JP3875339B2 - 電子装置用冷却器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子装置本体の内部に配置された発熱源の熱をヒートパイプを利用して放散することにより、発熱源を冷却する電子装置用冷却器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子装置、例えばパソコン(パーソナルコンピュータ)は、パソコン本体の内部に演算処理装置(CPU,MPU)、ハードディスクドライブ(HDD)、バッテリなどの部品が収納されている。これらの部品はパソコンの起動により発熱源になるため、パソコン本体にはこれらの発熱源を冷却するための冷却器が配置されている。従来一般には、この種の冷却装置として、パソコン本体の内部を換気するタイプの冷却器や、発熱源の熱をヒートパイプなどの熱輸送手段によってパソコン本体の外部に放散させるタイプの冷却器など、ケーシングの外部のいわゆる冷熱を利用して冷却するタイプのものが採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、パソコンは、取扱いや運搬の容易性を主要目的とするものであるから、小型化および軽量化が強く望まれている。したがって、当然、パソコン本体の内部空間において冷却器が占有するスペースもできるだけ小さいことが好ましい。一方、パソコンの多機能化や高速処理化を目的として演算処理装置のパワーが増大され、演算処理装置の発熱量が高まる傾向にあり、上記のような冷却器の冷却能力の向上が要望されている。
【0004】
しかしながら、パソコン本体の内部の空気を換気する空冷タイプの冷却器においては、換気量を多くしなければならず、換気のための装置が大型化する不都合があった。また、ヒートパイプを利用した冷却器においては、ヒートパイプの実質的な放熱面積、言い換えれば表面積により冷却能力が確保される構成であるため、発熱源の発熱量の増大に対応してヒートパイプを大型化する必要性があった。
【0005】
つまり、どちらの構成が採用された場合でも、パソコン本体の内部空間における冷却器の占有するスペースが拡大され、パソコン本体に配置される部品のレイアウトが制約されたり、パソコン本体が大型化する可能性があった。
【0006】
この発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、コンパクトで、かつ冷却能力に優れた電子装置用冷却器を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段及びその作用】
上記の目的を達成するために請求項1に記載された発明は、電子装置本体の内部の発熱源を冷却する電子装置用冷却器において、前記電子装置本体の内部の空気を断熱圧縮する空気圧縮機と、この空気圧縮機により圧縮されて温度の上昇した空気の熱を前記電子装置本体の外部に放熱させるヒートパイプと、このヒートパイプによって熱が奪われた加圧空気を断熱膨張させる膨張タービンとを備え、断熱膨張により温度の低下した空気を前記電子装置本体の内部に流通させるように構成され、前記空気圧縮機に連結され、かつ前記空気圧縮機および前記膨張タービンを駆動させる駆動力源と、この駆動力源と前記膨張タービンとの動力伝達経路を接続・遮断するクラッチ機構とを備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、電子装置本体の内部の発熱源の熱により温度上昇した空気が空気圧縮機により吸気されて発熱源が一次冷却される。そして、空気圧縮機により吸気された空気が断熱圧縮されて温度が上昇し、加圧空気の熱がヒートパイプに熱伝達され、電子装置本体の外部に放散されて加圧空気が冷却される。ついで、ヒートパイプにより熱が奪われた加圧空気が、膨張タービンにより断熱膨張されてさらに温度が低下した後、電子装置本体の内部に流通されて発熱源が二次冷却される。また、電子装置本体の内部の温度に応じて、空気圧縮機およびタービンの両方を駆動させる場合と、空気圧縮機のみを駆動させる場合とを選択的に切り換えることが可能になる。したがって、駆動力源の負荷を電子装置本体の内部の温度に適合させることが可能になり、駆動力源の負荷が軽減される。
【0009】
このように、特殊な冷媒を使用せず、機械的手段である空気圧縮機の機械的エネルギにより空気の温度が上昇されて電子装置本体の外部の空気の温度との温度差が増大され、ヒートパイプの熱放散機能を向上させることが可能になる。したがって、電子装置本体の内部におけるヒートパイプの占有スペースが抑制されて部品のレイアウトが自由になり、かつ、電子装置本体の大型化を抑制することができる。
【0010】
請求項2に記載された発明は、前記発熱源に演算処理装置と演算処理装置以外の部品とが含まれており、前記電子装置本体の内部と前記空気圧縮機とを連通させる吸気口が前記演算処理装置側に配置され、前記電子装置本体の内部と前記膨張タービンとを連通させる排気口が前記演算処理装置以外の部品側に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明によれば、請求項1と同様の作用を得られるほか、ほかの部品に比べて発熱量の大きな演算処理装置が一次冷却の段階で冷却されるため、演算処理装置の熱がほかの部品に熱伝達されることを抑制することが可能になり、冷却機能が一層向上する。
【0012】
請求項3に記載された発明は、前記空気圧縮機が収納された空気圧縮機用ケーシングと、この空気圧縮機用ケーシングの熱を前記電子装置本体の外部に放熱させる第1補助ヒートパイプとを備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2と同様の作用を得られるほか、空気圧縮機により圧縮される空気の熱が、空気圧縮機用ケーシングおよび第1補助ヒートパイプを介して電子装置本体の外部に放熱される。このため、空気圧縮機により圧縮される空気が理想状態に維持され、加圧空気のポリトロープ変化により放熱性が高められ、ヒートパイプの放熱機能が一層促進される。
【0014】
請求項4に記載された発明は、前記膨張タービンにより冷却された空気と熱交換可能に配置された第2補助ヒートパイプを備え、この第2補助ヒートパイプの一端が前記演算処理装置に接触されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明によれば、請求項1または請求項2と同様の作用を得られるほか、演算処理装置の熱が直接的に第2補助ヒートパイプに熱伝達されるため、演算処理装置に対する冷却効率が一層向上する。
【0018】
請求項5に記載された発明は、前記電子装置本体の内部の温度を検出する温度検出装置と、この温度検出装置により検出される温度に基づいて前記空気圧縮機または前記膨張タービンの回転数を制御する制御装置とを備えていることを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明によれば、請求項1ないし請求項4のいずれかと同様の作用を得られるほか、電子装置本体の内部の温度に基づいて空気圧縮機または膨張タービンの回転数が制御されるため、発熱源の発熱量に応じて冷却能力を制御することが可能になる。また、電子装置本体の内部の温度に応じて駆動力源の負荷を制御することが可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施例を図面を参照して説明する。図1は、この発明の冷却器が適用された電子装置としてのノートブック型パソコンを透視した概略的な示す斜視図である。図1において、パソコン本体1は、プラスチックあるいはカーボンファイバー等によって形成された比較的厚みの薄い矩形容器からなり、JISでのA4サイズ程度の大きさを成している。
【0021】
パソコン本体1の上面にはキーボード部(図示せず)が設けられ、パソコン本体1の一側縁側にはディスプレイ部2が開閉可能に接続されている。これらのキーボード部およびディスプレイ部2の内部には、各々ほぼ等しい寸法のアルミ薄板(図示せず)が装着されている。このアルミ薄板は、ノイズを遮蔽するためのものであって、通常、ノートブック型パソコンに標準装備されている。
【0022】
前記パソコン本体1の内部には、演算処理装置(CPU,MPU)3、ハードディスクドライブ(HDD)4、バッテリ5、PCカード(PCMCIA)6などの部品が収納されている。また、パソコン本体1は、平行に配置された前板7および後板10と、平行に配置された一対の側板11とを備えている。そして、前板7の両端には通気孔8,9が別個に形成されている。
【0023】
一方、パソコン本体1の内部の1隅、具体的には側板10と後板11との接続部分にはブレイトンクーラー(冷却器)12が配置されている。図2はブレイトンクーラー12の構成を示す概略的な斜視図、図3はブレイトンクーラー12の構成を示す概略的な断面図である。
【0024】
ブレイトンクーラー12はケーシング13を備えており、ケーシング13の内部に通気路Aが形成されている。ケーシング13は熱伝導性に優れた材料、例えばアルミニウムなどにより構成されている。通気路Aの両端には、パソコン本体1の内部に連通された吸気口14および排気口15が形成されており、通気路A内の吸気口14側には空気圧縮機16が配置され、通気路A内の空気圧縮機16と排気口15との間には膨張タービン17が配置されている。
【0025】
この空気圧縮機16はパソコン本体1の内部の空気を断熱圧縮するためのもので、空気圧縮機16には送風機(ファン,ブロワ)、圧縮機が含まれる。また、膨張タービン17は加圧空気を断熱膨張させて冷却するためのものである。なお、吸気口14は演算処理装置3側に向けて配置され、排気口15は演算処理装置3以外の部品側に向けて配置されている。
【0026】
前記ケーシング13の内部における通気路Aの以外の箇所には小型モーター18が配置されている。そして、小型モーター18の第1回転軸19が空気圧縮機16に接続され、第2回転軸20が膨張タービン17に接続されている。なお、小型モータ18と膨張タービン17との動力伝達経路にはクラッチ機構21が配置され、動力伝達経路の接続・遮断を切り換えることが可能なように構成されている。
【0027】
さらに、小型モーター18には直流電源22が接続されており、小型モーター18と直流電源22との間の回路にはコントローラ23が配置されている。コントローラ23は、直流電源22から小型モーター18に印加される直流電圧を所定の値に変換するためのものである。図4は、この実施例の冷却器の制御系統を示すブロック図であり、直流電源22のスイッチ(図示せず)のオン・オフ制御、クラッチ機構21の接続・遮断制御、コントローラ23による電圧制御などを行うマイクロコンピュータ24が配置されている。このマイクロコンピュータ24は、記憶装置、演算処理装置、入出力インターフェースなどの公知の構成を備えている。
【0028】
また、パソコン本体1の内部には、パソコン本体1の内部の空気の温度を検出する温度検出装置25が配置されており、温度検出装置25の検出信号がマイクロコンピュータ24に入力される。上記構成により、温度検出装置25により検出される温度に基づいて、クラッチ機構21を接続・遮断する制御や、小型モーター18の回転数を変更する制御などが行われる。
【0029】
小型モーター18の回転数は、小型モーター18に印加される電圧を制御することで変更される。上記のようにクラッチ機構21を接続・遮断する制御、小型モーター18の回転数の制御などを行うため、マイクロコンピュータ22には、パソコン本体1の内部温度に対応する小型モーター18の印加電圧のデータや、クラッチ機構21の接続・遮断の基準になるデータが予め記憶されている。
【0030】
一方、前記ケーシング13における通気路Aに対面する箇所、具体的には空気圧縮機16と膨張タービン17との間には、ヒートパイプ機構26が配置されている。このヒートパイプ機構26は、多数のフィン27が形成されたプレート28と、プレート28に密着されたヒートパイプ29とを備えている。プレート28およびフィン27は熱伝導性に優れた材料、例えばアルミニウムなどにより成形されている。プレート28の外周縁はケーシング13の内面に接触されており、プレート28の通気路A側の表面に多数のフィン27が形成されている。
【0031】
前記ヒートパイプ29はほぼL字型に屈曲された平板状に構成されており、一方の平板部がプレート28の表面に密着されている。また、ヒートパイプ29の他方の端部がパソコン本体1の外部に配置されている。このヒートパイプ29は、密閉された金属パイプ等の容器の内部に、真空脱気した状態で水やアルコールなどの凝縮性の流体を作動流体として封入したものである。
【0032】
そして、ヒートパイプ29はその内部に温度差が生じることにより動作し、高温部で蒸発した作動流体が低温部に流動して放熱・凝縮することにより、作動流体の潜熱として熱輸送を行う。そして、その見かけ上の熱伝導率は、銅やアルミ等の金属と比較して数十倍ないし数百倍程度優れている。なお、ヒートパイプ29には、必要に応じて作動流体の還流を促進するウィックがコンテナ内部に備えられる。
【0033】
ここで、図1ないし図4の実施例の構成と請求項1、請求項2、請求項5、請求項6との対応関係を説明すれば、パソコン本体1が請求項1、請求項2、請求項6の電子装置本体に相当し、演算処理装置3、ハードディスクドライブ4、バッテリ5、PCカード6が請求項1、請求項2の発熱源に相当し、小型モーター18が請求項5、請求項6の駆動力源に相当し、直流電源22、コントローラ23、マイクロコンピュータ24が請求項6の制御装置に相当する。
【0034】
つぎに、上記のように構成された電子装置用冷却器の動作および機能を説明する。ノートブック型パソコンの起動により演算処理装置3、ハードディスクドライブ4、バッテリ5、PCカード6などの発熱源が発熱してパソコン本体1の内部の空気の温度が上昇する。
【0035】
一方、小型モーター18の起動により空気圧縮機16および膨張タービン17が駆動されると、パソコン本体1の外部の空気が図1に矢印で示すように通気孔8を介してパソコン本体1の内部に吸気されるとともに、各種の発熱源の熱により温度上昇された空気が図3に矢印で示すように吸気口14を介して通気路A内に吸気されることで各種の発熱源が一次冷却される。
【0036】
そして、通気路Aに吸気された空気は空気圧縮機16により断熱圧縮されて温度が上昇し、ヒートパイプ機構26側に流れる。すると、加圧空気の熱が多数のフィン27、プレート28を介してヒートパイプ29の一端部に伝達され、ヒートパイプ29の内部に温度差が生じることにより動作し、高温部で蒸発した作動流体が低温部に流動して矢印のように熱放散が行われて凝縮することにより、作動流体の潜熱として熱輸送を行う。このように、パソコン本体1の内部の空気が空気圧縮機16により断熱圧縮されて昇温し、この空気の熱がヒートパイプ29によりパソコン本体1の外部に放熱されて冷却される。
【0037】
さらに、ヒートパイプ29により熱が奪われた加圧空気が膨張タービン17側に流れると、この加圧空気は膨張タービン17により断熱膨張させられて温度が低下し、排気口15から図1、図3に矢印で示すようにパソコン本体1の内部に排気される。排気口15から排気された空気により各種の発熱源が二次冷却され、その空気が図1に矢印で示すように通気孔9からパソコン本体1の外部に排気される。
【0038】
以上のように、この実施例によればパソコン本体1の内部の空気が強制的に循環され、いわゆるブレイトンサイクルにより空気の断熱圧縮、熱放散、断熱膨張、発熱源の冷却が行われる。そして、ブレイトンサイクルの熱放散の段階でヒートパイプ機構26により空気が冷却されるように構成されている。
【0039】
すなわち、特殊な冷媒を使用せず機械的エネルギを利用して、具体的には空気圧縮機16によりパソコン本体1の内部の空気を断熱圧縮して温度が上昇され、加圧空気の温度とパソコン本体1の外部の空気の温度との温度差が増大され、ヒートパイプ26の放熱機能が促進される。言い換えれば、この実施例の冷却器はヒートポンプと同等の機能を得られる。
【0040】
したがって、ヒートパイプ29の放熱面積を増大させることなく放熱機能が促進され、ヒートパイプ機構26をコンパクトにすることが可能になる。したがって、パソコン本体1の内部におけるヒートパイプ機構26の占有スペースが抑制されて部品のレイアウトが自由になり、かつ、パソコン本体1の大型化を抑制することができる。
【0041】
ちなみに、上記実施例において、ブレイトンサイクルによる空気の状態変化によれば、圧縮される空気の圧力の増大に比例して空気温度が低下され、通気路A内の空気流量の増大に比例して熱放散が増大され、空気圧縮機16の吸気量の増大に比例して空気の圧力が増大される傾向を示すため、ヒートパイプ26による空気の放熱機能が一層向上する。
【0042】
また、この実施例によれば、吸気口14が演算処理装置3側に配置され、排気口15が演算処理装置3以外の部品側に配置されている。このため、吸気口14からの空気の吸気により、ほかの部品に比べて発熱量の大きな演算処理装置3が一次冷却されることになり、演算処理装置3の熱が周囲の部品に伝達されることが抑制されて冷却効率が向上する。
【0043】
さらに、この実施例によれば、小型モーター18と膨張タービン17との動力伝達経路にクラッチ機構21が配置されている。このため、パソコン本体1の内部の温度に応じてクラッチ機構21を制御することができる。
【0044】
具体的には、パソコン本体1の内部の温度が所定値以下の場合には、クラッチ機構21を遮断して膨張タービン17を停止させ、空気圧縮機16を送風機として駆動させる制御を行うことが可能になる。つまり、空気の圧縮が行われずにヒートパイプ26による熱の放散による冷却だけが行われ、小型モーター18の負荷が軽減される。
【0045】
さらに、この実施例によれば、パソコン本体1の内部の温度に基づいて空気圧縮機16または膨張タービン17の回転数を制御することが可能であるため、発熱源の発熱量に適合する冷却能力の設定が可能になる。また、パソコン本体1の内部温度に応じて小型モーター18の負荷を制御することが可能になり、消費電力を削減することができる。
【0046】
図5は、この発明の電子装置用冷却器をノートブック型パソコンに適用したほかの実施例を示す部分的な断面図である。図5の実施例では、ケーシング13の外壁に第1補助ヒートパイプ30の一端が接続されており、第1補助ヒートパイプ30の他端がパソコン本体1の外部に配置されている。第1補助ヒートパイプ30は、図3に示されたヒートパイプ29と同様に構成されている。そのほかの構成は図1ないし図4の実施例と同様に構成されている。図5の実施例の構成と請求項3との対応関係を説明すれば、ケーシング13が請求項3の空気圧縮機用ケーシングに相当する。
【0047】
図5の実施例によれば、図1ないし図4の実施例と同様の効果を得られるほか、空気圧縮機16により加圧される空気の熱が、ケーシング13、ヒートパイプ30を介してパソコン本体1外部に放熱される。このため、空気圧縮機16により圧縮される空気が理想状態に維持され、加圧空気のポリトロープ変化によりヒートパイプ29に対する熱伝達効率が高められ、放熱機能が一層促進される。
【0048】
図6は、この発明の電子装置用冷却器をノートブック型パソコンに適用したほかの実施例を示す部分的な断面図である。図6の実施例では、第2補助ヒートパイプ31の一端がケーシング13の外壁に接触されており、第2補助ヒートパイプ31の他端が演算処理装置3のプレートに接触されている。この第2補助ヒートパイプ31は、図3に示されたヒートパイプ29と同様に構成されている。そのほかの構成は図1ないし図4の実施例と同様である。図6の実施例の構成と請求項4との対応関係を説明すれば、ケーシング13が請求項4の膨張タービン用ケーシングに相当する。
【0049】
図6の実施例によれば、演算処理装置3の熱が、空気に熱伝達されて冷却される作用と、第2補助ヒートパイプ31により直接冷却される作用とが生じるため、冷却効率が一層向上する。なお、図6の実施例において、第2補助ヒートパイプ31の一端を排気口15に配置することも可能である。
【0050】
図7の実施例は、この発明の冷却器をほかの電子装置、例えばデスクトップ型パソコンまたはワークステーションに適用した場合を示す概略的な斜視図である。図7において、電子装置本体40の内部には、内蔵ハードディスク41、電源42、演算処理装置43、冷却器44などが配置されている。
【0051】
この冷却器44の構成は、図2、図3、図4の実施例、または図5の実施例、または図6の実施例に示された冷却器12の構成とほぼ同様である。図7の実施例の構成と請求項1の構成との対応関係を説明すれば、内蔵ハードディスク41、電源42、演算処理装置43が請求項1の発熱源に相当する。したがって、図7の実施例においても、図2、図3、図4の実施例、または図5の実施例、または図6の実施例と同様の効果を得られる。
【0052】
図8の実施例は、この発明の冷却器をほかの電子装置、例えばサーバーまたはタワーに適用した場合を示す概略的な斜視図である。図8において、電子装置本体50の内部には、電源51、ファイルスロット52、ドライブキャリア53、メインボード54、PCILANカード55、冷却器56などが配置されている。
【0053】
この冷却器56の構成は、図2、図3、図4の実施例、または図5の実施例、または図6の実施例に示された冷却器12の構成とほぼ同様である。図8の実施例の構成と請求項1との対応関係を説明すれば、電源51、ファイルスロット52、ドライブキャリア53、メインボード54、PCILANカード55が請求項1の発熱源に相当する。したがって、図8の実施例においても、図2、図3、図4の実施例、または図5の実施例、または図6の実施例と同様の効果を得られる。
【0054】
なお、この発明の冷却器は、ほかの電子装置、例えばファクシミリ、プリンタ、複写機などにも適用が可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、電子装置本体の内部の発熱源の熱により温度上昇した空気が空気圧縮機により吸気されて発熱源が一次冷却される。そして、空気圧縮機により吸気された空気が断熱圧縮されて温度が上昇すると、加圧空気の熱がヒートパイプに熱伝達され、電子装置本体の外部に放熱されて加圧空気が冷却される。ついで、ヒートパイプにより熱が奪われた加圧空気が、膨張タービンにより断熱膨張されてさらに温度が低下した後、電子装置本体の内部に流通されて発熱源が二次冷却される。
【0056】
このように、特殊な冷媒を使用せず、機械的手段、具体的には空気圧縮機により電子装置本体の内部の空気を断熱圧縮させて温度が上昇する。このため、加圧空気の温度と電子装置本体の外部の空気の温度との温度差が増大され、ヒートパイプの放熱機能が促進される。したがって、電子装置本体の内部におけるヒートパイプの占有スペースが抑制されて部品のレイアウトが自由になり、かつ、電子装置本体の大型化を抑制することができる。また、電子装置本体の内部の温度に応じて、空気圧縮機およびタービンの両方を駆動させる場合と、空気圧縮機のみを駆動させる場合とを選択的に切り換えることが可能になる。したがって、駆動力源の負荷を電子装置本体の内部の温度に適合させることが可能になり、駆動力源の負荷が軽減される。
【0057】
請求項2の発明によれば、請求項1と同様の効果を得られるほか、ほかの部品に比べて発熱量の大きな演算処理装置が一次冷却の段階で冷却されるため、演算処理装置の熱がほかの部品に熱伝達されることを抑制することが可能になり、冷却機能が向上する。
【0058】
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2と同様の効果を得られるほか、空気圧縮機により圧縮される空気の熱が空気圧縮機用ケーシングに伝達され、さらに第1補助ヒートパイプにより電子装置本体の外部に放熱される。このため、空気圧縮機により圧縮される空気が理想状態に維持され、加圧空気のポリトロープ変化によりヒートパイプに対する熱伝達効率が高められ、放熱機能が一層促進される。
【0059】
請求項4の発明によれば、請求項1または請求項2と同様の効果を得られるほか、演算処理装置の熱が直接的に第2補助ヒートパイプに熱伝達されるため、演算処理装置に対する冷却効率が一層向上する。
【0061】
請求項5の発明によれば、請求項1ないし請求項4のいずれかと同様の効果を得られるほか、電子装置本体の内部の温度に基づいて空気圧縮機または膨張タービンの回転数が制御されるため、発熱源の発熱量に応じて冷却能力を制御することが可能になる。また、電子装置本体の内部の温度に応じて駆動力源の負荷を制御することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の冷却器が適用されたノートブック型パソコンの内部を透視した斜視図である。
【図2】図1に示された冷却器の概略的な斜視図である。
【図3】この発明の冷却器の具体的な構成を示す断面図である。
【図4】この発明の冷却器の制御回路を示すブロック図である。
【図5】この発明の冷却器が適用されたノートブック型パソコンのほかの実施例を示す部分的な断面図である。
【図6】この発明の冷却器が適用されたノートブック型パソコンのほかの実施例を示す部分的な断面図である。
【図7】この発明の冷却器をデスクトップ型パソコンまたはワークステーションに適用した場合の実施例を示す概略的な斜視図である。
【図8】この発明の冷却器をタワーまたはサーバーに適用した場合の実施例を示す概略的な斜視図である。
【符号の説明】
1…パソコン本体、 3,43…演算処理装置、 4…ハードディスクドライブ、 5…バッテリ、 6…PCカード、 12…ブレイトンクーラー、 13…ケーシング、 14…吸気口、 15…排気口、 16…空気圧縮機、 17…膨張タービン、 18…小型モーター、 21…クラッチ機構、 25…温度検出装置、 24…マイクロコンピュータ、 29…ヒートパイプ、 30…第1補助ヒートパイプ、 31…第2補助ヒートパイプ、 40,50…電子装置本体、 41…内蔵ハードディスク、 44,56…冷却器、 51…電源、 52…ファイルスロット、 53…ドライブキャリア、 54…メインボード、
55…PCILANカード。
Claims (5)
- 電子装置本体の内部の発熱源を冷却する電子装置用冷却器において、
前記電子装置本体の内部の空気を断熱圧縮する空気圧縮機と、この空気圧縮機により圧縮されて温度の上昇した空気の熱を前記電子装置本体の外部に放熱させるヒートパイプと、このヒートパイプによって熱が奪われた加圧空気を断熱膨張させる膨張タービンとを備え、断熱膨張により温度の低下した空気を前記電子装置本体の内部に流通させるように構成され、
前記空気圧縮機に連結され、かつ前記空気圧縮機および前記膨張タービンを駆動させる駆動力源と、この駆動力源と前記膨張タービンとの動力伝達経路を接続・遮断するクラッチ機構とを備えていることを特徴とする電子装置用冷却器。 - 前記発熱源に演算処理装置と演算処理装置以外の部品とが含まれており、前記電子装置本体の内部と前記空気圧縮機とを連通させる吸気口が前記演算処理装置側に配置され、前記電子装置本体の内部と前記膨張タービンとを連通させる排気口が前記演算処理装置以外の部品側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置用冷却器。
- 前記空気圧縮機が収納された空気圧縮機用ケーシングと、この空気圧縮機用ケーシングの熱を前記電子装置本体の外部に放熱させる第1補助ヒートパイプとを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子装置用冷却器。
- 前記膨張タービンにより冷却された空気と熱交換可能に配置された第2補助ヒートパイプを備え、この第2補助ヒートパイプの一端が前記演算処理装置に接触されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子装置用冷却器。
- 前記電子装置本体の内部の温度を検出する温度検出装置と、この温度検出装置により検出される温度に基づいて前記空気圧縮機または前記膨張タービンの回転数を制御する制御装置とを備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電子装置用冷却器。
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