JP3868686B2 - ディフェクトの発生を抑えたホトレジストパターンの形成方法およびディフェクト低減用現像液 - Google Patents

ディフェクトの発生を抑えたホトレジストパターンの形成方法およびディフェクト低減用現像液 Download PDF

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  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホトリソグラフィーにおいて、現像処理後に基板上に現出するディフェクト(パターン欠陥)の発生を抑えたホトレジストパターンの形成方法およびディフェクト低減用現像液に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス、液晶デバイス等の電子部品の製造においては、基板にエッチングや拡散処理を施すに際し、この基板を選択的に保護する目的で、紫外線、遠紫外線、エキシマレーザー、X線、電子線等の活性放射線に感応するいわゆる感放射線ホトレジストを用いて基板上に被膜(ホトレジスト層)を設け、次いでこれを選択的に照射して露光し、現像処理を行って、ホトレジスト層を選択的に溶解除去して基板上に画像パターン(ホトレジストパターン)を形成し、これを保護層とするホトリソグラフィー技術が用いられている。近年、環境安全等の面から、感放射線ホトレジストの現像液としてアルカリ水溶液が一般に使用されている。
【0003】
これら電子部品の製造にあっては、現像液として金属イオンを含むアルカリ水溶液を用いると、得られるデバイス特性に悪影響を及ぼすため、通常、金属イオンを含まない現像液、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(=TMAH)(“IBM Technical Disclosure Bulletin”、第13巻、第7号、第2009頁、1970年)や(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(=コリン)(米国特許第4239661号)等の第4級アンモニウム水酸化物水溶液などが用いられている。これら金属イオンを含まないアルカリ水溶液からなるホトレジスト用現像液は、有機溶媒からなる他のホトレジスト用現像液に比べて保管や廃液処理が簡単で、しかも引火性がなく特殊な安全対策を必要としないことなどから汎用性が高い。最近ではこれら金属イオンを含まないアルカリ水溶液、あるいはこれに種々の界面活性剤、例えばアセチレンアルコール系界面活性剤、アルキレングリコール系活性剤等を配合した現像液が多用されている。
【0004】
ホトレジストとしては、活性光線未照射部が現像時に溶解除去されるネガ型のものと、逆に活性光線照射部が現像時に溶解除去されるポジ型のものが、使用目的に合わせて適宜選択され使用されている。半導体素子の集積度向上に伴い、半導体素子製造装置も微細加工に適したものが研究、開発されており、例えば活性光線の露光装置も、g線、i線、エキシマレーザー等の短波長を用いた露光装置が近年多く利用されている。特に最近では、半導体集積回路の超微細化に伴い、形成されるパターン線幅も0.25μm程度あるいはそれ以下のものが要求されるようになり、用いられるホトレジスト組成物も、g線、i線対応のものから、DeepUV対応の化学増幅型ホトレジスト組成物へとその主流が移行しつつある。
【0005】
このようにパターン幅0.25μm以下のサイズを少なくともその一部に有する超微細なホトレジストパターン形成において、パターン形成時に基板上に現出するディフェクトと呼ばれるパターン欠陥がクローズアップされてきた。
【0006】
一般にパターン欠陥と総称されるディフェクトには、例えばコンタミネーション、ピンホール、スクラッチ、残渣物付着、剥がれ、等々が挙げられ、その種類も多種多様で、発生原因もそれぞれ必ずしも明確でない(Larry F. Thompson et al., "Introduction to Microlithography", 2nd ed., pp. 292-297, American Chemical Society, 1994)。
【0007】
このような種々のパターン欠陥の中でも、特に、パターン線幅が0.25μm以下のサイズを少なくともその一部に有する超微細なパターン形成において、デバイス製造上、スループットの低下など多大な不具合を生じるものとして問題となっているのが、パターン形成時に基板上に現出する約0.1〜5μm大の滴下模様状の不純物である。この滴下模様状の不純物の発生は、現像液および現像方法等の現像条件との相関関係があるとされ、また、用いるホトレジストの特性によってもその発生が左右されるといわれているが、その発生原因はいまだ定かでない。
【0008】
従来、現像工程においては、現像液に溶解しないホトレジスト残渣をスカム等と称し、これらスカムの完全な溶解除去を目的とした現像液および現像方法の開発が望まれていた。ところが現在の超微細化したホトリソグラフィープロセスにおいては、スカム等の問題はある程度解決できているものの、上述の発生原因不明のディフェクト(滴下模様状の不純物)の抑制についての技術的解決策は講じられていなかった。
【0009】
したがって、近年の超微細パターン化の進展に伴い、該ディフェクトの発生を防止することが急務とされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、特に、パターン線幅が0.25μm以下のサイズを少なくともその一部に有する超微細なホトレジストパターン形成において、パターン形成時に基板上に発生するディフェクトの発生を有効に抑制し得るパターン形成方法および現像液を提供することにある。
【0011】
なお、本発明において「ディフェクトの低減」とは、パターン形成時に基板上に現出する上述した滴下模様状の不純物の低減を意味する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ホトリソグラフィーの現像工程において、現像工程を通して現像液の表面張力値を一定値の範囲内に維持して現像処理を行うことによって、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は、基板上に設けたホトレジスト層を選択的に露光後、現像液を用いてホトレジスト層を選択的に溶解除去してホトレジストパターンを形成する方法において、形成されるホトレジストパターンが、少なくともその一部に0.25μm以下のパターン線幅を有するものであり、上記現像液として、金属イオンを含まない有機塩基と、炭素数5〜7のアルキレングリコール・エチレンオキシド(EO)付加物(EO1〜3モル付加)、炭素数5〜7のアルキレングリコール・プロピレンオキシド(PO)付加物(PO1〜3モル付加)および炭素数5〜7のアルキレングリコール・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物(EO1〜3モル付加、PO1〜3モル付加)の中から選ばれる少なくとも1種のノニオン性界面活性剤を主成分として含み、その表面張力初期値が57.0〜63.0mN/m(20℃)である現像液を用い、かつ、1乃至複数枚の基板上に設けられたホトレジスト層に対する現像液接触開始から接触終了までの現像全工程を通して、現像液の表面張力値を57.0〜63.0mN/m(20℃)に維持して現像することを特徴とする、ディフェクトの発生を抑えたホトレジストパターンの形成方法に関する。
【0014】
また本発明は、ホトリソグラフィーの現像工程において用いられる現像液であって、該現像液が、金属イオンを含まない有機塩基を1〜5重量%、炭素数5〜7のアルキレングリコール・エチレンオキシド(EO)付加物(EO1〜3モル付加)、炭素数5〜7のアルキレングリコール・プロピレンオキシド(PO)付加物(PO1〜3モル付加)および炭素数5〜7のアルキレングリコール・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物(EO1〜3モル付加、PO1〜3モル付加)の中から選ばれる少なくとも1種のノニオン性界面活性剤を100〜1500ppm含有し、その表面張力初期値が57.0〜63.0mN/m(20℃)である、ディフェクト低減用現像液に関する。
【0015】
なお本発明において、「現像液の表面張力初期値」とは、現像液調製後であって、現像処理に供する前の、現像液のもつ表面張力値(20℃、常圧、滴重法)をいう。
【0016】
また本発明において、「現像液の表面張力値」とは、現像工程中における現像液の系が示す表面張力値(20℃、常圧、滴重法)を意味する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0018】
本発明のパターン形成方法は、形成されるホトレジストパターンが、少なくともその一部に0.25μm以下のパターン線幅を有するものであり、基板上に設けたホトレジスト層を選択的に露光後、現像液に接触させて現像するに際し、金属イオンを含まない有機塩基と、炭素数5〜7のアルキレングリコール・エチレンオキシド(EO)付加物(EO1〜3モル付加)、炭素数5〜7のアルキレングリコール・プロピレンオキシド(PO)付加物(PO1〜3モル付加)および炭素数5〜7のアルキレングリコール・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物(EO1〜3モル付加、PO1〜3モル付加)の中から選ばれる少なくとも1種のノニオン性界面活性剤を主成分として含み、その表面張力初期値が57.0〜63.0mN/m(20℃)である現像液を用い、かつ、1乃至複数枚の基板上に設けられたホトレジスト層に対する現像液接触開始から接触終了までの現像全工程を通して、現像液の表面張力値を57.0〜63.0mN/m(20℃)に維持して現像することを特徴とする。
【0019】
基板としては、ITO膜等の透明導電膜が設けられたガラス基板、銅配線パターンが被覆されたガラス−エポキシ樹脂積層板など、その使用目的に応じて任意に公知のものを用いることができる。
【0020】
ホトレジスト層の形成は、ホトレジスト組成物を溶剤に溶解した溶液をスピンナー等を用いて基板上に塗布、乾燥させること等によって行う。
【0021】
ホトレジスト組成物については、通常使用されているものの中から任意に選ぶことができ、ポジ型、ネガ型のいずれのものも任意に使用することができるが、アルカリ水溶液により現像できるものが好適に用いられる。このようなホトレジストとしては、(i)ナフトキノンジアジド化合物とノボラック樹脂を含有するポジ型ホトレジスト、(ii)露光により酸を発生する化合物、酸により分解しアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する化合物およびアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型ホトレジスト、(iii)露光により酸を発生する化合物、酸により分解しアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する基を有するアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型ホトレジスト、および(iv)光により酸を発生する化合物、架橋剤およびアルカリ可溶性樹脂を含有するネガ型ホトレジスト等が挙げられる。
【0022】
特に有利なホトレジスト組成物は、最近の超微細加工に十分適応し得る諸要求特性を備えたポジ型およびネガ型ホトレジスト組成物であり、本発明では特に、0.25μmあるいはそれ以下の超微細パターン形成が可能な化学増幅型のポジ型、ネガ型ホトレジスト組成物が好ましく用いられる。
【0023】
化学増幅型ホトレジスト組成物としては、光等の活性エネルギー線により酸を発生するいわゆる酸発生剤を用いるものが代表的なものとして挙げられる。例えば、ネガ型の化学増幅型ホトレジスト組成物は、通常、ベースポリマー、光酸発生剤、架橋剤の3成分系のものが用いられる。そして、ホトレジスト露光時、その露光部において、光照射により発生した酸が架橋反応を起させ、現像液に対する溶解性を低下させるよう作用する。一方、ポジ型の化学増幅型ホトレジスト組成物は、通常、溶解抑止機能をもつ保護基でブロックされた部位をもつベースポリマーと光酸発生剤を含む2成分系のものと、ベースポリマー、酸発生剤、溶解抑止剤の3成分系のものとがある。そして、ホトレジスト露光時、その露光部において、光照射により発生した酸がポリマーの保護基を外して現像液に対する溶解性を高めるように作用する。
【0024】
次いで、所定のマスクパターンを介して、活性光線によりホトレジスト層を選択的に露光する。露光に用いる活性エネルギー線としては、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、電子線、X線等の活性エネルギー線が好適である。
【0025】
露光後、現像液を用いて浸漬法、スプレー法、パドル法等により現像を行い、ホトレジスト層を選択的に溶解除去する。
【0026】
本発明のパターン形成方法では、現像液として、金属イオンを含まない有機塩基とノニオン性界面活性剤を主成分として含むものを用いる。
【0027】
金属イオンを含まない有機塩基としては、アルカリ可溶性のホトレジストの現像液として慣用的に用いられているものをそのまま用いることができる。このようなものとしては、置換基に直鎖状、分岐状もしくは環状の第一級、第二級、または第三級アミンを含むアリールアミン、アルキレンアミン(具体的には、例えば4,4’−ジアミノジフェニルアミンなどのアリールアミン、1,3−ジアミノプロパンなどのアルキレンジアミン、N,N’−ジアミノジアルキルアミンなどのアルキルアミン)や、環骨格に3〜5個の炭素原子と窒素、酸素およびイオウの中から選ばれたヘテロ原子1〜2個とを有する複素環式塩基(具体的には、例えばピロール、ピロリジン、ピロリドン、ピリジン、モルホリン、ピラジン、ピペリジン、オキサゾール、チアゾールなど)等が例示的に挙げられる。また、低級アルキル第4級アンモニウム塩基も用いられ、具体的にはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(=TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(=コリン)、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウムヒドロキシド、(1−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド等が例示される。これらの中では低級第4級アンモニウム塩基が好ましく、中でもTMAH、コリン等が特に好適に用いられる。
【0028】
これら金属イオンを含まない有機塩基は、単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
該金属イオンを含まない有機塩基の濃度は、使用する有機塩基の種類や現像するホトレジストによって多少異なるが、2〜3重量%程度が好ましい。
【0030】
ホトレジスト用現像液には、さらにノニオン性界面活性剤が配合される。本発明において、ノニオン性界面活性剤は、ホトレジスト用現像液に用いられ得るものであれば任意に使用し得るが、エチレンオキシド化合物、プロピレンオキシド化合物およびエチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物の中から選ばれる少なくとも1種が特に好ましく用いられる。
【0031】
エチレンオキシド化合物としては、炭素数1〜22個の直鎖状、分岐状または環状のアルコール、アルキルフェノールとエチレンオキシド、ポリエチレンオキシドの付加物、またはポリエチレングルコール等が挙げられ、特に、炭素数1〜8個のアルコールとエチレンオキシド、ポリエチレンオキシドの付加物、ポリエチレングリコール等が好適に用いられる。ここで炭素数1〜8個のアルコールとしては、直鎖状、分岐状または環状の1価または2価のアルコール等が挙げられ、これらのアルコールは、低級アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、アセチレンアルコール、ヘキシレングリコール、3−メチル−3−メトキシブチルアルコール等が挙げられ、中でもメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール、ヘキシレングリコール、3−メチル−3−メトキシブチルアルコールが好適に用いられる。
【0032】
エチレンオキシド化合物の好適な具体例としては、ポリエチレングリコールの一方の分子末端(片末端)がメトキシ基のもの(=ポリオキシエチレンメチルエーテル)、ポリエチレングリコールの片末端がエトキシ基のもの(=ポリオキシエチレンエチルエーテル)、ポリエチレングリコールの片末端がプロポキシ基のもの(=ポリオキシエチレンプロピルエーテル)、ポリエチレングリコールの片末端がブトキシ基のもの(=ポリオキシエチレンブチルエーテル)、ヘキシレングリコール・エチレンオキシド付加物〔あるいは(2−メチル)ペンチレングリコール・エチレンオキシド付加物)〕、3−メチル−3−メトキシブタノール・エチレンオキシド付加物等が挙げられる。本発明では炭素数5〜7のアルキレングリコール・エチレンオキシド付加物(EO1〜3モル付加)が用いられる。
【0033】
プロピレンオキシド化合物としては、炭素数1〜22個の直鎖状、分岐状または環状のアルコール、アルキルフェノール、アルキルナフトールとプロピレンオキシド、ポリプロピレンオキシドの付加物等が挙げられ、特に炭素数1〜8個のアルコールとプロピレンオキシド、ポリプロピレンオキシドの付加物等が好適に用いられる。ここで炭素数1〜8個のアルコールとしては、直鎖状、分岐状または環状の1価または2価のアルコール等が挙げられ、これらのアルコールは、低級アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、アセチレンアルコール、ヘキシレングリコール、3−メチル−3−メトキシブチルアルコール等が挙げられ、中でもメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール、ヘキシレングリコール、3−メチル−3−メトキシブチルアルコール等が好適に用いられる。
【0034】
プロピレンオキシド化合物の好適な具体例としては、ポリプロピレングリコールの片末端がメトキシ基のもの(=ポリオキシプロピレンメチルエーテル)、ポリプロピレングリコールの片末端がエトキシ基のもの(=ポリオキシプロピレンエチルエーテル)、ポリプロピレングリコールの片末端がプロポキシ基のもの(=ポリオキシプロピレンプロピルエーテル)、ポリプロピレングリコールの片末端がブトキシ基のもの(=ポリオキシプロピレンブチルエーテル)、ヘキシレングリコール・プロピレンオキシド付加物〔あるいは(2−メチル)ペンチレングリコール・プロピレンオキシド付加物)〕、3−メチル−3−メトキシブタノール・プロピレンオキシド付加物等が挙げられる。本発明では炭素数5〜7のアルキレングリコール・プロピレンオキシド付加物(PO1〜3モル付加)が用いられる。
【0035】
エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの他に、炭素数1〜22個の直鎖状、分岐状または環状のアルコールにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを付加重合させたポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられ、中でも炭素数1〜8個のアルコールとエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの付加物が好適に用いられる。ここで炭素数1〜8個のアルコールとしては直鎖状、分岐状または環状の1価または2価のアルコール等が挙げられ、これらのアルコールは、低級アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、アセチレンアルコール、ヘキシレングリコール、3−メチル−3−メトキシブチルアルコール等が挙げられ、中でもヘキシレングリコール、3−メチル−3−メトキシブチルアルコールが好適に用いられる。
【0036】
エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物の好適な具体例としては、ヘキシレングリコール・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物〔あるいは(2−メチル)ペンチレングリコール・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物)〕、3−メチル−3−メトキシブタノール・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物等が挙げられる。本発明では炭素数5〜7のアルキレングリコール・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物(EO1〜3モル付加、PO1〜3モル付加)が用いられる。
【0037】
上述の化合物はさらに、重量平均分子量が100〜500であることが好ましく、より好ましくは100〜400である。重量平均分子量が100未満では現像液としての低起泡性、消泡性、均一な濡れ性、マスクパターンに忠実なホトレジストパターンの形成性に劣る傾向がみられ、一方、500を超えるものでは品質安定性、取り扱い性、品質管理性が悪くなる傾向がみられる。
【0038】
なお、本発明では、エチレンオキシド化合物、プロピレンオキシド化合物、エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物から選ばれる2種以上を同時に併用してもよく、その場合には2種以上の添加物の総和重量平均分子量が上記範囲を満たすように調整するのが好ましい。
【0039】
上記化合物の中でも特に、ポリエチレングリコールの重量平均分子量が100〜500のもの、ポリエチレングリコールの片末端がメトキシ基で重量平均分子量が100〜500のもの、ポリエチレングリコールの片末端がエトキシ基で重量平均分子量が100〜500のもの、ポリエチレングリコールの片末端がブトキシ基で重量平均分子量が100〜500のもの、ヘキシレングリコール〔あるいは(2−メチル)ペンチレングリコール〕・エチレンオキシド付加物(EO1〜3モル付加)、ヘキシレングリコール〔あるいは(2−メチル)ペンチレングリコール〕・プロピレンオキシド付加物(PO1〜3モル付加)、ヘキシレングリコール〔あるいは(2−メチル)ペンチレングリコール〕・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物(EO1〜3モル付加、PO1〜3モル付加)、3−メチル−3−メトキシブタノール・エチレンオキシド付加物、3−メチル−3−メトキシブタノール・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物等が、現像処理を行った際に低起泡性で、さらに消泡性にも優れているので好ましい。なお、ヘキシレングリコール・エチレンオキシド付加物、ヘキシレングリコール・プロピレンオキシド付加物、ヘキシレングリコール・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物等は、「ネオクレール」シリーズ(竹本油脂(株)製)として市販されており、商業的に入手可能である。本発明においてノニオン性界面活性剤としては、例えば下記式(I)で示されるヘキシレングリコール・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物や、下記(II)で示されるヘキシレングリコール・プロピレンオキシド付加物等を好ましく用いることができる。
【0040】
【化3】
Figure 0003868686
【0041】
【化4】
Figure 0003868686
【0042】
これら界面活性剤の配合量は、ホトレジスト用現像液の濃度に応じて、当業者において適宜決められるが、一般には、現像液中に好ましくは100〜15000ppmの割合で配合される。
【0043】
本発明のパターン形成方法では、該現像処理において、現像液の表面張力値を、現像液接触の開始から終了までの現像全工程を通して、57.0〜63.0mN/mに維持して現像する必要がある。またその表面張力初期値が57.0〜63.0mN/mの現像液を用いる。このように現像処理全工程を通して、現像液の表面張力を上記範囲に維持することにより、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー等の短波長光線を露光光として用いたパターン形成方法、特に0.25μmあるいはそれ以下の超微細パターン形成において、従来、現像工程後に基板上に発生していたディフェクトの発生を顕著に低減化することに成功した。
【0044】
このような現像液としては、具体的には、金属イオンを含まない有機塩基を1〜5重量%、本発明に用いられる上記特定のノニオン性界面活性剤を100〜1500ppm含有し、その表面張力初期値が57.0〜63.0mN/mであり、現像工程中の表面張力が57.0〜63.0mN/mを維持するよう調製された、本発明ディフェクト低減用現像液が最も好ましい例として挙げられる。
【0045】
このような現像液としては、具体的には、金属イオンを含まない有機塩基を1〜5重量%、ノニオン性界面活性剤を100〜1500ppm含有し、その表面張力初期値が45.0〜65.0mN/m、好ましくは47.5〜63.0mN/m、特に好ましくは57.0〜63.0mN/mであり、現像工程中の表面張力が45.0〜65.0mN/m、好ましくは47.5〜63.0mN/m、特に好ましくは57.0〜63.0mN/mを維持するよう調製された、本発明ディフェクト低減用現像液が最も好ましい例として挙げられる。
【0046】
ここで、上記金属イオンを含まない有機塩基、ノニオン性界面活性剤は、それぞれ上記本発明パターン形成方法において説明した各化合物が好ましく用いられる。また好適化合物も、上記本発明パターン形成方法において説明した各化合物が用いられる。本発明現像液では、特に、金属イオンを含まない有機塩基として最も好ましくはTMAH、コリンが用いられる。またノニオン性界面活性剤として最も好ましくはへキシレングリコール〔あるいは(2−メチル)ペンチレングリコール〕・プロピレンオキシド付加物とヘキシレングリコール〔あるいは(2−メチル)ペンチレングリコール〕・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物の混合物が用いられる。へキシレングリコール・プロピレンオキシド付加物とヘキシレングリコール・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物の混合物は、1:9〜9:1(重量比)が好ましい。
【0047】
なお、現像工程中、ホトレジスト層の選択的溶解除去部の重量変化量0.050gに対して現像液の表面張力の平均変化量を+7.5〜−7.5mN/mに維持して現像するのが好ましい。
【0048】
本発明では、ホトレジスト層を形成した基板を、複数枚、例えば数十枚程度を順次、現像液に接触させて現像した場合や、現像液を循環使用した場合等のいずれにおいても、その現像工程を通して常に、現像液の表面張力値を上記範囲に維持して現像する。
【0049】
本発明で適用される上記現像処理により、ホトレジスト層の未露光部分(ポジ型)あるいは露光部分(ネガ型)が選択的に溶解除去されて、マスクパターンに忠実で、かつディフェクトの発生を抑制したホトレジストパターンを得ることができる。
【0050】
得られたホトレジストパターンは、100〜200℃の範囲で数十分〜数時間放置することによってポストベーク処理を行ってもよい。
【0051】
次いで、基板表面に付着したアルカリ成分を除去するために、イソプロピルアルコール等によりリンス処理を行う。
【0052】
本発明によれば、現像−リンス処理後に従来発現していたディフェクトを格段に抑制することができた。
【0053】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。
【0054】
なお、以下の実施例において、現像液の表面張力値、表面張力初期値は、20℃、常圧での表面張力測定装置「TVT−1」(ラウダ社製)を用いて測定した値(滴重法)を示す。
【0055】
(実施例1)
2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に、界面活性剤として(2−メチル)ペンチレングリコール・エチレンオキシド(1モル)・プロピレンオキシド(2モル)付加物と(2−メチル)ペンチレングリコール・プロピレンオキシド(1モル)付加物の混合物300ppm(重量比2:1)を溶解し現像液を調製した。
【0056】
次に、化学増幅型ポジ型ホトレジストである、TDUR−P017(東京応化工業(株)製)を20枚の8インチシリコンウェーハ上にそれぞれ塗布し、80℃にて90秒間プリベークを施し、ホトレジスト層を形成した。
【0057】
これらウェーハをNSR−2005EX8A(ニコン(株)製)を用いて露光し、ホットプレート上で110℃にて90秒間ポストエクスポージャベークを行い、さらに上記調製済み現像液5.0×10-43(500cc)が満たされた容器に、順次上記ウェーハを23℃にて60秒間浸漬することによるディップ法により現像処理した。
【0058】
この時の第1枚目のウェーハ上のディフェクトの発生状況をKLA(KLAテンコール社製)により観察し、カウントした。得られた基板面内のディフェクトカウント数を表1に示す。
【0059】
また調製直後の現像液の表面張力初期値を測定し、さらにホトレジストの膜厚と現像(露光)面積の値から溶解部のホトレジスト重量を計算し、その重量が0.1gとなった時点(ウェーハ11枚目)の表面張力を測定した。この時の表面張力値を表1に示す。
【0060】
(比較例1)
実施例1の現像液として、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に、界面活性剤としてアセチレンアルコール・アルキレンオキシド付加物である「アセチレノールEH」と「アセチレノールEL」の混合物(重量比7:3)(川研ファインケミカル(株))を300ppm(重量比)を溶解した溶液を用いた以外は、実施例1と同様の操作で評価を行った。また実施例1の場合と同様にして、ディフェクトのカウント数を調べ、表面張力初期値を測定した。結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
Figure 0003868686
【0062】
また、20枚のウェーハの現像終了後の現像液の表面張力値は、表1に示すように、実施例1では59.2mN/m、比較例1では42.2mN/mであった。
【0063】
なお、実施例1において、ホトレジスト層の選択的溶解除去部の重量変化量0.050gに対する表面張力値の平均変化量は−0.92mN/mであった。
【0064】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、極微細パターン、特には0.25μm以下程度の超極微細パターンの形成において、従来、デバイス製造においてスループット低減化の原因となっていた、パターン形成時に基板上に現出するディフェクト(パターン欠陥)を顕著に抑制することのできるパターン形成方法および現像液が提供される。本発明をホトリソグラフィー技術に適用することにより、特に近年の半導体素子製造分野における加工寸法の超微細化に十分対応でき、従来のパターン形成方法、現像液では十分な効果が得られなかった0.25μm以下のパターン幅を少なくともその一部に有する超微細パターンの形成においても、ディフェクトの発生抑制が可能となった。

Claims (7)

  1. 基板上に設けたホトレジスト層を選択的に露光後、現像液を用いてホトレジスト層を選択的に溶解除去してホトレジストパターンを形成する方法において、
    形成されるホトレジストパターンが、少なくともその一部に0.25μm以下のパターン線幅を有するものであり、
    上記現像液として、金属イオンを含まない有機塩基と、炭素数5〜7のアルキレングリコール・エチレンオキシド(EO)付加物(EO1〜3モル付加)、炭素数5〜7のアルキレングリコール・プロピレンオキシド(PO)付加物(PO1〜3モル付加)および炭素数5〜7のアルキレングリコール・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物(EO1〜3モル付加、PO1〜3モル付加)の中から選ばれる少なくとも1種のノニオン性界面活性剤を主成分として含み、その表面張力初期値が57.0〜63.0mN/m(20℃)である現像液を用い、かつ、1乃至複数枚の基板上に設けられたホトレジスト層に対する現像液接触開始から接触終了までの現像全工程を通して、現像液の表面張力値を57.0〜63.0mN/m(20℃)に維持して現像することを特徴とする、ディフェクトの発生を抑えたホトレジストパターンの形成方法。
  2. ノニオン性界面活性剤の重量平均分子量が100〜500である、請求項1記載のホトレジストパターン形成方法。
  3. ノニオン性界面活性剤が、炭素数5〜7のアルキレングリコール・プロピレンオキシド付加物(PO1〜3モル付加)と、炭素数5〜7のアルキレングリコール・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物(EO1〜3モル付加、PO1〜3モル付加)の混合物である、請求項1または2記載のホトレジストパターン形成方法。
  4. ノニオン性界面活性剤が、下記式(I)、(II)で表される化合物の混合物である、請求項記載のホトレジストパターン形成方法。
    Figure 0003868686
    Figure 0003868686
  5. 金属イオンを含まない有機塩基が、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシドのうちの少なくとも1種である、請求項1〜のいずれか1項に記載のホトレジストパターン形成方法。
  6. ホトリソグラフィーの現像工程において用いられる現像液であって、該現像液が、金属イオンを含まない有機塩基を1〜5重量%、炭素数5〜7のアルキレングリコール・エチレンオキシド(EO)付加物(EO1〜3モル付加)、炭素数5〜7のアルキレングリコール・プロピレンオキシド(PO)付加物(PO1〜3モル付加)および炭素数5〜7のアルキレングリコール・エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物(EO1〜3モル付加、PO1〜3モル付加)の中から選ばれる少なくとも1種のノニオン性界面活性剤を100〜1500ppm含有し、その表面張力初期値が57.0〜63.0mN/m(20℃)である、ディフェクト低減用現像液。
  7. 上記現像液が、現像工程中におけるその表面張力値が57.0〜63.0mN/m(20℃)を保持するよう調製された、請求項記載のディフェクト低減用現像液。
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