JP3875292B2 - 運動靴用洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、刺激臭がなく、しかも運動靴に付着した汚れを効果的に漂白洗浄できる過酸化物系運動靴用洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
運動靴は、その使用頻度が多くなると、汚れが付着したり、運動靴内に付着した汗や皮脂汚れ等にバクテリアが繁殖し、不快な臭いが発生したりする。
従来は、これら運動靴の洗浄には、市販の衣料用洗濯洗剤や運動靴専用洗剤が使用されている。しかし、一般に漂白効果が充分でなく、漂白効果を高めるために塩素系漂白剤を併用することも試みられている。塩素系漂白剤の併用により、特有の臭気が発生して使用者に不快感を与える問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、刺激臭が無く、しかも運動靴の汚れに対する漂白洗浄力及び除菌効果に優れた運動靴用洗浄剤組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題について鋭意研究の結果、シアン酸塩と過酸化水素あるいは水溶液中で過酸化水素を生成する過酸化物を必須成分とし、さらに必要により酵素及び/又は界面活性剤を含有した組成物が特定のpH領域において運動靴の汚れに対し飛躍的に高い漂白洗浄力を示し、しかも刺激臭を有しないことを見出し本発明を完成させたものである。即ち、本発明は(A)過酸化水素あるいは水溶液中で過酸化水素を生成する過酸化物を生成過酸化水素換算で0.1%〜60重量%、(B)シアン酸のアルカリ金属塩又はシアン酸のアンモニウム塩を0.1%〜30重量%含有し、その水溶液のpHが9〜13であることを特徴とする運動靴用洗浄剤組成物である。尚、本発明者の一人は先に特願平7−77074号において、過酸化水素とシアン酸塩との組成物のpHが7〜13であるときに、カビの除去効果が優れていることを認めたが、該組成物が本願の課題である用途に使用できるという記載は皆無である。
【0005】
【発明の実施形態】
(A)過酸化水素あるいは水溶液中で過酸化水素を生成する過酸化物としては、市販されている過酸化水素水溶液あるいは炭酸ソーダ過酸化水素付加物、過ほう酸ソーダ水和物、過ほう酸ソーダ四水和物が例示される。酸化水素は、0.1〜90重量%の一般公知のもの全てが使用できるが、一般的には0.5〜35重量%までの範囲のものが好ましい。
本発明の運動靴用洗浄剤組成物中の(A)成分の配合量は、生成する過酸化水素換算で0.1〜60重量%であり、好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。実用上は0.1〜6重量%が最も好ましい。含有量がこの範囲より少ないと漂白洗浄力が低く、この範囲より多いと洗浄効果に大きな差が無く、また取り扱いが難しくなる。
【0006】
(B)シアン酸塩としてはシアン酸のアルカリ金属塩、シアン酸のアンモニウム塩であり、シアン酸カリウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸アンモニウムが例示でき、その1種又は2種以上を使用する。(B)成分の配合量は、0.1〜30重量%であり、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。含有量がこの範囲より少ないと活性化効果がなく、この範囲より多い使用は、それ以上の効果を高める事が期待できない。シアン酸塩は市販の固体又は水溶液が使用できる。
【0007】
洗浄剤組成物のpHを調整することは高い洗浄力を得るために必須の条件である。洗浄剤組成物の水溶液又は洗浄剤組成物を溶解した水溶液のpHは9〜13である。pHがこの範囲より低いと漂白洗浄作用が弱く、この範囲より高いと過酸化物が不安定になるなど、運動靴用洗浄剤組成物として取り扱いが難しくなる。尚pHについては、洗浄剤組成物を水溶液状態で使用する場合は原液を、洗浄剤組成物が粉体の場合は、洗浄剤組成物を1%水溶液にし、そのpHを測定する。pHを調整するためにアルカリ剤を加えても良く、アルカリ剤としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属珪酸塩等が例示できる。中でも、珪酸カリウム等のアルカリ金属の珪酸塩を使用すると、漂白洗浄力が著しく向上することから好ましい。
【0008】
本発明の運動靴用洗浄剤組成物の洗浄力をさらに向上させるため、必要により酵素及び/又は界面活性剤を使用することができる。酵素は、運動靴に付着した有機質の汚れを効果的に分解することにより、さらに本発明の洗浄剤の漂白洗浄力を向上することができる。酵素としては、プロテアーゼ等のタンパク質分解酵素、リパーゼ等の脂質分解酵素、セルラーゼ等の繊維素分解酵素等が例示できる。酵素の添加量は、運動靴用洗浄剤組成物100重量部0.05〜5重量部となる量が好ましい。
【0009】
界面活性剤は、洗浄剤組成物の付着物汚れへの浸透を助け、また運動靴への汚れの再汚染を防止し、付着物汚れの漂白洗浄・除去効果を高めることができる。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アミンオキサイド等の非イオン界面活性剤、石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤が例示される。界面活性剤の添加量は、運動靴用洗浄剤組成物100重量部に0.1〜30重量部であり、好ましくは0.5〜10重量部である。
本発明の運動靴用洗浄剤組成物には、任意の成分として溶剤、殺菌剤、香料、着色剤、金属イオン封鎖剤等を適宜添加することができる。
尚、ここで言う運動靴とは、水洗いのできる綿・ナイロン・合成皮革等の運動靴、スニーカー、上ばき等を意味する。
【0010】
本発明の運動靴用洗浄剤組成物の使用方法としては、洗浄剤組成物を直接運動靴にまんべんなくふりかける。あるいは、バケツ等に水又は湯にて洗浄剤組成物を溶解させた中に、運動靴を浸け置き洗浄する使用方法である。
【0011】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0012】
実施例1〜2
過酸化水素濃度が3.0重量%、シアン酸カリウム濃度が5.0重量%となるように過酸化水素水溶液及びシアン酸カリウムを水に混合溶解して運動靴用洗浄剤組成物を調製した。
尚、実施例1の組成物は、pHをアルカリ剤にて9.2に調製した。また実施例2の組成物は、pHをアルカリ剤にて11.0に調製した。
次に、得られた運動靴用洗浄剤組成物を使用して、運動靴内に付着した汚れの洗浄試験を以下のようにして行った。また、洗浄剤組成物及び洗浄試験後の運動靴の臭気判定を以下のようにして行った。
[I]<付着汚れの洗浄試験方法とその評価方法>
1)付着汚れの洗浄試験方法
長期間洗浄していない運動靴を、本発明の運動靴用洗浄剤組成物の入った容器に30分間浸け置きし、水で洗い流した後の汚れの漂白洗浄力の程度をみた。
2)評価方法
漂白洗浄の程度を目視により以下の4段階に判定した。
漂白洗浄度 : ◎ ほぼ完全に漂白洗浄された。
: ○ かなり良く漂白洗浄された。
: △ ある程度漂白洗浄された。
: X ほとんど又は全く漂白洗浄されなかった。
[II]<洗浄剤組成物の臭気及び洗浄試験後の運動靴の臭気の判定とその
評価方法>
1)臭気の判定方法
10人のパネラーに洗浄剤組成物及び洗浄試験後の運動靴の臭気を嗅いでもらい官能評価した。
2)臭気の判定方法
臭気を以下のように評価する。
臭気評価 : ○ 7人以上のパネラーが刺激臭も悪臭も感じなかった。: △ 4〜6人以上のパネラーが刺激臭又は悪臭を感じた。
: X 7人以上のパネラーが刺激臭又は悪臭を感じた。
その結果を第1表に示す。
【0013】
実施例3〜4
第1表に示すように運動靴用洗浄剤組成物を調製した。組成物の水溶液のpHはアルカリ剤にて調整した。次に、得られた運動靴用洗浄剤を使用して、付着汚れの漂白洗浄試験及び臭気判定を実施例1と同様に行った。結果は第1表に示す。
【0014】
比較例1
次亜塩素酸ソーダを第1表に示すように使用して漂白洗浄組成物を調整した。組成物のpHはアルカリ剤にて第1表に示すように調整した。また得られた漂白洗浄組成物を使用して行った付着汚れの漂白洗浄試験及び臭気判定を実施例1と同様に行った。結果を第1表に示す。
漂白洗浄性は良かったが、塩素臭が強かった。
【0015】
比較例2
シアン酸カリウムを使用しなかった他は、実施例2と同様に漂白洗浄組成物を調製した。また得られた漂白洗浄組成物を使用して行なった付着汚れの漂白洗浄試験及び臭気判定を実施例1と同様に行なった。結果は第1表に示す。
漂白洗浄性能は認められなかった。
【0016】
比較例3
シアン酸塩の代わりにテトラアセチルエチレンジアミンを使用した他は実施例2と同様に漂白洗浄組成物を調製した。また得られた漂白洗浄組成物を使用して行なった付着汚れの漂白洗浄試験及び臭気判定をと同様に行なった。
結果は第1表に示す。
漂白洗浄力がやや低下するとともに、有機酸の臭気が強かった。
【0017】
【表1】
【0018】
実施例5〜7
実施例1で調製された洗浄剤組成物100重量部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部を加えて調製した運動靴用洗浄剤組成物を実施例5とし、また実施例1の洗浄剤組成物100重量部にプロテアーゼ0.1重量部、リパーゼ0.1重量部及びセルラーゼ0.1重量部を加えて調製した運動靴用洗浄剤組成物を実施例6とした。さらに実施例1の洗浄剤組成物100重量部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量部、プロテアーゼ0.1重量部、リパーゼ0.1重量部及びセルラーゼ0.1重量部を加えて調製した運動靴用洗浄剤組成物を実施例7とした。それぞれの組成物のpHは、アルカリ剤にて第2表に示すように調製した。次に、得られた運動靴用洗浄剤組成物を使用して、運動靴に付着した汚れの漂白洗浄試験及び臭気判定を実施例1と同様に行った。
結果は第2表に示す。
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、刺激臭が無く、しかも運動靴に付着した汚れに対する漂白洗浄力に優れた運動靴用洗浄剤組成物が提供される。
Claims (2)
- (A)過酸化水素あるいは水溶液中で過酸化水素を生成する過酸化物を生成過酸化水素換算で0.1%〜60重量%、(B)シアン酸のアルカリ金属塩又はシアン酸のアンモニウム塩を0.1%〜30重量%含有し、その水溶液のpHが9〜13であることを特徴とする運動靴用洗浄剤組成物。
- 請求項1記載の運動靴用洗浄剤組成物100重量部に酵素0.05〜5重量部及び/又は界面活性剤を0.1〜30重量部を含有することを特徴とする運動靴用の洗浄剤組成物。
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JP27955195A JP3875292B2 (ja) | 1995-09-21 | 1995-09-21 | 運動靴用洗浄剤組成物 |
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