JP3660581B2 - 基板処理装置および基板処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板および磁気/光ディスク用基板などの各種基板に対して、処理液(たとえば、エッチング液)を用いた処理を施すための基板処理装置および基板処理方法に関する。
【0002】
【背景技術】
半導体装置の製造工程においては、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)の表面、裏面および端面の全域に銅薄膜などの金属薄膜を形成した後、この金属薄膜の不要部分をエッチング除去する処理が行われる場合がある。たとえば、配線形成のための銅薄膜は、ウエハの表面の素子形成領域に形成されていればよいから、ウエハの表面の周縁部(たとえば、ウエハの周縁から幅5mm程度の部分)、裏面および端面に形成された銅薄膜は不要となる。
【0003】
ウエハの周縁部に形成されている金属薄膜を除去するための装置(ベベルエッチング装置)としては、たとえば、スピンチャックでウエハを保持するとともに、これを鉛直軸線まわりに回転させる一方、ウエハの上面に純水を供給しつつ、ウエハの周縁部に処理液(エッチング液)を供給する構成が提案されている。純水の供給により、ウエハの中央部付近に処理液の飛沫が達しても、この処理液は速やかに洗い流される。したがって、ウエハの中央付近の金属薄膜を侵すことなく、周縁部の金属薄膜を選択的に除去できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の従来装置では、ウエハの中央付近の保護のために供給される純水によって処理液が希釈されてしまうから、この処理液を回収して再利用することができない。そのため、処理液は使い捨てになり、その消費量が多くなるのが欠点であった。
そこで、この発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、処理液の再利用が可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)をほぼ水平に保持しつつ回転させる基板保持回転手段(1)と、この基板保持回転手段により回転される基板の下面に向けて処理液を供給する処理液供給手段(21,22)と、基板の下面から上面への処理液の回り込みを制御するための気体を基板の上面に供給するためのノズル(41)と、このノズルからの気体を基板の上面に導く開口(34)を中心に有し、上記ノズルから基板の上面に向けて気体を供給したときに生じるベルヌーイ効果により、上記基板保持回転手段によって回転されている基板の上面から所定間隔を開けた状態で当該基板に吸着されて回転する遮断板(3)とを含むことを特徴とする基板処理装置である。
【0006】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じである。
この発明によれば、基板保持回転手段にほぼ水平に保持された基板の上方に遮断板が配置され、遮断板の中央の開口から基板に向けて気体(たとえば、窒素ガスなどの不活性ガス)を供給して、遮断板をベルヌーイ効果により基板に吸着させて回転させるとともに、基板の上面を気体で保護する一方で、基板の下面に処理液が供給される。これにより、基板の上面が処理液で侵されることがなく、基板の下面に処理液による処理を良好に施すことができる。また、基板の下面に処理液を供給している時に、基板に純水を供給する必要がないので、処理液が純水で希釈されることがなく、この処理液を回収して再利用することができる。したがって、処理液の消費量を著しく低減することができる。
【0007】
また、遮断板はベルヌーイ効果により回転され、遮断板を個別に回転させるための駆動機構が不要であるから、遮断板を回転させるための駆動機構を基板保持回転手段の上方に配置した場合の欠点、すなわち、装置コストの上昇や駆動機構から発生するパーティクルによる基板の汚染などの不都合の発生を回避することができる。
請求項2記載の発明は、基板保持回転手段により回転されている基板の上面に向けて、基板の下面から上面への処理液の回り込みを制御するための気体を、基板の上方に配置された遮断板(3)の中心の開口(34)から供給する気体供給工程と、この気体供給工程の実行時に生じるベルヌーイ効果により、上記遮断板を基板の上面から所定間隔を開けた状態で、当該遮断板を当該基板に吸着させて回転させる遮断板回転工程と、基板保持回転手段(1)により回転されている基板(W)の下面に向けて処理液を供給する処理液供給工程と含むことを特徴とする基板処理方法である。
【0008】
この発明によれば、請求項1に関連して述べた効果と同様な効果を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す断面図である。この基板処理装置は、ほぼ円形の基板であるウエハWの裏面に対して、処理液による表面処理を施すためのものである。この場合、処理液とは、ウエハWの裏面に形成されている薄膜(たとえば、銅薄膜)を剥離するためのエッチング液であってもよい。
【0010】
この基板処理装置は、ウエハWをほぼ水平に保持するとともに、その中心を通るほぼ鉛直な回転軸線まわりにウエハWを回転させるためのスピンチャック1を備えている。このスピンチャック1は、モータなどを含む回転駆動機構(図示せず)により回転される回転軸11と、この回転軸11の上端からほぼ水平方向に延びたチャックベース12と、チャックベース12上に立設された複数本(たとえば、6本)のチャックピン13とを有している。
【0011】
チャックピン13には、たとえば、ウエハWを下方から支持するための載置面131と、ウエハWの端面を規制するための規制面132と、規制面132の上端から上方に向かうにつれて外方へ広がる傾斜面133とが形成されている。ウエハWは、載置面131に支持された状態で規制面132によって端面が規制されることにより、ほぼ水平な状態で保持される。そして、チャックピン13でウエハWを保持した状態で回転軸11を回転させることにより、ウエハWをほぼ水平な面内で、その中心を通るほぼ鉛直な回転軸線まわりに回転させることができる。
【0012】
スピンチャック1は、このスピンチャック1の周囲を取り囲むように配設された処理カップ2内に収容されている。処理カップ2は、たとえば、有底円筒状に形成されていて、その底面には、スピンチャック1に保持されたウエハWの下面(裏面)に向けて処理液を供給するための処理液供給ノズル21,22が配置されている。この構成により、スピンチャック1に保持されたウエハWを回転させ、その一方で、処理液供給ノズル21,22からウエハWの下面に向けて処理液を供給することにより、ウエハWの下面に処理液による処理を施すことができる。
【0013】
この処理液による処理をウエハWの下面に施している間、ウエハWの上面(表面)の上方に遮断板3が配置され、この遮断板3の中央の開口34から、遮断板3とウエハWとの間に窒素ガスが供給されるようになっている。これにより、ウエハWの上面が窒素ガスで覆われて、この窒素ガスで覆われた領域へのエッチング液の回り込みが防止され、ウエハWの上面に形成されている薄膜がエッチング液で侵されることが防止される。
【0014】
遮断板3は、スピンチャック1に保持されたウエハWの上面とほぼ平行に対向する円板部31と、この円板部の中心に形成された開口34の周縁から立ち上がった円筒状の軸部32と、軸部32の上端から円板部31と平行に張り出したフランジ部33とを有している。フランジ部33には、軸部32の内部と連通する開口35が形成されており、この開口35を介して、図外の窒素ガス供給源から供給されてくる窒素ガスが流通する窒素ガス供給管4が軸部32に挿通されている。この窒素ガス供給管4の先端は、円板部31の開口34内に達して、ウエハWの上面に窒素ガスを供給するための窒素ガス供給ノズル41を形成している。この窒素ガス供給ノズル41による窒素ガスの供給およびその停止は、窒素ガス供給管4の途中部に介装された窒素ガス供給バルブ42の開閉によって切り替えることができる。
【0015】
この基板処理装置にはさらに、遮断板3をウエハWに対して接近および離間させるための遮断板接離機構5が備えられている。遮断板接離機構5は、処理カップ2の外側でほぼ鉛直に延びた支持軸51と、支持軸51の上端からほぼ水平に延びたアーム52と、このアーム52の先端付近に設けられた軸受53と、支持軸51を昇降(上下動)させるためのシリンダを含む昇降駆動部54と、支持軸51をその中心軸まわりに回転させて、アーム52を揺動させるためのモータ(たとえば、ステッピングモータ)などを含む揺動駆動部55とを備えている。軸受53は、たとえば磁気軸受で構成されていて、この軸受53には、遮断板3の軸部32が非接触で受け取られている。
【0016】
スピンチャック1に対するウエハWの搬入時には、遮断板3は、スピンチャック1の上方から外れたホームポジション(図示せず)に移動されている。図示しないウエハ搬送ロボットによってウエハWが搬入されてきて、そのウエハWがスピンチャック1に保持されると、揺動駆動部55の働きにより、図2(a)に示すように、遮断板3がホームポジションからスピンチャック1の上方に移動される。そして、昇降駆動部54の働きにより、スピンチャック1の上方に移動された遮断板3が、スピンチャック1に保持されているウエハWに近づけられていく。
【0017】
遮断板3がウエハWに近づけられていく過程で、窒素ガス供給バルブ42が開かれて、窒素ガス供給ノズル41からの窒素ガスのブローが開始される。この窒素ガスのブローにより、遮断板3がウエハWの上面から一定の距離まで近づけられると、遮断板3とウエハWとの間を流れる窒素ガスが引き起こすベルヌーイ効果により、遮断板3は、ウエハWの上面から一定距離だけ離れた位置に浮上した状態でウエハWに吸着される。このベルヌーイ効果はウエハWの回転が開始されても持続され、その後、スピンチャック1に保持されたウエハWの回転が開始されると、図2(b)に示すように、遮断板3は、ウエハWの上面から一定距離だけ離れた位置に浮上した状態で、ベルヌーイ効果によってウエハWの回転にほぼ同期して回転し始める。
【0018】
ウエハWおよび遮断板3の回転速度が所定速度に達すると、図2(c)に示すように、処理液供給ノズル21,22からウエハWの下面への処理液の供給が開始される。ウエハWの下面に向けて供給されたエッチング液は、ウエハWが高速回転されていることにより、ウエハWの裏面を伝って中心から周縁部に向かう方向に流れる。しかし、ウエハWと遮断板3との間は窒素ガス供給ノズル41からブローされる窒素ガスで満たされているから、エッチング液がウエハWの上面に回り込むことは防止される。
【0019】
ウエハWの下面へのエッチング液の供給が所定時間だけ続けられると、処理液供給ノズル21,22からのエッチング液の吐出が停止され、スピンチャック1の回転が停止される。そして、昇降駆動部54の働きにより、遮断板3がウエハWの上方へと離間され、さらに、揺動駆動部55の働きにより、ウエハWの上方へと移動された遮断板3はホームポジションへ戻される。また、この遮断板3のホームポジションへの移動の途中で、窒素ガス供給バルブ42が閉じられて、窒素ガス供給ノズル41からの窒素ガスのブローが停止される。その後、スピンチャック1に保持されているウエハWが、図示しないウエハ搬送ロボットによって処理カップ2外へ搬出される。
【0020】
以上のようにこの実施形態によれば、スピンチャック1にほぼ水平に保持されたウエハWに対向して遮断板3を配置し、遮断板3の中央の開口34からウエハWに向けて窒素ガスを供給して、遮断板3をベルヌーイ効果により回転させるとともに、ウエハWの上面を窒素ガスで保護する一方で、ウエハWの下面に処理液を供給するようにしている。これにより、ウエハWの上面が処理液で侵されることがなく、ウエハWの下面に形成されている薄膜を良好に剥離することができる。また、ウエハWの下面に処理液を供給している時に、ウエハWに純水を供給する必要がないので、処理液が純水で希釈されることがなく、この処理液を回収して再利用することができる。したがって、処理液の消費量を著しく低減することができる。
【0021】
また、遮断板3を個別に回転させるための駆動機構が不要であるから、遮断板3を回転させるための駆動機構をスピンチャック1の上方に配置した場合の欠点、すなわち、装置コストの上昇や駆動機構から発生するパーティクルによるウエハWの汚染などの不都合の発生を回避することができる。
なお、ウエハWの下面のみに処理を施す場合、またはウエハWの下面および端面のみに処理を施す場合には、遮断板3の直径は、ウエハWの直径とほぼ等しいか、またはウエハWの直径よりも大きく設定されるとよい。遮断板3の直径がウエハWの直径よりも大きく設定された場合、遮断板3の周縁部には、スピンチャック1のチャックピン13を避けるための切欠が形成されるとよい。また、ウエハWの上面の周縁部、下面および端面に処理を施す場合には、遮断板3の直径は、ウエハWの上面の処理すべき領域の幅に応じて定められるとよい。
【0022】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、他の形態で実施することもできる、たとえば、上述の実施形態では、遮断板3の軸部32が軸受53に受け取られているとしたが、軸受53が省略されて、アーム52に形成された貫通孔に軸部32が遊びを持った状態で挿通されていてもよい。また、軸受53は、磁気軸受に限らず、遮断板3の軸部32と接触して、その軸部32を回転自在に受ける接触型の軸受であってもよく、この場合、支持軸51とアーム52とが互いに一定の角度範囲で動かすことができるユニバーサルジョイントで連結してもよい。すなわち、遮断板接離機構5は、遮断板3がベルヌーイ効果によってウエハW上に浮上した状態で、その遮断板3がウエハWに対して所定範囲内で上下動できるように構成されていればよい。
【0023】
また、上述の実施形態では、遮断板接離機構5には昇降駆動部54および揺動駆動部55が備えられているとしたが、昇降駆動部54の働きによって、スピンチャック1に対するウエハWの搬出入に遮断板3が邪魔にならない位置(高さ)まで、遮断板3をウエハWから大きく引き離すことができれば、揺動駆動部55は省略されてもよい。
さらに、上述の実施形態では、遮断板3とウエハWとの間に窒素ガスを供給するとしたが、窒素ガスに限らず、たとえば、ヘリウムガスやアルゴンガスなどの他の不活性ガスを供給するようにしてもよい。
【0024】
また、処理対象の基板は、ウエハWに限らず、たとえば、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板および磁気/光ディスク用基板などの他の種類の基板であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を図解的に示す断面図である。
【図2】処理時の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1 スピンチャック
2 処理カップ
3 遮断板
21 処理液供給ノズル
22 処理液供給ノズル
41 窒素ガス供給ノズル
W ウエハ

Claims (2)

  1. 基板をほぼ水平に保持しつつ回転させる基板保持回転手段と、
    この基板保持回転手段により回転される基板の下面に向けて処理液を供給する処理液供給手段と、
    基板の下面から上面への処理液の回り込みを制御するための気体を基板の上面に供給するためのノズルと、
    このノズルからの気体を基板の上面に導く開口を中心に有し、上記ノズルから基板の上面に向けて気体を供給したときに生じるベルヌーイ効果により、上記基板保持回転手段によって回転されている基板の上面から所定間隔を開けた状態で当該基板に吸着されて回転する遮断板と
    を含むことを特徴とする基板処理装置。
  2. 板保持回転手段により回転されている基板の上面に向けて、基板の下面から上面への処理液の回り込みを制御するための気体を、基板の上方に配置された遮断板の中心の開口から供給する気体供給工程と、
    この気体供給工程の実行時に生じるベルヌーイ効果により、上記遮断板を基板の上面から所定間隔を開けた状態で、当該遮断板を当該基板に吸着させて回転させる遮断板回転工程と
    上記基板保持回転手段により回転されている基板の下面に向けて処理液を供給する処理液供給工程と
    を含むことを特徴とする基板処理方法。
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