JP3869169B2 - 液面検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱された測温抵抗体を用いる熱式液面センサ(レベルセンサ)を用いる液面検出用変換器および液面検出器を有した液面検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱式液面センサは、液相と気相とで熱放散定数が異なることを利用して液面を検出するもので、液面の検出器として測温抵抗体を用いている。この測温抵抗体を加熱させると、測温抵抗体が周囲の温度よりも高温になり、放熱が加熱を相殺するような温度になって平衡する。平衡する温度は、測温抵抗体がおかれている周囲環境により支配され、液相中では熱放散定数が大きいから測温抵抗体の温度が低くなり、気相中では熱放散定数が小さいから測温抵抗体の温度が高くなる。したがって、測温抵抗体の抵抗値により、液面が測温抵抗体の上方にあるか、下方にあるかがわかる。
【0003】
熱式液面センサを用いた液面検出器は、機械的な可動部分がなく、取付部の密閉構造が完全で、液体タンクへの不純物の侵入がない、検出感度が高いなどの特長がある。例えば、半導体製造装置において、化学蒸着装置に反応ガスを供給する液体原料気化供給装置の容器や、冷却用冷媒供給装置の容器内の液面レベルを検出するのに用いられている。
【0004】
図9は、熱式液面センサを用いた従来の液面検出器の説明図である。
図9(a)はセンサ部の平面図、図9(b)はセンサ部のXX矢印方向の断面図である。
この従来例は、特開平7−63592号公報等で知られたものである。測温抵抗体として、ホット側センサ1およびクール側センサ2を有し、それぞれ、保護管72,73内に挿入されて使用される。センサとして、例えば、薄膜白金測温抵抗体を用いる。
【0005】
81は液体を収容する容器であり、そのフランジ81aには、先端が閉じた2個の保護管72,73を備えた取付板71が、パッキング83を介して気密に取り付けられる。保護管72,73の先端に挿入あるいは封入された、ホット側センサ1およびクール側センサ2は、液面の検出したい高さとなる基準位置に設置されている。液体やガスの供給あるいは、これらの排出等の機構については、図示および説明を省略する。
ホット側センサ1、クール側センサ2は、ケーブル84,85により外部に設けられた変換器に接続され、図10を参照して後述するように、それぞれに定電流(IH,IC)が供給される。ホット側センサ1には、これを高温に加熱するために、比較的大きな定電流(IH)を流すのに対し、クール側センサ2には、周囲の温度を測定できる程度で発熱が無視できる大きさの定電流(IC)を流す。
【0006】
ホット側センサ1およびクール側センサ2は、液面82が基準の高さ以上であれば、図示のように液相中にあるが、液面82が基準の高さ以下であれば気相中にある。高温に加熱されているホット側センサ1の温度は、液相中にあるときよりも気相中にあるときの方が高くなる。一方、クール側センサ2は加熱されていないため、その温度は、ホット側センサ1の温度よりも低くなるだけでなく、液相中にあるときも気相中にあるときも、その温度はほとんど変わらない。
したがって、両センサの端子電圧の差は、ホット側センサ1およびクール側センサ2が、気相中にあるときと液相中にあるときとで相違することになり、液面82の高さ(レベル)が基準よりも高いか低いかを弁別することができる。
【0007】
図10は、熱式液面センサを用いた従来の液面検出用変換器の説明図である。図中、1,2は、図9に示したホット側センサ1およびクール側センサ2を回路記号で示したものである。4,5は定電流回路、91は差動増幅回路、92はコンパレータ、93は第1の分圧抵抗器、94は第2の分圧抵抗器である。
ホット側センサ1にはクール側センサ2よりも大きな電流を流すために、定電流回路4の電流値は定電流回路5の電流値よりも大きくなるように設定されている。差動増幅回路91は、ホット側センサ1の端子電圧(VH、以後、ホット側電圧という。特に、気相中にあるときをVHG,液相中にあるときをVHLとする)とクール側センサ2の端子電圧(以後、クール側電圧VCという)とを入力し、両者の差電圧を出力する。コンパレータ92は、第1の分圧抵抗器93,第2の分圧抵抗器94により設定された動作点電圧(VS)と、上述した差電圧とを比較する。
【0008】
図11は、図10に示した従来の液面検出用変換器の動作を説明するための模式的な線図である。横軸はセンサ部の周囲温度であり、縦軸は各部の電圧値であるが、動作点電圧(VS)は、比較動作をわかりやすくするために、クール側電圧(VC)に上乗せして図示している。図では、白金測温抵抗体の抵抗値と温度との関係を液面検出器(レベルセンサ)としての実用温度範囲において、1次式で近似している。
周囲温度が図示の使用温度範囲にあるとき、ホット側センサ1が気相中にあるときは、そのホット側電圧(VHG)が、クール側電圧(VC)+動作点電圧(VS)よりも大きくなり、比較回路92はハイレベルの電圧を出力する。一方、ホット側センサ1が液相中にあるときには、ホット側電圧(VHL)が、クール側電圧(VC)+動作点電圧(VS)よりも小さくなり、コンパレータ92はローレベルの電圧を出力する。その結果、ホット側センサ1およびクール側センサ2が気相中にあるか液相中にあるかを弁別することができる。
【0009】
しかし、ホット側センサ1の端子電圧(VHG,VHL)とクール側センサ2の端子電圧(VC)とは、周囲温度に対して同じ正の温度係数を有するが、一致はしないため、図10に示した変換器では、使用温度範囲を大幅に広くすることができない。特に、液体の性質等により、液相中と気相中とで熱放散定数の差が小さい場合や、ホット側センサ1の加熱温度を抑えた場合には、ホット側センサ1が気相中にあるときの端子電圧(VHG)と液相中にあるときの端子電圧(VHL)の差が少なくなるため使用温度範囲が狭くなるとともに、安定した液面検出がむずかしくなる。
また、測温抵抗体にはばらつきがあるため、これに合わせて、液面検出用変換器の動作点電圧(VS)などを調整する必要がある。その結果、センサ部と変換器とを別個に供給することがむずかしい場合がある。また半導体製造装置では、センサ部と変換器の組み合わせを変える場合があるため、センサのばらつきは特に問題が大きい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、広い温度範囲にわたって安定に液面検出を行うことができるとともに、測温抵抗体のばらつきを吸収することが可能な液面検出装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1に記載の発明においては、加熱された第1の測温抵抗体と周囲温度計測用の第2の測温抵抗体の温度差に基づいて液面レベルを検出する液面検出装置において、前記第1の測温抵抗体に第1の調整用抵抗器が直列接続された第1の合成抵抗回路、及び、前記第2の測温抵抗体を有する液面検出器と、前記第1の合成抵抗回路及び前記第2の測温抵抗体に定電流を流すとともに、前記第1の合成抵抗回路に前記第2の測温抵抗体に流す電流よりも大きい定電流を流すことにより、前記第1の測温抵抗体を自己発熱させて周囲温度よりも高い温度にする定電流供給手段と、前記第2の測温抵抗体の出力電圧を入力し、前記第1の測温抵抗体が液相中にあるときにおける前記第1の合成抵抗回路の出力電圧の温度係数に一致する温度係数を有する電圧を出力するように利得が調整された増幅手段と、前記第1の合成抵抗回路の出力電圧と前記増幅手段の出力電圧との差が動作点電圧を超えるか否かを比較することにより、前記液面レベルが基準レベルよりも低いレベルにあるかあるいは高いレベルにあるかを検出する比較手段と、前記動作点電圧を調整する動作点電圧調整手段、を有し、周囲温度の広い範囲にわたって安定して液面レベルを検出することが行えるようにしたものである。
したがって、周囲温度の広い範囲にわたって安定して液面レベルの検出ができる。第1の測温抵抗体の出力電圧の出力レベルのばらつきを吸収できるから、比較手段の所定電圧のレベル設定を規格値から変更調整しなくてもすむ。
【0012】
請求項2に記載の発明においては、加熱された第1の測温抵抗体と周囲温度計測用の第2の測温抵抗体の温度差に基づいて液面レベルを検出する液面検出装置において、前記第1の測温抵抗体、及び、前記第2の測温抵抗体に並列に第2の調整用抵抗器が接続された第2の合成抵抗回路を有する液面検出器と、前記第1の測温抵抗体及び前記第2の合成抵抗回路に定電流を流すとともに、前記第1の測温抵抗体に前記第2の合成抵抗回路に流す電流よりも大きい定電流を流すことにより、前記第1の測温抵抗体を自己発熱させて周囲温度よりも高い温度にする定電流供給手段と、前記第2の合成抵抗回路の出力電圧を入力し、前記第1の測温抵抗体が液相中にあるときにおける当該第1の測温抵抗体の出力電圧の温度係数に一致する温度係数を有する電圧を出力するように利得が調整された増幅手段と、前記第1の合成抵抗回路の出力電圧と前記増幅手段の出力電圧との差が動作点電圧を超えるか否かを比較することにより、前記液面レベルが基準レベルよりも低いレベルにあるかあるいは高いレベルにあるかを検出する比較手段と、前記動作点電圧を調整する動作点電圧調整手段、を有し、周囲温度の広い範囲にわたって安定して液面レベルを検出することが行えるようにしたものである。
したがって、周囲温度の広い範囲にわたって安定して液面レベルの検出ができる。第2の測温抵抗体の温度係数のばらつきを吸収できるから、増幅手段の利得を規格値から変更調整しなくてもすむ。
【0013】
請求項3に記載の発明においては、加熱された第1の測温抵抗体と周囲温度計測用の第2の測温抵抗体の温度差に基づいて液面レベルを検出する液面検出装置において、前記第1の測温抵抗体に第1の調整用抵抗器が直列接続された第1の合成抵抗回路、及び、前記第2の測温抵抗体に並列に第2の調整用抵抗器が接続された第2の合成抵抗回路を有する液面検出器と、前記第1の合成抵抗回路及び前記第2の合成抵抗回路に定電流を流すとともに、前記第1の合成抵抗回路に前記第2の合成抵抗回路に流す電流よりも大きい定電流を流すことにより、前記第1の測温抵抗体を自己発熱させて周囲温度よりも高い温度にする定電流供給手段と、前記第2の合成抵抗回路の出力電圧を入力し、前記第1の測温抵抗体が液相中にあるときにおける前記第1の合成抵抗回路の出力電圧の温度係数に一致する温度係数を有する電圧を出力するように利得が調整された増幅手段と、前記第1の合成抵抗回路の出力電圧と前記増幅手段の出力電圧との差が動作点電圧を超えるか否かを比較することにより、前記液面レベルが基準レベルよりも低いレベルにあるかあるいは高いレベルにあるかを検出する比較手段と、前記動作点電圧を調整する動作点電圧調整手段、を有し、周囲温度の広い範囲にわたって安定して液面レベルを検出することが行えるようにしたものである。
したがって、周囲温度の広い範囲にわたって安定して液面レベルの検出ができる。第1の測温抵抗体の出力電圧の出力レベルのばらつきを吸収できるから、比較手段の所定電圧のレベル設定を規格値から変更調整しなくてもすむ。第2の測温抵抗体の温度係数のばらつきを吸収できるから、増幅手段の利得を規格値から変更調整しなくてもすむ。
【0014】
請求項4に記載の発明においては、請求項1から3までのいずれか1項に記載の液面検出装置において、前記第1の測温抵抗体及び前記第2の測温抵抗体は白金測温抵抗体である。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の液面検出装置に用いる液面検出用変換器の第1の実施の形態の回路構成図である。センサ部側の回路構成もあわせて図示している。
図中、図9,図10と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。3は第1のばらつき調整用トリマ抵抗器、6はバッファ、7はコンパレータ、8はアンプ、4,9は定電流回路、10は抵抗器、11はスイッチング部、12はリレーである。
【0017】
ホット側センサ1は、第1のばらつき調整用トリマ抵抗器3と直列に接続されて定電流回路4に接続される。第1のばらつき調整用トリマ抵抗器3と定電流回路4との接続点の電圧(VH)は、利得1のバッファ6を介し、コンパレータ7の負側入力に出力される。なお、第1のばらつき調整用トリマ抵抗器3については、図7を参照して説明する。
一方、クール側センサ2と定電流回路5との接続点の電圧(VC)は、利得(ゲイン)gのアンプ8に入力され、アンプ8の出力端子(出力電圧gVC)には、抵抗器10を介し、定電流回路9が接続され、定電流(IR)が流し込まれる。抵抗器10は、出力電圧(gVC)をシフト電圧(VR=IRR)だけレベルシフトさせるためのもので、抵抗器10(抵抗値R)と定電流回路9との接続点の電圧が、動作点電圧(VOP=gVC+IRR)として、コンパレータ7の正側入力端子に供給される。コンパレータ7の比較出力はスイッチング部11に出力され、リレー12を駆動する。
したがって、ホット側センサ1およびクール側センサ2が液相中にあるときには、コンパレータ7の出力が正電圧となり、スイッチング部11がONし、リレー12が動作して、そのスイッチが閉成する。
【0018】
図2は、図1に示した液面検出用変換器の動作を説明するための模式的な線図である。横軸はセンサ部の周囲温度であり、縦軸は各部の電圧値である。
ホット側電圧(VH)は、第1のばらつき調整用トリマ抵抗器3を無視すれば、ホット側センサ1の抵抗値(RH)と定電流値(IH)の積であり、気相中においてVHG、液相中においてVHLと表される。一方、クール側電圧(VC)は、クール側センサ2の抵抗値(RC)と定電流値(IC)の積で表される。両電圧は、周囲温度に対し、図示のような変化をする。
【0019】
図1に示した動作点電圧(VOP=gVC+IRR)は、ホット側センサ1が液相中にあるときのホット側電圧(VHL)と平行になるようにする。すなわち、動作点電圧(VOP)の周囲温度に対する傾きを、ホット側電圧(VHL)の周囲温度に対する傾きに合わせる。具体的には、アンプ8の出力電圧(gVC)の傾きが、ホット側電圧(VHL)の傾きに一致するように、アンプ8の利得gを調整する。そのために、ホット側電圧(VHL)の周囲温度特性をあらかじめ測定しておく必要がある。
動作点電圧(VOP)は、ホット側センサ1が、気相と液相の中間のどのような状態にあるときに、コンパレータ7を反転させ、リレー12を動作させるかを決める電圧である。この動作点電圧(VOP)の周囲温度に依存しないレベルシフト電圧値は、抵抗器10の抵抗値(R)または定電流源9の定電流値(IR)を変えることによって調整することができる。
【0020】
上述したように、動作点電圧(VOP)の周囲温度に対する温度係数を、ホット側電圧(VHL)の周囲温度に対する温度係数に合わせることにより、使用温度範囲が大幅に広がることになる。したがって、液相中と気相中とで熱放散定数の差が小さい場合や、ホット側センサ1の発熱量を抑えた場合に、ホット側センサ1が気相中にあるときのホット側電圧(VHG)と液相中にあるときのホット側電圧(VHL)の差が少なくなっても、使用温度範囲が狭くならず、安定した液面検出を行うことができる。
【0021】
ホット側センサ1が液相中にあるときのホット側電圧(VHL)の特性の方が、気相中にあるときのホット側電圧(VHG)よりも、比較的安定している。そのため、上述した説明のように、動作点電圧(VOP)の周囲温度に対する温度係数を、ホット側センサ1が液相中にあるときのホット側電圧(VHL)の周囲温度に対する傾きに合わせると好適である。
しかし、気相中にあるときのホット側電圧(VHG)の周囲温度に対する傾きに合わせてもよいし、両者の平均値に合わせてもよい。
【0022】
ホット側電圧(VHL,VHG)の傾きは、液体(媒質)の特性によって異なるため、動作点電圧(VOP)の周囲温度に対する傾きも、液体の特性によって調整する。
また、ホット側センサ1が液相中にあるときのホット側電圧(VHL)と気相中にあるときのホット側電圧(VHG)の電位差も、液体の特性によって異なるため、動作点電圧(VOP)のシフト量も、液体(媒質)の特性によって調整する。
【0023】
図3は、本発明の液面検出装置に用いる液面検出用変換器の第2の実施の形態の回路構成図である。図1に示した液面検出用変換器を具体化したものである。
図中、図9,図10,図1と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。ばらつき調整用トリマ3は省略した。21はセンサ部、22は液面検出用変換器である。センサ部21と液面検出用変換器22との間は、ケーブルで接続されている。
23はボルテージホロワ、24はコンパレータ、25は非反転増幅器、26は利得調整用トリマ抵抗器、27は帰還抵抗器、28は入力抵抗器、29はシフト調整用トリマ抵抗器、30は抵抗器、31はボルテージホロワ、32は入力抵抗器、33は帰還抵抗器である。
【0024】
ボルテージホロワ23は、図1のバッファ6に対応するものであり、コンパレータ24は、図1のコンパレータに対応するものであり、非反転増幅器25は、図1のアンプ8に対応するものである。ボルテージホロワ31は、レベルシフト部の出力バッファとして挿入されている。いずれも、オペアンプ(演算増幅器)を用いて実現され、周辺に接続される回路構成によって上述したように異なる機能を奏する。
利得調整用トリマ抵抗器26と抵抗器27との直列回路は、非反転増幅器25の帰還抵抗をなし、利得調整用トリマ抵抗器26の抵抗値を調整することにより、利得gを調整することができる。シフト調整用トリマ抵抗器29と抵抗器30との直列回路は、非反転増幅器25の出力のレベルシフトを行うもので、シフト調整用トリマ抵抗器29の抵抗値を調整することにより、動作点電圧(VOP)の周囲温度に依存しないレベルシフト電圧(VR)を調整する。帰還抵抗器33は、コンパレータ24の正帰還用抵抗であって、正側入力抵抗器32とともに、コンパレータ24にヒステリシス特性を与え、コンパレータ24に必要なディファレンシャルを付加する。
【0025】
図4は、本発明の液面検出装置に用いる液面検出用変換器の第3の実施の形態の回路構成図である。この実施の形態は、図1に示した液面検出用変換器を、差動アンプ43を用いて具体化したものである。
図中、図9,図10,図1と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。センサ部側は、図3と同様であり図示を省略している。41はボルテージホロワ、42は入力抵抗器、43は差動アンプ、44は帰還抵抗器、45は非反転増幅器、46は入力抵抗器、47は帰還抵抗器、48は利得調整用抵抗器、49,50は入力分圧抵抗器、51は入力抵抗器、53は帰還抵抗器、54は分圧抵抗器、55は動作点調整電圧用分圧抵抗器、56は分圧抵抗器である。
【0026】
ボルテージホロワ41は図1のバッファ6に対応し、非反転増幅器45は図1の利得gのアンプ8に対応し、差動アンプ43,52は図1のコンパレータ7に対応し、いずれも、オペアンプにより実現され、周辺に接続される回路構成によって上述したようにそれぞれ異なる機能を奏する。
差動増幅器43の利得を1とすれば、差動増幅器43の出力する差動電圧(ΔV)は、図1ないし図3の差動電圧ΔV=VH−gVC(VHは、VHGまたはVHL)に相当する。非反転増幅器45の利得gは、利得調整用抵抗器48により調整することができる。
また、差動アンプ52の負側入力の動作点電圧(VR)は、図1ないし図3の、レベルシフト電圧(VR)に対応する。
動作点電圧は、動作点電圧用分圧抵抗器55により調整することができる。帰還抵抗器53は、コンパレータの正帰還用抵抗であって、正側入力抵抗器51とともに、コンパレータ52にヒステリシス特性を与え、コンパレータに必要なディファレンシャルを付加する。
【0027】
図5は、図3,図4に示した液面検出用変換器の使用状態の第1の説明図である。横軸は容器内の液体の液排出量、縦軸は差動電圧値ΔV=VH−gVCである。
ホット側センサ1が容器内の液相中に没しているときには、差動電圧ΔVは動作点電圧(VR)よりも低い。液体が排出されて行き、ホット側センサ1が容器内の気相中に現れると、差動電圧ΔVは動作点電圧(VR)よりも高くなる。図3のコンパレータ24,図4のコンパレータ52は、差動電圧(ΔV)が動作点電圧(VR)よりも低いときにハイレベル(ON)となり、これよりも高くなるときにローレベル(OFF)となる。
【0028】
コンパレータ24,コンパレータ52は、ヒステリシス特性を有するため、厳密に言えば、液体が排出される方向の変化においては、差動電圧(ΔV)が動作点電圧(VR)よりも僅かに高い電圧で出力がローレベル(OFF)になる。一方、液体が供給される方向の変化においては、差動電圧(ΔV)が動作点電圧(VR)よりも僅かに低い電圧で出力がハイレベル(ON)になる。
このようにヒステリシス特性を持たせることにより、ホット側センサ1の高さ位置で液面が上下に微小変動する際の出力のばたつきを防止する。
【0029】
図6は、図3,図4に示した液面検出用変換器の使用状態の第2の説明図である。横軸は容器内の液体の液排出量、縦軸は差動電圧値ΔV=VH−gVCであり、種類が異なる液体A,液体Bについての差動電圧値を示すものである。
ホット側センサ1が液相中にあるときのホット側電圧VHLは、液体の特性によって変わるため、図3中の非反転増幅器25,図4中の非反転増幅器45のゲインを調整する。この段階では、まだ、図示のように、液体の種類によって差動電圧値ΔVが異なるので、動作点電圧(VR)も液体の種類に合わせて調整する必要がある。
【0030】
図7は、本発明の液面検出装置に用いる液面検出器の実施の一形態の第1の説明図である。図中、図1と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。61は第2のばらつき調整用トリマ抵抗器、62は抵抗器である。第2のばらつき調整用トリマ抵抗器61と抵抗器62とは直列接続(合成抵抗値をR1とする)され、クール側センサ2と並列接続(合成抵抗値R C ’ )されている。
【0031】
液面検出用変換器側において、差動電圧値ΔV=VH−gVCを所定の動作点電圧(VR)と比較する動作を行っているため、差動電圧値ΔVの周囲温度に対する温度係数がほぼ0であり、かつ、差動電圧値ΔVのレベルがほぼ一定値であることが理想的である。センサ部21と液面検出用変換器22とをペアにして市場に供給する場合には、センサ部21内のホット側センサ1,クール側センサ2の特性にばらつきがあっても、センサ部21の1台ごとに、液面検出用変換器22の特性を合わせ込んで理想状態に近付けることが可能である。
しかし、センサ部21と液面検出用変換器22を個別に供給する場合などには、液面検出用変換器22側のばらつきをなくすことは容易であっても、センサ部21側は、ホット側センサ1,クール側センサ2の特性のばらつきをなくすことがむずかしい。その結果、差動電圧値ΔVは、理想状態からばらつくことになる。
【0032】
これを解決する第1の方法は、液面検出用変換器22をセンサ部21の側に設けることによってセンサ部と液面検出用変換器とを一体にすることである。しかし、この場合、液面検出用変換器を動作させるための電源を供給する電源線が新たに必要となり、また、センサ部21に液面検出用変換器を収容するスペースが必要である。
第2の方法は、センサ部21の特性をそろえ、その特性を一定公差内に収めることである。この実施の形態においては、第2の方法を採用するものであって、センサ部21側に、以下のような調整機能を付加して調整を行うことができるようにした。
(a)クール側センサ2の側の第2の調整用トリマ抵抗器61を用いてクール側電圧(VC)の温度係数を調整することにより、差動電圧値ΔVの周囲温度に対する温度係数のばらつきを吸収する。
(b)ホット側センサ1の側の第1のばらつき調整用トリマ抵抗器3を用いてホット側電圧(VH)の電圧シフト量を調整することにより、差動電圧値ΔVのレベルのばらつきを吸収する。
【0033】
以下具体的に説明する。図2に示したように、ホット側電圧(VH)およびクール側電圧(VC)が、近似的に周囲温度に対する一次式で表されるとする。
クール側センサ(抵抗値RC)、第2のばらつき調整用トリマ抵抗器61、および、抵抗器62の合成抵抗(抵抗値RC’)は、次式で表される。
RC’=R1RC/(R1+RC) (1)
一方、クール側センサ2の抵抗値を次式で表す。
RC=RC0+α(t−t0) (2)
ここで、tは温度、t0は基準温度、RC0は基準温度におけるRCの値、αは、RCの温度係数であり、この場合、αは一定としている。基準温度t0を、例えば、t=0℃とすると、次式で表される。
RC=RC0+αt (3)
【0034】
上述した式(1)に式(3)を代入すると次式となる。
RC’=R1(RC0+αt)/(R1+RC0+αt) (4)
ここで、
t≪(R1+RC0)/α (5)
が満足される周囲温度の範囲において、(4)式は、次式のように近似される。
RC’≒{R1/(R1+RC0)}RC0+{R1/(R1+RC0)}2αt (6)
一方、ホット側電圧(VH)は次式で表される。
VH=(RH+R2)IH (7)
したがって、差動電圧値ΔV=VH−gVCは、次式で表される。
ΔV=(RH+R2)IH−gRC'IC (8)
【0035】
その結果、第2のばらつき調整用トリマ抵抗器61により、式(6)に示した合成抵抗値RC’内の合成抵抗値R1を調整することにより、式(8)に示した差動電圧値ΔVの周囲温度に対する温度係数のばらつきを吸収することができる。ここで、差動電圧値ΔVのレベルも変更されるが、次に、調整用トリマ抵抗器3の抵抗値R2を調整することにより、式(8)に示した差動電圧値ΔVのレベルのばらつきを吸収することができる。
【0036】
上述したような簡単な調整機能をセンサ部21に付加することで、ばらつきの小さい特性のそろったセンサ部21を製造することができ、センサ部21と液面検出用変換器とを別々に調節して供給することが可能になる。
ホット側センサ1,クール側センサ2のばらつきの程度によっては、調整用トリマ3、第2の調整用トリマ61と抵抗器62の直列回路、のいずれか一方の回路素子を省略することが可能である。図1においては、調整用トリマ3のみを用いたものを例示している。
【0037】
図8は、本発明の液面検出装置に用いる液面検出器の実施の一形態の第2の説明図である。図中、図9と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。センサ部21の取付板71には、取付板蓋側コネクタ74が取り付けられ、ここに接続ケーブル76側のケーブル側コネクタ75を取り付け、接続ケーブルのもう一方のケーブル側コネクタ77をコントローラ側コネクタ78に取り付けることにより、保護管72,73内のホット側センサ1,クール側センサ2を、コントローラ9に内蔵された液面検出用変換器に接続する。
図7を参照して説明した第1のばらつき調整用トリマ抵抗器3,第2のばらつき調整用トリマ抵抗器61、および、抵抗器62を取付板側コネクタ74内に設けることにより、調整機能付きのセンサ部21を構成することができる。受動部品を用いた調整機構であるため、特別な電源ラインを必要とせず、また、わずかな部品だけであるので、上述したように取付板側コネクタ74内に設けることができる。
【0038】
図7,図8を参照して説明した液面検出器は、図1,図3,図4に示された液面検出用変換器に用いるものであった。しかし、図10に示した従来の液面検出用変換器とともに用いても、センサ部21のばらつきが吸収されるので、図11に示したように、狭い使用温度範囲であれば、一定品質の液面レベル弁別が可能となる。
【0039】
上述した説明では、ホット側センサ1として、これに流す電流の大きさを、クール側センサに比べて大きく設定することにより自己発熱をさせていた。しかし、ホット側センサ1を別に近接して設けられた発熱体によって加熱するようにしてもよい。この場合、ホット側センサ1とクール側センサに流す電流の大きさを同じにすることもできる。
図9に示したように、ホット側センサ1とクール側センサ2の高さ位置を同じにしたセンサ部21を用いたが、クール側センサ2は、周囲温度検出を目的とするものであるので、容器内の温度分布が小さい場合には、ホット側センサ1と全く同じ高さに配置する必要はない。
演算増幅器を用いて液面検出用変換器を実現したが、センサ部の出力をA/D変換した後、ディジタル信号処理をすることにより同等の機能を有する液面検出用変換器を実現することもできる。
【0040】
【発明の効果】
上述した説明から明らかなように、本発明の液面検出装置によれば、周囲温度測定用の測温抵抗体の出力を有効に用いているため、周囲の広い温度範囲にわたり安定な動作が可能になるという効果がある。
また、本発明の液面検出装置によれば、センサのばらつきに対する独自の調整機能を備えているため、品質のそろった製品を供給することが可能になり、その結果、液面検出用変換器と液面検出器を有するセンサ部とを別個に供給することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液面検出装置に用いる液面検出用変換器の第1の実施の形態の回路構成図である。
【図2】 図1に示した液面検出用変換器の動作を説明するための模式的な線図である。
【図3】 本発明の液面検出装置に用いる液面検出用変換器の第2の実施の形態の回路構成図である。
【図4】 本発明の液面検出装置に用いる液面検出用変換器の第3の実施の形態の回路構成図である。
【図5】 図3,図4に示した液面検出用変換器の使用状態の第1の説明図である。
【図6】 図3,図4に示した液面検出用変換器の使用状態の第2の説明図である。
【図7】 本発明の液面検出装置に用いる液面検出器の実施の一形態の第1の説明図である。
【図8】 本発明の液面検出装置に用いる液面検出器の実施の一形態の第2の説明図である。
【図9】 熱式液面センサを用いた従来の液面検出器の説明図である。
【図10】 熱式液面センサを用いた従来の液面検出用変換器の説明図である。
【図11】 熱式液面センサを用いた従来の液面検出用変換器の動作を説明するための模式的な線図である。
【符号の説明】
1 ホット側センサ(第1の測温抵抗体)、2 クール側センサ(第2の測温抵抗体)、3 第1のばらつき調整用トリマ抵抗器、4,5 定電流回路、6 バッファ、7 コンパレータ、8 アンプ、9 定電流回路、10 抵抗器、11 スイッチング部、12 リレー、21 センサ部、22 液面検出用変換器
Claims (4)
- 加熱された第1の測温抵抗体と周囲温度計測用の第2の測温抵抗体の温度差に基づいて液面レベルを検出する液面検出装置において、
前記第1の測温抵抗体に第1の調整用抵抗器が直列接続された第1の合成抵抗回路、及び、前記第2の測温抵抗体を有する液面検出器と、
前記第1の合成抵抗回路及び前記第2の測温抵抗体に定電流を流すとともに、前記第1の合成抵抗回路に前記第2の測温抵抗体に流す電流よりも大きい定電流を流すことにより、前記第1の測温抵抗体を自己発熱させて周囲温度よりも高い温度にする定電流供給手段と、
前記第2の測温抵抗体の出力電圧を入力し、前記第1の測温抵抗体が液相中にあるときにおける前記第1の合成抵抗回路の出力電圧の温度係数に一致する温度係数を有する電圧を出力するように利得が調整された増幅手段と、
前記第1の合成抵抗回路の出力電圧と前記増幅手段の出力電圧との差が動作点電圧を超えるか否かを比較することにより、前記液面レベルが基準レベルよりも低いレベルにあるかあるいは高いレベルにあるかを検出する比較手段と、
前記動作点電圧を調整する動作点電圧調整手段、
を有し、周囲温度の広い範囲にわたって安定して液面レベルを検出することが行えるようにしたことを特徴とする液面検出装置。 - 加熱された第1の測温抵抗体と周囲温度計測用の第2の測温抵抗体の温度差に基づいて液面レベルを検出する液面検出装置において、
前記第1の測温抵抗体、及び、前記第2の測温抵抗体に並列に第2の調整用抵抗器が接続された第2の合成抵抗回路を有する液面検出器と、
前記第1の測温抵抗体及び前記第2の合成抵抗回路に定電流を流すとともに、前記第1の測温抵抗体に前記第2の合成抵抗回路に流す電流よりも大きい定電流を流すことにより、前記第1の測温抵抗体を自己発熱させて周囲温度よりも高い温度にする定電流供給手段と、
前記第2の合成抵抗回路の出力電圧を入力し、前記第1の測温抵抗体が液相中にあるときにおける当該第1の測温抵抗体の出力電圧の温度係数に一致する温度係数を有する電圧を出力するように利得が調整された増幅手段と、
前記第1の合成抵抗回路の出力電圧と前記増幅手段の出力電圧との差が動作点電圧を超えるか否かを比較することにより、前記液面レベルが基準レベルよりも低いレベルにあるかあるいは高いレベルにあるかを検出する比較手段と、
前記動作点電圧を調整する動作点電圧調整手段、
を有し、周囲温度の広い範囲にわたって安定して液面レベルを検出することが行えるようにしたことを特徴とする液面検出装置。 - 加熱された第1の測温抵抗体と周囲温度計測用の第2の測温抵抗体の温度差に基づいて液面レベルを検出する液面検出装置において、
前記第1の測温抵抗体に第1の調整用抵抗器が直列接続された第1の合成抵抗回路、及び、前記第2の測温抵抗体に並列に第2の調整用抵抗器が接続された第2の合成抵抗回路を有する液面検出器と、
前記第1の合成抵抗回路及び前記第2の合成抵抗回路に定電流を流すとともに、前記第1の合成抵抗回路に前記第2の合成抵抗回路に流す電流よりも大きい定電流を流すことにより、前記第1の測温抵抗体を自己発熱させて周囲温度よりも高い温度にする定電流供給手段と、
前記第2の合成抵抗回路の出力電圧を入力し、前記第1の測温抵抗体が液相中にあるときにおける前記第1の合成抵抗回路の出力電圧の温度係数に一致する温度係数を有する電圧を出力するように利得が調整された増幅手段と、
前記第1の合成抵抗回路の出力電圧と前記増幅手段の出力電圧との差が動作点電圧を超えるか否かを比較することにより、前記液面レベルが基準レベルよりも低いレベルにあるかあるいは高いレベルにあるかを検出する比較手段と、
前記動作点電圧を調整する動作点電圧調整手段、
を有し、周囲温度の広い範囲にわたって安定して液面レベルを検出することが行えるようにしたことを特徴とする液面検出装置。 - 前記第1の測温抵抗体及び前記第2の測温抵抗体は白金測温抵抗体である、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の液面検出装置。
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