JP3874261B2 - 基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、基板を回転させておく一方で、この基板にエッチング液を供給することによって、この基板の表面処理を行うための基板処理装置に関する。処理対象の基板には、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などの各種の基板が含まれる。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置や液晶表示装置の製造工程では、基板に処理液(薬液または純水)を供給して基板の表面処理を行うための基板処理装置が用いられる。たとえば、基板の表面を洗浄したり、基板表面の周縁部を選択的にエッチングする処理(ベベルエッチング処理)には、基板を1枚ずつ処理する枚葉型の基板処理装置が用いられる。
【0003】
このような枚葉型の基板処理装置は、たとえば、基板を水平に保持して回転するスピンチャックと、このスピンチャックに保持された基板の下面中央に向けてエッチング液を供給する中心軸ノズルとを備えている。
スピンチャックは、たとえば、円盤状のスピンベースと、このスピンベースの周縁部に立設され、基板の端面に当接して基板を挟持するチャックピンと、スピンベースの中央下面に結合される回転軸とを備えている。回転軸は、鉛直上方に沿って配置される中空軸であって、この回転軸内に中心軸ノズルが配置されるようになっている。この構成により、基板の下面側の空間をスピンベースによって周辺雰囲気から遮蔽しつつ、この基板の下面に対してエッチング液を供給することができる。
【0004】
こうして、基板の下面に対するエッチング処理を行ったり、基板の下面からその端面を伝って表面側に回り込むエッチング液により、基板表面の周縁部のエッチング処理(ベベルエッチング処理)を行ったりすることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の構成では、中心軸ノズルから吐出されるエッチング液は、鉛直上方に向かい、基板の回転中心に当たるようになっている。そのため、基板下面の回転中心においては、エッチング液が滞留することになり、その結果、基板下面の回転中心部におけるエッチング処理が、他の領域に比較して速く進行したり、逆に、進行が遅かったりする。その結果、エッチング均一性がよくないという問題が生じる。
【0006】
たとえば、半導体ウエハ等の基板の下面に銅薄膜等の金属膜が形成されていて、この金属薄膜をエッチング液(たとえば塩酸と過酸化水素水との混合液、フッ酸と過酸化水素水との混合液、またはフッ酸と硝酸との混合液)によってエッチング除去する場合には、エッチング液が直接的にかつ連続的に当たることになる基板下面の回転中心におけるエッチングの進行が速くなる。
これに対して、たとえば、基板の下面に形成されたポリシリコン膜、アモルファスシリコン膜またはシリコン酸化膜を、フッ酸と硝酸との混合液をエッチング液として用いてエッチング除去する場合には、基板下面の回転中心におけるエッチングの進行が遅くなる。
【0007】
さらに、上記のような膜に対してオーバーエッチング処理を行う時には、エッチング対象膜とその下地膜との選択性が不十分であると、基板下面の回転中心部のみ、または基板下面の回転中心部以外の領域において、下地膜の不所望なエッチングが生じ、半導体装置や液晶表示装置などの欠陥を引き起こす原因となる虞れがある。
処理対象の膜が酸化膜であって、この酸化膜を希フッ酸でエッチングするプロセスにおいては、上記のような問題は少ないが、基板の回転速度が低い場合には、基板の回転中心から回転半径方向外方へのエッチング液の広がりが遅くなるため、やはりエッチング均一性が悪くなるという問題が生じる。
【0008】
そこで、この発明の目的は、基板表面におけるエッチング均一性を向上することができる基板処理装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)を保持して回転させる基板回転保持手段(21,22,30)と、この基板回転保持手段によって保持されて回転される基板の回転軸線(A)上において、上記基板に対して上記基板回転保持手段側に配置され、上記基板回転保持手段に保持されて回転している基板の回転中心から3〜20mm離れた位置に向けてエッチング液を吐出するただ 1 つの吐出口(92)を有するエッチング液吐出手段(12,23,90)とを含み、上記エッチング液吐出手段は、上記吐出口に至るエッチング液供給路(23,91)を有し、このエッチング液供給路は、上記吐出口に連通され、上記基板の回転軸線に対して傾斜して形成された吐出管部(91A)を有していることを特徴とする基板処理装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0010】
上記基板回転保持手段は、基板をほぼ水平に保持して回転させるものであってもよい。たとえば、この基板回転保持手段は、基板をほぼ水平に保持した状態で、それ自身が回転するものであってもよい。
上記基板回転保持手段は、基板をその下方から保持して回転させるものであってもよいし、基板をその上方からほぼ水平に保持して回転させるものであってもよい。
【0011】
上記エッチング液吐出手段は、たとえば、基板が水平に保持されている場合には、基板の上面に向けてエッチング液を吐出するものであってもよいし、基板の下面に向けてエッチング液を吐出するものであってもよい。
上記エッチング液吐出手段は、上記吐出口から吐出されたエッチング液が基板回転保持手段に保持された基板の回転中心から3〜20mm離れた位置において基板に当たるように構成されていることが好ましい。
【0012】
この発明によれば、エッチング液吐出手段の吐出口から吐出されるエッチング液は、基板の回転中心に向かうのではなく、基板の回転中心から3〜20mm離れた位置に向けて吐出される。これによって、基板の回転に伴い、エッチング液の当たる位置が常時変動することになる。その結果、基板表面(デバイスが形成された表面であってもよいし、その反対側の表面(裏面)であってもよい。)の全域(エッチング液吐出手段の吐出口に対向する基板表面の全域)においてエッチング処理が均一に進行することになる。
【0013】
さらに、基板の回転中心からずれた位置にエッチング液が当たるので、エッチング液には速やかに遠心力が作用する。そのため、基板表面においてエッチング液が速やかに広がるから、基板の回転速度が遅い場合であっても、基板表面の全域を良好な均一性で処理できる。
エッチング液吐出手段の吐出口が、基板の回転中心から3mm未満の範囲に向けてエッチング液を吐出するように構成されていると、エッチング処理の均一性に関する改善効果が少ない。また、エッチング液吐出手段の吐出口が基板の回転中心から20mmを超えて離れた位置にエッチング液を吐出するようにしてある場合には、基板の回転中心に対してエッチング液を供給することができなくなる虞れがある。
【0014】
すなわち、エッチング吐出手段の吐出口から、基板の回転中心から3〜20mm離れた位置に向けてエッチング液を吐出する構成であれば、エッチング液が基板の表面に達した時のエッチング液の広がりによって、基板の回転中心にエッチング液を供給することができ、かつ、基板の回転に伴うエッチング液の着液位置の変動が大きくなるから、エッチング処理の均一性が改善される。
また、この発明の構成によれば、吐出口に連設された吐出管部が、基板の回転軸線に対して傾斜しているので、たとえば基板の回転軸線上に設けた固定ノズル(90)から、基板の回転中心から3〜20mm離れた位置に向けてエッチング液を吐出する場合に、この固定ノズルの構成を小型にすることができる。
また、基板の回転軸線に対して平行に吐出管部を形成するとすれば、エッチング液供給路が基板の回転軸線上にある場合には、エッチング液供給路を2回にわたって屈曲させなければならないのに対して、吐出管部を基板の回転軸線に対して傾斜して形成する場合には、エッチング液供給路を1回だけ屈曲させれば、基板上の所望の位置に向けてエッチング液を吐出することができる。したがって、エッチング液吐出用ノズル(90)の加工が容易である。
さらに、基板の表面に対して、基板の回転半径方向外方側に向かって傾斜した方向からエッチング液が当たるので、基板の表面におけるエッチング液の広がりが速やかに生じる。これにより、基板の回転速度が遅いときでも、基板の表面の全域における均一な処理を期することができる。
なお、エッチング液吐出用ノズルを基板の回転軸線上に配置する場合、上記吐出管部の上記回転軸線に対する傾斜角(α)は約20度とされることが好ましい。すなわち、吐出口からのエッチング液の吐出方向が、基板の回転軸線に対して約20度の角度をなしていることが好ましい。
【0015】
この構成では、ただ1つの吐出口から基板の表面に向けてエッチング液が吐出されるので、基板の表面におけるエッチング液の滞留が生じることがない。これにより、エッチング処理の均一性をさらに改善することができる。しかも、吐出口がただ1つであるので、エッチング液供給経路を簡単にすることができるとともに、エッチング液の漏洩防止のためのシールを行い易いという利点がある。
また、たとえば、基板回転保持手段の回転軸を中空軸として、この回転軸内にエッチング液供給路を設ける場合に、1本のエッチング液供給路を確保すればよいので、回転軸を細くすることができるという利点がある。
請求項2記載の発明は、基板(W)を保持して回転させる基板回転保持手段(21,22,30)と、この基板回転保持手段によって保持されて回転される基板の回転軸線(A)上において、上記基板に対して上記基板回転保持手段側に配置され、上記基板回転保持手段に保持されて回転している基板の回転中心から離れた位置に向けてエッチング液を吐出するただ一つの吐出口(92)を有するエッチング液吐出手段(12,23,90)とを含み、上記エッチング液吐出手段は、上記吐出口に至るエッチング液供給路(23,91)を有し、このエッチング液供給路は、上記吐出口に連通され、上記基板の回転軸線に対して傾斜して形成された吐出管部(91A)を有しており、上記基板回転保持手段によって基板が回転されるのに伴って、基板の表面において上記吐出口から吐出されるエッチング液がぶつかる位置(LP)が変動するようになっていることを特徴とする基板処理装置である。
【0016】
請求項3記載の発明は、上記吐出口は、直径が8mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置である。
この構成により、エッチング液を基板上の所望の位置に確実に供給することができる。
たとえば、直径200mmの円形基板(たとえば半導体ウエハ)を処理する場合には、吐出口の直径を約4mmとすることが好ましい。また、直径300mmの円形基板(たとえば半導体ウエハ)を処理する場合には、上記吐出口の直径は、約4.5mmとされることが好ましい。
【0020】
上記基板回転保持手段は、上記基板に対向して基板との間の空間を制限する雰囲気遮断部(80)を備えていることが好ましい。この構成によれば、雰囲気遮断部によって基板の表面付近の空間を制限した状態で、基板の表面に対するエッチング処理を行うことができるので、処理品質を向上することができる。
【0021】
雰囲気遮断部を設ける場合に、基板回転保持手段側から基板表面にエッチング液を供給しようとすると、基板表面に対するエッチング液の供給は、基板の回転軸線上の位置から行わざるを得ない。この場合に、基板の回転中心から3〜20mm離れた位置に向けてエッチング液を吐出することによって、基板の表面のエッチング処理を良好な均一性で行うことができる。
請求項4記載の発明は、上記吐出口から吐出されたエッチング液が基板の表面にぶつかったときのエッチング液の広がりにより、基板の回転中心にエッチング液が供給されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置である。
上記エッチング液吐出手段は、請求項5に記載のように、上記基板回転保持手段に対する相対位置が不変の固定ノズル(90)を含むものであってもよい。ただし、「相対位置が不変」とは、基板回転保持手段が回転する一方で、固定ノズルがその回転軸線上で非回転状態に保持される場合を含む趣旨である。
【0022】
また、請求項6に記載のように、上記基板回転保持手段は、中空の回転軸(30)を備えていてもよい。この場合に、上記エッチング液吐出手段は、上記回転軸の内部を通って配置され、上記固定ノズルにエッチング液を供給するエッチング液供給管(23)を含むものであってもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための図解的な断面図である。この基板処理装置は、基板の一例としての半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wの裏面に形成された薄膜とウエハWの表面の周縁部および端面に形成されている薄膜を同時に除去することができるものである。この基板処理装置は、ウエハWをその裏面を下方に向けてほぼ水平に保持するとともに、この保持したウエハWのほぼ中心を通る鉛直軸線回りに回転するスピンチャック21を処理カップ(図示せず)の中に備えている。
【0024】
スピンチャック21は、回転駆動機構としてのモータ22の駆動軸に結合されて回転されるようになっている。モータ22の駆動軸は、中空軸とされていて、その内部には、純水またはエッチング液を供給することができる中心軸ノズルの形態をなす処理液供給管23が挿通されている。この処理液供給管23には、スピンチャック21に保持されたウエハWの下面中央に近接した位置に吐出口を有する固定ノズルが結合されており、この吐出口からウエハWの下面に向けて、純水またはエッチング液を供給する。
【0025】
処理液供給管23には、純水供給源に接続された純水供給バルブ11またはエッチング液供給源に接続されたエッチング液供給バルブ12を介して、純水またはエッチング液が所要のタイミングで供給されるようになっている。
エッチング液には、ウエハWの表面(上面または下面)から除去しようとする薄膜の種類に応じた種類のものが適用される。たとえば、ウエハWの下面等から銅薄膜等の金属膜を除去するときには、たとえば、塩酸と過酸化水素水との混合液、フッ酸と過酸化水素水との混合液、またはフッ酸と硝酸との混合液がエッチング液として用いられる。また、ポリシリコン膜、アモルファスシリコン膜またはシリコン酸化膜をウエハWから除去するときには、たとえば、フッ酸と硝酸との混合液がエッチング液として用いられる。さらに、ウエハW上の酸化膜を除去するときには、たとえば、希フッ酸がエッチング液として用いられる。
【0026】
スピンチャック21の上方には、スピンチャック21に保持されたウエハWに対向する円盤状の遮断板50が水平に設けられている。この遮断板50は、ウエハWの上面のほぼ全域を覆うことができる大きさに形成されていて、昇降駆動機構60に結合されたアーム70の先端付近に、鉛直軸回りの回転が可能であるように取り付けられている。
昇降駆動機構60によって、遮断板50をスピンチャック21に対して昇降させることができる。また、遮断板50は、回転駆動機構51によって、スピンチャック21の回転軸線と同一回転軸線上で回転させることができるようになっており、また、不活性ガスとしての窒素ガスを遮断板50とウエハWとの間の空間に吐出することができるようになっている。窒素ガスは、窒素ガス供給バルブ66から、窒素ガス供給管65を介して、遮断板50の下面中央付近に設けられた窒素ガス吐出口(図示せず)へと導かれるようになっている。また、必要に応じて、遮断板50の中央下面に設けたノズルから、純水供給バルブ67からの純水をウエハWの上面に供給することができる。
【0027】
図2は、スピンチャック21およびその回転駆動機構に関連する構成を説明するための断面図である。スピンチャック21は、円盤状のスピンベース80を備えており、このスピンベース80の下面には、鉛直方向に沿って、モータ22の回転軸30が固定されている。この回転軸30は、上述のとおり、中空軸となっていて、その内部に処理液供給管23が挿通している。
スピンベース80の回転中心部には、貫通孔80Aが形成されていて、この貫通孔80Aを挿通するように、スピンチャック21に対する相対位置が不変の固定ノズル90が設けられている。この固定ノズル90は、処理液供給管23の上端部に結合されて固定されている。
【0028】
スピンチャック21は、上記スピンベース80と、このスピンベース80の周縁部に設けられて、ウエハWの周端面を挟持するとともに、このウエハWの下面周縁部を支持する保持部材81とを備えている。この保持部材81は、スピンベース80の周縁部においてその周方向に沿って間隔をあけて複数個(たとえば3個)設けられている。
このような構成によって、ウエハWに処理を施す時には、スピンチャック21の保持部材81でウエハWを挟持して保持するとともに、モータ22による中空回転軸30の回転駆動によって、スピンベース80が鉛直方向に沿う回転軸線A回りに回転されることになる。これに伴い、ウエハWが、回転軸線A回りに定速回転する。
【0029】
このとき、処理液供給管23および固定ノズル90は、回転軸30の内壁またはスピンベース80の貫通孔80A等の内壁に対して一定のクリアランスを保持して、静止状態にある。
そして、エッチング液供給バルブ12を開いて処理液供給管23にエッチング液を供給すると、回転状態のウエハWの下面にエッチング液が供給されることになる。このエッチング液は、ウエハWの回転に伴う遠心力の作用により、ウエハWの回転半径方向外方側へと、ウエハWの裏面を伝って導かれ、さらに、ウエハWの周端面を回り込んで、当該ウエハWの表面の周縁部へと至る。
【0030】
このようにして、ウエハWの裏面における不要な薄膜(金属膜、ポリシリコン膜、酸化膜等)を除去することができるとともに、ウエハWの周端面およびその表面の周縁部における同様な不要な薄膜を除去することができる。このエッチング処理時において、スピンベース80は、ウエハWの下面を周辺雰囲気から遮断し、エッチング処理の高品質化に寄与する。
こうしてエッチング処理を終了すると、エッチング液供給バルブ12が閉じられるとともに、代わって、純水供給バルブ11が開かれる。これによって、処理液供給管23から固定ノズル90へと純水が導かれ、この純水がウエハWの下面に供給される。この純水は、ウエハWの回転に伴う遠心力によって、その回転半径方向外方側へと広がり、ウエハWの周端面を経て当該ウエハWの表面の周縁部へと至る。こうして、ウエハWに付着したエッチング液が洗い流される。
【0031】
その後、純水供給バルブ11が閉じられて、モータ22により、回転軸30が高速回転される。これによって、ウエハWの表裏面に付着している水分が除去されて、振り切り乾燥処理が行われる。
ウエハWに対するエッチング液供給時および純水供給時には、遮断板50がウエハWに近接した下降位置にあって、かつ、遮断板50の中央付近からは窒素ガスがウエハWの上面に向けて吹き出されている。これによって、ウエハWの中央領域(デバイス形成領域)にエッチング液が及ぶことがなく、ウエハWの表面の周縁部における所定幅の領域のみに対して、選択的にエッチング処理を施すことができる。
【0032】
図3は、固定ノズル90の構成を説明するための断面図である。固定ノズル90は、処理液供給管23からの処理液が流通する処理液供給路91を内部に有している。この処理液供給路91は、ウエハWの回転軸線Aに対して所定の傾斜角α(この実施形態では約20度)で傾斜した処理液吐出管部91Aを有していて、この処理液吐出管部91Aの出口が吐出口92となっている。この吐出口92は、その直径が、たとえば、4mmとされている。
【0033】
処理液供給管23から固定ノズル90の処理液供給路91へと導かれた処理液Lは、傾斜して形成された処理液吐出管部91Aを通ることによって、ウエハWの回転軸線Aに対して約20度の角度をなす方向に向けて吐出される。すなわち、ウエハWの下面には、ウエハWの回転軸線Aに対して約20度の角度をなす方向から処理液Lが導かれる。その結果、ウエハWの下面における処理液Lの着液位置LPは、ウエハWの回転軸線Aから所定距離(たとえば約5mm)ずれた位置となる。
【0034】
ウエハWの下面にぶつかった処理液Lは、ウエハWの下面に沿って拡がり、さらにウエハWの回転に伴う遠心力によって、ウエハWの回転半径方向外方側へと導かれることになる。
処理液Lの着液位置LPが、ウエハWの回転中心からずれていることによって、ウエハWの下面において、固定ノズル90から吐出される処理液Lがぶつかる位置は、ウエハWの回転に伴って刻々と変動することになる。その一方で、処理液LがウエハWの下面にぶつかった時の処理液Lの拡がりにより、ウエハWの回転中心にも処理液Lが供給される状態となる。このような状態でウエハWのエッチング処理を行うことによって、ウエハWの表面(特に下面)の全域において均一にエッチング処理を施すことができる。
【0035】
また、着液位置LPがウエハWの回転中心からずれており、かつ、ウエハWの表面に対して回転半径方向外方側に向かって傾斜した方向から処理液Lがぶつかることから、ウエハWの下面の全域に処理液Lが速やかに拡がる。したがって、ウエハWの回転速度が遅い場合でも、ウエハWの下面に対する処理を均一に施すことができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。たとえば上記の実施形態では、固定ノズル90から吐出された処理液Lは、ウエハWの回転軸線Aに対して約5mmずれた位置にぶつかるようになっているが、ウエハWの回転中心から3〜20mm離れた位置に処理液Lがぶつかるようにしておけば、同様な効果を達成することができる。
【0036】
また、上記の実施形態では、吐出口92の直径が約4mmであることとしたが、この直径は、たとえば直径200mmのウエハWの処理に適した値であり、直径が300mmのウエハWが処理される場合には、吐出口92の直径を約4.5mmとすることが好ましい。一般に、吐出口92の直径は、8mm以下の範囲で、良好なエッチング処理が可能な条件を満たすように設定すればよい。
さらに、上記の実施形態では、ウエハWを下方から保持してその下面にエッチング液を供給して処理する基板処理装置について説明したが、この発明は、ウエハWを上方から保持するとともに、このウエハWの上面に向けて処理液を供給する構成についても適用することができる。
【0037】
さらに、ウエハWは水平に保持する必要はなく、垂直に保持されてもよいし、傾斜状態で保持されてもよい。
また、上記の実施形態では、円形基板である半導体ウエハに対してエッチング処理を施す基板処理装置を例にとったが、この発明は、液晶表示装置用ガラス基板やプラズマディスプレイ用ガラス基板のような角形基板に対してエッチング処理を施す場合にも適用することができる。
【0038】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための図解的な断面図である。
【図2】スピンチャックおよびその回転駆動機構に関連する構成を説明するための断面図である。
【図3】固定ノズルの構成を説明するための断面図である。
【符号の説明】
11 純水供給バルブ
12 エッチング液供給バルブ
21 スピンチャック
22 モータ
23 処理液供給管
30 回転軸
80 スピンベース
80A 貫通孔
81 保持部材
90 固定ノズル
91 処理液供給路
91A 処理液吐出管部
92 吐出口
A 回転軸線
L 処理液
LP 着液位置
W 半導体ウエハ
Claims (6)
- 基板を保持して回転させる基板回転保持手段と、
この基板回転保持手段によって保持されて回転される基板の回転軸線上において、上記基板に対して上記基板回転保持手段側に配置され、上記基板回転保持手段に保持されて回転している基板の回転中心から3〜20mm離れた位置に向けてエッチング液を吐出するただ1つの吐出口を有するエッチング液吐出手段とを含み、
上記エッチング液吐出手段は、上記吐出口に至るエッチング液供給路を有し、このエッチング液供給路は、上記吐出口に連通され、上記基板の回転軸線に対して傾斜して形成された吐出管部を有していることを特徴とする基板処理装置。 - 基板を保持して回転させる基板回転保持手段と、
この基板回転保持手段によって保持されて回転される基板の回転軸線上において、上記基板に対して上記基板回転保持手段側に配置され、上記基板回転保持手段に保持されて回転している基板の回転中心から離れた位置に向けてエッチング液を吐出するただ一つの吐出口を有するエッチング液吐出手段とを含み、
上記エッチング液吐出手段は、上記吐出口に至るエッチング液供給路を有し、このエッチング液供給路は、上記吐出口に連通され、上記基板の回転軸線に対して傾斜して形成された吐出管部を有しており、
上記基板回転保持手段によって基板が回転されるのに伴って、基板の表面において上記吐出口から吐出されるエッチング液がぶつかる位置が変動するようになっていることを特徴とする基板処理装置。 - 上記吐出口は、直径が8mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置。
- 上記吐出口から吐出されたエッチング液が基板の表面にぶつかったときのエッチング液の広がりにより、基板の回転中心にエッチング液が供給されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置。
- 上記エッチング液吐出手段は、上記基板回転保持手段に対する相対位置が不変の固定ノズルを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置。
- 上記基板回転保持手段は、中空の回転軸を備えており、
上記エッチング液吐出手段は、上記回転軸の内部を通って配置され、上記固定ノズルにエッチング液を供給するエッチング液供給管を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の基板処理装置。
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