JP3867542B2 - 白線検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮像手段により取り込まれた道路画像から、白線の検出を行う白線検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の自動走行などを考慮した場合、走行車線内での自車両の位置を検出することは不可欠である。走行車線内での自車両の位置を高精度で検出するためには、走行車線そのものを精度よく認識することが重要である。走行車線を検出する方法は様々研究されているが、ドライバは運転に必要な情報のほとんどを白線で区切られた走行車線から得ているということから、走行車線の白線を高精度で検出することが自車両の位置を検出するために重要である。走行車線の白線を検出する手段として、撮像手段により取り込まれた道路画像に画像処理をするという方法がある。これは走行車線の白線を認識するために、エッジ抽出を行いエッジ画像を生成して、得られたエッジ画像より白線を検出している。エッジとは画像中の濃度変化が大きい部分、いわゆる輪郭線であり、影や汚れによって濃度が変化しても検出しやすいという利点がある。
【0003】
このように白線を検出する際には、エッジ抽出して得たエッジ画像により行なわれるが、エッジ抽出はフィルタ演算により行われるので、フィルタ演算処理がうまくいくかどうかが白線検出の精度を決める。従来、エッジ検出を行う際のフィルタを選択し、明瞭なエッジ画像を得る技術として特開2001−101428号公報記載のものがある。この技術は、画像からフィルタによりエッジ抽出してエッジ画像を得る画像処理装置であって、フィルタ選択手段を備えている。そして、フィルタ選択手段は、画素の輝度やエッジ強度、およびエッジを抽出し投影して得たヒストグラムのピーク値に応じてフィルタを選択している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような上記従来の技術にあっては、フィルタ選択時の判断が画像の輝度差すなわちコントラスト情報のみに基づいているので、実際の走行環境のように路面表示や走行車両のようなノイズ成分が多い状態では、検出対象である白線よりもノイズ成分の方が強調されたエッジ画像となり、そのエッジ画像から白線を検出するのが非常に困難であるといった課題があった。また、選択されるフィルタが垂直なエッジ成分に最も強く反応するものであるため、カーブしている道路の白線を検出しようとすると、最適なエッジ画像が得られないといった問題があった。
【0005】
そこで本発明は、このような従来の問題点に鑑み、周囲の明るさや道路形状が変化しても、他のノイズ成分よりも検出対象である白線のエッジ画像が強調されたエッジ画像を生成することができ、またカーブしている道路の白線に対しても、最適なエッジ画像を得ることができる白線検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、車両に搭載された自車両の周りの所定領域を撮像する撮像手段と、前記撮像手段から得られた画像を記憶する画像記憶手段と、前記画像記憶手段により記憶された画像に対して、自車両の走行車線の白線を検出するための領域を設定する白線検出領域設定手段と、前記白線検出領域設定手段により設定された領域に対して、フィルタ演算によりエッジ抽出を行いエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段と、前記白線検出領域内で抽出されたエッジ画像より白線検出を行う白線検出手段と、前記エッジ画像生成手段でのフィルタ演算に用いるフィルタ係数を更新するエッジフィルタ更新手段とを有し、前記エッジフィルタ更新手段は、前記白線検出領域内の濃度値と前記白線検出手段により検出された白線の傾きの両方に基づいてフィルタを更新するものとした。
【0007】
請求項2記載の発明は、道路形状と車両挙動を表わす複数のパラメータを用いて、道路白線の形状を数式化モデルで表わしたものを白線モデルとし、この白線モデルと前記白線検出手段で検出された結果が一致するように前記白線モデルの複数のパラメータを更新するパラメータ更新手段を有するものとした。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記画像記憶手段により記憶された画像に対して、自車両の走行車線の白線を検出するための複数の領域を、自車両から見て近い方から遠い方へ順次設定するものとした。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記白線検出領域設定手段で設定する領域ごとにフィルタ演算処理を行うものとした。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記白線検出領域設定手段で設定された白線検出領域内の濃度値と前記白線検出手段により検出された白線の傾きの両方に基づいて、次の白線検出領域の白線のエッジが最も強調されるようなフィルタを予測してエッジフィルタの更新をするものとした。
【0011】
請求項6記載の発明は、次にフィルタ演算する白線検出領域が自車両に一番近い領域である場合には、前回入力された画像上において自車両に一番近い白線検出領域で演算され導き出された当該領域に用いたフィルタを、フィルタ演算に用いるフィルタとして更新するものとした。
【0012】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、エッジ画像を生成するエッジフィルタを白線検出領域内の濃度値と、白線の傾きの両方に基づいてフィルタ更新することによって、白線の傾きに応じた適切なフィルタ演算が行えるため、カーブによる検出誤差の影響や自車両が走行車線内で左右に寄って走行している場合の白線の見え方による検出誤差による影響を無くすことができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、白線検出手段により検出された結果から道路白線を白線モデルによって表わすことにより、白線検出領域設定の際の基とすることができる。道路白線を白線モデルによって認識することにより、小さな白線検出領域を設定するだけで道路白線を捕らえることができるので、エッジフィルタ演算処理する際の処理速度が向上する。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、自車両に近い白線検出領域はノイズが少ないので正確な道路白線を検出しやすい。そこで自車両に一番近い白線検出領域で検出された白線を基に順次遠方の方へ領域設定することにより、白線検出領域は的確に道路白線を捕らえることができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、白線検出領域設定で設定する領域ごとにフィルタ演算処理を行うことにより、強調したい白線の線分の傾きが複数混在しているような場合でも、的確に白線の線分を強調することができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、白線検出領域設定手段で設定された白線検出領域内の濃度値と前記白線検出手段により検出された白線の傾きの両方に基づいて、次に検出しようとする白線のエッジが最も強調されるようなフィルタを予測してエッジフィルタを選ぶことにより、道路白線がカーブしているような場合でも、的確に道路白線のエッジ画像を得ることができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、次にフィルタ演算する白線検出領域が自車両に一番近い領域である場合には、前回入力された画像の自車両に一番近い当該領域で演算され導き出されたフィルタを、エッジ抽出するフィルタとして設定することにより、画面は変わっているものの大きくはずれたフィルタを選択してしまうようなことはない。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に発明の実施の形態を説明する。
図1は白線検出を車両制御装置に適用した実施の形態の構成を示す図である。
マイクロコンピュータ2は、カメラ1から入力された画像に画像処理を施して道路上の白線を検出する。そして道路形状と車両挙動を示す複数のパラメータを用いて道路白線の形状を数式化モデルで表わして、道路白線の検出結果と白線モデルが一致するように道路パラメータを更新することによって道路形状を認識する。カメラ1は本発明における撮像手段を構成する。
【0019】
メモリ3は撮像された道路画像やマイクロコンピュータ2により処理されたエッジ画像、白線モデルのパラメータなどを記憶する。メモリ3は本発明における画像記憶手段を構成する。
センサ4は車両の挙動を表わす車速、舵角などを検出しマイクロコンピュータ2に検出結果を出力するものである。車両制御部5はマイクロコンピュータ2からの出力信号に基づいてステアリングやアクセルブレーキ制御などを行うものである。警報部6はマイクロコンピュータ2からの出力信号に基づいて車線逸脱などの警報を発するものである。表示部7は検出結果の道路形状などを表示するためのものである。
【0020】
図2にカメラ1の車両取り付け位置を示す。図2の(a)は車両上方から見た図であり、図2の(b)は車両側面から見た図である。カメラ1は車両23の室内のフロントウィンドウ上部の車幅方向中央に取り付けられ車両前方の道路を撮像し、マイクロコンピュータ2に撮像画像を出力する。
【0021】
次に、図3、図4のフローチャートにしたがって、マイクロコンピュータ2における道路白線を検出するための処理の流れを説明する。
ステップ101において、道路形状や車両挙動を表わすパラメータ(以下、単に道路パラメータとする)を初期設定する。図5に示すような画面座標系xy上において、白線モデル22を道路パラメータにより次のように数式で示す。
x=(a+ie)(y−d)+b/(y−d)+c (1)
式(1)において、a〜eは道路パラメータであり、路面からカメラ1の高さを一定とすると、それぞれ道路パラメータは次のような道路および白線の形状または車両挙動を表わす。aは走行車線内の自車両の車両位置を、bは道路の曲率を、cは自車両(カメラ1の光軸)の道路に対するヨー角を、dは自車両(カメラ1の光軸)の道路に対するピッチ角を、eは道路の車線幅を、それぞれ表わす。また、cは自車両とカメラ1との取り付け角度のうちパン角を、dは自車両とカメラ1との取り付け角度のうちチルト角を含んだものである。また、初期状態では道路および白線の形状や車両挙動が不明であるから、各道路パラメータには例えば中央値に相当する値を初期値として設定する。すなわち、車線内の位置aには車線中央を設定し、車線に対するヨー角cにはパン角を設定する。また、車線に対するピッチ角dには停止状態のチルト角を設定し、車線幅eには道路構造令に示される高速道路の車線幅を設定する。
【0022】
ステップ102において、カメラ1により撮像された画像をマイクロコンピュータ2に入力する。
ステップ103において、マイクロコンピュータ2に入力された画像をメモリ3に記憶する。
【0023】
ステップ104において、図5に示すように白線検出領域10〜21の設定を行う。白線検出領域を設定する位置は、式(1)に表わされる白線モデル22が領域の中心となるように設定する。まず、白線モデル22上の自車両に一番近いところに例えば白線検出領域10を設定し、後述するステップ105からステップ109までの処理が終わった後、ステップ110からステップ104に戻り、次の白線検出領域11または白線検出領域16を設定する。すなわち、白線検出領域10から白線検出領域15までを白線検出領域10、11、12・・15のように順に設定した後、図中右側の白線検出領域16から白線検出領域21までを白線検出領域16、17、18・・21のように順に設定してもよく、また白線検出領域10を設定した後、白線検出領域16を設定し次に白線検出領域11を設定するというように左右の白線交互に白線検出領域を設定してもよい。白線検出領域を設定する設定順序は、左右の白線に対し左右の順番は問わないが、検出しようとする白線に対しては自車両に近い方から遠い方へ白線検出領域を順次設定していくものとする。このようにステップ104からステップ110までを繰り返すことにより、左右の道路白線8上に6個ずつ計12個の白線検出領域が設定される。
【0024】
初期状態においては、道路パラメータに初期値を設定した白線モデルと、実際の画面上の道路白線との間には大きな開きがあると予想されるので、できる限り大きく白線検出領域を設定する方がよい。なお前回の処理で道路パラメータが更新されているような場合には、実際の道路白線と白線モデルとの差は小さいと考えられるので、なるべく小さな領域を設定する方が白線以外のものを誤検出する可能性が低く、しかも処理速度を向上させることができる。
【0025】
ステップ105において、設定されているフィルタを用いてメモリ3に記憶されている入力画像に対してフィルタ演算を施してエッジ画像を作成し、その結果をメモリ3に記憶する。ここで用いるフィルタは、初期状態では例えばSOBELフィルタを設定しておき、以降の処理では後述するステップ109で更新されたフィルタを用いる。
【0026】
ステップ106で、白線検出領域において白線候補の検出を行う。
図5中、白線検出領域10と白線検出領域16の領域において抽出されたエッジ画像を図6の(a)及び(b)に示す。
白線候補の検出は、白線検出領域の上底の一点と下底の一点とを結んでできるすべての線分Lに対し、その線分上の画素の濃度が所定値以上の画素を白線候補とする。さらに、すべての線分Lの中で、白線候補が最も多い線分Lをその領域内での検出直線とする。
【0027】
ステップ107では、検出直線上にある白線候補の数が所定値以上かどうか判断する。検出直線上に、所定値以上の濃度の画素数が、検出直線の長さに対する所定の割合よりも少ない場合には、白線が検出されなかったものとみなし、ステップ110へ進む。所定の割合よりも多い場合は、ステップ108へ進む。
【0028】
ステップ108では、検出直線上の白線候補が所定の割合よりも多い場合には、その検出直線を仮に白線とみなす。そして、その白線の傾きをy/xとして出力する。
例えば検出直線の長さが15画素数で、白線候補の数が1/2以上、すなわち8画素以上検出されれば仮に白線が検出されたとする白線検出領域においては、検出直線上における白線候補の数が7画素以下の場合には、その白線検出領域において白線が検出されなかったものとする。一方、白線候補の数が8画素以上の場合は仮に白線が検出されたものとし、その白線の傾きを検出結果とする。以上の処理をすべての白線検出領域に対して実行する。この時、白線の検出有無を判断するための、検出直線の長さに対する上記所定の割合は、すべての白線検出領域に対して同一としてもよいし、白線検出領域ごとに設定してもよい。また、上記濃度の所定値もすべての白線検出領域に対して同一としてもよいし、白線検出領域ごとに変えてもよい。
【0029】
ステップ109では、上記ステップ108で求められた白線の傾きに基づいてフィルタの形状を更新して、さらに上記ステップ104で設定した白線検出領域内の濃度値に基づいてフィルタの係数を更新する。
【0030】
図7、図8のフローチャートにしたがって、ステップ109でのフィルタ更新の詳細について説明する。
ここで、白線内側の線分が図5中右上がりの場合には傾きは負の値、左上がりの場合には正の値を取るものとする。
まずステップ701で白線検出領域内で検出された白線の傾きy/xを参照する。
ステップ702では、y/xについてy/x≧−2かどうか判断される。y/x≧−2が真の時はステップ703へ進む。y/x≧−2が偽の時はステップ709へ進み、垂直エッジ成分が最も強調されるフィルタ3を選択する。このフィルタ3は例えば図9の(c)のようなものである。
ステップ703では、y/xについてy/x>−1/2かどうか判断される。y/x>−1/2が真の時はステップ705へ進む。y/x>−1/2が偽の時はステップ704へ進み、右上がりのエッジ成分が最も強調されるフィルタ2を選択する。このフィルタ2は例えば図9の(b)のようなものである。
【0031】
ステップ705では、y/xについて、y/x>1/2かどうか判断される。y/x>1/2が真の時はステップ707へ進む。y/x>1/2が偽の時はステップ706へ進み、水平エッジ成分が最も強調されるフィルタ1を選択する。このフィルタ1は例えば図9の(a)のようなものである。
ステップ707では、y/xについてy/x>2かどうか判断される。y/x>2が真の時はステップ709へ進む。y/x>2が偽の時はステップ708へ進み、左上がりのエッジ成分が最も強調されるフィルタ4を選択する。このフィルタ4は例えば図9の(d)のようなものである。
ステップ709では、y/x<−2、または2<y/xなので垂直エッジ成分が最も強調されるフィルタ3を選択し次のステップ710へ進む。
【0032】
本実施例では、フィルタの種類を5種類としているが、これに限定されることなく、フィルタの種類を増やすことにより細かな白線の傾きに応じて適切なフィルタを選択できる。
さらにフィルタ形状を図9の(a)〜(d)に示すように3×3の正方形としているが、フィルタ形状を3×3に限定せず図9の(e)に示すように6×3のフィルタとすることもできる。
【0033】
次に、白線検出領域の濃度値に基づいてフィルタの係数を決定する。
画像のコントラストが低い時は、よりコントラストが強調されるような係数を選択する。
まずステップ710では、白線検出領域内の画像のヒストグラムを算出する。
ステップ711では、ヒストグラムの輝度の高い方のピークを白線のピークと考え、さらに低い方のピークを路面のピークと考え、この白線のピーク値と路面のピーク値との差Hを算出する。
【0034】
ステップ712からステップ716で、前記Hを所定の閾値であるT1、T2と比較し、前記各Hの値に応じて係数1〜3を選択する。所定の閾値T1、T2はT1<T2の関係を満たすものとする。
ステップ712では、低い方の閾値であるT1と前記Hを比較する。前記Hについて、H>T1かどうか判断する。H>T1が真の場合はステップ714へ進む。H>T1が偽の時はステップ713へ進み、画像のコントラストが低い時用の係数3を選択する。係数3は例えばα=2として通常時の倍の係数を設定する。
【0035】
ステップ714では、高い方の閾値であるT2と前記Hを比較する。前記Hについて、H>T2かどうか判断される。H>T2が真の場合はステップ716へ進む。H>T2が偽の時はステップ715へ進み、画像のコントラストが中間の時用の係数2を選択する。係数2は例えばα=1.5のように設定される。
ステップ716では、前記HにつてT2<Hなので、画像のコントラストが高い時用の係数1を選択する。係数1は例えばα=1のように設定される。
本実施例では係数の種類を3種類としているが、これに限定されることなく係数の種類を増やしたり、設定する値を変えることもできる。
【0036】
ステップ717では、ステップ701からステップ716で演算され導き出されたフィルタを、次に白線検出領域を設定しフィルタ演算を行うために使用するメモリ3に記憶されているフィルタと置き換える。
更新する新しいフィルタは、白線の傾きとエッジ画像のコントラストの両方を考慮したものであり、例えばフィルタの種類と係数の掛け算されたものである。例として、フィルタ2と係数2が選択された場合における、更新するフィルタを図10に示す。
【0037】
一方の白線において、白線検出領域を設定しエッジ画像抽出の際に用いるフィルタは、当該白線において自車両から見て前記白線検出領域を設定しようとする領域の一つ手前の領域で導き出されたフィルタを使用する。
次にエッジ抽出する白線検出領域が自車両に一番近いところである場合には、当該領域において前回入力された画像から導き出されたフィルタを使用する。
【0038】
図3、図4のフローチャートに戻って、ステップ110では、白線検出領域の設定がすべて終了したかどうかを判断する。図5に示す例では、左右の道路白線8上に6個ずつ計12個の白線検出領域を自車両に近い方から順に設定するものとしたが、全部の白線検出領域を設定していない場合はステップ104に戻り次の白線検出領域を設定する。一方、全部の白線検出領域を設定している場合にはステップ111へ進む。
【0039】
ステップ111では、すべての白線検出領域で検出した仮の白線の数が所定値以上かどうかを確認し、所定値より少なければ白線検出領域内に道路白線が含まれていなかったと判断し、後述するステップ120へ進む。一方、仮の白線が所定値以上検出された場合には、道路白線が検出されたとしてステップ112へ進む。
【0040】
ステップ112では、今回検出した道路白線と前回入力された画像から求めた白線モデルとのずれ量を算出する。
ステップ113でずれ量に基づいて道路パラメータの変動量Δa〜Δeを算出する。この変動量の算出方法は、例えば特開平8−5388号に開示されているような方法を取ることができる。
【0041】
次にステップ114では算出した道路パラメータの変動量Δa〜Δeにより道路パラメータa〜eを補正する。例えば式(1)に示す白線モデルの場合には次式により道路パラメータa〜eの補正を行う。a’は補正結果であるaに対し前回の入力画像より求められた白線モデルの道路パラメータである。b’、c’、d’、e’についても同様とする。
a=a’+Δa、 b=b’+Δb、 c=c’+Δc、
d=d’+Δd、 e=e’+Δe、 (2)
【0042】
ステップ115では、道路パラメータの中で道路形状を表わすパラメータが正常かどうかを確認し、正常でない場合にはステップ116へ進み、道路形状道路形状を表わすパラメータを初期化する。式(1)に示す白線モデルの場合には、パラメータbが道路曲率を、パラメータeが車線幅をそれぞれ反映する。したがって、パラメータbから推測される道路曲率bが、センサ4による車両挙動検出値から判断して現在走行している道路ではありえない道路曲率になった場合は、パラメータbを初期化する。同様にパラメータeから推測される車線幅がセンサ4による車両挙動検出値から判断して現在走行している道路ではあり得ない車線幅になった場合には、パラメータeを初期化する。道路形状を表わすパラメータが正常な場合にはステップ117へ進む。
【0043】
次にステップ117では車両挙動を表わすパラメータが正常かどうかを確認し、正常でない場合はステップ118へ進み、車両挙動を表わすパラメータを初期化する。式(1)に示す白線モデルの場合には、パラメータaが車線内の自車両の位置を、パラメータcが道路に対するヨー角を、パラメータdが路面に対するピッチ角をそれぞれ反映する。したがってパラメータaから推定される車両位置が、道路曲率の推定値あるいはセンサ4による車両挙動検出値から判断して現在走行している道路では有り得ない車両位置になった場合には、パラメータaを初期化する。同様にパラメータcにより推定されるヨー角が、道路曲率の推定値、あるいはセンサ4による車両挙動検出値から判断して現在走行している道路では有り得ない角度になった場合には、パラメータcを初期化する。さらに、パラメータdから推定されるピッチ角が、センサ4に車両挙動検出値から判断して現在走行している道路では有り得ない角度になった場合になった場合には、パラメータdを初期化する。車両挙動を表わすパラメータが正常な場合にはステップ119へ進む。
【0044】
ステップ119では、補正した道路パラメータa〜eを新しい白線モデルの道路パラメータとして更新し、メモリ3に記憶する。
最後にステップ120では、更新された道路パラメータから白線モデルを算出する。またステップ111で白線の検出数が所定値以下の時は、前回の道路パラメータの推定値から白線モデルを算出する。必要に応じ道路パラメータからの情報を車両制御部5や警報部6や表示部7などに出力する。
以上の処理が終了したらステップ102へ戻り上述した処理を繰り返す。
【0045】
本実施例では、ステップ104が本発明の白線検出領域設定手段を構成し、ステップ105がエッジ画像生成手段を、ステップ108が白線検出手段を構成する。また、ステップ109がエッジフィルタ更新手段を構成し、ステップ119がパラメータ更新手段を構成する。
【0046】
本実施例は以上のように構成され、白線の傾きに応じた最適なフィルタが得られるため、カーブによる検出誤差の影響や、自車両が走行車線内で左右に寄って走行している等の場合において、白線の見え方による検出誤差の影響を無くすことができる。例えば図11に示す進行方向がカーブしている道路の白線を検出するような場合に、強調したい白線の線分の傾きが複数混在(例えば図中左側白線の車両に近い領域は右上がりの45度の線分、左側白線の車両から遠い領域の白線の傾きは水平に近い線分、図中右側白線の車両に近い領域の白線の傾きは左上がりの45度の線分、右側白線の車両から遠い領域の白線の傾きは垂直に近い線分)していても、的確に白線の線分を強調することができる。
【0047】
白線検出領域設定の際に白線モデルを基に領域を設定することにより、小さな領域で道路白線を捕らえることができ、白線検出領域が小さい分エッジフィルタ演算の処理速度が速くなり、またノイズ成分を検出する可能性が低くなるので、正確な道路白線が検出できる。
【0048】
なお、白線検出領域を設定する際に、過去の白線モデルの変化の様子から白線モデルの変化の方向にオフセットした位置に白線検出領域を設定してもよい。
白線検出領域はメモリ3上に設定するようにしているが、マイクロコンピュータがキャッシュメモリ等を有しているのであれば、そのメモリを利用してもかまわない。
【0049】
図5において白線検出領域を自車両から見て白線の内側のエッジ部分に設定したが、白線モデルが自車両から見て白線の外側に設定されている等の時は、その白線モデルが白線検出領域の中心となるように領域設定する。
【0050】
初期状態において道路パラメータを設定する際には、センサ4で検出される車両の挙動を表わす値に基づいて道路パラメータの初期値を設定してもよい。例えば初期状態において、ステアリングが右または左に転舵されているような時は、操舵角に応じた曲率の道路を走行していると判断して、パラメータbに操舵角に応じた値を設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す図である。
【図2】カメラの取り付け位置を示す図である。
【図3】道路白線検出処理を示すフローチャートである。
【図4】道路白線検出処理を示すフローチャートである。
【図5】白線検出領域を示す図である。
【図6】白線検出領域における検出白線を示す図である。
【図7】エッジフィルタの更新処理を示すフローチャートである。
【図8】エッジフィルタの更新処理を示すフローチャートである。
【図9】エッジフィルタの例を示す図である。
【図10】更新されたフィルタの例を示す図である。
【図11】カーブしている道路を示す図である。
【符号の説明】
1 カメラ
2 マイクロコンピュータ
3 メモリ
4 センサ
5 車両制御部
6 警報部
7 表示部
8 白線
9 消失点
10〜21 白線検出領域
22 白線モデル
23 車両
Claims (6)
- 車両に搭載された自車両の周りの所定領域を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段から得られた画像を記憶する画像記憶手段と、
前記画像記憶手段により記憶された画像に対して、自車両の走行車線の白線を検出するための領域を設定する白線検出領域設定手段と、
前記白線検出領域設定手段により設定された領域に対して、フィルタ演算によりエッジ抽出を行いエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段と、
前記白線検出領域内で抽出されたエッジ画像より白線検出を行う白線検出手段と、
前記エッジ画像生成手段でのフィルタ演算に用いるフィルタ係数を更新するエッジフィルタ更新手段とを有し、
前記エッジフィルタ更新手段は、前記白線検出領域内の濃度値と前記白線検出手段により検出された白線の傾きの両方に基づいてフィルタを更新することを特徴とする白線検出装置。 - 道路形状と車両挙動を表わす複数のパラメータを用いて、道路白線の形状を数式化モデルで表わしたものを白線モデルとし、この白線モデルと前記白線検出手段で検出された結果が一致するように前記白線モデルの複数のパラメータを更新するパラメータ更新手段を有することを特徴とする請求項1に記載の白線検出装置。
- 前記白線検出領域設定手段は、前記画像記憶手段により記憶された画像に対して、自車両の走行車線の白線を検出するための複数の領域を、自車両から見て近い方から遠い方へ順次設定することを特徴とする請求項1または2に記載の白線検出装置。
- 前記エッジ画像生成手段は、前記白線検出領域設定手段で設定する領域ごとにフィルタ演算処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の白線検出装置。
- 前記エッジフィルタ更新手段は、前記白線検出領域設定手段で設定された白線検出領域内の濃度値と前記白線検出手段により検出された白線の傾きの両方に基づいて、次の白線検出領域内の白線のエッジが最も強調されるようなフィルタを予測してエッジフィルタの更新をすることを特徴とする請求項3または4に記載の白線検出装置。
- 前記エッジフィルタ更新手段は、次にフィルタ演算する白線検出領域が自車両に一番近い領域である場合には、前回入力された画像上において自車両に一番近い白線検出領域で演算され導き出された当該領域に用いたフィルタを、フィルタ演算に用いるフィルタとして更新することを特徴とする請求項3、4または5に記載の白線検出装置。
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