JP3867658B2 - 電気接続箱 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気接続箱に関し、詳しくは、ワイヤハーネスの分割に伴なって分割された電気接続箱を後結合で一体化させるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図5に示すように、特開平8−185921号公報等に開示されているような電気接続箱1が提供されており、ワイヤハーネスW/Hの端末に接続されたアンダーケース4をヒューズ収容部6やリレー収容部7が設けられたメインケース3に取り付けて、アッパーカバー2とロアカバー5とで上下から閉鎖している。
一方、自動車のエンジンルームに配策されるワイヤハーネス(エンジンルームハーネス)は、特開2002−240653号公報等に開示されているように、エンジンルーム内の電気分配システムの効率化等を目的として、従来は1つであったエンジンルームハーネスを2つに分割し、エンジンルームハーネスの小径化、共用化、電線の取り回しの簡素化などを図る場合が生じている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8―185921号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2002−240653号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エンジンルームハーネス製造時に電気接続箱も接続した状態で納入を行うために、2本のエンジンルームハーネスを個々に製造することに伴なって、該エンジンルームハーネスに接続されていた電気接続箱も2つに分割されることを強いられる。よって、従来の電気接続箱が1つの際には成立していた回路が、電気接続箱の分割により分断されてしまい、回路が成立しなくなる問題があった。
また、上記分断された回路を電線により個々に接続することも考えられるが、該電線の両端の端子を上記分割された回路の分割端の間に1つずつ接続する作業を行わねばならないため、作業効率が悪い問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、ワイヤハーネスの分割に伴なって分割された電気接続箱の分断回路を容易に接続できるようにすることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、電気接続箱を2つに分割して第1分割箱と第2分割箱とに分けて、それぞれ別々のワイヤハーネスに電気接続しており、上記第1分割箱と上記第2分割箱は対向面にスライド接合させ、該スライド接合面に設けられたロック部と被ロック部とをロック結合して固定可能とし、
かつ、上記第1分割箱と上記第2分割箱の対向面に雌コネクタ嵌合部と雄コネクタ嵌合部とを突設し、これら雌雄コネクタ嵌合部にそれぞれ上記ワイヤハーネスの一部電線の端末に接続された端子を収容係止し、上記第1分割箱と第2分割箱をスライド接合時に上記雌雄コネクタ嵌合部を嵌合させると共に電線同士が接続されてスルー回路を形成し、
さらに、上記第1分割箱より内部回路の第1バスバーの一部を第2分割箱とのスライド接合面より突出させ、該突出部に雌タブを設ける一方、上記第2分割箱には内部回路の第2バスバーの一端に設けた雄タブを突出し、上記第1、第2分割箱のスライド結合時に上記第1バスバーの雌タブと第2バスバーの雄タブとが圧接接続される構成としていることを特徴とする電気接続箱を提供している。
【0008】
上記構成とすると、それぞれ別々のワイヤハーネスに接続された上記第1分割箱と第2分割箱とは、互いにスライドさせるだけで上記第1分割箱と上記第2分割箱のロック部および被ロック部がロック結合され、第1分割箱と第2分割箱とを容易に結合して電気接続箱を構成することができる。
ここで、上記第1分割箱あるいは上記第2分割箱のいずれか一方に車体への固定用のブラケットを設けていると、車体に固定された第1分割箱(第2分割箱)に第2分割箱(第1分割箱)をロック固定することで、第2分割箱(第1分割箱)も第1分割箱(第2分割箱)を介して車体へ固定することができる。
【0009】
また、上記スライドロック作業を行うと同時に、上記第1分割箱と上記第2分割箱の雌コネクタ嵌合部と雄コネクタ嵌合部との嵌合接続も自動的に行われるので、第1分割箱へ接続された電線と第2分割箱へ接続された電線とが電気接続され、第1分割箱と第2分割箱とを跨いだスルー回路を容易に形成することができる。
さらには、上記第1分割箱と第2分割箱のスライド結合時に、第1分割箱の内部回路の第1バスバーの雌タブと第2分割箱の内部回路の第2バスバーの雄タブとも自動的に嵌合接続されるので、第1分割箱と第2分割箱の内部回路同士の電気接続も非常に容易に行うことができる。
【0010】
上記内部回路同士の接続の具体例としては、上記第1分割箱の上記第1バスバーは、該第1分割箱に搭載するリレーの出力端子と接続される一方、上記第2分割箱の上記第2バスバーは該第2分割箱の搭載するリレーの入力端子と接続され、第1、第2分割箱のスライド固定時に第1分割箱のリレーと第2分割箱のリレーとが接続される構成とすると好適である。
【0011】
また、上記分割された電気接続箱はエンジンルームに搭載され、該エンジンルームに配策されるワイヤハーネスをエンジンルームメインハーネスとエンジンルームハーネスとに二分割しており、上記第1分割箱あるいは第2分割箱のいずれか一方に上記エンジンルームメインハーネスを接続すると共に、いずれか他方に上記エンジンルームハーネスを接続している。
【0012】
即ち、エンジンルームに配策されるワイヤハーネスをエンジンルームメインハーネスとエンジンルームハーネスに分割し、夫々のハーネスに上記第1分割箱と第2分割箱を接続する構成とすることで、エンジンルーム内におけるワイヤハーネス配策の効率化が為され夫々のワイヤハーネスの小径化、共用化、取り回しの簡素化等が図られると共に、第1分割箱と第2分割箱とで分断された回路も作業性を良好に維持しながら回路接続を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は実施形態の電気接続箱10を示し、エンジンルームメインハーネスW/H1と接続される第1分割箱11と、エンジンルームハーネスW/H2と接続される第2分割箱20とに二分割されている。
【0014】
第1分割箱11は、上面視略L形状で、本体部11aと板状の突出壁部11bとを備え、本体部11aの側面および突出壁部11bの下端より連続して車体固定用のブラケット部11c、11dを突出している。
本体部11aには、リレー収容部17やヒューズ収容部18を設けている一方、突出壁部11bには、第2分割箱20との対向面に2つの被ロック部12を設けていると共に、雄コネクタ嵌合部15、16を嵌合面を上向きにして設けている。
【0015】
被ロック部12は、突出壁部11に穿設された被ロック穴13の両サイドにスライド溝14を上下方向に凹設している。
エンジンルームメインハーネスW/H1を構成する電線のうち、1本の電線W1は、その端末に接続された端子(図示せず)を一方の雄コネクタ嵌合部16のハウジング内に突出させていると共に、他の電線W2は、その端末に接続された端子(図示せず)を本体部11a下方よりリレー収容部17やヒューズ収容部18内に突出させている。
【0016】
また、第1分割箱11内には回路形成のため第1バスバーが収容されており、図2(A)(B)に示すように、第1バスバー19は、中央部19cを垂直として突出壁部11bに沿わせて配策し、屈曲された一端の圧接スロット19b−1を有する雌タブ19bを雄コネクタ嵌合部15内へ下方より突出させていると共に、屈曲された他端の圧接スロット19a−1を有する雌タブ19aをリレー収容部17の接点側入力部17aへと突出させている。
【0017】
第2分割箱20は、リレー収容部26、28やヒューズ収容部27を設けている一方、第1分割箱11の突出壁部11bとの対向面には、2つのロック部23を設けていると共に、雌コネクタ嵌合部24、25を嵌合面を下向きにして設けている。また、側面の所要位置には、電線ガイド部29を突設している。
【0018】
ロック部23は、図1および図3に示すように、第2分割箱20の側面と下端部分のみを連続させて可撓性を持たせて中央にロック爪22aを突設しているロック片22を設け、該ロック片22の両サイドにスライド枠21を上下方向に突設している。
エンジンルームハーネスW/H2を構成する電線のうち、1本の電線W3は、その端末に接続された端子(図示せず)を雌コネクタ嵌合部24のハウジング内に上方より挿入していると共に、他の電線W4は、その端末に接続された端子(図示せず)を下方よりリレー収容部26、28やヒューズ収容部27内に突出させている。
【0019】
この際、電線W3は雌コネクタ嵌合部24へと上方より挿入するため、電線W3の中間部分が邪魔にならないように、電線ガイド部29に挿通して保持させている。
電線ガイド部29は、図4に示すように、第2分割箱20の側面の凹溝に一対の閉鎖壁30、31を設けてガイド空間32を形成しており、一対の閉鎖壁30、31の間には狭幅の隙間Sが開けられていると共に、閉鎖壁30、31の上下には、該隙間Sが広がる方向にテーパー部30a、30b、31a、31bを設けている。また、ガイド空間32の対向する内面には、上下方向に突出した一対のリブ33を設けている。
電線ガイド部29に収容された電線W3を隙間Sを通して外部に取り出す際には、閉鎖壁30、31に電線W3を隙間Sへと拾い込むテーパー部30a、30b、31a、31bを設けているので取り出し易くなっている。
【0020】
第2分割箱20内には回路形成のため第2バスバー34が収容されており、図2(A)(B)に示すように、第2バスバー34は、屈曲された一端の雄タブ34bを雌コネクタ嵌合部25内へ突出させていると共に、屈曲された他端の圧接スロット34a−1を有する雌タブ34aをリレー収容部26の接点側出力部26bへと突出させている。リレー収容部26の接点側入力部へは別のバスバー35の雌タブ(図示せず)が接続されている。
【0021】
上記のように、第1分割箱11が接続された状態でエンジンルームメインハーネスW/H1を製造すると共に、それとは別に、第2分割箱20が接続された状態のエンジンルームハーネスW/H2を製造する。
そして、これらエンジンルームメインハーネスW/H1とエンジンルームハーネスW/H2とを自動車の組立ラインでエンジンルームにそれぞれ配策し、第1分割箱11のブラケット部11c、11dを車体にボルト締め固定する。
【0022】
第1分割箱11に対して第2分割箱20を上方から下方へ移動させ、スライド枠21をスライド溝14に嵌合してスライドすることにより、ロック片22のロック爪22aが被ロック穴13にロック固定され、第2分割箱20を第1分割箱11へ容易に結合することができる。
【0023】
また、上記スライドロック作業により、雌コネクタ嵌合部24、25と雄コネクタ嵌合部15、16との嵌合接続も自動的に行われる。
この際、図2(A)(B)に示すように、雌コネクタ嵌合部25および雄コネクタ嵌合部15を介して第1バスバー19の雌タブ19bと第2バスバー34の雄タブ34bとの雌雄嵌合が為され、第1分割箱11の内部回路と第2分割箱の内部回路との電気接続が行われる。
また同時に、雌コネクタ嵌合部24および雄コネクタ嵌合部16を介して電線W1と電線W3との電気接続が図られ、第1分割箱11と第2分割箱20とを跨いだスルー回路が形成される。
上記のようにして、第1分割箱11と第2分割箱20とをロック結合するだけで電気接続箱10を形成することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、別々のワイヤハーネスに接続された上記第1分割箱と第2分割箱は、互いにスライドさせてロックするだけで容易に結合されて電気接続箱を構成することができる。そして、該スライドロック作業と同時に、上記雌コネクタ嵌合部と上記雄コネクタ嵌合部との嵌合接続も自動的に行われて、第1分割箱の内部回路と第2分割箱の内部回路との電気接続を非常に容易に行うことができると共に、第1分割箱と第2分割箱とを跨いだスルー回路も形成することができる。
さらに、上記第1分割箱(第2分割箱)にブラケットを設けて車体に固定しているので、第2分割箱(第1分割箱)は第1分割箱(第2分割箱)を介して車体へ固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る電気接続箱の斜視図である。
【図2】 (A)は回路の接続形態を示す概略斜視図、(B)は模式図である。
【図3】 第1分割箱と第2分割箱とのスライドロックを示す図面である。
【図4】 電線ガイド部を示す拡大斜視図である。
【図5】 従来の電気接続箱の分解斜視図である。
【符号の説明】
10 電気接続箱
11 第1分割箱
12 被ロック部
13 被ロック穴
14 スライド溝
15、16 雄コネクタ嵌合部
17、26 リレー収容部
18、27 ヒューズ収容部
19 第1バスバー
19b 雌タブ
20 第2分割箱
21 スライド枠
22 ロック片
22a ロック爪
23 ロック部
24、25 雌コネクタ嵌合部
29 電線ガイド部
34 第2バスバー
34b 雄タブ
W1、W2、W3、W4 電線
W/H1 エンジンルームメインハーネス
W/H2 エンジンルームハーネス

Claims (4)

  1. 電気接続箱を2つに分割して第1分割箱と第2分割箱とに分けて、それぞれ別々のワイヤハーネスに電気接続しており、
    上記第1分割箱と上記第2分割箱は対向面にスライド接合させ、該スライド接合面に設けられたロック部と被ロック部とをロック結合して固定可能とし、
    かつ、上記第1分割箱と上記第2分割箱の対向面に雌コネクタ嵌合部と雄コネクタ嵌合部とを突設し、これら雌雄コネクタ嵌合部にそれぞれ上記ワイヤハーネスの一部電線の端末に接続された端子を収容係止し、上記第1分割箱と第2分割箱をスライド接合時に上記雌雄コネクタ嵌合部を嵌合させると共に電線同士が接続されてスルー回路を形成し、
    さらに、上記第1分割箱より内部回路の第1バスバーの一部を第2分割箱とのスライド接合面より突出させ、該突出部に雌タブを設ける一方、上記第2分割箱には内部回路の第2バスバーの一端に設けた雄タブを突出し、上記第1、第2分割箱のスライド結合時に上記第1バスバーの雌タブと第2バスバーの雄タブとが圧接接続される構成としていることを特徴とする電気接続箱。
  2. 上記第1分割箱の上記第1バスバーは、該第1分割箱に搭載するリレーの出力端子と接続される一方、上記第2分割箱の上記第2バスバーは該第2分割箱の搭載するリレーの入力端子と接続され、第1、第2分割箱のスライド固定時に第1分割箱のリレーと第2分割箱のリレーとが接続される請求項1に記載の電気接続箱。
  3. 上記第1分割箱あるいは上記第2分割箱のいずれか一方に車体への固定用のブラケットを設けている請求項1または請求項2に記載の電気接続箱。
  4. 上記電気接続箱はエンジンルームに搭載され、該エンジンルームに配策されるワイヤハーネスをエンジンルームメインハーネスとエンジンルームハーネスとに二分割しており、上記第1分割箱あるいは第2分割箱のいずれか一方に上記エンジンルームメインハーネスを接続すると共に、いずれか他方に上記エンジンルームハーネスを接続している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電気接続箱。
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