JP2002208239A - 磁気ディスク装置保護機構 - Google Patents

磁気ディスク装置保護機構

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JP2002208239A JP2001004269A JP2001004269A JP2002208239A JP 2002208239 A JP2002208239 A JP 2002208239A JP 2001004269 A JP2001004269 A JP 2001004269A JP 2001004269 A JP2001004269 A JP 2001004269A JP 2002208239 A JP2002208239 A JP 2002208239A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】携帯電子機器等に組み込まれた磁気ディスク装
置などの落下あるいは衝撃による損傷を最小限にする為
の保護機構を得る。 【構成】この磁気ディスク装置保護機構31は、状態検
知センサー21と、加速度センサー32を有している。
状態検知センサー21が落下状態になると落下判定機構
22が状態検知センサーの接点開放時間を計測する。こ
の開放時間が所定時間以上継続すると、磁気ディスク制
御機構26は磁気ディスク装置29の磁気ヘッド28の
退避作業を行う。また加速度センサー32からの出力信
号がオフトラックを起こす可能性のある基準加速度以上
に相当する値であった場合には磁気ディスクへの書き込
みを中断する。 【効果】落下を検出して磁気ヘッドを退避する機構と、
オフトラックを引き起こす加速度を検出して書き込みを
中断しデータを保護する機構とを組みあわせることで、
これらのいずれか一方のみで保護を行う場合に比べ磁気
ディスクの破損を低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は例えばノートパソコンの
ような携帯電子機器やそれらの内部に組み込まれた磁気
ディスク装置などの落下あるいは衝撃を検出する小形の
判定機構と、落下あるいは衝撃によって引き起こされる
損傷を最小限にする為の磁気ディスク装置保護機構に関
する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク装置に関しては、最近の高
密度化に伴い、隣接トラックと間隔が数ミクロン以下に
なっており、磁気ディスクと磁気ヘッド先端が接触する
に至らないまでも、ヘッドやディスクに加わった衝撃に
より、書き込みトラックから外れ、書き込みエラーを起
こしたり、隣のトラックのデータを破損したりするオフ
トラックが問題になっている。
【0003】そこで、磁気ヘッドのサーボ制御の能力を
超えた衝撃加速度が加わり、オフトラックが発生する可
能性が高い場合、書き込みを中断してデータの破損を防
ぐ磁気ディスクの保護機構が実用化されている。具体的
にはバイモルフ型の圧電素子を用いた加速度センサーを
磁気ディスク装置に内蔵し、加速度センサーによって測
定された加速度があらかじめ決められた値を超えた場合
に書き込みを中断する機能であり、この目的の加速度セ
ンサーが複数のメーカーから発売されている。
【0004】しかし、磁気ディスク装置のデータの書き
込み・読み取り時にはアームに支えられたヘッドが磁気
ディスクの表面近くを微小な間隔で浮上し走査している
ため、上述の保護機構では、オフトラックを起こす衝撃
よりもさらに大きな衝撃加速度が加わると磁気ディスク
と磁気ヘッド先端が接触してしまい、それを原因として
磁気ディスクに傷がついたりしてデータが破損してしま
う可能性があり、保護機構としては十分ではなかった。
【0005】例えば現状の一般的な組み込み型の磁気デ
ィスクの対衝撃性能は年々改善されており200G程度
までの衝撃には耐えることができる。通常の使用ではこ
れ以上の衝撃が加えられる事はほとんど無く問題にはな
らない。しかし、例えば落下などにより床にノート型コ
ンピュータなどが衝突した場合は、さらに大きな衝撃が
加わることがあり、ヘッドがディスクに接触し機械的に
破損し貴重なデータが失われる危険性が大きかった。
【0006】落下による衝撃に対してはヘッドをディス
クの内周に設けられた退避場所に移動しておくことなど
により、損傷の危険性を最小限とすることができるが、
そのためには落下によって衝撃を受ける前の段階で退避
処理などを行う必要がある。そこでこのように機器が落
下したときの磁気ディスク及び磁気ヘッドの損傷を最小
限にとどめるために、機器が落下状態となったこと自体
を検出できるセンサーと、それを用いて衝撃を受ける前
に磁気ヘッドを退避させ、磁気ディスク装置の保護を行
う機構が求められている。
【0007】そこで以下のような技術が発明され開示さ
れている。特許登録第2536985号では加速度計の
信号を絶えずモニターし自由落下の加速度を検出したと
き、磁気ディスクを保護する方法が開示されている。
【0008】特許登録第2629548号では回転して
いる磁気ディスクのジャイロ効果を圧力センサーで測定
し落下を検出しディスクを保護する機構が開示されてい
る。
【0009】特開平7−201124号では加速度計を
用いて加速度を監視し加速度が閾値を上回った継続時間
が一定時間を超えた場合に落下と判定し磁気ディスクの
保護を行う装置が開示されている。
【0010】特開平8−221886号では加速度を積
分して速度を演算し基準速度以上で磁気ディスクのヘッ
ドを退避する装置が開示されている。
【0011】しかしこれらの方法は、落下の検出のため
に高価な3軸加速度計等を用いたり、センサーからの信
号増幅用のアンプや信号処理の専用プロセッサーを必要
とし、小型化と低コスト化が求められている携帯端末等
の磁気ディスク装置に内蔵する為には、実用上好ましく
ない。
【0012】これに対して3軸加速度計等の高価なセン
サーを使用しないものとして、例えば特開2000−1
95206号では導電性の重りを導電性の梁の先端に取
り付け、この重りが重力によって梁の弾性に抗して導電
性の壁に接触する構成とされ、落下時に重りの見かけ上
の重量が減少することによって梁の弾性によって重りが
壁から離れて電路を開離することで落下状態となったこ
とを検知し、磁気ディスク等の保護対象機器を保護する
装置が開示されている。
【0013】この方法は電極の開閉による加速度スイッ
チからの出力信号の変化を直接処理回路に入力し、例え
ば高い優先度の割り込み処理を行い磁気ディスク装置に
保護動作を行わせば良く、アンプや信号処理の専用プロ
セッサーが不要であるなどの利点はあるが、電極、導電
球ともに剛体であるため、キーボードを打つ時に発生す
る振動等で開閉を繰返すと言う問題がある。また特に磁
気ディスクの筐体中に収めるために小型化し尚且つ感度
を充分に上げるためには、重りを支える梁は非常に微弱
になるために先端に重りを固定することやその特性を調
整することが困難になり、またこのような脆弱な部分が
発生するので耐衝撃性が劣ると言う問題がある。
【0014】そこでこのような問題点を解決すべく、本
出願人によって特願2000−4039号や特願200
0−280176号のような小型化が可能な優れた落下
センサーが開示されている。これらの落下センサーは例
えば図1に示すように弾性を有する可動電極を慣性体に
よって変位させて固定接点と接触させ、落下時には慣性
体の見かけ上の重量が減少することによって可動接点が
固定接点から開離するものであり、慣性体と可動接点が
独立しているため小型化した時にも製造は容易である。
【0015】しかしセンサーにかかる重力加速度が所定
値以下となった状態が所定時間以上継続した場合を落下
とするといったような前記発明の単純な判定では、落下
途中に外乱による信号が出力された場合に誤判定を起こ
すと言う問題があった。例えば前記特願2000−40
39号や特願2000−280176号の場合、小型化
が可能な優れた落下センサーではあるが、大きな加速度
や振動が加わった場合や回転を伴ないながらの落下では
慣性体がセンサー容器内面との衝突を繰り返しながら移
動することにより、この慣性体によって変位された可動
電極が固定電極と開離・接触を繰り返すことになる。そ
のため実際の落下の場合には、落下センサーの電路の開
閉により落下時も電路の開状態の継続時間は充分に長く
ならず、電路の開状態の継続時間だけから単純に落下を
判定することは困難であった。
【0016】そこで、本願と同一出願人による特願20
00−370550号において、簡単な回路によって実
際に起きる単純ではない落下にも対応した落下判定機構
を開示した。この落下判定機構によれば、予め規定され
た基準時間よりも短い電路の閉状態は開状態が継続して
いるものと見なすことにより、落下途中に外乱振動が加
えられ一時的に電路が閉となっても落下判定のための計
時は継続される。この落下判定機構により、簡単な回路
によって、小型で、複雑・高価なアンプや信号処理プロ
セッサーが不用な磁気ディスク装置保護機構が実現可能
となった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この落下判定
機構は落下を検出するものであり、衝撃に対しては必ず
しも保護のための判定を満足できるものではなかった。
つまり例えばノート型パソコンを通常状態で使用中に直
接何かがぶつかったり、ディスク動作中に液晶ディスプ
レイ部分を強く閉じるなどした場合、磁気ディスク装置
は前述したオフトラックを起こしたり、ディスク面にヘ
ッドが接触して機械的な損傷を起こす可能性がある。こ
のような衝撃が与えられた場合には落下の場合以上に素
早い判定と処理が求められるが、前述の落下判定機構に
使用される落下センサーからの信号では充分な検知がで
きないため、衝撃に対しては充分な保護がなされないと
言う問題がある。例えば落下していない状態で衝撃が与
えられた場合や、落下途中で与えられた衝撃が予め想定
されていた場合よりも大きな場合には、前述したような
落下センサーの開状態の持続時間で判定するのでは判定
と保護動作が遅れたり、判定自体が成されない可能性が
あった。
【0018】さらに、これらの従来技術はあらかじめ決
められた判定条件で落下や衝撃を検出する機構であるた
め、保護のための感度を上げようとして設定する条件を
緩くすると有害ではない短い距離の落下や弱い衝撃にも
反応して判定出力を行い保護動作に入ってしまったり、
逆に条件を厳しくすると有害な落下や衝撃に対して判定
出力がされず保護をできない場合が発生するといった問
題があった。
【0019】例えば、落下スイッチで基準復帰時間であ
る20ms以下の一時的な閉は開とみなし、開の時間が
80ms以上継続した場合落下とみなすと言う条件で落
下を判定した場合、例えばケーブルが引張られるなどし
て落下途中に衝撃加速度が加わり落下方向に加速される
と、床面にあたる時には想定した落下速度を超えてしま
い、磁気ディスクが破損する可能性がある。逆に落下判
定の条件を緩くして50msの継続時間で落下と判定す
る条件にすると、日常の生活震動で落下と判定される可
能性が高くなり、頻繁に保護動作をすることで磁気ディ
スク装置の用途に制限を加えるなどの支障を与えること
になる。
【0020】
【課題を解決するための手段】そこで本願発明において
は、請求項1に記載の磁気ディスク装置保護機構は、状
態検知センサーからの出力信号の落下途中に発生した一
時的な電路の切替えを実質的に無視して落下時間の計時
を継続できる落下判定機構と、加速度センサーから出力
された信号値がオフトラックを起こす可能性のある第1
の基準加速度以上の加速度に相当するか否かによってオ
フトラック衝撃判定を行うオフトラック衝撃判定機構と
からなることを特徴としている。
【0021】本発明によれば、落下を検出して磁気ヘッ
ドを退避し磁気ディスク装置を保護する機構と、加速度
センサーを用いて特に磁気ヘッドの走査方向の比較的小
さな衝撃でオフトラックを引き起こす加速度を検出して
書き込みを中断しデータを保護する機構とを組みあわせ
ることで、落下検出もしくは衝撃検出のいずれか一方の
みで保護を行う場合に比べ磁気ディスクの破損を更に低
減することが可能となる。
【0022】請求項2に記載の磁気ディスク装置保護機
構は、加速度センサーから出力された信号値が第1の基
準加速度以上の加速度に相当するか否かによってオフト
ラック衝撃判定を行うオフトラック衝撃判定機構と、加
速度センサーから出力された信号値が第1の基準加速度
よりも高く設定された第2の基準加速度以上に相当する
か否かによって保護衝撃判定を行う保護衝撃判定機構と
からなることを特徴としている。この発明によれば、加
速度センサーを用いた衝撃検出において、加速度の大き
さに応じて衝撃判定を段階的に行うことができ、例えば
衝撃の大きさに応じて書込みの一時停止と磁気ヘッドの
退避動作とを使い分けることができる。
【0023】請求項3に記載の磁気ディスク装置保護機
構は、落下判定機構からの落下判定信号あるいは保護衝
撃判定機構からの保護衝撃判定信号のいずれか1つでも
出力された場合、退避制御機構により磁気ヘッドを退避
領域に移動させ、磁気ディスクの書込み領域の破損を防
止することを特徴としている。
【0024】上記機構によれば、落下の検出のみあるい
は衝撃の検出のみで磁気ヘッドの退避を行った場合に比
べ、衝撃による磁気ディスクの破損を更に低減すること
が可能となる。
【0025】請求項4に記載の磁気ディスク装置保護機
構は、状態検知スイッチの電極が開になった時間が第1
の基準時間よりも短い第2の基準時間以上継続したか否
かによって落下警告判定を行う落下警告機構を備え、こ
の落下警告判定信号を受けた場合には保護衝撃判定機構
は第2の基準加速度を低く設定しなおし、この新たに設
定された第2の基準加速度を基準として保護衝撃判定を
行うことを特徴としている。
【0026】上記保護機構によれば、保護対象機器が通
常時か非通常時か、つまり落下状態にあるか否かで衝撃
検知機構の基準衝撃値を変えることによって、落下時に
はより低い衝撃加速度で保護動作を起動できるので、単
純に落下判定と保護衝撃判定を組み合わせたのみのもの
と比較して早い時点で磁気ヘッドの退避動作に移ること
ができる。そのため、例えば落下時に保護対象機器であ
る磁気ディスクまたはそれが取り付けられた装置が床に
到達するよりも充分に早い時点で保護動作を行うことが
できる。
【0027】請求項5の磁気ディスク装置保護機構は、
加速度センサーから出力された信号値が保護衝撃判定の
基準である第2の基準加速度よりも低い値に設定された
第3の基準加速度に相当する値以上か否かによって衝撃
警告判定を行う衝撃警告判定機構を備え、衝撃警告判定
信号が出力された場合には落下判定機構は第1の基準時
間を短く設定しなおし、この新たに設定された第1の基
準時間を基準として落下判定を行うことを特徴としてい
る。
【0028】上記機構によれば、従来の機構が状態検知
センサーからの落下信号が第1の基準時間以上経過する
か、加速度センサーから出力された信号値が予め決めら
れた第2の基準加速度に相当する値以上にならなければ
保護動作を起動しなかったのに対して、加速度センサー
の出力値が予め設定された第3の基準加速度に相当する
値以上になった場合には状態検知センサーからの落下信
号が短くても保護動作を起動できる。そのため加速を伴
なうような衝撃に対して磁気ディスク装置をより確実に
保護することができる。
【0029】請求項6に記載の磁気ディスクの保護機構
は、落下判定信号あるいはオフトラック衝撃判定信号あ
るいは保護衝撃判定信号が出力された場合、磁気ヘッド
による磁気ディスクへの書込みを中断することを特徴と
している。
【0030】上記機構によれば、オフトラック衝撃判定
信号のみで磁気ディスクへの書込みを中断した場合に比
べ磁気ディスクの破損を更に低減することが可能とな
る。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、図を参照しながら本発明に
ついて説明する。図1は本発明の状態検知センサーの縦
断面図を、また図2には図1の状態検知センサーのA−
A断面図を、更に図3には図1の状態検知センサーで使
用される部品の斜視図を示す。
【0032】状態検知センサー1は金属板2の貫通孔2
Aに導電性の端子ピン3を挿通し、ガラスのような電気
絶縁性充填材4で気密に固定した蓋板5と、一端を閉塞
された有底筒状の金属容器6とで気密容器が構成されて
いる。
【0033】可動電極8は薄く且つ充分な弾性のある導
電材からなり、この実施例では厚さが10μmのリン青
銅板が使用されている。この可動電極8は中央に貫通孔
8Aが設けられその周囲に複数の可動部たる羽根状部8
Bが等間隔で配置されている。この状態で固定板9を可
動電極の貫通孔8Aを介して端子ピン3の端面に溶接す
ることにより両者が固定されると共に、両者に挟まれた
可動電極8も端子ピン3に対して機械的且つ電気的に接
続固定される。ここで、端子ピン3には樹脂等の絶縁物
製のガイド7が取り付けられている。このガイド7は中
央に端子ピン3が挿通される貫通穴7Aを有し、その周
縁には内周形状が前記固定板9の外周形状とほぼ一致し
た窪み7Bを有している。図3に示すように平面形状の
可動電極8はこのガイド7と固定板9で挟まれるように
して固定されることによって、窪み7Bの外周部と固定
板9の内周部で挟まれた羽根状部8Bが所定の形状に自
動的に整形される。
【0034】密閉容器内には慣性体として慣性球10が
配置されている。実施例においてこの慣性球10は鋼球
であり、図1のような姿勢で状態検知センサ1が載置さ
れた場合は、静止時には可動電極の羽根状部8Bを弾性
変形させて先端部が金属容器6の容器内周面6Cに接触
するようにされている。金属容器6の筒状部には容器内
周面6Cを等分するように内部方向に突出した柱状の緩
衝部6Aがプレスなどにより成型されている。実施例で
はこの緩衝部6Aは可動電極の羽根状部8Bと同数で且
つ等間隔に成型されており、蓋板と容器との固着時に羽
根状部8Bが隣り合う緩衝部6Aと6Aの間に配置され
るように位置決めされる。また緩衝部6Aの突出量及び
間隔は慣性球10が緩衝部に当接しそれ以外の容器内周
面には当接しないように設定される。そのため緩衝部6
A間に位置する羽根状部8Bは、慣性球10と容器内周
面6Cとで隙間なく挟まれることは無い。このような構
造とすることで落下時の衝撃加速度や輸送などにおける
繰り返し振動を受けても慣性球の衝接による羽根状部の
延展や永久変形は起こらず、それに伴なう状態検知セン
サーの特性変化を防止することができる。慣性球10は
容器内周面まで達しなくても弾性変形された羽根状部8
Bの先端は容器内周面6Cに接触するように配置されて
いるので端子ピン3と金属容器6との間の電路は確実に
閉じられる。なお金属容器6の閉塞端面6Dには絶縁体
11が配置され、慣性球10が金属容器6の内周面の緩
衝部6Aから離れた時に、金属容器に慣性球が直接接触
することがないようにされている。なお慣性球10が非
導電性物質で作られているか、若しくは非導電物質で表
面を覆われている場合には絶縁体11が不要である事は
言うまでもない。
【0035】次に状態検知センサー1の動作について説
明する。落下状態を検出するためのセンサーとしてこの
状態検知センサーを使用する場合には図1のように状態
検知センサー1の中心軸が水平になるように配置され
る。通常の静止状態においては慣性球10は金属容器6
内の最下部に位置しており、容器内の緩衝部6A上に位
置する慣性球10は緩衝部間に位置する可動電極8の羽
根状部8Bを弾性的に撓めてその先端を金属容器6の内
周面6Cに接触させる。こうして状態検知センサー1は
端子ピン3と金属容器6を導通させる常時閉型のスイッ
チとして構成される。
【0036】この状態検知センサー1が取り付けられた
機器などが落下状態に入ると、慣性球10にかかる重力
は見かけ上減少または0になり、慣性球の重量もまた見
かけ上減少する。そのため慣性球10はその重量により
撓められていた羽根状部8Bの弾性によって容器中心方
向に押し戻される。こうして慣性球10が押し戻される
と慣性球10が緩衝部6Aから離れるとともに羽根状部
8Aの先端も金属容器内周面6Cから離れ、状態検知セ
ンサーは開になる。そのため、この状態検知センサー1
の信号出力の変化から、いわゆる無重力状態つまり落下
状態となったことを確実に検出することができる。
【0037】次に単純な落下の場合と、落下途中で衝撃
が加わった場合との比較で説明を行う。図4に単純な自
由落下による状態検知センサーの信号波形と、加速度計
を用いて測定した加速度の絶対値の比較を示す。また図
5には落下途中で衝撃が加わった場合の状態検知センサ
ーの信号波形と、加速度計を用いて測定した加速度の絶
対値の比較を示す。
【0038】磁気ディスクの対衝撃性の改善は年々進ん
でおり、200G程度までは保護の必要がない、しかし
ノートパソコンを50cm程度の高さから落下させると
内蔵された磁気ディスクにかかる衝撃は1000Gを超
えるような加速度になる場合がある。これに対して5c
m程度の高さからの自由落下であれば磁気ディスクにか
かる衝撃加速度は200Gを確実に下回り、その落下時
間は100ms程度である。
【0039】そこで、磁気ディスクの保護に必要な条件
として、保護が必要となる200Gの衝撃加速度を超え
る可能性のある落下衝撃を受ける前、つまり落下開始か
ら100ms以内に保護処理を終了させることにより、
磁気ディスクの確実な保護が可能になる。その一方で保
護処理に入るまでの時間が短すぎると落下以外の外乱振
動などにより頻繁にディスクの保護処理に入り、磁気デ
ィスクの正常な動作に支障を生じる可能性もある。従っ
てセンサーに対する重力加速度が閾値を下回りその状態
が所定の第1の基準時間継続したら落下と判定すること
で、外乱では無闇に動作しないようにするとともに落下
時には確実に保護動作に入るようにすることが望まし
い。
【0040】例えば落下の検出開始から保護処理動作が
完了するまでの時間を100msとした場合、ヘッドの
退避作業には20〜30msかかるために検出開始から
落下判定までの前記第1の基準時間は70〜80msと
なる。そのため磁気ディスクを確実に落下時の衝撃から
保護する事ができる。また落下による保護動作が完了す
る100ms以内に保護対象機器が床などに到達したと
しても、衝撃加速度は200G以下であり、例えば磁気
ディスク装置の場合にはそれ自体が構造上有する耐衝撃
性で保護される。なお、実施例においては状態検知セン
サーの動作閾値を0.4Gに設定している。
【0041】まず単純な落下の場合について、図4の波
形図を参照しながら説明する。図4に示した波形図の波
形aには状態検知センサーにかかる見かけ上の重力加速
度の絶対値を、波形bには図1に示す構造の状態検知セ
ンサー1による出力信号波形を示している。これらの波
形図において縦軸はそれぞれ見かけ上の重力加速度の絶
対値、もしくは状態検知センサーの出力信号の状態を示
し、横軸は時間を示す。また、経過時間軸におけるT
は落下開始時点、Tは状態検知センサーの接点状態が
切り替わる閾値0.4Gとなる遷移時点、Tは遷移時
点から所定の第1の基準時間tを経過した判定時点、
は落下した機器が床などに達する衝撃時点である。
【0042】本発明で使用する状態検知センサー1は電
路が閉じている間はその出力がロー状態(以下、L状態
と記す)にあり、振動や落下により見かけ上の重力加速
度が減少すると電路が開き出力がハイ状態(以下、H状
態と記す)に切り替わるものである。この状態検知セン
サー1の動作特性は前述の様に0.4Gを閾値としてお
り、落下開始時間T直後、センサーに対する見かけ上
の重力加速度が0.4G以下となる遷移時点Tから電
路を開放して出力を変化させる。100ms以内にヘッ
ドの退避処理を終了させる例として、落下によって電路
が開放状態を保ったままで所定の第1の基準時間t
本実施例では80msを経過し判定時点Tに達する
と、センサーからの出力状態を監視している判定回路等
がセンサーの取り付けられた機器が落下状態にあると判
定して、望ましい退避指令を出力する。この退避指令に
より所定処理時間t、本実施例では20ms以内で磁
気ディスクの保護処理を行い、Tに至るまでに保護処
理作業は完了する。この所定の判定時間tと所定処理
時間tとを合わせたTの時点までに処理を完了する
ことにより、Tにおいて落下による衝撃を受けても磁
気ディスク等の保護対象機器を衝撃から保護する事がで
きる。また特に所定の判定時間tと所定処理時間t
とを合わせて100msつまり0.1秒以内とすること
により、前述したように200Gを超える衝撃加速度が
磁気ディスク等の保護対象機器に加わる前に保護処理を
完了させる事が可能である。
【0043】これに対して、例えば机から落下する途中
で椅子にぶつかってさらに落下し床にぶつかった場合
や、落下途中で反射的に手を出して手にぶつかった後さ
らに落下が継続される場合、電源コードに足を引っ掛け
て回転しながらノート型パソコンが落下した場合など、
それぞれの場合においてセンサーにかかる相対的な加速
度はその方向や大きさが複雑に変化し、状態検知センサ
ー1は信号の切り替えを繰り返す。
【0044】また慣性体を有する状態検知センサーにお
いては実際の落下においてはこの様な単純な信号を示す
ことは通常の使用では非常にまれであり、ほとんどの場
合には自由落下状態に移る時に保護対象機器を手でかば
うなどの人為的動作により生ずる回転や振動等によって
センサー出力の切替が発生する。状態検知センサー自体
からの出力信号の継続時間そのものから落下を判定しよ
うとした場合、このセンサー出力の切替によって落下判
定の開始が遅れ、最終的には保護処理作業が間に合わな
くなる可能性がある。そのためこのような落下初期の信
号変化から確実に信号処理を開始することにより、より
速やかな落下判定と保護対象機器の保護を行う必要があ
る。
【0045】例えば保護対象機器が傾きながら落下を始
めるとともに落下途中に落下をかばおうとして一旦手を
触れるなどして軽い衝撃が与えられたような場合につい
て図5に示す波形図を例に説明する。この波形図も図4
と同様に波形aにセンサーにかかる見かけ上の重力加速
度の絶対値を、波形bに本発明の状態検知センサー1に
よる出力信号の波形図を示している。またこれらの波形
図の縦軸及び横軸が示す意味も図4と同様である。また
図4の波形図と同様のタイミングを示す部分には同じ記
号を付して説明を省略する。
【0046】図5に示した場合の落下例においては落下
開始時点T直後は保護対象機器が例えば机の端などか
ら徐々に傾きながら落下に至っている。そのため落下開
始時点Tから遷移時点Tまでの時間が前述の落下例
と比較して長くなっている。また状態検知センサー1は
図2でも判る様に容器6の内側に緩衝部6Aを設けたこ
とで、センサーの回転時には容器内を慣性球がこの緩衝
部6Aを越えながら転がることによって遷移時点T
至るよりも早い時点でセンサーの出力に切り替りが発生
している。しかし単純にセンサーからの信号の持続時間
を検出するだけの場合には、この切り替りが収まるまで
の間、落下判定手段は判定の開始とリセットを繰り返し
てしまうので、落下判定の開始が実質的に遅れてしま
う。またより強い回転や衝撃を伴なって落下する場合に
はここで示した例以上に落下判定の開始が遅れる可能性
がある。
【0047】さらにこの例では遷移時点Tから所定判
定時間tに至る前に手を触れた時点TE1からTE2
において衝撃が加えられている。この衝撃加速度自体は
通常磁気ディスクを破壊するようなものではないが、そ
の衝撃によりセンサー内の慣性体である状態検知センサ
ー1の慣性球10が容器内を跳ねたり転がるなどして信
号状態が不安定になり接点間の開閉動作が繰り返される
事がある。このような場合には、接点状態が切り替わる
事によって判定時間のカウントがリセットされてしま
う。また一度衝撃を受けた慣性体は衝撃がTE2で収ま
ってもしばらく安定状態には戻らないことから、図5に
示すようにセンサーはしばらく接点の開閉を繰り返して
しまい、その度に判定時間のカウントがリセットされて
しまう。こうして慣性体の動きが再び安定するTF1
時点からは所定判定時間tを経ることは難しくなり保
護処理を完了できないうちに衝撃時点Tにまで達して
しまう可能性が高くなる。
【0048】このように実際の落下においては各種の外
乱振動が与えられる可能性が高く、よって単にセンサー
からの落下状態を示す信号が所定時間継続する事のみを
判定基準とした場合には、図5に示すようにセンサーか
らの信号が所定の時間を満足することができず、落下と
判定できないことがわかる。
【0049】そこで本発明においてはセンサーからの信
号処理において、外乱振動を考慮した落下判定を行う落
下判定機構を有している。以下、この磁気ディスク装置
保護機構31について説明する。図6は状態検知センサ
ー21からの信号を処理する落下判定回路23と、加速
度センサー32からの信号を処理するオフトラック衝撃
判定回路25を有する磁気ディスク装置保護機構31を
示す。この磁気ディスク装置保護機構31は、それぞれ
の判定回路からの信号を受ける磁気ディスク制御機構2
6を介して磁気ディスク27、磁気ヘッド28を有する
磁気ディスク装置29の保護処理を行う。
【0050】図4で示したように単純な自由落下の場合
には、状態検知センサー21からの信号が落下を示して
いる時間、つまり図1の落下検知センサー1では電路が
開となる時間が第1の基準時間以上継続したかどうかを
落下判定機構22が判定すれば良い。しかし実際は、例
えば図5で示したように落下途中に外乱振動が加わると
落下中に電路が開閉を繰返し、信号の継続時間が短くな
ってしまうのでそのような単純な判定では落下と判定で
きない。そこで本発明では状態検知センサー21から出
力された電路の開閉による出力信号を判定手段である落
下判定機構22に入力し、落下判定機構22は電路の閉
時間が予め設定された基準復帰時間よりも短い場合には
従前の開状態が継続しているとみなして電路の開の継続
時間を計数する。そしてこの継続時間が第1の基準時間
を超えた場合に落下判定機構22は退避制御機構24に
落下判定信号を出力し、さらには退避制御機構24は磁
気ディスク制御機構26に磁気ヘッド退避処理のための
信号を出力する。
【0051】例えば本発明に使用する状態検知センサー
1の場合には、落下当初の衝撃や回転力による慣性体の
移動に伴なって接点を開閉したり、落下途中に加わる衝
撃等によりセンサーの容器内で慣性体が短時間に衝突を
繰返して接点間の開閉を繰返すことがあるが、落下判定
機構22はこのような短時間の電路の閉を無視すること
により接点は開状態を継続していると見なして計時を継
続することができる。そのため、実際の落下においては
落下の初期状態から確実な計時が可能になり、また落下
途中の衝撃にも計測が初期状態に戻されることは無くな
る。
【0052】実施例では落下判定機構22はセンサーか
らの閉を示す信号出力の持続時間が予め設定された基準
復帰時間である20ms以下の場合はそれを無視して開
状態が続いているとみなして直前の開状態を示す信号か
らの計時を継続する。こうして計時された接点が開とな
った時間及び開と見なされる時間の合計が第1の基準時
間と比較され判定される。例えばこの第1の基準時間を
80msとすることにより、前述した様に磁気ディスク
に致命的な衝撃加速度が加わるよりも充分に早い時点で
保護処理を完了することができる。なお、これ以前に床
などに到達した場合には前述したように衝撃加速度は磁
気ディスク自体の耐衝撃強度200G以下であり保護動
作が完了していなくても磁気ディスクに致命的な損傷を
与えるには至らない。この構成によれば保護対象機器の
落下初期状態から確実に落下判定に移ることができ、さ
らに落下中に外乱振動が入っても落下判定を継続するこ
とができる。また状態検知センサー1は図5の波形図に
示す様に、落下開始時のT 直後の時点から接点の開閉
が始まるため、迅速な判定で確実な保護を行うことがで
きる。
【0053】このような信号処理については、ソフトウ
エアー処理とロジック回路を併用することが可能で、た
とえば、短い開閉時間を無視する部分はロジック回路
で、継続時間を判定する部分はソフトウエアーの割り込
み処理等を用いて実現することができる。それぞれの設
計条件で最もコストが安くなる方法を選択すれば良い。
【0054】次にオフトラック衝撃判定回路25に使用
する加速度センサー32について説明する。これらの判
定を行うためには例えばバイモルフ圧電素子型加速度セ
ンサーが使用される。この加速度センサーは圧電素子が
加速度によって変形されることにより発生する電荷を出
力とするものであり、例えば磁気ディスクのハウジング
や制御基板上に取りつけて磁気ディスクに加わる加速度
を測定する。その出力をアンプとコンパレータを用いて
判定を行う例について説明すると、加速度センサーの出
力はアンプにより増幅され、さらにその信号についてコ
ンパレータでそれぞれの基準値の条件にしたがってオフ
トラック衝撃判定及び後述する保護衝撃判定が行われ
る。
【0055】例えば加速度センサー32に2mV/G程
度の出力のものを使用した場合を例にする。この場合、
磁気ディスクの磁気ヘッドが書込み作業中にトラックか
ら外れて書き込みエラーやデータの破壊を起こす可能性
のあるオフトラック衝撃判定用として、第1の基準加速
度を10Gと設定した場合には加速度センサーからの1
0Gでの出力は20mVとなる。そこでこの出力を例え
ばアンプにより10倍程度に増幅する場合には、コンパ
レータの基準電圧は0.2Vに設定される。こうしてア
ンプにより増幅された信号はコンパレータによって基準
電圧と比較・判定される。オフトラック衝撃判定機構が
加速度センサーの出力からオフトラックが発生するより
も大きい加速度が印加されたと判定した場合には、直ち
に磁気ディスク制御装置に判定信号を出力して書込み作
業を中断することで書き込みエラーやデータの破壊を防
止する。この場合、書込みを中断するだけで磁気ヘッド
の移動は行わないので衝撃が無くなった時点ですぐに書
込みを再開することができ、保護処理による書込み時間
のロスを最小限とすることができる。
【0056】さらに保護衝撃判定機構において、オフト
ラック衝撃よりも加速度の大きい保護衝撃判定用として
第2の基準加速度を100Gと設定した場合は、上述の
例と同様にコンパレータの基準電圧は2Vに設定され、
アンプからの信号はこの基準電圧と比較・判定される。
この場合には閾値以上の衝撃加速度であると判定される
と、直ちに磁気ディスク制御装置によって書込みが中断
されるとともに磁気ヘッドは磁気ディスクの内周に設け
られた退避場所へと移動する。そのため衝撃によって磁
気ヘッドが磁気ディスクに接触したとしても、損傷の危
険性を最小限に抑える事ができる。なお、上述した第1
及び第2の基準加速度の設定値は、磁気ディスク装置の
耐衝撃性や磁気ヘッドの制御能力、加速度センサーの感
度などによって決定されることは言うまでも無い。
【0057】次にこの加速度センサーを使用したオフト
ラック衝撃判定回路25について説明する。前述した図
6に示すように、磁気ディスク装置保護機構31は落下
判定回路23とともにオフトラック衝撃判定回路25を
有している。このオフトラック衝撃判定回路25は加速
度センサー32とオフトラック衝撃判定機構33、書込
制御機構34で構成されている。ここで加速度センサー
32は少なくとも磁気ディスク装置が有する磁気ヘッド
28先端の走査方向の加速度に対して最良の感度が得ら
れるように取り付けられる。また2軸以上の加速度を検
出できるものであればより好ましいことは言うまでも無
い。加速度センサー32からの出力は、オフトラック衝
撃判定機構33に入力される。オフトラック衝撃判定機
構33は加速度センサー32からの出力が磁気ディスク
のオフトラックが起きる可能性のある第1の基準加速度
以上の加速度かどうかを判定する。実施例では第1の基
準加速度を10Gと設定されており、加速度センサー3
2からの出力から10G以上の衝撃加速度が加わったと
判定された場合には、オフトラック衝撃判定機構33は
オフトラック衝撃判定信号を書込制御機構34に出力
し、さらに磁気ディスク制御機構26によって磁気ディ
スク装置29の書込み作業を中断する。こうしてオフト
ラック時にデータを書込むことによるデータの破壊を防
ぐことができる。
【0058】このように本発明の磁気ディスク装置保護
機構31は、落下判定機構とオフトラック衝撃判定機構
を備えており、双方の信号によって磁気ディスクの制御
を行うことによって、どちらか一方でも信号が入力され
ればデータ書き込みを中断するので、原因によらずオフ
トラックによるデータの破壊を防止することができる。
これにより、落下による磁気ヘッドの退避や、オフトラ
ック衝撃加速度による書き込み中断と言った、従来の磁
気ディスク装置の保護を単独で行っていたものと比べ
て、磁気ディスク装置やデータの破壊を低減することが
出来る。また、実施例ではオフトラック衝撃判定信号を
書込制御機構のみに入力しているが、同時に退避制御機
構にも入力することでデータの書込みの中断と共に磁気
ヘッドの退避を行い磁気ディスク装置の保護をより確実
なものにすることができる。
【0059】次に本発明の他の実施例について図7を参
照しながら説明する。この磁気ディスク装置保護機構4
1においては前述した図6で示した実施例に対し、加速
度センサーからの信号を判定するためにオフトラック衝
撃判定機構に加えてさらに磁気ヘッドの退避が必要な衝
撃を判定するための保護衝撃判定機構を有している。
【0060】この磁気ディスク装置保護機構41では、
状態検知センサー21の出力は落下判定機構22に入力
される。落下判定機構22は前述の例と同様に、状態検
出センサー21からの落下状態と見なされる信号の継続
時間を計測・判定し、落下と判定した場合には落下判定
信号を出力する。この落下判定信号は書込制御機構34
及び退避制御機構24に入力され、さらに磁気ディスク
制御機構26が磁気ディスク装置29による書込み作業
を中断するとともに磁気ヘッドを退避させる。
【0061】一方、加速度センサー32の出力信号はオ
フトラック衝撃判定機構33と保護衝撃判定機構35に
入力される。オフトラック衝撃判定機構33は前述した
如く加速度センサー32から出力された信号値が第1の
基準加速度以上の加速度に相当する値かどうかを判定す
るものである。これに対して保護衝撃判定機構35は加
速度センサー32から出力された信号値が前記第1の基
準加速度よりも高く設定された第2の基準加速度に相当
する値以上かどうかを判定するものである。第1の基準
加速度はオフトラックが発生する可能性の有無から決め
られるのに対し、この第2の基準加速度はこれよりも強
い加速度であり磁気ヘッドがディスク面に接触する可能
性の有無から決定される。
【0062】例えば実施例では第1の基準加速度を10
Gとされており、加速度センサー32がこれ以上の加速
度による出力をするとオフトラック衝撃判定機構33か
らオフトラック衝撃判定信号が出力する。このオフトラ
ック衝撃判定信号は書込制御機構34に入力され、さら
に磁気ディスク制御機構26が磁気ディスク装置29の
書込作業を中断する。また第2の基準加速度は100G
と設定されており、加速度センサー32がこれ以上の加
速度による出力をするとオフトラック衝撃判定機構33
からオフトラック衝撃判定信号が出力されるとともに、
保護衝撃判定機構35から保護衝撃判定信号が出力され
る。ここでオフトラック衝撃判定信号は前述した様に書
込制御機構34に入力され、保護衝撃判定機構35から
の保護衝撃判定信号は退避制御機構24に入力される。
そのため第2の基準加速度以上の衝撃が加わった場合に
は、磁気ディスク制御機構26は磁気ディスク装置29
の書込作業を中断するとともに磁気ヘッドを退避領域へ
と退避させる。
【0063】この磁気ディスク装置保護機構によれば、
落下判定の手段と保護衝撃判定の手段を設けて、そのそ
れぞれの信号をもとに磁気ディスクへの書込制御及び磁
気ヘッドの退避制御を行うことで落下と衝撃の双方から
磁気ディスクを保護するとともに、保護衝撃判定をオフ
トラック衝撃とそれよりも大きい衝撃とに区別して判定
することにより、よりきめ細かい保護を行うことができ
る。
【0064】ここまでの実施例ではそれぞれ独立した落
下検出手段と衝撃検出手段とを単純に組み合わせること
により、落下と衝撃の双方に対して適切な保護ができる
ようになるものについて説明した。これらの例によれ
ば、例えば見かけ上の重力加速度が0.4G以下となっ
た状態が80ms以上続いたら落下と判定し、あるいは
100G以上の衝撃加速度が加わったときには磁気ヘッ
ドの退避を行う。
【0065】しかしこのような単純な条件では、例えば
保護対象機器を落下途中に受け止め損ない、逆に保護対
象機器を落下方向に加速してしまった場合、判定条件を
満たしていなくても落下による衝撃値が対象機器の破壊
の可能性がある値、例えば200Gを上回ってしまうこ
とがある。一例として磁気ディスク装置の落下時に上述
した様に受け止め損ねた場合で説明する。
【0066】例えば机などの上から磁気ディスク装置ま
たはその取りつけられた保護対象機器が落下し始めた時
に、とっさに受け止めようとして出した手が当ったとす
る。この時間が例えば落下開始から50ms後であり、
さらにこの時の衝撃加速度が100G未満であれば、落
下の継続時間もまた衝撃加速度も基準値に達していない
ので磁気ヘッドの退避制御は行われない。さらにその3
0ms後(落下開始から80ms後)に床面に落ちる
と、通常ならば磁気ディスクにかかる加速度は200G
を確実に下まわっているところであるが、受け止めよう
として出した手の当り方によってはさらに装置は加速さ
れてしまい落下による衝撃加速度は数百Gに達する可能
性がある。もちろんこの時点から少なくとも落下判定機
構22からの信号によりデータ書込み制御と磁気ヘッド
の退避制御が行われるのだが、可能ならば最終的な衝撃
加速度を受ける以前に磁気ヘッドの退避を終了させてお
くことが望ましい。
【0067】そのため本発明においては落下途中で衝撃
加速度が加えられた場合には、その衝撃加速度が第2の
基準加速度に至らなくてもそれより低く設定された第3
の基準加速度以上であればヘッドの退避を行わせる。こ
のような構成により、落下の途中で保護衝撃判定に至ら
ない程度の衝撃が加わった場合には、次の大きな衝撃が
印加される時点よりも充分前の時点で磁気ヘッドを退避
させ、磁気ディスク装置の迅速且つ確実な保護を可能に
する。つまり状態検知センサーによる落下信号と加速度
センサーによる加速度信号とを合わせて保護処理動作の
必要性を判定することによって、さらに確実な磁気ディ
スク装置保護を行うことができる。
【0068】以下、この点について図8を参照しながら
説明する。なお、図8において前述した各実施例と同様
の部分には同じ記号を付してその詳細な説明は省略す
る。
【0069】この磁気ディスク装置保護機構51は前述
した図7の磁気ディスク装置保護機構41で示したのと
基本的には同様の構成であるが、落下判定機構22と保
護衝撃判定機構55は判定のための基準値を段階的また
は連続的に変更可能とされ、これに加えて状態検知セン
サー21の信号の持続時間などから落下状態に入ったこ
とを判定する落下警告機構52を有している。
【0070】図8に示すように、状態検知センサー21
の出力は落下判定機構22と落下警告機構52に入力さ
れる。これらの機構は前述した様に状態検知センサー2
1からの出力を処理することにより落下状態、もしくは
短時間の出力切替えを無視して落下と見なすことのでき
る状態の継続時間を計測する。ここで保護対象機器が第
1の所定時間以上落下状態となると、落下判定機構22
は前述した様に書込制御機構34と退避制御機構24に
信号を出力し、磁気ディスク制御機構26は磁気ディス
ク装置29のデータ書込みを中断し、磁気ヘッドを退避
させる。
【0071】落下警告機構52もまた状態検知センサー
21からの出力信号を落下判定機構22と同様に処理す
るが、判定基準となる時間を第1の所定時間よりも短い
第2の基準時間とされており、この第2の基準時間以上
落下状態が継続したかどうかで落下状態、つまり通常状
態から非通常状態に移ったと判定される。具体的には前
述した様に落下判定機構による第1の基準時間を80m
sとした場合、落下警告機構の判定基準となる第2の基
準時間は例えば40msに設定される。そのため保護対
象機器が落下状態に入ると落下判定機構22からの判定
信号よりも先にこの落下警告機構52からの落下警告信
号が出力され、この落下警告信号は保護衝撃判定機構5
5に入力される。
【0072】こうして上記落下警告機構52からの落下
警告信号が保護衝撃判定機構55に入力されると保護衝
撃判定機構はその判定基準である第2の基準加速度の値
を所定の低い設定値に切替えられる。実施例では通常の
基準値が100Gであるのに対して、それよりも小さい
値、例えば30Gに切替えられる。そのため落下信号の
継続時間が落下判定を満たす前に、なんらかの衝撃が与
えられると、直接的に磁気ヘッドの保護を必要とする加
速度に満たない衝撃でも磁気ヘッドの退避を行うことが
できる。このように状態検知センサーからの信号と加速
度センサーからの信号を関係させて落下判定を行うこと
により、落下の初期において迅速に退避処理を行い、よ
り確実な保護を行うことができる。
【0073】また逆に衝撃加速度を受けることにより落
下判定の基準時間を短く設定しなおす構造としても良
い。この構成について図9を用いて説明する。この実施
例の磁気ディスク装置保護機構61では加速度センサー
32からの信号出力の入力先として、オフトラック衝撃
判定機構33と保護衝撃判定機構35に加えて、衝撃警
告機構53が設けられている。この衝撃警告機構53は
加速度センサー32からの信号から所定の第3の基準加
速度が与えられたかどうかを判定する。ここで第3の基
準加速度は少なくとも保護衝撃判定機構35の平常時に
おける第2の基準加速度よりも低い値に設定されてい
る。例えば第2の基準加速度が平常時100Gであると
すると、第3の基準加速度はそれよりも低い40Gに設
定されている。
【0074】落下状態となった直後に加速度センサー3
2が衝撃加速度を受けた場合、その値が第2の基準加速
度を超えるものである場合には加速度センサー32から
の出力で保護衝撃判定機構35が保護衝撃判定出力を行
い磁気ディスク装置29の保護処理が行われるが、第2
の基準加速度よりも低い加速度の場合にはこの処理は行
われない。しかし前述した第3の基準加速度よりも高い
衝撃加速度であった場合には衝撃警告装置53が衝撃警
告信号を出力する。この衝撃警告信号が落下判定機構5
4に入力されると落下判定機構は落下判定基準である第
1の基準時間を短い時間に切替える。例えば第1の基準
時間が80msであった場合には40msに切替えるな
どとする。こうして落下直後に第3の基準加速度以上の
衝撃加速度を受けた場合には落下判定のための基準時間
を短くすることにより迅速且つ確実な保護動作を取るこ
とができる。なお、本実施例では衝撃警告機構53とオ
フトラック衝撃判定機構33とを別々に設けているが、
第1の基準加速度と第3の基準加速度を同一にして良い
場合には両者を一つにして出力を落下判定機構54と書
込制御機構34の双方にすれば良いことは言うまでも無
い。
【0075】上述の例では理解を容易にするために落下
警告機構を有した回路と衝撃警告機構を有した回路とを
別々に説明したが、両者を組み合わせることでさらに保
護性能を高めることができることは言うまでも無い。こ
のように状態検知センサーからの落下を示す信号と、衝
撃による加速度信号とを関連付けて保護対象機器の制御
を行うことにより、落下の初期の状態から異常を検知し
やすくなり、早期に磁気ヘッドの退避領域への移動が行
われ、落下衝撃に対する磁気ディスクの保護性能をより
確実にすることができる。
【0076】また、落下警告機構・衝撃警告機構とも、
基準値が固定値であるものを例に説明したが、両者を組
み合わせることにより例えば衝撃の強弱に応じて落下判
定の基準時間を変化させたり、逆に落下と見なされる時
間の長さに応じて保護衝撃判定の基準値を段階的もしく
は連続的に短くするなどしてよりきめこまかい保護性能
を得るようにしても良い。なお上述の例で述べた基準値
は絶対的なものではなく、保護対象機器の耐衝撃性能な
どにより適宜の値に選定可能なことは言うまでもない。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、少なくとも落下検出に
よって磁気ヘッドを退避し磁気ディスク装置を保護する
機構と、加速度センサーを用いてオフトラックを引き起
こす磁気ヘッドシーク方向の衝撃加速度を検出して書き
込みを中断しデータを保護する機構とを組みあわせるこ
とで、落下検出のみか衝撃検出のみで保護を行う従来の
装置に比べ衝撃による磁気ディスク上のデータの破損を
さらに低減することが可能となる。例えばオフトラック
を起こす可能性はあるが磁気ヘッドがディスク面に接触
する可能性の無いような衝撃に対しては書込みを一時中
止することによってデータの保護を行い、磁気ヘッドが
ディスク面に接触する可能性のある落下状態となった場
合または磁気ヘッドがディスク面に接触する可能性のあ
る衝撃を受けた場合には磁気ヘッドの退避を行うことで
物理的な保護ができる。こうして保護動作を使い分ける
ことにより、保護動作によるデータ処理全体の遅れを最
小化することができる。
【0078】さらに落下時間と衝撃加速度の両方の関係
を用いて磁気ディスク装置の保護範囲を規定すること
で、落下または衝撃の一方だけを用いて行っていた従来
の磁気ディスク装置の保護に比べ、磁気ディスク装置や
データの破壊を低減することが出来る。さらに通常時と
非通常時で判定基準値を変化させることにより、単純に
判定条件の閾値を下げて保護範囲を広げた場合に比べて
過剰な保護を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される状態検知センサーの一例
【図2】図1の状態検知センサーのA−A矢視断面図
【図3】図1の状態検知センサーの部品を説明するため
の斜視図
【図4】本発明の保護動作を説明するための波形図
【図5】本発明の保護動作を説明するための波形図
【図6】本発明の一実施例による保護動作を示すロジッ
ク回路図
【図7】本発明の他の実施例による保護動作を示すロジ
ック回路図
【図8】本発明の他の実施例による保護動作を示すロジ
ック回路図
【図9】本発明の他の実施例による保護動作を示すロジ
ック回路図
【符号の説明】
1、21:状態検知センサー 6:金属容器 8:可動接点 8B:羽根状部 10:慣性球 22、54:落下判定機構 26:磁気ディスク制御機構 29:磁気ディスク装置 31、41、51、61:磁気ディスク装置保護機構 32:加速度センサー 33:オフトラック衝撃判定機構 35、55:保護衝撃判定機構 52:落下警告機構 53:衝撃警告機構

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気ディスク装置に使用される保護機構
    であり、複数の可動部が中心軸に対して等距離の円周上
    に均等な間隔で配置された可動電極と、この可動電極の
    周囲に可動電極と接離可能に設けられた固定電極と、慣
    性体を有し、中心軸が重力の方向に対して直角を成すよ
    うに配置されることにより、通常時は可動部を慣性体が
    その重量によって弾性的に変形させて可動電極と固定電
    極とを接触させて電路を構成し、落下等によって慣性体
    の見かけ上の重量が減少することで、可動部を固定電極
    に押しつけている力に対して可動部の弾性によって慣性
    体を押し戻す力が上回った時、可動電極と固定電極が開
    離して電路を開放する状態検知センサーと、前記電路が
    開になった時間が予め設定された第1の基準時間以上継
    続したか否かによって落下判定を行う判定手段で、一旦
    電路が開になった後、第1の基準時間以内に閉になった
    場合でも、第1の基準時間よりも短い時間に設定された
    基準復帰時間以内に再度電路が開になった場合には電路
    の開が継続したと見なして計時を継続して落下判定を行
    う判定手段を備えた落下判定機構と、加速度センサー
    と、加速度センサーから出力された信号値がオフトラッ
    クを起こす可能性のある第1の基準加速度以上の加速度
    に相当するか否かによってオフトラック衝撃判定を行う
    オフトラック衝撃検出装置とからなることを特徴とする
    磁気ディスク装置保護機構。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の磁気ディスク装置保護
    機構において、加速度センサーから出力された信号値が
    第1の基準加速度よりも高く設定された第2の基準加速
    度以上の加速度に相当するか否かによって保護衝撃判定
    を行う保護衝撃判定機構を付け加えたことを特徴とする
    磁気ディスク装置保護機構。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の磁気ディスク装置保護
    機構において、落下判定信号あるいは、保護衝撃判定信
    号のどちらか一方でも出力された時、磁気ディスクの磁
    気ヘッドを退避領域に移動させる退避制御機構を備える
    ことを特徴とする磁気ディスク装置保護機構。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の磁気ディスク装置保護
    機構において、状態検知スイッチの電極が開になった時
    間が第1の基準時間よりも短い時間に設定された第2の
    基準時間以上継続したか否かによって落下警告判定を行
    う落下警告機構を備え、この落下警告判定信号を受けた
    場合には保護衝撃判定機構は第2の基準加速度の設定値
    を低く変更し、この変更された設定値を基準として保護
    衝撃判定を行うことを特徴とする磁気ディスク装置保護
    機構。
  5. 【請求項5】 請求項3の磁気ディスク装置保護機構に
    おいて、加速度センサーによりから出力された信号値が
    予め設定された第3の基準加速度以上に相当する値か否
    かによって衝撃警告判定を行う衝撃警告判定機構を備
    え、衝撃警告判定信号が出力された場合には落下判定機
    構は第1の基準時間の設定値を短く変更し、この変更さ
    れた時間を基準として落下判定を行うことを特徴とする
    磁気ディスク装置保護機構。
  6. 【請求項6】 請求項1または2に記載の磁気ディスク
    の保護機構において、落下判定信号あるいはオフトラッ
    ク衝撃判定信号あるいは保護衝撃判定信号が出力された
    場合、磁気ヘッドによる磁気ディスクへの書込みを中断
    することを特徴とする磁気ディスク装置保護機構。
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