JP3869235B2 - 鉄筋コンクリート造高架橋の制振・防振構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は鉄道橋や道路橋として使用され、耐震安全性と共に、スラブ上を走行する列車や車両が発生する交通振動の周辺地盤への伝播を抑制する機能を持たせた鉄筋コンクリート造高架橋の制振・防振構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
鉄道橋や道路橋として使用される鉄筋コンクリート造高架橋は橋軸直角方向に並列する橋脚を梁でつなぎ、橋軸方向に隣接するを橋脚を桁でつないだ形のラーメン構造で構築されるが、橋軸直角方向には単スパンであることから、橋軸方向に比べて剛性が小さいため、揺れを生じ易く、地震時の耐震安全性に不安がある。
【0003】
特に橋軸直角方向には梁のせん断スパン比が小さくなる傾向があるため、橋軸直角方向に過大な地震力を受けたときに、水平力による曲げモーメントによって梁がせん断破壊を起こす可能性がある。
【0004】
また高架橋上を走行する列車や車両が発生する交通振動が橋脚から基礎を通じて地盤まで伝播するため、周辺の民家に及び、居住性に影響を与える可能性がある。
【0005】
この発明は上記背景より、耐震安全性を確保しながら、交通振動の伝播を抑制する高架橋を提案するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明では橋脚の脚部と、橋脚の頭部と、梁の中間部、または桁の中間部等のいずれかの内、傾斜した方向に対向する少なくとも二箇所にガセットプレートを突設し、対向するガセットプレート間に、ブレース本体にダンパーを組み込んだブレース型ダンパーを架設し、その両端部をガセットプレートに連結することにより、高架橋自身の耐震安全性を確保しながら、高架橋が発生する交通振動を抑制し、周辺地盤への振動の伝播を低減する。
梁の中間部、または桁の中間部におけるガセットプレートはコンクリート中に埋設される定着部材に接合され、定着部材の両端に、ブレース型ダンパーからの軸力の水平成分を梁、または桁のコンクリートに対して支圧力として伝達するプレートが接合される。
【0007】
隣接する橋脚の基礎部分がフーチングで連結されている場合には請求項2に記載のように橋脚の脚部と、橋脚の頭部と、フーチングと、梁の中間部、または桁の中間部のいずれかの内、傾斜した方向に対向する少なくとも二箇所にガセットプレートが突設される。フーチングは橋軸直角方向に並列する橋脚を連結する場合の他、橋軸方向に隣接する橋脚を連結する場合もある。
フーチング、または梁の中間部、もしくは桁の中間部におけるガセットプレートはコンクリート中に埋設される定着部材に接合され、定着部材の両端に、ブレース型ダンパーからの軸力の水平成分をフーチング、または梁、もしくは桁のコンクリートに対して支圧力として伝達するプレートが接合される。
【0008】
またスラブの剛性を上げるために対向する桁間、もしくは梁間に小梁が架設される場合には請求項5に記載のように橋脚の脚部、もしくは橋脚の頭部と、小梁にガセットプレートが突設され、対向するガセットプレート間に、ブレース型ダンパーが架設される。橋軸直角方向に並列する橋脚がフーチングで連結される場合は、請求項6に記載のように橋脚の脚部、もしくは橋脚の頭部、またはフーチングと、小梁にガセットプレートが突設される。
請求項5における小梁の中間部におけるガセットプレートはコンクリート中に埋設される定着部材に接合され、定着部材の両端に、ブレース型ダンパーからの軸力の水平成分を小梁のコンクリートに対して支圧力として伝達するプレートが接合される。
【0009】
並列する橋脚の内、一方の橋脚の脚部と他方の橋脚の頭部間に単純にブレースを架設しようとする場合、通常は橋脚の頭部と梁との接合部にガセットプレートを突設する形になるが、接合部は橋脚の主筋と梁の主筋が混在する部分であるため、ガセットプレートを突設することが難しいか、ガセットプレートの突設が接合部の配筋に影響を与え、接合部の耐力を低下させる可能性がある。
【0010】
これに対し、本発明ではブレース型ダンパーが連結されるガセットプレートが橋脚の頭部及び脚部、または梁や桁の中間部等に突設されることにより、接合部における配筋への影響が回避される。特に請求項7に記載のようにガセットプレートを橋脚を包囲するバンドプレートに接合すれば、橋脚の脚部や頭部を補強する効果が得られる。
【0011】
またブレースがブレース本体にダンパーを組み込んだ形式であることから、ブレースが高架橋に入力する地震力を負担しながら、振動エネルギを吸収し、高架橋の揺れを抑制するため、高架橋の耐震安全性が確保される。
【0012】
加えてスラブ上を走行する列車や車両が発生する振動数の高い振動をブレース型ダンパーのダンパーが吸収し、特にダンパーとして粘性系ダンパーを使用することにより微振動でも有効に振動エネルギを吸収できるため、ブレース型ダンパーのダンパーが常に機能する状態に置かれることで、交通振動が橋脚から基礎を通じて周辺地盤へ伝播し、周辺の民家に及ぶことも回避される。列車や車両が発生する振動は橋脚を通じて基礎まで伝播するため、交通振動を低減する上では橋脚の頭部にブレース型ダンパーの一端を連結することが効果的である。
【0013】
高架橋においては前記の通り、橋軸直角方向に隣接する橋脚をつなぐ梁にせん断破壊が起こり易いことから、請求項3に記載のように橋軸直角方向に並列する橋脚の内、一方の橋脚の頭部と梁の中間部のいずれかと、他方の橋脚の脚部にガセットプレートを突設し、橋軸直角方向の構面内にブレース型ダンパーを架設すれば、梁のせん断破壊を防止することが可能になる。
【0014】
請求項4に記載のように橋軸直角方向の構面に加え、橋軸方向に隣接する橋脚の内、一方の橋脚の頭部と桁の中間部のいずれかと、他方の橋脚の脚部にガセットプレートを突設し、橋軸方向の構面内にもブレース型ダンパーを架設すれば、高架橋の耐震安全性と、高架橋が発生する振動の抑制効果が向上する。
【0015】
請求項5,6では小梁に突設されるガセットプレートと橋脚の脚部、もしくは橋脚の頭部やフーチングに突設されるガセットプレート間にブレース型ダンパーを架設することから、特に小梁のガセットプレートを小梁の中央部に配置すれば、ブレース型ダンパーを橋軸直角方向と橋軸方向の2方向の振動に対して効かせることができるため、ブレース型ダンパーを2方向に架設した場合と同等の効果を得ることができる。
【0016】
橋脚の脚部、もしくは頭部に突設されるガセットプレートは例えば請求項7に記載のように橋脚を包囲するバンドプレートに接合される。この場合、橋脚内部の配筋状態やコンクリートの被り等に影響を与えることなく、ガセットプレートを橋脚に突設することができるため、ガセットプレートの突設に伴う橋脚の耐力低下を回避できる利点がある。
【0017】
またバンドプレートが橋脚に定着されることで、バンドプレートの軸方向の長さに相当する区間に、ブレースからの力を分散させて橋脚に伝達することができるため、橋脚の局部的な損傷が防止される他、橋脚のコンクリートを拘束し、コンクリートの耐力を高める効果がある。
【0018】
梁の中間部、もしくは桁の中間部と、フーチングと、小梁のいずれかに突設されるガセットプレートはコンクリート中に埋設される定着部材に接合される。
【0019】
この場合、定着部材を通じて直接、ブレース型ダンパーと梁や桁等との間で力の伝達が行われるため、ブレース型ダンパーのダンパーの機能を効果的に発揮させることができ、地震時等の振動の減衰効果と交通振動の低減効果が高まる。
【0020】
また定着部材を梁や桁等の下端筋と上端筋の中間の高さに配置すれば、梁や桁の主筋との干渉を回避でき、ガセットプレートに孔を明けることで、スターラップの配筋を阻害することもないため、定着部材の埋設が梁や桁の耐力の低下を招くことがない。
【0021】
【発明の実施の形態】
この発明の鉄筋コンクリート造高架橋は図1,図4に示すように橋軸直角方向に並列し、橋軸方向に間隔を隔てて配列する橋脚1,1と、橋軸直角方向に並列する橋脚1,1を連結する梁2、及び橋軸方向に隣接する橋脚1,1を連結する桁3から構成され、橋軸方向と橋軸直角方向の少なくともいずれかの方向に隣接する橋脚1,1間に、またはそれらに交差する方向にブレース型ダンパー4を架設したものである。
【0022】
高架橋は図1,図4に示す1層の場合と図2,図3に示す2層の場合があるが、最上部に位置する梁2及び桁3上には鉄道軌道が敷設される、または道路となるスラブ5が構築、もしくは敷設される。橋脚1と梁2及び桁3、並びにスラブ5は現場打ちコンクリート造で構築される他、いずれかの少なくとも一部がプレキャストコンクリートで製作される場合もある。
【0023】
ブレース型ダンパー4は軸方向に相対移動自在なブレース本体41,41と、一方のブレース本体41に内蔵されるダンパー42からなり、ブレース本体41,41がその両端間に作用する引張力と圧縮力によって相対移動するときにダンパー42が減衰力を発生することにより高架橋の揺れを抑制しながら、高架橋へのブレース本体41からの抵抗力を低減する。ダンパー42には粘性流体を用いたオイルダンパー等、ダンパー本体41,41の軸方向の相対移動によって減衰力を発生する形式のダンパーが使用される。
【0024】
図1は1層の高架橋の橋軸直角方向の構面内にブレース型ダンパー4を架設した場合を示す。ここでは両橋脚1,1の脚部と梁2の中間部との間に2本のブレース型ダンパー4,4を逆V字型に架設しているが、一方の橋脚1の脚部と他方の橋脚1の頭部との間に1本のブレース型ダンパー4を架設する場合や、2本のブレース型ダンパー4,4をX字型に交差させて架設する場合もある。
【0025】
図2は2層の高架橋の各層に2本のブレース型ダンパー4,4を逆V字型に架設した場合、図3はX字型に架設した場合を示す。高架橋が2層の場合、2層の内の上層側、もしくは下層側にのみブレース型ダンパー4,4を架設することもある。
【0026】
1層と2層のいずれの場合も、橋軸直角方向の構面内においてはブレース型ダンパー4の一端は橋脚1の脚部、もしくは頭部に突設したガセットプレート6に連結され、他端は橋脚1の頭部に突設したガセットプレート6、または梁2の中間部、あるいはフーチング11に突設したガセットプレート7に連結される。ガセットプレート6,7は橋脚1,1と梁2からなるフレームの内周側を向き、それぞれの表面に突出する。
【0027】
図3に示すようにブレース型ダンパー4を隣接する橋脚1,1の内の一方の橋脚1の脚部と他方の橋脚1の頭部との間に架設する場合は、両橋脚1,1にのみガセットプレート6,6が突設され、梁2にはガセットプレート7は突設されない。
【0028】
橋脚1に突設されるガセットプレート6は梁2や桁3との接合部を外した位置である脚部と頭部に配置されれば、橋脚1への突設方法は特に問われないが、図面では橋脚1の脚部、もしくは頭部に突設されるガセットプレート6を図5,図6に示すように橋脚1を包囲するバンドプレート9に突設している。
【0029】
バンドプレート9は橋脚1の断面形状に応じ、複数枚のプレート91を例えば箱形に組み立てた形状をし、隣接する橋脚1側を向くプレート91の表面にガセットプレート6が溶接等により接合される。図3に示すようにブレース型ダンパー4,4が交差して架設される場合、ガセットプレート6,6は橋脚1の中心からずれて接合される。
【0030】
ガセットプレート6には図6に示すようにブレース型ダンパー4の端部のブラケット43をピン8等により連結するための挿通孔6aが明けられる。挿通孔6aには必要によりガセットプレート6の面外方向のブラケット43の回転も許容し、ブレース型ダンパー4に捩じりを加えないための自在継手6bが取り付けられる。
【0031】
バンドプレート9の対向するプレート91,91間には橋脚2の主筋1aや定着筋、及びフープ1bの障害にならない範囲で仕切り板92が並列して、または格子状に配置され、プレート91の変形を防止しながら、ブレース型ダンパー4からの引張力と圧縮力がコンクリートに分散して伝達するようにされる。プレート91の内周面や仕切り板92にはスタッドボルトやアンカー等の定着材93が突設され、コンクリートとの一体性が確保される。
【0032】
ブレース型ダンパー4の両端部にはブレース本体41の端部に接続したブラケット43,43が一体化しており、ガセットプレート6側のブラケット43はブラケット43とガセットプレート6を貫通するピン8等によってガセットプレート6に回転自在に連結される。ブラケット43は自在継手6bによってガセットプレート6の面外方向に傾斜自在となる。
【0033】
図1,図2に示すようにブレース型ダンパー4が橋脚1の脚部と梁2の中間部との間に逆V字形に架設される場合は、梁2の中間部にガセットプレート7が突設される。梁2に対するガセットプレート7の突設位置は梁2の端部と端部寄りの区間を外した位置であればよい。ガセットプレート7は図7に示すように梁2の中間部のコンクリート中に埋設される定着部材 10 に接合される。
【0034】
定着部材10は梁2の内部において主筋の配筋状態に影響を与えない形状をしていればよく、図7ではH形鋼を必要長さで切断した鋼材を使用している。ここではまた、ブレース型ダンパー4からの軸力の水平成分が梁2のコンクリートに対して支圧力として伝達されるよう、鋼材の両端と中央部にプレート10a,10aを接合すると共に、コンクリートとの一体性を確保するためのスタッドボルト等の定着材10bを鋼材のウェブに突設している。ガセットプレート7のコンクリート中に埋設される部分には梁2のスターラップが挿通するための挿通孔7aが形成される。
【0035】
ブレース型ダンパー4のガセットプレート7側のブラケット43もブラケット43とガセットプレート7を貫通するピン8等によってガセットプレート7に回転自在に連結される。図示しないが、ガセットプレート7にもガセットプレート6と同様にピン8等が貫通する挿通孔が明けられ、その挿通孔に必要によりブラケット43をガセットプレート7の面外方向に回転自在に連結するための自在継手が取り付けられる。
【0036】
図4は橋軸方向の構面を構成する橋脚1,1と桁3からなるフレームにおいて、図1と同様に両橋脚1,1の脚部と桁3の中間部との間に2本のブレース型ダンパー4,4を逆V字型に架設した場合を示す。
【0037】
橋脚1に突設されるガセットプレート6と桁3に突設されるガセットプレート7の突設方法は橋軸直角方向の場合と同じであるが、橋脚1にバンドプレート9を使用すれば、その2方向のプレート91,91を利用して2方向にガセットプレート6,6を突設することができるため、単一のバンドプレート9によって橋軸直角方向と橋軸方向のブレース型ダンパー4,4の架設に対応できる。
【0038】
図8は橋軸直角方向に並列する橋脚1,1の基礎部分がフーチング11で連結される場合に、フーチング11の中間部にガセットプレート7を突設し、両側の橋脚1,1の下層側の各頭部にガセットプレート6が突設されたバンドプレート9を固定し、フーチング11の中間部と橋脚1の頭部間にブレース型ダンパー4を架設した場合を示す。ガセットプレート7は梁2や桁3に突設される場合と同様にフーチング11のコンクリート中に埋設される定着部材10に接合される。
【0039】
図9〜図11は対向する桁3,3間に、スラブ5の剛性を高めるために小梁12を架設した場合に、橋脚1の脚部、もしくは頭部と、小梁12にガセットプレート6,7を突設し、対向するガセットプレート6,7間に、ブレース型ダンパー4を架設した場合を示す。
【0040】
小梁12は橋軸方向に対向する梁2,2間に架設される場合もあり、橋脚1の脚部や頭部に代え、フーチング11にガセットプレート7を突設する場合もある。小梁12に突設されるガセットプレート7は図10に示すように梁2や桁3に突設される場合と同様にコンクリート中に定着される定着部材10に突設される。
【0041】
図9〜図11では小梁12の中間部より桁3寄りに定着部材10を配置し、その定着部材10のガセットプレート7と橋脚1の脚部や頭部に突設されたガセットプレート6との間に、橋軸方向の構面に近い角度でブレース型ダンパー4を架設しているが、小梁12の中央部に定着部材10を配置し、平面上、4本の橋脚1からなる4角形の対角線方向にブレース型ダンパー4を架設し、ブレース型ダンパー4を橋軸直角方向と橋軸方向の2方向の振動に対して効かせることもある。
【0042】
また図9〜図11ではブレース型ダンパー4を橋脚1の脚部、もしくは頭部と、小梁12の桁3寄りとの間に架設していることから、平面上、ブレース型ダンパー4が桁3に対して傾斜して架設されているが、フーチング11にガセットプレート7を突設し、ブレース型ダンパー4を桁3に平行に架設することもある。
【0043】
【発明の効果】
橋脚の脚部と、橋脚の頭部と、梁の中間部、または桁の中間部等のいずれかの内、傾斜した方向に対向する少なくとも二箇所にガセットプレートを突設し、対向するガセットプレート間に、ブレース本体にダンパーを組み込んだブレース型ダンパーを架設するため、高架橋の耐震安全性を確保することができる。
【0044】
特にガセットプレートを接合部を外した位置に突設することで、接合部における配筋への影響がない。
【0045】
また列車や車両が発生する振動をブレースに内蔵されたダンパーが吸収するため、交通振動が橋脚から基礎を通じて周辺地盤へ伝播し、周辺の民家に及ぶことも回避される。
【0046】
請求項3では橋軸直角方向の構面内にブレース型ダンパーを架設するため、橋軸直角方向の梁のせん断破壊に対する安全性が向上する。
【0047】
請求項4では橋軸方向の構面内にもブレース型ダンパーを架設するため、高架橋の耐震安全性の向上と、振動の抑制効果が向上する。
【0048】
請求項5,6では対向する桁間、もしくは梁間に小梁が架設される場合に、小梁に突設されるガセットプレートと橋脚に突設されるガセットプレート間にブレース型ダンパーを架設するため、小梁のガセットプレートを小梁の中央部に配置することで、ブレース型ダンパーを橋軸直角方向と橋軸方向の2方向の振動に対して効かせることができる。
【0049】
請求項7では橋脚を包囲するバンドプレートにガセットプレートを接合するため、橋脚内部の配筋状態やコンクリートの被り等に影響を与えずにガセットプレートを橋脚に一体化させることができ、橋脚の耐力低下を回避できる。
【0050】
またバンドプレートが橋脚に定着されることで、ブレースからの力を分散させて橋脚に伝達することができるため、橋脚の局部的な損傷を防止できる他、橋脚のコンクリートの耐力を高める効果がある。
【0051】
更に梁や桁等のコンクリート中に埋設される定着部材にガセットプレートを接合することで、定着部材を通じて直接、ブレース型ダンパーと梁や桁等との間で力の伝達が行われるため、ブレース型ダンパーのダンパーの機能を効果的に発揮させることができ、地震時等の振動の減衰効果と交通振動の低減効果が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】橋軸直角方向の構面内にブレース型ダンパーを架設した様子を示した立面図である。
【図2】高架橋が2層の場合のブレース型ダンパーの架設例を示した立面図である。
【図3】高架橋が2層の場合のブレース型ダンパーの架設例を示した立面図である。
【図4】橋軸方向の構面内にブレース型ダンパーを架設した様子を示した立面図である。
【図5】橋脚の脚部に定着されたバンドプレートにガセットプレートを接合した様子を示した立面図である。
【図6】図5のバンドプレートの構成例を示した平面図である。
【図7】梁の内部に定着された定着部材にガセットプレートを接合した様子を示した斜視図である。
【図8】フーチングに定着された定着部材を利用して橋軸直角方向の構面内にブレース型ダンパーを架設した様子を示した立面図である。
【図9】小梁に定着された定着部材を利用して小梁と橋脚間にブレース型ダンパーを架設した様子を示した伏せ図である。
【図10】図9のx−x線断面図である。
【図11】図9の橋脚部分の拡大図である。
【符号の説明】
1……橋脚、1a……主筋、1b……フープ、2……梁、3……桁、4……ブレース型ダンパー、41……ブレース本体、42……ダンパー、43……ブラケット、5……スラブ、6……ガセットプレート、6a……挿通孔、6b……自在継手、7……ガセットプレート、7a……挿通孔、8……ピン、9……バンドプレート、91……プレート、92……仕切り板、93……定着材、10……定着部材、10a……プレート、10b……定着材、11……フーチング、12……小梁。
Claims (7)
- 橋軸直角方向に並列し、橋軸方向に間隔を隔てて配列する橋脚と、橋軸直角方向に並列する橋脚を連結する梁、及び橋軸方向に隣接する橋脚を連結する桁から構成される鉄筋コンクリート造高架橋において、橋脚の脚部と、橋脚の頭部と、梁の中間部、または桁の中間部のいずれかの内、傾斜した方向に対向する少なくとも二箇所にガセットプレートを突設し、対向するガセットプレート間に、ブレース本体にダンパーを組み込んだブレース型ダンパーを架設し、その両端部をガセットプレートに連結してあり、
前記梁の中間部、または前記桁の中間部における前記ガセットプレートはコンクリート中に埋設される定着部材に接合され、
前記定着部材の両端に、前記ブレース型ダンパーからの軸力の水平成分を前記梁、または前記桁のコンクリートに対して支圧力として伝達するプレートが接合されていることを特徴とする鉄筋コンクリート造高架橋の制振・防振構造。 - 橋軸直角方向に並列し、橋軸方向に間隔を隔てて配列する橋脚と、橋軸直角方向に並列する橋脚を連結する梁と、橋軸方向に隣接する橋脚を連結する桁、及び隣接する橋脚の基礎部分を連結するフーチングから構成される鉄筋コンクリート造高架橋において、橋脚の脚部と、橋脚の頭部と、フーチングと、梁の中間部、または桁の中間部のいずれかの内、傾斜した方向に対向する少なくとも二箇所にガセットプレートを突設し、対向するガセットプレート間に、ブレース本体にダンパーを組み込んだブレース型ダンパーを架設し、その両端部をガセットプレートに連結してあり、
前記フーチング、または前記梁の中間部、もしくは前記桁の中間部における前記ガセットプレートはコンクリート中に埋設される定着部材に接合され、
前記定着部材の両端に、前記ブレース型ダンパーからの軸力の水平成分を前記フーチング、または前記梁、もしくは前記桁のコンクリートに対して支圧力として伝達するプレートが接合されていることを特徴とする鉄筋コンクリート造高架橋の制振・防振構造。 - ガセットプレートは橋軸直角方向に並列する橋脚の内、一方の橋脚の頭部と梁の中間部のいずれかと、他方の橋脚の脚部に突設されている請求項1、もしくは請求項2記載の鉄筋コンクリート造高架橋の制振・防振構造。
- ガセットプレートは橋軸方向に隣接する橋脚の内、一方の橋脚の頭部と桁の中間部のいずれかと、他方の橋脚の脚部に突設されている請求項1、もしくは請求項2記載の鉄筋コンクリート造高架橋の制振・防振構造。
- 橋軸直角方向に並列し、橋軸方向に間隔を隔てて配列する橋脚と、橋軸直角方向に並列する橋脚を連結する梁、及び橋軸方向に隣接する橋脚を連結する桁から構成され、対向する桁間、もしくは梁間に小梁が架設された鉄筋コンクリート造高架橋において、橋脚の脚部、もしくは橋脚の頭部と、小梁にガセットプレートを突設し、対向するガセットプレート間に、ブレース本体にダンパーを組み込んだブレース型ダンパーを架設し、その両端部をガセットプレートに連結してあり、
前記小梁の中間部における前記ガセットプレートはコンクリート中に埋設される定着部材に接合され、
前記定着部材の両端に、前記ブレース型ダンパーからの軸力の水平成分を前記小梁のコンクリートに対して支圧力として伝達するプレートが接合されていることを特徴とする鉄筋コンクリート造高架橋の制振・防振構造。 - 橋軸直角方向に並列し、橋軸方向に間隔を隔てて配列する橋脚と、橋軸直角方向に並列する橋脚を連結する梁と、橋軸方向に隣接する橋脚を連結する桁、及び隣接する橋脚の基礎部分を連結するフーチングから構成され、対向する桁間、もしくは梁間に小梁が架設された鉄筋コンクリート造高架橋において、橋脚の脚部、もしくは橋脚の頭部、またはフーチングと、小梁にガセットプレートを突設し、対向するガセットプレート間に、ブレース本体にダンパーを組み込んだブレース型ダンパーを架設し、その両端部をガセットプレートに連結してある鉄筋コンクリート造高架橋の制振・防振構造。
- 橋脚の脚部、もしくは頭部に突設されるガセットプレートは橋脚を包囲するバンドプレートに接合されている請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の鉄筋コンクリート造高架橋の制振・防振構造。
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