JP3896089B2 - 鉄道用弾性枕木 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平行な2本のレールと直交して路盤に配置される鉄道用弾性枕木に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
古くから軌道の振動対策として、列車走行時の荷重を軌道の上下振動によって分散させることが行われており、枕木に関しては、枕木と路盤との間にゴムやウレタンエラストマー等からなる弾性材を配置する防振方法が知られている。そのような弾性材としては、例えば、断面内に中空孔を形成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この従来の方法の場合には、弾性材の耐久性が十分でないので、一定年数を経過した時点で弾性材を取り変える必要があった。弾性材の交換作業は、少なくともレールと枕木を持ち上げる必要があり、軌道保守の省力化という観点から好ましくない。現在、上記文献に記載のように、弾性材の耐久性の改良が検討されているが、十分な改良には至っていない。なぜなら、圧縮変形する材料は、荷重が大きくなるにつれてばね定数が上昇してしまうため、十分な上下振幅を得るには柔らかい材料を用いなければならず、耐久性の高い硬質材料の採用が困難だからである。
ここに、ばね定数とは、弾性材の特性値としての、列車の荷重を分散させるため弾性材を配置する場合、その弾性材に載荷された荷重を変位で割ったものをいう。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−73303号公報(第2−第3頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し、列車走行時の荷重を上下振動によりよく分散させることができ、しかも耐久性が飛躍的に向上した鉄道用弾性枕木を提供することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に記載の発明は、平行な2本のレールと直交して路盤に配置される鉄道用弾性枕木であって、路盤上にて列車荷重を支持する枕木本体の上部に、レールと直交する方向に張り出すレール締結板が設けられ、該レール締結板が、列車荷重が作用しないときにはレール締結部周辺の下面が路盤に接することがなく、列車通過時に前記枕木本体の端部を支点として曲げ弾性変形可能とされている鉄道用弾性枕木である。
【0007】
本願の請求項2に記載の発明は、さらに、前記レール締結板を構成する材料が、曲げ弾性率5000MPa以上、且つ曲げ強度30MPa以上である鉄道用弾性枕木である。
【0008】
本願の請求項3に記載の発明は、さらに、前記レール締結板の少なくともレール締結部分の下面に弾性材が取着されている鉄道用弾性枕木である。
【0009】
本願の請求項4に記載の発明は、さらに、前記枕木本体の下部に、前記レール締結板と平行に路盤敷設板が設けられ、前記レール締結板のレール締結部分の下面に、列車荷重が作用しないときにはその下面が前記路盤敷設板に接することがない厚材が取着され、該厚材と前記路盤敷設板との間に弾性材が取着されており、列車通過時に前記レール締結板が、前記枕木本体の端部を支点として、前記弾性材を圧縮するように曲げ弾性変形可能とされている鉄道用弾性枕木である。
【0010】
本発明において、枕木本体の材料としては、鉄、木、FRP、コンクリート等が挙げられる。PC枕木、木枕木、合成枕木として市販されている既存の枕木素材を用いることができる。合成枕木としては、例えば、硬質ウレタン樹脂をガラス長繊維で補強した発泡体(積水化学工業社製 商品名「エスロンネオランバーFFU」等)の単層品、或いは積層品等が、軽量で、丈夫で、且つ耐久性に優れているので好ましい。
枕木本体を構成するガラス繊維は、短繊維でも差し支えないが、長繊維の方が好適である。また、発泡樹脂としては、ウレタン樹脂のほか、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂などを使用することもできる。
【0011】
枕木本体のレールと直交する方向の長さは、300〜1200mmが好ましい。レールと直交する方向の長さが短かすぎると、カーブや風圧等によりレール締結板12の両端に係る列車荷重が片方に偏ったときに、片方が浮いて片方が沈むという現象が発生し易く、車両の脱線、軌道の破壊につながるおそれがあり、長すぎると、変形時の傾きが顕著となり、車両の脱線、軌道の破壊につながるおそれがある。
枕木本体の幅(レール方向の長さ)は、通常合成枕木として市販されているものと同様とされる。
【0012】
本発明において、レール締結板は、両端部に直接、またはタイプレートを介して、レールを固定するレール締結部を有する長尺板状体からなり、枕木本体の上にその中央部が固定されるものであってもよいし、枕木本体と同一の材料からなり一体化されたものであってもよい。
【0013】
枕木締結板の列車の荷重を分散させる特性値としてのばね定数(載荷された荷重を変位で割ったもの)は、レールRの重心を通る鉛直線と、枕木締結板Mの枕木本体Hの端部からのレールと直交する方向への張り出し長さ(以下、張り出し長さという)(d)を長くすることで、小さくすることができる〔第16図(a)参照〕。また、枕木締結板Mの枕木本体Hの端部からの張り出し部の肉厚を中央に向かうにつれて次第に厚くするようになすことにより、その断面2次モーメント(I)を端部に向かうにつれて段階的ないし連続的に小さくすることでも、小さくすることができる〔図16(b)参照〕。
【0014】
また、枕木締結板Mに列車荷重が作用したときに、枕木本体Hの端部を支点として曲げ変形するが、その変形のし易さは、材料の曲げ弾性率と剪断弾性率が関与する。しかしながら、これらの物性値が高くても、張り出し長さ(d)、断面2次モーメント(I)を調整することで、現実的に十分に低いばね定数の弾性枕木を設計することができる。
【0015】
例えば、曲げ弾性率8000MPa、剪断弾性率200MPaの硬質材料を用いて設計する場合、第16図(a)に示す状態の、枕木締結板Mの張り出し長さ(d)を30cm、断面2次モーメント(I)を2200cm4 にすると、ばね定数7トン/cmの枕木締結板Mが得られる。一般に、弾性枕木をコンクリート路盤に直接固定する直結軌道の場合、軌道防振化には、5〜10トン/cmのばね定数が必要とされるが、上記枕木締結板Mはこの範囲内に収まっている。
【0016】
以上から明らかなように、枕木締結板は、耐久性の観点から熱劣化が少なく硬質な材料を用いるのが好ましく、また、材料の上面及び下面に圧縮応力が集中するので、これらの応力レベルを下げる観点から、十分な高弾性率と高強度を有する材料を用いるのが好ましい。具体的には、枕木締結板は、曲げ弾性率5000MPa以上、且つ曲げ強度30MPa以上である材料を用いるのが好ましい。
【0017】
このような特性を有する材料であれば、鉄、木、FRP、コンクリート等からなるものを使用することができ、PC枕木、木枕木、合成枕木として市販されている既存の枕木素材を用いることができる。
【0018】
枕木締結板Mの張り出し長さ(d)は、レール締結板Mの偏荷重によって変形したときのレール締結面の傾きに注意しなければならないので、150〜600mmが好ましい。長さが短すぎると、変形時の傾きが顕著となり、車両の脱線、軌道の破壊につながるおそれがあり、長すぎると、カーブや風圧等によりレール締結板の両端に係る列車荷重が片方に偏ったときに、片方が浮いて片方が沈むという現象が発生し易く、車両の脱線、軌道の破壊につながるおそれがある。
【0019】
尚、枕木締結板の幅(レール方向の長さ)は、通常合成枕木として市販されているものと同様とされる。
【0020】
さらに、上記の範囲内であっても、偏荷重に対する安全を見越すことが重要である。すなわち、防振化に必要な許容変位を決めておき、この変位量まではばね定数は低いが、この値を超えるとばね定数が増大するような非線形をもつ弾性材(図16参照)を、レール締結板12の少なくともレール締結部分の下面に弾性材が取着しておくことで、不慮の偏荷重がおきた場合でもレールの極端な変位を抑えるようにすることができる。
【0021】
非線性をもつ弾性材は、レール締結板の列車通過時の枕木本体の端部を支点とした曲げ弾性変形の挙動を阻害しないように用いるべきである。従って、低荷重時のばね定数と高荷重時のばね定数の差が歴然としているものがより好ましい。そのような弾性材の具体例としては、図18(a)に示すように、ばね定数の異なる複数の弾性材を組み合わせて用いたものや、図18(b)に示すように、発泡倍率を傾斜的に変化させた発泡素材を用いたものや、図18(c)に示すように、ばね定数の低い弾性材中にばね定数の高い弾性材を分散させたもの等が挙げられる。
【0022】
【作用】
本発明の鉄道用弾性枕木は、路盤上にて列車荷重を支持する枕木本体の上部に、レールと直交する方向に張り出すレール締結板が設けられ、該レール締結板が、列車荷重が作用しないときにはレール締結部周辺の下面が路盤に接することがなく、列車通過時に前記枕木本体の端部を支点として曲げ弾性変形可能とされていることにより、列車走行時の荷重をレール締結板の曲げ弾性力に基づく上下振動によりよく分散させることができる。
【0023】
前記レール締結板を構成する材料が、曲げ弾性率5000MPa以上、且つ曲げ強度30MPa以上であると、従来の弾性枕木に比べて弾性材の耐久性が飛躍的に向上しているので、従来品のように頻繁に取り変える必要がない。
【0024】
前記レール締結板の少なくともレール締結部分の下面に弾性材が取着されていると、不慮の偏荷重がおきた場合でもレールの極端な変位を抑えるようにすることができ、また、列車走行時の荷重は主としてレール締結板の曲げ弾性力に基づく上下振動により分散させるので、弾性材の耐久性は大きく損なわれことがない。
【0025】
前記枕木本体の下部に、前記レール締結板と平行に路盤敷設板が設けられ、前記レール締結板のレール締結部分の下面に、列車荷重が作用しないときにはその下面が前記路盤敷設板に接することがない厚材が取着され、該厚材と前記路盤敷設板との間に弾性材が取着されており、列車通過時に前記レール締結板が、前記枕木本体の端部を支点として、前記弾性材を圧縮するように曲げ弾性変形可能とされておれば、列車通過時にレール締結板が枕木本体の端部を支点として曲げ弾性変形したときに弾性材が圧縮されることで、レール締結板の振動が減衰される。
【0026】
また、例えば、弾性材が劣化等で交換しなければならなくなった場合、従来の枕木の下に弾性材を敷く場合には、レールと枕木の両方を持ち上げて交換する必要があったが、本発明の枕木の場合は、レールや枕木を持ち上げることなく弾性材を交換できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の鉄道用弾性枕木の一例を示す正面図である。
図1に示すように、1はレールと直交して路盤に配置される鉄道用弾性枕木であって、枕木本体11とレール締結板12とからなる。
【0028】
枕木本体11は、路盤上にて列車荷重を支持する部材である。
枕木本体11は、路盤上にその下面が接するように敷設される。
枕木本体11の上部には、その両端部からそれぞれレールと直交する方向に両端部が張り出すように、レール締結板12の中央部が載置され、両者間が固定されている。固定方法としては、締結具を用いる方法であってもよいし、接着剤を用いる方法であってもよいし、両者間を嵌合する方法であってもよいし、これらの方法を組み合わせる方法であってもよい。
【0029】
このレール締結板12はレールと直交する方向に均一な肉厚を有するものからなる。
レール締結板12は、両端部の上面にレール締結部を有しており、列車荷重が作用しないときにレール締結部周辺の下面が路盤に接することなく、列車通過時に、前記枕木本体を支点として曲げ弾性変形可能とされている。
【0030】
図2は、本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
図2に示すように、この鉄道用弾性枕木2は、枕木本体21とレール締結板22とが同一の材料からなる一体物であること以外は、図1に示す鉄道用弾性枕木1と同じである。
この鉄道用弾性枕木2は、枕木本体21とレール締結板22とが同一の材料からなる一体物からなることにより、別体ものからなるもののように接合面を有しない点においてその強度に優れており、木材のように1つの原材から切り出したり、コンクリート材のように型を用いて一体成形することにより製造することができる。
【0031】
図3は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
図3に示すように、この鉄道用弾性枕木3は、枕木本体31とレール締結板32と路盤敷設板33とからなる。
この鉄道用弾性枕木3は、枕木本体31の下面に、レール締結板32と平行に路盤敷設板33が固定されていること以外は、図1に示す鉄道用弾性枕木1と同じである。この鉄道用弾性枕木3では路盤敷設板33が路盤上にその下面が接するように敷設される。
この鉄道用弾性枕木3は、路盤敷設板33を有することにより、路盤に対する路盤敷設板33によるレールと直交する方向への接触面積が増加することになるので、路盤のレールと直交する方向への列車走行時の荷重分散性が優れたものとなる。
【0032】
図4は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
図4に示すように、この鉄道用弾性枕木4は、枕木本体41とレール締結板42と補助板43とからなる。
この鉄道用弾性枕木4は、レール締結板42の下面の中央部に、枕木本体41の幅(レール方向の長さ)よりもレール方向の長さが長い補助板43が固定され、その補助板43の中央部が枕木本体41の上面に固定されていて、レール締結板42の断面曲げモーメント(I)が小さくなるようにされていること以外は、図1に示す鉄道用弾性枕木1と同じである。
【0033】
図5は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
図5に示すように、この鉄道用弾性枕木5は、枕木本体51とレール締結板52とからなる。
この鉄道用弾性枕木5は、レール締結板52の張り出し部分が中央部に向かうにつれて次第が肉厚が厚くなるようにされいて、レール締結板52の断面曲げモーメント(I)が小さくなっていること以外は、図1に示す鉄道用弾性枕木1と同じである。
このレール締結板52の張り出し部分の肉厚は、その平均肉厚が、均一な肉厚を有するものと同じとされているのが好ましい。
【0034】
図6は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木6は、枕木本体61の下面に、レール締結板62と平行に路盤敷設板64が固定されていて、路盤のレールと直交する方向への列車走行時の荷重分散性が優れたものとなっていること以外は、図4に示す鉄道用弾性枕木4と同じである。
【0035】
図7は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木7は、枕木本体71の下面に、レール締結板72と平行に路盤敷設板73が固定されていて、路盤のレールと直交する方向への列車走行時の荷重分散性が優れたものとなっていること以外は、図5に示す鉄道用弾性枕木5と同じである。
【0036】
図8は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木1′は、レール締結板12′の下面に弾性材13′,13′が取着されていること以外は、図1に示す鉄道用弾性枕木1と同じである。
この鉄道用弾性枕木1′は、レール締結板12′の下面に弾性材13′,13′が、カーブや風圧等によりレール締結板12′の両端に係る列車荷重が片方に偏った際の、片方が浮いて片方が沈むという現象の発生を抑制する働きをする。
尚、弾性材は、レール締結板12′の下面に列車荷重が作用しないときに、路盤との間を埋めつくすよう取着されていてもよいし、部分的に取着されていてもよい。
【0037】
図9は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木6′は、レール締結板62′のレール締結部の下面に厚材65′,65′が列車荷重が作用しないときに路盤との間に隙間を残すように取着されていること以外は、図6に示す鉄道用弾性枕木6と同じである。
この鉄道用弾性枕木6′は、例えば、木やFRPのからなるレール締結板62′に直接、またはタイプレートを介して、レールを固定する場合、ボルト、釘等をレール締結板62′に埋め込んで固定するが、この厚材65′,65′は、弾性設計によりレール締結板62′の厚みがボルト、釘等を埋め込む厚さを確保する役割を果たす。
【0038】
図10は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木3′は、レール締結板32′のレール締結部の下面に厚材34′,34′が列車荷重が作用しないときに路盤との間に隙間を残すように取着されており、厚材34′,34′と路盤敷設板34′との間に弾性材35′,35′が取着されていること以外は、図3に示す鉄道用弾性枕木6と同じである。
【0039】
この鉄道用弾性枕木3′は、例えば、木やFRPのからなるレール締結板32′に直接、またはタイプレートを介して、レールを固定する場合、ボルト、釘等をレール締結板32′に埋め込んで固定するが、この厚材34′,34′は、弾性設計によりレール締結板32′の厚みがボルト、釘等を埋め込む厚さを確保する役割を果たし、弾性材35′,35′は、列車通過時にレール締結板32′が枕木本体31′の端部を支点として曲げ弾性変形したときに、圧縮されることで、振動を減衰する役割を果たす。
【0040】
図11は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木7′は、レール締結板72′のレール締結部の下面に、列車荷重が作用しないときにはその下面が路盤敷設板73′の上面との間に隙間を残すように厚材74′,74′が取着されている。厚材74′,74′と路盤敷設板73′との間にその隙間を埋めるように弾性材75′,75′が取着されている。そして、列車通過時にレール締結板72′が、枕木本体71′の端部を支点として、弾性材75′,75′を圧縮するように曲げ弾性変形可能とされている。それ以外は、図7に示す鉄道用弾性枕木7と同じである。
【0041】
この鉄道用弾性枕木7′は、例えば、木やFRPのからなるレール締結板72′に直接、またはタイプレートを介して、レールを固定する場合、ボルト、釘等をレール締結板72′に埋め込んで固定するが、この厚材74′は、弾性設計によりレール締結板72′の厚みがボルト、釘等を埋め込む厚さを確保する役割を果たし、弾性材75′,75′は、列車通過時にレール締結板72′が枕木本体71′の端部を支点として曲げ弾性変形したときに、圧縮されることで、振動を減衰する役割を果たす。
【0042】
図12は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木6′′は、レール締結板62′′のレール締結部の下面に厚材65′′,65′′が列車荷重が作用しないときに路盤との間に若干の隙間を残すように取着されており、厚材65′′,65′′と路盤敷設板64′′との間に弾性材66′′,66′′が取着されていること以外は、図6に示す鉄道用弾性枕木6と同じである。
【0043】
この鉄道用弾性枕木6′′は、例えば、木やFRPのからなるレール締結板62′に直接、またはタイプレートを介して、レールを固定する場合、ボルト、釘等をレール締結板62′′に埋め込んで固定するが、この厚材65′′,65′′は、弾性設計によりレール締結板62′の厚みがボルト、釘等を埋め込む厚さを確保する役割を果たし、弾性材66′′,66′′は、列車通過時にレール締結板62′′が枕木本体61′′の端部を支点として曲げ弾性変形したときに、圧縮されることで、振動を減衰する役割を果たす。
【0044】
図13は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木3′′では、弾性材35′′,35′′が、それぞれ、厚材34′,34′側と路盤敷設板34′側とに上下に2分割され、上下間に隙間を有するように取着されていること以外は、図10に示す鉄道用弾性枕木6′と同じである。
【0045】
この鉄道用弾性枕木3′′は、例えば、木やFRPのからなるレール締結板32′′に直接、またはタイプレートを介して、レールを固定する場合、ボルト、釘等をレール締結板32′′に埋め込んで固定するが、この厚材34′′,34′′は、弾性設計によりレール締結板32′′の厚みがボルト、釘等を埋め込む厚さを確保する役割を果たし、それぞれ、上下に2分割された弾性材35′′,35′′は、列車通過時にレール締結板32′′が枕木本体31′′の端部を支点として曲げ弾性変形したときに、上下間の隙間が埋められて圧縮されることで、振動を減衰する役割を果たす。
【0046】
(実施例)
以下、本発明を実施例により説明する。
図14に示すように、素材が共に、積水化学工業社製、商品名「エスロンネオランバーFFU」(比重0.74)であって、図中に示す寸法を有する枕木本体81とレール締結板82とからなる鉄道用弾性枕木8を作成した。
この鉄道用弾性枕木8は、レール締結板82の張り出し部がレールの重心を通る鉛直線から中央部に向かうにつれて次第が肉厚が厚くなるようにされいて、レール締結板82の断面曲げモーメント(I)が小さくなっていること以外は、図1に示す鉄道用弾性枕木1と同じものである。
【0047】
この鉄道用弾性枕木8について、列車走行時のレール荷重(1締結当たりの荷重)を4トンと想定し、FEM解析を行ったところ、列車走行時の発生応力は、形状全域で破壊応力の1/3未満に抑えられていることを確認した。
【0048】
【発明の効果】
本発明の鉄道用枕木は、上記のとおりの構成とされているので、列車走行時の荷重を上下振動によりよく分散させることができ、しかも耐久性が飛躍的に向上している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の鉄道用弾性枕木の一例を示す正面図である。
【図2】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図3】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図4】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図5】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図6】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図7】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図8】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図9】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図10】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図11】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図12】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図13】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図14】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す説明図であり、(a )はその平面図、(b)はその正面図である。
【図15】 本発明の鉄道用弾性枕木におけるレール締結板の張り出し長さ
【図16】 本発明に使用される非線形の弾性材の例を説明するグラフである。
【図17】 (a)〜(c)は、それぞれ、本発明に使用される弾性材の例を説明する模式図である。
【符号の説明】
1,1′,2,3,3′,3′′,4,5,6,6′,6′′,7,7′,8
鉄道用弾性枕木
11,21,31,31′,31′′,41,51,61,61′,61′′,71,71′,81 枕木本体
12,22,32,32′,32′′,42,52,62,62′,62′′,72,72′,82 レール締結板
33,33′,33′′,64,64′,64′′路盤敷設板
13′ 弾性材
34′,34′′,65′,65′′ 厚材
35′,35′′,66′′,75′ 弾性材
【発明の属する技術分野】
本発明は、平行な2本のレールと直交して路盤に配置される鉄道用弾性枕木に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
古くから軌道の振動対策として、列車走行時の荷重を軌道の上下振動によって分散させることが行われており、枕木に関しては、枕木と路盤との間にゴムやウレタンエラストマー等からなる弾性材を配置する防振方法が知られている。そのような弾性材としては、例えば、断面内に中空孔を形成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この従来の方法の場合には、弾性材の耐久性が十分でないので、一定年数を経過した時点で弾性材を取り変える必要があった。弾性材の交換作業は、少なくともレールと枕木を持ち上げる必要があり、軌道保守の省力化という観点から好ましくない。現在、上記文献に記載のように、弾性材の耐久性の改良が検討されているが、十分な改良には至っていない。なぜなら、圧縮変形する材料は、荷重が大きくなるにつれてばね定数が上昇してしまうため、十分な上下振幅を得るには柔らかい材料を用いなければならず、耐久性の高い硬質材料の採用が困難だからである。
ここに、ばね定数とは、弾性材の特性値としての、列車の荷重を分散させるため弾性材を配置する場合、その弾性材に載荷された荷重を変位で割ったものをいう。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−73303号公報(第2−第3頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し、列車走行時の荷重を上下振動によりよく分散させることができ、しかも耐久性が飛躍的に向上した鉄道用弾性枕木を提供することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に記載の発明は、平行な2本のレールと直交して路盤に配置される鉄道用弾性枕木であって、路盤上にて列車荷重を支持する枕木本体の上部に、レールと直交する方向に張り出すレール締結板が設けられ、該レール締結板が、列車荷重が作用しないときにはレール締結部周辺の下面が路盤に接することがなく、列車通過時に前記枕木本体の端部を支点として曲げ弾性変形可能とされている鉄道用弾性枕木である。
【0007】
本願の請求項2に記載の発明は、さらに、前記レール締結板を構成する材料が、曲げ弾性率5000MPa以上、且つ曲げ強度30MPa以上である鉄道用弾性枕木である。
【0008】
本願の請求項3に記載の発明は、さらに、前記レール締結板の少なくともレール締結部分の下面に弾性材が取着されている鉄道用弾性枕木である。
【0009】
本願の請求項4に記載の発明は、さらに、前記枕木本体の下部に、前記レール締結板と平行に路盤敷設板が設けられ、前記レール締結板のレール締結部分の下面に、列車荷重が作用しないときにはその下面が前記路盤敷設板に接することがない厚材が取着され、該厚材と前記路盤敷設板との間に弾性材が取着されており、列車通過時に前記レール締結板が、前記枕木本体の端部を支点として、前記弾性材を圧縮するように曲げ弾性変形可能とされている鉄道用弾性枕木である。
【0010】
本発明において、枕木本体の材料としては、鉄、木、FRP、コンクリート等が挙げられる。PC枕木、木枕木、合成枕木として市販されている既存の枕木素材を用いることができる。合成枕木としては、例えば、硬質ウレタン樹脂をガラス長繊維で補強した発泡体(積水化学工業社製 商品名「エスロンネオランバーFFU」等)の単層品、或いは積層品等が、軽量で、丈夫で、且つ耐久性に優れているので好ましい。
枕木本体を構成するガラス繊維は、短繊維でも差し支えないが、長繊維の方が好適である。また、発泡樹脂としては、ウレタン樹脂のほか、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂などを使用することもできる。
【0011】
枕木本体のレールと直交する方向の長さは、300〜1200mmが好ましい。レールと直交する方向の長さが短かすぎると、カーブや風圧等によりレール締結板12の両端に係る列車荷重が片方に偏ったときに、片方が浮いて片方が沈むという現象が発生し易く、車両の脱線、軌道の破壊につながるおそれがあり、長すぎると、変形時の傾きが顕著となり、車両の脱線、軌道の破壊につながるおそれがある。
枕木本体の幅(レール方向の長さ)は、通常合成枕木として市販されているものと同様とされる。
【0012】
本発明において、レール締結板は、両端部に直接、またはタイプレートを介して、レールを固定するレール締結部を有する長尺板状体からなり、枕木本体の上にその中央部が固定されるものであってもよいし、枕木本体と同一の材料からなり一体化されたものであってもよい。
【0013】
枕木締結板の列車の荷重を分散させる特性値としてのばね定数(載荷された荷重を変位で割ったもの)は、レールRの重心を通る鉛直線と、枕木締結板Mの枕木本体Hの端部からのレールと直交する方向への張り出し長さ(以下、張り出し長さという)(d)を長くすることで、小さくすることができる〔第16図(a)参照〕。また、枕木締結板Mの枕木本体Hの端部からの張り出し部の肉厚を中央に向かうにつれて次第に厚くするようになすことにより、その断面2次モーメント(I)を端部に向かうにつれて段階的ないし連続的に小さくすることでも、小さくすることができる〔図16(b)参照〕。
【0014】
また、枕木締結板Mに列車荷重が作用したときに、枕木本体Hの端部を支点として曲げ変形するが、その変形のし易さは、材料の曲げ弾性率と剪断弾性率が関与する。しかしながら、これらの物性値が高くても、張り出し長さ(d)、断面2次モーメント(I)を調整することで、現実的に十分に低いばね定数の弾性枕木を設計することができる。
【0015】
例えば、曲げ弾性率8000MPa、剪断弾性率200MPaの硬質材料を用いて設計する場合、第16図(a)に示す状態の、枕木締結板Mの張り出し長さ(d)を30cm、断面2次モーメント(I)を2200cm4 にすると、ばね定数7トン/cmの枕木締結板Mが得られる。一般に、弾性枕木をコンクリート路盤に直接固定する直結軌道の場合、軌道防振化には、5〜10トン/cmのばね定数が必要とされるが、上記枕木締結板Mはこの範囲内に収まっている。
【0016】
以上から明らかなように、枕木締結板は、耐久性の観点から熱劣化が少なく硬質な材料を用いるのが好ましく、また、材料の上面及び下面に圧縮応力が集中するので、これらの応力レベルを下げる観点から、十分な高弾性率と高強度を有する材料を用いるのが好ましい。具体的には、枕木締結板は、曲げ弾性率5000MPa以上、且つ曲げ強度30MPa以上である材料を用いるのが好ましい。
【0017】
このような特性を有する材料であれば、鉄、木、FRP、コンクリート等からなるものを使用することができ、PC枕木、木枕木、合成枕木として市販されている既存の枕木素材を用いることができる。
【0018】
枕木締結板Mの張り出し長さ(d)は、レール締結板Mの偏荷重によって変形したときのレール締結面の傾きに注意しなければならないので、150〜600mmが好ましい。長さが短すぎると、変形時の傾きが顕著となり、車両の脱線、軌道の破壊につながるおそれがあり、長すぎると、カーブや風圧等によりレール締結板の両端に係る列車荷重が片方に偏ったときに、片方が浮いて片方が沈むという現象が発生し易く、車両の脱線、軌道の破壊につながるおそれがある。
【0019】
尚、枕木締結板の幅(レール方向の長さ)は、通常合成枕木として市販されているものと同様とされる。
【0020】
さらに、上記の範囲内であっても、偏荷重に対する安全を見越すことが重要である。すなわち、防振化に必要な許容変位を決めておき、この変位量まではばね定数は低いが、この値を超えるとばね定数が増大するような非線形をもつ弾性材(図16参照)を、レール締結板12の少なくともレール締結部分の下面に弾性材が取着しておくことで、不慮の偏荷重がおきた場合でもレールの極端な変位を抑えるようにすることができる。
【0021】
非線性をもつ弾性材は、レール締結板の列車通過時の枕木本体の端部を支点とした曲げ弾性変形の挙動を阻害しないように用いるべきである。従って、低荷重時のばね定数と高荷重時のばね定数の差が歴然としているものがより好ましい。そのような弾性材の具体例としては、図18(a)に示すように、ばね定数の異なる複数の弾性材を組み合わせて用いたものや、図18(b)に示すように、発泡倍率を傾斜的に変化させた発泡素材を用いたものや、図18(c)に示すように、ばね定数の低い弾性材中にばね定数の高い弾性材を分散させたもの等が挙げられる。
【0022】
【作用】
本発明の鉄道用弾性枕木は、路盤上にて列車荷重を支持する枕木本体の上部に、レールと直交する方向に張り出すレール締結板が設けられ、該レール締結板が、列車荷重が作用しないときにはレール締結部周辺の下面が路盤に接することがなく、列車通過時に前記枕木本体の端部を支点として曲げ弾性変形可能とされていることにより、列車走行時の荷重をレール締結板の曲げ弾性力に基づく上下振動によりよく分散させることができる。
【0023】
前記レール締結板を構成する材料が、曲げ弾性率5000MPa以上、且つ曲げ強度30MPa以上であると、従来の弾性枕木に比べて弾性材の耐久性が飛躍的に向上しているので、従来品のように頻繁に取り変える必要がない。
【0024】
前記レール締結板の少なくともレール締結部分の下面に弾性材が取着されていると、不慮の偏荷重がおきた場合でもレールの極端な変位を抑えるようにすることができ、また、列車走行時の荷重は主としてレール締結板の曲げ弾性力に基づく上下振動により分散させるので、弾性材の耐久性は大きく損なわれことがない。
【0025】
前記枕木本体の下部に、前記レール締結板と平行に路盤敷設板が設けられ、前記レール締結板のレール締結部分の下面に、列車荷重が作用しないときにはその下面が前記路盤敷設板に接することがない厚材が取着され、該厚材と前記路盤敷設板との間に弾性材が取着されており、列車通過時に前記レール締結板が、前記枕木本体の端部を支点として、前記弾性材を圧縮するように曲げ弾性変形可能とされておれば、列車通過時にレール締結板が枕木本体の端部を支点として曲げ弾性変形したときに弾性材が圧縮されることで、レール締結板の振動が減衰される。
【0026】
また、例えば、弾性材が劣化等で交換しなければならなくなった場合、従来の枕木の下に弾性材を敷く場合には、レールと枕木の両方を持ち上げて交換する必要があったが、本発明の枕木の場合は、レールや枕木を持ち上げることなく弾性材を交換できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の鉄道用弾性枕木の一例を示す正面図である。
図1に示すように、1はレールと直交して路盤に配置される鉄道用弾性枕木であって、枕木本体11とレール締結板12とからなる。
【0028】
枕木本体11は、路盤上にて列車荷重を支持する部材である。
枕木本体11は、路盤上にその下面が接するように敷設される。
枕木本体11の上部には、その両端部からそれぞれレールと直交する方向に両端部が張り出すように、レール締結板12の中央部が載置され、両者間が固定されている。固定方法としては、締結具を用いる方法であってもよいし、接着剤を用いる方法であってもよいし、両者間を嵌合する方法であってもよいし、これらの方法を組み合わせる方法であってもよい。
【0029】
このレール締結板12はレールと直交する方向に均一な肉厚を有するものからなる。
レール締結板12は、両端部の上面にレール締結部を有しており、列車荷重が作用しないときにレール締結部周辺の下面が路盤に接することなく、列車通過時に、前記枕木本体を支点として曲げ弾性変形可能とされている。
【0030】
図2は、本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
図2に示すように、この鉄道用弾性枕木2は、枕木本体21とレール締結板22とが同一の材料からなる一体物であること以外は、図1に示す鉄道用弾性枕木1と同じである。
この鉄道用弾性枕木2は、枕木本体21とレール締結板22とが同一の材料からなる一体物からなることにより、別体ものからなるもののように接合面を有しない点においてその強度に優れており、木材のように1つの原材から切り出したり、コンクリート材のように型を用いて一体成形することにより製造することができる。
【0031】
図3は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
図3に示すように、この鉄道用弾性枕木3は、枕木本体31とレール締結板32と路盤敷設板33とからなる。
この鉄道用弾性枕木3は、枕木本体31の下面に、レール締結板32と平行に路盤敷設板33が固定されていること以外は、図1に示す鉄道用弾性枕木1と同じである。この鉄道用弾性枕木3では路盤敷設板33が路盤上にその下面が接するように敷設される。
この鉄道用弾性枕木3は、路盤敷設板33を有することにより、路盤に対する路盤敷設板33によるレールと直交する方向への接触面積が増加することになるので、路盤のレールと直交する方向への列車走行時の荷重分散性が優れたものとなる。
【0032】
図4は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
図4に示すように、この鉄道用弾性枕木4は、枕木本体41とレール締結板42と補助板43とからなる。
この鉄道用弾性枕木4は、レール締結板42の下面の中央部に、枕木本体41の幅(レール方向の長さ)よりもレール方向の長さが長い補助板43が固定され、その補助板43の中央部が枕木本体41の上面に固定されていて、レール締結板42の断面曲げモーメント(I)が小さくなるようにされていること以外は、図1に示す鉄道用弾性枕木1と同じである。
【0033】
図5は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
図5に示すように、この鉄道用弾性枕木5は、枕木本体51とレール締結板52とからなる。
この鉄道用弾性枕木5は、レール締結板52の張り出し部分が中央部に向かうにつれて次第が肉厚が厚くなるようにされいて、レール締結板52の断面曲げモーメント(I)が小さくなっていること以外は、図1に示す鉄道用弾性枕木1と同じである。
このレール締結板52の張り出し部分の肉厚は、その平均肉厚が、均一な肉厚を有するものと同じとされているのが好ましい。
【0034】
図6は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木6は、枕木本体61の下面に、レール締結板62と平行に路盤敷設板64が固定されていて、路盤のレールと直交する方向への列車走行時の荷重分散性が優れたものとなっていること以外は、図4に示す鉄道用弾性枕木4と同じである。
【0035】
図7は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木7は、枕木本体71の下面に、レール締結板72と平行に路盤敷設板73が固定されていて、路盤のレールと直交する方向への列車走行時の荷重分散性が優れたものとなっていること以外は、図5に示す鉄道用弾性枕木5と同じである。
【0036】
図8は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木1′は、レール締結板12′の下面に弾性材13′,13′が取着されていること以外は、図1に示す鉄道用弾性枕木1と同じである。
この鉄道用弾性枕木1′は、レール締結板12′の下面に弾性材13′,13′が、カーブや風圧等によりレール締結板12′の両端に係る列車荷重が片方に偏った際の、片方が浮いて片方が沈むという現象の発生を抑制する働きをする。
尚、弾性材は、レール締結板12′の下面に列車荷重が作用しないときに、路盤との間を埋めつくすよう取着されていてもよいし、部分的に取着されていてもよい。
【0037】
図9は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木6′は、レール締結板62′のレール締結部の下面に厚材65′,65′が列車荷重が作用しないときに路盤との間に隙間を残すように取着されていること以外は、図6に示す鉄道用弾性枕木6と同じである。
この鉄道用弾性枕木6′は、例えば、木やFRPのからなるレール締結板62′に直接、またはタイプレートを介して、レールを固定する場合、ボルト、釘等をレール締結板62′に埋め込んで固定するが、この厚材65′,65′は、弾性設計によりレール締結板62′の厚みがボルト、釘等を埋め込む厚さを確保する役割を果たす。
【0038】
図10は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木3′は、レール締結板32′のレール締結部の下面に厚材34′,34′が列車荷重が作用しないときに路盤との間に隙間を残すように取着されており、厚材34′,34′と路盤敷設板34′との間に弾性材35′,35′が取着されていること以外は、図3に示す鉄道用弾性枕木6と同じである。
【0039】
この鉄道用弾性枕木3′は、例えば、木やFRPのからなるレール締結板32′に直接、またはタイプレートを介して、レールを固定する場合、ボルト、釘等をレール締結板32′に埋め込んで固定するが、この厚材34′,34′は、弾性設計によりレール締結板32′の厚みがボルト、釘等を埋め込む厚さを確保する役割を果たし、弾性材35′,35′は、列車通過時にレール締結板32′が枕木本体31′の端部を支点として曲げ弾性変形したときに、圧縮されることで、振動を減衰する役割を果たす。
【0040】
図11は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木7′は、レール締結板72′のレール締結部の下面に、列車荷重が作用しないときにはその下面が路盤敷設板73′の上面との間に隙間を残すように厚材74′,74′が取着されている。厚材74′,74′と路盤敷設板73′との間にその隙間を埋めるように弾性材75′,75′が取着されている。そして、列車通過時にレール締結板72′が、枕木本体71′の端部を支点として、弾性材75′,75′を圧縮するように曲げ弾性変形可能とされている。それ以外は、図7に示す鉄道用弾性枕木7と同じである。
【0041】
この鉄道用弾性枕木7′は、例えば、木やFRPのからなるレール締結板72′に直接、またはタイプレートを介して、レールを固定する場合、ボルト、釘等をレール締結板72′に埋め込んで固定するが、この厚材74′は、弾性設計によりレール締結板72′の厚みがボルト、釘等を埋め込む厚さを確保する役割を果たし、弾性材75′,75′は、列車通過時にレール締結板72′が枕木本体71′の端部を支点として曲げ弾性変形したときに、圧縮されることで、振動を減衰する役割を果たす。
【0042】
図12は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木6′′は、レール締結板62′′のレール締結部の下面に厚材65′′,65′′が列車荷重が作用しないときに路盤との間に若干の隙間を残すように取着されており、厚材65′′,65′′と路盤敷設板64′′との間に弾性材66′′,66′′が取着されていること以外は、図6に示す鉄道用弾性枕木6と同じである。
【0043】
この鉄道用弾性枕木6′′は、例えば、木やFRPのからなるレール締結板62′に直接、またはタイプレートを介して、レールを固定する場合、ボルト、釘等をレール締結板62′′に埋め込んで固定するが、この厚材65′′,65′′は、弾性設計によりレール締結板62′の厚みがボルト、釘等を埋め込む厚さを確保する役割を果たし、弾性材66′′,66′′は、列車通過時にレール締結板62′′が枕木本体61′′の端部を支点として曲げ弾性変形したときに、圧縮されることで、振動を減衰する役割を果たす。
【0044】
図13は、本発明の鉄道用弾性枕木の更に別の例を示す正面図である。
この鉄道用弾性枕木3′′では、弾性材35′′,35′′が、それぞれ、厚材34′,34′側と路盤敷設板34′側とに上下に2分割され、上下間に隙間を有するように取着されていること以外は、図10に示す鉄道用弾性枕木6′と同じである。
【0045】
この鉄道用弾性枕木3′′は、例えば、木やFRPのからなるレール締結板32′′に直接、またはタイプレートを介して、レールを固定する場合、ボルト、釘等をレール締結板32′′に埋め込んで固定するが、この厚材34′′,34′′は、弾性設計によりレール締結板32′′の厚みがボルト、釘等を埋め込む厚さを確保する役割を果たし、それぞれ、上下に2分割された弾性材35′′,35′′は、列車通過時にレール締結板32′′が枕木本体31′′の端部を支点として曲げ弾性変形したときに、上下間の隙間が埋められて圧縮されることで、振動を減衰する役割を果たす。
【0046】
(実施例)
以下、本発明を実施例により説明する。
図14に示すように、素材が共に、積水化学工業社製、商品名「エスロンネオランバーFFU」(比重0.74)であって、図中に示す寸法を有する枕木本体81とレール締結板82とからなる鉄道用弾性枕木8を作成した。
この鉄道用弾性枕木8は、レール締結板82の張り出し部がレールの重心を通る鉛直線から中央部に向かうにつれて次第が肉厚が厚くなるようにされいて、レール締結板82の断面曲げモーメント(I)が小さくなっていること以外は、図1に示す鉄道用弾性枕木1と同じものである。
【0047】
この鉄道用弾性枕木8について、列車走行時のレール荷重(1締結当たりの荷重)を4トンと想定し、FEM解析を行ったところ、列車走行時の発生応力は、形状全域で破壊応力の1/3未満に抑えられていることを確認した。
【0048】
【発明の効果】
本発明の鉄道用枕木は、上記のとおりの構成とされているので、列車走行時の荷重を上下振動によりよく分散させることができ、しかも耐久性が飛躍的に向上している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の鉄道用弾性枕木の一例を示す正面図である。
【図2】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図3】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図4】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図5】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図6】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図7】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図8】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図9】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図10】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図11】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図12】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図13】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す正面図である。
【図14】 本発明の鉄道用弾性枕木の別の例を示す説明図であり、(a )はその平面図、(b)はその正面図である。
【図15】 本発明の鉄道用弾性枕木におけるレール締結板の張り出し長さ
【図16】 本発明に使用される非線形の弾性材の例を説明するグラフである。
【図17】 (a)〜(c)は、それぞれ、本発明に使用される弾性材の例を説明する模式図である。
【符号の説明】
1,1′,2,3,3′,3′′,4,5,6,6′,6′′,7,7′,8
鉄道用弾性枕木
11,21,31,31′,31′′,41,51,61,61′,61′′,71,71′,81 枕木本体
12,22,32,32′,32′′,42,52,62,62′,62′′,72,72′,82 レール締結板
33,33′,33′′,64,64′,64′′路盤敷設板
13′ 弾性材
34′,34′′,65′,65′′ 厚材
35′,35′′,66′′,75′ 弾性材
Claims (4)
- 平行な2本のレールと直交して路盤に配置される鉄道用弾性枕木であって、路盤上にて列車荷重を支持する枕木本体の上部に、レールと直交する方向に張り出すレール締結板が設けられ、該レール締結板が、列車荷重が作用しないときにはレール締結部周辺の下面が路盤に接することがなく、列車通過時に前記枕木本体の端部を支点として曲げ弾性変形可能とされていることを特徴とする鉄道用弾性枕木。
- 前記レール締結板を構成する材料が、曲げ弾性率5000MPa以上、且つ曲げ強度30MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の鉄道用弾性枕木。
- 前記レール締結板の少なくともレール締結部分の下面に弾性材が取着されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉄道用弾性枕木。
- 前記枕木本体の下部に、前記レール締結板と平行に路盤敷設板が設けられ、前記レール締結板のレール締結部分の下面に、列車荷重が作用しないときにはその下面が前記路盤敷設板の上面に接することがない厚材が取着され、該厚材と前記路盤敷設板との間に弾性材が取着されており、列車通過時に前記レール締結板が、前記枕木本体の端部を支点として、前記弾性材を圧縮するように曲げ弾性変形可能とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉄道用弾性枕木。
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