JP3875164B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば接触燃焼式ガスセンサ等のガスセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガスセンサとしては、例えば白金等の触媒からなるガス検出素子と温度補償素子とを一対備え、例えば水素等の被検出ガスが白金等の触媒に接触した際の燃焼により発生する熱によってガス検出素子が相対的に高温の状態になったときに、例えば雰囲気温度下等の相対的に低温の状態の温度補償素子との間に生じる電気抵抗値の差異に応じて、被検出ガスの濃度を検出するガス接触燃焼式のガスセンサが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したようなガス接触燃焼式等のガスセンサにおいては、ガスセンサの検出基準値、いわゆるゼロ点がずれる場合があり、ガスセンサから出力される検出値に対して適宜のタイミングで校正を行う必要が生じる。ここで、例えば上述したようなガスセンサとして、水素を検出するガス接触燃焼式の水素センサを、例えば燃料電池を動力源として備える燃料電池車両等の燃料電池システムに搭載した場合には、この車載状態において、さらには車両の走行時等における燃料電池の運転状態において、水素センサの校正を行うことが望まれる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、燃料電池システムの作動中であってもガスセンサに対する校正の動作を容易化することが可能なガスセンサを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のガスセンサは、燃料電池(例えば、実施の形態での燃料電池2)を動力源として備える燃料電池システム(例えば、実施の形態での燃料電池システム2a)に搭載されるガスセンサ(例えば、実施の形態での水素センサ1)であって、検査対象ガスが導入されるガス検出室(例えば、実施の形態でのガス検出室27)内に、互いの電気抵抗値の差異に基づき被検出ガスを検出する検出素子(例えば、実施の形態での検出素子31)および補償素子(例えば、実施の形態での温度補償素子32)が配置されてなり、ガスセンサ本体には、前記ガス検出室に接続され、前記燃料電池システムの作動中に外部から前記ガス検出室内へ校正用ガスの導入が可能とされたガス流路(例えば、実施の形態でのガス流路41)が形成され、前記ガス流路には、校正ガス導入部(例えば、実施の形態での校正ガス導入部42)から前記ガス検出室内へと向かい流通する前記校正用ガスの流量を調整するためのオリフィス(例えば、実施の形態でのオリフィス43)と、前記ガス検出室から前記校正ガス導入部へと向かう方向に前記校正用ガスが流通することを規制する逆止弁(例えば、実施の形態での逆止弁44)とを備え、前記校正ガス導入部は、校正用ガス貯蔵容器(例えば、実施の形態でのガス貯蔵容器45)に設けられたバルブ装置(例えば、実施の形態でのバルブ装置46)を装着可能な凹部(例えば、実施の形態での凹部48)と、この凹部に前記ガス流路の開口部(例えば、実施の形態での開口部41a)の周囲を取り囲むように配置され、前記バルブ装置に当接可能なシール材(例えば、実施の形態でのシール材49)とを備えたことを特徴としている。
【0005】
上記構成のガスセンサによれば、ガスセンサ本体には、検出素子および補償素子が配置されるガス検出室に接続されたガス流路が形成されており、燃料電池システムの作動中にこのガス流路にガスセンサの外部から適宜の供給装置によって校正用ガスを供給することにより、校正用ガスをガス検出室内に導入することができる。なお、ガス流路にはオリフィスが設けられているので、ガス検出室内へ導入される校正用ガスの流量が適宜に調整され、校正処理を精度良く行うことができる。また、ガス流路には逆止弁が設けられているので、校正用ガスの逆流が規制され、校正用ガスの供給が持続された状態で校正処理を実行することができる。これにより、例えばガスセンサが適宜のシステムや装置に装着され、そのシステム等が作動中であっても、この装着状態において容易に校正を行うことができる。
また上記構成のガスセンサによれば、校正ガス導入部に校正用ガス貯蔵容器が着脱可能となり、その校正用ガス貯蔵容器から校正用ガスを供給することで、燃料電池システムの作動中であっても容易に校正を行うことができる。また校正用ガス貯蔵容器のバルブ装置をシール材に当接させることによって、ガス流路内の機密性を確保することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係るガスセンサについて添付図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係るガスセンサ1は、例えば、燃料電池2と、制御装置3と、記憶装置4とを備えて構成される燃料電池システム2aに具備され、燃料電池2に接続された各配管11,…,14のうち、酸素極側の出口側配管14の鉛直方向上部に取り付けられたガス接触燃焼式の水素センサ(ガスセンサ)1とされ、この水素センサ1により酸素極側の出口側配管14内を流通するオフガス中に水素が排出されていないことを確認できるようになっており、水素センサ1から出力される検出信号は制御装置3に入力されている。
【0010】
燃料電池2は、例えば陽イオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜を燃料極と酸素極で挟持した電解質電極構造体を、更に一対のセパレータで挟持してなる燃料電池セル(図示略)を多数組積層して構成されている。
例えば図1に示すように、燃料極に入口側配管11から供給された水素などの燃料ガスは、燃料極の触媒電極上で水素がイオン化され、適度に加湿された固体高分子電解質膜を介して酸素極へと移動する、その間に生じた電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。酸素極には、例えば、酸素などの酸化剤ガスを含む空気等が入口側配管12を介して供給されているために、この酸素極において、水素イオン、電子及び酸素が反応して水が生成される。そして、燃料極側、酸素極側共に出口側配管13、14から反応済みのいわゆるオフガスが系外に排出される。
【0011】
水素センサ1は、例えばガス接触燃焼式の水素センサとされ、例えば図2に示すように、直方形状のケース21を備えている。ケース21は、例えばポリフェニレンサルファイド製であって、長手方向両端部にフランジ部22を備えている。フランジ部22にはカラー23を取り付けてあり、このカラー23内にボルト24を挿入して、酸素極側の出口側配管14に設けられた各取付座25に締め付け固定されるようになっている。
また、ケース21の下面には筒状部26が形成され、筒状部26の内部はガス検出室27として形成され、ガス検出室27の内部側面には、内側に向かってフランジ部28が形成され、フランジ部28の内周部分がガス導入部29として開口形成されている。
【0012】
ケース21内には樹脂で封止された回路基板30が設けられ、筒状部26の内部に配置された検出素子31および温度補償素子32は、回路基板30に接続されている。そして、各素子31,32は回路基板30に接続された複数、例えば4個のピン33により、ガス検出室27の底面27A上に配置されたベース34から、水素センサ本体の厚さ方向に一定距離の高さで所定間隔を隔てて対をなすようにして配置されている。
また、筒状部26の外周面にシール材35が取り付けられ、出口側配管14の貫通孔14aの内周壁に密接して気密性を確保している。
【0013】
検出素子31は周知の素子であって、電気抵抗に対する温度係数が高い白金等を含む金属線のコイルの表面を、被検出ガスとされる水素に対して活性な貴金属等からなる触媒を坦持するアルミナ等の坦体で被覆されて形成されている。
温度補償素子は、被検出ガスに対して不活性とされ、例えば検出素子と同等のコイルの表面をアルミナ等の坦体で被覆されて形成されている。
そして、被検出ガスである水素が検出素子31の触媒に接触した際に生じる燃焼反応の発熱により高温となった検出素子31と、被検出ガスによる燃焼反応が発生せず雰囲気温度下の温度補償素子32との間に電気抵抗値の差が生ずることを利用し、雰囲気温度による電気抵抗値の変化分を相殺して水素濃度を検出することができるようになっている。
例えば、検出素子31と温度補償素子32との間の電気抵抗値の差に係る状態量として、検出素子31と温度補償素子32とが適宜に接続されてなる回路の所定接点間の電圧や電流の検出値が制御装置3へ出力され、制御装置3においては、検出値の変化に応じて予め設定された水素濃度のマップ等が記憶装置4から検索され、水素濃度が算出される。
【0014】
さらに、ケース21内には、水素センサ本体の厚さ方向に沿って伸びるガス流路41が設けられ、このガス流路41は、ケース21の上面にて開口する校正ガス導入部42とガス検出室27の底面27A上の開口部27aとに接続され、外部から供給される校正用ガスをガス検出室27内へ導入することができるようにされている。
また、ガス流路41には、校正ガス導入部42からガス検出室27内へと向かい流通する校正用ガスの流量を調整するためのオリフィス43と、ガス検出室27内から校正ガス導入部42へと向かう方向にガスが流通することを規制する逆止弁44とが備えられている。
【0015】
例えば図3に示すように、校正ガス導入部42は、適宜の校正用ガス貯蔵容器、例えば可搬型のガス貯蔵容器(カセットボンベ)45の先端部に設けられたバルブ装置46から突出するガス供給ノズル47をガス流路41に着脱可能に装着させる。
校正ガス導入部42は、バルブ装置46を装着可能な凹部48と、この凹部48の底面48Aにおいて、ガス流路41の開口部41aの周囲を取り囲むようにして配置され、バルブ装置46の先端面46Aに当接可能なシール材49とを備えて構成されている。
【0016】
本実施の形態によるガスセンサ1は上記構成を備えており、次に、このガスセンサ1に対して行われる校正の動作について説明する。
先ず、例えば水素センサ1の作動時等において、校正用ガスが封入されたカセットボンベ45のバルブ装置46が校正ガス導入部42の凹部48に装着され、ガス供給ノズル47がガス流路41内へ挿入される。このとき、バルブ装置46の先端面46Aがシール材49に当接させられることによって、ガス流路41内の気密性が確保される。
そして、例えばバルブ装置46に設けられた適宜の操作部材(図示略)等の操作によって、ガス供給ノズル47から校正用ガスの供給が開始される。
ガス流路41内を流通する校正用ガスは、オリフィス43において適宜に流量が調整されると共に、逆止弁44によってカセットボンベ45へと向かうような逆流が規制され、ガス検出室27内へと導入される。
そして、校正用ガスの供給が持続された状態で、水素センサ1から出力される検出値に基づいて、適宜の校正処理が実行される。
【0017】
上述したように、本実施の形態によるガスセンサ1によれば、外部から供給される校正用ガスを水素センサ1のガス検出室27内に導入可能なガス流路41を設けたことにより、例えば燃料電池システム2aの作動時等であっても水素センサ1に対する校正の動作を適宜のタイミングで容易に実行することができる。
【0018】
なお、上述した本実施の形態においては、校正用ガスを外部から導入するとしたが、これに限定されず、例えば図4に示す本実施形態の第1変形例のように、ケース21内に校正用ガスを貯蔵するガス貯蔵室51を備え、このガス貯蔵室51を封止および開放可能な制御弁52および校正用ガスの流量を調整するためのオリフィス43を介してガス検出室27の底面27A上の開口部27aに接続されるガス流路41を設けてもよい。
この場合、水素センサ1に対する校正の動作を実行する場合には、例えば制御装置3の制御によって制御弁52を開状態に設定し、ガス貯蔵室51からガス検出室27内へ校正用ガスを流通させる。
【0019】
また、この場合、例えば図5に示す本実施形態の第2変形例のように、ケース21内に校正用ガスを貯蔵する複数、例えば3つのガス貯蔵室61a,61b,61cを備え、さらに、各ガス貯蔵室61a,61b,61cの封止状態を解除可能な各開放ヒューズ62a,62b,62cおよび各逆止弁63a,63b,63cが具備された各ガス流路64a,64b,64cを合流させてガス流路41を形成し、このガス流路41に校正用ガスの流量を調整するためのオリフィス43を備え、ガス流路41をガス検出室27の底面27A上の開口部27aに接続させてもよい。
この場合、水素センサ1に対する校正の動作を実行する場合には、例えば制御装置3の制御によって各開放ヒューズ62a,62b,62cを作動させ、各ガス貯蔵室61a,61b,61cの封止状態を解除し、各ガス貯蔵室61a,61b,61cからガス検出室27内へ校正用ガスを流通させる。これにより、各ガス貯蔵室61a,61b,61c毎に供給される校正ガスによって校正の動作を行うことができ、複数のガス貯蔵室を備えることで、複数回の校正を行うことができる。
【0020】
なお、上述した本実施の形態において、校正ガス導入部42はケース21の上面にて開口するとしたが、これに限定されず、例えば水素センサ本体の外周面上等のその他の位置に配置されてもよい。
【0021】
なお、上述した本実施の形態において、ガスセンサを水素センサ4としたが、これに限定されず、その他のガス、例えば一酸化炭素やメタン等の可燃性ガスを検出するガスセンサであってもよい。
また、ガスセンサはガス接触燃焼式のガスセンサに限らず、検査対象ガスが導入されるガス検出室を備えるその他のガスセンサであってもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のガスセンサによれば、例えばガスセンサが適宜のシステムや装置に装着されている場合であっても、この装着状態において容易に校正を行うことができる。
さらに、請求項3に記載の本発明のガスセンサによれば、ガス検出室内へ導入される校正用ガスの流量が適宜に調整されることから、校正処理を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るガスセンサを備える燃料電池システムの構成図である。
【図2】 図1に示すガスセンサの概略断面図である。
【図3】 図2に示す校正ガス導入部を拡大して示す図である。
【図4】 本実施形態の第1変形例に係るガスセンサの概略断面図である。
【図5】 本実施形態の第2変形例に係るガスセンサの概略断面図である。
【符号の説明】
1 ガスセンサ
27 ガス検出室
31 検出素子
32 補償素子(温度補償素子)
41 ガス流路
43 オリフィス(流量調整部材)
51,61a,61b,61c ガス貯蔵室(校正用ガス封入部)
52 制御弁(開放部)
62a,62b,63b 開放ヒューズ(解除部)

Claims (1)

  1. 燃料電池を動力源として備える燃料電池システムに搭載されるガスセンサであって、
    検査対象ガスが導入されるガス検出室内に、互いの電気抵抗値の差異に基づき被検出ガスを検出する検出素子および補償素子が配置されてなり、
    ガスセンサ本体には、前記ガス検出室に接続され、前記燃料電池システムの作動中に外部から前記ガス検出室内へ校正用ガスの導入が可能とされるガス流路が形成され、
    前記ガス流路には、校正ガス導入部から前記ガス検出室内へと向かい流通する前記校正用ガスの流量を調整するためのオリフィスと、前記ガス検出室から前記校正ガス導入部へと向かう方向に前記校正用ガスが流通することを規制する逆止弁とを備え、
    前記校正ガス導入部は、校正用ガス貯蔵容器に設けられたバルブ装置を装着可能な凹部と、この凹部に前記ガス流路の開口部の周囲を取り囲むように配置され、前記バルブ装置に当接可能なシール材とを備えたことを特徴とするガスセンサ。
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