JP3976160B2 - アッシング後の処理液およびこれを用いた処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアッシング後の処理液およびこれを用いた処理方法に関する。さらに詳しくは、基板上に設けられたホトレジストパターンをマスクとしてドライエッチング、続いてアッシングが施された基板の処理に優れる処理液およびこれを用いた処理方法に関する。本発明はICやLSI等の半導体素子あるいは液晶パネル素子の製造に好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】
ICやLSI等の半導体素子や液晶パネル素子は、基板上にCVD蒸着された金属層やSiO2層等の絶縁層上にホトレジストを均一に塗布し、これを選択的に露光、現像処理をしてホトレジストパターンを形成し、このパターンをマスクとして上記CVD蒸着された金属層、SiO2層等の絶縁層や、低温ポリシリコン膜、アモルファスシリコン膜等の半導体層が形成された基板を選択的にエッチングし、微細回路を形成した後、不要のホトレジスト層を除去して製造される。
【0003】
ここで上記CVD蒸着された金属層としては、アルミニウム(Al);アルミニウム−ケイ素(Al−Si)、アルミニウム−銅(Al−Cu)、アルミニウム−ケイ素−銅(Al−Si−Cu)等のアルミニウム合金(Al合金);チタン(Ti);チタンナイトライド(TiN)、チタンタングステン(TiW)等のチタン合金(Ti合金);タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、銅(Cu)、コバルトシリサイド(CoSi)など、種々のものが用いられるようになり、これらは単層〜複数層にて基板上に形成される。
【0004】
ところで近年の集積回路の高密度化に伴い、より高密度の微細エッチングが可能なドライエッチングが主流となっている。また、エッチング後の不要なホトレジスト層除去に際し、プラズマアッシングが行われている。これらエッチング、アッシング処理により、パターンの側部や底部等に、ホトレジスト変質膜等の残留物が角状となって残存したり、あるいは他成分由来の残渣物が付着して残存し、またエッチング時の金属層を削るときに金属デポジションが発生してしまう。そこでこれらが完全に除去されないと、半導体製造の歩留まり低下をきたすなどの問題を生じる。
【0005】
これらの残渣物、金属デポジションは、エッチングガスの種類やアッシング条件、基板上に形成される金属の種類、絶縁層の種類、用いるホトレジストの種類等によって、それぞれ異なった組成のものが生成される。近年の半導体の様々な改良に伴う、各種処理における処理条件の過酷さや用いられる金属、絶縁層、ホトレジストの多種多様化などにより、残渣物、金属デポジションも複雑となり、これらの組成等を突き止めることが難しく、そのためこれといって満足できる処理液、処理方法がないのが現状である。
【0006】
さらに最近では、パターンのより一層微細化の傾向にあり、0.2〜0.3μmあるいはそれ以下の超微細パターンのものが用いられるようになってきた。このような超微細パターンの形成された基板においては、エッチング、アッシングの条件もより一層過酷なものとなり、金属配線の防食性、残渣物の除去性等に対する要求も従来に比べて格段に高いものとなっている。
【0007】
従来、ホトレジスト変質膜除去液組成物やアッシング後の処理液として、フッ化水素酸等のフッ素系化合物を含有する組成物が多用されているが、このような例として、例えば、特定の第四級アンモニウム塩とフッ素化合物、さらには有機溶媒を含有する半導体装置洗浄剤(特開平7−201794号公報)、フッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩、および水溶性有機溶媒を含み、系のpHが5〜8のレジスト用剥離液組成物(特開平9−197681号公報)、フッ素化合物、水溶性有機溶剤、および水をそれぞれ特定量含有する半導体装置用洗浄剤(特開平11−67632号公報)、特定の第四級アンモニウム水酸化物、酸化還元電位を有する求核アミン化合物、糖類および/または糖アルコール類、水をそれぞれ特定の配合割合で含有する剥離剤(特開平9−283507号公報)等が知られている。
【0008】
しかしこれら各公報に記載の従来の処理液、洗浄剤では、現在の超微細パターン化プロセスにおける苛酷なエッチング、アッシング処理条件下においては、金属配線の腐食を防止しつつ、かつホトレジスト変質膜、金属デポジション等の残渣物を確実に除去することが困難になってきている。
【0009】
ところでこのようなフッ化水素酸等のフッ素系化合物を含有する処理液、洗浄剤では、通常、水を配合してフッ素系化合物を溶解し、これによりアッシング後残渣物の除去性を向上させている。しかしながら、水の配合は他方で金属層の腐食を引き起こすという問題がある。水の配合量を低減、あるいは水を配合しない場合、金属層の腐食抑止には有効であるものの、フッ素系化合物の析出という問題が新たに生じる。
【0010】
また、フッ化水素酸等のフッ素系化合物を含有する処理液では、基板処理後、通常水リンス処理を行うが、このとき腐食が起こりやすいという問題がある。
【0011】
したがって、フッ化水素酸等のフッ素系化合物を含有する処理液にあっては、フッ素系化合物の析出を防止するとともに、アッシング後の残渣物の除去性、金属膜の腐食防止に優れる処理液の開発が求められていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、超微細パターン化プロセスにおけるより過酷な条件のドライエッチング、続いてアッシングが施された基板において、金属配線に対する腐食を防止し、かつホトレジスト変質膜、金属デポジション等の残渣物を確実に除去し得るとともに、残渣物除去処理時および水リンス時での腐食を有効に防止し得るアッシング後の処理液およびこれを用いた処理方法を提供することを目的とする。本発明は特に、フッ化水素酸等のフッ素系化合物を含有する処理液において、水の配合量を低減、あるいは水を配合しない場合においても、フッ素系化合物の析出を防止するとともに、アッシング後の残渣物や金属デポジションの除去性、金属膜の腐食防止に優れる処理液および処理方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来のフッ化水素酸含有の処理液では、水の含有量を増大させると金属層または金属酸化層に対する腐食が起り、逆に水の含有量を低減させるとフッ素系化合物の析出が生じるなどの問題が発生し、両者のバランスをとることが難しいという点に鑑み、この水の影響をできるだけ抑えるべく鋭意検討を重ねた結果、フッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩の溶媒として、多価アルコールと、多価アルコール以外の水溶性有機溶媒との混合溶媒を用いることにより上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち本発明は、(a)フッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含むアッシング後の処理液であって、少なくとも(b)多価アルコールを10〜70重量%、(c)水溶性有機溶媒(ただし(b)成分を除く)を10〜80重量%、および(d)水を8〜25重量%含有し、ただしアスコルビン酸を含まない、ことを特徴とするアッシング後の処理液に関する。
【0016】
また本発明は、(I) 金属層を有する基板上にホトレジスト層を設ける工程、
(II) 該ホトレジスト層を選択的に露光する工程、
(III) 露光後のホトレジスト層を現像してホトレジストパターンを設ける工程、
(IV) 該ホトレジストパターンをマスクとして基板をエッチングして金属配線パターンを形成する工程、
(V) ホトレジストパターンをアッシングする工程、および
(VI) アッシング工程後の基板を処理液に接触させて処理する工程、および
(VII) 上記処理後、さらに基板を水でリンス処理する工程、
からなる基板の処理方法において、上記の処理液を用いて基板を処理することを特徴とする処理方法に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0018】
本発明の処理液に用いられる(a)成分は、フッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩である。ここで、金属イオンを含まない塩基としては、ヒドロキシルアミン類、第1級、第2級または第3級の脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、複素環式アミン等の有機アミン類、アンモニア水、低級アルキル第4級アンモニウム塩基等が好ましく用いられる。
【0019】
ヒドロキシルアミン類としては、具体的にはヒドロキシルアミン(NH2OH)、N−メチルヒドロキシルアミン、N,N−ジメチルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等が例示される。
【0020】
第1級脂肪族アミンとしては、具体的にはモノエタノールアミン、エチレンジアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール等が例示される。
【0021】
第2級脂肪族アミンとしては、具体的にはジエタノールアミン、ジプロピルアミン、2−エチルアミノエタノール等が例示される。
【0022】
第3級脂肪族アミンとしては、具体的にはジメチルアミノエタノール、エチルジエタノールアミン等が例示される。
【0023】
脂環式アミンとしては、具体的にはシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が例示される。
【0024】
芳香族アミンとしては、具体的にはベンジルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン等が例示される。
【0025】
複素環式アミンとしては、具体的にはピロール、ピロリジン、ピロリドン、ピリジン、モルホリン、ピラジン、ピペリジン、N−ヒドロキシエチルピペリジン、オキサゾール、チアゾール等が例示される。
【0026】
低級アルキル第4級アンモニウム塩基としては、具体的にはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(=TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリプロピルアンモニウムヒドロキシド、(1−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド等が例示される。
【0027】
中でも、アンモニア水、モノエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシドは、入手が容易である上に安全性に優れる等の点から好ましく用いられる。
【0028】
金属イオンを含まない塩基は1種だけを用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
これら金属イオンを含まない塩基とフッ化水素酸との塩は、市販のフッ化水素50〜60%濃度のフッ化水素酸に、金属イオンを含まない塩基を、得られる塩のpHが5〜8程度となるように添加することで製造することができる。このような塩としては、フッ化アンモニウム(NH4F)が最も好ましく用いられる。(a)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0030】
(a)成分の配合量は、残渣物の除去性と水リンス処理時の金属配線の防食性のバランスをより効果的にとるという点から、本発明処理液中、その上限は10重量%が好ましく、特には5重量%が好ましい。また下限は0.01重量%が好ましく、特には0.05重量%が好ましい。
【0031】
(b)成分である多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、およびグリセリン等が挙げられる。中でも、安全性等の面からプロピレングリコールが最も好ましく用いられる。多価アルコールは1種または2種以上を用いることができる。
【0032】
(b)成分の配合量は、残渣物の除去性と水リンス処理時の金属配線の防食性のバランスをより効果的にとるという点から、本発明処理液中、その上限は70重量%が好ましく、特には60重量%が好ましい。また下限は10重量%が好ましく、特には20重量%が好ましい。
【0033】
(c)成分は前記(b)成分以外の水溶性有機溶媒であって、水および本発明の他の配合成分と混和性のある有機溶媒であればよい。
【0034】
このような水溶性有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン等のラクタム類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジイソプロピル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類;γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類等が挙げられる。これらの中で、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが残渣物の除去性、および防食性のマージンが広いという観点から好ましい。中でも、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等が基板に対する防食効果にも優れるため特に好ましい。(c)成分は1種または2種以上を用いることができる。
【0035】
(c)成分の配合量は、残渣物の除去性と水リンス処理時の金属配線の防食性のバランスをより効果的にとるという点から、本発明処理液中、その上限は80重量%が好ましく、特には70重量%が好ましい。また下限は10重量%が好ましく、特には15重量%が好ましい。
【0036】
(d)成分の水は、(b)、(c)成分等に必然的に含まれているものであるが、本発明ではさらに配合してもよい。(d)成分は他成分の配合量の残部分含有されるが、本発明では残渣物除去性向上の点から(d)成分の配合量の上限は40重量%が好ましく、特には30重量%が好ましい。また下限は8重量%が好ましく、特には10重量%が好ましい。
【0037】
本発明では(b)成分、(c)成分を用いることにより、これらが混合溶媒となり、これにより(a)成分の十分な溶解を可能ならしめるとともに、(d)成分の配合量を低減、あるいは(d)成分を配合しない場合であっても、従来フッ化水素酸配合の系で問題となっていた(a)成分の析出を防止することができ、金属層の防食とアッシング残渣物の除去という両者のバランスをとることが可能となった。
【0038】
本発明処理液は、(a)〜(c)成分、所望によりさらに(d)成分を配合することにより、0.2〜0.3μmあるいはそれ以下の超微細なホトレジストパターンが形成された基板をエッチング、アッシングした後に生じたホトレジスト変質膜や金属デポジション等の残渣物を確実に除去することができる。また、各種金属配線、金属層、CVD蒸着された金属絶縁層の腐食を有効に防止し得る。
【0039】
本発明処理液は、上記(a)〜(c)成分、(d)成分に加えて、さらに、塩基性化合物、フッ化水素酸、防食剤等を任意添加成分として配合することができる。
【0040】
塩基性化合物は、好ましくは溶液のpHが8.5〜10程度の範囲内で配合される。塩基性化合物を配合して系のpHを上記範囲内に調整することにより、基板処理時における水リンス時の防食効果をより一層高めることができる。塩基性化合物としては、アンモニア水、ヒドロキシルアミン類、あるいは25℃の水溶液における酸解離定数(pKa)が7.5〜13のアミン類等が好ましいものとして挙げられる。
【0041】
上記ヒドロキシルアミン類としては、下記の一般式(I)
【0042】
【化1】
【0043】
(式中、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基を示す)
で表されるものが挙げられる。
【0044】
炭素数1〜6の低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基または2,3−ジメチルブチル基等がそれぞれ例示される。
【0045】
上記ヒドロキシルアミン類として、具体的にはヒドロキシルアミン(NH2OH)、N−メチルヒドロキシルアミン、N,N−ジメチルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等が挙げられる。ヒドロキシルアミン類は1種または2種以上を用いることができる。
【0046】
上記25℃の水溶液における酸解離定数(pKa)が7.5〜13のアミン類としては、具体的にはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、N,N−ジメチルエタールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン類;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、N−エチル−エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン等のポリアルキレンポリアミン類;2−エチル−ヘキシルアミン、ジオクチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリアリルアミン、ヘプチルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族アミン類;ベンジルアミン、ジフェニルアミン等の芳香族アミン類;ピペラジン、N−メチル−ピペラジン、メチル−ピペラジン、ヒドロキシルエチルピペラジン等の環状アミン類等が挙げられる。これらの中でも、金属配線に対する防食効果の点から上記pKaが8.5〜11.5のものが好ましく、具体的にはモノエタノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、シクロヘキシルアミン、ピペラジン等が好ましい。これらアミン類は1種または2種以上を用いることができる。
【0047】
フッ化水素酸は、残渣物除去性のより一層の向上のために好ましく配合される。フッ化水素酸を配合する場合、その配合量は0.02〜0.5重量%程度が好ましく、特には0.05〜0.2重量%程度である。
【0048】
防食剤としては、従来から用いられているものを任意に用いることができる。このようなものとしては、例えば芳香族ヒドロキシ化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、糖アルコール類等が挙げられる。
【0049】
上記芳香族ヒドロキシ化合物としては、具体的にはフェノール、クレゾール、キシレノール、ピロカテコール(=1,2−ジヒドロキシベンゼン)、tert−ブチルカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、サリチルアルコール、p−ヒドロキシベンジルアルコール、o−ヒドロキシベンジルアルコール、p−ヒドロキシフェネチルアルコール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、ジアミノフェノール、アミノレゾルシノール、p−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸等を挙げることができる。中でもピロカテコール、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、没食子酸が好適に用いられる。芳香族ヒドロキシ化合物は1種または2種以上を用いることができる。
【0050】
上記ベンゾトリアゾール系化合物としては、下記一般式(II)
【0051】
【化2】
【0052】
〔式中、Qは水素原子、水酸基、置換若しくは非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基(ただし、その構造中にアミド結合、エステル結合を有していてもよい)、アリール基、または下記化3
【0053】
【化3】
【0054】
(化3中、R5は炭素原子数1〜6のアルキル基を示し;R6、R7は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、または炭素原子数1〜6のヒドロキシアルキル基若しくはアルコキシアルキル基を示す)
で表される基を示し;R3、R4は、それぞれ独立に水素原子、置換若しくは非置換の炭素原子数1〜10の炭化水素基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、シアノ基、ホルミル基、スルホニルアルキル基、またはスルホ基を示す〕
で表されるベンゾトリアゾール系化合物が挙げられる。
【0055】
「炭化水素基」は、炭素原子と水素原子からなる有機基である。本発明において、上記基Q、R3、R4の各定義中、炭化水素基としては、芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基のいずれでもよく、また飽和、不飽和結合を有していてもよく、さらに直鎖、分岐鎖のいずれでもよい。置換炭化水素基としては、例えばヒドロキシアルキル基、アルコキシルアルキル基等が例示される。
【0056】
また、純Cu配線が形成された基板の場合、上記一般式(II)中、Qとしては特に上記化3で表される基のものが好ましい。中でも化3中、R6、R7として、それぞれ独立に、炭素原子数1〜6のヒドロキシアルキル基若しくはアルコキシアルキル基を選択するのが好ましい。なお、R6、R7の少なくともいずれか一方が炭素原子数1〜6のアルキル基である場合、かかる組成のベンゾトリアゾール系化合物の物性は、水溶性に乏しくなるが、該化合物を溶解せしめる他成分が処理液中に存在する場合、好ましく用いられる。
【0057】
また上記一般式(II)中、Qとして、水溶性の基を示すものも好ましく用いられる。具体的には水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基(すなわち、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基)、炭素原子数1〜3のヒドロキシアルキル基、水酸基等が、無機材料層の防食性の点で好ましい。
【0058】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、具体的には、例えばベンゾトリアゾール、5,6−ジメチルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−メチルベンゾトリアゾール、1−アミノベンゾトリアゾール、1−フェニルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシメチルベンゾトリアゾール、1−ベンゾトリアゾールカルボン酸メチル、5−ベンゾトリアゾールカルボン酸、1−メトキシ−ベンゾトリアゾール、1−(2,2−ジヒドロキシエチル)−ベンゾトリアゾール、1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、あるいは「イルガメット」シリーズとしてチバ・スペシャリティー・ケミカルズより市販されている、2,2’−{[(4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスエタノール、2,2’−{[(5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスエタノール、2,2’−{[(4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスエタン、または2,2’−{[(4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスプロパン等を挙げることができる。これらの中でも、1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−ベンゾトリアゾール、2,2’−{[(4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスエタノール、2,2’−{[(5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ}ビスエタノール等が好ましく用いられる。ベンゾトリアゾール系化合物は1種または2種以上を用いることができる。
【0059】
上記糖類としては、一般にCn(H2O)mで表されるいわゆる糖や、これら糖のカルボニル基を還元して得られる糖アルコール等が用いられ、具体的にはD−ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、D−トレイトール、L―アラビニトール、リビトール、D−グルシトール、ガラクチトール、L−ラムニトール、ショ糖、デンプン等が挙げられる。中でもキシリトール、D−ソルビトールが好ましい。糖類は1種または2種以上を用いることができる。
【0060】
上記防食剤としては、本発明処理液の系においては糖類が好ましく用いられ、中でもキシリトールが特に好ましい。上記防食剤を配合する場合、その合計配合量は、本発明処理液中、3〜25重量%程度が好ましく、特には1〜30重量%程度である。
【0061】
さらに本発明では、任意添加成分として、アセチレンアルコール・アルキレンオキシド付加物を配合してもよい。アセチレンアルコール・アルキレンオキシド付加物は界面活性剤としてそれ自体は公知の物質である。本発明では、このアセチレンアルコール・アルキレンオキシド付加物を配合することにより、処理液自体の浸透性を向上させ、濡れ性を向上させることができ、それによってパターン底部に発生した金属デポジション等の除去能力をより一層向上させることができると考えられる。
【0062】
このようなアセチレンアルコール・アルキレンオキシド付加物において、該付加物を形成するアセチレンアルコールとしては、下記一般式(III)
【0063】
【化4】
【0064】
(ただし、R8は水素原子または
【0065】
【化5】
【0066】
を示し;R9、R10、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基を示す)
で表される化合物が好ましく用いられる。ここで炭素原子数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基等が例示される。
【0067】
このアセチレンアルコールは、例えば「サーフィノール」、「オルフィン」(以上いずれもAir Product and Chemicals Inc.製)等のシリーズとして市販されており、好適に用いられる。中でもその物性面から「サーフィノール104」、「サーフィノール82」あるいはこれらの混合物が最も好適に用いられる。他に「オルフィンB」、「オルフィンP」、「オルフィンY」等も用いることができる。
【0068】
上記アセチレンアルコールに付加されるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドあるいはその混合物が好ましく用いられる。
【0069】
本発明では、下記一般式(IV)
【0070】
【化6】
【0071】
(ただし、R13は水素原子または
【0072】
【化7】
【0073】
を示し;R14、R15、R16、R17はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基を示す)
で表される化合物が好ましく用いられる。ここで(n+m)は1〜30までの整数を表し、このエチレンオキシドの付加数によって水への溶解性、表面張力等の特性が微妙に変わってくる。
【0074】
アセチレンアルコール・アルキレンオキシド付加物は、「サーフィノール」(Air Product and Chemicals Inc.製)のシリーズ、あるいは「アセチレノール」(川研ファインケミカル(株)製)のシリーズ等として市販されており、好適に用いられる。中でもエチレンオキシドの付加数による水への溶解性、表面張力等の特性の変化等を考慮すると、「サーフィノール440」(n+m=3.5)、「サーフィノール465」(n+m=10)、「サーフィノール485」(n+m=30)、「アセチレノールEL」(n+m=4)、「アセチレノールEH」(n+m=10)、あるいはそれらの混合物が好適に用いられる。特には「アセチレノールEL」と「アセチレノールEH」の混合物が好ましく用いられる。中でも、「アセチレノールEL」と「アセチレノールEH」を2:8〜4:6(重量比)の割合で混合したものが特に好適に用いられる。
【0075】
本発明処理液中、アセチレンアルコール・アルキレンオキシドを配合する場合、配合量は0.025〜0.5重量%程度が好ましく、特には0.05〜0.3重量%程度である。配合量が多すぎると、気泡の発生が考えられ、濡れ性の向上は飽和しそれ以上加えてもさらなる効果の向上は望めず、一方、配合量が少なすぎると、求める濡れ性の十分な効果を得るのが難しい。アセチレンアルコール・アルキレンオキシドは1種または2種以上を用いることができる。
【0076】
本発明のアッシング後の処理液は、ネガ型およびポジ型ホトレジストを含めてアルカリ水溶液で現像可能なホトレジストに有利に使用できる。このようなホトレジストとしては、(i)ナフトキノンジアジド化合物とノボラック樹脂を含有するポジ型ホトレジスト、(ii)露光により酸を発生する化合物、酸により分解しアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する化合物およびアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型ホトレジスト、(iii)露光により酸を発生する化合物、酸により分解しアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する基を有するアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型ホトレジスト、および(iv)光により酸を発生する化合物、架橋剤およびアルカリ可溶性樹脂を含有するネガ型ホトレジスト等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
本発明の処理方法は、
(I) 金属層を有する基板上にホトレジスト層を設ける工程、
(II) 該ホトレジスト層を選択的に露光する工程、
(III) 露光後のホトレジスト層を現像してホトレジストパターンを設ける工程、
(IV) 該ホトレジストパターンをマスクとして基板をエッチングして金属配線パターンを形成する工程、
(V) ホトレジストパターンをアッシングする工程、および
(VI) アッシング工程後の基板を処理液に接触させて処理する工程、および
(VII) 上記処理後、さらに基板を水でリンス処理する工程、
からなる基板の処理方法において、上記した本発明処理液を用いて基板を処理することからなる。
【0078】
具体的には、例えばシリコンウェーハ、ガラス等の基板上に、蒸着等により金属・金属酸化層、さらには所望により、SiO2膜等の絶縁層、低温ポリシリコン膜、アモルファスシリコン膜等の半導体層や、平坦化のために有機SOG層等を設け、続いてこれらの層上にホトレジスト層を形成する。
【0079】
上記金属・金属酸化層としては、アルミニウム(Al);アルミニウム−ケイ素(Al−Si)、アルミニウム−銅(Al−Cu)、アルミニウム−ケイ素−銅(Al−Si−Cu)等のアルミニウム合金(Al合金);チタン(Ti);チタンナイトライド(TiN)、チタンタングステン(TiW)等のチタン合金(Ti合金);タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、銅(Cu)、コバルトシリサイド(CoSi)等が用いられ、これらは単層〜複数層にて基板上に形成される。特に、Al;Al−Si、Al−Cu、Al−Si−Cu等のAl合金;Ti;TiN、TiW等のTi合金にあっては、後工程のアッシング処理を施した場合には、残渣物が付着し、デポジションが生じやすいので、本発明の処理液は、その残渣物の除去並びにこれら金属・金属酸化層の腐食防止に格別にその効果を発揮し得る。
【0080】
有機SOG層は公知のものを用いることができる。SOG層はケイ素化合物含有塗布液を基板上に塗布、形成される酸化ケイ素膜で、有機SOG層は、この酸化ケイ素膜のSiに、低級アルカリ(例えばCH3等)の有機基が結合した構成を有する。
【0081】
次いでホトレジストパターンを形成する。露光、現像条件は、目的に応じて用いるホトレジストにより適宜、選択し得る。露光は、例えば紫外線、遠紫外線、エキシマレーザ、X線、電子線などの活性光線を発光する光源、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ等により、所望のマスクパターンを介してホトレジスト層を露光するか、あるいは電子線を走査しながらホトレジスト層に照射する。その後、必要に応じて、露光後加熱処理(ポストエクスポージャーベーク)を行う。
【0082】
次にホトレジスト用現像液を用いてパターン現像を行い、所定のホトレジストパターンを得ることができる。なお、現像方法は特に限定されるものでなく、例えばホトレジストが塗布された基板を現像液に一定時間浸漬した後、水洗して乾燥する浸漬現像、塗布されたホトレジストの表面に現像液を滴下し、一定時間静置した後、水洗乾燥するパドル現像、ホトレジスト表面に現像液をスプレーした後に水洗乾燥するスプレー現像等、目的に応じた種々の現像を行うことができる。
【0083】
次いで、形成されたホトレジストパターンをマスクとして、上記金属層や絶縁層を選択的にドライエッチング等によりエッチングし、微細回路を形成した後、不要のホトレジスト層をプラズマアッシングにより除去する。このとき、基板表面にアッシング後のレジスト残渣(ホトレジスト変質膜)や金属層エッチング時に発生した金属デポジションが残渣物として付着、残存する。
【0084】
これら残渣物を本発明処理液に接触させて、基板上の残渣物や金属デポジションを除去する。本発明処理液を用いることにより、これらホトレジスト変質膜や金属デポジション等の残渣物が容易に除去される。特にAlやAl合金等の金属を有する基板に対する腐食防止効果に優れる。
【0085】
なお、アッシング後の基板の処理液への接触は、例えば、パドル法、ディップ法、シャワー法等の方法で行われる。ここで、パドル法とは、枚葉式の処理方法で、基板ごとにノズルから洗浄液を滴下し、表面張力を利用して一定時間処理液と基板を接触させた後、基板をスピンナー等で回転させ液を飛ばすことにより処理を行う方法をいう。ディップ法とは、処理液で満たされた槽の中にウェーハをウェーハカセットごと一定時間浸漬することにより処理を行う方法をいう。シャワー法とは、ウェーハをカセットごと回転させ、その一方向より複数のノズルから処理液を吹き付けることにより処理を行う方法をいう。
【0086】
上記残渣物除去処理後、水リンス処理を行う。従来、フッ化水素酸等のフッ素系化合物を含有する剥離液や洗浄剤では、この水リンス処理時に腐食が発生しやすかったのに対し、本発明では、水リンス処理時においても腐食を防止することができる。
【0087】
本発明の処理液およびこれを用いた処理方法は、0.2〜0.3μmあるいはそれ以下の超微細なホトレジストパターンが形成された基板をエッチング、アッシングした後に生じたホトレジスト変質膜や金属デポジションに対して優れた除去性を有し、また、各種金属配線、金属層等に対する腐食を有効に防止し得る。
【0088】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、配合量は特記しない限り重量%で示す。
【0089】
(実施例1〜5、比較例1〜3)
【0090】
[アッシング後残渣物の除去性]
SiO2層を形成したシリコンウェーハを基板として、該基板上に第1層としてTiN層を、第2層としてAl−Cu層を、第3層としてTiN層を形成し、この上にナフトキノンジアジド化合物とノボラック樹脂からなるポジ型ホトレジスト組成物であるTHMR−iP3300(東京応化工業(株)製)をスピンナー塗布し、90℃にて90秒間のプリベークを施し、膜厚0.2μmのホトレジスト層を形成した。このホトレジスト層をNSR−2005i10D(ニコン(株)製)を用いてマスクパターンを介して露光し、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理し、0.3μmライン・アンド・スペースのホトレジストパターンを得た。次いで120℃で90秒間のポストベークを行った。
【0091】
次に、上記基板に対してエッチング装置TSS−6000(東京応化工業(株)製)を用いて、塩素と三塩化ホウ素の混合ガスをエッチャントとして、圧力0.7Pa、ステージ温度20℃で168秒間基板をエッチング処理し、次いで酸素とトリフルオロメタンの混合ガスを用い、圧力2.7Pa、ステージ温度20℃で30秒間、アフターコロージョン処理(塩素原子を除く処理)を行った。
【0092】
次に、アッシング装置TCA−3822(東京応化工業(株)製)で、圧力0.16Pa、ステージ温度220℃で40秒間ホトレジストパターンのプラズマアッシング処理を行った。
【0093】
続いて、上記プラズマアッシング処理済み基板を、表1に示す処理液に23℃、10分間浸漬させ、アッシング後残渣物の除去処理を行った。このときの残渣物の除去具合をSEM(走査型電子顕微鏡)写真により観察し、下記基準により評価した。結果を表2に示す。
(評価)
A: 残渣物が完全に除去されていた
B: 残渣物の除去が不完全であった
【0094】
[金属配線に対する防食性]
SiO2層を形成したシリコンウェーハ上にAl配線を設けた。これを、表1に示す各処理液をそれぞれ水で2.5倍に希釈した40%水溶液処理液に23℃、20分間浸漬処理した。この基板を純水でさらに洗浄した。このときのAl配線の腐食の状態をSEM(走査型電子顕微鏡)写真により観察し、下記基準により評価した。結果を表2に示す。
(評価)
A: Al配線に腐食が全くみられなかった
B: Al配線に腐食がみられた
【0095】
[処理液中での析出物の有無]
表1に示す組成の処理液を調製した時点で、その液中に析出物の発生の有無を目視により観察し、下記基準により評価した。結果を表2に示す。
(評価)
A: 処理液中に析出物が全く生じていなかった
B: 処理液中に析出物が生じていた
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
なお、表1中、NH4Fはフッ化アンモニウムを;PGはプロピレングリコールを;EGはエチレングリコールを;DMSOはジメチルスルホキシドを;NMPはN−メチル−2−ピロリドンを;HFはフッ化水素酸を、それぞれ示す。また、アセチレンアルコール・アルキレンオキシド付加物は「アセチレノールEL」と「アセチレノールEH」を3:7(重量比)の割合で混合した混合物を用いた。
【0099】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、より過酷な条件のドライエッチング、アッシングが施された基板の処理性に優れるとともに、金属層が形成された基板に対する腐食防止効果に優れるアッシング後の処理液およびこれを用いた処理方法が提供される。本発明の処理液および処理方法は、0.2〜0.3μmあるいはそれ以下の超微細なホトレジストパターンが形成された基板をエッチング、アッシングした後に生じたホトレジスト変質膜や金属デポジションに対して高い除去能力を有し、また、各種金属配線(金属層)、CVD蒸着された金属絶縁層の腐食防止効果に優れる。
Claims (5)
- (a)フッ化水素酸と金属イオンを含まない塩基との塩を含むアッシング後の処理液であって、少なくとも(b)多価アルコールを10〜70重量%、(c)水溶性有機溶媒(ただし(b)成分を除く)を10〜80重量%、および(d)水を8〜25重量%含有し、ただしアスコルビン酸を含まない、ことを特徴とする、アッシング後の処理液。
- (a)成分を形成するための金属イオンを含まない塩基が、ヒドロキシルアミン類、第1級、第2級または第3級脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、アンモニア水、および低級アルキル第4級アンモニウム塩基の中から選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載のアッシング後の処理液。
- (a)成分がフッ化アンモニウム(NH4F)である、請求項1または2記載のアッシング後の処理液。
- (a)成分を0.01〜10重量%含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアッシング後の処理液。
- (I)金属層を有する基板上にホトレジスト層を設ける工程、
(II)該ホトレジスト層を選択的に露光する工程、
(III)露光後のホトレジスト層を現像してホトレジストパターンを設ける工程、
(IV)該ホトレジストパターンをマスクとして基板をエッチングして金属配線パターンを形成する工程、
(V)ホトレジストパターンをアッシングする工程、
(VI)アッシング工程後の基板を処理液に接触させて処理する工程、および
(VII)上記処理後、さらに基板を水でリンス処理する工程、
からなる基板の処理方法において、請求項1〜4のいずれか1項に記載の処理液を用いて基板を処理することを特徴とする処理方法。
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