JP3874665B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両操舵のための操作手段に加えられる操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置に関し、さらに詳しくは、このような電動パワーステアリング装置において、バッテリ電圧を昇圧して電動モータに印加すべき電圧を生成する昇圧回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、運転者がハンドル(ステアリングホイール)に加える操舵トルクに応じて電動モータを駆動することによりステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が用いられている。この電動パワーステアリング装置では、操舵のための操作手段であるハンドルに加えられる操舵トルクを検出するトルクセンサが設けられており、そのトルクセンサで検出される操舵トルクに基づき電動モータに流すべき電流の目標値が設定される。そして、この目標値と電動モータに実際に流れる電流の値との偏差に基づき、電動モータの駆動手段に与えるべき指令値が生成される。電動モータの駆動手段は、例えば、その指令値に応じたデューティ比のパルス幅変調信号(PWM信号)を生成するPWM信号生成回路と、そのPWM信号のデューティ比に応じてオン/オフするパワートランジスタを用いて構成されるモータ駆動回路とから成り、そのデューティ比に応じた電圧すなわち指令値に応じた電圧を電動モータに印加する。この電圧印加によって電動モータに流れる電流は電流検出器によって検出され、この検出値と上記目標値との差が上記指令値を生成するための偏差として使用される。電動パワーステアリング装置では、このようにして、操舵トルクに基づき設定される目標値の電流が電動モータに流れるようにフィードバック制御が行われる。
【0003】
ところで、電動パワーステアリング装置を搭載した車両においてハンドルが速く切られる場合すなわち操舵速度が大きい場合には、電動モータの誘起電圧(逆起電力)が大きくなるので、電動モータに流れる電流の増加が抑えられ、操舵補助力が不足することがある。一方、電動パワーステアリング装置において、バッテリの電圧(電源電圧)を昇圧してモータ駆動回路に供給する昇圧回路を更に付加する構成が知られている。このような構成によれば、電動モータに対して昇圧した電圧を与えることにより、より大きな操舵補助力を得ることができる。すなわち、昇圧された電圧が電動モータに与えられることにより電動モータの応答性が改善されるので、操舵速度が大きい場合における操舵補助力の不足を回避することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような操舵補助力不足を回避するために昇圧回路によって常時昇圧を実施すると、昇圧回路を構成するトランジスタのスイッチング動作に基づくスイッチングロス等が常に発生する。その結果、エネルギー損失が大きくなるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、電源電圧の昇圧によって電動モータの応答性を向上させることで操舵補助力の不足を回避しつつ、昇圧回路におけるスイッチングロス等によるエネルギー損失をできるだけ低減した電動パワーステアリング装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明は、車両操舵のための操作手段に加えられる操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
前記電動モータに流れる電流を検出して当該電流の検出値を出力する電流検出手段と、
前記電動モータに供給すべき電流の値として前記操舵トルクに基づき設定される目標電流値と前記電動モータに流れる電流の前記検出値との偏差に基づき、前記電動モータのフィードバック制御のための指令値を算出するモータ制御手段と、
前記指令値に応じて前記電動モータを駆動するモータ駆動手段と、
前記モータ駆動手段に供給すべき電圧を昇圧する昇圧回路と、
前記指令値が所定の閾値以下である場合には前記昇圧回路に前記電圧を昇圧させず、前記指令値が当該閾値を超える場合には前記指令値の当該閾値に対する超過分に応じて前記昇圧回路に前記電圧を昇圧させる昇圧制御手段とを備え、
前記昇圧制御手段は、前記指令値の前記超過分が大きくなるにしたがって前記電圧が高くなり且つ前記電圧が予め決められた上限値を超えないように前記昇圧回路を制御することを特徴とする。
【0009】
このような第1の発明によれば、昇圧回路は、電動モータのフィードバック制御のための指令値が所定の閾値を超えるまではモータ駆動手段への供給電圧を昇圧しないので、昇圧回路におけるスイッチングロス等を低減させてエネルギー損失を抑えることができる。一方、その指令値が所定の閾値を超えると、昇圧回路は、その指令値の当該閾値に対する超過分に応じてモータ駆動手段への供給電圧を昇圧するので、操舵速度が大きい場合における電動モータの応答性が改善される。また、電動モータのフィードバック制御のための指令値が所定の閾値を超えると、その指令値の当該閾値に対する超過分に応じてモータ駆動手段への供給電圧が昇圧されるが、その供給電圧は予め決められた上限値を超えることはない。したがって、操舵操作が速い場合の操舵補助力の不足を招くことなく、電圧源であるバッテリからの過大な電流の流出によるヒューズ切れ等の不具合を回避することができる。
【0010】
第2の発明は、車両操舵のための操作手段に加えられる操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
前記電動モータに流れる電流を検出して当該電流の検出値を出力する電流検出手段と、
前記電動モータに供給すべき電流の値として前記操舵トルクに基づき設定される目標電流値と前記電動モータに流れる電流の前記検出値との偏差に基づき、前記電動モータのフィードバック制御のための指令値を算出するモータ制御手段と、
前記指令値に応じて前記電動モータを駆動するモータ駆動手段と、
前記モータ駆動手段に供給すべき電圧を昇圧する昇圧回路と、
前記指令値が所定の閾値以下である場合には前記昇圧回路に前記電圧を昇圧させず、前記指令値が当該閾値を超える場合には前記指令値の当該閾値に対する超過分に応じて前記昇圧回路に前記電圧を昇圧させる昇圧制御手段と、
前記指令値の前記超過分と前記電圧の昇圧値との関係を変更することにより前記昇圧回路による昇圧を調整する昇圧調整手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
このような第2の発明によれば、昇圧回路は、電動モータのフィードバック制御のための指令値が所定の閾値を超えるまではモータ駆動手段への供給電圧を昇圧しないので、昇圧回路におけるスイッチングロス等を低減させてエネルギー損失を抑えることができる。一方、その指令値が所定の閾値を超えると、昇圧回路は、その指令値の当該閾値に対する超過分に応じてモータ駆動手段への供給電圧を昇圧するので、操舵速度が大きい場合における電動モータの応答性が改善される。また、電動モータのフィードバック制御のための指令値の超過分と昇圧回路による昇圧値との関係が変更可能となるので、操舵速度の大きい場合におけるモータの応答性を適切なものに調整することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<1.全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を、それに関連する車両構成と共に示した概略図である。この電動パワーステアリング装置は、操舵のための操作手段としてのハンドル(ステアリングホイール)100に一端が固着されるステアリングシャフト102と、そのステアリングシャフト102の他端に連結されたラックピニオン機構104と、ハンドル100の操作によってステアリングシャフト102に加えられる操舵トルクを検出するトルクセンサ3と、ハンドル操作(操舵操作)における運転者の負荷を軽減するための操舵補助力を発生させる電動モータ6と、そのモータ6の発生する操舵補助力をステアリングシャフト102に伝達する減速ギヤ7と、車載バッテリ8からイグニションスイッチ9を介して電源の供給を受け、トルクセンサ3や車速センサ4からのセンサ信号に基づきモータ6の駆動を制御する電子制御ユニット(ECU)5とを備えている。
【0015】
このような電動パワーステアリング装置を搭載した車両において運転者がハンドル100を操作すると、その操作による操舵トルクがトルクセンサ3によって検出され、その操舵トルクの検出値Tsと車速センサによって検出された車速の検出値Ssとに基づいてECU5によりモータ6が駆動される。これによりモータ6は操舵補助力を発生し、この操舵補助力が減速ギヤ7を介してステアリングシャフト102に加えられることにより、操舵操作における運転者の負荷が軽減される。すなわち、ハンドル操作によって加えられる操舵トルクと、モータ6の発生する操舵補助のためのトルク(以下「操舵補助トルク」という)Taとの和が、出力トルクTbとして、ステアリングシャフト102を介してラックピニオン機構104に与えられる。これによりピニオン軸が回転すると、その回転がラックピニオン機構104によってラック軸の往復運動に変換される。ラック軸の両端はタイロッドおよびナックルアームから成る連結部材106を介して車輪108に連結されており、ラック軸の往復運動に応じて車輪108の向きが変わる。
【0016】
<2.制御装置の構成>
図2は、上記電動パワーステアリング装置における制御装置であるECU5の構成を、機能ブロック図と回路図との組み合わせによって示している。このECU5は、ハードウェア的には、モータ制御部として機能するマイクロコンピュータ(以下「マイコン」と略記する)10と、そのマイコン10において算出される指令値Vに応じたデューティ比(以下「モータ駆動PWMデューティ比」という)Dmを有するPWM信号(以下「モータ駆動PWM信号」という)を生成するモータ駆動PWM信号生成部17と、そのモータ駆動PWMデューティ比Dmに応じた電圧をモータ6に印加するモータ駆動回路20と、モータ6に流れる電流を検出する電流検出器19と、モータ駆動回路20に供給すべき電圧を昇圧する昇圧回路30とから構成される。なお、本実施形態において、モータ駆動PWM信号生成部17は、専用のハードウェアとして実現されているが、これをマイコン10によってソフトウェア的に実現してもよい。
【0017】
マイコン10は、その内部のメモリに格納された所定のプログラムを実行することにより(詳細は後述)、目標電流設定部12と減算器13とPI演算部14と昇圧PWM信号生成部16とからなるモータ制御部として機能する。以下、このモータ制御部の各構成要素について説明し、続いて、ECU5におけるモータ制御部以外の構成要素について説明する。
【0018】
目標電流設定部12は、操舵トルク検出値Tsおよび車速検出値Ssに基づいて目標電流値Itを決定すると共に、モータ6を回転させるべき方向を示す方向信号Sdirを生成する。
【0019】
減算器13は、目標電流設定部12によって決定された目標電流値Itと電流検出器19によって検出された電流検出値Isとの偏差e=It−Isを算出する。
【0020】
PI演算部14は、上記偏差e=It−Isに基づき比例積分制御演算によって、フィードバック制御のための指令値(以下、単に「指令値」という)Vを算出する。この指令値Vは、モータ6に目標電流値Itの電流が流れるように、偏差e=It−Isに基づくフィードバック制御を行うための指令値である。この指令値Vは、昇圧PWM信号生成部16に入力されると共に、マイコン10から出力されてモータ駆動PWM信号生成部17に入力される。
【0021】
モータ駆動PWM信号生成部17が生成するモータ駆動PWM信号のデューティ比(モータ駆動PWMデューティ比)Dmは、上記指令値Vに基づいて決定される。もっとも、モータ駆動PWMデューティ比Dmは、100%を超えることができない。すなわち、PI演算部14は、上記指令値Vを、100%を超える値を許容する計算上のデューティ比(以下「算出デューティ比」という)Dcとして算出し、この算出デューティ比Dcをモータ駆動PWM信号生成部17に与えるが、算出デューティ比Dcが100%または100%近傍の値である所定の閾値を超える場合には、モータ駆動PWM信号生成部17は、デューティ比Dmが100%のモータ駆動PWM信号を生成する。算出デューティ比Dcが100%または100%近傍の値である所定の閾値以下である場合には、モータ駆動PWM信号生成部17は、算出デューティ比Dcをモータ駆動PWMデューティ比Dmとしてモータ駆動PWM信号を生成する。より詳しくは、算出デューティ比Dcおよび方向信号Sdirに基づき、モータ駆動回路20を制御するためのモータ駆動PWM信号として、モータ駆動回路20を構成する4個のスイッチング素子をオン・オフさせる後述のスイッチング制御信号SH1,SH2,SL1,SL2を生成する。
【0022】
昇圧PWM信号生成部16は、PI演算部14から入力される算出デューティ比Dcに基づいて決まるデューティ比Dpを有するPWM信号(以下「昇圧PWM信号」という)Spを生成し、その昇圧PWM信号Spは、昇圧回路30に入力される。この昇圧PWM信号生成部16の動作の詳細は後述する。
【0023】
モータ駆動回路20は、図2に示すように、スイッチング素子である4個の電力用電界効果型トランジスタ(以下「FET」という)21〜24からなるブリッジ回路として構成されており、このブリッジ回路は昇圧回路30からの電源ラインと接地ラインとの間に接続され、このブリッジ回路と接地ラインとの間にはモータ電流を検出するための抵抗(以下「電流検出抵抗」という)Rが挿入されている。そして、右方向操舵を補助する方向のトルク(以下「右方向トルク」という)をモータ6に発生させるべき場合は、モータ駆動PWM信号生成部17からFET21,24のゲート端子に上記モータ駆動PWM信号がスイッチング制御信号SH1,SL2としてそれぞれ入力され、FET22,23のゲート端子にはそれらをオフさせるLレベル信号がスイッチング制御信号SL1,SH2としてそれぞれ入力される。これにより、モータ駆動PWM信号のパルス幅に相当する期間だけFET21,24がオンして、モータ駆動PWM信号のデューティ比Dmに応じた大きさの電圧がモータ6に印加され、モータ6は、その電圧印加によって流れる電流に応じた大きさの右方向トルクを発生する。一方、左方向操舵を補助する方向のトルク(以下「左方向トルク」という)をモータ6に発生させるべき場合は、モータ駆動PWM信号生成部17からFET22,23のゲート端子に上記モータ駆動PWM信号がスイッチング制御信号SL1,SH2としてそれぞれ入力され、FET21,24のゲート端子にはそれらをオフさせるLレベル信号がスイッチング制御信号SH1,SL2としてそれぞれ入力される。これにより、モータ駆動PWM信号のパルス幅に相当する期間だけFET22,23がオンして、モータ駆動PWM信号のデューティ比Dmに応じた大きさの電圧がモータ6に印加され、モータ6は、その電圧印加によって流れる電流に応じた大きさの左方向トルクを発生する。
【0024】
電流検出器19は、電流検出抵抗Rの両端間の電圧に基づきモータ電流を検出し、そのモータ電流の検出値Isを出力する。この電流検出値Isは減算器13に入力される。
【0025】
昇圧回路30は、所定のインダクタンスを有するリアクトル310と、リアクトル310に電流を流したり遮断したりするための電界効果型トランジスタ(MOSトランジスタ)であるLO−MOS311と、リアクトル310からモータ駆動回路20へ電流を流すためのMOSトランジスタであるHI−MOS312と、平滑コンデンサC1と、昇圧PWM信号生成部16から入力される昇圧PWM信号Spの論理レベルを反転させるインバータ321とを含み、これらは、図2に示すように接続されている。すなわち、リアクトル310の一端はイグニションスイッチ9を介してバッテリ8に接続され、他端は、LO−MOS311を介して接地されると共に、HI−MOS312を介してモータ駆動回路20に接続されている。また、HI−MOS312のドレイン端子はコンデンサC1を介して接地されている。そして、LO−MOS311のゲート端子には、昇圧PWM信号生成部16から昇圧PWM信号Spが供給され、HI−MOS312のゲート端子には、上記昇圧PWM信号Spの反転信号が供給される。したがって、LO−MOS311とHI−MOS312とは相反的に駆動される。なお、図では省略されているが、実際には、昇圧PWM信号Spおよびその反転信号は、プリドライバ等によって信号レベルや波形を適切に調整された後にLO−MOS311およびHI−MOS312のゲート端子にそれぞれ入力される。
【0026】
上記の昇圧回路30では、昇圧PWM信号生成部16において決定される昇圧PWMデューティ比Dpに応じてパルス幅の変化する昇圧PWM信号SpがLO−MOS311のゲート端子に与えられると、その昇圧PWM信号SpにおけるHレベル期間だけLO−MOS311がONされて、バッテリ8からリアクトル310に電流が流れる。昇圧PWM信号SpにおいてそのHレベル期間に続くLレベル期間では、LO−MOS311はOFFされて、リアクトル310を流れる電流が遮断されると共に、LO−MOS311と相反的に駆動されるHI−MOS312がそのLレベル期間だけONされる。そうすると、電流の遮断による磁束の変化を妨げるように、ONされているHI−MOS312のドレイン端子側に高電圧が発生する。このような動作を繰り返すことによって発生する高電圧は、平滑コンデンサC1によって平滑されて、モータ駆動回路20へ与えられる。ここで、HI−MOS312のドレイン端子側に発生する高電圧の値は、Hレベルの連続期間が長くなるほど大きくなるので、昇圧PWM信号Spのデューティ比(昇圧PWMデューティ比)Dpが大きいほど、モータ駆動回路20に供給される電圧が高くなる。一方、昇圧PWMデューティ比Dpが0%のときには、LO−MOS311はOFF状態に、HI−MOS312はON状態にそれぞれ保持されるので、バッテリ電圧が昇圧されることなくそのままモータ駆動回路20に供給される。
【0027】
なお、上記昇圧回路30において、図6に示すように、HI−MOS312に代えてダイオード313を使用し、そのダイオード313をリアクトル310からモータ駆動回路20へ向かう方向が順方向となるように接続した構成を採用してもよい。
【0028】
<3.モータ制御部の動作>
以下、モータ制御部としてのマイコン10の詳細動作につき、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、マイコン10は、操舵トルク検出値Ts、車速検出値Ss、および電流検出値Isを入力する(ステップS12,S14,S16)。次に、マイコン10は、入力された操舵トルク検出値Tsに対して位相補償を施し、その位相補償後の値および車速の検出値Ssに基づいて、モータ6に供給すべき目標電流の値(目標電流値)Itを算出する処理(以下「目標電流設定処理」という)を行う(ステップS18)。具体的には、適切な操舵補助力を発生させるためにモータ6に供給すべき目標電流値Itと操舵トルクとの関係を車速をパラメータとして示すテーブル(「アシストテーブル」と呼ばれる)が予めマイコン10内のメモリに格納されており、そのアシストテーブルを参照して、モータ6に供給すべき電流の大きさを示す目標電流値It(≧0)を設定する。このとき、操舵トルク検出値Tsに基づき、モータ6を回転させるべき方向Dirも設定する。このような目標電流設定処理により、図2に示した目標電流設定部12が実現される。
【0029】
さらに、マイコン10は、上記目標電流値Itと電流検出値Isとの偏差e=It−Isを算出する。そして、この偏差e=It−Isに基づき比例積分制御演算によって、フィードバック制御のための指令値Vを生成する演算(以下「フィードバック制御演算」という)を行う(ステップS20)。この指令値Vは、モータ6に目標電流値Itの電流が流れるように、偏差e=It−Isに基づくフィードバック制御を行うための指令値であり、例えば次式(1)により与えられる。
V=Kp・e+Ki・∫e・dt …(1)
ここで、Kpは比例積分制御演算における比例制御のゲインであり、Kiは比例積分制御演算における積分制御のゲインである。実際には、マイコン10は、上記式(1)を離散化したものに相当する下記の式(2)により、指令値Vを算出する。
V=Kp・e(n)+Ki・Σ(j=0,n)e(j) …(2)
ここで、e(j)は、偏差e=It−Isのj番目の標本値を示すものとする。また、“Σ”は総和を表す記号であり、jの関数A(j)のj=j1からj=j2までの総和を“Σ(j=j1,j2)A(j)”と表記するものとする。このようなフィードバック制御演算により、図2に示したPI演算部14が実現される。
【0030】
既述のように、モータ駆動PWM信号のデューティ比Dmは上記指令値Vに基づいて決定されるが、モータ駆動PWM信号のデューティ比(モータ駆動PWMデューティ比)Dmは、100%を超えることができない。すなわち、マイコン10は、上記式(2)により与えられる指令値Vを、100%を超える値を許容する算出デューティ比Dcとして算出し、この算出デューティ比Dcをモータ駆動PWM信号生成部17に与えるが(ステップS22)、算出デューティ比Dcが100%または100%近傍の値である所定の閾値を超える場合には、モータ駆動PWM信号生成部17は、デューティ比Dmが100%のモータ駆動PWM信号を生成する。算出デューティ比Dcが100%または100%近傍の値である所定の閾値以下である場合には、モータ駆動PWM信号生成部17は、算出デューティ比Dcをモータ駆動PWMデューティ比Dmとしてモータ駆動PWM信号を生成する。
【0031】
次に、マイコン10は、必要に応じて、モータ6に供給すべき電圧を昇圧するための昇圧回路30の動作を制御する処理(以下「昇圧回路制御処理」という)を行う(サブルーチンステップS24)。すなわち、算出デューティ比Dcが100%を越えてもモータ駆動PWMデューティ比Dmが100%を超えることはないので、モータ駆動PWMデューティ比Dmが最大値(100%)付近であるにもかかわらず、さらにモータ6へ供給する電流が必要である場合には、偏差e=It−Isに基づく上記フィードバック制御では対応することができない。そこで、モータ6に印加すべき電圧を昇圧することで目標電流値Itの電流がモータ6に流れるように、昇圧PWM信号Spにより昇圧回路を制御する。以下、図4を参照して、このような昇圧回路制御処理を詳述する。
【0032】
昇圧回路制御処理では、マイコン10は次のように動作する。まず、比例積分制御演算によって指令値Vとして得られた算出デューティ比Dcが100%またはそれに近い値である所定の閾値を超えたか否かを判断する(ステップS242)。以下では、この閾値を100%として説明を進める。
【0033】
ステップS242での判定の結果、算出デューティ比Dcが当該閾値である100%を超えていれば、算出デューティ比Dcから100%を差し引いた超過分に相当する値に応じて、昇圧回路30を駆動するための昇圧PWM信号Spのデューティ比(昇圧PWMデューティ比)Dpを決定する。すなわち本実施形態では、100%を超える算出デューティ比Dcと昇圧PWMデューティ比Dpとの対応関係(以下「デューティ比対応関係」という)が予め与えられており、そのデューティ比対応関係に基づき、ステップS20で得られた算出デューティ比Dcに対応する昇圧PWMデューティ比Dpを求める。ここで、デューティ比対応関係は、操舵速度が大きい場合におけるモータ6の応答性を改善すべく、算出デューティ比Dc(または100%を超えるその超過分)が大きくなるに従って昇圧PWMデューティ比Dpが大きくなるように設定されている。例えば、バッテリ電圧Vbの昇圧によって、算出デューティ比Dcに対応する電圧すなわちVb×Dc/100がモータ6に印加されるように、デューティ比対応関係が設定される。ただし、バッテリ8から引き出される電流値には、バッテリ8から取り出し可能なエネルギーに対応する上限が設定され、それに応じたヒューズ等が使用されているので、その上限に対応して昇圧PWMデューティ比Dpにも上限Dp_limが設けられている。したがって、デューティ比対応関係は、昇圧PWMデューティ比Dpがその上限Dp_limを越えないように設定される。これは、昇圧回路30から出力される電圧に上限が設定されていて、その電圧の上限を超えないように昇圧が制御されることを意味する。
【0034】
図5(a)は、このようなデューティ比対応関係の一例を示している。この例では、算出デューティ比Dcとして予め決められた値Dc1に対応する昇圧PWMデューティ比Dpとして適切な値Dp1が予め選定されると共に、算出デューティ比Dc=100%(=Dcs)に対応する昇圧PWMデューティ比Dpの値であるオフセット値Dp_init、および、昇圧PWMデューティ比Dpの上限Dp_limに対応する算出デューティ比Dcの値Dceが予め選定され、これらの選定値に基づく折れ線により、デューティ比対応関係が与えられる。したがって、上記ステップS244では、Dcs(100%)〜Dc1、Dc1〜Dce、Dce〜という3つの区間のそれぞれに、上記デューティ比対応関係に対応する線形式を設定しておき、それらの線形式により、ステップS20で得られた算出デューティ比Dcに対応する昇圧PWMデューティ比Dpを決定する。また、これらの線形式を設定する代わりに、図5(a)に示すデューティ比対応関係をテーブルとしてマイコン10内のメモリに予め格納しておき、そのテーブルを参照することにより、ステップS20で得られた算出デューティ比Dcに対応する昇圧PWMデューティ比Dpを決定してもよい。
【0035】
図5(a)に示した例では、3つの区間それぞれへの線形式の設定に基づく折れ線によりデューティ比対応関係が表現されているが、4つ以上の区間それぞれへの線形式の設定に基づく折れ線によりデューティ比対応関係を表してもよい。また、図5(a)に示した例では、オフセット値Dp_initは正の値であるが、当然ながら0であってもよい。したがって、図5(b)に示すような折れ線によってデューティ比対応関係を設定してもよい。更にまた、図5(a)または(b)に示す折れ線は算出デューティ比Dcが大きくなるに従って傾きが小さくなるが、図5(c)に示すように、デューティ比対応関係を示す折れ線が、算出デューティ比Dcが大きくなるに従って傾きが大きくなる部分を含んでいてもよい。なお、図5(a)〜(c)に示した例では、区間毎に設定された線形式に基づく折れ線によりデューティ比対応関係が設定されているが、非線形の式、例えば2次式によってデューティ比対応関係を表してもよい。
【0036】
ステップS242での判定の結果、算出デューティ比Dcが前記閾値である100%以下であれば、昇圧PWMデューティ比Dpを0%に設定する(ステップS246)。
【0037】
以上のようにステップS244またはS246で昇圧PWMデューティ比Dpが設定されると、その設定された昇圧PWMデューティ比Dpを有する昇圧PWM信号Spを生成し、これをマイコン10から出力する(ステップS248)。この昇圧PWM信号Spは、その昇圧PWMデューティ比Dpに応じたHレベル期間と、残りのLレベル期間とを有する。もちろん、その昇圧PWMデューティ比Dpが0%に設定されている場合には、すべての期間がLレベルの信号となる。なお、ここでは昇圧PWM信号Spを昇圧回路制御処理(図3のサブルーチンステップS24)において生成するように説明したが、一般的にパルス信号の繰り返し周期は短いので、本処理は上記処理とは並行的に実行される独立したプロセス(タスク)として構成されて(または新たなパルス生成回路によって実現されて)、高速かつ連続的に実行されることが好ましい。
【0038】
上記の昇圧回路制御処理が終了すると、図3に示すメインルーチンに復帰し、ステップS12に戻る。以降、既述のステップS12〜S24を繰り返し実行する。
【0039】
以上のようなマイコン10の動作によりモータ制御部が実現され、このモータ制御部から、モータ駆動PWM信号生成部17とモータ駆動回路20よりなるモータ駆動手段に、フィードバック制御のための指令値として算出デューティ比Dcが与えられる。そして、その算出デューティ比Dcに基づくデューティ比Dmを有するモータ駆動PWM信号でモータ駆動回路20のスイッチング素子がオン・オフされることにより、モータ6が駆動される。また、マイコン10によって実現されるモータ制御部から昇圧回路30に昇圧PWM信号Spが与えられ、昇圧回路30は、その昇圧PWM信号Spに基づきバッテリ電圧Vbを昇圧する。この昇圧PWM信号Spのデューティ比Dpは、算出デューティ比Dcが100%以下の場合には0%であるが、算出デューティ比Dcが100%を超えると、その超過分に応じて増大する(図5)。したがって、算出デューティ比Dcが100%以下の場合には、バッテリ電圧Vbがそのままモータ駆動回路20に供給され、モータ駆動PWMデューティ比Dmに応じた電圧がモータ6に印加されるが、算出デューティ比Dcが100%を超えると、その超過分に応じて昇圧された電圧がモータ6に印加される。
【0040】
<4.効果>
上記実施形態では、目標電流値Itと電流検出値Isとの偏差e=It−Isに基づく比例積分制御演算により得られる算出デューティ比Dcが100%またはそれに近い値である所定の閾値を超えている場合にのみ、算出デューティ比Dcから100%を差し引いた超過分に相当する値に応じて昇圧PWMデューティ比Dpが決定され(図5(a)〜(c)参照)、当該閾値以下であればこの昇圧PWMデューティ比Dpが0%に設定される(図4)。したがって、上記実施形態によれば、算出デューティ比Dcが100%付近を超えるまでは昇圧回路30を駆動しないようにすることにより、昇圧回路30内のスイッチング素子におけるスイッチングロス等を可及的に減少させ、エネルギー損失を最小限に抑えることができる。また、操舵操作が速いためにモータ6の逆起電力によってモータ電流の増加が抑えられるような場合には、偏差e=It−Isが大きくなり、その結果、算出デューティ比Dcが100%付近を超えると、その超過分に応じてモータ駆動回路20への供給電圧が昇圧される。これにより、操舵速度が大きい場合におけるモータ6の応答性が改善されるので、ハンドルが速く切られた場合における操舵補助力の不足を回避することができる。
【0041】
このようにして上記実施形態によれば、モータ駆動回路20に供給すべき電圧の昇圧によって操舵速度が大きい場合におけるモータ6の応答性を改善することで操舵補助力の不足を回避しつつ、昇圧回路30におけるスイッチングロス等によるエネルギー損失を低減することができる。なお、昇圧回路30による昇圧を制御するための昇圧PWMデューティ比Dpには、バッテリ8から取り出される電流の上限に対応する上限Dp_limが設定されているので(図5参照)、昇圧によって過大な電流がバッテリ8から流出することはない。
【0042】
<5.変形例>
上記実施形態によれば、操舵速度が大きいために算出デューティ比Dcが100%付近(所定の閾値)を超えると、その超過分に応じてモータ駆動回路20への供給電圧が昇圧されることでモータ6の応答性が改善される。このとき、モータ6の応答性が適切なものとなるように、算出デューティ比Dcの超過分と昇圧PWMデューティ比Dpとの関係であるデューティ比対応関係を調整すること、すなわち昇圧制御を調整することが必要になる場合がある。そこで、マイコン10は、図3に示す処理とは独立したプロセスとして、例えば図7に示すようなデューティ比対応関係変更処理を実行するように構成されていることが好ましい。以下、図5(a)に示すような折れ線で表現されるデューティ比対応関係が設定されるものとして、このデューティ比対応関係変更処理を説明する。
【0043】
このデューティ比対応関係変更処理では、当該処理が起動されると、デューティ比対応関係の変更に対する要求(以下「設定変更要求」という)が発生するまで待機状態となる(ステップS32)。この待機状態において設定変更要求が発生すると、デューティ比対応関係を規定するパラメータ(以下「設定パラメータ」という)Dcs,Dc1,Dce,Dp_init,Dp1,Dp_limの新たな値(変更後の値)を入力する(ステップS34)。次に、それらの新たな設定パラメータに基づき、Dcs(100%)〜Dc1、Dc1〜Dce、Dce〜という3つの区間のそれぞれに対する線形式を求め(図5(a)参照)、それらの線形式(具体的にはそれらの線形式を規定する係数や定数など)をマイコン10内のメモリの所定領域に書き込む(ステップS36)。これにより、デューティ比対応関係は、パラメータDcs,Dc1,Dce,Dp_init,Dp1,Dp_limの新たな値(新たな設定パラメータ)に対応するものに変更される。その後、ステップS32に戻り、次の設定変更要求が発生するまで待機状態となる。
【0044】
上記デューティ比対応関係変更処理により、100%を超える算出デューティ比Dcと昇圧PWMデューティ比Dpとの関係を必要に応じて変更することで、フィードバック制御のための指令値と昇圧回路30による昇圧値との関係が変更され、これにより、操舵速度の大きい場合におけるモータ6の応答性を適切なものに調整することができる。これは、マイコン10によって実現される昇圧PWM信号生成部16が昇圧制御手段として機能するのみならず昇圧調整手段としても機能することを意味する。
【0045】
なお、上記デューティ比対応関係変更処理では、デューティ比対応関係を表す折れ線を規定する全てのパラメータが設定変更要求によって変更可能に構成されているが、それらのうちの幾つかのパラメータのみが設定パラメータとして変更可能に構成されてもよい。例えば、算出デューティ比Dcsと昇圧PWMデューティ比Dp1およびDp_limとを予め選定して固定しておき、設定変更要求によって、算出デューティ比Dc1およびDceと昇圧PWMデューティ比Dp_init(オフセット値)とを設定パラメータとして変更できるように構成されてもよい。また、上記デューティ比対応関係変更処理では、デューティ比対応関係は、それを表す折れ線を構成する線形式を所定領域に書き込むことによって設定されるものとしているが、これに代えて、算出デューティ比Dcと昇圧PWMデューティ比Dpとの関係を与えるテーブルを所定領域に格納することによってデューティ比対応関係が設定されるようにしてもよい。後者の場合、新たな設定パラメータに基づいてそのテーブルを書き換えることで昇圧制御が調整されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成をそれに関連する車両構成と共に示す概略図である。
【図2】上記実施形態に係る電動パワーステアリング装置における制御装置(ECU)の構成を示す図である。
【図3】上記実施形態におけるモータ制御部としてのマイコンの動作を示すフローチャートである。
【図4】上記実施形態におけるマイコンの昇圧回路制御処理を示すフローチャートである。
【図5】上記実施形態におけるモータ制御のための算出デューティ比Dcと昇圧PWMデューティ比Dpとの関係(デューティ比対応関係)を示す図である。
【図6】上記実施形態における昇圧回路の他の構成例を示す回路図である。
【図7】上記実施形態の変形例におけるデューティ比対応関係変更処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
3 …トルクセンサ
4 …車速センサ
5 …電子制御ユニット(ECU)
6 …モータ
8 …バッテリ
10 …マイコン(モータ制御部)
12 …目標電流設定部
13 …減算器
14 …PI演算部
16 …昇圧PWM信号生成部(昇圧制御手段、昇圧調整手段)
17 …モータ駆動PWM信号生成部
19 …電流検出器
20 …モータ駆動回路
30 …昇圧回路
It …目標電流値
Is …電流検出値(モータ電流)
e …偏差(=It−Is)
Ts …操舵トルク検出値
Ss …車速検出値
Dc …算出デューティ比(指令値)
Dp …昇圧PWMデューティ比
Sp …昇圧PWM信号
SH1,SH2,SL1,SL2…スイッチング制御信号(モータ駆動PWM信号)
Claims (2)
- 車両操舵のための操作手段に加えられる操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
前記電動モータに流れる電流を検出して当該電流の検出値を出力する電流検出手段と、
前記電動モータに供給すべき電流の値として前記操舵トルクに基づき設定される目標電流値と前記電動モータに流れる電流の前記検出値との偏差に基づき、前記電動モータのフィードバック制御のための指令値を算出するモータ制御手段と、
前記指令値に応じて前記電動モータを駆動するモータ駆動手段と、
前記モータ駆動手段に供給すべき電圧を昇圧する昇圧回路と、
前記指令値が所定の閾値以下である場合には前記昇圧回路に前記電圧を昇圧させず、前記指令値が当該閾値を超える場合には前記指令値の当該閾値に対する超過分に応じて前記昇圧回路に前記電圧を昇圧させる昇圧制御手段と
を備え、
前記昇圧制御手段は、前記指令値の前記超過分が大きくなるにしたがって前記電圧が高くなり且つ前記電圧が予め決められた上限値を超えないように前記昇圧回路を制御することを特徴とする、電動パワーステアリング装置 - 車両操舵のための操作手段に加えられる操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより当該車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置であって、
前記電動モータに流れる電流を検出して当該電流の検出値を出力する電流検出手段と、
前記電動モータに供給すべき電流の値として前記操舵トルクに基づき設定される目標電流値と前記電動モータに流れる電流の前記検出値との偏差に基づき、前記電動モータのフィードバック制御のための指令値を算出するモータ制御手段と、
前記指令値に応じて前記電動モータを駆動するモータ駆動手段と、
前記モータ駆動手段に供給すべき電圧を昇圧する昇圧回路と、
前記指令値が所定の閾値以下である場合には前記昇圧回路に前記電圧を昇圧させず、前記指令値が当該閾値を超える場合には前記指令値の当該閾値に対する超過分に応じて前記昇圧回路に前記電圧を昇圧させる昇圧制御手段と、
前記指令値の前記超過分と前記電圧の昇圧値との関係を変更することにより前記昇圧回路による昇圧を調整する昇圧調整手段と
を備えることを特徴とする、電動パワーステアリング装置。
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