相手側端子(図示せず)が挿入されると、摺動片部14fが底壁部2上を摺動して相手側端子の挿入を許容する位置へと弾性接触片部14が変移し、相手側端子には上がり片部14cと下り片部14eの両方より弾性復帰力が作用されるため、相手側端子と弾性接触片部14との間が大きな接触圧で接触され、確実な接触状態が得られる。
【0028】
又、前記第2実施形態では、端子20の導電性部材としては延性に富まない材料にて形成したが、前記第1実施形態のように延性に富む導電性部材にて形成すれば、破損に関して非常に信頼性の高い製品が得られる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、底壁部の上方に折り返されるように折曲された折り返し部と、この折り返し部の先端側に延設された弾性接触片部とを導電性部材よりプレス成形で作成される端子ばね構造であって、底壁部には、折り返し側に突出する過大折曲防止部を設けたので、プレス加工で折り返し部を形成する際にインデントからなる過大折曲防止部により過大折曲が防止されることから、芯金を用いずに折り返し部にヒビや割れが発生しない製品を作成できる。従って、生産性の向上と不良品の発生防止とを両立できる。
【0032】
請求項2の発明によれば、請求項1記載の端子ばね構造であって、弾性接触片部は、直線部と、この直線部の先端側に延設された上がり片部と、この上がり片部の先端側に延設された下り片部と、この下り片部の先端側に延設された摺動片部とから構成されているので、請求項1〜請求項3の発明の効果に加え、相手側端子が挿入されると、摺動片部が底壁部上を摺動しつつ変移して相手側端子の挿入を許容する位置へと弾性接触片部が変移し、相手側端子には上がり片部と下り片部の両方より弾性復帰力が作用されるため、相手側端子と弾性接触片部との間が大きな接触圧で接触され、確実な接触状態が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、端子のプレス加工前の平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示し、プレス加工により形成された端子ばね構造の要部斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態の第1変形例を示し、プレス加工により形成された端子ばね構造の要部斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態の第2変形例を示し、プレス加工により形成された端子ばね構造の要部斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示し、端子のプレス加工前の平面図である。
【図6】本発明の第2実施形態を示し、プレス加工により形成された端子ばね構造の要部斜視図である。
【図7】従来例を示し、プレス加工により形成された端子ばね構造の要部斜視図である。
【符号の説明】
1,20 端子
2 底壁部
13 折り返し部
14 弾性接触片部
14a 直線部
14c 上がり片部
14e 下り片部
14f 摺動部
21 インデント(過大折曲防止部)
22 空間

Claims (2)

  1. 底壁部と、この底壁部に延設され、底壁部の上方に折り返されるように折曲された折り返し部と、この折り返し部の先端側に延設され、挿入された相手側端子に弾性復帰力で圧接する弾性接触片部とを導電性部材よりプレス成形で作成される端子ばね構造であって、
    前記底壁部には、折り返し側に突出するインデントからなる過大折曲防止部を設け、この過大折曲防止部に当接し、且つ、前記底壁部との間に空間を有するように前記折り返し部を折曲させたことを特徴とする端子ばね構造。
  2. 請求項1記載の端子ばね構造であって、
    前記弾性接触片部は、前記折り返し部に延設された直線部と、この直線部の先端側に延設され、前記底壁部に対し上がり傾斜方向に傾斜された上がり片部と、この上がり片部の先端側に延設され、前記底壁部に対し下し傾斜方向に傾斜された下り片部と、この下り片部の先端側に延設され、前記底壁部上に接触する摺動片部とから構成されたことを特徴とする端子ばね構造。
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