JP3872369B2 - ホオノキ葉の加工品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホオノキの葉(以下ホオ葉とする)を茶葉ないしエキスとして利用する技術に関し、特に、有効成分を備えると同時に、風味や旨味を失わずに苦みやえぐ味など除いて、嗜好性や有用性を備える茶葉ないし飲食、経口、外用、および栄養補給などに適した加工品を製造する技術に関する。
【0002】
【従来技術】
ホオノキは別名ホオガシワの木と呼ばれ、ホオノキの樹皮は和厚朴(ワコウボク)として収斂、利尿、去痰などの家庭薬に配合されている他、漢方では気管支喘息などに用いる厚朴麻黄湯や神秘湯、半夏厚朴湯、大承気湯などに配合されている。
また、ホオノキ樹皮にはマグノロール(1.0〜2.5%)、ホオノキオール(0.1〜0.5%)等のリグナン、ユーデスモールのようなテルペン系の精油及びマグノクラリン等のアルカロイド成分(0.007%)を含んでいる。これらの各種成分には、鎮静、抗痙攣作用、中枢性筋弛緩作用があることも報告されている。その花には、フラボノール配糖体のルチンが含まれている。ホオノキの葉の長軸は30cmにもなり、葉は大きくて香りが良いため、おにぎりや、味噌や生物を蒸し焼にする時の容器として使用されてきている。
特許第2886523号公報には、マグノロールやホオノキオールなどには、ガン転移抑制作用があることが開示されている。
【0003】
一方、一般に、植物の葉を加工して食品とする技術としては、茶葉とする他、抽出エキスを始めとして各種の製剤あるいは食品とすることが知られている。製剤化する際には、特に、有効成分の安定性や、苦味物質などのマスキングなどを考慮する必要がある。かかる製剤化のための技術としては、(シクロデキストリンによる包接化方法、酵素分解マスキング方法等、特許2717509−11号、2705787号、特平開4−9335、6−316537、7−252150、8−245350号、特表平6−501027、特公平5−176739号に開示される技術がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
マグノロールやホオノキオールなどの成分は、ホオ葉にも含まれている。ホオ葉は採集が容易であるという利点がある。このため、ホオ葉を飲食可能に加工することが望まれる。
しかしながら、ホオ葉は、その葉柄や葉脈に、少量ではあるが、樹皮同様、麻痺性、クラーレ様毒性作用を有するユーデスモールやマグノクラリンなどアルカロイド成分を含有しているために、従来食品の包装容器として利用されるものの食用として利用されてこなかった。したがって、飲食用として利用する場合には、これらのアルカロイド成分を除去する必要がある。
また、ホオ葉は苦味やえぐ味が強く、これらの呈味物質は、一般に、物理化学的に不安定、吸湿性が強い、飛散性が強い、接着性の強い等の性質を有し、製剤化を困難化する要因となっている。常法に従ってアルカロイド物質を除去して得たホオ葉エキスは、強い苦味を有し、苦味呈味物質を多量に含有している。このため、ホオ葉エキスの顆粒剤、錠剤への製剤加工上においては、数々の制限があるとともに、マスキングを施しても苦味が残り、好ましい嗜好性を得ることができなかった。これらの理由から、従来、ホオ葉の加工食品などの製造を実質上不可能となっていた。
さらに、常法に従って得たホオ葉エキスには色素系物質も多く含まれており、かかる色素系物質は溶解性が高いため、マスキングを施しても、経口服用時に口腔内や歯根部分を着色する等の問題があった。
一方、これらの苦味物質や色素系物質は、何らかの生理活性を有する有効成分である場合が多く、過度にこれらを除去ないし分解するような処理や操作を回避する必要性もある。
【0005】
そこで、本発明では、ホオ葉からの有効性成分を含有する一方、苦味成分などが低下されたホオ葉加工品を製造する技術を提供することを、その目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するべく、本発明者らは、苦味、えぐ味を軽減あるいは除去できる各種手法につき検討したところ、乾燥したホオ葉に対して、所定の条件での加熱焙煎工程を実施することで、上記した課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
さらに、本発明者らは、上記加熱焙煎工程実施後の茶葉材料からエキスを取得し、このエキスに所定組成のマスキングを施すことにより、溶出性を確保しつつ嗜好性を向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
【0007】
(1)ホオノキ葉の加工品の製造方法であって、
前記ホオノキ葉の生葉を葉柄と葉肉に分離し、前記葉肉と前記葉柄を、重量比9:1〜3:7の範囲で配合したのち、それらの全体形状をおおよそ維持した状態で乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥後の前記葉肉及び前記葉柄を細断して焙煎する焙煎工程とを備え、
前記焙煎工程は、前記細断した前記葉肉及び前記葉柄中の身水を除去するために100℃以上150℃以下の温度域にて焙煎する第1の焙煎工程と、180℃以上250℃以下の温度域にて焙煎する第2の焙煎工程とを備える、製造方法。
(2)前記(1)に記載の方法によって得られる、茶葉。
(3)マグノロールを含有する、前記(2)に記載の茶葉。
(4)前記(2)又は(3)に記載のホオノキの茶葉と、
緑茶葉、柿葉、桃葉、イチョウ葉、社仲葉、ドクダミ葉、ハト麦、蜜柑皮、あけびの蔓、桑の葉、キクイモ、サラシア、タラノメ、アガリクス、メシマコブ、霊芝、高麗ニンジンならびにその葉、および田七ニンジンならびにその葉からなる群から選択される1種あるいは2種以上の茶、とを含有する、茶葉組成物。
(5)前記(2)又は(3)に記載のホオノキの茶葉を水および/または親水性有機溶媒で抽出して得られるエキス。
【0008】
これらの発明によれば、上記焙煎工程の実施により、効果的に苦味やえぐ味を呈する成分を減少させあるいは除去することができる。このため、ホオ葉由来の有効成分を不活性化ないし除去することが抑制されると同時に、飲食や外用に適した加工品を得ることができるようになる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のホオ葉の加工品の製造方法は、乾燥したホオ葉を焙煎する工程を備えている。好ましくは、焙煎工程は、第1の温度域における第1の焙煎工程と、第1の温度域よりも高い第2の温度域における第2の焙煎工程、とを備えている。
これらの工程により得られる一次加工品(ホオ葉の焙煎品)は、典型的には、ホオノキ茶葉である。さらに、この茶葉から常法に従い、二次加工品としてホオ葉エキスを得ることもできる。
また、本発明のホオ葉加工品は、乾燥したホオ葉を、焙煎して得られる茶葉であって、好ましくは、100℃以上150℃以下の温度で焙煎し、次いで180℃以上250℃以下の温度で焙煎して得られる茶葉、あるいは、マグノロールを含有し、アルカロイド成分が、0.01wt%以下である、茶葉を含有している。
さらに、本発明のエキスは、これらの工程によって得られた加工品(一次加工品としての茶葉)から常法により抽出したホオ葉エキスである。また、本発明のエキス組成物は、前記ホオ葉エキスを含有する形態の他、所定組成で前記エキスとマスキング剤とを含有する粒状剤の形態を採ることができる。さらに、本発明の組成物は、エキス及び/又はエキス含有マスキング粒状剤とともに茶葉を含有する形態を採ることができる。また、本発明の茶葉組成物は、ホウ葉茶葉他、各種茶葉を含むことができる。
【0010】
(ホオ葉)
本発明において用いるホオ葉は、モクレン科植物のホオノキ(Magnolia obovata、和厚朴)の葉である。なお、ホオ葉のホモログもホオ葉と同様に本発明において用いることができる。ホオ葉のホモログとは、マグノロール、ホオノキオールのうち1種あるいは2種を含有している葉を意味している。好ましくは、モクレン科植物においてホオノキと同属に属する植物あるいは近縁種の葉である。例えば、カラホオ(Magnolia officinalis、唐厚朴)及びその変種(Magnolia officinalis var. biloba、同上)の葉である。
【0011】
ホオ葉は、葉柄と葉肉とに分離し、適宜配合して用いる。通常、葉肉よりも葉柄にその苦味やえぐ味を呈する成分が多く含まれ、葉肉には、甘い香り成分が含まれている。したがって、必要に応じて適宜これらの配合を変化させることにより、茶葉ないしエキスの嗜好性を変化させることができる。
例えば、葉肉:葉柄(重量比)で9:1〜5:5の範囲であると、風味と甘味とをバランスよく有する茶葉を得ることができる。葉柄の重量比が葉肉を超えると、苦味やえぐ味が強くなる傾向がある。好ましくは、葉肉:葉柄の重量比が9:1〜6:4である。
【0012】
(乾燥工程)
本発明においては、まず、採集した生ホオ葉を乾燥することが好ましい。予め乾燥しておくことにより、後に実施する焙煎工程を短時間で効果的に実施することができるようになる。乾燥工程において目的とする乾燥状態は、たとえば、水分が5〜10%以下(乾燥減量(105℃、6時間))か、あるいは、触感として、パリパリ状態で、手で揉みほぐせる程度ないしやや水分を含む程度にまでとする。また、乾燥が進行するにつれ、ホオ葉は、緑色、灰緑色、緑褐色、灰褐色、褐色、茶褐色に変化するが、おおよそ、緑褐色以上の呈色状態にまで乾燥することで目的とする乾燥状態とすることができる。より好ましくは、灰褐色以上である。
乾燥方法は、日陰で乾燥する、通気乾燥、あるいは加熱乾燥他、常法により実施することができるが、好ましくは、加熱乾燥である。加熱乾燥により、同時に、ホオ葉の酵素を失活させることができ、その後の葉の成分組成の変化を防止できる。
【0013】
加熱乾燥工程は、45℃以上で150℃以下の範囲で、目的とする乾燥状態にまでホオ葉を乾燥することが好ましい。所要時間は、乾燥工程に供するホオ葉の状態によっても異なるが、生葉を乾燥する場合、少なくとも2時間、好ましくは4時間以上10時間以下、より好ましくは、4時間以上8時間以下とする。
また、温度は、好ましくは110℃以下であり、さらに好ましくは80°以上110℃以下とする。80℃以上110℃以下であると、4時間〜8時間でほぼ十分な乾燥状態を得ることができる。80℃未満であると、乾燥時間が長くなりすぎる傾向があり、また、110℃を超えると、有効成分の分解の恐れが大きくなる。
なお、乾燥工程は、葉肉と葉柄の形状をおおよそ維持した状態で行う。
【0014】
(焙煎工程)
焙煎工程は、乾燥したホオ葉を、短時間で焙煎する工程である。焙煎工程は、好ましくは、第1の温度域における焙煎工程と第2の温度域における焙煎工程とを備えている。
焙煎工程は、細断された乾燥ホオ葉について行う。ホオ葉は、乾燥工程後において、手作業あるいは機械的にもみほぐすことにより細断することができる。細断片の大きさは、特に限定しないが、5mm角程度とすることが好ましい。
【0015】
焙煎工程は、乾燥工程に引き続いて連続実施することもできる。例えば、乾燥工程においてホオ葉に供給された熱が残留している間に焙煎工程を実施することもできる。また、一旦、調湿された雰囲気内で保存したものなど冷却後のものを焙煎工程に供することもできる。
【0016】
第1の温度域は、100℃以上150℃以下とすることが好ましい。この温度域において、乾燥工程後もなおホオ葉に残留する内部水分(身水ともいう。)を効果的に蒸発させることができる。100℃未満であると、結合水の蒸発が促進されないからである。より好ましくは、100℃以上135℃以下である。
また、短時間で結合水を速やかに蒸発させる観点から、時間は数分から長くて十数分程度であることが好ましく、より好ましくは、2分以上10分以内であり、さらに好ましくは3分以上5分以下とする。
【0017】
第2の温度域は、第1の温度域よりも高温の温度域とする。第1の焙煎工程実施後にかかる第2の焙煎工程を実施することにより、苦味成分やアルカロイド成分を有効に消失させることができる。好ましくは、温度域は、180℃以上250℃以下である。この温度域内であると、風味、香りとともに、マグノロールをよく維持しつつ、アルカロイド系成分や苦味成分が結果として除去された茶葉を効果的に得ることができる。180℃未満であると、苦味成分などの除去が不充分になる傾向があり、250℃を超えると、風味が低下する傾向がある。より好ましくは、180℃以上200℃以下である。
焙煎時間は、特に限定しないが、長時間の加熱は、有効成分や香りの消失につながるため、時間は数分から長くて十数分程度であることが好ましく、より好ましくは、2分以上10分以内であり、さらに好ましくは3分以上5分以下とする。
【0018】
第2の焙煎工程は、第1の焙煎工程に引き続いて連続的に実施することが好ましい。かかる連続実施により、内部水分の除去と苦味成分等の消失とを有効に達成することができる。第1の焙煎工程を実施直後の葉に対して直ちに第2の焙煎工程を実施することが好ましいが、第1の焙煎工程でホオ葉に供給された熱がおおよそ維持される程度に第1の焙煎工程と第2の焙煎工程の間隔が空くのは連続実施に包含されるものである。
【0019】
例えば、本発明における第1の焙煎工程と第2の焙煎工程は、次のようにして実施することができる。ホオ葉の細断片を、第1の温度域に加熱された中空オーブン内を所定時間通過させ、その後、第2の温度域に加熱された中空オーブン内を通過させるようにする。各オーブン内においては、ホオ葉は、攪拌混合されながら移動するようにすることが好ましい。
【0020】
なお、第1の温度域から第2の温度域への移行は、許容される時間内での昇温工程を伴なうこともできる。昇温工程はできるだけ短時間であることが好ましい。
【0021】
(ホオノキ茶葉及び茶葉組成物)
このような焙煎工程を実施することで、本発明のホオ葉の一次加工品、すなわち、ホオノキ茶葉を得ることができる。
かかる茶葉によれば、苦味成分やアルカロイド成分が効果的に消失されており有効成分と嗜好性とを兼ね備えた茶葉となっている。
得られた茶葉は、従来からの茶葉とする他、茶飲料の形態を採ることもできる。また、粉砕して粉状茶としたり、あるいはそのままないし、せんべい、まんじゅう、羊羹などの菓子や、味噌、ジャム、ふりかけなどの加工食品に混ぜて食用とするなどの形態を採ることができる。
あるいは、従来公知の各種茶葉、すなわち、緑茶葉、柿葉、桃葉、イチョウ葉、社仲葉、ドクダミ葉、ハト麦、蜜柑皮、あけびの蔓、桑の葉、キクイモ、サラシア、タラノメ、アガリクス、メシマコブ、霊芝、高麗ニンジンならびにその葉、および田七ニンジンならびにその葉からなる群から選択される1種あるいは2種以上の材料と組み合わせて茶葉組成物として提供することもできる。かかる茶葉組成物においても、茶葉は従来の細片状であってもよいし、粉状であってもよいし、各種形態が混在していてもよい。また、飲料として提供することもできる。
【0022】
特に、本発明のホオノキ茶葉は、マグノロールを含有している。マグノロールは0.100wt%以下の範囲で含有することが好ましい。マグノロールは、好ましくは、0.002wt%以上0.090wt%以下含有する。0.002wt%未満であると、風味や有効性も低くなりがちであり、0.090wt%を超えると、苦味などが増加する傾向にあるからである。より好ましくは、上限は0.080wt%以下であり、さらに好ましくは0.070wt%以下である。
一方、アルカロイド成分(マグノクラリン、マグノフロリン、サリシホリンなど)が所定の検出方法において総量で0.01wt%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.005wt%以下であり、さらに好ましくは、0.001wt%以下であり、最も好ましくは、0.0005%以下である。
【0023】
マグノロールは、例えば、以下の方法に準じて定量することができる。
ホオノキ茶葉の約50gを300mLのナス型フラスコに秤量し、エーテル200mLを加えた還流冷却器を取り付けた後、50℃以下の水浴で1時間加熱する。冷後ろ過(定量用ろ紙)でろ過し、残査にさらにエーテル200mLを加え同様に操作する。エーテル層を合わせ、エバポレーターで減圧留去する。残留物にメタノールを加えて溶解し、メタノールで正確に20mLとし試料溶液とする。
マグノロール標準品10mgを秤取し、メタノールに溶解し正確に20mLとし標準溶液とした。HPLC条件は、オクダデシルシラノール基を修飾したシリカゲル(粒子径5μm、TSKgelトソー社)を4mm径長さ15cmのカラムに充墳したものを用い、移動相に水:アセトニトリル:酢酸混液(40:60:1)を毎分1.0mLで流し、紫外線吸光光度計(294nm)でマグノロールを検出し、含量を算出する。なお、ホオノキ葉エキスについても同様にこの方法を適用できる。この場合、試料採取量は約5gとすることができる。
【0024】
また、アルカロイド成分の検出には次の検出方法(TLC法)を適用することができる。また、HPLC法によっても、当該TLC法と同等の検出感度でアルカロイド成分を確認することができる。
【0025】
(薄層クロマトグラフ法:TLC法)
ホオノキ茶葉の約5gを遠沈管に取り、0.1M塩酸:メタノール(1:1)溶液を50mLを加え、30分間振とうした。遠心分離(3000r.p.m.で5分間)後、上澄液を、薄層クロマトグラフ法により定性分析を行う。薄層板は蛍光剤入りシリカゲル(200μm、メルク社F254+365)を用い110℃で30分活性化させた後、デシケータ(シリカゲル)で放冷した。標準物質としてマグノクラリン約2mgを精秤し、同様の操作を行った。試料溶液と標準溶液のそれぞれ10μLを薄層板の下端から2cmのところに右から順次2.5cm置きに塗布した。トルエン:酢酸エチル:ジエチルアミン(70:20:10)を展開溶媒として約10cm展開した後、風乾した。薄層板に紫外線照射(UV−365nm)及びドラーゲンドルフ試液の噴霧によりスポットを確認し、Rf値を測定する。他のアルカロイド成分についても、同様に標準品を用いて検出することができる。
なお、ホオノキ葉エキスについても、同様にこの方法を適用できる。採取量は5g程度とすることができる。
【0026】
(高速液体クロマトグラフ法:HPLC法)
ホオノキ葉茶の50gを遠沈管に取り、エタノールに0.1M塩酸を10%添加した液20mLを加えて45℃で加温して溶解した後、振とう抽出した。遠心分離機(3000r.p.m)で10分間遠心分離し、上澄液をメスフラスコに取りエタノール正確に50mLとし、HPLC法で測定する。標準溶液を調製し、この標準液のピーク(高さあるいは面積)と保持時間とから、試料中のマグノクラリンなどのアルカロイド成分の有無ないし含有量を測定する。なお、HPLC条件は、上記マグノロールと同様の条件を採用することができる。
なお、上記したマグノロールのHPLC法に適用した試料溶液調製方法によって得られた試料溶液であっても、採用することができる。また、ホオノキ葉エキスについても、同様にこの方法を適用できる。採取量は5g程度とすることができる。
【0027】
(ホオ葉エキス)
本発明のホオ葉エキスは、上記工程で得られた茶葉を、常法により抽出してエキスとすることにより得ることができる。エキス製造工程は、特に限定しないで各種公知の方法を採用することができる。
ホオノキ茶葉は、水及び/又は親水性有機溶媒(メタノール、エタノールなどのアルコール、アセトンなどのケトン類を含む。好ましくは、エタノールである。)で抽出することによりエキス化することができる。通常は、熱水あるいは希エタノール(エタノール50wt%の水溶液)により、抽出する。
以下、熱水抽出と希エタノールによるエキス製造工程の一例について説明する。
【0028】
(熱水抽出エキスの製造例)
焙煎された茶葉をミキサーなどで粉末にし、その約500gを秤取し、2Lのビーカーに入れる。これに蒸留水500mLを加え約30分間浸積する。さらに、蒸留水500mLを追加しホットプレート上或いはバーナーで約3時間煮する。冷後、ガーゼをろ布とした広口のロートでろ過する。残査に、蒸留水1Lを加え約1時間煮沸する。冷後、同様にろ過する。ろ液は合わせ、定性用ろ紙を用いて再度ろ過する。200mLのビーカーに分注し、凍結する。凍結乾燥機を用い乾燥し、乾燥粉末を熱水抽出エキスとする。
【0029】
(希エタノールエキスの製造例)
熱水抽出エキスの製造例と同様、粉末とした茶葉約500gを秤取し、2Lのビーカーに入れる。希エタノールを500mLに約30分間浸積する。さらに希エタノール500mLを追加しよくかき混ぜ、約24時間放置する。定性用ろ紙を通し口のロートでろ過する。抽出液の保存は冷蔵室で行い、残留物にはさらに希エタノールを1L追加し約24時間放置する。同様にろ過し適量ずつナス型フラスコに分注し、エバポレータで留去し希エタノールエキスとする。
【0030】
このようにして得られるホオ葉エキスは、原材料である茶葉において苦味成分などが有効に除去されているために、エキスにおいて同様の特徴を有する。また、エキスにおいては、マグノロールが濃縮されている。
ホオ葉エキスにおいては、マグノロールは、1wt%以上5wt%以下含有していることが好ましい。より好ましくは、2wt%以上4wt%以下である。マグノロールは、茶葉におけるマグノロールの定量方法に準じて定量することができる。
【0031】
また、エキスにおいては、茶葉と同様にアルカロイド成分を茶葉におけるマグノクラリンの検出法と同様の方法で試験した場合、0.1wt%以下であることが好ましく、より好ましくは、0.01wt%以下であり、さらに好ましくは、0.001wt%以下であり、最も好ましくは、0.0005%以下である。
【0032】
(ホオ葉エキス組成物)
本発明のホオ葉エキスは、各種食品あるいは製剤とするために、各種添加剤を添加し、混合して、ホオ葉エキス組成物とすることができる。
本発明のホオ葉エキスの嗜好性を高め、あるいは使用性を高めるためには、ホオ葉エキスにマスキング剤を供給して粒状剤とすることが好ましい。
マスキング剤は、従来公知のマスキング剤を使用することができる。また、これらのマスキング剤を、公知の方法にて本エキスに供給することができる。また、マスキング剤を供給したホオ葉エキスは、マスキング剤の種類あるいは供給形態に応じて公知の方法で粒状化することができる。マスキング剤の供給と粒状化はいずれも、当業者において周知である。
【0033】
マスキング剤としては、シクロデキストリン、デキストリン(α、β、γのいずれでもよい。)、二酸化ケイ素、無水糖類、メチルセルロース、酵素分解レシチン(酵素は、パパイン、ブロメライン、リゾチームなどとすることできる。)及びセラック等を使用することができる。これらは、単独でも、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。好ましくは、セラックである。
【0034】
マスキング剤の配合量は、特に限定しないが、好ましくは、エキス100重量部に対して100重量部以上800重量部以下である。100重量部未満では、マスキング効果が劣り、800重量部を超えると人工胃液あるいは人工腸液内における溶出性に低下しすぎるからである。より好ましくは、マスキング剤を200重量部以上400重量部以下とする。特に、セラックに関し、このような組成で供給することによりマスキングと溶出との双方を達成することができる。
【0035】
ホオ葉エキスにマスキング剤を付与して粒状剤とする一例について説明する。ホオ葉エキス100重量部に対してセラック等のマスキング剤を200重量部〜400重量部を添加し、溶液状態で分散あるいは溶解混合する。均一化した後、混合物を凝固乾燥せしめた後、破砕し、粉砕粒状物を、適当なメッシュサイズのスクリーンを篩過させて、所定の粒子径の粒状剤を得ることができる。
粒状化に際しては、この他、凍結乾燥後に破砕する、あるいはスプレードライにより乾燥と同時に粒状化する、あるいは、乾燥しながら造粒して粒状化するなどの手法を適宜採用することができる。粒子径は、特に限定しないが、0.5mm以下であることが好ましい。また、下限は0.1mm以上であることが好ましい。
得られた粒状剤における粒子形状は、特に限定しないで、不定形状、球状、棒状など各種形態を取りうるものである。
【0036】
ホオ葉エキス及び/又はエキス含有マスキング粒状剤を含有するホオ葉エキス組成物は、各種形態を採ることができる。すなわち、食品や健康食品の食品形態の他、栄養剤や薬剤などの各種製剤形態を採ることができる。
食品の形態あるいは製剤の形態に応じて必要な添加剤や賦形剤は、当業者において周知である。
食品の形態としては、それ自体を食品とする他、溶出、溶解あるいは懸濁してして飲料とすることができる。また、他の食品に添加して、風味、栄養補給ないし健康増進を目的として他の食品に添加する形態を採ることができる。添加する他の食品としては、例えば、せんべい、まんじゅう、羊羹などの菓子類、味噌、ジャム、ふりかけなどの加工食品などを挙げることができる。
【0037】
栄養剤及び薬剤などの製剤形態としては、特に限定しないが、経口剤あるいは腸管経由剤とすることが好ましい。経口剤としては、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、チュアブル剤、粉剤、粒剤、細粒剤、シロップ剤、必要時に水などで溶解して使用する粉剤や錠剤などの固形剤等を採用することができる。また、腸管経由剤としては、液状、あるいは用時溶解する粉剤や錠剤などの固形剤とすることができる。
また、あるいはローション、クリーム、ゲル、浴用などの外用剤や化粧品とすることも好ましい。
また、ホオ葉エキスおよび/またはエキス含有マスキング粒状剤、食品や製剤に適用する賦形剤などの添加剤としても使用することができる。
【0038】、
また、ホオ葉エキス及び/又はエキス含有マスキング粒状剤によれば、茶葉用添加物として使用することができる。すなわち、これらを、ホオノキ茶葉に添加して使用する場合には、ホオノキ茶葉の有効性が高められた茶葉組成物を提供することができる。また、他の茶葉に添加して使用すれば、従来の茶葉に対して、ホオノキ由来の有効成分や香りを付与した茶葉組成物を提供することができる。いずれにおいても、このような茶葉組成物によれば、特に、マグノロールなどの有効成分を多く含むとともに、風味や香りが好ましい茶葉組成物を提供することができる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の具体例について説明するが、本発明をより良く説明するための例であって、本発明を限定するものではない。
【0040】
(実施例1)ホオ葉からのマグノロール等の抽出例
採取したホオ葉を、生葉、日陰で約1ヶ月乾燥した葉、及び乾燥した葉を葉柄、葉脈、葉肉に分けた。それぞれミキサーなどで粉末とし、その約50gを300mLのナス型フラスコに秤量し、エーテル200mLを加えた還流冷却器を取り付けた後、50℃以下の水浴で1時間加熱した。冷後ろ過(定量用ろ紙)でろ過し、残査にさらにエーテル200mLを加え同様に操作した。エーテル層は合わせ、エバポレーターで減圧留去した。残留物にメタノールを加えて溶解し、メタノールで正確に20mLとし試料溶液とした。また、これらから抽出した希エタノールエキス及び熱水抽出エキスはメタノール50mLに溶解し試料溶液とした。
マグノロール及びマグノクラリン各標準品10mgを秤取し、メタノールに溶解し正確に20mLとし標準溶液とした。HPLC条件は、オクダデシルシラノール基を修飾したシリカゲル(粒子径5μm、TSKgelトソー社)を4mm径長さ15cmのカラムに充墳したもを用い、移動相に水:アセトニトリル:酢酸混液(40:60:1)を毎分1.0mLで流し、紫外線吸光光度計(294nm)でマグノロール及びマグノクラリンを検出した。両成分の標準品を用い含量を算出した。その結果を表1に示す。
【表1】
【0041】
(実施例2)製造試験例1 (ホオ茶製造例)
以下にホオ茶製造の実施例を示した本発明を乾燥、焙煎、評価結果について具体的に説明するが、本発明はこれらのホオ葉茶製造法に限定されるものではない。
【0042】
▲1▼乾燥方法
10枚ずつ束ね葉軸の方向と表裏を変えて積み重ねた。乾燥条件表2に示すとおりとした。
【表2】
【0043】
▲2▼賠煎方法
▲1▼の条件の乾燥したAかBランクのホオ葉を手または機械で揉みほぐすか、5mm角程度に切断し次の条件で焙じた。身水の除去と焙煎の組合わせは表3に示すとおりとした。
【表3】
【0044】
▲3▼味と香りの評価
▲2▼の条件で焙煎したホオ葉茶を3gずつ急須に取り、熱湯を注いで味と香りの評価を行った。5mm角程度に切断し次の条件で焙じた。味と香りの評価者は5人で、味と香りについて自由に表現させ、味と香りが充分で続けて飲用できる合で5人が良好と評価(◎)、飲みやすいが少し物足りない場合で5人中3人が良好と評価(○)、飲用ができるがあまり好まない場合で5人中1人が良好と評価(△)、及び苦みやえぐ味が残留し飲用には適さない場合で一人も良好と評価しなかった(×)に分けた。結果を表4に示した。
【表4】
【0045】
▲4▼主成分含量
▲1▼の評価に従い主成分のマグノロール含量を前述の方法で測定した。結果を表5に示す。
【表5】
【0046】
(実施例3)製造試験例2(ホオ茶製造例)
ホオ葉を製造試験例1の乾燥方法で乾燥し乾燥AとBランクのものを葉肉と葉柄に分け、葉肉は揉みほぐし、葉柄は1mm程度に切断した。焙煎方法は表3に示す、2,3,5,6,7,8の条件で焙煎した例を示す。
【0047】
▲1▼味と香りの評価
賠煎した葉肉と葉柄を種々の比率で混合し、3gずつティーバッグに入れてホオ葉茶とした。ティーバングを湯飲みに入れ、熱湯を注いで味と香りの評価を行った。味と香りの評価は、製造試験例1の▲3▼と同様に5人で評価した。結果を表6に示す。
【表6】
【0048】
▲2▼主成分含量
▲1▼の評価に従い主成分のマグノロール含量を前述の方法で測定した。結果を表7に示す。
【表7】
【0049】
(実施例4)製造試験例3(ホオ葉エキスの製造例)
以下にホオ葉エキス調製法の実施例を示し本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのエキス調製法に限定されるものではない。
【0050】
1.熱水抽出エキスの調製法
焙煎して得た本発明のホオノキ茶葉をミキサーなどで粉末にし、その約500gを秤取し、2Lのビーカーに入れた。これに蒸留水500mLを加え約30分間浸積した。さらに、蒸留水500mLを追加しホットプレート上或いはバーナーで約3時間煮した。冷後、ガーゼをろ布とした広口のロートでろ過する。残査に、蒸留水1Lを加え約1時間煮沸した。冷後、同様にろ過した。ろ液は合わせ、定性用ろ紙を用いて再度ろ過する。200mLのビーカーに分注し、凍結した。凍結乾燥機を用い乾燥し、乾燥粉末を熱水抽出エキスとした。
【0051】
2.希エタノールエキスの調製法
前項1.と同様に粉末としたホオノキ茶葉の約500gを秤取し、2Lのビーカーに入れた。希エタノールを500mLに約30分間浸積した。さらに希エタノール500mLを追加しよくかき混ぜ、約24時間放置した。定性用ろ紙を通し口のロートでろ過した。抽出液の保存は冷蔵室で行い、残留物にはさらに希エタノールを1L追加し約24時間放置した。同様にろ過し適量ずつナス型フラスコに分注し、エバポレータで留去し希エタノールエキスとした。
【0052】
3.主成分含量
主成分のマグノール含量を前述した方法で測定した。結果を表8に示す。
【表8】
【0053】
4.評価方法
前項のホオ葉エキスにつき苦味を評価を、5名の専門パネラーに口中に10秒間含ませ官能試験を行った。まず、表9に示した標準苦味溶液(硫酸キニーネ)を口に含ませ、各パネラーの評価尺度を統一した。次にホオ茶エキス30mg相当を水20mLに溶解し、サンプルを口に含み官能試験を行った。その結果を表10に示す。
【表9】
【表10】
【0054】
(実施例5)製造試験例4(エキス含有マスキング粒状剤)
1.使用原料
a)本発明のホオ葉エキス
マグノロール2.5%含有
b)セラック溶液 白色セラックE(岐阜セラック製)
セラック32%含有
c)β−シクロデキストリン
セルテックスB−100(日本食品加工)
d)酸素分解レシチン
ベネコートBMI−40(花王)
【0055】
2.製剤方法
a)セラック被覆
ホオ葉エキス及びセラック溶液を以下の表11に示す比率で混合し、スターラで10分間混合後、50℃にて減圧乾燥し乾燥物を得た。乾燥物を破砕し、0.5mmのスクリーンで篩過し被覆組成物とした。
【表11】
【0056】
b)シクロデキストリン包接
ホオ葉エキス10部及び精製水60部を混合し、スターラで10分間混合後、β−シクロデキストリン40部を徐々に添加し、90分攪拌を続けた。これを凍結乾燥後、破砕し、0.5mmのスクリーンで篩過し、包接物を得た。α−シクロデキストリンまたはγ−シクロデキストリンを用いてもよい。
【0057】
c)酵素分解レシチンによるマスキング
ホオ葉エキス10部及び酵素部分解レシチン40部を混合し、適量の精製水を添加し、乳鉢で攪拌し、造粒した。50℃で3時間乾燥後、破砕し、0.5mmのスクリーンで篩過し組成物を得た。酵素には、パパイン、ブロメラインイン、リゾチームなどを用いてもよい。
【0058】
3.評価方法
製剤方法a)〜b)のサンプルにつき、5名の専門パネラーに口中に10秒間含ませ官能試験を行った。前項を参考に堪能試験を行った。
【0059】
4.結果
苦味試験結果を表12に示す。ホオ葉エキスの苦味は、セラック被覆により著しく改善された。その結果は400%以上で顕著であり、400%被覆で比較するとβ−シクロデキストリンと酵素分解レシチンより顕著であった。
【表12】
【0060】
(実施例6)体内での溶出性試験
ホオ葉エキスの体内での溶出性のモデル実験として、人工胃液、人工腸液を用いて溶出試験を行った。なお、ホオ葉エキスの有効成分量は、通常マグノロール含量で規定されるため、その溶出性の指標としてマグノロールの定量を行った。
【0061】
1.溶出試験
ホオ葉エキスとして20mg相当を含むサンプルに30mLの人工胃液を加え、37℃で1時間振とうした後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過した。ろ液についてエバポレータを用いて蒸発乾固し、マグノロールの定量に用いた。残渣は回収した後水洗し、30mLの人工腸液を加え、37℃で1時間振とうした後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過した。ろ液についてエバポレータを用いて蒸発乾固し、マクノロールの定量に用いた。定量は前述のHPLC法に準じた。
【0062】
2.溶出率
溶出率は使用したホオ葉エキスのマグノロール含量を100とし、人工胃液及び人工腸液に溶出したマグノロール含量の合計より求めた。溶出結果を表13に示す。
ホオ葉エキスの体内での溶出性は、セラミックを被覆しても400%以下で良好で、800%以上では溶出性が悪いと考えられた。
【表13】
【0063】
3.考察及び総合評価
以上の結果を総合評価すると、セラック10%被覆では体内溶出性は良いが苦味マスキング効果がほとんどなく、同様に100〜200%被覆では体内溶出性は良いが苦味マスキングがやや不良であり、800%以上では苦味マスキング効果はあるが体内溶出性が悪くなる事が判明した。このこため最も望ましくは200〜400%のセラックを被覆することにより、使用は感良好で、かつ体内溶出性の良いセラック被覆組成物を得る事が判明した。
【0064】
(実施例7)アルカロイド除去試験例
ホオ葉には毒性アルカイド(マグノクラリン、マグノフロリン、サリシホリンなど)の含有量はほとんど無いが、木部と葉部で比較し、焙煎により除去できる事を示す。
【0065】
1.マグノクラリンの定性(薄層クロマトグラフ法:TLC法)
ホオノキ樹皮及びホオ葉茶の約5gまたはホオ葉エキスの約0.5gを遠沈管に取り、0.1M塩酸:メタノール(1:1)溶液を50mLを加え、30分間振とうした。遠心分離(3000r.p.m.で5分間)後、上澄液を、薄層クロマトグラフ法により定性分析を行う。薄層板は蛍光剤入りシリカゲル(200μm、メルク社F254+365)を用い110℃で30分活性化させた後、デシケータ(シリカゲル)で放冷した。標準物質としてマグノクラリン約2mgを精秤し、同様の操作を行った。試料溶液と標準溶液のそれぞれ10μLを薄層板の下端から2cmのところに右から順次2.5cm置きに塗布した。トルエン:酢酸エチル:ジエチルアミン(70:20:10)を展開溶媒として約10cm展開した後、風乾した。薄層板に紫外線照射(UV−365nm)及びドラーゲンドルフ試液の噴霧によりスポットを確認し、Rf値を測定した。
【0066】
2.マグノクラリンの定量(高速液体クロマトグラフ法:HPLC法)
ホオ葉茶の50gまたはホオ葉エキスの5gを遠沈管に取り、エタノールに0.1M塩酸を10%添加した液20mLを加えて45℃で加温して溶解した後、振とう抽出した。遠心分離機(3000r.p.m)で10分間遠心分離し、上澄液をメスフラスコに取りエタノール正確に50mLとし、HPLC法で測定した。検出したピークは保持時間(リテンションタイムR.T.)で示した。
【0067】
3.評価
焙煎によるアルカロイド成分の検出を表14に示す。HPLCのR.T.からマグノクラリンとは同定できなかったが、TLC法、HPLC法ともホオ葉茶及びホオ葉エキスにアルカロイドを検出しなかった。
【表14】
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、ホオ葉からの有効性成分を含有する一方、苦味成分などが低下されたホオ葉加工品を提供することができる。
Claims (5)
- ホオノキ葉の加工品の製造方法であって、
前記ホオノキ葉の生葉を葉柄と葉肉に分離し、前記葉肉と前記葉柄を、重量比9:1〜3:7の範囲で配合したのち、それらの全体形状をおおよそ維持した状態で乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥後の前記葉肉及び前記葉柄を細断して焙煎する焙煎工程とを備え、
前記焙煎工程は、前記細断した前記葉肉及び前記葉柄中の身水を除去するために100℃以上150℃以下の温度域にて焙煎する第1の焙煎工程と、180℃以上250℃以下の温度域にて焙煎する第2の焙煎工程とを備える、製造方法。 - 請求項1に記載の方法によって得られる、茶葉。
- マグノロールを含有する、請求項2に記載の茶葉。
- 請求項2又は3に記載のホオノキの茶葉と、
緑茶葉、柿葉、桃葉、イチョウ葉、社仲葉、ドクダミ葉、ハト麦、蜜柑皮、あけびの蔓、桑の葉、キクイモ、サラシア、タラノメ、アガリクス、メシマコブ、霊芝、高麗ニンジンならびにその葉、および田七ニンジンならびにその葉からなる群から選択される1種あるいは2種以上の茶、とを含有する、茶葉組成物。 - 請求項2又は3に記載のホオノキの茶葉を水および/または親水性有機溶媒で抽出して得られるエキス。
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