JP3874331B2 - 加速度スイッチ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は小形の加速度スイッチであり、わずかな仕様の変更で振動、傾斜、転倒、落下を検出できるスイッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のスイッチとしては例えば本出願人による、特願2000−4039号の落下センサーがある。この落下センサーについて図7を参照して説明する。落下センサー101は一端が閉塞された円筒状の導電性金属容器102とこの金属容器の開口部に固着される蓋板103とで密閉容器が構成される。蓋板103は金属板の中央に設けられた貫通孔に挿通された端子ピン104がガラスなどによって気密に固定されている。
【0003】
蓋板103の容器内部側には電気絶縁性の樹脂などで作られた第一のガイド105が配置されている。このガイド105の中心には前記端子ピン104を挿通する貫通孔105Aが設けられており、挿通された端子ピン104の先端には金属性の固着板106が固定され、この端子ピン104と固着板107とで挟持するように充分な弾性を有する複数の羽根状接触部を等間隔で放射状に配置された可動接点107が固着されている。またガイド105の貫通孔の周囲には固着板106に対応した形状の凹みが設けられ、可動接点107はこの凹みと固着板106とで挟まれることにより所定の形状に成型される。
【0004】
金属容器102の閉塞端である底面側には電気絶縁性の第二のガイド108が配置されている。この第二のガイド108には容器の内周面に沿って柱状部108Aが設けられており、この柱状部108Aは前述した可動接点107と交互に位置するように配置される。さらに容器内部には慣性球109が配置されている。この慣性球109は鋼球などで、可動接点107を充分に撓ませることのできる質量を有している。
【0005】
この落下センサー101は通常、図7に示すような姿勢で配置され、この状態において静止時には慣性球109が重力により可動接点107を撓めその先端部を金属容器102に接触させることで、端子ピン104と金属容器102との間の電路を構成している。この落下センサー101が自由落下状態になると見かけ上重力がかからなくなった慣性球109は可動接点107の弾性により容器中央方向に押し戻されるとともに、可動接点107は金属容器102から離れ、端子ピン104と金属容器102との間の電路を開放する。そのため落下センサー101の通電状態を制御回路によって監視することにより、センサーが落下状態になったことを検出することができる。
【0006】
この落下センサーは可動接点107として非常に薄い金属板を使用しているので、慣性球109と金属容器102とで可動接点107が隙間なく挟まれ圧迫される構造となっていると、落下による衝撃はもちろん、輸送時の振動などで繰り返し慣性球109が可動接点107にあたるとその部分が延展されるなどして塑性変形を起こし、センサーとしての特性が変化してしまう可能性がある。そこでこの落下センサーにおいては可動接点107と交互に緩衝部となる柱状部108Aを設け慣性球109が隣り合う柱状部に接触することで金属容器の内周面には直接接触しないようにされており、そのためこの柱状部間に位置する可動接点が慣性球によって隙間無く挟まれることはない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この落下センサーは無重力状態を検出するには優れているが、さらに小型化を図ろうとした場合、より具体的には容器の直径を5mm以下に収めようとした場合には、容器内部に設けられた電気絶縁性ガイド等の各部品が非常に小型になり、特に第二のガイドの柱状部等は非常に微細な構造となってしまうため、充分な強度を得ることができず、製造や取扱い、容器内への配置作業等が非常に困難となる。そこで小型化しても製造の容易な加速度センサーが求められていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の加速度スイッチは、金属板の中心に設けられた貫通孔に端子ピンを電気絶縁性充填材料によって気密に貫通固定したヘッダと、金属製の有底筒状容器とを有し、前記ヘッダの金属板を容器の開口端面に気密に固定して密閉容器を構成し、密閉容器内部には電気絶縁物製のガイドと球状の慣性体が配置され、容器底面には電気絶縁体が配置されて前記慣性体が導電的に容器底面と接触しないようにされており、前記端子ピンの容器内部側にはセンサーの実質的な中心軸に対して等距離の円周上に複数の可動部が均等に配置された可動接点が導電的に固定され、それぞれの可動接点の可動部先端は自由状態では実質的な固定電極である容器の内面と等距離となるように配置され、またこの可動部は水平に配置されたときに慣性体の重量を受けると弾性的に変形して容器内面に接触すると共にその重量が所定値にまで減少した場合には慣性体の重量に抗して先端を容器から開離する弾性を有し、金属容器にはそれぞれの可動部の間に内面方向に突出した緩衝部が成型され、慣性体は容器の筒状部において緩衝部でのみ直接接触するようにされ、可動接点が慣性体と固定電極との間に作られる隙間に位置するようにしたことを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、金属容器の内面に突出した緩衝部を成型し、慣性体が容器の筒状部において緩衝部にのみ直接接触し容器内面と慣性体との間に所定の隙間を設ける構造とすることにより、緩衝部間に配置された可動接点の可動部が慣性体と容器とで隙間なく挟まれることを確実に防止し、落下センサーとして使用される場合のように衝撃加速度を受ける場合などにも可動部の延展による塑性変形を防止し、また従来と同等の性能を有しながら部品構成が簡素化される。そのため小型化しても製造が可能になる。
【0010】
【0011】
また容器底面には前記慣性体が導電的に容器底面と接触しないように電気絶縁体が配置されたことにより、金属容器を固定電極としたものにおいて慣性体が容器底面と接触しても電路を閉じることは無く、慣性球による電路の短絡を原因とする加速度スイッチの誤動作を防止することができる。
【0012】
さらに密閉容器を構成して容器内を気密にしたことにより汚損防止用ガスを封入して接触部の汚損や劣化による接触不良などを防止することができる。
【0013】
さらにヘッダの金属板と容器との固定はレーザー溶接により行うことで、小型化された部品、特に薄い容器に対して封入溶接時にも従来のいわゆるコンデンサ溶接のような圧力をかける必要は無く、部品の変形を防ぐことができる。
【0014】
また可動接点の端子ピンとの固定部分の中央に貫通孔を設け、この貫通孔を介して金属製の固定板と端子ピンの端面とを溶接固定することにより可動接点は固定板と端子ピンとで導電的に挟持固定される。この構造により慣性体と可動接点と端子ピンとの固着部との間には少なくとも固定板が配置されるので、慣性球が可動接点と端子ピンとの固着部に直接衝接することによる可動接点の塑性変形を防止している。また薄い金属板である可動接点の固定にあたり金属板を直接溶接せず、端子ピンと固定板とで挟持固定することにより、溶接時に発生する熱などで可動接点が歪み変形を起こすことを防止できる。
【0015】
さらに可動接点の可動部の根元近傍をガイドと固定板とで挟持して所定の形状に整形していることにより、可動接点を予め所定形状に変形しておく必要が無くなり、取扱いが容易になる。また固定板の平面形状を非円形とし、ガイドの凹部に固定板の平面形状に対応する突起を設けることで、ガイドが固定板に対して回転することを防ぎ、可動接点が固定後に変形されることを防止できる。
【0016】
また容器底面に配置された電気絶縁体は、加速度スイッチを容器底面が下になるように配置し且つ静止状態とした時に慣性体が容器の中央に載置される孔を有する構造とすることにより、容器底面が下になるように配置すると水平面内の加速度が所定値に達するまでは慣性体が移動せず、所定の加速度を超えると慣性体が移動し可動接点を容器に接触させることができる。こうして水平振動などを検出するための加速度スイッチとして使用することができる。
【0017】
また容器底面に配置された電気絶縁体の表面を凸状とすることにより、加速度スイッチを容器底面が下になるように配置し且つ静止状態とした時に慣性体が容器の中央付近に安定することなく緩衝部と常に接触するようにできる。このような構成とした加速度スイッチを蓋板が下になるように配置することにより、加速度スイッチが横倒しになったり倒立した時に動作する転倒スイッチとして使用することができる。さらに電気絶縁体を金属板に変えたり容器底面自体を内部側に凸状としてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照しながら本発明について説明する。図1は本発明の加速度スイッチを落下スイッチとして使う場合の縦断面図を、また図2には図1の加速度スイッチのA−A断面図を、さらに図3には図1の加速度スイッチで使用される部品の斜視図を示す。
【0019】
加速度スイッチ1は金属板2の貫通孔2Aに導電性の端子ピン3を挿通し、ガラスのような電気絶縁性充填材4で気密に固定した蓋板5と、一端を閉塞された有底筒状の金属容器6とで気密容器が構成されている。ここで実施例の加速度スイッチ1は金属容器6の円筒部の外径が3.3mm、板厚は0.15mmである。そのため従来の加速度スイッチ等で使われているリングプロジェクション溶接のような電気抵抗溶接等では溶接時に圧力をかける必要があるために、容器が変形してしまう可能性がある。また溶接用のフランジを設ければ良いが、容器の外径よりも大きなフランジを設けることは小型化の妨げとなる。そこで蓋板の金属板2と金属容器6の端面に圧力のかからない方法で気密に固定することが望ましく、例えば実施例においてはレーザー溶接で気密に固着されている。また気密容器内には窒素ガスやヘリウムガスのような汚損防止用ガスを封入しておくことにより、金属容器6の内面や後述する電極表面が酸化したりする不具合を防止でき長期にわたって安定した導通状態を得ることができる。
【0020】
蓋板5の密閉容器内面側には電気絶縁物製のガイド7が設けられている。ガイド7のほぼ中央には端子ピン3が挿通される貫通孔7Aが設けられ、この貫通孔7Aを囲むように窪み7Bが設けられている。また窪み7Bの周囲には後述する固定板を正規位置に導くための突起状誘導部7Cが複数設けられている。さらにこの実施例では誘導部7Cの外周部分及び蓋板側の面にそれぞれ突起7Dが設けられており、ガイド7が組みつけられた時にこの突起7Dが金属容器6や蓋板5に若干潰されながら押しつけられることにより部品の寸法誤差や組み付け時の誤差を実質的に吸収し、部品間のがたつきなどを防止することができる。
【0021】
可動接点8は薄く且つ充分な弾性のある導電材からなり、この実施例では厚さが10μmのリン青銅板が使用されている。この可動接点8は中央に貫通孔8Aが設けられその周囲に複数の羽根状部8Bが等間隔で配置されている。組付け前の可動接点8は図3に示すように羽根状部8Bを中心から放射状に展開した形状をしており、それぞれの羽根状部8Bは充分な弾性を有している。金属製の固定板9はガイド7の窪み7Bの形状に対応した平面形状をしており、周囲の切り欠き部9Aをガイドの誘導部7Cに沿わせて窪み7Bに配置される。ここで可動接点8を羽根状部8Bが誘導部7Cにかからないように載置した後に固定板9を窪み7Bにはめこむことにより、羽根状部8Bは窪み7Bの外周部と固定板9の周縁部とに挟まれて所定の形状、つまりそれぞれの羽根状部が中心軸に対して等距離で配置されるように変形保持される。この状態で固定板9を可動接点の貫通孔8Aを介して端子ピン3の端面に溶接することにより両者が固定されると共に、両者に挟まれた可動接点8も端子ピン3に対して機械的且つ電気的に接続固定される。
【0022】
密閉容器内には慣性体として慣性球10が配置されている。実施例においてこの慣性球10は鋼球であり、図1のような姿勢で加速度スイッチ1が載置された場合は、静止時には可動接点の羽根状部8Bを弾性変形させて先端部が金属容器6の容器内周面6Cに接触するようにされている。金属容器6の筒状部には容器内周面6Cを等分するように内部方向に突出した柱状の緩衝部6Aがプレスなどにより成型されている。実施例ではこの緩衝部6Aは可動接点の羽根状部8Bと同数で且つ等間隔に成型されており、蓋板と容器との固着時に羽根状部8Bが隣り合う緩衝部6Aと6Aの間に配置されるように位置決めされる。また緩衝部6Aの突出量及び間隔は慣性球10が金属容器6の周縁部に達するときにも、慣性球の表面と容器内周面6Cとは羽根状部8Bの厚さより充分大きい所定の距離を保ち、慣性球の表面は容器内周面に直接当接しないように設定される。そのため緩衝部6A間に位置する羽根状部8Bは、慣性球10と容器内周面6Cとで隙間なく挟まれることは無い。このような構造とすることで落下時の衝撃加速度や輸送などにおける繰り返し振動を受けても慣性球の衝接による羽根状部の延展や永久変形は起こらず、それに伴なう加速度スイッチの特性変化を防止することができる。また慣性球10は容器内周面まで達しなくても弾性変形された羽根状部8Bの先端は容器内周面6Cに接触するように配置されているので端子ピン3と金属容器6との間の電路は確実に閉じられる。
【0023】
可動接点8は非常に薄いリン青銅板のようなしなやかな材料でできているが、端子ピン3との固着部近傍のように応力が集中する部分に慣性球10が衝突した場合などには、可動接点が塑性変形を起こしてしまうことがある。そこで本実施例においては可動接点8を固定板9と端子ピン3とで導電的に挟持固定する構造としたことにより、可動接点8と端子ピン3との固着部を金属性の固定板9で覆うことができ、慣性球10がここまで達するようなことがあっても固着部近傍で可動接点に直接に接触することはなくなる。そのため可動接点の塑性変形を防止することができる。
【0024】
さらに実施例においてはガイド7の誘導部7C先端の位置を、慣性球10が端子ピン3の端部、つまり端子ピン3と可動接点8との固着部にまで達することを防止できる位置に設定している。つまり実施例では3ヶ所均等な間隔で設けられた誘導部7Cの内側先端部分が慣性球10に当接し受け止めることにより、慣性球がそれ以上端子ピン側に移動・接触することを防いでいる。そのため端子ピン3と可動接点8との固着部近傍はもちろん、金属性の固定板9に接触することも無くなる。
【0025】
金属容器6の閉塞端である底面6Dの慣性球10が接触可能な範囲には凹部6Bが設けられ、この凹部6Bには電気絶縁物として樹脂等の絶縁部材11が固定されている。この絶縁部材11は接着剤のような樹脂材料を直接塗布・硬化させても良いし、板状のものを固着しても良い。また直接塗布する樹脂材料としてはエポキシ樹脂等の各種のものが使用できるが、作業性等を考慮すると紫外線硬化形の接着剤などを使うことがより好ましい。
【0026】
次に加速度スイッチ1の動作について説明する。落下状態を調べるセンサーとしてこの加速度スイッチを使用する場合には図1のように加速度スイッチ1の中心軸が水平になるように配置される。通常の静止状態においては慣性球10は金属容器6内の最下部に位置しており、容器内の緩衝部6A上に位置する慣性球10は緩衝部間に位置する可動接点8の羽根状部8Bを弾性的に撓めてその先端を金属容器6の内周面6Cに接触させる。こうして加速度スイッチ1は端子ピン3と金属容器6を導通させる常時オン型のスイッチとして構成される。また慣性球10として鋼球のような導電体を使用することで、端子ピン3と金属容器6の間の電路は、羽根状部8Aと金属容器6が直接接触する経路と、羽根状部8Aから慣性球10を介して緩衝部6Aで金属容器6に至る経路の2経路となるので導通不良が発生する可能性をより低減できる。ここで前述した如く慣性球10は金属容器6の円筒部に成型された緩衝部6A上に接触し、容器内周面とは所定の距離をおくことにより羽根状部8Bを隙間なく挟み込むこととそれに伴なう羽根状部8Bの塑性変形を防止している。
【0027】
通常の静止時には慣性球10はその重量により羽根状部8Bを弾性的に撓ませて容器内面に接触させると共に緩衝部6Aに接触し電路を形成している。この加速度スイッチが取り付けられた機器などが落下状態に入ると、慣性球10にかかる重力は見かけ上減少または0になり、慣性球の重量もまた見かけ上減少する。そのため慣性球10はその重量により撓められていた羽根状部8Bの弾性によって容器中心方向に押し戻される。こうして慣性球10が押し戻されると慣性球10が緩衝部6Aから離れるとともに羽根状部8Aの先端も金属容器内周面6Cから離れ、加速度スイッチはオフにされる。
【0028】
このとき、容器内周面6Cから離れた慣性球10が容器の底面6D側に接触することがある。しかし実施例では底面6Dの慣性球10が接触可能な範囲には絶縁部材11が配設されているので、接触してもスイッチとして電気的な導通が得られることは無い。また端子ピン3側に慣性球10が移動したとしても本実施例では電気絶縁物からなるガイド7の誘導部7Cによって移動を阻止されるし、ガイド7の誘導部7Cの突出量が少ない場合でも可動接点8と同電位の固定板9に接触するだけなので電気的に再閉路されるものではない。そのため本加速度スイッチはいわゆる無重力状態、つまり落下状態となったことを確実に検出することができる。
【0029】
このように加速度スイッチ1の導通状態を制御装置などで監視しておくことにより、加速度スイッチを取付けた装置が落下状態に陥った時に被害を最小限にするために最適な回避処理等を行うことができる。例えばノートパソコンなどの携帯端末自身やこれらに使用されるハードディスクなどの記憶装置にこの加速度スイッチを取付けることにより、携帯端末を使用時に落下させてしまった場合などにも落下状態に陥ったことを検出し、直ちに磁気ヘッドなどの駆動部を退避させて被害を最小限に食い止めることができる。
【0030】
上述の例においては慣性体を球としたものを例に説明したが、例えば容器の円筒部内径を3mmとした実施例では、この慣性球の直径は2.4mmとなる。このように慣性球が非常に小さくなると、その質量は57mg程度しかなく、この慣性球で動作するように可動接点の厚みを10μm程度の非常に薄いものとしなければならない。そこで密閉容器内の慣性体の質量を増加させるために、円筒形のような非球形状としてより有効に体積を増やすようにしてもよい。図6に示す加速度スイッチ51はその一例である。なお、前述の例と同じ部品には同じ記号を付してそれぞれの詳細な説明は省略する。この加速度スイッチ51に使用している慣性体52は一方が他方よりも直径の大きないわゆる洋ナシ型の回転体であり、その直径の小さい側がガイド7の誘導部7Cに囲まれた空間に遊嵌状態で納まるように配置されている。この慣性体52の最大径を前述の球体と同じにした場合、長手方向に延ばした分だけ球体よりも容積を増やすことができ、慣性体としての質量を増やすことができる。
【0031】
次に本発明を振動検出のための加速度スイッチとして使用する場合について説明する。図4にこの実施例である加速度スイッチ21を示す。この加速度スイッチ21の多くの部分は前述の加速度スイッチと同様であり、同一の部品には同一の記号を付して詳細な説明は省略する。前述の加速度スイッチ1は容器の中心軸を水平にして設置されていたが、この加速度スイッチ21は中心軸を垂直に設置される。蓋板5と金属容器6で構成された密閉容器中には金属製の慣性球10が収納されており、通常の静止時には周囲に配設された可動接点8の羽根状部8Bによって中心軸方向に誘導されており、尚且つ金属容器6の凹部6Bに固定された電気絶縁物である環状絶縁部材22の中心孔22A上に載置されている。この中心孔22Aの直径は、慣性球10の直径との関係から所定の加速度に達するまで慣性球が転がり出さないような値とされている。またこの例では中心孔22Aは貫通孔であるが、この環状絶縁部材22の中心孔22Aの直径に対する厚さは慣性球10が中心孔22Aを介して金属容器6と接触することが無い様に設定されている。なお環状絶縁部材22の中心孔は必ずしも貫通孔である必要は無く、慣性球10が転がり出す加速度を所定の値に設定できれば非貫通孔であっても良い。
【0032】
この加速度スイッチ21は正規姿勢に置かれた静止時には慣性球10は環状絶縁部材22の中心孔22A上に留まっている。この時、可動接点8の羽根状部8Bは慣性球10と接触または近接している。しかし可動接点8が慣性球10と接触していても、慣性球10は環状絶縁部材22上に位置している間は金属容器6と接触しないようにされているので、固定電極である金属容器6と可動接点8は電気的に接続されない。
【0033】
それに対してこの加速度スイッチ21が所定の値以上の加速度を受けた場合、慣性球10は載置された中心孔22Aから飛び出し、可動接点8の羽根状部8Bを押しながら容器6の内周面6Cに達する。こうして加速度スイッチ21に所定の値以上の加速度が与えられると端子ピン3−可動接点8−羽根状部8B−金属容器6の経路の電路が閉路される。
【0034】
ここで羽根状部8Bは前述の例と同様に金属容器6に設けられた緩衝部6Aの間に位置するように配置されており、この緩衝部6Aにより慣性球10が羽根状部8Bを容器内周面6Cとの間で隙間なく挟み込むことを防止されている。また慣性球10を導電性の有る鋼球などとしておくことにより、上に述べた電路に加えて慣性球10を介して羽根状部8Bと金属容器6との間を繋ぐ電路も構成される。
【0035】
このように本実施例の加速度スイッチによれば前述の実施例に対してわずかな部品を変更するだけで、予め決められた閾値を超える振動加速度等に対して導通状態を変化する振動センサーとして使用できるようになる。また、この実施例の構造であっても前述の例のように落下センサーと使用できることはもちろんである。
【0036】
さらに図5を例に加速度スイッチを転倒スイッチとして使用する場合の例について説明する。この加速度スイッチ31もまた前述の加速度スイッチ21のように、多くの部分は前述の加速度スイッチと同様であり、同一の部品には同一の記号を付して詳細な説明は省略する。この転倒スイッチである加速度スイッチ31は図5に示すようにヘッダを下にした姿勢を正規姿勢として制御対象機器に取り付けられる。このとき本実施例においては慣性球10は電気絶縁物からなるガイド7の誘導部7C上に位置している。この誘導部7Cの突出量と慣性球10の直径との関係を設計段階で適切な値とすることにより、この転倒スイッチの傾斜時及び転倒時の動作特性を決定することができる。
【0037】
この加速度スイッチ31は通常時には上述したように慣性球10はガイド7の誘導部7C上に位置し、慣性球10はその周囲の可動接点8の羽根状部8Bと接触または近接している。この時点では羽根状部8Bは金属容器6とは直接にも慣性球10を介しても電気的に接続されていない。制御対象機器が大きく傾いたり転倒した場合には慣性球10はガイド7上から外側に転がり出し、前述の各実施例と同様に羽根状部8Bの先端を容器内周面6Cに接触させる。
【0038】
さらに本実施例においては金属容器6の底面6Dに設けられた凹部6Bには表面を円錐形とされた電気絶縁体32が固定されている。この電気絶縁体32は加速度スイッチ31が通常の正規姿勢とされている時には慣性球10と接触することは無く、ほぼ倒立状態になったときのみ慣性球10が接触する。ここで電気絶縁物32の表面が前述した実施例のように平面だったり中央に穴があいている場合等には、倒立時には慣性球10が容器6のほぼ中央に位置して可動接点の羽根状部を容器内面から離してしまう可能性があり、この場合には転倒スイッチでありながら転倒を検出できない可能性がある。そのため転倒スイッチとして使用する場合、電気絶縁物32の表面を凸型、実施例では円錐形にすることにより、慣性球が容器の閉塞端である底面側に位置するときにも確実に慣性球を中心から外方向に転がして容器の内周面に沿う様にして位置させ、可動接点を直接容器内面に接触させることができる。
【0039】
この電気絶縁物32の表面形状は、その表面上に慣性球が中央にとどまらないような凸型形状であれば円錐形に限るものではなく、角錐や球面状であってもよいことは言うまでもない。またこのような使い方をする場合、必ずしも電気絶縁材料を使用する必要は無く、表面を凸型形状とした金属板を溶接しても良い。さらにこのような別部品を固定する代わりに容器の底面形状を内側に凸となるように加工してもよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、加速度スイッチの金属容器に内面方向に突出した緩衝部を設け、この緩衝部によって可動接点が慣性体と固定電極との間に隙間なく挟み込まれるのを防止したことにより、従来のものより部品構成を簡素化して小型化を容易にすると共に慣性体の衝接による可動接点の塑性変形を防止し長期的に加速度スイッチとしての特性を安定させることができる。
【0041】
また可動接点の端子ピンとの固定部分の中央に貫通孔を設け、この貫通孔を介して金属製の固定板と端子ピンの端面とを溶接固定することにより可動接点を固定板と端子ピンとで導電的に挟持固定される。この構造により慣性体が可動接点と端子ピンとの固着部近傍に直接接触することを固定板が防止し、慣性球の衝接による可動接点の塑性変形を防止している。また薄い金属板である可動接点の固定にあたり金属板を直接溶接せず、端子ピンと固定板とで挟持固定することにより、溶接時に発生する熱などで可動接点が歪み変形を起こすことを防止できる。さらに可動接点の可動部の根元近傍をガイドと固定板とで挟持して所定の形状に整形していることにより、可動接点を予め所定形状に変形しておく必要が無くなり、取扱いが容易になる。
【0042】
またわずかな部品を変更するのみで加速度スイッチを落下スイッチ、振動スイッチ、または転倒スイッチとして使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加速度スイッチを落下スイッチとして使用する例を示す縦断面図
【図2】図1の加速度スイッチのA−A断面矢視図
【図3】図1の加速度スイッチに使用される部品の斜視図
【図4】本発明の加速度スイッチを振動スイッチとして使用する例を示す縦断面図
【図5】本発明の加速度スイッチを転倒スイッチとして使用する例を示す縦断面図
【図6】本発明の他の実施例を示す縦断面図
【図7】従来の落下スイッチの一例を示す縦断面図
【符号の説明】
1、21、31、51:加速度スイッチ
2:金属板
3:端子ピン
4:電気絶縁性充填材
5:蓋板
6:金属容器
6A:緩衝部
7:ガイド
8:可動接点
8B:羽根状部
9:固定板
10:慣性球(慣性体)
11:絶縁部材(電気絶縁物)
22:環状絶縁部材(電気絶縁物)
32:電気絶縁物
52:慣性体
Claims (2)
- 金属板の中心に設けられた貫通孔に端子ピンを電気絶縁性充填材料によって気密に貫通固定したヘッダと、
金属製の有底筒状容器とを有し、
前記ヘッダの金属板を容器の開口端面に気密に固定して密閉容器を構成し、
密閉容器内部には電気絶縁物製のガイドと球状の慣性体が配置され、
容器底面には電気絶縁体が配置されて前記慣性体が導電的に容器底面と接触しないようにされており、
前記端子ピンの容器内部側にはセンサーの実質的な中心軸に対して等距離の円周上に複数の可動部が均等に配置された可動接点が導電的に固定され、
それぞれの可動接点の可動部先端は自由状態では実質的な固定電極である容器の内面と等距離となるように配置され、
またこの可動部は水平に配置されたときに慣性体の重量を受けると弾性的に変形して容器内面に接触すると共にその重量が所定値にまで減少した場合には慣性体の重量に抗して先端を容器から開離する弾性を有し、
金属容器にはそれぞれの可動部の間に内面方向に突出した緩衝部が成型され、
慣性体は容器の筒状部において緩衝部でのみ直接接触するようにされ、
可動接点が慣性体と固定電極との間に作られる隙間に位置するようにしたことで、
可動接点が慣性体と固定電極とで隙間なく挟まれるのを防止したことを特徴とする加速度スイッチ。 - ヘッダの金属板と容器との固定はレーザー溶接により行われることを特徴とする請求項1に記載の加速度スイッチ。
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