JP3874640B2 - 円筒形電池、及び円筒形電池のラベル付き外装封止方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒形電池、及び円筒形電池のラベル付き外装封止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、一次電池及び二次電池の各種電池が、携帯型電子機器類の電源として使用されている。そして、この種の電池類は、電池の品種や商品名などを表示するラベルを電池本体の外周面に貼着する一方、電極端子間の短絡を防止ための保護層が設けられている。ここで、保護層を形成するフィルムに品種や商品名を印刷し、保護層にラベル機能を合わせて持たせることも行われている。
【0003】
図2は、円筒形電池の要部構成を示す断面図である。図2において、1は正極端子を兼ねた電池外装缶、2は前記電池外装缶1内に装着された筒状の正極合剤、3は前記筒状の正極合剤2の内壁面に沿って装着されセパレータ、4は前記セパレータ3で隔離されて電池外装缶1内充填されたゲル状の負極活物質である。また、5は前記負極活物質4に一端側が挿入された負極集電体、6は前記負極集電体5の他端側を挿通して電池外装缶1側との間を絶縁・封止する二重環形の絶縁性ガスケットである。
【0004】
さらに、7は前記絶縁性ガスケット6の二重環の間に配置されて絶縁・封止を保護・補強する金属板、8は前記電池外装缶1のかしめ封止に寄与する一方、負極集電体5の他端面に対接して負極端子として作用する金属封口板である。そして、このような構成と成っている円筒形電池本体に対して、ラベルを兼ねた外装封止層(保護層)9が両電極端子を露出させ、円筒形電池本体の外周面を一体的に被覆する構造を採っている。
【0005】
ここで、ラベルを兼ねた外装封止層(保護層)9としては、一主面に商品名などを印刷した熱収縮性を有するポリ塩化ビニル樹脂フィルムに、アルミニウムなどの金属層を蒸着して2層構造する一方、前記塩化ビニル樹脂フィルムの他主面に、アクリル樹脂系の粘着剤層を設けた電池外装ラベルが使用されている。図3は、電池外装ラベルの概略構成を断面的に示すもので、その一例として多層形のシュリンクラベル(電池外装ラベル)9が知られている。図3において、9aは使用時に剥離する厚さ65μm程度のセパレータ、9bは厚さ23μm程度の粘着剤層、9cは厚さ0.045μm程度のアルミニウム蒸着層、9dは厚さ60μm程度の熱収縮性樹脂フィルム層、9eは印刷文字・模様層、9fは滑性などにも寄与する保護層(たとえばニス層)である。
【0006】
また、円筒形電池本体に対する電池外装ラベルの被覆・装着は、次のように行われている。すなわち、円筒形電池本体の長さよりも長めに加工・設定された電池外装ラベル9を、両端の電極端子面から突出した状態で、円筒形電池本体の外周面に巻き付けて貼着した後、所要の温度雰囲気中で、前記ポリ塩化ビニル樹脂フィルムを熱収縮させ、この熱収縮作用によって円筒形電池本体の両端端縁部及び外周面を一体的に被覆し、外装及び両電極間の短絡防止も行われる。なお、電池外装ラベル9の円筒形電池本体端面より突出した部分は、円筒形電池本体の電極端子面中心部に向かって収縮するので、中心部を露出させて端子面端縁部が被覆される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の電池外装ラベル9においては、電池の品種や商品名の表示だけでなく、美観・見栄え・差別化なども重要な要素と成っている。特に、外装ラベルの模造に伴う模造電池の流通は、由々しい問題である。すなわち、一定の品質を持たない粗悪な模造電池製品の市場流通は、消費者の不利益となるだけでなく、製造者側の信用を損なうことになる。こうした問題に対して、ホログラムを利用して装飾効果を付加した熱収縮性包装や外装、熱収縮性ラベルなどが提案されている(特開平9−15421号公報、特開平9−76396号公報など)。
【0008】
すなわち、表面に金属薄層を設けたホログラムフィルムを熱収縮性の樹脂フィルムの一主面に接着剤層を介して積層・貼着して成る虹色を出現する熱収縮性ホログラムフィルムが、特開平9−15421号公報で知られている。そして、熱収縮性ホログラムフィルムは、液体を収納するボトルのキャップシール、ボトルの収縮ラベル、あるいは収縮蓋材などの用途が指摘されている。また、収縮性を有する樹脂フィルムの一主面に、ホログラム層、あるいはホログラム層及び印刷模様層を設けて成るシュリンクラップフィルムが、特開平9−76396号公報で知られている。このような印刷模様効果に、ホログラム層による装飾効果を付加して模造防止の機能を持たせた収縮包装材が提供される旨指摘されている。
【0009】
しかしながら、上記熱収縮性ホログラムフィルム、あるいはシュリンクラップフィルムは、円筒形電池のラベルを兼ねた外装封止に使用した場合、次のような不都合が発生し易い。すなわち、被封止体を成す円筒形電池は、外径が10.9〜26.2mmと比較的小さく、その長さも30.2〜50.0mmで、かつ両電極端子面に一部折り返した状態で外装封止する必要がある。換言すると、熱収縮で折り曲げ封止する際の曲率が、一般的な瓶などに較べて非常に小さいので、皺の発生などを招来するし、最悪の場合、電極端子面の被覆が不十分となり、外装封止層9の剥がれなどを起こして、電子機器類の電池ボックスなどにおいて、バネ状の電極端子に引っかかり短絡を招くことになる。そして、外装封止層9の皺ないし弛みの発生、損傷を招来し易いことなどは、一方ではホログラムによる外装・美観の向上の機能・目的が損なわれ易いことになるので、初期の目的を十分に達成できない恐れがある。
【0010】
本発明は、上記事情に対処してなされたもので、優れたな外装美観・表示が図られるだけでなく、模造防止なども行える一方、電極端子面においても外装封止の密着性の良さにより、信頼性の高い外装封止が行われた円筒形電池、及び円筒形電池の外装封止方法の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、両端面が互いに異なる極性の電極端子を成す円筒形電池本体と、前記両電極端子を露出させて円筒形電池本体の外周面を一体的に被覆するラベルを兼ねる外装封止層とから成る円筒形電池であって、
前記外装封止層が粘着剤層、ホログラム層、接着剤層、印刷模様付き熱収縮性樹脂フィルム層、及び前記印刷模様付き面を被覆する滑性保護層の積層体で、かつ滑性保護層を最外周面としていることを特徴とする円筒形電池である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の円筒形電池において、円筒形電池本体が単2形ないし単5形であることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、両端面が互いに異なる極性の電極端子を成す円筒形電池本体に、前記両電極端子面に突出させラベルを兼ねる熱収縮性フィルムを被覆する工程と、前記被覆したラベルを兼ねる熱収縮性フィルムを熱収縮させ電極端子を露出させて円筒形電池本体の外周面を一体的に外装封止する工程とを有する円筒形電池の外装封止方法であって、
前記ラベルを兼ねる熱収縮性フィルムが粘着剤層、ホログラム層、接着剤層、印刷模様付き熱収縮性樹脂フィルム層、及び前記印刷模様付き面を被覆する滑性保護層の積層形で、かつ滑性保護層を最外層とする多層形フィルムであることを特徴とする円筒形電池の外装封止方法である。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3記載の円筒形電池の外装封止方法において、ラベルを兼ねる熱収縮性フィルムの熱収縮操作が両電極端子側を主とする加熱で行うことを特徴とする。
【0015】
請求項1ないし4の発明は、次のような知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明者らは、比較的外径が小さく、また、短尺な円筒型電池本体を対象に、シュリンク型のラベル兼用外装封止で美観など損なわずに、信頼性の高い外装封止の手段を鋭意検討した。そして、概略構成を図1に断面的に示す多層形の電池外装ラベルの場合、円筒形電池本体の外装封止で、美観など損なわずに、信頼性の高い封止を容易、かつ確実に達成できることを確認した。つまり、多層シュリンク型のラベル兼用外装封止材の構成において、ホログラム層と熱収縮性樹脂フィルム層との間に接着剤層を介在させた構成を採ると、この接着剤層が熱収縮過程で、緩衝材層として作用すると考えられる。そして、この緩衝作用によって曲率半径の小さい面領域などにおいても熱収縮がスムースに行われ、皺の発生や破断などを生じることなく、また、電極端子面への密着性にも優れているので、所要の外装封止が行われると考えられる。
【0016】
なお、図1において、9aは使用時に剥離するセパレータ、9bは粘着剤層、9gはホログラム層、9hは接着剤層、9dは熱収縮性樹脂フィルム層、9eは印刷文字・模様層、9fは滑性などにも寄与する保護層(たとえばニス層)である。そして、熱収縮に先立つ円筒型電池に本体への嵌挿は、フィルムの巻き付け貼着による配置、あるいはチューブ化しての嵌合配置のいずれでもよい。
【0017】
請求項1ないし4の発明で使用する多層シュリンク型ラベル兼用外装封止材において、セパレータ9aは、たとえばグラシン、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムなどであり、粘着剤層9bは、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、エチルセルロース、ニトロセルロースなどを素材としたものである。また、ホログラム層9gは、二次元画像もしくは三次元画像を記録・再生する高密度の情報を微細な凹凸形状で記録したものであり、所謂レリーフホログラムを金型や樹脂型などの型で複製できる。なお、二次元もしくは三次元の画像は、模様,図柄、文字・記号なと゛であり、その種類は限定されない。
【0018】
さらに、接着剤層9hは、たとえばアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂などを素材とし、熱収縮性樹脂フィルム層9dは、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンフィルム、放射線ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエステルフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなど、一軸方向に延伸処理したものが挙げられる。なお、印刷文字・模様層9eは、通常、前記熱収縮性樹脂フィルム層9dの面に、直接印刷した形態が採られる。さらに、保護層(たとえばニス層)9fは、外装ラベル9の露出表面の保護、艶だし、滑性などにも寄与するものである。
【0019】
請求項3及び4の発明において、円筒形電池本体に被覆したラベルを兼ねた熱収縮性フィルムの熱収縮操作は、一般的に、次のように行われる。すなわち、電極端子を露出させて円筒形電池本体の外周面に、ラベルを兼ねた熱収縮性フィルムを巻き付け・貼着し、これをたとえばベルトコンベア上に載置して搬送(移送)の過程で、数秒間程度、高温温風や遠赤外線に曝すことにより行われる。
【0020】
そして、上記加熱によって、円筒形電池本体に貼着していない両端側(端面よりも突出している部分)が、中央部側に向けて熱収縮して円筒形電池本体の外周面及び端面の周縁部を一体的に外装封止する。ここで、熱収縮のための加熱に、高温温風及び遠赤外線を併用することもでき、また、高温温風に方向性を持たせるなどして、円筒形電池本体の端面周縁部に対する密着を助長することもできる。
【0021】
【発明の実施態様】
以下図1を参照して実施例を説明する。
【0022】
先ず、円筒形電池本体として、JIS規格LR6形(単3形)のアルカリ電池、及び図1に構成の概略を断面的に示した多層形のラベルを兼ねる外装封止フィルム9を用意する。ここで、多層形のラベルを兼ねる外装封止フィルム9は、セパレータ9a(使用時に剥離する)が厚さ65μmのグラシン、粘着剤層9bが厚さ23μm程度のアクリル樹脂系の層、ホログラム層9gが厚さ0.035μm程度のアルミニウム製、接着剤層9hが厚さ1.5μm程度のポリエーテル系、熱収縮性樹脂フィルム層9dが厚さ60μm程度の一軸延伸ポリ塩化ビニルフィルム、印刷文字・模様層9eは紫外線硬化型インクで、熱収縮性樹脂フィルム層9d面に印刷されている。なお、保護層9fはニスの塗布層である。
【0023】
次に、円筒形電池本体の外周面に、両端面から突出させラベルを兼ねる熱収縮性フィルムを被覆する。ここでは、多層形のラベルを兼ねる外装封止フィルム9のセパレータ9aを引き剥がし、円筒形電池本体の外周面に露出した粘着剤層9b面を対接・貼着して、円筒形電池本体の外周面に対するラベルを兼ねる熱収縮性フィルムの被覆を行った。
【0024】
その後、前記ラベルを兼ねる熱収縮性フィルムを被覆した円筒形電池本体を、一定方 向に走行するベルトコンベアに載置し、走行方向に設置した120〜270℃程度の高温温風を上下両方向から吹き出す温風装置を数秒間で通過させる。この高温温風に曝したことにより、前記円筒形電池本体の外周面に被覆したラベルを兼ねる熱収縮性フィルムが熱収縮し、電極端子面の一部を露出させた状態で、円筒形電池本体の外周面を一体的に外装封止することができた。なお、高温温風の温度は、ベルトコンベアの走行速度、ラベルを兼ねる熱収縮性フィルムの材質選択、円筒形電池本体の大きさなどによって選択・設定する。
【0025】
上記円筒形電池本体の外装封止後、ラベルを兼ねる熱収縮性フィルムで外装封止した円筒形電池の外観、外装封止の状態を観察・評価した。外観については、外周面及び両電極端子面部とも、所要の外装封止領域ないし面に皺などの発生も認められず、かつ電極端子面への密着性も優れており、信頼性の高い外装封止が行われていることも確認された。一方、ホログラム層による美観向上及び模倣防止機能は、熱収縮性フィルムとの間に介挿する接着剤層の緩衝作用によって、ホログラム層自体に歪みが生じたりすることもないので、美観の向上が図られるとともに、優れた模倣防止効果を呈することが確認された。
【0026】
本発明は、上記実施例に限定されるものでなく、発明の主旨を逸脱しない範囲でいろいろの変形を採ることができる。たとえば円筒形電池本体の種類、ラベルを兼ねる熱収縮性フィルムの材質、ラベルを兼ねる熱収縮性フィルムを熱収縮させるための加熱手段など適宜選択しても支障ない。
【0027】
【発明の効果】
請求項1及び2の発明によれば、ホログラム層における歪みや皺の発生が防止・解消され、所要の模造防止機能を呈するだけでなく、美観も向上し、かつ信頼性の高い外装封止形の円筒形電池が提供される。ここで、ホログラム層の歪み・皺の発生が効果的に防止・解消されることは、対象電池製品の模倣・模造を困難化し、製造者及び需要者の保護に大きく寄与するだけでなく、電極端子面への密着性も優れているので、信頼性の高い円筒形電池が提供されることになる。また、ホログラム層の歪み・皺の発生の防止・解消は、ホログラムの二次元画像や三次元画像の表示を適正に行えることを意味し、より外装美観などが向上した展示見栄えよく、購買意欲を高める円筒形電池が提供されることになる。
【0028】
請求項3及び4の発明によれば、上記特徴を有する円筒形電池を歩留まりよく、また、量産的に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るラベルを兼ねる熱収縮性フィルムの概略構成例を示す断面図。
【図2】ラベルを兼ねる熱収縮性フィルムで外装封止した円筒形電池の概略構成を示す断面図。
【図3】従来のラベルを兼ねる熱収縮性フィルムの概略構成例を示す断面図。
【符号の説明】
1……正極端子を兼ねる外装缶
8……負極端子を兼ねる金属封口板
9……ラベルを兼ねる熱収縮性フィルム(外装封止層)
9a……セパレータ
9b……粘着剤層
9c……アルミニウム層
9d……熱収縮性樹脂フィルム
9e……印刷・模様層
9f……保護層(ニス層)
9g……ホログラム層
9h……接着剤層
Claims (4)
- 両端面が互いに異なる極性の電極端子を成す円筒形電池本体と、前記両電極端子を露出させて円筒形電池本体の外周面を一体的に被覆するラベルを兼ねた外装封止層とから成る円筒形電池であって、
前記外装封止層が粘着剤層、ホログラム層、接着剤層、印刷模様付き熱収縮性樹脂フィルム層、及び前記印刷模様付き面を被覆する滑性保護層の積層体で、かつ滑性保護層を最外周面としていることを特徴とする円筒形電池。 - 円筒形電池本体が単2形ないし単5形であることを特徴とする請求項1記載の円筒形電池。
- 両端面が互いに異なる極性の電極端子を成す円筒形電池本体に、前記両電極端子面に突出させラベルを兼ねる熱収縮性フィルムを被覆する工程と、前記被覆したラベルを兼ねる熱収縮性フィルムを熱収縮させ電極端子を露出させて円筒形電池本体の外周面を一体的に外装封止する工程とを有する円筒形電池の外装封止方法であって、
前記ラベルを兼ねる熱収縮性フィルムが粘着剤層、ホログラム層、接着剤層、印刷模様付き熱収縮性樹脂フィルム層、及び前記印刷模様付き面を被覆する滑性保護層の積層形で、かつ滑性保護層を最外層とする多層形フィルムであることを特徴とする円筒形電池の外装封止方法。 - ラベルを兼ねる熱収縮性フィルムの熱収縮操作が両電極端子側を主とする加熱で行うことを特徴とする請求項3記載の円筒形電池の外装封止方法。
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