JP3870535B2 - エンジンのヘッド構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関のヘッド構造に係り、特に、高圧オイルを用いて燃料噴射を行うエンジンのヘッド構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンに適用される燃料噴射装置として、特表平6-511524号公報等に示されるような油圧作動式電子制御燃料噴射装置が知られている。これは高圧オイルポンプでオイルを高圧まで加圧し、この高圧オイルを一旦オイルマニホールドに貯めた後にインジェクタに供給し、この油圧でインジェクタ内部の増圧ピストンを作動させると共に、この増圧ピストンでインジェクタ内部の燃料を噴射圧力まで加圧し、その加圧燃料で針弁をリフトさせ、燃料噴射を実行するものである。なお、オイルはエンジン潤滑油が共用とされる。
【0003】
インジェクタはヘッドカバーで覆われており、ヘッドカバーには、クランクケースからPCVパイプを介して導入されるブローバイガスの導入口が形成されている。
【0004】
ブローバイガス導入口からヘッドカバー内に導入されたブローバイガスは、ヘッドカバー内を上昇し、ヘッドカバー上部に設けられたバッフルプレートのガス抜き穴を通って、ヘッドカバーとバッフルプレートとで形成される気液分離室内に導かれる。ブローバイガスは、気液分離室内でガス分とオイル分とに分離され、ガス分は吸気系に戻されると共に、オイル分はヘッドカバー内に戻される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した燃料噴射装置では、インジェクタに供給される高圧オイルは、約3〜20MPaの高圧に加圧されており、燃料の噴射に使用されている。インジェクタは燃料噴射に使用されたオイルをインジェクタ上部に形成された排出孔から排出している。
【0006】
このインジェクタの排出孔から排出されるオイルが、バッフルプレートのガス抜き穴から気液分離室内に入ると、吸気系に戻されるガス分が再びオイル分を含有してしまうため、白煙がでたり、オイル運転をするおそれがある。このため、インジェクタの排出孔から排出されるオイルが、バッフルプレートのガス抜き穴に掛からない(ガス抜き穴内に入らない)ようにする必要がある。
【0007】
しかしながら、インジェクタのオイル排出孔は、インジェクタの構造上、インジェクタ上部の排出孔の位置が所定の位置にくるように配置することは極めて困難である。よって、インジェクタが複数本(例えば、4気筒のエンジンなら4本存在する)の場合、各インジェクタの排出孔の位置は、それぞれバラバラとなる。
【0008】
すなわち、インジェクタ上部の排出孔の位置は、各インジェクタによって常に異なるため、従来のバッフルプレートおいては、インジェクタの排出孔から排出されるオイルが、ガス抜き穴に掛からないようにすることは困難であった。
【0009】
そこで本発明は、上記課題を解決し、インジェクタの排出孔から排出されるオイルが、バッフルプレートのガス抜き穴に掛かるおそれがないエンジンのヘッド構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、高圧オイルを一時貯留するためのオイルマニホールドと、そのオイルマニホールドに一時貯留された上記高圧オイルを用いて燃料を加圧噴射すると共に、噴射に使用されたオイルを排出するための排出孔を備えたインジェクタと、そのインジェクタを覆うヘッドカバーと、そのヘッドカバー内に設けられ、ブローバイガスのガス抜き穴を備えたバッフルプレートとで構成されるエンジンのヘッド構造であって、上記オイルマニホールドをシリンダヘッド上面にヘッドカバー内に位置させて取り付け、かつ、オイルマニホールドを上記排出孔と上記ガス抜き穴との間に配置したものである。
【0011】
以上の構成によれば、インジェクタの排出孔に対して、ガス抜き穴は常にオイルマニホールドの陰になるため、インジェクタの排出孔から排出されるオイルが、バッフルプレートのガス抜き穴に掛かるおそれがなくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
エンジンのヘッド部分の断面図を図1に、図1のA−A線矢視図を図2に示す。尚、図2においては、オイルマニホールド1、インジェクタ2、シリンダヘッド4の図示を省略している。
【0014】
本発明のエンジンのヘッド構造は、図1に示すように、主にオイルマニホールド1、インジェクタ2、ヘッドカバー5、およびバッフルプレート6で構成されている。
【0015】
高圧オイルを一時貯留するためのオイルマニホールド1は、円筒形状を呈していると共に、シリンダヘッド4の長手方向と平行(図1中では、図面と垂直な方向)に配置され、かつ、シリンダヘッド4上面に取り付けられている。
【0016】
オイルマニホールド1に一時貯留された高圧オイルを用いて燃料(図示せず)を加圧噴射するためのインジェクタ2は、その上部に噴射に使用されたオイルOを排出するための排出孔3を備えており、その下部はシリンダ内に臨んでいる。ここで、インジェクタ2はシリンダヘッド4に固定されており、インジェクタ2が複数本の場合(例えば、4気筒のエンジンならば4本)、オイルマニホールド1と平行に、かつ、各インジェクタ2間が等間隔になるように配置される。尚、図示していないが、インジェクタ2の上部は、オイルマニホールド1に取り付けられており、これによって、インジェクタ2の上部を固定している。
【0017】
ヘッドカバー5は、インジェクタ2およびオイルマニホールド1の全体を上部から覆うと共に、その下部にはシリンダヘッド4が嵌合されている。ヘッドカバー5は後述するバッフルプレート6を取り付けるための段部5cを有している。また、オイルマニホールド1近傍におけるヘッドカバー5側面(図中では右側面)には、PCVパイプ8を嵌合するためのブローバイガス導入口5aが形成されており、ヘッドカバー5の上部には、ブリーザーパイプ9を嵌合するためのブローバイガス排出口5bが形成されている。
【0018】
バッフルプレート6におけるオイルマニホールド1側(図中では右側)には、図1、2に示すように、ブローバイガスGのためのガス抜き穴(図中では2個)6aが形成されている。ガス抜き穴6aは、オイルマニホールド1の垂直方向の中心線よりもブローバイガス導入口5a側(インジェクタ2と反対側)の方に位置するように形成されている。このガス抜き穴6aと排出孔3との間に、オイルマニホールド1が配置されている。バッフルプレート6は、ヘッドカバー5の段部5cに取り付けられている。
【0019】
ここで、ヘッドカバー5とバッフルプレート6との間には、ブローバイガスGのガス分G1 とオイル分を分離するための気液分離室7が形成されている。尚、図示していないが、気液分離室7内には流路が形成されており、ブローバイガスGは、この流路をフローする間にガス分G1 とオイル分とに分離されるようになっている。
【0020】
ブローバイガスGのフローを説明する。先ず、クランクケース(図示せず)で生じたブローバイガスGは、PCVパイプ8を介して、ブローバイガス導入口5aからヘッドカバー5内に導入される。
【0021】
ヘッドカバー5内に導入されたブローバイガスGは、ヘッドカバー5内を上昇し、ヘッドカバー5上部に設けられたバッフルプレート6のガス抜き穴6aを通って、ヘッドカバー5とバッフルプレート6とで形成される気液分離室7内に導かれる。
【0022】
気液分離室7内に導かれたブローバイガスGは、気液分離室7内をフローする間にガス分G1 とオイル分とに分離される。ブローバイガスGのガス分G1 はブリーザーパイプ9を介して吸気系に戻され、オイル分はバッフルプレート6上面に落下し、ヘッドカバー5内に戻されるようになっている。
【0023】
次に、本発明の作用を説明する。
【0024】
各インジェクタ2の排出孔3の位置は、それぞれが別々の方向を向いているため、各インジェクタ2の排出孔3から排出されるオイルOは、ヘッドカバー5内の様々な方向に飛び出している。
【0025】
しかし、本発明のエンジンのヘッド構造においては、バッフルプレート6のガス抜き穴6aを、インジェクタ2の排出孔3に対してオイルマニホールド1の陰になる位置に形成しているため、排出孔3からガス抜き穴6aの方向に飛び出したオイルOは全てオイルマニホールド1に遮られてしまう。これによって、排出孔3から排出されたオイルOが、ガス抜き穴6aに掛かることはない。
【0026】
すなわち、インジェクタ2から排出されたオイルOが、バッフルプレート6のガス抜き穴6aから気液分離室7内に入ることがなくなるため、吸気系に戻されるガス分G1 が再びオイル分を含有することはなく、白煙がでたりするおそれがなくなる。
【0027】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限らず他の実施の形態を採ることも可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、インジェクタの排出孔とバッフルプレートのガス抜き穴との間にオイルマニホールドを配置したことで、排出孔から排出されるオイルが、ガス抜き穴に掛かるおそれがないという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンのヘッド部分の断面図である。
【図2】図1のA−A線矢視図である。
【符号の説明】
1 オイルマニホールド
2 インジェクタ
3 排出孔
5 ヘッドカバー
6 バッフルプレート
6a ガス抜き穴
G ブローバイガス
O オイル
Claims (1)
- 高圧オイルを一時貯留するためのオイルマニホールドと、そのオイルマニホールドに一時貯留された上記高圧オイルを用いて燃料を加圧噴射すると共に、噴射に使用されたオイルを排出するための排出孔を備えたインジェクタと、そのインジェクタを覆うヘッドカバーと、そのヘッドカバー内に設けられ、ブローバイガスのガス抜き穴を備えたバッフルプレートとで構成されるエンジンのヘッド構造であって、上記オイルマニホールドをシリンダヘッド上面にヘッドカバー内に位置させて取り付け、かつ、そのオイルマニホールドを上記排出孔と上記ガス抜き穴との間に配置したことを特徴とするエンジンのヘッド構造。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP04838798A JP3870535B2 (ja) | 1998-02-27 | 1998-02-27 | エンジンのヘッド構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP04838798A JP3870535B2 (ja) | 1998-02-27 | 1998-02-27 | エンジンのヘッド構造 |
Publications (2)
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JPH11247644A JPH11247644A (ja) | 1999-09-14 |
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ID=12801901
Family Applications (1)
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JP04838798A Expired - Fee Related JP3870535B2 (ja) | 1998-02-27 | 1998-02-27 | エンジンのヘッド構造 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3870535B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
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CN110942898B (zh) * | 2019-11-22 | 2022-08-26 | 中车株洲电机有限公司 | 一种动车牵引变压器油泵补油方法 |
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1998
- 1998-02-27 JP JP04838798A patent/JP3870535B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH11247644A (ja) | 1999-09-14 |
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