JP3869281B2 - 流体圧回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイロット操作式制御弁を有する流体圧回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3に示されるように、建設機械としての油圧ショベルは、走行モータを備えた下部走行体11に、旋回部12の旋回モータにより旋回可能の上部旋回体13が設けられ、この上部旋回体13にフロント作業機のブーム14が、ブームシリンダ15により上下方向に回動自在に軸支され、このブーム14の先端にスティック16が、スティックシリンダ17により内外方向に回動自在に軸支され、このスティック16の先端にバケット18が、バケットシリンダ19により開閉方向に回動自在に軸支されている。
【0003】
ここで、ブームシリンダ15を伸長させることでブーム上げ、スティックシリンダ17を伸長させることでスティック・イン、スティックシリンダ17を収縮させることでスティック・アウト、バケットシリンダ19を伸長させることでバケット・クローズの各動作が得られる。
【0004】
実用新案登録第2579587号公報「建設機械の油圧回路」には、油圧ショベルの左右ポンプラインに、ブームシリンダを制御するブーム第1制御弁およびブーム第2制御弁と、スティックシリンダを制御するスティック第1制御弁およびスティック第2制御弁とをそれぞれ設け、ブーム第1制御弁に作用するブーム上げパイロット圧に応じてスティック第2制御弁に作用するスティック・インパイロット圧を減圧弁により減圧制御するようにした建設機械の油圧回路が示されている。
【0005】
この実用新案登録第2579587号公報に示された建設機械の油圧回路で用いられている減圧弁は、図4に示されるように、ブーム第1制御弁に作用するブーム上げパイロット圧が上昇するにつれ、スティック第2制御弁に作用するスティック・インパイロット圧を徐々に減圧してゆき、ブーム操作弁のフルレバー操作付近において、ブーム上げパイロット圧が設定値に達すると、減圧弁は、スティック・インパイロット圧を0まで減圧する特性を有するので、スティック第2制御弁が中立位置に復帰し、この結果、スティック第2制御弁からスティックシリンダに供給される作動油流量を0にするとともに、その分、ブーム第1制御弁を経てブームシリンダに供給される作動油流量を確保している。
【0006】
この図4に示すような特性を持つ減圧弁を用いた応用回路として、例えば、ブーム上げ+スティック・アウト+バケット・クローズの空中3連動操作によるダンプ積込み作業において、従来回路では、高負荷のブームシリンダ15より低負荷のバケットシリンダ19にポンプ吐出油が流れてしまい、ブーム14が上がらないという問題があるので、この問題を解決するために、図5に示されるようにバケットパイロットラインに減圧弁を組込むと良い。
【0007】
この図5に示された油圧回路を説明すると、ブームシリンダ15を制御するブーム第1スプール21およびブーム第2スプール22と、スティックシリンダ17を制御するスティック第1スプール23およびスティック第2スプール24と、バケットシリンダ19を制御するバケットスプール25とを備えている。
【0008】
ブーム第1スプール21、スティック第2スプール24およびバケットスプール25は、一方の油圧源26に接続され、この油圧源26から作動油の供給を受ける。一方、ブーム第2スプール22およびスティック第1スプール23は、他方の油圧源27に接続され、この油圧源27から作動油の供給を受ける。各油圧源26,27は、それぞれのパラレル通路28を介して各スプールに作動油を供給し、各スプールが中立位置にあるときは、それぞれのバイパス通路29を経てタンク30に連通されている。
【0009】
ブーム第1スプール21のブーム上げパイロット圧作用部およびブーム第2スプール22のパイロット圧作用部には、ブームリモコン弁31からのパイロットライン32,33が接続され、バケットスプール25のバケット・クローズパイロット圧作用部には、バケットリモコン弁34からのパイロットライン35が接続されている。
【0010】
バケットリモコン弁34からバケットスプール25のバケット・クローズパイロット圧作用部に至るパイロットライン35中には、外部パイロット方式の減圧弁36が設けられている。さらに、ブームリモコン弁31からブーム第1スプール21のブーム上げパイロット圧作用部に接続されたパイロットライン32よりブーム上げ信号圧ライン37が分岐され、この分岐されたブーム上げ信号圧ライン37が、減圧弁36の信号圧作用部に導かれている。
【0011】
そして、この外部パイロット方式の減圧弁36は、ブームリモコン弁31からブーム第1スプール21のブーム上げパイロット圧作用部に作用するブーム上げパイロット圧に応じて、バケットリモコン弁34からバケットスプール25のバケット・クローズパイロット圧作用部に作用するバケット・クローズパイロット圧を、バケットシリンダ19を作動しうる範囲で減圧制御する。
【0012】
すなわち、ブーム上げとバケット・クローズの連動操作にて、ブーム上げパイロット圧により減圧弁36を作動させ、バケットスプール25のストロークを制限することにより、共通の油圧源26からブームシリンダ15へ供給される油量を確保し、ブーム14が上がるようにしている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このように、ブーム上げ+スティック・アウト+バケット・クローズの空中3連動操作によるダンプ積込み作業において発生するブーム14が上がらない問題を解決するためにバケットリモコン弁34からのパイロットライン35に減圧弁36を組込むと、今度は、例えば、ブーム上げ+スティック・イン+バケット・クローズの3連動操作による掘削作業に支障が発生する。
【0014】
すなわち、このブーム上げ+スティック・イン+バケット・クローズの3連動操作による掘削作業の場合、本来、バケット掘削力を最大にするため、バケットスプール25はフルシフトさせる必要があるにもかかわらず、図5に示された回路では、ブーム上げ操作によりブーム上げパイロット圧が高くなると、前記減圧弁36によりバケットスプール25へのバケット・クローズパイロット圧が減圧され、バケットスプール25が中立位置方向に戻ってしまう。
【0015】
この状態では、図6(a)(b)において、バケットスプールストロークが0の近傍になるから、P-Tで示されるようなバケットスプール25のポンプ・タンク間バイパス通路の開口特性により、油圧源26のポンプ吐出油の一部がこのバイパス通路からタンクへ吹抜け、バケットシリンダ19への供給油が不足して、掘削作業に支障をきたす問題がある。なお、図6(a)において、P-Aは、バケットスプール25のポンプ・Aポート間通路の開口特性であり、B-Tは、バケットスプール25のBポート・タンク間通路の開口特性であり、図6(b)において、P-Bは、バケットスプール25のポンプ・Bポート間通路の開口特性であり、A-Tは、バケットスプール25のAポート・タンク間通路の開口特性である。
【0016】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、複数の作業を共に円滑にできるようにする流体圧回路を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明は、第1の流体圧アクチュエータを制御する第1のパイロット操作式制御弁と、第1の流体圧アクチュエータと連動的に操作可能な第2の流体圧アクチュエータを制御する第2のパイロット操作式制御弁と、第1のパイロット操作式制御弁と共通の流体圧源から作動流体の供給を受けて第1および第2の流体圧アクチュエータと連動的に操作可能であるとともに第1の流体圧アクチュエータより低負荷の第3の流体圧アクチュエータを制御する第3のパイロット操作式制御弁と、第1のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧から分岐した信号圧に応じて第3のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧を減圧制御可能の減圧弁と、第2のパイロット操作式制御弁に特定方向のパイロット圧が作用しないときは減圧弁に作用する信号圧をなくすとともに第2のパイロット操作式制御弁に特定方向のパイロット圧が作用したときはその特定方向のパイロット圧により切換わって減圧弁に信号圧を作用させる切換弁とを具備した流体圧回路である。
【0018】
そして、第2のパイロット操作式制御弁に特定方向のパイロット圧が作用しないときは、減圧弁への信号圧が切換弁によりカットされているため、減圧弁は作動せず、したがって、第3のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧が減圧されることはなく、第3の流体圧アクチュエータの円滑な動作を確保できるので、この動作が要求される一の作業を円滑にできる。また、第1のパイロット操作式制御弁、第2のパイロット操作式制御弁および第3のパイロット操作式制御弁に、それぞれの特定方向のパイロット圧を作用させて、連動操作による他の作業をするときは、第2のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧により切換弁が切換わり、第1のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧から分岐した信号圧が切換弁を介し減圧弁に入力され、減圧弁が作動して、第3のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧が減圧されるので、第3のパイロット操作式制御弁が中立位置方向に戻され、第1の流体圧アクチュエータより低負荷の第3の流体圧アクチュエータに供給される作動流体量が制限されるとともに、その分、共通の流体圧源から第1のパイロット操作式制御弁を経て第1の流体圧アクチュエータに供給される作動流体量が増加し、第1の流体圧アクチュエータの必要な動作速度を確保して操作性を改善できる。これにより、複数の作業を共に円滑にできる。
【0019】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の流体圧回路における減圧弁が、第1のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧から分岐した信号圧に応じて第3のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧を減圧制御可能の第1の減圧弁と、第1のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧から分岐した信号圧に応じて第2のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧を減圧制御可能の第2の減圧弁とを具備し、切換弁は、第2のパイロット操作式制御弁に特定方向のパイロット圧が作用しないときは第1の減圧弁および第2の減圧弁に作用する信号圧をなくすとともに第2のパイロット操作式制御弁に特定方向のパイロット圧が作用したときはその特定方向のパイロット圧により切換わって第1の減圧弁および第2の減圧弁に信号圧を作用させる流体圧回路である。
【0020】
そして、第1のパイロット操作式制御弁、第2のパイロット操作式制御弁および第3のパイロット操作式制御弁に、それぞれの特定方向のパイロット圧を作用させて、連動操作による作業をするときは、第1のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧から分岐した信号圧が切換弁を介し第1の減圧弁および第2の減圧弁に入力されることにより、それぞれの減圧弁が作動して、第2のパイロット操作式制御弁への特定方向のパイロット圧が減圧されるとともに、第3のパイロット操作式制御弁への特定方向のパイロット圧が減圧され、第2のパイロット操作式制御弁と第3のパイロット操作式制御弁とが同時に中立位置方向へ戻され、その分、第1のパイロット操作式制御弁を経て第1の流体圧アクチュエータに供給される作動流体量が、より一層増加するので、第1の流体圧アクチュエータの動作速度は、さらに速くなり、操作性を一層改善できる。
【0021】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2記載の流体圧回路において、第1の流体圧アクチュエータを制御する第1のパイロット操作式制御弁は、油圧ショベルのブームシリンダを制御する制御弁であり、第2の流体圧アクチュエータを制御する第2のパイロット操作式制御弁は、油圧ショベルのスティックシリンダを制御する制御弁であり、第3の流体圧アクチュエータを制御する第3のパイロット操作式制御弁は、油圧ショベルのバケットシリンダを制御する制御弁であり、第1のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧は、ブーム上げパイロット圧であり、信号圧は、ブーム上げ信号圧であり、第2のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧は、スティック・アウトパイロット圧であり、第3のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧は、バケット・クローズパイロット圧であるとした流体圧回路である。
【0022】
そして、ブーム上げ+スティック・イン+バケット・クローズの3連動操作による掘削作業においては、ブーム上げ信号圧は切換弁によりカットされているため減圧弁に入力されず、この減圧弁は作動せず、したがって、バケットシリンダの制御弁ヘのバケット・クローズパイロット圧が減圧されることはなく、円滑な掘削作業に適したバケット動作を確保できる。また、ブーム上げ+スティック・アウト+バケット・クローズの空中3連動操作によるダンプ積込み作業においては、スティック・アウトパイロット圧により切換弁が切換わり、ブーム上げパイロット圧から分岐したブーム上げ信号圧が切換弁を介し減圧弁に入力されることにより、減圧弁が作動し、バケットシリンダの制御弁へのバケット・クローズパイロット圧が減圧されるので、バケットシリンダの制御弁が中立位置方向に戻され、ブームシリンダより低負荷のバケットシリンダに供給される作動流体量が制限されるとともに、その分、共通の流体圧源からブームシリンダの制御弁を経てブームシリンダに供給される作動流体量が増加し、必要なブーム上げ速度を確保できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1に示された一実施の形態、図2に示された他の実施の形態を参照しながら詳細に説明する。これらの図1および図2は、建設機械としての油圧ショベルの流体圧回路としての油圧回路を示す。なお、図3に示された油圧ショベルと同一の部分には同一符号を付する。
【0024】
図1に示されるように、この油圧回路は、第1の流体圧アクチュエータとしてのブームシリンダ15を制御する第1のパイロット操作式制御弁としてのブーム第1スプール21およびブーム第2スプール22と、第2の流体圧アクチュエータとしてのスティックシリンダ17を制御する第2のパイロット操作式制御弁としてのスティック第1スプール23およびスティック第2スプール24と、第3の流体圧アクチュエータとしてのバケットシリンダ19を制御する第3のパイロット操作式制御弁としてのバケットスプール25とを備えている。
【0025】
ブーム第1スプール21およびブーム第2スプール22は、ブームシリンダ15と2対1の関係で設置されたパイロット操作式センタバイパス型の制御弁であり、スティック第1スプール23およびスティック第2スプール24は、スティックシリンダ17と2対1の関係で設置されたパイロット操作式センタバイパス型の制御弁であり、バケットスプール25は、バケットシリンダ19と1対1の関係で設置されたパイロット操作式センタバイパス型の制御弁である。
【0026】
ブーム第1スプール21、スティック第2スプール24およびバケットスプール25は、共通の流体圧源としての一方の油圧源26に接続され、この油圧源26から作動流体としての作動油の供給を受ける。
【0027】
一方、ブーム第2スプール22およびスティック第1スプール23は、他方の油圧源27に接続され、この油圧源27から作動油の供給を受ける。
【0028】
各油圧源26,27は、それぞれのパラレル通路28を介して各スプールに作動油を供給し、各スプールが中立位置にあるときは、それぞれのバイパス通路29を経てタンク30に連通されている。
【0029】
バケット18を回動するバケットシリンダ19は、フロント作業機全体の荷重を支えるブームシリンダ15より低負荷のアクチュエータである。
【0030】
ブーム第1スプール21およびブーム第2スプール22にて特定方向のパイロット圧としてのブーム上げパイロット圧が作用するブーム上げパイロット圧作用部には、ブーム操作弁としてのブームリモコン弁31からのパイロットライン32,33がそれぞれ接続されている。
【0031】
バケットスプール25にて特定方向のパイロット圧としてのバケット・クローズパイロット圧が作用するバケット・クローズパイロット圧作用部には、バケット操作弁としてのバケットリモコン弁34からのパイロットライン35が接続されている。
【0032】
スティック第1スプール23およびスティック第2スプール24にて特定方向のパイロット圧としてのスティック・アウトパイロット圧が作用するスティック・アウトパイロット圧作用部には、スティック操作弁としてのスティックリモコン弁41からのパイロットライン42がそれぞれ接続されている。
【0033】
ブーム第1スプール21のブーム下げパイロット圧作用部には、ブームリモコン弁31からのブーム下げパイロット圧用のパイロットライン(図示せず)が接続され、バケットスプール25のバケット・オープンパイロット圧作用部には、バケットリモコン弁34からのバケット・オープンパイロット圧用のパイロットライン(図示せず)が接続され、スティック第1スプール23およびスティック第2スプール24のスティック・インパイロット圧作用部には、スティックリモコン弁41からのスティック・インパイロット圧用のパイロットライン(図示せず)が接続されている。
【0034】
ブームリモコン弁31は、図1に示された矢印方向の操作がブーム上げ操作であり、バケットリモコン弁34は、矢印方向の操作がバケット・クローズ操作であり、スティックリモコン弁41は、矢印方向の操作がスティック・アウト操作である。
【0035】
バケットリモコン弁34からバケットスプール25のバケット・クローズパイロット圧作用部に至るパイロットライン35中には、外部パイロット方式の減圧弁36が設けられている。
【0036】
さらに、ブームリモコン弁31からブーム第1スプール21のブーム上げパイロット圧作用部に接続されたパイロットライン32からブーム上げ信号圧ライン37が分岐され、この分岐されたブーム上げ信号圧ライン37が、減圧弁36の信号圧作用部に連通可能となっている。
【0037】
この図1に示された油圧回路において、図5に示された油圧回路と異なる点は、ブーム上げ用のパイロットライン32から分岐したブーム上げ信号圧ライン37中に、スティック・アウトパイロット圧により切換わる2位置3ポート型の切換弁38が設けられ、スティックリモコン弁41からスティック第1スプール23およびスティック第2スプール24のスティック・アウトパイロット圧作用部に接続されたパイロットライン42よりスティック・アウト信号圧ライン43が分岐され、この分岐されたスティック・アウト信号圧ライン43が、切換弁38の信号圧作用部に導かれている。
【0038】
この切換弁38は、中立位置で、ブーム上げ信号圧ライン37と減圧弁36の信号圧作用部に接続された信号圧ライン37aとをカットし、かつ、減圧弁36への信号圧ライン37aを本切換弁38を介してタンク30ヘ導通しており、減圧弁36は作動しない。
【0039】
スティックリモコン弁41のスティック・アウト操作により、スティック・アウト信号圧が切換弁38の信号圧作用部に入り、切換弁38が右室に切換わると、ブーム上げ信号圧が切換弁38を介して減圧弁36の信号圧作用部に入力されるので、この減圧弁36が作動して、バケットリモコン弁34からバケットスプール25へのバケット・クローズパイロット圧が減圧される。
【0040】
すなわち、切換弁38の連通作動時は、減圧弁36は、ブームリモコン弁31からブーム第1スプール21のブーム上げパイロット圧作用部に作用するブーム上げパイロット圧から分岐したブーム上げ信号圧に応じて作動可能であり、バケットリモコン弁34からバケットスプール25のバケット・クローズパイロット圧作用部に作用するバケット・クローズパイロット圧を、バケットシリンダ19を作動しうる範囲で減圧制御するものである。
【0041】
次に、この図1に示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0042】
(1)ブーム上げ+スティック・イン+バケット・クローズの3連動操作による掘削作業の場合、切換弁38は図1に示された位置にあり、ブーム上げ信号圧ライン37は切換弁38によりカットされているため、ブーム上げ信号圧が減圧弁36に入力されず、かつ、減圧弁36への信号圧ライン37aがタンク30へ導通しているので、この減圧弁36は作動せず、したがって、バケットリモコン弁34からバケットスプール25ヘのバケット・クローズパイロット圧が減圧されることはなく、バケットスプール25が中立位置方向に戻ることでバケットシリンダ19への供給油が不足して掘削し難くなるということがない。すなわち、円滑な掘削作業に適したバケット動作を確保できる。
【0043】
(2)ブーム上げ+スティック・イン+バケット・クローズの3連動操作による掘削作業に限らず、ブーム上げ+スティック・アウト+バケット・クローズの3連動操作以外の他の操作において、バケット・クローズの動きが遅くなるということは起きない。
【0044】
(3)ブーム上げ+スティック・アウト+バケット・クローズの空中3連動操作によるダンプ積込み作業においては、スティックリモコン弁41からのスティック・アウトパイロット圧により切換弁38が切換わり、ブーム上げパイロット圧から分岐したブーム上げ信号圧が切換弁38を介して減圧弁36に入力されることにより、減圧弁36が作動し、バケットリモコン弁34からバケットスプール25へのバケット・クローズパイロット圧が減圧されるので、バケットスプール25が中立位置方向に戻され、ブームシリンダ15より低負荷のバケットシリンダ19に供給される作動油量が制限されるとともに、その分、共通の油圧源26からブーム第1スプール21を経てブームシリンダ15に供給される作動油量が増加し、必要なブーム上げ速度を確保でき、操作性を改善できる。
【0045】
(4)バケット・クローズのパイロットライン35にブーム上げパイロット圧により制御される減圧弁36を組込んだ場合について記述したが、その他の様々なアクチュエータを制御するスプールのパイロットラインにも、同様の減圧弁を適用できる。その一例を次に示す。
【0046】
次に、図2に示された他の実施の形態を説明する。なお、この図2に示された実施の形態は、図1に示された回路中の部分的な変形例であるから、図1と同様の部分は、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0047】
ブーム上げ信号圧ライン37中に切換弁38を設けた点は図1に示された実施の形態と同様であるが、図1に示された減圧弁36が2連減圧弁ブロック36Aに変更された点で異なる。
【0048】
この2連減圧弁ブロック36Aは、バケットリモコン弁34からバケットスプール25のバケット・クローズパイロット圧作用部に至るパイロットライン35中に設けられた外部パイロット方式の第1の減圧弁36aと、スティックリモコン弁41からスティック第1スプール23およびスティック第2スプール24のスティック・アウトパイロット圧作用部に至るパイロットライン42中に設けられた外部パイロット方式の第2の減圧弁36bとを備えている。
【0049】
ブーム上げパイロットライン32から分岐したブーム上げ信号圧ライン37中に、スティック・アウトパイロット圧により切換わる2位置3ポート型の切換弁38が設けられ、スティックリモコン弁41からスティック第1スプール23およびスティック第2スプール24のスティック・アウトパイロット圧作用部に接続可能のパイロットライン42よりスティック・アウト信号圧ライン43が分岐され、このスティック・アウト信号圧ライン43が、切換弁38の信号圧作用部に導かれている。
【0050】
ブーム上げ信号圧ライン37の切換弁38を経た信号圧ライン37aは、バケット・クローズパイロット圧を減圧する第1の減圧弁36aの信号圧作用部と、スティック・アウトパイロット圧を減圧する第2の減圧弁36bの信号圧作用部とにそれぞれ接続されている。
【0051】
切換弁38は、スティック第1スプール23およびスティック第2スプール24にスティック・アウトパイロット圧が作用しないときは、図2に示された位置に保たれ、第1の減圧弁36aおよび第2の減圧弁36bに作用する信号圧をなくすとともに、スティック第1スプール23およびスティック第2スプール24にスティック・アウトパイロット圧が作用したときは、そのパイロット圧から分岐したスティック・アウト信号圧により切換わって、ブーム上げパイロット圧から分岐したブーム上げ信号圧を2連減圧弁ブロック36Aに入力し、第1の減圧弁36aおよび第2の減圧弁36bに作用させる。
【0052】
これにより、それぞれの減圧弁36a,36bが作動すると、第1の減圧弁36aは、ブーム第1スプール21に作用するブーム上げパイロット圧から分岐したブーム上げ信号圧に応じて、バケットスプール25に作用するバケット・クローズパイロット圧を減圧制御可能であり、第2の減圧弁36bは、上記ブーム上げ信号圧に応じて、スティック第1スプール23およびスティック第2スプール24に作用するスティック・アウトパイロット圧を減圧制御可能である。
【0053】
この図2に示された実施の形態では、ブーム上げ+スティック・アウト+バケット・クローズの空中3連動操作のとき、ブーム上げパイロット圧から分岐したブーム上げ信号圧が切換弁38を介して2連の減圧弁36a,36bの信号圧作用部に入力されることにより、それぞれの減圧弁36a,36bが作動して、バケットスプール25へのバケット・クローズパイロット圧が減圧されるとともに、スティック第1スプール23およびスティック第2スプール24へのスティック・アウトパイロット圧が減圧され、バケットスプール25と、スティック第1スプール23およびスティック第2スプール24とが同時に中立位置方向へ戻され、その分、油圧源26,27からブーム第1スプール21およびブーム第2スプール22を経てブームシリンダ15のブーム上げ側へ供給される圧油供給量が、より一層増加するので、ブームシリンダ15によるブーム上げ動作速度は、さらに速くなり、操作性を一層改善できる。
【0054】
なお、本流体圧回路は、油圧ショベルのブームシリンダ15、スティックシリンダ17、バケットシリンダ19を駆動する油圧回路を例示して説明したが、走行モータ、旋回モータ、アタッチメントなどを作動する油圧回路にも適用可能であり、また、油圧ショベルなどの建設機械だけでなく他の作業機械でも適用でき、要するに、複数の流体圧アクチュエータを連動操作する一の作業および他の作業を共に円滑にできるようにする流体圧回路に広く適用できる。
【0055】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、第2のパイロット操作式制御弁に特定方向のパイロット圧が作用しないときは、切換弁により信号圧をカットされた減圧弁は作動せず、第3の流体圧アクチュエータの円滑な動作を確保できるので、この動作が要求される一の作業を円滑にできるとともに、第1のパイロット操作式制御弁、第2のパイロット操作式制御弁および第3のパイロット操作式制御弁に、それぞれの特定方向のパイロット圧を作用させて、連動操作による他の作業をするときは、切換弁が切換わって減圧弁が作動し、第3のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧を減圧するので、第1の流体圧アクチュエータの必要な動作速度を確保して操作性を改善でき、複数の作業を共に円滑にできる。
【0056】
請求項2記載の発明によれば、第1のパイロット操作式制御弁、第2のパイロット操作式制御弁および第3のパイロット操作式制御弁に、それぞれの特定方向のパイロット圧を作用させて、連動操作による作業をするときは、第1の減圧弁および第2の減圧弁が作動して、第2のパイロット操作式制御弁および第3のパイロット操作式制御弁への特定方向のパイロット圧が減圧されるので、第1の流体圧アクチュエータの動作速度は、さらに速くなり、操作性を一層改善できる。
【0057】
請求項3記載の発明によれば、ブーム上げ+スティック・イン+バケット・クローズの3連動操作による掘削作業においては、円滑な掘削作業に適したバケット動作を確保できるとともに、ブーム上げ+スティック・アウト+バケット・クローズの空中3連動操作によるダンプ積込み作業においては、必要なブーム上げ速度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流体圧回路の一実施の形態を示す回路図である。
【図2】本発明に係る流体圧回路の他の実施の形態を示す回路図である。
【図3】油圧ショベルの側面図である。
【図4】従来の油圧回路に用いられた減圧弁のブーム上げパイロット圧に対するスティック・インパイロット圧の特性を示す特性図である。
【図5】本発明の前提となるバケットパイロットラインに減圧弁を用いた油圧回路を示す回路図である。
【図6】(a)はバケットシリンダ伸び時のバケットスプールの開口特性を示す特性図、(b)はバケットシリンダ縮み時のバケットスプールの開口特性を示す特性図である。
【符号の説明】
15 第1の流体圧アクチュエータとしてのブームシリンダ
17 第2の流体圧アクチュエータとしてのスティックシリンダ
19 第3の流体圧アクチュエータとしてのバケットシリンダ
21,22 第1のパイロット操作式制御弁としてのブーム第1スプールおよびブーム第2スプール
23,24 第2のパイロット操作式制御弁としてのスティック第1スプールおよびスティック第2スプール
25 第3のパイロット操作式制御弁としてのバケットスプール
26 流体圧源としての油圧源
36 減圧弁
38 切換弁
36a 第1の減圧弁
36b 第2の減圧弁
Claims (3)
- 第1の流体圧アクチュエータを制御する第1のパイロット操作式制御弁と、
第1の流体圧アクチュエータと連動的に操作可能な第2の流体圧アクチュエータを制御する第2のパイロット操作式制御弁と、
第1のパイロット操作式制御弁と共通の流体圧源から作動流体の供給を受けて第1および第2の流体圧アクチュエータと連動的に操作可能であるとともに第1の流体圧アクチュエータより低負荷の第3の流体圧アクチュエータを制御する第3のパイロット操作式制御弁と、
第1のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧から分岐した信号圧に応じて第3のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧を減圧制御可能の減圧弁と、
第2のパイロット操作式制御弁に特定方向のパイロット圧が作用しないときは減圧弁に作用する信号圧をなくすとともに第2のパイロット操作式制御弁に特定方向のパイロット圧が作用したときはその特定方向のパイロット圧により切換わって減圧弁に信号圧を作用させる切換弁と
を具備したことを特徴とする流体圧回路。 - 減圧弁は、
第1のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧から分岐した信号圧に応じて第3のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧を減圧制御可能の第1の減圧弁と、
第1のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧から分岐した信号圧に応じて第2のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧を減圧制御可能の第2の減圧弁とを具備し、
切換弁は、
第2のパイロット操作式制御弁に特定方向のパイロット圧が作用しないときは第1の減圧弁および第2の減圧弁に作用する信号圧をなくすとともに第2のパイロット操作式制御弁に特定方向のパイロット圧が作用したときはその特定方向のパイロット圧により切換わって第1の減圧弁および第2の減圧弁に信号圧を作用させる
ことを特徴とする請求項1記載の流体圧回路。 - 第1の流体圧アクチュエータを制御する第1のパイロット操作式制御弁は、油圧ショベルのブームシリンダを制御する制御弁であり、
第2の流体圧アクチュエータを制御する第2のパイロット操作式制御弁は、油圧ショベルのスティックシリンダを制御する制御弁であり、
第3の流体圧アクチュエータを制御する第3のパイロット操作式制御弁は、油圧ショベルのバケットシリンダを制御する制御弁であり、
第1のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧は、ブーム上げパイロット圧であり、
信号圧は、ブーム上げ信号圧であり、
第2のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧は、スティック・アウトパイロット圧であり、
第3のパイロット操作式制御弁に作用する特定方向のパイロット圧は、バケット・クローズパイロット圧である
ことを特徴とする請求項1または2記載の流体圧回路。
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