JP3009809B2 - 半導体加工用液体原料収容容器における液面検出装置 - Google Patents

半導体加工用液体原料収容容器における液面検出装置

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JP3009809B2 JP5211191A JP21119193A JP3009809B2 JP 3009809 B2 JP3009809 B2 JP 3009809B2 JP 5211191 A JP5211191 A JP 5211191A JP 21119193 A JP21119193 A JP 21119193A JP 3009809 B2 JP3009809 B2 JP 3009809B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液相と気相とで熱放散定
数が異なることを利用した熱式液面センサを有する液面
検出装置に係り、特に、半導体加工等における極度の高
純度を要求する個所、例えば半導体加工用液体原料気化
装置の液体原料収容容器における液面制御に適した半導
体加工用液体原料収容容器における液面検出装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】半導体加工における化学蒸着装置に反応
ガスを供給するプロセスに液体原料気化装置がある。例
えば2酸化シリコンの蒸着であれば、テトラエチルオル
トシリケートなどの液体原料を加熱して反応ガスを生成
する。この種の気化装置の運転に際しては、液体原料及
び生成反応ガスを加熱するための温度制御とともに、上
記液体原料を気化装置に補充する操作を制御するための
液面の監視が必要である。
【0003】半導体加工プロセスでは製品半導体に極度
の高純度を要求するから、ここで用いられる液面センサ
に対しては、摩耗による微細粉塵を発生する可動部例え
ばフロートなどがないこと、取付け部の密閉構造が完全
で不純物の侵入がないこと、センサ材料との直接接触に
よる液体原料の汚染がないことなどが求められ、この要
件を満たすものとして熱式液面センサがある。
【0004】熱式液面センサは、液相と気相とで熱放散
定数が異なることを利用して液面を検出するもので、液
面の検知端として測温抵抗体を用いている。測温抵抗体
は、本来の温度計として使用する場合は、自己発熱が無
視できるように必要最小限度の電流を用いて抵抗を測定
するのであるが、熱式液面センサの検知端として使用す
る場合は、一定の加熱電流を流して動作させる。
【0005】この加熱で測温抵抗体自身は周囲の温度よ
り高温になるが、周囲温度との温度差による放熱が加熱
を相殺するような温度になって平衡する。上記温度差は
測温抵抗体が置かれている環境により支配され、液相中
では熱放散定数が大きいから温度差は小さくなり、気相
中では熱放散定数が小さいから温度差は大きくなる。す
なわち、一定の加熱電流を流している状態で測温抵抗体
の抵抗を観測することにより、測温抵抗体の位置に対し
て液面が上方にあるか下方にあるかを弁別することが出
来る。
【0006】上述液体原料気化装置に使用される熱式液
面センサの従来例の構成を図5に示す。液体原料気化装
置において液体原料を収容するステンレス製容器1の底
部にフランジ1aが設けられている。このフランジ1a
には、測温抵抗体2a,2bを入れた2個のステンレス
製保護管3を備えた取付板4が、液漏れのないようにパ
ッキング5を介して取り付けらている。上記保護管3の
一方には基準となる測温抵抗体2bを挿入し、測温抵抗
体2bは気化装置が正常運転中は常に液体原料の液面よ
り下にあるような位置に設置する。他方の保護管3には
検出部となる測温抵抗体2aを挿入し、この測温抵抗体
2aは液体原料が最低限保持すべき液面の高さになる位
置に設置する。
【0007】測温抵抗体2a,2bは図6に示すように
抵抗R1及びR2と共にブリッジ回路を構成するように
リード線2を介してブリッジ回路に接続されている。本
例では、図6に示すように測温抵抗体2a,2bは電源
Vccに対して電流制限抵抗R3を介して直列に接続さ
れ、適当な加熱電流が流れる状態で動作する。
【0008】図5において、容器1内の液体原料の液面
6が正常運転中保持すべき最低限の液面の高さ以上であ
れば、測温抵抗体2a,2bは何れも液中にあり周囲温
度に対する温度上昇が両方とも等しい。しかし液体原料
の液面6が正常液面以下に低下すると、測温抵抗体2a
が気相に露出して、周囲温度に対する温度上昇が基準測
温抵抗体2bのそれより大きくなるから、ブリッジ回路
の不平衡を比較器CPで判別することにより、液体原料
を補充する自動制御の信号または手動操作用の警報を発
することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した液体原料気化
装置の場合は、液面は沸騰状態で、また蒸着装置に反応
体ガスを供給するためのキャリヤガスを容器内で液体原
料に吹き込むから、液面付近は気液混合状態になり、液
相と気相との熱放散定数(CL ,CA )の差により液面
を検出するためには、判定基準としてのCL ,CA の差
を小さく設定しなければならない。すなわち、測温抵抗
体2a,2bの抵抗値の僅かな偏差を検出して液相と気
相との判定をしなければならない。
【0010】一方、液体原料気化装置は広い温度範囲の
条件で運転されるから、測温抵抗体の抵抗値対温度の特
性は直線とみなすことができなくなり、上記抵抗値の僅
かな偏差検出で誤り無く液相と気相との判定をすること
は困難である。
【0011】また上記測温抵抗体を収納する保護管の表
面は、液体原料またはその気化ガスと直接接触している
から、運転中に表面の性状の変化や熱絶縁性物質の付着
などが起りやすく、熱放散定数が変動して液面の判定を
誤るなどの問題があった。
【0012】よって本発明は、上述した従来の問題点に
鑑み、厳しい使用条件下で液面を正しく検出できる半導
体加工用液体原料収容容器における液面検出装置を提供
することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明により成された半導体加工用液体原料収容容器に
おける液面検出装置は、周囲温度計測に用いられる第1
の測温抵抗体と、加熱電流が流され、これによる自己発
熱で周囲温度より高温に保持される第2の測温抵抗体
と、前記第1及び第2の測温抵抗体からの信号を入力
し、これらの差に相当する電圧信号を出力する差動手段
と、該差動手段が出力する電圧信号を基準電圧と比較
し、基準電圧に対する電圧信号の大小により測温抵抗体
が気液相何れにあるかを識別する信号を出力する比較手
と、半導体加工用液体原料を収容する容器に備えら
れ、液体原料の保持すべき液面の高さになる位置に設置
されるように前記第1の測温抵抗体及び第2の測温抵抗
体がそれぞれ挿入されたステンレスパイプからなる保護
管とを備え、前記保護管の表面粗さを最大高さ0.5 μm
Ry以下となしたことを特徴としている。
【0014】
【作用】上記構成において、周囲温度計測に用いられる
第1の測温抵抗体と、加熱電流が流され、これによる自
己発熱で周囲温度より高温に保持される第2の測温抵抗
体とからの信号を入力し、差動手段がこれらの差に相当
する電圧信号を出力し、比較手段が、差動手段が出力す
る電圧信号を基準電圧と比較し、基準電圧に対する電圧
信号の大小により測温抵抗体が気液相何れにあるかを識
別する信号を出力する。従って、熱放散定数の相違によ
り液相と気相を判別する熱式液面センサの 基本原理が正
しく適用され、精密な液面制御が可能になる。また、判
別回路は周囲温度の情報を用いて測温抵抗体の抵抗値対
温度の特性の補正をするから半導体加工用液体原料の広
い温度範囲での運転条件下で安定な液面制御が可能にな
る。
【0015】また、前記第1の測温抵抗体及び第2の測
温抵抗体が、半導体加工用液体原料を収容する容器に備
えられたステンレスパイプからなる保護管にそれぞれ挿
入され、しかも液体原料の保持すべき液面の高さになる
位置に設置されるように第1の測温抵抗体及び第2の測
温抵抗体が挿入された保護管の表面粗さが最大高さ0.5
μmRy 以下となされているので、保護管の表面が非常
に滑らかで、運転中の保護管の表面の性状の変化や半導
体加工用液体原料である熱絶縁性物質の付着などがなく
なる。
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明による液面検出装置の一実施例を示
し、同図において、液体原料気化装置の液体原料を収容
するステンレス製容器1のフランジ1aには、2個の保
護管3を備えた取付板4がパッキング5を介して気密に
取り付けられる。保護管3にはそれぞれ測温抵抗体2
C,2Hが挿入され、両測温抵抗体2C,2Hは正常な
運転状態において液体原料の保持すべき液面の高さにな
る位置Lに設置される。
【0016】測温抵抗体2C,2Hからは外部回路との
接続のためのリード線2が引き出されていて、図2に示
すように、測温抵抗体2C,2Hはそれぞれ定電流回路
S1,S2を介して電源Vccから電流を供給され、定
電流回路S1,S2との接続点が差動回路10を構成す
る演算増幅器の反転入力及び非反転入力にそれぞれ接続
されている。差動回路10の出力には両入力に印加され
ている電圧の差に相当する電圧信号が出力され、これが
比較回路11において分圧抵抗R11及びR12によって発
生される基準電圧と比較され、電圧信号が基準電圧より
大きいとその出力にHレベルの信号を出力する。
【0017】本発明においては、測温抵抗体2Cには抵
抗を測定するのに必要最小限度の電流が流れるように設
定するから、自己発熱は無視できて周囲温度測定のため
の測温抵抗体として動作する。一方、測温抵抗体2Hに
は約6mAの加熱電流を流し、例えば気相中では自己加
熱により測温抵抗体2Hに約20℃に相当する抵抗を与
えるから、極小さな発熱体で測温抵抗体2Hを周囲温度
より高温に設定するから、前述熱式液面センサの測温抵
抗体として動作する。
【0018】すなわち、液体原料の液面6が正常運転中
保持すべき液面の高さ以上であれば、測温抵抗体2Hは
液相中にあって周囲温度に対する温度上昇は気相中の温
度上昇より小さい。従って、同じく液相中にある測温抵
抗体2Cから発せられる周囲温度に対応した大きさの電
圧信号との差に相当する差動回路10の出力電圧が基準
電圧より小さくなり、比較回路11の出力はLレベルに
なっている。
【0019】しかし、液体原料の液面6が上記正常液面
L以下に低下すると、測温抵抗体2Hが気相に露出し
て、周囲温度に対する温度上昇が気相中の温度上昇にな
るから、同じく気相中にある測温抵抗体2Cから発せら
れる周囲温度に対応した大きさの電圧信号との差に相当
する差動回路10の出力電圧が基準電圧より大きくな
り、差動回路11の出力はHレベルになる。この比較回
路11の出力により、液体原料を補充する自動制御が行
われると共に、手動操作用の警報などが発せられる。要
するに、測温抵抗体2Cも気相に露出していて、ガスの
温度を周囲温度信号として与えるから、熱放散定数の相
違により液相と気相を判別する熱式液面センサの基本原
理が正しく適用され、精密な液面制御が可能になる。
【0020】また、差動回路10により、周囲温度の情
報を用いて測温抵抗体の抵抗値対温度の特性の補正をす
る手段を組み込むことが出来るから、液体原料気化装置
の広い温度範囲での運転条件下で安定な液面制御が可能
になる。
【0021】本発明においては、保護管3としては、外
径3.175mmの薄肉ステンレスパイプが使用され、先
端は絞り加工または電子ビーム溶接等の方法で閉じら
れ、全表面が電解研磨等の方法で表面粗さの最大高さ0.
5 (μm)Rmax (Ry )以下に仕上げられ、これによ
り運転中の表面の性状の変化や熱絶縁性物質の付着など
が防止されるから、熱放散定数が変動して液面の判定を
誤るなどの問題が起らない。
【0022】図3は本発明による液面検出装置の他の実
施例を示し、図1の実施例との相違は取付板4は4本の
保護管を備え、各保護管3にはそれぞれ測温抵抗体2C
a,2Ha,2Cb,2Hbが挿入されている。測温抵
抗体2Ca,2Haは、正常な運転状態において液体原
料が保持すべき最下限の液面の高さになる位置Laに設
置され、測温抵抗体2Cb,2Hbは、同じく最上限の
液面の高さになる位置Lbに設置される。
【0023】本実施例においては、測温抵抗体2Ca,
2Cbには抵抗を測定するのに必要最小限度の電流を流
して本来の温度計の測温抵抗体として動作させ、測温抵
抗体2Ha,2Hbには加熱電流を流して前述熱式液面
センサの測温抵抗体として動作させる。
【0024】各測温抵抗体からは外部回路との接続のた
めのリード線2が引き出されていて、測温抵抗体2C
a,2Haは対となって、図2と同様な回路で液体原料
の下限液面を監視し、測温抵抗体2Cb,2Hbは同様
にして上限液面を監視する。適宜な論理回路を用いて上
記下限及び上限液面に関する情報を処理することによ
り、例えば液面6がLa以下であれば液体原料の補充の
開始を、液面6がLb以上であれば同上補充の停止を、
また液面6がLa,Lbの中間にあれば現在の操作状態
の保持を、それぞれ指令する自動制御の信号または手動
操作用の警報などを発生させることができる。このよう
な上下限方式の液面制御は、制御装置がCVD装置への
絶縁材などの安定的な供給を可能にし、プロセスの安定
及びCVD装置の保守に貢献する。
【0025】図4は本発明による液面検出装置の更に他
の実施例を示し、取付板4は2本の保護管を備え、第1
の保護管3Cには3個の測温抵抗体2Cc,2Cd,2
Ceが、第2の保護管3Hには3個の測温抵抗体2H
c,2Hd,2Heが、それぞれの間に断熱材7を挟ん
で挿入される。測温抵抗体2Cc,2Hcは何れもレベ
ルLcの位置に置かれて、対となって図2と同様な回路
でレベルLcにおける液面を監視し、以下2Cd,2H
dがレベルLd、2Ce,2HeがレベルLeの各液面
をそれぞれ監視する。
【0026】上記各レベルは、例えばLc,Leをそれ
ぞれ液体原料液面の下限と上限、Ldを中間の液面に割
り付けて、適宜な液面制御を構成することができる。こ
のような多レベル制御は液面のより精密な制御に適し、
またプロセス及び装置の安全のための警報や緊急処置の
機能を付加することが容易になる。また、本実施例にお
いては、単に2本の保護管の設置で済むから、装置が簡
略で小型化に寄与する。
【0027】なお、上記測温抵抗体は、白金等の金属の
細線又は薄膜から構成されるものの外、サーミスタ等の
感温半導体であってもよい。また、図2の回路は単に1
例であって、この他リレー等を含むワイヤードロジッ
ク、関数発生回路を含むアナログ演算回路、マイクロチ
ップを含む論理演算回路等であってもよい。更にまた、
パッキング5は弾性材料のOリングに限らず、メタリッ
クシール等であってもよい。また、図示実施例では、フ
ランジ1aが容器1の上部に描かれているが、これに限
定されるものではなく、例えばフランジ1aが容器1の
底部にあってもよい。
【0028】また、保護管の表面が非常に滑らかである
から、運転中の表面の性状の変化や熱絶縁性物質の付着
などがなく、熱放散定数の変動が防止される。よって、
厳しい使用条件の下で液面を正しく検出する液位センサ
を提供することが出来る。
【0029】更に、気化装置の運転に際しては上述液位
の監視制御のみならず温度制御が必要であるが、本発明
液位センサに含まれる周囲温度用の測温抵抗体を兼用で
きるから、全体として装置が簡略化出来る。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、熱
式液面センサの基本原理が正しく適用され、半導体加工
用原料の広い温度範囲の条件であっても液相と気相との
熱放散定数の僅かな偏差を正しく検出する。また、第1
の測温抵抗体及び第2の測温抵抗体それぞれ挿入される
ステンレスパイプからなる保護管の表面粗さが最大高さ
0.5 μmRy 以下と、保護管の表面が非常に滑らかにさ
れ、運転中の保護管の表面の性状の変化や半導体加工用
液体原料である熱絶縁性物質の付着などがなくされてい
るので、熱放散定数の変動が防止される。よって、厳し
い使用条件の下で液面を正しく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液面検出装置の一実施例を示し、
(a)は測温抵抗体の配置を示す平面図、(b)はXX
矢印方向の断面図である。
【図2】本発明による液面検出装置の電気接続の例を示
す回路図である。
【図3】本発明による液面検出装置の他の実施例を示
し、(a)は測温抵抗体の配置を示す平面図、(b)は
YY矢印方向の断面図である。
【図4】本発明による液面検出装置の更に他の実施例を
示し、(a)は測温抵抗体の配置を示す平面図、(b)
はZZ矢印方向の断面図である。
【図5】従来の液面検出装置の構成例を示す断面図であ
る。
【図6】従来の液面検出装置の測温抵抗体の接続の例を
示す回路図である。
【符号の説明】
1 容器 2C,2H 測温抵抗体 3 保護管 6 液面 10 差動回路(差動手段) 11 比較回路(比較手段)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周囲温度計測に用いられる第1の測温抵
    抗体と、 加熱電流が流され、これによる自己発熱で周囲温度より
    高温に保持される第2の測温抵抗体と、 前記第1及び第2の測温抵抗体からの信号を入力し、こ
    れらの差に相当する電圧信号を出力する差動手段と、 該差動手段が出力する電圧信号を基準電圧と比較し、基
    準電圧に対する電圧信号の大小により測温抵抗体が気液
    相何れにあるかを識別する信号を出力する比較手段と、 半導体加工用液体原料を収容する容器に備えられ、液体
    原料の保持すべき液面の高さになる位置に設置されるよ
    うに前記第1の測温抵抗体及び第2の測温抵抗体がそれ
    ぞれ挿入されたステンレスパイプからなる保護管とを備
    え、 前記保護管の表面粗さを最大高さ0.5 μmRy 以下とな
    した ことを特徴とする半導体加工用液体原料収容容器に
    おける液面検出装置。
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