JP3870281B2 - インクジェット用記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は記録媒体、特にはインクジェット用記録媒体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種学会、会議等のプレゼンテーション用として、従来のスライドプロジェクタに代わり、オーバーヘッドプロジェクタの使用が主流になってきている。また印刷の分野でも、各種の出版物や包装等の用途で、透明な印刷物が求められてきている。これらの透明なフィルムへの印字、印刷は、基材であるフィルム自体に吸収性がないため、一般の紙面上に行う印刷に比べ、印刷の速度や乾燥の面で特別な配慮が必要である。
【0003】
一方、特開平2−276670、特開平4−320877には、透明で、吸収性を有さない基材上に、アルミナ水和物からなるインク受容層を設けた記録シートが、記録媒体として好適に使用できることが報告されている。この記録シートは、ポリエチレンテレフタレート(以下PETという)等の透明な基材上に、主としてインク中の色素を吸収定着する多孔性アルミナ水和物からなる層を設けたものである。この多孔性アルミナ水和物層は、ベーマイト結晶粒子からなるアルミナゾルとポリビニルアルコール系バインダからなる塗工液とを基材に塗布し、乾燥することにより形成される。
【0004】
しかし、アルミナゾルとポリビニルアルコール系バインダからなる塗工液は、粘度が経時的に上昇しやすく、特に固形分濃度の高い塗工液の場合は取り扱い性が悪く、塗布作業等が困難であった。また、塗工液の粘度の上昇を抑制するために高温に保持した場合、特に、連続塗布作業時には、塗工機のコータヘッドの局部に、蒸発によるゲル化物及び凝集物が蓄積し、これらの蓄積物が記録シートの外観欠点の原因になる問題があった。
【0005】
また、上記のアルミナ水和物からなるインク受容層は、紙基材上に形成することもでき、特にキャストコート、カレンダリング等の方法を用いることにより、平滑な表面を有し、光沢度の高い光沢紙を得ることができる。しかしこの光沢紙のインク吸収性と色再現性を高くするためには、インク受容層の厚さが20μm以上必要であり、低価格化が要求されている光沢紙の市場においては充分に対応できなかった。これは、インク受容層と紙基材の間のインクの移行速度が遅いため、インク受容層のみでインクの大部分を吸収する必要があるためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、経時的に安定で連続作業が可能なアルミナ塗工液を使用して、画質に優れた記録媒体を提供することを目的とする。
また、本発明は、インク受容層と基材の間のインクの移行速度が速く、インク受容層の厚さが15μm以下、さらには10μm以下でもインク吸収性が高く、色濃度が高く、光沢度の高い記録媒体、特には高品質の光沢紙を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基材上に、アルミナ水和物粒子と、該アルミナ水和物粒子に対して2〜50重量%の樹脂粒子を含有する多孔質層を有するインクジェット用記録媒体であって、該樹脂粒子が、平均粒径0.01〜0.05μmのコア/シェル構造を有する複合タイプの樹脂粒子であり、コア部分は、アクリル酸エステルを重合単位として有する重合体からなり、シェル部分は、3級アミノ基を有するアクリル酸エステル若しくはアクリルアミドを重合単位として有する重合体をカチオン化した重合体、又は4級アンモニウムカチオンを有するアクリル酸誘導体を重合単位として有する重合体からなることを特徴とするインクジェット用記録媒体を提供する。
【0008】
本発明において、アルミナ水和物粒子は、記録媒体の表面に塗布して多孔質層を形成したとき、インク中の溶媒等を効果的に吸収できるものであればいずれのものを用いてもよいが、ベーマイト(AlOOH)が特に好ましい。その二次凝集径としては、透明な多孔質アルミナ水和物層を形成するためにも、色濃度が高い記録物を得るためにも、100〜200nmであることが好ましい。
【0009】
本発明において、多孔質層中のアルミナ水和物粒子はアルミナゾルから形成されることが好ましく、特にゾル粒子がベーマイトであることが好ましい。また、平均粒径0.01〜0.05μmのノニオン型又はカチオン型の非水溶性樹脂粒子は、水系の分散液として前記アルミナゾルに混合することが好ましい。該混合液は、分散性に優れ、粘度が低い。この混合液を基材上に塗布すると、透明性の高い多孔質層が形成できる。このとき、樹脂粒子はバインダとして機能する。
【0010】
また、前記混合液を凝集させて凝集粒子を形成し、この凝集粒子を基材上に塗工して多孔質層を形成することもできる。このとき、この凝集粒子は前記樹脂粒子とは別の有機バインダとともに基材上に塗工することが好ましい。多孔質層を凝集粒子によって形成することにより、多孔質層から基材へのインクの移行速度が速くなり、基材自体にインク吸収性がある場合、塗工層の厚さが15μm以下であってもインク吸収性が良好で、色素の定着性が高い記録媒体を得ることができる。さらには塗工層の厚さを10μm以下とすることもできる。ここでインク吸収性がある基材としては、印刷用紙用の上質紙、情報用紙用の上質フォーム紙、PPC紙、又はこれらと同等のインク吸収性を有する紙等が好ましい。
【0011】
凝集粒子を形成する場合、アルミナゾルと非水溶性樹脂粒子の分散液との混合液は、噴霧乾燥によって急速に乾燥されることが好ましい。急速乾燥によって得られる凝集粒子は、平均粒径が1〜20μmであることが好ましい。1μm未満であると、多孔質層から紙基材へのインクの移行速度が遅くなり、多孔質層の厚さを薄くしたときの記録媒体のインクの吸収性が不充分になるおそれがある。また、20μmを超えると記録媒体の表面に凹凸が生じやすく、光沢度が低くなるおそれがあるので好ましくない。より好ましくは1〜15μmである。
【0012】
噴霧乾燥においては、スプレードライヤを使用するが、凝集粒子の粒径を上記範囲とするためには、加圧式二流体ノズル方式のスプレードライヤを使用することが好ましい。
【0013】
凝集粒子は、次いで水に分散される。このとき、本発明によれば凝集粒子自体が耐水性を有するので、凝集粒子はその凝集状態を維持したまま水に分散される。さらにこの水分散液には、有機バインダを加えて塗工液とされることが好ましい。
【0014】
上記有機バインダとしては、ポリビニルアルコール及びその変成物、でんぷん及びその変成物、SBRラテックス(スチレン−ブタジエン共重合体ゴムラテックス)、NBRラテックス(アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムラテックス)、カルボキシセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子を使用できる。有機バインダの使用量は、塗工液中に含有される凝集粒子を形成するアルミナ水和物粒子の5〜50重量%程度を採用することが好ましい。バインダの使用量が5重量%未満の場合は層強度が不充分になるおそれがあり、逆に50重量%を超えるとインクの吸収性又は染料の吸着性が不充分になるおそれがある。
【0015】
上記塗工液を基材上に塗工して多孔質層が形成された記録媒体は、JIS Z8741に規定される60°鏡面光沢度が30%以上であることが好ましい。60°鏡面光沢度が40%以上であるとさらに好ましい。特に基材が紙である場合は、光沢紙として使用できる。
【0016】
このような光沢度の高い記録媒体を得る方法としては、基材表面に前記塗工液を塗布し、該塗布層に表面が平滑な型を押しつけて乾燥した後、型を剥離することにより基材上に塗工層を形成する。表面が平滑な型は、塗布層中の水分量が固形分量に対して好ましくは100〜450重量%になるまで乾燥した後に剥離することが好ましい。また、表面が平滑な型はあらかじめ50〜150℃に加熱しておくことが好ましく、表面が平滑な型を線圧2〜50kg/cmで塗工層に密着させ、乾燥した後、型を剥離することが好ましい。
【0017】
上記の、塗布層を形成した面への型押しは、バッチ式だけでなく、例えば回転するロールを表面が平滑な型として使用し、連続式で行うこともでき、基材上への塗工液の塗布、型押しを続けて連続作業として行うこともできる。
【0018】
また、上記の光沢度の高い記録媒体は、平滑な型の表面に塗工液を塗布した後、その塗布層を形成した面に基材を押しつけ、乾燥してアルミナ水和物層を形成し、次いで型を剥離して型から基材にアルミナ水和物層を転写、移行させることによっても得られる。
型の材質としては、PET、ポリカーボネート等のプラスチック、又は金属等が、特に限定されず採用できる。
【0019】
本発明における平均粒径0.01〜0.05μmのノニオン型又はカチオン型の非水溶性樹脂粒子の含有量は、アルミナ水和物粒子に対して固形分換算で2〜50重量%であることが好ましい。50重量%を超えると多孔質層のインク吸収性を阻害するおそれがあるので好ましくない。また、2重量%未満では、バインダとして使用する場合には機械的強度が不充分になり、凝集粒子を形成する場合には凝集粒子を水に分散したときに凝集粒子の凝集状態を保てず、多孔質層の厚さを薄くすると記録媒体のインク吸収性が不充分となるおそれがあるので好ましくない。特にバインダとして使用する場合、より好ましくは5〜50重量%であり、凝集粒子を形成する場合は2〜35重量%である。
【0020】
本発明における樹脂粒子は、表面に電荷を有さないノニオン型のもの、又は表面に正電荷を有するカチオン型の樹脂粒子であることが必要である。特に、カチオン型が好ましい。これらノニオン型又はカチオン型樹脂粒子は、pH8以下、好ましくはpH6以下の酸性下にて安定な水分散液を形成する。
【0021】
本発明では、具体的には、カチオン型のアクリル重合体(本発明ではアクリル重合体にはメタクリル重合体も含む)からなるものが好ましく使用される。カチオン型の樹脂粒子は、例えばアミンや4級アンモニウム等の基を有しており、それらの基の電離により正の電荷が得られている。このようなカチオン型のアクリル重合体のうち、分子量10,000以上のものが、アルミナ水和物層の耐水性及び耐候性の観点から好ましい。アクリル酸塩等からなるアニオン型のアクリル重合体の場合は、静電的な理由によるアルミナ水和物の凝集が起こり、安定な塗工液は得られないおそれがある。また、アルキルアクリレート等のアクリル酸エステル等からなる、一般的なノニオン型のアクリル重合体の場合、重合体自体の機械的強度は充分であるが、アルミナ水和物層とPET等の基材との接着性の面で劣るおそれがある。
【0022】
特にコア/シェル構造を有する複合タイプの樹脂粒子が、多孔質層の機械的強度及び基材との接着性の観点から好ましい。コア部分はアルキルアクリレート等のアクリル酸エステルを重合単位として有する重合体からなることが好ましい。シェル部分は例えば、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート又はN,N−ジメチル−N’−アクリロイル−プロパン−1,3−ジアミン等の、3級アミノ基等を有するアクリル酸エステルやアクリルアミド等のアクリル酸誘導体を重合単位として有する重合体をカチオン化した重合体からなることが好ましい。4級アンモニウムカチオン等を有するカチオン型のアクリル酸誘導体等を重合単位として有する重合体でもよい。本発明において、非水溶性樹脂粒子は、5〜50重量%の水系分散液の形態で用いるのが好ましい。
【0023】
本発明における樹脂粒子の平均粒径は、0.005〜0.1μmの範囲内である。平均粒径が上記範囲より大きいと、多孔質層が不透明になり、基材が透明であっても記録媒体は透明にならない。また、基材が不透明な場合でも、基材の質感を損なわない高品質な画像を得ることができない問題が生じ得る。逆に、平均粒径が上記範囲より小さいと、バインダとして用いる場合特に機械的強度が不充分となる。本発明では、樹脂粒子の平均粒径は0.01〜0.05μmとする。
【0024】
本発明において、実質的にアルミナ水和物粒子と平均粒径0.01〜0.05μmのノニオン型又はカチオン型の非水溶性樹脂粒子とから多孔質層を形成する場合、その細孔構造は、実質的に半径が1〜20nmの細孔からなることが好ましい。さらに、細孔容積が0.3〜1.2ml/gである場合は充分な吸収性を有し、かつ多孔質層も透明性があるので好ましい。このとき、基材が透明であれば透明な記録媒体が得られる。基材が不透明である場合にも、基材の質感を損なわない高品質な画像を得ることができる。なお、本明細書における細孔径分布の測定は、窒素吸脱着法による。
【0025】
望ましくはこれらの物性に加え、アルミナ水和物層の平均細孔半径が4.5〜9.0nmであることが好ましく、さらにその平均細孔半径の±1nmの半径を有する細孔の容積が全細孔容積の50%以上であると、特に色素の定着性と透明性の両立の観点から好ましい。
【0026】
本発明において、平均粒径0.01〜0.05μmのノニオン型又はカチオン型の非水溶性樹脂粒子をバインダとし、該樹脂粒子とアルミナ水和物粒子とからなる塗工液は、調製された後、常温5〜35℃に保持される。この塗工液は粘度の経時変化が小さく安定であるため、塗工液をセッティングした状態で長期の連続塗布が可能である。また、この塗工液には、上記の樹脂粒子以外にバインダやその他の添加成分を必要に応じて含むことができる。
【0027】
上記塗工液の塗布方法は、基材上に、バーコータ、ロッドコータ、ブレードコータ、コンマコータ、ロールコータ、ダイコータ、エアナイフコータ、フローティングナイフコータ等を用いて塗布するのが好ましい。塗工層の厚さは、各プリンタ等の仕様、記録に用いられるインクやその溶剤の種類、インク量等によって適宜選択できる。
【0028】
本発明において、多孔質層はアルミナ水和物と非水溶性樹脂粒子とを含む層単層でもよいが、表面の耐擦傷性を向上させるため、アルミナ水和物と非水溶性樹脂粒子とを含む層の上に、シリカゾルを塗布して形成したシリカ層を設けることもできる。また、アルミナ水和物と非水溶性樹脂粒子とを含む層の厚さが薄い場合、インクジェット印字により形成されるドット径を最適化するために、アルミナ水和物からなる表面層を設けることもできる。ここで、アルミナ水和物からなる表面層は、本発明におけるアルミナ水和物と非水溶性樹脂粒子とを含む層と同じでも異なってもよい。このシリカ又はアルミナ水和物からなる表面層には、必要に応じて撥水性又は親水性を有する物質を混合することもできる。
【0029】
本発明において、アルミナゾルとノニオン型又はカチオン型の非水溶性樹脂粒子の水系分散液との混合液の粘度上昇が抑制されて安定になる機構は明確にはわからないが、粒子状の形態である非水溶性樹脂がアルミナゾルと相互作用をしていることにより、粘度が適当に調整されるものと思われる。
【0030】
また、実質的に上記混合液からなる塗工液を塗布、乾燥した後に得られる多孔質アルミナ水和物層の構造は明確にはわからないが、平均粒径が小さい樹脂粒子を使用することにより、特には樹脂粒子の平均粒径をアルミナ水和物粒子の二次凝集径に比べて小さくすることにより、適正な多孔質層が形成され、透明なアルミナ水和物層が得られると考えられる。
【0031】
また、上記混合液から形成された凝集粒子からなる塗工液によってインク吸収性のある基材上に厚さの薄い多孔質層を形成する場合、大きな細孔を有する多孔質層が得られるので、多孔質層から基材へのインクの移行速度が高まる。一方、凝集粒子はアルミナ水和物粒子が均一に分散した粒子であるため、色素の定着性が高く、色再現性に優れるものと思われる。
本発明の記録媒体は、特にインクジェットプリンタに適した記録媒体である。
【0032】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び比較例を説明する。
以下において、アルミナゾルの固形分濃度は、140℃で乾燥し恒量となった固形物を基に算出した濃度をいう。
また、例6〜10において、光沢度は日本電色社製グロスメーター300Aを用いて角度60°にて測定した。
【0033】
また、例6〜10における凝集粒子の耐水性の評価として、凝集粒子を水にさらしたときに凝集粒子の凝集状態が維持される割合で評価することにした。具体的には下記に定義したとおりの凝集化率を評価基準とした。
【0034】
100ccの遠心分離管に2gの乾燥させた凝集粒子を入れ、さらに50gの水を加えて撹拌して前記凝集粒子を水に分散させた。これを2000rpmで5分遠心分離器にかけた後、上澄み液を除去して残った沈降物を乾燥し、その乾燥した沈降物の重量の、初めの乾燥させた凝集粒子の重量に対する割合を百分率で表したものを凝集化率とした。すなわち、凝集化率(%)=(沈降物重量/2)×100である。
【0035】
[例1(実施例)]
アルミニウムイソプロポキシドを加水分解して得られた沈殿を解膠して、平均二次凝集径が170nmであるアルミナ水和物粒子を19重量%含むアルミナゾルを得た。次いで、このアルミナゾル500gに、固形分濃度30重量%のカチオン型アクリル系樹脂粒子の水系分散液(大成化工社製アクリットUW−129EX、平均粒径0.01μm)95gを加えて撹拌混合し、塗工液とした。この塗工液の粘度は20℃において45cPで、12時間保持した後も粘度の上昇はみられなかった。次いで、バーコータにより厚さが100μmの透明なPET上にこの塗工液を塗布、乾燥して、多孔性アルミナ水和物層を有する透明な記録シートを得た。
【0036】
[例2(比較例)]
例1と同じアルミナゾル500gに、固形分濃度40重量%のアニオン型アクリル/ウレタン・樹脂粒子の水系分散液(大成化工社製アクリットWEM−141、平均粒径0.1μm)71.3gを加えて撹拌混合した。添加終了直後に、ゲル状の凝集物が沈降して、安定な塗工液は得られなかった。
【0037】
[例3(比較例)]
例1と同様のアルミナゾル500gに、固形分濃度39.5重量%のカチオン型アクリル樹脂粒子の水系分散液(大日本インキ化学工業社製ボンコートSFC−241、平均粒径0.2μm)72.2gを加えて撹拌混合し、塗工液とした。この塗工液の粘度は、20℃のとき52.5cPであった。8時間保持した後の粘度は、ほとんど上昇がみられず安定していた。次いで、例1と同じ方法により、この塗工液をバーコータで厚さ100μmの透明なPET上に塗布・乾燥して、多孔性アルミナ水和物層を有する記録シートを得た。この記録シートは白色であり、透明なものとならなかった。
【0038】
[例4(実施例)]
アルミニウムイソプロポキシドを加水分解して得られた沈殿を解膠して、平均二次凝集径が190nmであるアルミナ水和物粒子を20重量%含むアルミナゾルを得た。次いで、このアルミナゾル600gに例1と同じカチオン型アクリル系樹脂の水系分散液120gを加えて撹拌混合し、塗工液とした。この塗工液の粘度は23℃において43cPであった。次いで、バーコータにより厚さが100μmのPET上にこの塗工液を塗布、乾燥して厚さが30μmの多孔性アルミナ水和物層を有する記録シートを得た。
【0039】
この記録シートを屋外に置き、日照及び風雨による暴露テストを実施した。暴露3か月後において、多孔性アルミナ水和物層は塗布、乾燥直後と同じ形態が維持されており、記録シートの劣化は見られなかった。
【0040】
[例5(比較例)]
例4と同じアルミナゾル600gを55℃に加温し、ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA−124)をアルミナ水和物粒子に対し11重量%添加し、さらに水を加えて撹拌混合し、固形分濃度16.5重量%の塗工液を得た。この塗工液の粘度は55℃において52cPであった。この塗工液を用い、例4と同様にして厚さ30μmの多孔性アルミナ水和物層を有する記録シートを得た。
【0041】
この記録シートについて例4と同じ暴露試験を行ったところ、1か月後から多孔性アルミナ水和物層の全面にクラックが入り、暴露3か月後にはPETからアルミナ水和物層が剥離した。
【0042】
[例6(実施例)]
例4と同じアルミナゾルを100重量部(固形分)に、例1と同じカチオン型アクリル系樹脂の水系分散液を5重量部(固形分)加え、さらに水を加えて固形分濃度10重量%の調合液を調製した。この調合液を加圧式二流体ノズル方式のスプレードライヤ(ヤマト科学社製、パピルスGB22)を用いて急速乾燥し、乾燥凝集粒子を得た。このときの凝集粒子の平均粒径は6μm、凝集化率は90%であった。
【0043】
次に水80重量部にこの凝集粒子20重量部を撹拌しつつ加えて完全に分散させ、バインダとしてポリビニルアルコール(信越化学工業社製、MA26GP)を凝集粒子に対して10重量%になるように加え、さらに水を加えて固形分濃度16.5重量%の塗工液とした。この塗工液を坪量157g/m2 の上質紙からなる基材上に乾燥塗工量8g/m2 になるようにバーコータで塗工した。塗工直後の水分量は、塗布層中の固形分量に対し、重量比で506%であった。これを乾燥して水分量を300%まで減じた。
【0044】
この塗布層に、90℃に加熱した鏡面を有する型を線圧10〜20kg/cmで密着させ、乾燥した後、鏡面を剥離して塗工紙を得た。この塗工紙の塗工層の厚さは10μm、60゜鏡面光沢度は42%であった。
【0045】
[例7(実施例)]
カチオン型アクリル系樹脂の水系分散液の添加量を10重量部(固形分)にした以外は例6と同様にして、平均粒径が6μm、凝集化率94%の凝集粒子を得た。この凝集粒子を用いて例6と同様にして塗工層の厚さが10μm、60゜鏡面光沢度が40%の塗工紙を得た。
【0046】
[例8(実施例)]
ポリビニルアルコールを凝集粒子に対して11重量%になるように添加した以外は例4と同様にして、固形分濃度16.5重量%の塗工液を得た。この塗工液を厚さ100μmのPETフィルムに、バーコータを用いて乾燥塗工量が8g/m2 になるように塗工した。塗工直後の水分量は、塗布層中の固形分量に対し、506重量%であった。これを乾燥して水分量を370重量%まで減じた。
【0047】
この塗布層が形成された面に坪量128g/m2 の上質紙を密着させた後、塗工層の水分量が固形分量に対して5重量%以下になるまで乾燥し、PETフィルムを剥離した。塗工層は完全に紙に移行し、塗工紙が得られた。この塗工紙の塗工層の厚さは10μm、60゜鏡面光沢度は41%であった。
【0048】
[例9(比較例)]
カチオン型アクリル系樹脂を使用せずにアルミナゾルのみを用い、固形分濃度10重量%になるように水を添加した以外は例6と同様にして凝集粒子を得た。この凝集粒子の平均粒径は6μm、凝集化率は0%であった。この凝集粒子を用いて例6と同様にして塗工層の厚さが10μm、60゜鏡面光沢度が43%の塗工紙を得た。
【0049】
[例10(比較例)]
カチオン型アクリル系樹脂の水系分散液として例3と同じ分散液を用いた以外は例7と同様にして凝集粒子を得た。この凝集粒子の平均粒径は6μm、凝集化率は54%であった。この凝集粒子を用いて例6と同様にして塗工層の厚さが10μm、60゜鏡面光沢度が42%の塗工紙を得た。
【0050】
例6〜10で得られた塗工紙について、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン社製、MJ500C)を用いて、テストパターンを印字した。印字したシートからインクの吸収性、ビーディングの程度をそれぞれ1〜5の5段階(1:最悪、5:最良)で相対評価した。また、シアンとマゼンタについて色濃度を色濃度計(GRETAG製、SPM1002)で測定した。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明の記録媒体は、インクの吸収性が高く、色濃度が高い記録物が得られ、かつ耐水性に優れる。
また、本発明によれば、経時的安定性が優れ、長期間保持しても粘度が安定しているアルミナゾル塗工液によって記録媒体を形成でき、取り扱い、塗布作業、特に連続塗布作業を容易にできる。さらに、インク吸収性を有する基材を用い、塗工層の厚さが薄くても優れたインク吸収性及び密着性を有する光沢度の高い記録媒体、特には光沢紙を提供することもできる。したがって、安価で高品質な光沢紙を提供できる。
また、特にバインダの樹脂粒子をカチオン型アクリル重合体にすることにより、記録用インク中の色素のにじみを抑制する効果も認められる。
Claims (7)
- 基材上に、アルミナ水和物粒子と、該アルミナ水和物粒子に対して2〜50重量%の樹脂粒子を含有する多孔質層を有するインクジェット用記録媒体であって、該樹脂粒子が、平均粒径0.01〜0.05μmのコア/シェル構造を有する複合タイプの樹脂粒子であり、コア部分は、アクリル酸エステルを重合単位として有する重合体からなり、シェル部分は、3級アミノ基を有するアクリル酸エステル若しくはアクリルアミドを重合単位として有する重合体をカチオン化した重合体、又は4級アンモニウムカチオンを有するアクリル酸誘導体を重合単位として有する重合体からなることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
- JIS Z8741に規定される60°鏡面光沢度が、30%以上である請求項1に記載のインクジェット用記録媒体。
- 多孔質層が、実質的にアルミナ水和物粒子と前記樹脂粒子とのみからなり、多孔質層の細孔構造が実質的に半径1〜20nmの細孔からなりかつ細孔容積が0.3〜1.2ml/gである請求項1又は2に記載のインクジェット用記録媒体。
- アルミナゾルと、該ゾル中のアルミナ水和物粒子に対して2〜50重量%の樹脂粒子を含む水系分散液とを含有する塗工液であって、該樹脂粒子が、平均粒径0.01〜0.05μmのコア/シェル構造を有する複合タイプの樹脂粒子であり、コア部分は、アクリル酸エステルを重合単位として有する重合体からなり、シェル部分は、3級アミノ基を有するアクリル酸エステル若しくはアクリルアミドを重合単位として有する重合体をカチオン化した重合体、又は4級アンモニウムカチオンを有するアクリル酸誘導体を重合単位として有する重合体からなる、塗工液を基材上に塗工することを特徴とするインクジェット用記録媒体の製造方法。
- 塗工液が、アルミナゾルと前記樹脂粒子の分散液とを混合し、急速乾燥して得られる凝集粒子を含有する請求項4に記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
- 基材上に塗工液を塗布し、該塗布層に表面が平滑な型を押しつけて乾燥した後、型を剥離することにより基材上に塗工層が形成される請求項4又は5に記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
- 表面が平滑な型の表面に塗工液を塗布し、該塗布層に基材を密着させて乾燥した後、平滑な型を剥離して塗工層を基材上に移行させる請求項4又は5に記載のインクジェット用記録媒体の製造方法。
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