JP3871039B2 - 落下衝撃試験機および落下衝撃試験方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器の落下衝撃試験機および落下試験方法に関し、特に落下姿勢を安定させ正確で再現性のよい落下衝撃試験機および落下方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器、特に小型携帯端末、例えば携帯電話、PDAやPHSなどの情報機器は日々小型化、軽量化、薄型化の傾向が顕著である。これには、内蔵する機能部品の小型化、薄型化、プリント基板の薄肉・高密度実装化、アンテナ方式の小型化、これらの構成部品を収納する筐体の薄肉化、筐体構造の高剛性化が密接に関連しており、更なる小型・薄型・軽量化が進んでいる。筐体に関しては、携帯機器全体の厚みを薄型化する傾向が強くかつ軽量化も伴うため、例えば紙のようにフラットな薄型電子機器に進化する傾向にある。
【0003】
電子機器の小型・薄型・軽量化に伴い携帯性が重要視されることから、常時手で保持した状態で使用することを前提にして商品設計される場合が多い。このようなハンドヘルド型電子機器の場合、オペレータの不注意により手から落下した際の電子機器の動作、外観も考慮しなければならない。落下衝撃試験機により電子機器を落下させてその後の動作状態、外観について調査・評価を行い、特定の性能については落下で異常を来たさないような製品設計が重要である。平面の他にエッジ、コーナが衝突面にぶつかった場合に受ける衝撃の測定、外観のダメージを評価し耐衝撃性の良い電子機器の開発に活用する。
【0004】
人間の操作を想定した落下方法を備えた落下衝撃試験機には例えば、特開平9−318484、特開2000−55778のように試験対象物を衝突直前まで所定の力で把持する方法や、特開2000−81365のように試験対象物を把持した状態で落下高さから開放して自由落下させる方法がとられている。
図9に従来の落下衝撃試験機の構造の一例を示す。
図9に示す落下衝撃試験機は、リニアガイド6、可動部7、ハンド81、ハンド駆動機構82、衝突ブロック9、ハンドオープンセンサ72、信号取り込み位置センサ73、衝突ブロック9、緩衝材10、ロック機構2から成る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図9に示す従来の落下衝撃試験機は、上下に自由落下可能なリニアガイド6の可動部7の先端に設けたハンド81で保持した試験対象物12をハンド駆動機構82で開閉する。下部に設けた衝突ブロック9に向けてハンド81を自由落下に相当する速度で移動する。衝突に相当する位置に設けたハンドオープンセンサ72でハンド81のオープンするタイミングを検出して、試験対象物12を放す。ハンド駆動機構82を動作させて衝突の直前で衝突ブロック9へのハンド81の干渉を回避する。必要に応じて衝突ブロックにはハンドを通過する切り欠き部を有する。
【0006】
このような構造では、ハンドで把持するに必要な把持力が必要となり、小型、薄型、軽量化が進む電子機器にとっては不要な応力がかかる。例えばボディの厚みで10mm以下、さらには0.1〜6mm程度の極めて薄い筐体では障害となる応力がかかり試験方法に耐えられない。しかも、ハンドで把持した状態から衝突直前で開放すると、試験対象物は最初に設定した落下姿勢を保持せずそのまま衝突ブロック9に衝突することになり、本来評価したい落下姿勢を安定して得ることができない。
【0007】
さらに、電子機器の薄型軽量化が進むと、試験対象物と衝突ブロックとで挟まれた空間が落下動作で急激に圧縮されることにより、試験対象物自体に発生する浮力が試験対象物の自重より勝り試験対象物が浮き姿勢が不安定になる。本来水平に落下する姿勢が変化し水平面に斜めに衝突する場合は、試験対象物が持つ浮力の特性であり、落下試験として有効である。しかしながら、衝突面に穴が複数あるような場合、例えば網目の床などの場合は挟まれた空間が急激に圧縮されず、ゆえに自重の方が浮力より勝り姿勢は水平のまま衝突することとなる。
【0008】
従来の落下方法では、衝突直前まで試験対象物をハンドで把持し、直前で開放する。この方法ではハンド81の開放から衝突までの時間が短いとはいえ落下前に設定した姿勢がハンド81の開放後に変化し、本来試験すべき姿勢を再現性よく得ることができなかった。さらに、試験対象物と衝突ブロックとで挟まれた空間を急激に圧縮するため、たとえ衝突直前でハンドを開放しても、ハンド開放後に急激に浮力が発生し、その浮力が自重に勝る場合には姿勢が狂い斜めに衝突し、本来であれば最大衝撃がかかる面衝突に至らないという問題がある。さらにその浮力が自重に著しく勝る場合には姿勢が大きく狂い衝突に至らないという問題もある。
【0009】
<発明の目的>
本発明の目的は、電子機器の落下衝撃試験における落下姿勢の安定とその試験機を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する本発明の落下衝撃試験機は、次の点を特徴とする。
1:ベースに立設した複数のガイドシャフト及びフレームと、前記ベースに固定された衝突ブロックと、前記ガイドシャフトに案内され、試験対象物を載置したまま落下できるホルダと、試験対象物に載置された衝撃センサと、からなる落下衝撃試験機において、前記衝突ブロックの衝突面に設けられた調圧ノズルおよび空圧センサと、衝突面上空の空圧を制御する空圧制御手段と、を備え、衝突直前の衝突面上空の空圧をモニタし、正圧にも負圧にもならないように、衝突面上空の空圧を制御すること。
2:前記ホルダは、前記ガイドシャフトに嵌合した複数のガイドに保持されとともに、ホルダ上で試験対象物の下面を支える複数の第1のアームと、ホルダ上で試験対象物の立ち姿勢を支える複数の第2のアームと、を備えていること。
3:前記複数の第1のアームと前記第2のアームは、それぞれ、衝突面に設けた通過孔を通過するように所定の幅を有していること。
4:前記複数のアームの間隔は試験対象物より若干小さく形成され、複数のアームは試験対象物の落下姿勢を形成する位置に配置していること。
5:前記空圧制御手段は、前記調圧ノズル,前記空圧センサ、真空発生器、空圧バルブおよび空圧制御回路とから構成され、衝突直前の衝突面上空の空圧をモニタし、正圧にも負圧にもならないように、衝突面上空の空圧を制御すること。
6:前記フレームの下方に衝突位置センサを設け、この衝突位置センサの検出信号を前記空圧制御回路の入力信号としたこと。
7:前記フレームの上方に落下開始を検出する開始センサを設け、記録開始すること。
8:前記開始センサの出力信号をトリガとして空圧制御手段の真空発生器を起動すること。
9:ベースに垂直に立つ複数のガイドシャフトに嵌合した複数のガイドと、前記ガイドで保持したホルダと、ホルダ上で試験対象物の下面を支える複数の第1のアームと、ホルダ上で試験対象物の立ち姿勢を支える複数の第2のアームと、ホルダの下方でホルダと所定の落下高さを確保できる距離に水平の衝突面を有する衝突ブロックと、衝突ブロックの上部で前記第1のアーム、前記第2のアームの厚みより若干広い溝を有して前記第1のアーム、前記第2のアームが通過する複数の通過孔を備えていること。
10:衝突ブロックの衝突面に設けた調圧ノズルと空圧センサ、真空発生器、空圧バルブ、空圧制御回路を備えていること。
【0011】
前記目的を達成する本発明の落下衝撃試験方法は、次の点を特徴とする。
11:試験対象物をその形状を把持されることなく自重と姿勢を下面、側面から支持したままで、試験対象物の自重と姿勢を支持した状態で落下させるとともに、衝突面上空に発生する正圧を抑制して試験対象物の姿勢不安定を防ぐこと。
12:ホルダに試験対象物をその形状を把持されることなく自重と姿勢を下面、側面から支持してそのままホルダごと落下させると同時に、衝突面上空の圧力をチェックし、空圧値が大気圧以上であれば、空圧制御手段により空圧調整を試験対象物の衝突まで繰り返し行い、前記ホルダと試験対象物を衝突面まで一体で落下させ、その後、試験対象物の衝突面に衝突したときの衝撃波形を衝撃センサにより出力させ、前記試験対象物の自重と姿勢を支持した状態で落下させるとともに、衝突面上空に発生する正圧を抑制して試験対象物の姿勢不安定を防ぐこと。
【0012】
本発明では、試験対象物の自重と姿勢を支えるアームとアームが衝突ブロックを通過する通過孔を設けたことにより、試験対象物に無用な応力をかけることが無く、かつ衝突の瞬間まで試験対象物の自重を支持しているので正確で再現性のある落下姿勢を得ることができる。
さらに、調圧ノズルと空圧制御回路を設けたことにより、極薄で軽量化された電子機器を試験対象物として扱うことができ衝突直前で発生する浮力に影響されず落下姿勢を再現よく制御可能になる。
【0013】
特に,請求項9の発明は、ベース1に垂直に立つ複数のガイドシャフトA2に勘合した複数のガイドA21と、ガイドA21で保持したホルダ22と、ホルダ22上で試験対象物3の下面を支える複数のアームA24と、ホルダ22上で試験対象物3の立ち姿勢を支える複数のアームB25と、ホルダ22の下方でホルダ22と所定の落下高さを確保できる距離に水平の衝突面41を有する衝突ブロック4と、衝突ブロック4の上部でアームA24、アームB25の厚みより若干広い溝を有してアームA24、アームB25が通過する複数の通過孔42を備えている。
【0014】
試験対象物3の自重を下から支え立ち姿勢を側面で支える複数のアームA24、アームB25を設けたことにより、試験対象物3を把持せず無用な応力を試験対象物3にかけない為、極薄の電子機器を扱える。
【0015】
また、試験対象物3を把持せず落下させることにより衝突の瞬間まで常に姿勢を維持できるため、試験対象物3の落下姿勢を正確に設定することができる。
【0016】
さらに精度の良い再現性のある落下姿勢を得ることができる。
請求項10の発明は、開始センサ6、衝突位置センサ45、衝突ブロック4の衝突面41に設けた調圧ノズル43と空圧センサ64、真空発生器63、空圧バルブ62、空圧制御回路61を備えている。衝突直前の衝突面41上空の空圧をモニタし正圧にも負圧にもならないように空圧制御回路61により制御する。これにより試験対象物3と衝突面41との空間の圧力上昇とそれに伴う浮力の発生を抑えて衝突瞬間の落下姿勢の乱れを抑制する。これにより薄型軽量化が進んだ電子機器でも常に設定した落下姿勢を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の落下衝撃試験機の一つの実施例を示す側面図である。
図2は、本発明の落下衝撃試験機の一つの実施例を示す正面図である。
ベース1に垂直に立つ複数のガイドシャフトA2に勘合した複数のガイドA21と、ガイドA21で保持したホルダ22と、ホルダ22上で試験対象物3の下面を支える複数のアームA24と、ホルダ22上で試験対象物3の立ち姿勢を支える複数のアームB25と、ホルダ22の下方でホルダ22と所定の落下高さを確保できる距離に水平の衝突面41を有する衝突ブロック4と、衝突ブロック4の上部でアームA24、アームB25の厚みより若干広い溝を有してアームA24、アームB25が通過する複数の通過孔42を備えている。
【0018】
さらに、衝突ブロック4の衝突面41に設けた調圧ノズル43と空圧センサ64、真空発生器63、空圧バルブ62、空圧制御回路61を備えている。
ホルダ22の近傍でベースに垂直に立つ複数のガイドシャフトB51に勘合した複数のガイドB52と、ガイドB52で保持したガイドブロック53と、ガイドブロック53に固定し前記ホルダ22方向に伸縮する解除バー54とレバー55を備えている。ホルダ22にはストッパシャフト23を設けており、解除バー54と互いに交差する長さを有している。
【0019】
ガイドブロック53を吊るすワイヤー57が、ガイドシャフトB51の上部を支える天板13上に設けた複数のプーリ56を介して垂直のフレーム11にクランプハンドル58で固定さえている。
落下高さを設定する際の目盛りを有したスケールプレート59をフレーム11に垂直に取り付けている。
【0020】
フレーム11の上方には開始センサ6、衝突面41近傍には衝突位置センサ45と速度センサ46を設けている。
ガイドシャフトA2の下端でホルダ22の下面に接触する位置にはダンパ12を設置している。
【0021】
図3は、本発明の落下衝撃試験機の一つの実施例を示すブロック図である。図4は、本発明の落下衝撃試験機の一つの実施例を示すフローチャート図である。図5、6は落下の瞬間と落下後のホルダの位置を表す正面からの矢視図である。
【0022】
<動作の説明>
まず試験対象物3をアームA24の上に搭載する。アームA24は試験対象物3の自重を下面から支えるようにホルダ22から横に伸びた形状であり、かつ衝突面41に設けた通過孔42を通過するように所定の幅を有している。十分な衝突面41を確保するため、アームA24の幅は試験対象物3の自重を支えるのに必要な最小限の強度をもつように取り決めている。
【0023】
例えば、アームA24の幅は0.5〜2mm、その際の通過孔42の幅は、アームA24との隙間をそれぞれ0.5〜1mm程度有して1.5〜4mmである。アームB25は、試験対象物3の姿勢を維持するよう側面から支えるホルダ22上の位置に複数個備えている。試験対象物3が倒立するのに必要な強度をもつ最小限の厚み、例えばアームA24と前記同様の寸法を有している。
【0024】
衝突面41は、試験対象物3の衝突対象面より若干大きい寸法を有して水平に設置している。衝突の際の様々な衝撃を再現するために、衝突面41にはコンクリート、鉄、木などの材料を用いる。試験対象物3には衝撃センサ71を設置しており、衝突の際の衝撃、例えば加速度、ひずみ量などを電気信号で出力する。
【0025】
衝撃センサ71の電気出力信号は信号解析器72で信号の増幅・処理などを行い、信号記録器73でその信号を記録する。出力信号は、例えばアナログで出力されたものをデジタル信号にA/D変換してデジタル値としてハードディスクなどの記憶媒体に保存する。
【0026】
試験対象物3をアームに搭載した状態でホルダ22を上方に引き上げる。ガイドブロック53はあらかじめ試験する落下高さを有するようにスケールプレート59上の目盛りを目安にして上方にワイヤー57とクランプハンドル58で固定している。レバー55を引き解除バー54をホルダ22に対して後方に退避した状態で、引き上げたホルダ22のストッパシャフト23が解除バー54の上に位置するようにさらに引き上げる。
【0027】
その後レバー55を戻して解除バー54を復帰させストッパシャフト23が解除バー54上に載るようにホルダ22を降ろす。この状態で、落下開始可能となる。落下高さの変更は、クランプハンドル58の固定を緩めてワイヤー57で吊るしたガイドブロック53を上下させて行う。
【0028】
次に、図3、図4を用いながら落下動作のフローについて説明する。
レバー55を引き解除バー54を外すとホルダ22と試験対象物3は落下を開始する。試験対象物3はホルダ22とともに自由落下状態あるいは自由落下に近い状態で落下する。
落下直後に開始センサ6で落下開始を検出することにより、衝撃センサ71の信号を信号解析器72を通して信号記録器73で記録開始する。
さらに開始センサ6をトリガとして真空発生器63を起動する。起動自体は落下開始前でもよいが落下動作中以外は不要のため、開始センサ6で起動するほうが良い。
【0029】
次に調圧ノズル43と真空発生器63の間に設けた空圧センサ64と空圧制御回路61により衝突面41上空の圧力をチェックする。
空圧値が大気圧以上であれば、空圧制御回路61で空圧バルブ62をオープンして図8に示すように空圧値を下げる。この空圧調整を繰り返し衝突にいたり衝突位置センサ45の検出により空圧調整を終了する。
空圧調整を行わない場合は図7に示すグラフのように落下の直前で急激に衝突面41上空の圧力が上昇する。衝突後は空圧バルブ62をクローズして真空発生器63を停止し衝撃センサ71の信号の記録を停止する。衝突の瞬間の落下速度は速度センサ46で計測して速度表示器47で表示して確認する。
【0030】
試験対象物3はその形状を把持されることなく自重と姿勢を下面、側面から支持してそのままホルダ22ごと落下する。
図5に示すように衝突面41まではホルダ22と試験対象物3が一体で落下して、その後試験対象物3は衝突面41に衝突し衝撃センサ71に衝撃波形を出力する。
【0031】
図6はホルダが下端まで落下して停止した状態である。
この図のように、試験対象物3を支持していたアームA24、アームB25は衝突ブロック4に設けた通過孔42を通り抜け試験対象物3の衝突姿勢にはまったく影響しない。ホルダ22はガイドシャフトA2の下端のダンパ12に衝突して停止する。
ダンパ12は反発係数の小さいゲル状樹脂、ショックアブソーバなどからなり、ホルダ22がダンパ12に衝突した後のバウンド量はアームA24、アームB25が試験対象物3に干渉しない程度に小さく緩衝し速度を急減速している。
【0032】
以上より、試験対象物3はその自重と姿勢を支持した状態で落下できるため、毎回正確な落下姿勢を得ることができて再現性のよい落下試験を行うことができる。
さらに衝突面上空に発生する正圧を抑制して試験対象物3の姿勢不安定を防ぐことができて、薄型軽量化された電子機器でも正確で再現性のある落下試験を行うことができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の効果は、電子機器の落下衝撃試験における正確で再現性の良い落下姿勢を可能にすることである。
本発明では、試験対象物の自重と姿勢を支えるアームとアームが衝突ブロックを通過する通過孔を設けたことにより、試験対象物に無用な応力をかけることが無く正確で再現性のある落下姿勢を得ることができる。
さらに、調圧ノズルと空圧制御回路を設けたことにより、極薄で軽量化された電子機器を試験対象物として扱うことができ、衝突直前で発生する浮力に影響されず落下姿勢を再現よく制御可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の落下衝撃試験機の構造を表す側面図
【図2】本発明の落下衝撃試験機の構造を表す正面図
【図3】本発明の落下衝撃試験機を表すブロック図
【図4】本発明の落下衝撃試験機の動作を表すフローチャート
【図5】本発明の落下衝撃試験機の落下瞬間を表す矢視図
【図6】本発明の落下衝撃試験機の落下瞬間直後を表す矢視図
【図7】本発明の落下衝撃試験機の空圧制御を行わない場合の試験対象下面の圧力線図
【図8】本発明の落下衝撃試験機の空圧制御を行った場合の試験対象下面の圧力線図
【図9】従来の落下衝撃試験機の一例を示す斜視図
【符号の説明】
1 ベース
11 フレーム
12 ダンパ
13 天板
2 ガイドシャフトA
21 ガイドA
22 ホルダ
23 ストッパシャフト
24 アームA
25 アームB
3 試験対象物
4 衝突ブロック
41 衝突面
42 通過孔
43 調圧ノズル
45 衝突位置センサ
46 速度センサ
51 ガイドシャフトB
52 ガイドB
53 ガイドブロック
54 解除バー
55 レバー
56 プーリ
57 ワイヤー
58 クランプハンドル
59 スケールプレート
6 開始センサ
61 空圧制御回路
62 空圧バルブ
63 真空発生器
64 空圧センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器の落下衝撃試験機および落下試験方法に関し、特に落下姿勢を安定させ正確で再現性のよい落下衝撃試験機および落下方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器、特に小型携帯端末、例えば携帯電話、PDAやPHSなどの情報機器は日々小型化、軽量化、薄型化の傾向が顕著である。これには、内蔵する機能部品の小型化、薄型化、プリント基板の薄肉・高密度実装化、アンテナ方式の小型化、これらの構成部品を収納する筐体の薄肉化、筐体構造の高剛性化が密接に関連しており、更なる小型・薄型・軽量化が進んでいる。筐体に関しては、携帯機器全体の厚みを薄型化する傾向が強くかつ軽量化も伴うため、例えば紙のようにフラットな薄型電子機器に進化する傾向にある。
【0003】
電子機器の小型・薄型・軽量化に伴い携帯性が重要視されることから、常時手で保持した状態で使用することを前提にして商品設計される場合が多い。このようなハンドヘルド型電子機器の場合、オペレータの不注意により手から落下した際の電子機器の動作、外観も考慮しなければならない。落下衝撃試験機により電子機器を落下させてその後の動作状態、外観について調査・評価を行い、特定の性能については落下で異常を来たさないような製品設計が重要である。平面の他にエッジ、コーナが衝突面にぶつかった場合に受ける衝撃の測定、外観のダメージを評価し耐衝撃性の良い電子機器の開発に活用する。
【0004】
人間の操作を想定した落下方法を備えた落下衝撃試験機には例えば、特開平9−318484、特開2000−55778のように試験対象物を衝突直前まで所定の力で把持する方法や、特開2000−81365のように試験対象物を把持した状態で落下高さから開放して自由落下させる方法がとられている。
図9に従来の落下衝撃試験機の構造の一例を示す。
図9に示す落下衝撃試験機は、リニアガイド6、可動部7、ハンド81、ハンド駆動機構82、衝突ブロック9、ハンドオープンセンサ72、信号取り込み位置センサ73、衝突ブロック9、緩衝材10、ロック機構2から成る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図9に示す従来の落下衝撃試験機は、上下に自由落下可能なリニアガイド6の可動部7の先端に設けたハンド81で保持した試験対象物12をハンド駆動機構82で開閉する。下部に設けた衝突ブロック9に向けてハンド81を自由落下に相当する速度で移動する。衝突に相当する位置に設けたハンドオープンセンサ72でハンド81のオープンするタイミングを検出して、試験対象物12を放す。ハンド駆動機構82を動作させて衝突の直前で衝突ブロック9へのハンド81の干渉を回避する。必要に応じて衝突ブロックにはハンドを通過する切り欠き部を有する。
【0006】
このような構造では、ハンドで把持するに必要な把持力が必要となり、小型、薄型、軽量化が進む電子機器にとっては不要な応力がかかる。例えばボディの厚みで10mm以下、さらには0.1〜6mm程度の極めて薄い筐体では障害となる応力がかかり試験方法に耐えられない。しかも、ハンドで把持した状態から衝突直前で開放すると、試験対象物は最初に設定した落下姿勢を保持せずそのまま衝突ブロック9に衝突することになり、本来評価したい落下姿勢を安定して得ることができない。
【0007】
さらに、電子機器の薄型軽量化が進むと、試験対象物と衝突ブロックとで挟まれた空間が落下動作で急激に圧縮されることにより、試験対象物自体に発生する浮力が試験対象物の自重より勝り試験対象物が浮き姿勢が不安定になる。本来水平に落下する姿勢が変化し水平面に斜めに衝突する場合は、試験対象物が持つ浮力の特性であり、落下試験として有効である。しかしながら、衝突面に穴が複数あるような場合、例えば網目の床などの場合は挟まれた空間が急激に圧縮されず、ゆえに自重の方が浮力より勝り姿勢は水平のまま衝突することとなる。
【0008】
従来の落下方法では、衝突直前まで試験対象物をハンドで把持し、直前で開放する。この方法ではハンド81の開放から衝突までの時間が短いとはいえ落下前に設定した姿勢がハンド81の開放後に変化し、本来試験すべき姿勢を再現性よく得ることができなかった。さらに、試験対象物と衝突ブロックとで挟まれた空間を急激に圧縮するため、たとえ衝突直前でハンドを開放しても、ハンド開放後に急激に浮力が発生し、その浮力が自重に勝る場合には姿勢が狂い斜めに衝突し、本来であれば最大衝撃がかかる面衝突に至らないという問題がある。さらにその浮力が自重に著しく勝る場合には姿勢が大きく狂い衝突に至らないという問題もある。
【0009】
<発明の目的>
本発明の目的は、電子機器の落下衝撃試験における落下姿勢の安定とその試験機を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する本発明の落下衝撃試験機は、次の点を特徴とする。
1:ベースに立設した複数のガイドシャフト及びフレームと、前記ベースに固定された衝突ブロックと、前記ガイドシャフトに案内され、試験対象物を載置したまま落下できるホルダと、試験対象物に載置された衝撃センサと、からなる落下衝撃試験機において、前記衝突ブロックの衝突面に設けられた調圧ノズルおよび空圧センサと、衝突面上空の空圧を制御する空圧制御手段と、を備え、衝突直前の衝突面上空の空圧をモニタし、正圧にも負圧にもならないように、衝突面上空の空圧を制御すること。
2:前記ホルダは、前記ガイドシャフトに嵌合した複数のガイドに保持されとともに、ホルダ上で試験対象物の下面を支える複数の第1のアームと、ホルダ上で試験対象物の立ち姿勢を支える複数の第2のアームと、を備えていること。
3:前記複数の第1のアームと前記第2のアームは、それぞれ、衝突面に設けた通過孔を通過するように所定の幅を有していること。
4:前記複数のアームの間隔は試験対象物より若干小さく形成され、複数のアームは試験対象物の落下姿勢を形成する位置に配置していること。
5:前記空圧制御手段は、前記調圧ノズル,前記空圧センサ、真空発生器、空圧バルブおよび空圧制御回路とから構成され、衝突直前の衝突面上空の空圧をモニタし、正圧にも負圧にもならないように、衝突面上空の空圧を制御すること。
6:前記フレームの下方に衝突位置センサを設け、この衝突位置センサの検出信号を前記空圧制御回路の入力信号としたこと。
7:前記フレームの上方に落下開始を検出する開始センサを設け、記録開始すること。
8:前記開始センサの出力信号をトリガとして空圧制御手段の真空発生器を起動すること。
9:ベースに垂直に立つ複数のガイドシャフトに嵌合した複数のガイドと、前記ガイドで保持したホルダと、ホルダ上で試験対象物の下面を支える複数の第1のアームと、ホルダ上で試験対象物の立ち姿勢を支える複数の第2のアームと、ホルダの下方でホルダと所定の落下高さを確保できる距離に水平の衝突面を有する衝突ブロックと、衝突ブロックの上部で前記第1のアーム、前記第2のアームの厚みより若干広い溝を有して前記第1のアーム、前記第2のアームが通過する複数の通過孔を備えていること。
10:衝突ブロックの衝突面に設けた調圧ノズルと空圧センサ、真空発生器、空圧バルブ、空圧制御回路を備えていること。
【0011】
前記目的を達成する本発明の落下衝撃試験方法は、次の点を特徴とする。
11:試験対象物をその形状を把持されることなく自重と姿勢を下面、側面から支持したままで、試験対象物の自重と姿勢を支持した状態で落下させるとともに、衝突面上空に発生する正圧を抑制して試験対象物の姿勢不安定を防ぐこと。
12:ホルダに試験対象物をその形状を把持されることなく自重と姿勢を下面、側面から支持してそのままホルダごと落下させると同時に、衝突面上空の圧力をチェックし、空圧値が大気圧以上であれば、空圧制御手段により空圧調整を試験対象物の衝突まで繰り返し行い、前記ホルダと試験対象物を衝突面まで一体で落下させ、その後、試験対象物の衝突面に衝突したときの衝撃波形を衝撃センサにより出力させ、前記試験対象物の自重と姿勢を支持した状態で落下させるとともに、衝突面上空に発生する正圧を抑制して試験対象物の姿勢不安定を防ぐこと。
【0012】
本発明では、試験対象物の自重と姿勢を支えるアームとアームが衝突ブロックを通過する通過孔を設けたことにより、試験対象物に無用な応力をかけることが無く、かつ衝突の瞬間まで試験対象物の自重を支持しているので正確で再現性のある落下姿勢を得ることができる。
さらに、調圧ノズルと空圧制御回路を設けたことにより、極薄で軽量化された電子機器を試験対象物として扱うことができ衝突直前で発生する浮力に影響されず落下姿勢を再現よく制御可能になる。
【0013】
特に,請求項9の発明は、ベース1に垂直に立つ複数のガイドシャフトA2に勘合した複数のガイドA21と、ガイドA21で保持したホルダ22と、ホルダ22上で試験対象物3の下面を支える複数のアームA24と、ホルダ22上で試験対象物3の立ち姿勢を支える複数のアームB25と、ホルダ22の下方でホルダ22と所定の落下高さを確保できる距離に水平の衝突面41を有する衝突ブロック4と、衝突ブロック4の上部でアームA24、アームB25の厚みより若干広い溝を有してアームA24、アームB25が通過する複数の通過孔42を備えている。
【0014】
試験対象物3の自重を下から支え立ち姿勢を側面で支える複数のアームA24、アームB25を設けたことにより、試験対象物3を把持せず無用な応力を試験対象物3にかけない為、極薄の電子機器を扱える。
【0015】
また、試験対象物3を把持せず落下させることにより衝突の瞬間まで常に姿勢を維持できるため、試験対象物3の落下姿勢を正確に設定することができる。
【0016】
さらに精度の良い再現性のある落下姿勢を得ることができる。
請求項10の発明は、開始センサ6、衝突位置センサ45、衝突ブロック4の衝突面41に設けた調圧ノズル43と空圧センサ64、真空発生器63、空圧バルブ62、空圧制御回路61を備えている。衝突直前の衝突面41上空の空圧をモニタし正圧にも負圧にもならないように空圧制御回路61により制御する。これにより試験対象物3と衝突面41との空間の圧力上昇とそれに伴う浮力の発生を抑えて衝突瞬間の落下姿勢の乱れを抑制する。これにより薄型軽量化が進んだ電子機器でも常に設定した落下姿勢を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の落下衝撃試験機の一つの実施例を示す側面図である。
図2は、本発明の落下衝撃試験機の一つの実施例を示す正面図である。
ベース1に垂直に立つ複数のガイドシャフトA2に勘合した複数のガイドA21と、ガイドA21で保持したホルダ22と、ホルダ22上で試験対象物3の下面を支える複数のアームA24と、ホルダ22上で試験対象物3の立ち姿勢を支える複数のアームB25と、ホルダ22の下方でホルダ22と所定の落下高さを確保できる距離に水平の衝突面41を有する衝突ブロック4と、衝突ブロック4の上部でアームA24、アームB25の厚みより若干広い溝を有してアームA24、アームB25が通過する複数の通過孔42を備えている。
【0018】
さらに、衝突ブロック4の衝突面41に設けた調圧ノズル43と空圧センサ64、真空発生器63、空圧バルブ62、空圧制御回路61を備えている。
ホルダ22の近傍でベースに垂直に立つ複数のガイドシャフトB51に勘合した複数のガイドB52と、ガイドB52で保持したガイドブロック53と、ガイドブロック53に固定し前記ホルダ22方向に伸縮する解除バー54とレバー55を備えている。ホルダ22にはストッパシャフト23を設けており、解除バー54と互いに交差する長さを有している。
【0019】
ガイドブロック53を吊るすワイヤー57が、ガイドシャフトB51の上部を支える天板13上に設けた複数のプーリ56を介して垂直のフレーム11にクランプハンドル58で固定さえている。
落下高さを設定する際の目盛りを有したスケールプレート59をフレーム11に垂直に取り付けている。
【0020】
フレーム11の上方には開始センサ6、衝突面41近傍には衝突位置センサ45と速度センサ46を設けている。
ガイドシャフトA2の下端でホルダ22の下面に接触する位置にはダンパ12を設置している。
【0021】
図3は、本発明の落下衝撃試験機の一つの実施例を示すブロック図である。図4は、本発明の落下衝撃試験機の一つの実施例を示すフローチャート図である。図5、6は落下の瞬間と落下後のホルダの位置を表す正面からの矢視図である。
【0022】
<動作の説明>
まず試験対象物3をアームA24の上に搭載する。アームA24は試験対象物3の自重を下面から支えるようにホルダ22から横に伸びた形状であり、かつ衝突面41に設けた通過孔42を通過するように所定の幅を有している。十分な衝突面41を確保するため、アームA24の幅は試験対象物3の自重を支えるのに必要な最小限の強度をもつように取り決めている。
【0023】
例えば、アームA24の幅は0.5〜2mm、その際の通過孔42の幅は、アームA24との隙間をそれぞれ0.5〜1mm程度有して1.5〜4mmである。アームB25は、試験対象物3の姿勢を維持するよう側面から支えるホルダ22上の位置に複数個備えている。試験対象物3が倒立するのに必要な強度をもつ最小限の厚み、例えばアームA24と前記同様の寸法を有している。
【0024】
衝突面41は、試験対象物3の衝突対象面より若干大きい寸法を有して水平に設置している。衝突の際の様々な衝撃を再現するために、衝突面41にはコンクリート、鉄、木などの材料を用いる。試験対象物3には衝撃センサ71を設置しており、衝突の際の衝撃、例えば加速度、ひずみ量などを電気信号で出力する。
【0025】
衝撃センサ71の電気出力信号は信号解析器72で信号の増幅・処理などを行い、信号記録器73でその信号を記録する。出力信号は、例えばアナログで出力されたものをデジタル信号にA/D変換してデジタル値としてハードディスクなどの記憶媒体に保存する。
【0026】
試験対象物3をアームに搭載した状態でホルダ22を上方に引き上げる。ガイドブロック53はあらかじめ試験する落下高さを有するようにスケールプレート59上の目盛りを目安にして上方にワイヤー57とクランプハンドル58で固定している。レバー55を引き解除バー54をホルダ22に対して後方に退避した状態で、引き上げたホルダ22のストッパシャフト23が解除バー54の上に位置するようにさらに引き上げる。
【0027】
その後レバー55を戻して解除バー54を復帰させストッパシャフト23が解除バー54上に載るようにホルダ22を降ろす。この状態で、落下開始可能となる。落下高さの変更は、クランプハンドル58の固定を緩めてワイヤー57で吊るしたガイドブロック53を上下させて行う。
【0028】
次に、図3、図4を用いながら落下動作のフローについて説明する。
レバー55を引き解除バー54を外すとホルダ22と試験対象物3は落下を開始する。試験対象物3はホルダ22とともに自由落下状態あるいは自由落下に近い状態で落下する。
落下直後に開始センサ6で落下開始を検出することにより、衝撃センサ71の信号を信号解析器72を通して信号記録器73で記録開始する。
さらに開始センサ6をトリガとして真空発生器63を起動する。起動自体は落下開始前でもよいが落下動作中以外は不要のため、開始センサ6で起動するほうが良い。
【0029】
次に調圧ノズル43と真空発生器63の間に設けた空圧センサ64と空圧制御回路61により衝突面41上空の圧力をチェックする。
空圧値が大気圧以上であれば、空圧制御回路61で空圧バルブ62をオープンして図8に示すように空圧値を下げる。この空圧調整を繰り返し衝突にいたり衝突位置センサ45の検出により空圧調整を終了する。
空圧調整を行わない場合は図7に示すグラフのように落下の直前で急激に衝突面41上空の圧力が上昇する。衝突後は空圧バルブ62をクローズして真空発生器63を停止し衝撃センサ71の信号の記録を停止する。衝突の瞬間の落下速度は速度センサ46で計測して速度表示器47で表示して確認する。
【0030】
試験対象物3はその形状を把持されることなく自重と姿勢を下面、側面から支持してそのままホルダ22ごと落下する。
図5に示すように衝突面41まではホルダ22と試験対象物3が一体で落下して、その後試験対象物3は衝突面41に衝突し衝撃センサ71に衝撃波形を出力する。
【0031】
図6はホルダが下端まで落下して停止した状態である。
この図のように、試験対象物3を支持していたアームA24、アームB25は衝突ブロック4に設けた通過孔42を通り抜け試験対象物3の衝突姿勢にはまったく影響しない。ホルダ22はガイドシャフトA2の下端のダンパ12に衝突して停止する。
ダンパ12は反発係数の小さいゲル状樹脂、ショックアブソーバなどからなり、ホルダ22がダンパ12に衝突した後のバウンド量はアームA24、アームB25が試験対象物3に干渉しない程度に小さく緩衝し速度を急減速している。
【0032】
以上より、試験対象物3はその自重と姿勢を支持した状態で落下できるため、毎回正確な落下姿勢を得ることができて再現性のよい落下試験を行うことができる。
さらに衝突面上空に発生する正圧を抑制して試験対象物3の姿勢不安定を防ぐことができて、薄型軽量化された電子機器でも正確で再現性のある落下試験を行うことができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の効果は、電子機器の落下衝撃試験における正確で再現性の良い落下姿勢を可能にすることである。
本発明では、試験対象物の自重と姿勢を支えるアームとアームが衝突ブロックを通過する通過孔を設けたことにより、試験対象物に無用な応力をかけることが無く正確で再現性のある落下姿勢を得ることができる。
さらに、調圧ノズルと空圧制御回路を設けたことにより、極薄で軽量化された電子機器を試験対象物として扱うことができ、衝突直前で発生する浮力に影響されず落下姿勢を再現よく制御可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の落下衝撃試験機の構造を表す側面図
【図2】本発明の落下衝撃試験機の構造を表す正面図
【図3】本発明の落下衝撃試験機を表すブロック図
【図4】本発明の落下衝撃試験機の動作を表すフローチャート
【図5】本発明の落下衝撃試験機の落下瞬間を表す矢視図
【図6】本発明の落下衝撃試験機の落下瞬間直後を表す矢視図
【図7】本発明の落下衝撃試験機の空圧制御を行わない場合の試験対象下面の圧力線図
【図8】本発明の落下衝撃試験機の空圧制御を行った場合の試験対象下面の圧力線図
【図9】従来の落下衝撃試験機の一例を示す斜視図
【符号の説明】
1 ベース
11 フレーム
12 ダンパ
13 天板
2 ガイドシャフトA
21 ガイドA
22 ホルダ
23 ストッパシャフト
24 アームA
25 アームB
3 試験対象物
4 衝突ブロック
41 衝突面
42 通過孔
43 調圧ノズル
45 衝突位置センサ
46 速度センサ
51 ガイドシャフトB
52 ガイドB
53 ガイドブロック
54 解除バー
55 レバー
56 プーリ
57 ワイヤー
58 クランプハンドル
59 スケールプレート
6 開始センサ
61 空圧制御回路
62 空圧バルブ
63 真空発生器
64 空圧センサ
Claims (12)
- ベースに立設した複数のガイドシャフト及びフレームと、前記ベースに固定された衝突ブロックと、
前記ガイドシャフトに案内され、試験対象物を載置したまま落下できるホルダと、
試験対象物に載置された衝撃センサと、からなる落下衝撃試験機において、
前記衝突ブロックの衝突面に設けられた調圧ノズルおよび空圧センサと、
衝突面上空の空圧を制御する空圧制御手段と、を備え、
衝突直前の衝突面上空の空圧をモニタし、正圧にも負圧にもならないように、衝突面上空の空圧を制御することを特徴とする落下衝撃試験機。 - 前記ホルダは、前記ガイドシャフトに嵌合した複数のガイドに保持されとともに、ホルダ上で試験対象物の下面を支える複数の第1のアームと、ホルダ上で試験対象物の立ち姿勢を支える複数の第2のアームと、を備えていること、
を特徴とする請求項1記載の落下衝撃試験機。 - 前記複数の第1のアームと前記第2のアームは、それぞれ、衝突面に設けた通過孔を通過するように所定の幅を有していること、を特徴とする請求項2記載の落下衝撃試験機。
- 前記複数のアームの間隔は試験対象物より若干小さく形成され、複数のアームは試験対象物の落下姿勢を形成する位置に配置していること、を特徴とする請求項3記載の落下衝撃試験機。
- 前記空圧制御手段は、前記調圧ノズル,前記空圧センサ、真空発生器、空圧バルブおよび空圧制御回路とから構成され、衝突直前の衝突面上空の空圧をモニタし、正圧にも負圧にもならないように、衝突面上空の空圧を制御すること、を特徴とする請求項1記載の落下衝撃試験機。
- 前記フレームの下方に衝突位置センサを設け、この衝突位置センサの検出信号を前記空圧制御回路の入力信号としたこと、を特徴とする請求項5記載の落下衝撃試験機。
- 前記フレームの上方に落下開始を検出する開始センサを設け、記録開始すること、を特徴とする請求項5〜6のいずれかに記載の落下衝撃試験機。
- 前記開始センサの出力信号をトリガとして空圧制御手段の真空発生器を起動すること、を特徴とする請求項5記載の落下衝撃試験機。
- ベースに垂直に立つ複数のガイドシャフトに嵌合した複数のガイドと、
前記ガイドで保持したホルダと、
ホルダ上で試験対象物の下面を支える複数の第1のアームと、
ホルダ上で試験対象物の立ち姿勢を支える複数の第2のアームと、
ホルダの下方でホルダと所定の落下高さを確保できる距離に水平の衝突面を有する衝突ブロックと、
衝突ブロックの上部で前記第1のアーム、前記第2のアームの厚みより若干広い溝を有して前記第1のアーム、前記第2のアームが通過する複数の通過孔を備えていること、を特徴とする落下衝撃試験機 - 衝突ブロックの衝突面に設けた調圧ノズルと空圧センサ、真空発生器、空圧バルブ、空圧制御回路を備えていることを特徴とする請求項9に記載の落下衝撃試験機
- 試験対象物をその形状を把持されることなく自重と姿勢を下面、側面から支持したままで、試験対象物の自重と姿勢を支持した状態で落下させるとともに、衝突面上空に発生する正圧を抑制して試験対象物の姿勢不安定を防ぐことを特徴とする落下衝撃試験方法。
- ホルダに試験対象物をその形状を把持されることなく自重と姿勢を下面、側面から支持してそのままホルダごと落下させると同時に、衝突面上空の圧力をチェックし、空圧値が大気圧以上であれば、空圧制御手段により空圧調整を試験対象物の衝突まで繰り返し行い、
前記ホルダと試験対象物を衝突面まで一体で落下させ、
その後、試験対象物の衝突面に衝突したときの衝撃波形を衝撃センサにより出力させ、
前記試験対象物の自重と姿勢を支持した状態で落下させるとともに、衝突面上空に発生する正圧を抑制して試験対象物の姿勢不安定を防ぐことを特徴とする落下衝撃試験方法。
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