JP3869201B2 - 高所作業車の安全装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高所作業車の安全装置に関し、詳しくは、作業中の作業者が作業台から誤って転落することを防止する安全装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車体上に昇降装置を介して作業台が取り付けられた高所作業車は従来知られており、このような高所作業車の作業台から作業者が誤って転落することを防止する装置としては、安全帯と称される命綱が知られている。この安全帯は、作業者の体に巻き付けられるベルトにロープを介してフックを取り付けた構成となっており、作業台側にはこのフックが係止されるフック係止部材が取り付けられている。作業台に搭乗した作業者は、先ず自分の体に取り付けた安全帯のフックをフック係止部材に係止させ、万一の転落に備えてから高所での作業に取りかかるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような安全装置では、作業者が自らの意志でフックをフック係止部材に係止するという行為をしなければ万一の転落に対処することはできず、また作業者がこのようなフックの係止行為を行ったうえで作業を行っているかどうかを他の者、特に地上の監督者が目視で確認することは困難であった。
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、作業台に搭乗して作業を行う作業者が、安全帯側の係止具を作業台側の係止具に係止させたうえで作業を行っているか否かを地上の者が目視で確認でき、作業者に注意を促して安全性を高めることが可能な高所作業車の安全装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る高所作業車の安全装置は、作業台に搭乗した作業者の体に巻き付けられるベルト部材(例えば、実施形態におけるベルト81)に綱状部材(例えば、実施形態におけるロープ82)を介して第1の係止具(例えば、実施形態におけるフック83)が取り付けられてなる安全帯と、一端が作業台の外部若しくは昇降装置の上端部に取り付けられた綱状部材(例えば、実施形態におけるロープ91)の端部に第1の係止具を係脱自在に係止可能な第2の係止具(例えば、実施形態におけるフック係止部材92)が取り付けられてなる係止体と、第2の係止具に第1の係止具を係止させた状態で両係止具を覆うカバー部材とを備え、第1の係止具が第2の係止具に係止されていないときに第2の係止具が自重により作業台の外側部に垂下して配設され、第1の係止具が第2の係止具に係止されたときにカバー部材に覆われた第1及び第2の係止具が作業台の外側部に位置して、両係止具の係止状態を地上より確認できるようにしている。
【0006】
この安全装置では、安全帯側の係止具(第1の係止具)を作業台側の係止具(第2の係止具)に係止させておくことにより作業者の作業台からの転落が防止されるのであるが、安全帯側の係止具を係止していない状態で作業台側の係止具が作業台の外側部に垂下して配設され、これら両係止具を係止させた状態でカバー部材に覆われた両係止具が作業台の外側部に位置して、係止具を地上から目視することで両係止具の係止状態を確認できるようにしているので、地上の者(特に作業の監督者)は作業台に搭乗した作業者に安全帯の使用についての注意を適宜与えることができ、作業者の万一の転落を確実に防止することができる。また、カバー部材の構造は極めて簡単であり、既存の高所作業車における係止体若しくは安全帯に後から装着することが可能であるのでコストも非常に安価である。
【0007】
ここで、カバー部材が安全帯側にのみ設けられている場合や、カバー部材が安全帯側及び係止体側のいずれにも取り付けられておらず、両係止具の係止後に別途取り付けるようになっている場合には、カバー部材を地上から見ることで両係止具が係止状態にあることを確認できる。また、カバー部材が安全帯側と係止体側との両方に設けられている場合には、これら両カバー部材を地上から見ること(特に、これら両カバー部材を接合して両係止具を覆う構成であれば、両カバー部材が接合された状態を地上から見ること)で両係止具が係止状態にあることを確認できる。更に、カバー部材が係止体側にのみ設けられている場合には、カバー部材が安全帯側の綱状部材に引っ張られて水平方向に延びた状態を見ることで両係止具が係止状態にあることを確認できる。
【0008】
なお、上記カバー部材は、地上より認識し易い色(目立つ色)に着色されることが好ましい。また、カバー部材が安全帯側と係止体側との両方に設けられた構成では、両カバー部材は、遠目でも両カバー部材の存在を区別して認識できるように、互いに異なる色に着色されることが望ましい。また、このカバー部材、安全帯側の綱状部材および係止体側の綱状部材が電気絶縁性材料からなっていれば、両係止具が金属製である場合において、作業者の感電防止効果を高めることが可能である。さらに、安全帯側の係止具が作業台側の係止具と非係止状態および係止状態のいずれの状態においても、作業台側の係止具を作業台の外側に位置させて保持する保持手段を設けた構成によれば、作業台側の係止具が作業台の内部に入り込んでしまうような事態を防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は本発明に係る高所作業車の安全装置の一実施形態が適用される高所作業車を示したものである。この高所作業車1はタイヤ車輪11を備えて道路走行が走行可能な車体10上に起伏、伸縮及び旋回可能なブーム30が設けられており、このブーム30の先端部には水平旋回(首振り)可能な作業台40が設けられている。
【0010】
ブーム30は入れ子式に構成されており、内蔵された伸縮シリンダ31を油圧駆動することにより長手方向に伸縮させることが可能である。ブーム30はその基端部が車体10の後部に設けられた旋回台20の支柱21の上方にフートピン22により枢支されており、旋回台20との間に設けられた起伏シリンダ24を油圧駆動することによりブーム30自身の中心軸を通る上下面内で起伏させることが可能である。旋回台20は車体10に内蔵された旋回モータ23を油圧駆動することにより作動させることができ、これによりブーム30を旋回台20の中心軸(上下軸)まわりに旋回させることが可能である。
【0011】
ブーム30の先端部には垂直ポスト32が取り付けられており、作業台40の側方から張り出したブラケット41がこの垂直ポスト32の周囲を取り囲んで設置されている。垂直ポスト32はブーム30の先端部に設けられた油圧シリンダ33の作用により常時垂直に保持されるようになっており、作業台40の床面は常に水平が保たれる。作業台40のブラケット41内には首振りモータ(図示せず)が設けられており、この首振りモータを油圧駆動することにより作業台40を垂直ポスト32まわりに首振りさせることが可能である。
【0012】
図2に示すように、作業台40には上部操作装置50が備えられており、作業台40に搭乗した作業者Mは、この上部操作装置50からレバー類を操作することにより、起伏シリンダ24、伸縮シリンダ31及び旋回モータ23の作動入力を行うことができる。このレバー類の操作により出力される作動入力信号はブーム30内を通る信号伝送線(図示せず)を介して車体10内に備えられたコントローラ(図示せず)に入力され、このコントローラによるバルブ駆動制御を介して上記起伏シリンダ24,伸縮シリンダ31及び旋回モータ23が油圧駆動される。
【0013】
このため作業者Mは、作業台40上からのレバー操作によりブーム30の起伏、伸縮、旋回動作と作業台40の首振り動作とを行うことができ、自らの意志で所望の位置に移動して作業を行うことが可能である。なお、図1に示すように、車体10の前後左右4箇所には車体10を持ち上げ支持可能なジャッキ12が設けられており、これらを下方に張り出して車体10を安定支持させておくことにより、車体10に作用する転倒モーメントが大きい場合でも転倒することなく作業を行うことができるようになっている。
【0014】
作業台40に搭乗した作業者Mの転落防止には、図2に示すような安全帯80と係止体90とからなる安全装置が用いられる。安全帯80は、作業者Mの体に巻き付けられるベルト81と、このベルト81に一端が取り付けられたロープ82と、このロープ82の他端に取り付けられたフック83とからなっており、係止体90は、作業台40のブラケット41に取り付けられたロープ91と、このロープ91の端部に取り付けられて中央部にフック係止穴93が形成されたフック係止部材92とからなっている。
【0015】
作業者Mは、作業台40に搭乗している間は安全帯80のフック83をフック係止部材92のフック係止穴93に引っ掛けて係止させた状態にしておく。これにより作業者Mの体は作業台40側に係留された状態となり、作業台40から誤って転落することが防止される。ここで、フック83とフック係止部材92とは強度や摩耗等を考慮して金属製であることが好ましく、両ロープ82,91は作業者Mの感電防止を考慮して電気絶縁性材料からなっていることが好ましい。
【0016】
また、係止体90のロープ91には、図2及び図3に示すように、フック83とフック係止部材92とを係止させた状態で両部材83,92を覆うカバー部材100が取り付けられている。このカバー部材100は図3に示すように一方(図3では下方)に開口した袋状に構成されており、フック係止部材92にフック83を係止させようとするときには先ず図3(A)のように図の上方に縮ませる。そしてフック83をフック係止部材92に係止させたらカバー部材100を元の状態に戻し(図の下方に伸ばし)、フック83とフック係止部材92とがともにカバー部材100に覆われるようにする。
【0017】
ここで、カバー部材100は電気絶縁性材料(例えば皮)からなっていることが好ましく、このようにすれば上記のようにフック83とフック係止部材92とが金属製であっても作業者Mの感電を防止して作業の安全を図ることができる。
【0018】
また、上記のような袋状のカバー部材100は、フック83とフック係止部材92とを係止させた状態で両部材83,92が覆うことができればよいので、以下に示すような様々な変形が可能である。図4はカバー部材101が裾広がりの筒状(スカート状)になっているものであり、フック係止部材92にフック83を係止させようとするときには先ず図4(A)に示すように裾部を図の上方にまくり上げ、フック83をフック係止部材92に係止させたら図4(B)のように裾部を降ろしてフック83とフック係止部材92とがともにカバー部材101に覆われるようにする。
【0019】
また、図5はカバー部材102がジッパーZにより開閉可能な筒状になっているものであり、フック係止部材92にフック83を係止させようとするときには先ず図5(A)のようにジッパーZを開いてカバー部材102を開き、フック83をフック係止部材92に係止させたら図5(B)のようにジッパーZを閉じてフック83とフック係止部材92とがともにカバー部材102に覆われるようにする。
【0020】
更に、図6はカバー部材103が複数のボタンB(ホックや面ファスナ等であってもよい)により開閉可能な筒状にしたものであり、フック係止部材92にフック83を係止させようとするときには先ず図6(A)のようにボタンBを外してカバー部材103を開き、フック83をフック係止部材92に係止させたら図6(B)のようにボタンBを留めてフック83とフック係止部材92とがともにカバー部材103に覆われるようにする。また、図示はしないが、カバー部材が図3に示すような筒型形状等であり、これをロープ91に対してスライド移動させることにより、係止されたフック83及びフック係止部材92を覆うようにする構成であってもよい。
【0021】
このように作業者Mは高所作業に入る前に安全帯80のフック83を係止体90のフック係止部材92に係止させてカバー部材100(或いは101,102,103。以下同じ)によりこれら両部材83,92を覆う作業を行うのであるが、このような一連の作業の後、カバー部材100を作業台40の外側に出してこれが地上の者に見えるようにする(図1及び図7(B)参照)。これにより地上の者(特に監督者)は、作業台40に搭乗した作業者Mの装着した安全帯80のフック83が作業台40側のフック係止部材92に係止されているか否かを目視で確認できるようになる。すなわち地上の者は、カバー部材100が下方に垂れ下がった状態(図7(A)参照)を見ることで両部材83,92が非係止状態にあることが判り、カバー部材100がロープ82に引っ張られて水平方向に延びた状態(図7(B)参照)を見ることで両部材83,92が係止状態にあることを確認することができる。
【0022】
なお、この場合カバー部材100が常時地上から目視することができるように、言い換えるとカバー部材100が作業台40の内部に入り込んでしまわないように、作業台40上端の枠部40aや外壁等に係止体90のロープ91を(安全帯80のロープ82でもよい)を保持する保持部材を設けるようにしてもよい。或いは作業台40の枠部40a等に切り欠き部を設け、この切り欠き部に係止体90のロープ91を引っ掛けるようにしてもよい。
【0023】
このように本発明では、安全帯80のフック83を係止体90のフック係止部材92に係止させておくことにより作業者Mの作業台40からの転落が防止されるのであるが、フック83とフック係止部材92とを係止させた状態でこれら両部材83,92を覆うカバー部材100を地上より目視できる位置に位置させて両部材83,92の係止状態(両部材83,92が係止されているか否か)を確認できるようにしているので、地上の者(特に作業の監督者)は作業台40に搭乗した作業者Mに安全帯80の使用についての注意を適宜与えることができ、作業者40の万一の転落を確実に防止することができる。また、カバー部材100の構造は極めて簡単であり、既存の高所作業車1に設けられた係止体90若しくは安全帯80に後から装着することが可能であるのでコストも非常に安価である。
【0024】
また、上記のように係止させた状態のフック83及びフック係止部材92を覆うカバー部材100は、上述のように必ずしも係止体90のロープ91に取り付けなければならないわけではなく、安全帯80のロープ82に設けるようにしてもよい。但し、この場合はカバー部材100を地上から見ることでフック83とフック係止部材92とが係止状態にあることを確認することになる。また、カバー部材が安全帯80及び係止体90のいずれにも取り付けられておらず、両部材83,92の係止後に別途取り付けるようにすることもできるが、この場合もカバー部材が地上から見ることでフック83とフック係止部材92とが係止状態にあることを確認することになる。
【0025】
なお、上記カバー部材100は、地上より認識し易い色(目立つ色)に着色されることが好ましい。この色は一般には作業台40の塗装の色等に応じて選択されることになるが、例えば作業台40が黄土色に塗装されている場合には、カバー部材100が赤色に着色されることが考えられる。
【0026】
また、カバー部材は安全帯80のロープ82と係止体90のロープ91との両方に設けるようにしてもよい。図8はカバー部材104が2つのカバー部材半体104a,104bからなり、安全帯80のロープ82にカバー部材半体104aが、係止体90のロープ91にカバー部材半体104bが設けられた場合の例を示している。このカバー部材104は図8に示すように、一方のカバー部材104aの端部が、他方のカバー部材半体104bの端部に形成された外方へ突出する突起Tと嵌合するように構成されており、これにより両カバー部材半体104a,104bは一体に結合されるようになっている。そして、フック83のフック係止部材92への係止は、図8(A)のように両カバー部材半体104a,104bが分離した状態で行い、フック83をフック係止部材92に係止させたら両カバー部材半体104a,104bを結合させてフック83とフック係止部材92とがともにカバー部材104に覆われる(カバー部材104の内部に収められる)ようにする。
【0027】
図9は上記カバー部材104の変形例であるカバー部材105の構成を示している。このカバー部材105は2つのカバー部材半体105a,105bからなっており、安全帯80のロープ82にカバー部材半体105aが、係止体90のロープ91にカバー部材半体105bが設けられている。一方のカバー部材105bの端部には雌ねじが、また他方のカバー部材半体104aの端部には雄ねじが形成されており、これら両ねじを螺合させることにより、両カバー部材半体105a,105bを一体に結合できる。そして、フック83のフック係止部材92への係止は図9(A)のように両カバー部材半体105a,105bが分離した状態で行い、フック83をフック係止部材92に係止させたら両カバー部材半体105a,105bを螺合してフック83とフック係止部材92とがともにカバー部材105に覆われる(カバー部材105の内部に収められる)ようにする。
【0028】
このようなカバー部材104(或いは105)においても、上記カバー部材100の場合と同様に、作業者Mは高所作業に入る前に安全帯80のフック83を係止体90のフック係止部材92に係止させてカバー部材104によりこれら両部材83,92を覆う作業を行うのであるが、このような一連の作業の後、カバー部材104を作業台40の外側に出してこれが地上の者に見えるようにする(図10(B)参照)。これにより地上の者(特に監督者)は、作業台40に搭乗した作業者Mの装着した安全帯80のフック83が作業台40側のフック係止部材92に係止されているか否かを目視で確認することができるようになる。すなわち地上の者は、係止体90側カバー部材半体104bが下方に垂れ下がった状態(図10(A)参照)を見ることで両部材83,92が非係止状態であることが判り、両カバー部材半体104a,104bが一体に結合された状態(図10(B)参照)を見ることで両部材83,92が係止状態にあることを確認することができる。
【0029】
また、この場合においても、カバー部材104(105においても同様)には地上より認識し易い色(目立つ色)が着色されることが好ましいが、本場合のように、カバー部材104が2つの半体104a,104bからなり、これらが安全帯80側のロープ82と係止体90側のロープ91とのそれぞれに設けられた構成(言い換えると、カバー部材が安全帯80側と係止体90側との両方に設けられた構成)では、両カバー部材半体104a,104bは、遠目でも両カバー半体104a,104bの存在を区別して認識できるように、互いに異なる色が着色されることが望ましい(例えば、作業台40の塗装が黄土色であれば、赤と緑)。
【0030】
これまで本発明に係る高所作業車の安全装置の一実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上記のものに限定されない。例えば、上記実施形態において示したカバー部材の構成は一例に過ぎず、他の形態に変更することも可能である。また、上記実施形態における係止体90は作業台40のブラケット41に取り付けられるものであったが、これは垂直ポスト32などブーム30(作業台40の昇降装置)側の部材に取り付けられるものであってもよく、或いは作業台40(作業台40の外面側が好ましい)に取り付けられるものであってもよい。また上記実施形態では、安全帯80側にフックが設けられて係止体90側にこのフックが係止される部材(フック係止部材)が設けられる構成であったが、これらフックとフック係止部材の取り付けは逆であってもよい。
【0031】
また、上記実施形態では、フック83及びフック係止部材92が金属製であるとして説明したが、これは強度が充分であるならば、電気絶縁性を有する非金属材料(例えば樹脂)等により作製することもできる。この場合にはカバー部材は必ずしも電気絶縁性材料により作製しなくてもよい。更に、上記実施形態においては、高所作業車1のブーム30は長手方向に伸縮する直伸式のものであったが、これは屈伸式のもの等であってもよく、更には、作業台40の昇降装置は、上記ブーム30のように作業台40を3次元的に移動ができるものに限られず、シザース装置のように作業台の垂直昇降のみができるもの等であってもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る高所作業車の安全装置においては、安全帯側の係止具を作業台側の係止具に係止させておくことにより作業者の作業台からの転落が防止されるのであるが、安全帯側の係止具を係止していない状態で作業台側の係止具が作業台の外側部に垂下して配設され、これら両係止具を係止させた状態でカバー部材に覆われた両係止具が作業台の外側部に位置して、地上から両係止具の係止状態を確認できるようにしているので、地上の者(特に作業の監督者)は作業台に搭乗した作業者に安全帯の使用についての注意を適宜与えることができ、作業者の万一の転落を確実に防止することができる。また、カバー部材の構造は極めて簡単であり、既存の高所作業車における係止体若しくは安全帯に後から装着することが可能であるのでコストも非常に安価である。また、カバー部材や綱状部材を電気絶縁性材料により構成すれば、両係止具が金属製である場合においても作業者の感電防止効果を高めることができ、作業台側の係止具を作業台の外側に位置させて保持する保持手段を設けた構成によれば作業台側の係止具が作業台の内部に入り込んでしまうような事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る安全装置の一実施形態が適用される高所作業車の側面図である。
【図2】図1に示す高所作業車における作業台の部分断面図である。
【図3】本安全装置に備えられるカバー部材の形態のうち、袋状の構成を有するものの例を示す図であり、(A)はフックをフック係止部に係止させる直前の状態を示し、(B)はフックをフック係止部に係止させた後、これら両部材を覆った状態を示している。
【図4】図3に示すカバー部材の変形例を示す図であり、(A)はフックをフック係止部に係止させる直前の状態を示し、(B)はフックをフック係止部に係止させた後、これら両部材を覆った状態を示している。
【図5】図3に示すカバー部材の変形例を示す図であり、(A)はフックをフック係止部に係止させる直前の状態を示し、(B)はフックをフック係止部に係止させた後、これら両部材を覆った状態を示している。
【図6】図3に示すカバー部材の変形例を示す図であり、(A)はフックをフック係止部に係止させる直前の状態を示し、(B)はフックをフック係止部に係止させた後、これら両部材を覆った状態を示している。
【図7】図3に示すカバー部材によりフックとフック係止部との係止状態が判断されることを示す図であり、(A)はフックとフック係止部とが係止されていない状態を示し、(B)はフックとフック係止部とが係止されている状態を示している。
【図8】本安全装置に備えられるカバー部材の形態のうち、2つの半体からなるものの例を示す図であり、(A)はフックをフック係止部に係止させる直前の状態を示し、(B)はフックをフック係止部に係止させた後、これら両部材を覆った状態を示している。
【図9】図8に示すカバー部材の変形例を示す図であり、(A)はフックをフック係止部に係止させる直前の状態を示し、(B)はフックをフック係止部に係止させた後、これら両部材を覆った状態を示している。
【図10】図8に示すカバー部材によりフックとフック係止部との係止状態が判断されることを示す図であり、(A)はフックとフック係止部とが係止されていない状態を示し、(B)はフックとフック係止部とが係止されている状態を示している。
【符号の説明】
1 高所作業車
40 作業台
41 ブラケット
80 安全帯
81 ベルト(ベルト部材)
82 ロープ(綱状部材)
83 フック(第1の係止具)
90 係止体
91 ロープ(綱状部材)
92 フック係止部材(第2の係止具)
100 カバー部材
M 作業者

Claims (3)

  1. 車体に昇降装置を介して作業台が設けられた高所作業車の安全装置であって、
    前記作業台に搭乗した作業者の体に巻き付けられるベルト部材に綱状部材を介して第1の係止具が取り付けられてなる安全帯と、
    一端が前記作業台の外側若しくは前記昇降装置の上端部に取り付けられた綱状部材の端部に前記第1の係止具を係脱自在に係止可能な第2の係止具が取り付けられてなる係止体と、
    前記第2の係止具に前記第1の係止具を係止させた状態で両係止具を覆うカバー部材とを備え、
    前記第1の係止具が前記第2の係止具に係止されていないときに前記第2の係止具が自重により前記作業台の外側部に垂下して配設され、前記第1の係止具が前記第2の係止具に係止されたときに前記カバー部材に覆われた前記第1及び前記第2の係止具が前記作業台の外側部に位置して、前記両係止具の係止状態を地上より確認できるように構成したことを特徴とする高所作業車の安全装置。
  2. 前記カバー部材、前記安全帯側の綱状部材および前記係止体側の綱状部材が電気絶縁性材料からなることを特徴とする請求項1記載の高所作業車の安全装置。
  3. 前記第2の係止具が前記第1の係止具と非係止状態および係止状態のいずれの状態においても前記第2の係止具を前記作業台の外側に位置させて保持する保持手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高所作業車の安全装置。
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