JP3867473B2 - 姿勢センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は姿勢センサ、特に、CDドライバ,DVDドライバなどのように縦置きあるいは横置きのいずれにも設置可能な電子機器の設置状態を検出するための姿勢センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器の設置状態を検出する姿勢センサとしては、例えば、特公平7−113551号公報に開示の傾斜センサがある。
すなわち、内部に空間を有する非磁性体からなるケースと、前記空間内に変位自在に収容された永久磁石と、前記永久磁石に吸着されて前記永久磁石と前記空間の底面との間に入り込み、前記永久磁石を前記底面から浮上させるに必要な量の磁性流体と、前記ケースを介して前記空間に対向するように前記ケースの外部に配置、固定された磁気感応素子とからなり、前記ケースが傾いたとき、前記永久磁石がその重量により前記空間の低い位置へ移動し、前記磁気感応素子によって感知される磁気が変化することにより、前記ケースが傾いたことを検出することを特徴とする傾斜センサである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の従来例では、永久磁石の周囲に磁性流体が必要であるので、部品点数,組立工数が多いだけでなく、装置の小型化が困難である。また、磁性流体の流出を防止するためにケースの摺動部分に高い密閉性を必要とするので、組立てに手間がかかる。さらに、前記傾斜センサは水平位置から左右にそれぞれ90度までの傾斜を検出することは可能であるが、90度を越えた傾斜状態を検出するためには複数個の磁気感応素子を設置しなければならないという問題点がある。
【0004】
本発明は、前記問題点に鑑み、部品点数,組立工数が少なく、製造容易な小型の姿勢センサを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる姿勢検出センサは、前記目的を達成するため、正面略斜方形の内部空間を有する非磁性ハウジングと、厚さ方向に磁束を生じるように着磁された永久磁石で形成され、かつ、前記ハウジングの内部空間内に転動自在に収納された転動体と、前記ハウジングの背面側に配置され、かつ、前記転動体の磁気を検出する磁気検出素子と、からなる構成としてある。なお、ここで、斜方形とは、4辺の長さが等しい菱形だけでなく、4辺の長さが異なる方形も含む。
【0006】
したがって、本発明によれば、永久磁石からなる転動体の位置を磁気検出素子で検出することにより、ハウジングの設置状態を検知できる。このため、従来例のような磁性流体を必要とせず、部品点数,組立工数が少なくなる。また、磁性流体を密閉する必要がないので、組立てが容易になる。さらに、本発明にかかる転動体の永久磁石は、その磁束が厚さ方向、すなわち、磁気センサに直交するように着磁されている。このため、高い磁束を保持させたまま、前記転動体の外周面にて転動させることができるので、形状を薄くできる。そして、ハウジングが水平状態から傾斜して90度の傾斜を超え、例えば、180度前後に変位しても、変位ごとの磁束を検出してハウジングの設置状態を検知できる。このため、1個の磁気検出素子で4方向の設置状態を検出できる。
【0007】
また、前記転動体は、その一部を永久磁石よりも高比重の材料で形成してもよい。
したがって、本発明によれば、転動体は永久磁石だけでなく、永久磁石よりも高比重の材料を少なくとも一部に含んでいる。このため、装置の小型化に伴って転動体が小さくなっても、ハウジング内で転動しにくくなることがなく、設置状態を確実に検出できる。
【0008】
さらに、前記転動体は、ハウジング内を転動自在な円筒状回動部材と、この回動部材の中心に振動板を介して厚さ方向に振動可能に支持された永久磁石と、で形成してもよい。
したがって、本発明によれば、転動体に組み込んだ永久磁石の振動によって発生する電圧の変位あるいは逆起電力等により、ハウジングの設置状態を検出するだけでなく、ハウジングの振動をも検出できるという効果がある。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる姿勢センサを、図1ないし図7の添付図面に従って説明する。
第1実施形態にかかる姿勢センサは、図1および図2に示すように、所定の凹所14を有する筐形ケース11にカバー12を組み付けてハウジング10を形成し、このハウジング10内に永久磁石からなる転動体20を転動自在に収納したものである。なお、前記ハウジング10としては、例えば、高さ5mm,巾3mm,長さ8mmの外形寸法を有するものが挙げられる。
【0010】
前記ケース11は、図2に示すように、その背面に形成した凹部13に、例えば、ホール素子,ホールICなどの磁気検出素子30を固着一体化したものである。さらに、前記ケース11は、その正面に略ひし形の凹所14を形成してある。この凹所14は、対向する上下の隅部に略V字形状の凹部15,16をそれぞれ設けてある。この凹部15,16は、転動体20を素早く落ち着かせるとともに、微小な動きによる誤動作を回避するためのものである。さらに、前記凹所14は、対向する左右の隅部に極率の小さな円弧面17,18をそれぞれ形成してある。
そして、転動体20の動作開始角度は必要に応じて前記凹部15,16の角度,長さ等を変更して調整できる。例えば、凹所14各辺の傾斜角度を20度とし、前記凹部15,16の開口角度を90度とした場合、転動体20が前記凹部16に落ち込んでいるとき、ハウジング10を20度傾けても転動体20は変位しないが、45度傾けたときに動き始める。
本実施形態によれば、1個の磁気検出素子30によって横置き状態および縦置き状態のいずれをも明確に検出できる。
【0011】
前記永久磁石からなる転動体20は、前記ハウジング10の凹所14内に転動自在に収納できるものであればよく、その形状としては、例えば、円板状,円筒状,円柱状等が挙げられ、その材質としては、燒結磁石、プラスチック磁石、ゴム磁石等が挙げられる。さらに、前記転動体20は、円滑な動作を確保するため、その端面縁部に面取り,アールを設けておいてもよい。そして、前記転動体20を構成する永久磁石は、その磁束が磁気検出素子30に直交するように厚さ方向に着磁されている。
なお、転動体20は、前述したような永久磁石単体である必要はなく、例えば、比重の大きい円筒状回動部材の内側に永久磁石を埋め込んでもよく、また、その逆の構成であってもよい。例えば、永久磁石としてフェライト(密度5g/cm2)を使用し、前記回動部材に高比重の銅(密度9g/cm2)を使用すれば、自重によって容易に転動する転動体20が得られる。
【0012】
磁気検出素子30は凹所14の背面中央に配置する場合に限らず、例えば、図3に示すように、中心よりも若干上方に配置してもよい(第2実施形態)。このように配置することにより、正常に配置されているか、逆さまに配置されているのかを判別できる。
【0013】
また、前記凹所14は上下対称あるいは左右対称である必要はなく、例えば、図4に示すように、凹所14を左右非対称に形成し、かつ、磁気検出素子30を中心よりも若干上方に配置してもよい(第3実施形態)。このように配置することにより、4方向の設置状態をそれぞれ別個に検出できるという利点がある。
【0014】
さらに、磁気検出素子30は、ケース11の背面に固着一体化する場合に限らず、例えば、図5に示すように、ハウジング10と別個独立に配置して転動体の磁気を検出してもよい(第4実施形態)。本実施形態では、ハウジング10の下端面に一対の補強用支持部10a,10aが圧入あるいはインサート成形等で一体化されている。したがって、本実施形態によれば、プリント基板(図示せず)に磁気検出素子30を装着した後、ハウジング10を装着する。
本実施形態によれば、ハウジング10を適宜選択して装着することにより、所望の検出方向を選択できて便利である。また、転動体20の衝撃力を磁気検出素子30が直接受けないので、耐衝撃性が向上する。
【0015】
また、磁気検出素子30は、図6に示すように、ケース11の背面内にインサート成形してもよい(第5実施形態)。本実施形態によれば、シールド性が向上し、湿気,温度等の外部環境の影響を受けにくい姿勢センサが得られるという利点がある。
【0016】
さらに、転動体20は、永久磁石単体に限らず、図7に示すように、円筒状回動部材21に一対の振動板22,22を介して永久磁石23を厚さ方向に振動可能に吊り下げたものであってもよい。そして、前記ハウジング10の内面のうち、前記永久磁石23に対応する部分にコイル、例えば、プリントコイル(図示せず)を形成する(第6実施形態)。このような構成とすることにより、永久磁石23が厚さ方向に振動した場合には、永久磁石23の移動速度に比例する逆起電力が前記コイルに発生し、永久磁石23の振動を検出できる。
前記永久磁石23にはプラスチック磁石を使用し、これを一対の振動板22を介して前記回動部材21にアウトサート成形で支持してもよい。また、前述の磁気検出素子を振動の検出に兼用することにより、コイルを省略してもよい。
【0017】
なお、本願の姿勢センサをプリント基板に実装する場合には、ハウジングの下端面あるいは下端面の周辺縁部に金属メッキを施しておき、ハンダ槽に浸漬してハンダで固定してもよい。
また、ハウジングはケースにカバーを取り付ける構成に限らず、例えば、上下に2つ割りできる構造であってよい。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、永久磁石からなる転動体の位置を磁気検出素子で検出することにより、ハウジングの設置状態を検知できる。このため、従来例のような磁性流体を必要とせず、部品点数,組立工数が少なくなる。
また、磁性流体を密閉する必要がないので、組立てが容易になる。
さらに、転動体の永久磁石は、その磁束が厚さ方向、すなわち、磁気センサに直交するように着磁されている。このため、ハウジングが水平状態から傾斜して90度の傾斜を超え、例えば、180度前後に変位しても、磁束の増減を検出することにより、ハウジングの設置状態を検出できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる姿勢センサの第1実施形態を示す正面断面図である。
【図2】 図1に示した姿勢センサの縦断面図である。
【図3】 本発明にかかる姿勢センサの第2実施形態を示す正面断面図である。
【図4】 本発明にかかる第3実施形態を示す正面断面図である。
【図5】 本発明にかかる第4実施形態を示す縦断面図である。
【図6】 本発明にかかる第5実施形態を示す縦断面図である。
【図7】 本発明にかかる第6実施形態の転動体を示す正面断面図である。
【符号の説明】
10…ハウジング、11…ケース、12…カバー、14…凹所、15,16…凹部、17,18…円弧面、20…転動体、21…回動部材、22…振動板、 23…永久磁石、30…磁気検出素子。

Claims (3)

  1. 正面略斜方形の内部空間を有する非磁性ハウジングと、厚さ方向に磁束を生じるように着磁された永久磁石で形成され、かつ、前記ハウジングの内部空間内に転動自在に収納された転動体と、前記ハウジングの背面側に配置され、かつ、前記転動体の磁気を検出する磁気検出素子と、からなることを特徴とする姿勢センサ。
  2. 前記転動体が、その一部を永久磁石よりも高比重の材料で形成したことを特徴とする請求項1に記載の姿勢センサ。
  3. 前記転動体が、ハウジング内を転動自在な円筒状回動部材と、この回動部材の中心に振動板を介して厚さ方向に振動可能に支持された永久磁石と、からなることを特徴とする請求項1または2に記載の姿勢センサ。
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