JP3872884B2 - 合成まくらぎ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、道床軌道用の合成まくらぎに関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道のまくらぎは従来より木製あるいはコンクリート製のものが使用されてきたが、木材は腐食や吸水等の問題があり、コンクリートはきわめて重くかつ防振あるいは防音性に劣るなどの問題がある。このような問題に対処するために、硬質発泡ウレタン等の熱硬化性合成樹脂を主体とする複合材料製の合成まくらぎが提案されている。
【0003】
木製まくらぎの実用性能として知られている物性としては、密度:0.65〜0.84、曲げ強さ:80MPa、曲げヤング係数:7.1×103 MPa、せん断強さ:12MPa、犬くぎ引抜き強さ:25KN、ねじくぎ引抜き強さ43KNである。
【0004】
これに対し硬質発泡ウレタンと一方向ガラス繊維とからなる繊維強化合成樹脂(FRP)製の合成まくらぎは、密度:0.67〜0.82、曲げ強さ:142MPa、曲げヤング係数:8.1×103 MPa、せん断強さ:10MPa、犬くぎ引抜き強さ:27KN、ねじくぎ引抜き強さ65KNである。この合成まくらぎは、木製まくらぎと同等以上の物性と曲げ強さを有している。また、電気絶縁性や耐吸水性も重要であるが、前記合成まくらぎはこれらの特性に関しても木製まくらぎよりも優れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の合成まくらぎの一般的な形状は、幅方向の断面が横長矩形の直方体であり、たとえば在来線の並まくらぎの場合には、厚さ:14cm、幅:20〜30cm、長さ210cm〜220cmである。また、新幹線(広軌道)用の並まくらぎの場合には、厚さ:15cm、幅:24または35cm、長さ260cmとなっている。
【0006】
まくらぎは、その用途などの使用状況によっては、より軽量なものが望まれる場合がある。また製造コストを下げるには、まくらぎの断面積は少ない方が有利である。従ってこのような要望に答えるには、実用に耐える曲げ強さを確保しつつ、断面積を極力少なくすることが望まれる。しかしながら、従来の合成まくらぎではこうした要望を満足できず、また、単なる矩形断面ではまくらぎ機能を高めることに限界があるなどの点において改良の余地があった。
従って本発明の目的は、必要な曲げ強さを確保できかつ優れた機能性を有する合成まくらぎを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を果たすための本発明は、請求項1に記載したように、硬質発泡ウレタン等の合成樹脂を主体とし、幅方向の断面が横長矩形状の合成まくらぎであって、内部にまくらぎの長手方向に延びる中空孔を有し、前記断面における前記中空孔の幅をω、中空孔の高さをh、まくらぎ幅をB、まくらぎ高さをHとしたとき、ω/Bが0.08以上0.9以下で、かつ、h/Hが0.04以上0.5以下であることを特徴とする。
【0008】
合成まくらぎ断面の各寸法をこのような範囲に制約することより、従来の矩形断面(中実材)の合成まくらぎと同等の曲げ強さ(断面係数)を有し、しかも断面積が大幅に減少する。そして請求項2に記載したように前記中空孔にケーブルや発熱体等の機能部品を収容することが可能となる。
【0009】
なお、硬質発泡ウレタン等の合成樹脂を主体とし、幅方向の断面が台形状をなす合成まくらぎであって、前記断面における底辺の長さをB、上辺の長さをbとしたとき、(B−b)/bを0.07以上,0.44以下とした場合には、b,Bの値をこのような範囲に制約することで、従来の矩形断面(中実材)からなる合成まくらぎと比較して断面係数の低下を実用に支障をきたさない約10%以下におさえることができるとともに、断面積を大幅に低減させることが可能となる。また、断面が台形状であることにより、低重心化が図れるとともに、道床軌道のバラストに対してまくらぎ下部(バラストに埋まる部分)の食い付きがよくなり、バラストから浮き上がる方向の荷重に対して大きな抵抗を与えることができる。
【0010】
本発明の合成まくらぎを構成する合成樹脂は硬質発泡ウレタン等の熱硬化性合成樹脂が適しており、この樹脂中に、まくらぎの長手方向に連続するガラス繊維等の一方向連続強化繊維あるいは適宜の充填剤を加えた複合材料(FRP等)を使用することにより、従来の木製まくらぎと同等あるいはそれ以上の物性と曲げ強さを得ることが可能である。さらに本発明の一形態として、横断面が台形状の合成まくらぎの内部に、前記中空孔を形成してもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の第1の実施形態について、図1および図2に示す合成まくらぎ10を参照して説明する。
この実施形態の合成まくらぎ10は合成樹脂を主体とするものであり、例えば発泡ウレタン等の熱硬化性合成樹脂からなるマトリックス樹脂11と、この樹脂11中に埋設されたガラスロービング等の長繊維12(一部のみ図示する)などによって構成されている。すなわちこのまくらぎ10は、マトリックス樹脂11を一方向連続繊維12によって強化した複合材料(FRP)からなる。繊維12は、まくらぎ10の長手方向に連続している。この合成まくらぎ10は、中空の柱状に成形され、図2に示すように幅方向の断面(横断面)が横長矩形状をなしている。
【0012】
この合成まくらぎ10の内部に、まくらぎ10の長手方向に延びかつまくらぎ10の長手方向に連続する中空孔15が形成されている。そしてまくらぎ10の前記横断面における中空孔15の幅をω、中空孔15の高さをh、まくらぎ幅をB、まくらぎ高さをHとしたとき、0.08≦ω/B≦0.9、かつ、0.04≦h/H≦0.5となるように各寸法が設定されている。
【0013】
なおω/Bが0.9以下でかつh/Hが0.5以下であれば、従来の中実材からなる合成まくらぎと比較して、実質的にほぼ同等の曲げ強さ(曲げ断面係数)が確保される。しかもω/Bが0.08以上でかつh/Hが0.04以上であれば、まくらぎ幅230mm前後の標準的な合成まくらぎを対象とした場合、信号ケーブルや発熱体(電気ヒータ)等の機能部材を中空孔15に挿通するために必要とされるh(最小値10mm)とω(最小値30mm)が確保される。
【0014】
そして中空孔15にケーブルを通すことにより、ケーブルの保護と軌道作業時のケーブルの損傷を防止することができ、また、中空孔15に発熱体を収容し、かつ、まくらぎ表面も発熱体で覆うことにより、発熱体への通電時にまくらぎ全体が加熱され、優れた融雪機能をもたせることができるなど、まくらぎの機能性を高めることができる。
【0015】
この第1の実施形態(図1,2)の合成まくらぎ10の各寸法の一例は、ω=160mm、h=30mm、B=230mm、H=140mmであり、断面係数は74,600である。
【0016】
これに対し従来の矩形断面の中実材からなる合成まくらぎ(幅=230mm,高さ140mm)の断面係数は75,100であるから、本実施形態の合成まくらぎ10の曲げ強さは従来の合成まくらぎと同等であり、曲げ強さにおいて従来品と遜色のないものが得られた。しかも本実施形態の合成まくらぎ10は、従来品と比較して15%の体積減となり、軽量化と使用材料の低減に寄与できる。
【0017】
なお、中空孔15を形成したことで重量減が問題となる場合は、中空孔15に無機材料あるいは有機材料等の成分からなる補助材を充填することにより、対応できる。
【0018】
次に、図3に示す合成まくらぎ10aについて説明する。
この実施形態のまくらぎ10aも、前記実施形態と同様に、発泡ウレタン等の熱硬化性合成樹脂からなるマトリックス樹脂11と、樹脂中に埋設されかつ、まくらぎ10aの長さ方向に連続する繊維12(一部のみ図示する)などによって構成された複合材料からなる。この合成まくらぎ10aの横断面は台形状をなしており、横断面における底辺の長さをB、上辺の長さをbとしたとき、Bとbは0.07≦(B−b)/b≦0.44の範囲となるように設定されている。
【0019】
この実施形態のように(B−b)/bが0.44以下の台形状の合成まくらぎ10aであれば、曲げ断面係数が従来の矩形断面の合成まくらぎと比較して10%以下の低下ですみ、実用に差し支えのない程度の断面係数減におさえることができる。また(B−b)/bを0.07以上の台形断面としたことにより、まくらぎ側面18,19の傾斜角度θを十分にとることができ、まくらぎの重心が下がるとともに、道床軌道のバラストに対してまくらぎ側面18,19の下部の食い付きがよくなり、バラストから浮き上がる方向の荷重に対して大きな抵抗を付加することができる。また、実質的な軽量化が可能となり、まくらぎ材料の使用量も従来品と比較して十分少なくすることができる。
【0020】
この実施形態(図3)の合成まくらぎ10aの寸法の一例はB=230mm、H=140mm、b=160mm、(B−b)/2=35mmであり、断面係数は68,200である。この実施形態の体積は従来品と比較して15%の減少となった。また断面係数に関して、この実施形態は前記従来品と比較して実用上問題のない10%以内の減少におさえることができた。
【0021】
また図4に示す合成まくらぎ10bのように、幅方向の断面が台形状をなすとともに、内部にまくらぎの長手方向に連続する中空孔15を形成したものであってもよい。この実施形態の合成まくらぎ10bも、前記実施形態で説明した合成まくらぎ10,10aと同様の硬質発泡ウレタン等の熱硬化性合成樹脂11を主体とし、まくらぎの長手方向に連続するガラス繊維等の一方向長繊維12によって強化した複合材(FRP)からなる。そしてまくらぎの機能性を高めるために、中空孔15にケーブルを通したり融雪用発熱体等の機能部品を収容可能とし、しかも断面が台形状であることにより、低重心化が図れるとともに道床軌道のバラストに対するまくらぎ下部の食い付きがよくなる。
【0022】
なお本発明を実施するに当たって、本発明を構成するまくらぎ横断面形状や中空孔の形状などをはじめとして、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各構成要素の形態をそれぞれ適宜に変形して実施できることは言うまでもない。
【0023】
【発明の効果】
請求項1に記載した本発明の合成まくらぎによれば、曲げ強さが従来の矩形断面(中実材)の合成まくらぎと同等でありながら、断面積を大幅に低減させることができる。そしてこの合成まくらぎの場合、請求項2に記載したように、中空孔にケーブルや発熱体等の機能部品を収容することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態を示す合成まくらぎの斜視図。
【図2】 図1に示された合成まくらぎの幅方向の横断面図。
【図3】 台形状の合成まくらぎの横断面図。
【図4】 中空孔を有する台形状の合成まくらぎの横断面図。
【符号の説明】
10,10a,10b…合成まくらぎ
15…中空孔
Claims (2)
- 合成樹脂を主体としかつ幅方向の断面が横長矩形状の合成まくらぎであって、内部にまくらぎの長手方向に延びる中空孔を有し、前記断面における前記中空孔の幅をω、中空孔の高さをh、まくらぎ幅をB、まくらぎ高さをHとしたとき、0.08≦ω/B≦0.9、かつ、0.04≦h/H≦0.5としたことを特徴とする合成まくらぎ。
- 前記中空孔にケーブルあるいは発熱体等の機能部品を収納したことを特徴とする請求項1記載の合成まくらぎ。
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JP34784497A JP3872884B2 (ja) | 1997-12-17 | 1997-12-17 | 合成まくらぎ |
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1997
- 1997-12-17 JP JP34784497A patent/JP3872884B2/ja not_active Expired - Fee Related
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