JP3870178B2 - エアー吸引式の給紙搬送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、レーザプリンタ、ファクシミリなどに係り、特に電子写真方式の技術を用いた印刷装置のエアー吸引式の給紙搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来は爪分離方式、フリクションパッド方式、ゲート方式などの給紙搬送装置が提供されているが、いずれも紙詰まりや重送が多発するおそれがあり、また給紙ローラが摩耗するため耐久性においても問題があった。そこで各社とも高速印刷が可能な装置にはエアー吸引式の給紙搬送装置を提案している。このエアー吸引式の給紙搬送装置は、基本的には、複数のシート状の用紙を積載できる用紙積載手段と;前記用紙積載手段の用紙積載板を昇降する用紙積載板昇降手段;吹き付けファンとダクトにより構成され、前記用紙積載手段に積載された用紙を、用紙搬送方向の下流側から空気を吹き付ける用紙吹き付け手段と;少なくとも2つのローラと、前記少なくとも2つのローラにほぼ等間隔に掛け渡され、前記用紙積載手段に積載された用紙の用紙搬送方向下流側の上面に面した複数の給紙搬送ベルトと、吸引ダクトの一部とで構成される給紙搬送ユニットと;前記給紙搬送ベルトを回転移動させるために前記ローラの少なくとも1つを駆動するローラ駆動手段と;吸引ファンと、吸引ダクトの一部により構成され、前記給紙搬送ベルトが前記用紙積載手段に面しているそれぞれのベルト同士の間から、前記用紙積載手段のシート状の用紙の最上部の用紙を、用紙の搬送方向の下流側の上面から吸引する用紙吸引手段と;用紙積載板昇降手段、用紙吹き付け手段、用紙吸引手段、ローラ駆動手段のシーケンスを制御する制御手段;を有する構成をとっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこれだけでは以下で説明していくようなさまざまな問題をかかえており、実用上周辺技術の開発や制御方法の工夫が望まれている。
【0004】
エアー吸引式の給紙搬送装置の用紙吸引面と前記用紙積載手段に積載されている用紙の最上面の距離、用紙吸引手段の吸引力、用紙吹き付け手段の空気の風量などのさまざまな設定条件は用紙積載手段に積載された用紙と用紙の摩擦力を基準に考えているが、用紙積載手段に積載された用紙と用紙の摩擦係数と最後の1枚の用紙と用紙積載板の摩擦係数が違うため、最後1枚の用紙で紙詰まりや給紙ミスが発生することが多かった。
【0005】
給紙搬送ベルトの用紙に面している面と用紙積載手段の最上部の用紙の面の距離が所定の距離より離れていると、用紙吸引手段の吸引力が伝わらずに給紙不良を起こしやすくなり、所定の距離より近すぎると用紙吹き付け手段の空気が用紙搬送方向上流側の奥まで伝わり難くなり、さらに給紙搬送されている用紙に次に給紙される用紙が引きずられるなどし、これも給紙不良の原因となっていた。
【0006】
用紙吹き付け手段の吹き付け口からの空気の流れと用紙吸引手段の用紙吸引口の空気の流れがお互い増補しあうと、その空気流れの力が増補しあう部分の空気の流れが強くなり局所的な力が用紙に加わり紙詰まりや給紙ミスが発生することが多かった。このためお互いの空気の流れを干渉させてはいけない。しかし用紙吸着手段と空気吹き付け手段が有効に且つ広い面積にわたって均一に能力を発揮するために、用紙の吸引口も空気の吹き付け口もできるだけ大きなものを必要とし、さらに前記用紙吸引手段は用紙を用紙の搬送方向の下流側の上面から吸引し、前記用紙吹き付け手段は用紙を用紙の搬送方向の下流側から空気を吹き付けるためにお互いの位置関係が非常に近く、上記問題を解決することは困難であった。
【0007】
空気による吸引、吹き付けなどで用紙をさばくため、用紙積載手段に積載された用紙の最上部の用紙が用紙搬送手段に受け渡される過程において、どうしても斜め給紙などの不具合が生じやすかった。そのため用紙積載手段に積載された用紙の最上部の用紙が用紙搬送手段に受け渡される過程で用紙の動きを用紙の搬送方向から見て幅方向の動きを規制する手段を設ける必要があるが、用紙の補充や紙詰まりの処理の際には邪魔になるため、充分な大きさの規制手段を設けることができなかった。
【0008】
エアー吸引式の給紙搬送装置といえども重量の重い用紙や腰の強い用紙の給紙搬送は苦手にしており、これらの用紙を給紙搬送した場合に給紙不良や搬送不良が多発していた。等々の問題を解決する必要がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記の課題を解決するために、第1の発明として、画像形成装置におけるエアー吸引式の給紙搬送装置において、用紙積載手段は、複数の孔を有する用紙積載板と、用紙積載板移動手段と、ダクト及びファンで構成される最終用紙吹き付け手段で構成され、最終用紙吹き付け手段が、用紙積載板の孔から最終用紙を給紙搬送ユニット側へ押しつける方向に空気を吹き付ける。
【0010】
また、画像形成装置におけるエアー吸引式の給紙搬送装置において、給紙搬送ユニットを、用紙積載手段に積載されている用紙と離接させる給紙搬送ユニット離接手段、前記給紙搬送ユニット離接手段を制御する離接制御手段、前記用紙積載手段に積載されている用紙と、前記給紙搬送ユニットが接しているか否かを判別する離接判別手段を有し、前記搬送ユニットが前記用紙積載手段の用紙から接していない状態から接する状態まで移動させ、前記離接判別手段が前記給紙搬送ユニットと用紙が接していると判別したとき、その位置から所定の距離だけ前記給紙搬送ユニットを前記用紙積載手段の用紙から離す制御を行う。
【0011】
第2の発明として、画像形成装置におけるエアー吸引式の給紙搬送装置において、空気吹き付け手段の複数の空気吹き付け口は、用紙吸引手段の複数の吸引口とは用紙の搬送方向から見て重ならない位置に設けられ、前記複数のベルト同士の間から覗いている前記複数の吸引口のそれぞれの形状は、用紙搬送方向上流側が広く下流側に行くに従い狭くなっている。
【0012】
第3の発明として、画像形成装置におけるエアー吸引式の給紙搬送装置において、用紙積載手段は用紙の動きを用紙の搬送方向から見て幅方向の動きを規制する用紙規制板と、用紙規制板退避手段とを有し、かつ前記用紙積載手段は用紙の出し入れ及び紙詰まり処理の際の作業ができる程度に用紙の水平方向に所定の範囲で可動であり、前記用紙規制板退避手段は、前記用紙規制板を前記用紙積載手段が水平方向に移動する際には周囲のものと干渉しない程度に退避させる。
【0013】
第4の発明として、画像形成装置におけるエアー吸引式の給紙搬送装置において、給紙搬送ユニット退避手段を有し、用紙積載手段は用紙の動きを用紙の搬送方向から見て幅方向の動きを規制する用紙規制板を有し、かつ前記用紙積載手段は用紙の出し入れ及び紙詰まり処理の際の作業ができる程度に用紙の水平方向に所定の範囲で可動であり、前記給紙搬送ユニット退避手段は、前記用紙積載手段が水平方向に移動する際には、前記給紙搬送ユニットを周囲のものと干渉しない程度に退避させる。
【0014】
第5の発明として、画像形成装置におけるエアー吸引式の給紙搬送装置において、搬送ユニットの用紙搬送方向上流側ローラの軸に給紙ローラを設け、用紙積載手段が爪分離方式の用紙積載手段である。
【0015】
第6の発明として、画像形成装置におけるエアー吸引式の給紙搬送装置において、給紙搬送ユニットの用紙搬送方向下流側のローラの軸に搬送ローラを設け、前記搬送ローラに搬送路を介して対向する位置に従動コロを設ける。
【0016】
【発明の実施形態】
エアー吸引式の給紙搬送装置を用いた画像形成装置の基本的な構成及び各構成の動作を図1に基づいて説明する。
【0017】
用紙積載手段1は、用紙積載板11、用紙センサー12、枠体13で構成され、当該用紙積載板11には複数のシート状の用紙が積載されており、さらに当該用紙積載板11は前記枠体13の中で水平な姿勢を維持しつつ上下方向に可動である。前記用紙センサー12はフォトセンサなどを用い、前記用紙積載板11に積載された用紙の有無を検知し、前記用紙積載板11に設けられている。
【0018】
用紙積載板昇降手段2は、モータ211,212、駆動プーリ221,222、ワイヤ231,232、アイドルプーリ241,242で構成されており、給紙の際には前記用紙積載手段1に積載されている用紙の最上部の用紙の上面と給紙搬送ユニット4の用紙を吸引する部分の距離を所定の距離に維持するように制御される。当該所定の距離とは用紙吹き付け手段3の風量及び用紙吸引手段5の吸引力、1枚あたり用紙の重量、用紙サイズ、用紙同士の摩擦係数などのさまざまな関連パラメータによって決まるが、用紙P1が給紙搬送されているときに、当該用紙P1と次に給紙される予定の用紙P2の摩擦力により当該次に給紙される予定の用紙P2が動き出さない程度に隔てた距離であり、かつ前記用紙吹き付け手段3の風量及び用紙吸引手段5の吸引力により用紙1枚を前記給紙搬送ベルト42の下面側に吸着できる程度の距離である。また予め当該所定の距離を設定しておき、その他の前記関連パラメータを決定しても良い。さらには前記用紙積載板昇降手段2は用紙補給、紙詰まり処理の際には前記用紙積載板11を決められた位置まで下降させるなどの役割も果たしている。
【0019】
前記用紙吹き付け手段3は、吹き付けファン31、吹き付けダクト32及び空気吹き付け口を介して、前記用紙積載板11に積載されている複数の用紙の上の部分を用紙搬送方向の下流側から空気を吹き付けることにより前記用紙積載板11に積載されている複数の用紙の上の部分の用紙をさばいている。
【0020】
前記給紙搬送ユニット4は、少なくとも2つのローラ411,412と、前記少なくとも2つのローラにほぼ等間隔に掛け渡され、前記用紙積載板11に積載された用紙の用紙搬送方向下流側の上面に面した複数の前記給紙搬送ベルト42と、吸引ダクトの一部43とで構成されており、また前記用紙吸引手段5は、吸引ファン51と、吸引ダクト52により構成されており、前記用紙吸引手段5の用紙吸引孔(図示していない)は複数設けられ、かつ各々前記給紙搬送ベルト42同士の間から覗いている。当該給紙搬送ユニット4と当該用紙吸引手段5は、給紙の際には前記吸引ファン51の吸引力を当該吸引ダクト52と、前記給紙搬送ユニット4の吸引ダクトの一部43を介して前記用紙積載板11に積載された複数の用紙のうち最上部の1枚を前記給紙搬送ベルト42の下面に用紙を吸引し、さらに前記給紙搬送ベルト42を回転移動させて用紙を搬送する際には用紙を前記給紙搬送ベルト42の下面に吸着しつつ搬送し、当該用紙が前記ローラ412にさしかかるとローラの曲率分離及び重力の影響を受け前記給紙搬送ベルト42から当該用紙は離れ以降の用紙搬送手段6へ受け渡す。
【0021】
次に以上説明したエアー吸引式の給紙搬送装置を採用する画像形成装置の基本的な動作を図2のフローチャートを交えて説明する。
【0022】
まず、S1では前記用紙積載板11に用紙があるか否かを判断し、有ればS2に進み、無ければペーパーエンプティーを表示し(S10)用紙の補充を要求する。S2では、前記給紙搬送ベルトの下面と、前記用紙積載板11に積載されている用紙の最上部の用紙の上面の距離が所定の距離に設定されているか否かを判別し、良ければS3に進み、所定の距離の範囲外であれば、前記用紙積載板昇降手段2を駆動し所定の距離に設定を行い(S11)、再び同ステップでの確認を行う。次のS3では前記吸引ファン51が作動しているか否かを確認し、さらに次のS4では前記吹き付けファン31が作動しているか否かを確認する。いずれのステップにおいてもファンが作動してる場合は次のステップに進み、作動していないことを確認した場合はエラー(S12,S13)となる。次のS5では用紙が前記給紙搬送ベルト42の下面に吸引され、続いて前記給紙搬送ベルト42を回転移動させて(S6)、用紙を給紙搬送路6へ受け渡し(S7)、給紙搬送ベルトを停止する(S8)。最後のS9では、次の印刷命令が有るか否かを判別し、有れば再びS1に進み、無い場合は終了する。
【0023】
各請求項に記載の発明の一実施形態が採用される画像形成装置におけるエアー吸引式の給紙搬送装置を以下に詳しく説明する。
【0024】
本発明が採用されるエアー吸引式の給紙搬送装置の構成を図3に基づいて説明する。例えば、エアー吸引式の給紙搬送装置を採用する画像形成装置が複写機の場合を例にすると、まずオペレータが複写機の前に立ち、原稿を所定の位置にセットして、複写枚数、濃度設定、複写倍率などをオペレータが設定してから、最後にプリントキーを押すことにより複写機は複写動作を行う。この時オペレータが複写機の前に立ったことを赤外線センサーなどにより検知するオペレータ検知手段が検知し、この信号をトリガーに吸引ファンを始動する。また同様に原稿が所定の位置にセットされたことを検知する原稿検知手段、さらに複写枚数、濃度設定、複写倍率などをオペレータが設定するためにキー操作を行っていることを検知するキー操作検知手段などの信号をトリガーにして吸引ファンを始動する。
【0025】
また、エアー吸引式の給紙搬送装置を採用する画像形成装置がプリンタやファクシミリ装置、もしくはその複合機である場合を例にすると、パソコンからプリンタケーブルを介して受信データが送られてきたことや、送信側ファクシミリ装置から公衆回線を介して受信データが送られてきたことを検知する受信データ検知手段の信号をトリガーにして吸引ファンを始動する。
【0026】
さらに本構成では、何かのトラブルにより、各検知手段で吸引ファンが始動しなかった場合には、プリントキー操作検知手段がプリントキーが操作されたことをトリガーにして吸引ファンを始動する。
【0027】
図4の構成ついて説明する。この構成では、用紙積載手段1の用紙積載板11がコイルバネ251,252により給紙搬送ベルト42方向に付勢されている。バネの選定に際し、バネのバネ定数k(kg/m)は、用紙1枚分の重さをA(kg)、用紙1枚の厚みをB(m)、バネの本数をC(本)としたとき、k=(A/B)/Cが適当であり、前記用紙積載板11に用紙がないときに、前記用紙積載板11の面と給紙搬送ベルト42の吸引面の距離を所定の距離になるように設計すれば、前記用紙積載板11に積載された用紙の枚数に関わらず、前記用紙積載板11に積載された複数の用紙の最上部の用紙の面と、前記給紙搬送ベルト42の面の距離は所定の距離で常に一定に保たれる。
【0028】
また、図5に示す構成では、用紙積載板11を片持ちにして、当該用紙積載板11の用紙吹き付け手段3側を自由端にしてコイルバネ253で給紙搬送ベルト42方向に付勢し、当該用紙積載板11の固定端側はヒンジ26を用いることにより回動可能となっている。
【0029】
請求項1に記載の発明を採用する第1実施形態を図6に基づいて説明する。用紙積載板11には複数の孔141a〜142eが設けられ、さらに当該用紙積載板11の下に最終用紙吹き付け手段14を設け、最終用紙吹き付けファン141の空気が前記用紙積載手段11の最終用紙を給紙搬送ベルト42方向に吹きつける。通常の用紙が充分な枚数積載されている場合は前記最終用紙吹き付けファン141の機能は必要ないので止めておいてよく、用紙の枚数が少なくなってきてから始動することが好ましい。また前記最終用紙吹き付けファン141の風量はごく微風でもその役割は果たす。
【0030】
また請求項1に記載の発明の第2実施形態を図7に基づき説明する。給紙搬送ユニット4を上下に動かす機構452と当該機構452を駆動するステッピングモータ461と当該ステッピングモータ461を制御するモータ制御部(図示していない)とで構成される給紙搬送ユニット離接手段45を設け、前記給紙搬送ユニット4の給紙面近くに、用紙と接触しているか否かを検知する離接判別手段44を設けている。本実施形態では、前記給紙搬送ユニット4を上下する機構はボールナット機構を採用し、前記ステッピングモータ451及びモータ制御部は命令に応じたパルス分ステッピングモータを回転させる。前記離接判別手段44は普通に使われているボタンスイッチやフォトセンサーなどで充分である。
【0031】
以上の動作を図8のフローチャートを交えて説明すると、まず給紙搬送ユニット4をホームポジションに退避させ(図7(a)を参照)(S1)、続いて前記給紙搬送ユニット4を用紙側に下降していき(図7(b)を参照)(S2)、離接判別手段44が用紙と接触していることを検知すると(S3)一旦停止し(S4)、その位置からステッピングモータ451を逆転させて所定のパルス分、つまり用紙積載板11に積載された用紙の最上部の用紙の面と給紙搬送ベルト42の下面が所定の距離になるように当該距離に相当するパルス分前記ステッピングモータ461が回転することにより前記給紙搬送ユニット4を上昇させる(図7(c)を参照)(S5)。
【0032】
請求項2に記載の発明を採用する第3実施形態を図9に基づき説明する。尚図中の黒矢印は、矢印の方向と風量を簡易的に示したものである。用紙吸引手段5の用紙吸引孔46(46a〜46c)は図9の(b)に示すように、吸引される用紙の下流側よりに複数設けられ、かつ各々給紙搬送ベルト42同士の間から覗いており、当該用紙吸引孔46(46a〜46c)の形状は用紙搬送方向上流側が広く、下流側が狭くなっている。一方用紙吹き付け手段3の吹き付け口は、前記給紙搬送ベルト42とほぼ同じライン上に位置するよう複数設けられ、用紙搬送方向の下流側から上流側に向かって空気を吹き付ける。
【0033】
請求項3に記載の発明を採用する第4実施形態を図10及び図11に基づいて説明する。通常の給紙搬送を行っているときは用紙規制板15は給紙搬送ユニット4に搬送されている用紙の幅方向のズレを規制できる程度まで上昇している(図10(a),図11(a)を参照)、つまり前記給紙搬送ユニット4を覆う位置にまで上昇している。用紙規制板の上昇/下降手段16は、本実施形態ではラックアンドピニオンとモータを用いているが、その他プーリとワイヤをモータで駆動してもよく、また用紙規制板15をどちらか一方に付勢しておき、ソレノイドのON/OFF制御により上昇/下降を行っても良い。このように前記用紙規制板11が下降した状態(図10(b),図11(b)を参照)であると、用紙積載手段1を引き出すことが可能(図10(c),図11(c)を参照)となる。本実施形態をさらに詳しく説明すると、図12のブロック図に示す構成のもと、図13で示すフローチャートによるプログラムを常に実行していれば、紙詰まりが発生したとき、またその他の理由によりユーザーが用紙積載手段を引き出したいときには、用紙規制板15は下降し、下降が完了すれば用紙積載手段が引き出し可能となると共に用紙規制板上昇/下降の完了表示手段がユーザーに前記用紙規制板15の下降の完了を知らせてくれる。さらに用紙が無くなったときは、前記用紙規制板15、続いて前記用紙積載板11が下降し、下降が完了すれば前記用紙積載手段1が引き出し可能状態となると共に用紙規制板上昇/下降の完了表示手段及び前記用紙積載板上昇/下降の完了表示手段がユーザーに前記用紙規制板及び前記用紙積載板の下降の完了を知らせてくれる。ここで前記用紙規制板上昇/下降の完了表示手段、前記用紙積載板上昇/下降の完了表示手段を1つにまとめて、用紙積載手段の引き出しの可/否表示手段のみにしてもよい。
【0034】
請求項4に記載の発明を採用する第5実施形態を図14及び図15に基づいて説明する。通常の給紙搬送を行っているときは、給紙搬送ユニット4は用紙規制板15が搬送されている用紙の幅方向のズレを規制できる程度まで下降している(図14(a),図15(a)と参照)、つまり前記給紙搬送ユニット4が前記用紙規制板15に覆われる位置にまで下降している。給紙搬送ユニットの上昇/下降手段47は、本実施形態ではラックアンドピニオンとモータを用いているが、プーリとワイヤをモータで駆動してもよく、また前記用紙規制板15をどちらか一方に付勢しておき、ソレノイドのON/OFF制御により上昇/下降を行っても良い。このように前記給紙搬送ユニット4が上昇した状態(図14(b),図15(b)を参照)であると、用紙積載手段1を引き出すことが可能(図14(c),図15(c)を参照)となる。本実施形態をさらに詳しく説明すると、図16のブロック図に示す構成のもと、図17で示すフローチャートによるプログラムを常に実行していれば、紙詰まりが発生したとき、またその他の理由によりユーザーが前記用紙積載手段1を引き出したいときには、前記給紙搬送ユニット4は上昇し、上昇が完了すれば用紙積載手段が引き出し可能となると共に給紙搬送ユニット上昇/下降の完了表示手段がユーザーに前記給紙搬送ユニット4の上昇の完了を知らせてくれる。さらに用紙が無くなったときは、前記給紙搬送ユニット4が上昇、続いて前記用紙積載板11が下降し、これらが完了すれば前記給紙搬送ユニット上昇/下降の完了表示手段及び前記用紙積載手段1が引き出し可能状態となると共に用紙積載板上昇/下降の完了表示手段がユーザーに前記給紙搬送ユニット4の上昇の完了及び前記用紙積載板11の下降の完了を知らせてくれる。ここで前記給紙搬送ユニット上昇/下降の完了表示手段、前記用紙積載板上昇/下降の完了表示手段を1つにまとめて、用紙積載手段の引き出しの可/否表示手段のみにしてもよい。
【0035】
請求項5に記載の発明を採用する第6実施形態を図18に基づいて説明する。半月ローラ48(48a,48b)はローラ411と同軸で、かつ複数の給紙搬送ベルト42同士の間に設けられている。当該半月ローラ48(48a,48b)の材質はEPDM,CRゴム,ウレタンゴム,天然ゴムなどの通常の給紙ローラや搬送ローラとして用いられるものでよい。前記半月ローラ48(48a,48b)は給紙のタイミングには周の円弧部が用紙積載板11に積載された最上部の用紙と接しており、用紙を搬送路へ受け渡すタイミングでは周の平面部(図中一点鎖線で指示)が用紙の面にきて前記半月ローラと用紙の接触は解除される制御をする。さばき爪17(17a,17b)は用紙の搬送方向下流側で用紙の耳を軽く保持する役割をする。
【0036】
動作としては、まず前記半月ローラ48(48a,48b)が前記用紙積載板11に積載された用紙の最上部の用紙を搬送方向下流側へずらし、また当該用紙の下流側の両耳が前記さばき爪17(17a,17b)により軽く保持されているために当該用紙はループを形成する。その後前記半月ローラ48(48a,48b)の回転にともない当該用紙のループが大きくなり、さらに用紙吹き付け手段3と用紙吸引手段4の影響を受け、当該用紙の耳部は前記さばき爪17(17a,17b)から外れ給紙搬送ベルト42(42a〜42c)の下面に吸着する。続いて当該用紙の後端は前記半月ローラ48(48a,48b)の平面部(図中一点鎖線で指示)が下面にくるため当該半月ローラ48(48a,48b)の拘束力を失い、前記給紙搬送ベルト42(42a〜42c)の面に吸着されつつ搬送され、ローラ412にさしあたった地点から曲率分離によりベルトから離れ以後の搬送手段6へと受け渡される。あとでも述べるが、これらの構成により本来エアー吸引式の給紙搬送装置の苦手としている重量の重い用紙や腰の強い用紙の給紙もできるようになる。
【0037】
請求項6に記載の発明を採用する第7実施形態を図19に基づいて説明する。搬送ローラ49(49a,49b)はローラ412(412a〜412c)と同軸で、かつ複数の給紙搬送ベルト42(42a〜42c)同士の間に設けられており、各々の搬送ローラ49(49a,49b)の外径は給紙搬送ベルトの外径とほぼ同じである。一方従動コロ61(61a,61b)は前記搬送ローラ49(49a,49b)と用紙搬送路を介して向かいあっており、本実施形態では当該従動コロ61(61a,61b)には軸が通してあるが、バネなどで前記搬送ローラ49(49a,49b)側へ付勢するものを採用しても良い。前記半月ローラ48(48a,48b)の材質はEPDM,CRゴム,ウレタンゴム,天然ゴムなどの通常の給紙ローラや搬送ローラとして用いられるものでよい。また前記従動コロ61(61a,61b)の材質はポリアセタールなどの耐摩耗性に優れた樹脂を用いることが好ましい。
【0038】
動作としては、基本的なエアー吸引式の給紙搬送装置とほとんど同じであるが、用紙は曲率分離される地点の少し手前から、前記搬送ローラ49と前記従動コロ61に挟まれながら次の搬送路6へ受け渡される。あとでも述べるが、これらの構成により本来エアー吸引式の給紙搬送装置の苦手としている重量の重い用紙や腰の強い用紙の搬送もできるようになる。
【0039】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明である、用紙積載手段は、複数の孔を有する用紙積載板と、用紙積載板移動手段と、ダクト及びファンで構成される最終用紙吹き付け手段で構成され、最終用紙吹き付け手段が、用紙積載板の孔から最終用紙を給紙搬送ユニット側へ押しつける方向に空気を吹き付ければ、用紙積載手段に残された最後の1枚の用紙も無事に給紙できる。
【0040】
また、給紙搬送ユニットを、用紙積載手段に積載されている用紙と離接させる給紙搬送ユニット離接手段、前記給紙搬送ユニット離接手段を制御する離接制御手段、前記用紙積載手段に積載されている用紙と、前記給紙搬送ユニットが接しているか否かを判別する離接判別手段を有し、前記搬送ユニットが前記用紙積載手段の用紙から接していない状態から接する状態まで移動させ、前記離接判別手段が前記給紙搬送ユニットと用紙が接していると判別したとき、その位置から所定の距離だけ前記給紙搬送ユニットを前記用紙積載手段の用紙から離す制御を行えば、確実に精度良く前記給紙搬送ユニットの用紙吸引面と前記用紙積載手段に積載されている用紙の最上面を所定の距離にでき、結果として給紙不良の少ない高性能なエアー吸引式の給紙搬送装置が提供できる。
【0041】
請求項2に記載の発明である、空気吹き付け手段の複数の空気吹き付け口は、用紙吸引手段の複数の吸引口とは用紙の搬送方向から見て重ならない位置に設けられ、前記複数のベルト同士の間から覗いている前記複数の吸引口のそれぞれの形状は、用紙搬送方向上流側が広く下流側に行くに従い狭くなっていれば、お互いの空気の流れが影響を受けにくくなり、前記用紙吸引手段、前記空気吹き付け手段は単独での性能を充分に発揮できる。
【0042】
請求項3に記載の発明である、用紙積載手段は用紙の動きを用紙の搬送方向から見て幅方向の動きを規制する用紙規制板と、用紙規制板退避手段とを有し、かつ前記用紙積載手段は用紙の出し入れ及び紙詰まり処理の際の作業ができる程度に用紙の水平方向に所定の範囲で可動であり、前記用紙規制板退避手段は、前記用紙規制板を前記用紙用紙積載手段が水平方向に移動する際には周囲のものと干渉しない程度に退避させることができれば、前記用紙規制板を充分な大きさのものを設けることができ、前記用紙規制板は前記用紙積載手段に積載された用紙の最上部の用紙が前記用紙搬送手段に受け渡される過程の状態においても、用紙の動きを用紙の搬送方向から見て幅方向の動きを規制することができ、斜め給紙などの不具合を低減できる。
【0043】
請求項4に記載の発明である、給紙搬送ユニット退避手段を有し、用紙積載手段は用紙の動きを用紙の搬送方向から見て幅方向の動きを規制する用紙規制板を有し、かつ前記用紙積載手段は用紙の出し入れ及び紙詰まり処理の際の作業ができる程度に用紙の水平方向に所定の範囲で可動であり、前記給紙搬送ユニット退避手段は、前記用紙積載手段が水平方向に移動する際には、前記給紙搬送ユニットを周囲のものと干渉しない程度に退避させることができれば。前記用紙規制板を充分な大きさのものを設けることができ、前記用紙規制板は前記用紙積載手段に積載された用紙の最上部の用紙が、前記給紙搬送手段に受け渡される過程の状態においても、用紙の動きを用紙の搬送方向から見て幅方向の動きを規制することができ、斜め給紙などの不具合を低減できる。
【0044】
請求項5に記載の発明である、搬送ユニットの用紙搬送方向上流側ローラの軸に給紙ローラを設け、用紙積載手段が爪分離方式の用紙積載手段であれば、エアー吸引式の給紙搬送装置の長所と、給紙ローラ及び爪分離方式の用紙積載手段の長所を合わせ持つことができ、本来エアー吸引式の給紙搬送装置の苦手としている重量の重い用紙や腰の強い用紙の給紙もできるようになる。
【0045】
請求項6に記載の発明である、給紙搬送ユニットの用紙搬送方向下流側のローラの軸に搬送ローラを設け、前記搬送ローラに搬送路を介して対向する位置に従動コロを設ければ、本来エアー吸引式の給紙搬送装置の苦手としている重量の重い用紙や腰の強い用紙の搬送もできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の係る基本的なエアー吸引式の給紙搬送装置を採用する画像形成装置の概略図である。
【図2】本発明の係る基本的なエアー吸引式の給紙搬送装置を採用する画像形成装置の動作の制御に関するフローチャートである。
【図3】本発明の係る基本的なエアー吸引式の給紙搬送装置の制御に関するブロック図である。
【図4】本発明の用紙積載手段の概略図である。
【図5】本発明の用紙積載手段の概略図である。
【図6】本発明の第1実施形態の概略図である。
【図7】本発明の第2実施形態が距離を設定する動作を表した様子である。
【図8】本発明の第2実施形態が距離を設定する動作に関するフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態を正面及び下方向から見た様子である。
【図10】本発明の第4実施形態が用紙規制手段及び用紙積載板を下降し、用紙積載手段が引き出される動作を表した様子である。
【図11】本発明の第4実施形態が用紙規制手段のみを下降し、用紙積載手段が引き出される動作を表した様子である。
【図12】本発明の第4実施形態の制御に関するブロック図である。
【図13】本発明の第4実施形態を制御するプログラムに関するフローチャートである。
【図14】本発明の第5実施形態が給紙搬送ユニットの上昇及び用紙積載板を下降し、用紙積載手段が引き出される動作を表した様子である。
【図15】本発明の第5実施形態が給紙搬送ユニットの上昇のみを行い、用紙積載手段が引き出される動作を表した様子である。
【図16】本発明の第5実施形態の制御に関するブロック図である。
【図17】本発明の第5実施形態を制御するプログラムに関するフローチャートである。
【図18】本発明の第6実施形態を上方向及び正面から見た様子である。
【図19】本発明の第7実施形態を正面及び側面から見た様子である。
【符号の説明】
111;用紙積載板補助板
162;用紙規制板の上昇下降/手段のピニオンギア
163;用紙規制板の上昇下降/手段のラックギア
254;コイルバネ
255;コイルバネ
472;給紙搬送ユニットの上昇下降/手段のピニオンギア
473;給紙搬送ユニットの上昇下降/手段のラックギア

Claims (6)

  1. 複数のシート状の用紙を積載できる用紙積載手段と;前記用紙積載手段の用紙積載板を昇降する用紙積載板昇降手段;吹き付けファンとダクトにより構成され、前記用紙積載手段に積載された用紙を、用紙搬送方向の下流側から空気を吹き付ける用紙吹き付け手段と;少なくとも2つのローラと、前記少なくとも2つのローラにほぼ等間隔に掛け渡され、前記用紙積載手段に積載された用紙の用紙搬送方向下流側の上面に面した複数の給紙搬送ベルトと、吸引ダクトの一部とで構成される給紙搬送ユニットと;前記給紙搬送ベルトを回転移動させるために前記ローラの少なくとも1つを駆動するローラ駆動手段と;吸引ファンと、吸引ダクトの一部により構成され、前記給紙搬送ベルトが前記用紙積載手段に面しているそれぞれのベルト同士の間から、前記用紙積載手段のシート状の用紙の最上部の用紙を、用紙の搬送方向の下流側の上面から吸引する用紙吸引手段と;用紙積載板昇降手段、用紙吹き付け手段、用紙吸引手段、ローラ駆動手段のシーケンスを制御する制御手段を有する画像形成装置におけるエアー吸引式の給紙搬送装置において、
    前記用紙積載手段は、複数の孔を有する用紙積載板と、ダクト及びファンで構成される最終用紙吹き付け手段で構成され、前記最終用紙吹き付け手段は、前記用紙積載板の孔から、最終用紙を前記給紙搬送ユニット側へ押しつける方向に空気を吹き付けるとともに、
    前記給紙搬送ユニットを前記用紙積載手段に積載されている用紙と離接させる給紙搬送ユニット離接手段;前記給紙搬送ユニット離接手段を制御する離接制御手段;前記用紙積載手段に積載されている用紙と、前記給紙搬送ユニットが接しているか否かを判別する離接判別手段を有することを特徴とする画像形成装置におけるエアー吸引式の給紙搬送装置。
  2. 空気吹き付け手段の複数の空気吹き付け口は、用紙吸引手段の複数の吸引口とは用紙の搬送方向から見て重ならない位置に設けられ、複数のベルト同士の間から覗いている前記複数の吸引口のそれぞれの形状は、用紙搬送方向上流側が広く下流側に行くに従い狭くなっていることを特徴とする請求項1に記載のエアー吸引式の画像形成装置。
  3. 用紙積載手段は用紙の動きを用紙の搬送方向から見て幅方向の動きを規制する用紙規制板と、用紙規制板退避手段とを有し、かつ前記用紙積載手段は用紙の出し入れ及び紙詰まり処理の際の作業ができる程度に用紙の水平方向に所定の範囲で可動であり、前記用紙規制板退避手段は、前記用紙規制板を前記用紙積載手段が水平方向に移動する際には周囲のものと干渉しない程度に退避させることを特徴とする請求項1に記載のエアー吸引式の画像形成装置。
  4. 給紙搬送ユニット退避手段を有し、前記用紙積載手段は用紙の動きを用紙の搬送方向から見て幅方向の動きを規制する用紙規制板を有し、かつ前記用紙積載手段は用紙の出し入れ及び紙詰まり処理の際の作業ができる程度に用紙の水平方向に所定の範囲で可動であり、前記給紙搬送ユニット退避手段は、前記用紙積載手段が水平方向に移動する際には、前記給紙搬送ユニットを周囲のものと干渉しない程度に退避させることを特徴とする請求項1に記載のエアー吸引式の画像形成装置。
  5. 給紙搬送ユニットの用紙の搬送方向上流側のローラの軸に給紙ローラを設け、かつ用紙積載手段は爪分離方式を採用した用紙積載手段であることを特徴とする請求項1に記載のエアー吸引式の画像形成装置。
  6. 給紙搬送ユニットの用紙の搬送方向下流側のローラの軸に搬送ローラを設け、搬送ローラに搬送路を介して対向する位置に従動コロを設けることを特徴とする請求項1に記載のエアー吸引式の画像形成装置。
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