JP3870116B2 - 等化器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はデジタル地上波放送受信機に使用される等化器に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタル地上波放送にはOFDM変調が使用され、その詳細は、例えば、ETS(European Telecommunication Standard)にて規定されている。これに基づき、デジタル地上波放送受信機の主要部は図4に示すように構成されている。すなわち、デジタル地上波放送受信機では、アンテナで受信した信号はフロントエンド1にて中間周波信号に変換されA/D変換器2に供給されてA/D変換がなされ、次いでFFT(高速フーリエ変換)演算回路3にてFFT演算処理が行われて復調処理がなされ、復調処理された信号は等化器4にて等化され、等化された信号はデマッパ5にてデマッピングされ、周波数デインターリーブ回路6でデインターリーブされ、エラー訂正回路7でエラー訂正されたうえ復号される。
【0003】
ここで、フロントエンド1はアンテナからの受信信号を増幅器1−1で増幅され、その増幅出力は局部発振器1−3の発振出力とミキサ1−2にて周波数混合されて中間周波信号に変換され、中間周波信号は可変利得増幅器1−4にて増幅され、バンドパスフィルタ1−5にて帯域制限されてA/D変換器2へ送出されると共に、検波回路1−6に供給されてて検波され、検波出力に基づくAGC(自動利得制御)電圧によって可変利得増幅器1−4の利得を制御するAGCが行われる。
【0004】
ISDB−T(Integrated Service Digital Broadcasting Terrestrial(総合デジタル地上波放送))の場合も、上記したDVB−T(Digital Video Broadcasting Terrestrial(デジタルビデオ地上波放送))の場合と同様であるが、ISDB−Tの場合は周波数デインターリーブの他に、時間デインターリーブがさらに付加される。
【0005】
デジタル地上波放送におけるキャリアフレーム構成はDVB−Tの場合もISDB−Tの場合も、そのフレーム構造の一部は図5に模式的に示すように、スカッタードパイロット(SPとも記す)と呼ばれるパイロットキャリア(振幅および位相が既知のキャリア)が周波数方向に12キャリア毎に1個、時間方向に4キャリア毎に1個挿入されている。その他のキャリアはデータキャリアである。
【0006】
ここでフレーム当たり、DVB−Tの場合は、キャリア数(周波数方向)は1705(2Kモードの場合)、6817(8Kモードの場合)であり、シンボル数(時間方向)は68であり、ISDB−Tの場合は、キャリア数(周波数方向)は1405(モード1の場合)、2809(モード2の場合)、5617(モード3の場合)であり、シンボル数(時間方向)は204である。
【0007】
データキャリアは最高64QAMで変調されている。このため、等化器において各データキャリアの振幅と位相を補正するためにこのSPが用いられる。しかるに、SPは上記のように飛び飛びに挿入されているために、近くにあるSPを元にデータキャリアの振幅、位相ずれを補正するべく、SP間における等化係数を補間によって求めることが行われている。
【0008】
時間方向に4OFDMシンボル毎に1個挿入されている時間方向のSPを元にSP間における3つの空白部を補間することにより、時間方向の全てに恰もSPが存在するかのように図6の(*)位置における等化係数を求めて、これを元に周波数方向に同様に補間を施し、図6に示す(−)部分の等化係数を算出して、時間方向にも周波数方向の全てに恰もSPまたは等化係数が存在するように構成して、等化を行う。なお、図5および図6において、SPが挿入されている時間方向のキャリア列にα、β、γ、δ、…、の符号を付して示してある。
【0009】
一方、図4からも明らかなように、等化器4では、復調処理された信号中からSPがSP抽出回路41で抽出され、抽出された時間方向のSPに基づいて時間方向のSP補間回路42で補間して、補間された時間方向の疑似SPが時間方向の等化係数とされ、次いで時間方向のSPおよび時間方向の等化係数に基づいて周波数方向のSP補間回路43で補間して、補間された周波数方向の疑似SPが周波数方向の等化係数とされ、時間方向のSPおよび等化係数と周波数方向のSPおよび等化係数を得る。
【0010】
また一方、復調処理された信号は時間方向のSP補間回路42および周波数方向のSP補間回路43による処理時間の遅延を補償するための遅延回路44によって遅延され、遅延回路44によって遅延された復調信号に対して周波数方向のSP補間回路43から出力されるSPおよび等化係数によって等化演算器45において等化処理が行われて、デマッパ5へ送出される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、従来は、SP間における時間方向の等化係数の算出はデジタルローパスフィルタのフィルタ係数値(ローパスフィルタ係数値とも記す)を用いて行っている。この場合に、固定位置における受信の場合には、デジタルローパスフィルタの通過帯域幅をなるべく狭めた方がノイズを抑えることができて、受信特性が向上し好都合である。
【0012】
しかし、受信態様が移動受信の場合を考えたときには、デジタルローパスフィルタの通過帯域幅をあまり狭めてしまうと、速いフェージングに追従できないという問題点が生ずるし、逆にデジタルローパスフィルタの通過帯域幅を広げるとノイズに弱くなってしまうという問題点があった。
【0013】
また、ローパスフィルタ係数値による補間は図7に示す如き構成によってなされるが、ローパスフィルタ係数による補間の場合は、元々存在したSPの値自体が補間演算によって変わってしまう場合があり、受信態様が移動受信の場合、受信特性劣化の原因となってしまうという問題点があった。
【0014】
この点について図7および図8に基づいてさらに説明する。時間方向の等化係数算出のために、SP抽出回路41で抽出されたOFDMフレーム中の図5に示す空白部を含む補間前のSPをメモリ11に記憶し、ローパスフィルタ係数値テーブル12に予め記憶させてある対応するローパスフィルタ係数値とメモリ11から読み出したSPとを畳み込み演算回路13によって畳み込み演算して、等化係数を得る。
【0015】
ここで、メモリ11および畳み込み演算回路13は、それぞれ図5に示す時間方向のキャリア列α、β、γ、δ、…、に対応して設けられている。DVB−Tにおける2Kモードの場合キャリア列の数は([1705/3]+1)であって、[・]はガウスの記号であり、3で除するのは周波数方向に3キャリア毎にSPが挿入されたキャリア列が存在するためである。
【0016】
前記キャリア列αの場合について図8に示した模式図に基づいて補間および等化係数の演算について説明する。図8において符号11(α)はキャリア列αに対応するメモリ11を示し、符号13(α)はキャリア列αに対応する畳み込み演算回路13を示し、符号nはキャリア列αに挿入されるSPおよび等化係数を示す。メモリ11(α)にはSP1、0、0、0、SP2、0、0、0、SP3、0、0、0、…、が順次格納される。ここで、SP1、SP2、SP3は図5において記載したキャリア列αのSPに対して上から順次付番したものであり、0は補間される部分を示している。
【0017】
ローパスフィルタ係数値テーブル12には図8に例示するように、アドレスC0、C1、…、C9、C10にローパスフィルタ係数値b0、b1、…、b5(センタアドレス位置におけるローパスフィルタ係数値)、…、b9、b10が予め格納されている。メモリ11(α)に格納されている時間方向(キャリア列α)のSPとローパスフィルタ係数値とが、シンボル間隔毎に畳み込み演算されて、図8における符号nに示すSPおよび等化係数、…、SP3−3、SP3−2、SP3−1、SP3´、SP2−3、SP2−2、SP2−1、SP2´、SP1−3、SP1−2、SP1−1、SP1´が、メモリ11(α)に格納されている、…、SP1、0、0、0、SP2、0、0、0、SP3、0、0、0、…、に対応して算出される。ここで、SP1、0、0、0、SP2、0、0、0、SP3、0、0、0、…、に対してSP1´、SP1−1、SP1−2、SP1−3、SP2´、SP2−1、SP2−2、SP2−3、SP3´、SP3−1、SP3−2、SP3−3、…、が対応する。
【0018】
例えば等化係数の演算結果である、SP2に対応するSP2´、SP2とSP3との間に補間された等化係数SP2−1、SP2−2およびSP2−3、SP3対応するSP3´は、次のようになる。
【0019】
Figure 0003870116
となる。
【0020】
同様にして、
SP2−1=SP1×b0+SP2×b4+SP3×b8
SP2−2=SP2×b3+SP3×b7
SP2−3=SP2×b2+SP3×b6+SP4×b10
SP3´=SP2×b1+SP3×b5+SP4×b9
となる。したがってローパスフィルタ係数値を使用した場合では、補間後のSP2´は補間前のSP2とほぼ近似の値になるが、SP2とは異なった値となってしまう場合がある。補間後のSP3´と補間前のSP3との間についても同様である。
【0021】
本発明は、受信態様が固定位置受信の場合も移動受信の場合も良好な受信特性が得られる等化器を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の等化器は、OFDM変調された信号を受信するデジタル地上波放送受信機における等化器であって、デジタル地上波放送受信機における復調出力中における時間方向のスカッタードパイロットを抽出する抽出手段と、
中央位置におけるスプライン補間係数値は1であり、かつ前記中央位置から±4n(nは自然数)の位置にあるスプライン補間係数値は0であるスプライン補間係数値を格納したスプライン補間係数値テーブルと、
ローパスフィルタ係数値を格納したローパスフィルタ係数値テーブルと、
デジタル地上波放送受信機の受信様態が固定位置受信か移動受信か否かを判定する判定手段と、
判定手段により受信態様が固定位置受信と判定したときはローパスフィルタ係数値テーブルから読み出したローパスフィルタ係数値を選択し、受信態様が移動受信と判定したときはスプライン補間係数値テーブルから読み出したスプライン補間係数値を選択する切り換えスイッチと、
抽出した時間方向のスカッタードパイロットと切り換えスイッチを介して出力される係数値とを畳み込み演算して時間方向のスカッタードパイロット間を補間する等化係数を求める畳み込み演算回路と
を備え、時間方向のスカッタードパイロットおよび補間された等化係数とに基づいて復調出力の等化処理を行うことを特徴とする。
【0023】
本発明の等化器によれば、受信態様が固定位置受信の場合は通過帯域幅が固定されたローパスフィルタ計数値がSP補間のために用いられ、受信態様が移動受信の場合にはスプライン補間係数値がSP補間のために用いられるため、受信態様が固定位置受信の場合も移動受信の場合も良好な受信特性が得られる。
【0024】
また、本発明の等化器によれば、中央位置におけるスプライン補間係数値は1であり、かつ前記中央位置から±4n(nは自然数)の位置にあるスプライン補間係数値は0であるため、補間前のスカッタードパイロットの値と補間後のスカッタードパイロットの値との間に変化はなく、さらに時間方向のスカッタードパイロットと引き続くスカッタードパイロットとの間の等化係数値は、その前後の元からあるスカッタードパイロットとスプライン補間係数値で畳み込み演算した結果となっているため、スプライン補間係数値による補間の場合も、ローパスフィルタ係数値を用いて補間した場合と本質的に変わらず、移動受信に対しても受信特性の優れた等化器となる。
【0025】
本発明の等化器において、判定手段は、抽出手段から抽出された予め定めた位置におけるスカッタードパイロットのパワーを算出し、算出したパワーのばらつきが予め定めた値以上のときは受信態様が移動受信であると判定し、算出したパワーのばらつきが予め定めた値未満のときは受信態様が固定位置受信であると判定してもよく、デジタル地上波放送受信機におけるAGC電圧のばらつきが予め定めた値以上のときは受信態様が移動受信であると判定し、AGC電圧のばらつきが予め定めた値未満のときは受信態様が固定位置受信であると判定してもよく、FFT処理された出力から求めた全キャリアのレベルの総和のばらつきが予め定めた値以上のときは受信態様が移動受信であると判定し、または全キャリアのレベルの総和のばらつきが予め定めた値未満のときは受信態様が固定位置受信であると判定してもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる等化器を実施の一形態によって説明する。
【0027】
図1は本発明の実施の一形態にかかる等化器における時間方向のSP補間回路の構成を示すブロック図であり、図2は本発明の実施の一形態にかかる等化器の時間方向SP補間回路の作用説明に供する説明図である。
【0028】
まず、本発明の実施の一形態にかかる等化器において時間方向のSP補間回路42Aは時間方向のSP補間回路42に代わって用いるものである。時間方向のSP補間回路42Aは図7に示した時間方向のSP補間回路42に対応して示してあり、時間方向のSP補間回路42と同一の構成要素には同一の符号を付して示してある。
【0029】
時間方向のSP補間回路42Aは図1に示すように、SP抽出回路41で抽出されたOFDMフレーム中の図5に示す空白部を含む補間前のSPをメモリ11に記憶し、時間方向の等化係数算出のために、ローパスフィルタ計数値テーブル12のローパスフィルタ計数値とスプライン補間係数値テーブル14に予め記憶させてあるスプライン補間係数値との一方を切り換えスイッチ16を介して取り出す。
【0030】
ここで、メモリ11および畳み込み演算回路13は、それぞれ図5に示す時間方向のキャリア列α、β、γ、δ、…、に対応して設けられていることは時間方向のSP補間回路42の場合と同様である。
【0031】
メモリ11から読み出した予め定めた位置におけるSP、例えばキャリア列αにおける最初の位置にあるSPを読み出し、パワー算出回路14にて該SPのパワーを算出し、算出したパワーのばらつきをばらつき判定回路15にて判定し、ばらつきが予め定めた判定値以上と判定されたときは切り換えスイッチ16にてスプライン補間係数値テーブル17からのスプライン補間係数値を畳み込み演算回路13に供給してスプライン補間による等化係数を得る。パワー算出回路14において算出されたパワーの判定回路15における判定の結果、ばらつきが予め定めた判定値未満と判定されたときは切り換えスイッチ16にてローパスフィルタ係数値テーブル12からの係数値を畳み込み演算回路13に供給してローパスフィルタ計数値による等化係数を得る。
【0032】
ここで、定位置受信のときはパワー算出回路14において算出されたパワーのばらつきは小さく、受信態様が移動受信のときはパワー算出回路14において算出されたパワーのばらつきは大きく、パワー算出回路14およびばらつき判定回路15によって、受信態様が固定位置受信か移動受信かを判定することができることから、パワー算出回路14およびばらつき判定回路15は、受信態様が固定位置受信が移動受信かを判定する判定手段を構成している。また、SPは複素数であるため、パワー算出回路14はSPを2乗することによってSPのパワーを求めることができる。
【0033】
上記のように、本発明の実施の一形態にかかる等化器は、図4に示した時間方向のSP補間回路42に代わって時間方向のSP補間回路42Aを設ける以外の構成は図4に示した等化器4の場合と同様であって、時間方向のSP補間回路42Aによって時間方向のSPを元に時間方向の等化係数を求め、時間方向のSPおよび等化係数を元に周波数方向の等化係数を周波数方向のSP補間回路43で補間し、時間方向のSPおよび等化係数と周波数方向のSPおよび等化係数を用いて、復調処理された信号の等化処理が等化演算器45にて行われて、デマッパ5へ送出される。この場合も、復調処理された信号は時間方向のSP補間回路42Aおよび周波数方向のSP補間回路43による処理時間の遅延を補償するため遅延回路44によって遅延させられて等化処理される。
【0034】
時間方向のSP補間回路42Aによる補間を、前記キャリア列αの場合について、図2に示した模式説明図に基づいて、図8と対応させて説明する。符号11(α)はキャリア列αに対応するメモリ11を示し、符号13(α)はキャリア列αに対応する畳み込み演算回路13を示し、符号pはキャリア列αに挿入されるSPおよび等化係数を示す。メモリ11(α)には、図8に示した場合と同様に、SP1、0、0、0、SP2、0、0、0、SP3、0、0、0、…、が順次格納される。ここで、SP1、SP2、SP3は図5において記載したキャリア列αのSPに対して上から順次付番したものであり、0は補間される部分を示している。
【0035】
ローパスフィルタ係数値による場合の補間は、前記した従来の場合と同様であってその説明は省略し、スプライン補間係数値による場合の補間について説明する。
【0036】
スプライン補間係数値テーブル14には図2に例示するように、アドレスC0、C1、…、C9、C10にスプライン補間係数値k0、k1、…、k5(センタアドレス位置におけるスプライン補間係数値)、…、k9、k10が予め格納されている。メモリ11(α)に格納されている時間方向(キャリア列α)のSPとスプライン補間係数値とが、シンボル間隔毎に畳み込み演算されて、図2における符号pに示すSPおよび等化係数、…、SP3−3、SP3−2、SP3−1、SP3´、SP2−3、SP2−2、SP2−1、SP2´、SP1−3、SP1−2、SP1−1、SP1´が、メモリ11(α)に格納されている、…、SP1、0、0、0、SP2、0、0、0、SP3、0、0、0、…、に対応して算出される。ここでも、SP1、0、0、0、SP2、0、0、0、SP3、0、0、0、…、に対してSP1´、SP1−1、SP1−2、SP1−3、SP2´、SP2−1、SP2−2、SP2−3、SP3´、SP3−1、SP3−2、SP3−3、…、が対応している。
【0037】
スプライン補間係数値テーブル14に記憶させてあるスプライン補間係数値は、センタアドレス位置のスプライン補間係数値k5は1、センタアドレス位置から±4nシンボル間隔離れたアドレス位置C1=C9におけるスプライン補間係数値k1=k9は0に設定してある。ここで、nは自然数である。4nシンボル間隔離れたアドレス位置におけるスプライン補間係数値は0に設定してあるのは、時間方向に4つ目毎に時間方向のSPが挿入されているためである。
【0038】
ローパスフィルタ係数値による補間の場合と同様に、スプライン補間係数の場合における補間の結果である、SP2に対応するSP2´、SP2とSP3との間に補間された等化係数SP2−1、SP2−2およびSP2−3、SP3対応するSP3´は、次のようになる。
【0039】
Figure 0003870116
このように、SP2´=SP2となって、SP自体の値に変化はない。
【0040】
同様にして、SP2−1、SP2−2、SP2−3、SP3´を求めると、
Figure 0003870116
となる。
【0041】
このように、スプライン補間係数値を使用した場合は、SP´=SPの如く、補間後のSP´は補間前のSPと同一の値となり、補間演算によって元々存在したSPの値自体を変化させることなく、受信態様が移動受信の場合、受信特性劣化を発生させることはない。さらに、時間方向のSPと引き続くSPとの間の等化係数値は、その前後のSPにスプライン補間係数値で畳み込み演算した結果となっていて、ローパスフィルタ係数値を用いて補間した場合と本質的に変わっていない。したがって、本発明の実施の一形態にかかる等化器よるときは、移動特性に優れた等化器となる。
【0042】
次に、スプライン補間係数値の求め方について図3に基づいて説明する。実在する白丸で示す3点(y(0)、y(4)、y(8))を元に黒丸で示すスプライン補間係数値を求める場合を例に説明する。図3において、白丸が実在するSPに対応し、黒丸、特にx=1、2、3におけるスプライン補間値(黒丸)を求める。
【0043】
仮に3次のスプライン関数を用いるとすると、図3の曲線は
y(x)=ax+bx+cx+d
となる。
【0044】
ただし、スプライン補間の性質上、x=0、4、8は実在する点そのもの値となる。ここで、a、b、c、dは実在する点を元に求められる式になる。それをfa、fb、fc、fdとする。
【0045】
Figure 0003870116
となる。端点処理については省略する。
【0046】
これらの式から、
Figure 0003870116
によって黒丸の点の値が導かれる。
【0047】
これらの式を展開すると、最終的にはy(0)、y(4)、y(8)についての方程式、y(x)=y(0)a(x)+y(4)b(x)+y(8)c(x)となる。ここで、a(x)、b(x)、c(x)は、x座標における
fa(y(0)、y(4)、y(8))x
fb(y(0)、y(4)、y(8))x
fc(y(0)、y(4)、y(8))x、
fd(y(0)、y(4)、y(8))
を展開した後のy(0)、y(4)、y(8)それぞれの係数の合成である。
【0048】
以上から、x=3、4、5、6各点の値を求めると、
y(3)=y(0)a(3)+y(4)b(3)+y(8)c(3)
y(4)=y(0)×0+y(4)×1+y(8)×0
y(5)=y(0)a(5)+y(4)b(5)+y(8)c(5)
y(6)=y(0)a(6)+y(4)b(6)+y(8)c(6)
になる。
【0049】
以上から、スプライン補間係数値を図2に当てはめると、
k(0)=a(3)、k(1)=0、k(2)=a(5)、k(2)=a(6)、
k(4)=b(3)、k(5)=1、k(6)=b(5)、k(7)=b(6)、
k(8)=c(3)、k(9)=0、k(10)=c(5)、k(11)=c(6)、となる。
【0050】
これは、丁度、y(3)〜y(6)の式で、y(0)、y(4)、y(8)それぞれの各項の係数を縦に配置していくことになる。これからも明らかなように、センター位置(x=5)のスプライン補間係数値が1で、そこから4n離れた位置(x=1=9)のスプライン補間係数値が0になっており、その他はスプライン補間係数値となっており、このようにしてスプライン補間係数テーブルが得られる。
【0051】
このように、本発明の実施の一形態にかかる等化器によれば、受信態様が固定位置受信の場合は通過帯域幅が固定されたローパスフィルタ計数値がSP補間のために用いられ、受信態様が移動受信の場合にはスプライン補間係数値がSP補間のために用いられるため、受信態様が固定位置受信の場合も移動受信の場合も良好な受信特性が得られる。
【0052】
また、上記において受信態様が固定位置受信か移動受信かをSPのパワーに基づいて判定したが、SPのパワーに代わって、AGC電圧のばらつきが予め定めた値以上のときは受信態様が移動受信であると判定し、AGC電圧のばらつきが予め定めた値未満のときは受信態様が固定位置受信であると判定してもよく、さらに、FFT処理された出力から求めた全キャリアのレベルの総和のばらつきが予め定めた値以上のときは受信態様が移動受信であると判定し、全キャリアのレベルの総和のばらつきが予め定めた値未満のときは受信態様が固定位置受信であると判定してもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる等化器によれば、ローパスフィルタ係数値による補間とスプライン補間係数値による補間とが、受信態様が固定位置受信と移動受信とで切り換えるようにしたため、受信態様が固定位置受信の場合も移動受信の場合も、受信特性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる等化器における時間方向のSP補間回路の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の一形態にかかる等化器における時間方向のSP補間回路の作用説明に供する模式図である。
【図3】本発明の実施の一形態にかかるスプライン補間係数値演算の説明図である。
【図4】デジタル地上波放送受信機の主要部の構成を示すブロック図である。
【図5】DVB−Tにおけるフレーム構造の説明図である。
【図6】SPを用いた等化係数の算出説明のための模式図である。
【図7】従来の等化器における時間方向のSP補間回路の構成を示すブロック図である。
【図8】従来の等化器における時間方向のSP補間回路の作用説明に供する模式図である。
【符号の説明】
3 FFT演算回路
4 等化器
11 メモリ
12 ローパスフィルタ係数値テーブル
13 畳み込み演算回路
14 パワー算出回路
15 ばらつき判定回路
16 切り換えスイッチ
17 スプライン補間係数値テーブル
41 SP抽出回路
42A 時間方向のSP補間回路
43 周波数方向のSP補間回路
45 等化演算器

Claims (4)

  1. OFDM変調された信号を受信するデジタル地上波放送受信機における等化器であって、デジタル地上波放送受信機における復調出力中における時間方向のスカッタードパイロットを抽出する抽出手段と、
    中央位置におけるスプライン補間係数値は1であり、かつ前記中央位置から±4n(nは自然数)の位置にあるスプライン補間係数値は0であるスプライン補間係数値を格納したスプライン補間係数値テーブルと、
    ローパスフィルタ係数値を格納したローパスフィルタ係数値テーブルと、
    デジタル地上波放送受信機の受信様態が固定位置受信か移動受信か否かを判定する判定手段と、
    判定手段により受信態様が固定位置受信と判定したときはローパスフィルタ係数値テーブルから読み出したローパスフィルタ係数値を選択し、受信態様が移動受信と判定したときはスプライン補間係数値テーブルから読み出したスプライン補間係数値を選択する切り換えスイッチと、
    抽出した時間方向のスカッタードパイロットと切り換えスイッチを介して出力される係数値とを畳み込み演算して時間方向のスカッタードパイロット間を補間する等化係数を求める畳み込み演算回路と
    を備え、時間方向のスカッタードパイロットおよび補間された等化係数とに基づいて復調出力の等化処理を行うことを特徴とする等化器。
  2. 請求項1記載の等化器において、判定手段は抽出手段から抽出された予め定めた位置におけるスカッタードパイロットのパワーを算出し、算出したパワーのばらつきが予め定めた値以上のときは受信態様が移動受信であると判定し、算出したパワーのばらつきが予め定めた値未満のときは受信態様が固定位置受信であると判定することを特徴とする等化器。
  3. 請求項1記載の等化器において、判定手段はデジタル地上波放送受信機におけるAGC電圧のばらつきが予め定めた値以上のときは受信態様が移動受信であると判定し、AGC電圧のばらつきが予め定めた値未満のときは受信態様が固定位置受信であると判定することを特徴とする等化器。
  4. 請求項1記載の等化器において、判定手段はFFT処理された出力から求めた全キャリアのレベルの総和のばらつきが予め定めた値以上のときは受信態様が移動受信であると判定し、全キャリアのレベルの総和のばらつきが予め定めた値未満のときは受信態様が固定位置受信であると判定することを特徴とする等化器。
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