JP3871383B2 - 黒鉛坩堝用坩台 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば銅やアルミニウムなどの金属を溶融して保持するのに使用する坩堝炉に関し、とくに、炉本体の燃焼室の床上に設置されて黒鉛坩堝を載せるための坩台の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
黒鉛坩堝を用いた坩堝炉の代表的な構成を図1に示している。耐火物で構成された炉本体1の燃焼室6の中央床上に坩台2を配置し、その上に黒鉛坩堝3を載置している。炉本体1の側壁部分の下部にバーナー口があり、そこに設置したバーナー4から燃焼室6に向けて火炎5を噴射する。
【0003】
黒鉛坩堝3の加熱にあたっては、火炎5を直接的に坩堝3にあてないで、バーナー4から噴出した火炎5が燃焼室6の床に沿って坩台2にあたり、坩台2と周囲の炉壁との間にまわりこむように調整している。火炎5にともなう燃焼ガスが黒鉛坩堝3の底面から側面部分を包み込むように上昇して煙道から排出される。なお、黒鉛坩堝3に火炎5の先端を直接あてるのは好ましくない。火炎が坩堝に直接あたると、これを局部的に加熱することになり、坩堝の局部が酸化し、熱衝撃を受け、黒鉛坩堝の寿命が短くなる。
【0004】
前記のように調整した火炎5で加熱すると黒鉛坩堝3はほぼ底の方から昇温する。これは下焚法に分類される。この方法で銅やアルミニウムなどを溶融する場合、坩堝3内の溶湯には自然な対流が起きるので、溶湯は均一に昇温するとともに、溶湯中の水素が溶湯表面に出て、燃焼ガス中の酸素と結合されて脱ガスが促進されるという効果がある。そのため、黒鉛坩堝で金属を溶融する場合は下焚法が標準となっている。
【0005】
坩台2は黒鉛坩堝3と同質の黒鉛含有煉瓦からなり、その形態としては図2の3種類が代表的である。図2(a)の坩台2は中実の円柱体である。図2(b)の坩台2は上端部が閉塞した円筒体である(中空部10が下端に開口している)。
【0006】
図2(c)の坩台2は中空部10が上下に貫通した円筒体である。この種の坩台2の上に黒鉛坩堝3を載置するとき、坩堝3の安定性を高めるなどの目的で、坩台2と坩堝3の底の間に耐火繊維を介在させることもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように図1の坩堝炉は下焚法に分類されるが、厳密に見ると、黒鉛坩堝3の底部中央の昇温が最速とは言えない。坩堝3の底部中央は坩台2に接しており、火炎5からの熱が坩台2に遮られるので、坩台2のすぐ外側部分の坩堝3の底部側面に比べて底部中央の昇温が遅れる。とくに、坩台2と坩堝3の底の間に耐火繊維を介在させた場合には、坩堝3の底部中央に対する熱遮断がいっそう大きくなる。
【0008】
黒鉛坩堝3の底部中央に対する熱伝達がより高効率化すれば、坩堝3内の金属などの溶融速度が速まり、燃料の節減につながる。また、坩堝底からの加熱が増大するので、前述の自然対流による脱ガス効果も高まる。ところが図2のような従来の坩台2の形態では、前記のように黒鉛坩堝3の底部中央への熱遮断が大きく、坩堝底の昇温が遅くなるという問題があった。
【0009】
また図2のような従来の坩台2の形態では、指の引っ掛かりがないので、狭い坩堝炉内での持ち運びが困難であるという取り扱い作業上の問題もあった。
【0010】
この発明は前述した従来の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、坩台の上面に当接している黒鉛坩堝の底部中央に対する熱の遮断効果をできるだけ少なくし、坩堝底への熱伝達をより高効率化するとともに、人手で持ち運ぶときなどの取り扱いやすさを高めた黒鉛坩堝用坩台を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこでこの発明では、炉本体の燃焼室の床上に設置されて黒鉛坩堝を載せるための耐火材の坩台の胴体に横方向に貫通する通気穴を形成し、この通気穴を通じて坩台自体に速やかに熱が伝達されるように構成した(請求項1)。具体的な形態としては、上端部が閉塞した円筒体からなり、横方向に貫通する通気穴が円筒体の中空部に交差したものや(請求項2)、上下に貫通した円筒体からなり、横方向に貫通する通気穴が円筒体の中空部に交差したものや(請求項3)、中実の円柱体からなり、横方向に貫通した通気穴に加えて、その上端面に中央凹部と放射状凹溝を形成したものがある(請求項4)。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明を適用した黒鉛坩堝用坩台2の5つの実施例を図3(a)〜(e)に示している。図3(a)に示す第1実施例の坩台2は、上端部が閉塞した円筒体からなり、その直径方向に並ぶ2本の通気穴7が形成されており、その通気穴7は内部の中空部10に達している。この坩台2を図1の坩堝炉に使用すると、火炎5や燃焼ガスが通気穴7を通じて中空部10に入り込み、坩台2の昇温が速くなり、したがって坩台2から黒鉛坩堝3の底部中央に伝わる熱量が多くなり、坩堝底の昇温を促進する。
【0013】
図3(b)に示す第2実施例の坩台2では、第1実施例(a)の横1列に並ぶ通気穴7に加えて、これに十文字状に交差する2つの通気穴7を形成している。通気穴7が増えたので、坩台2自体の熱容量が減るし、燃焼ガスの導入効果がより高まる。図3(c)に示す第3実施例の坩台2では、第1実施例(a)において、坩台2の天井面に上下に貫通する通気穴8を形成している。こうすれば、中空部に導入された燃焼ガスにより効率よく坩堝底が加熱される。図3(d)に示す第4実施例の坩台2は中空部10が上下に貫通したストレートな円筒体に横方向に貫通する通気穴7を形成したもので、第3実施例(c)の通気穴8の径を拡大したものに相当する。
【0014】
図3(e)に示す第5実施例の坩台2は、中実の円柱体に横方向に貫通する通気穴7を形成するとともに、その上端面に中央凹部11と放射状凹溝9を形成している。通気穴7があるので坩台2の内部の昇温を促進する効果がある。また放射状凹溝9と中央凹部11があるので、これを通じて燃焼ガスが坩台2と黒鉛坩堝の当接部分におよび、坩堝底の昇温を促進する。
【0015】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、この発明の黒鉛坩堝用坩台は、その胴体に横方向に貫通する通気穴を形成したので、坩堝炉内の燃焼ガスが通気穴を通じて坩台の内部に導入され、坩台の昇温が促進される。また、通気穴を設けたことによる質量減少のために熱容量も小さくなり、このことも坩台の昇温を促進する。坩台の温度が速やかに高まれば、坩台から坩堝底に伝わる熱量も多くなり、坩堝底中央の昇温を速めることができる。また、坩台に形成した通気穴が引っ掛かりとなり、また坩台自体の重量も低減するので、坩台の持ち運びが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】坩堝炉の代表的な構成を示す概略図である。
【図2】従来の黒鉛坩堝用坩台の3つの代表例を示す縦断面図と平面図である。
【図3】この発明を適用した黒鉛坩堝用坩台の5つの実施例を示す縦断面図と平面図である。
【符号の説明】
1 炉本体
2 坩台
3 黒鉛坩堝
4 バーナー
5 火炎
6 燃焼室
7 横方向に貫通した通気穴
8 上下に貫通した通気穴
9 放射状凹溝
10 円筒体の中空部
11 中央凹部
Claims (4)
- 炉本体の燃焼室の床上に設置されて黒鉛坩堝を載せるための耐火材の台であって、横方向に貫通する通気穴が形成されていることを特徴とする黒鉛坩堝用坩台。
- 上端部が閉塞した円筒体からなり、横方向に貫通する通気穴が円筒体の中空部に交差していることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛坩堝用坩台。
- 上下に貫通した円筒体からなり、横方向に貫通する通気穴が円筒体の中空部に交差していることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛坩堝用坩台。
- 中実の円柱体からなり、その上端面に中央凹部と放射状凹溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の黒鉛坩堝用坩台。
Priority Applications (1)
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JP26890896A JP3871383B2 (ja) | 1996-10-09 | 1996-10-09 | 黒鉛坩堝用坩台 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP26890896A JP3871383B2 (ja) | 1996-10-09 | 1996-10-09 | 黒鉛坩堝用坩台 |
Publications (2)
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JPH10115490A JPH10115490A (ja) | 1998-05-06 |
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Family
ID=17464946
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP26890896A Expired - Lifetime JP3871383B2 (ja) | 1996-10-09 | 1996-10-09 | 黒鉛坩堝用坩台 |
Country Status (1)
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1996
- 1996-10-09 JP JP26890896A patent/JP3871383B2/ja not_active Expired - Lifetime
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