JP2008210637A - 傾斜センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気効率が良く、小型で生産性の高い傾斜センサを提供することにある。
【解決手段】前記転動体32が前記静止位置18aにあるときに、一対の前記永久磁石30,31の間だけに磁力線が流れる第1磁気回路41を閉成する。そして、前記ケース10が傾斜して転動体32が第1終端部18bに転動したときに、前記転動体32と一方の永久磁石30との間だけに磁力線が流れる第2磁気回路42を閉成するとともに、前記磁力検出領域25が他方の永久磁石31の磁力線を検出する。また、前記ケース10が傾斜して転動体32が第2終端部18cに転動したときに、前記転動体32と他方の永久磁石31との間だけに磁力線が流れる第3磁気回路43を閉成するとともに、前記磁力検出領域25が一方の永久磁石31の磁力線を検出する。このため、転倒方向に応じて異なる検出出力を出力する。
【選択図】図4

Description

本発明は傾斜センサ、特に、デジタルカメラ、ビデオカメラ等に使用される小型の磁力式傾斜センサに関する。
従来、傾斜センサとしては、例えば、永久磁石からなる転動体を転動溝内で転動させ、前記転動体の磁力線を磁気検出素子で感知し、被検出体の傾きを検出するものがある(特許文献1参照)。
しかし、前記傾斜センサは、転動体が永久磁石で形成されているので、外部磁界の影響を受けやすい。このため、前記傾斜センサの周辺に電磁石や磁気を帯びた金属が存在すると、転動体が転動しにくくなり、傾斜状態を正確に検出できないおそれがあった。
そこで、外部磁界の影響を回避すべく、永久磁石をケースに固定するとともに、一対の磁性体を組み付けた振り子を前記ケースに回動可能に支持し、前記磁性体を介して磁気回路を閉成することにより、傾斜状態を検出する傾斜センサが提案されている(特許文献2参照)。
特開2001−324324号公報 特開2006−90796号公報
しかしながら、特許文献2にかかる傾斜センサは、振り子に組み付けた磁性体を介して磁力線を湾曲させ、ホールICに交差させて磁気回路を閉成していた。このため、磁力線が磁性体内を通過する必要があり、空間ギャップが大きく、磁気抵抗が大きい。この結果、磁気損失が生じやすく、磁束密度が低いので、所望の磁気効率を得にくい。したがって、引用文献2にかかる傾斜センサでは、磁性体内を所望の磁束密度で磁力線を通過させようとすると、大きな永久磁石を配置する必要があり、装置の小型化が困難であるとともに、部品点数,組立工数が多く、生産性が低いという問題点がある。
本発明は、前記問題点に鑑み、磁気効率が良く、小型で生産性の高い傾斜センサを提供することを課題とする。
本発明にかかる傾斜センサは、前記課題を解決すべく、静止位置から異なる2方向に延在し、かつ、先端部に第1,第2終端部を有する転動溝を、内底面に形成した箱形ベースと、前記転動溝に転動自在に収納される磁性材からなる転動体と、前記第1,第2終端部のそれぞれに隣り合う位置に、かつ、対向する磁極面が互いに異極となるように配置した一対の永久磁石と、前記永久磁石の間に配置され、かつ、中央に磁力検出領域を有するホールICと、からなり、前記転動体が前記静止位置にあるときに、一対の前記永久磁石の間だけに磁力線が流れる第1磁気回路を閉成する一方、前記ケースが傾斜して転動体が第1終端部に転動したときに、前記転動体と一方の永久磁石との間だけに磁力線が流れる第2磁気回路を閉成するとともに、前記磁力検出領域が他方の永久磁石の磁力線を検出し、 前記ケースが傾斜して転動体が第2終端部に転動したときに、前記転動体と他方の永久磁石との間だけに磁力線が流れる第3磁気回路を閉成するとともに、前記磁力検出領域が一方の永久磁石の磁力線を検出することにより、転倒方向に応じて異なる検出出力を出力する構成としてある。
本発明によれば、磁性材からなる転動体が転動溝の第1,第2終端部のいずれかに転動すると、第1,第2終端部のそれぞれに隣り合う位置に配置した一対の永久磁石のうち、一方の永久磁石と前記転動体との間だけに磁力線が流れる第2磁気回路が閉成されるとともに、一対の永久磁石の間だけで閉成されていた第1磁気回路が解消する。これと同時に、残る他方の永久磁石とホールICの磁力検出領域との間だけに磁力線が流れる第3磁気回路が閉成され、他方の永久磁石の磁力線がホールICの磁力検出領域に直接流れる。したがって、他方の永久磁石とホールICの磁力検出領域との空間ギャップが小さく、磁気抵抗が小さい。このため、磁気損失が少なく、永久磁石の磁力線を無駄なく利用できるので、磁気効率の良い傾斜センサが得られる。
また、磁気効率が向上するので、大きな永久磁石を使用する必要がなくなるとともに、従来例のように磁性体を振り子に組みつける必要がない。このため、本願発明によれば、部品点数,組立工数が少ない小型の傾斜センサが得られる。
本発明にかかる実施形態として、転動体は球状であってもよい。
本実施形態によれば、転動体が球状であるので、その摩擦は小さく、特に、従来例のように振り子と回動軸部との間に生じていた摩擦の約10分の1程度である。このため、摩擦による動作特性のバラツキが少なくなり、信頼性の高い傾斜センサが得られる。
また、前述の従来例のように、振り子と磁性体とを別部品で構成する必要がなく、部品点数、組立工数が少ないので、生産性が高く、コストを低減できる。特に、高い組立精度を必要としていた振り子と磁性体との組み付け作業が不要になるので、生産性がより一層向上するという効果がある。
本発明にかかる傾斜センサの実施形態を図1ないし図5の添付図面に従って説明する。
本実施形態にかかる傾斜センサは、ケース10と、磁気検出手段であるホールIC20と、一対の永久磁石30,31と、磁性材からなる球状転動体32と、カバー33とから構成されている。なお、本実施形態にかかる傾斜センサ本体の大きさは、巾5mm、高さ5mm、厚さ2mmであり、球状転動体32の直径は1.2mmである。
前記ケース10は、正面略正方形の箱形状を有する樹脂成形品であり、対向する両側側壁に電源端子11,13および信号端子12,14をそれぞれインサート成形してある。また、前記ケース10は、その正面の上半分の中央に、後述するホールIC20を組み付ける中央凹部15を形成してある。さらに、前記中央凹部15の両側には後述する永久磁石30,31をそれぞれ配置する凹部16,17をそれぞれ形成してある。そして、前記凹部16,17の底面には前記端子11,12,13,14の接続端部がそれぞれ露出している。ついで、前記ケース10は、その正面の下半分に略V字形状の転動溝18を設けてある。前記転動溝18は、その中央に設けた静止位置18aから異なる方向にそれぞれ延在し、第1終端部18bが前記凹部16の近傍まで延在しているとともに、第2終端部18cが前記凹部17の近傍まで延在している。
前記ホールIC20は、磁気センサであるホール素子と、このホール素子の出力信号をデジタル信号に変換するICがパッケージされたものである。そして、前記ホールIC20は、対向する両側側面に電源端子21,23および信号端子22,24をそれぞれインサート成形してある。また、前記ホールIC20は、その中央部に磁気検出領域25が配置されている。前記磁気検出領域25は、ホールIC20に内蔵されたホール素子が磁気を検出できる領域である。そして、前記ケース10の中央凹部15にホールIC20を配置することにより、端子21,22,23,24が、ケース10の端子11,12,13,14にそれぞれ接続され、信号端子12,14が傾斜センサの出力端子を形成する。
前記永久磁石30,31は、前記ケース10の凹部16,17にそれぞれ嵌合可能な正面形状を有する。そして、前記前記永久磁石30,31は前記ケース10の凹部16,17にS極、N極が対向するようにそれぞれ組み付けられる。このため、永久磁石30,31の磁力線は、ホールIC20の磁気検出領域25に検出されない方向、すなわち、ホールIC20の表面に対して平行に流れて第1磁気回路41を閉成する(図3C)。
転動体32は、前記転動溝18に転動自在に収納可能な外径を有する球状磁性材であり、前記転動溝18の静止位置18aにおいて静止する。また、前記転動体32は、球状に限らず、円柱形状であってもよい。円柱形状であれば、丸棒状磁性材から切り出して製造でき、製造が容易、かつ、安価になるという利点がある。
カバー33は、前記ケース10の開口縁部を被覆する正面形状を有し、前記ケース10の開口縁部に固定することにより、球状転動体32の脱落を防止する。
次に、前述の構成部材からなる傾斜センサの動作について説明する。
まず、図3に示すように、傾斜センサが直立しているときは、球状転動体32が転動溝18の静止位置18aで静止している。このため、永久磁石30,31の間だけに流れる磁力線はホールIC20の表面に対して平行であり、前記ホールIC20の磁気検出領域25に磁力線は交差しない。
そして、図4に示すように、前記傾斜センサを右側に倒して90度、傾けると、転動体32が転動溝18の静止位置18aから第2終端部18cまで転動し、永久磁石31に接近する。これにより、前記永久磁石31の磁力線が前記転動体32との間に流れて第2磁気回路42が閉成される。このため、前記永久磁石30の磁力線がホールIC20の磁気検出領域25に交差するように流れて第3磁気回路43を閉成し、図4C中で時計回り方向の磁力線が作用するため、ホールIC20は信号端子12から検知信号を出力する(図5B)。
ついで、前記傾斜センサを引き起こすと、転動体32が転動溝18の静止位置18aに復帰する。このため、永久磁石30,31の間だけに磁力線が流れ、前記ホールIC20の表面に平行な磁力線が流れる第1磁気回路41が閉成され、ホールIC20からの検知信号の出力が停止する。
さらに、前記傾斜センサを左側に倒して90度、傾けると、転動体32が転動溝18の静止位置18aから第1終端部18bまで転動し、右側に倒した場合と同様、前記永久磁石31の磁力線がホールIC20の磁気検出領域25に交差するように流れる。このときの磁力線の方向は、右に倒した場合(時計回り方向)と逆方向となり、ホールIC20は信号端子12から検知信号を出力する(図5B)。すなわち、右側に倒したときの出力と、左側に倒したときの出力とをそれぞれ明確に区別して検出できる。
本実施形態によれば、球状転動体を転動させて検知信号を出力するものであり、転がり摩擦は滑り摩擦の10分の1程度である。このため、応答特性が良く、故障しにくいとともに、耐久性に優れた傾斜センサが得られる。
なお、本実施形態では、永久磁石30,31とホールICとを略同一平面上に配置してあるが、いずれか一方を厚さ方向にずらして部分的に重なり合うように配置してもよいことは勿論である。
本発明にかかる傾斜センサは前述の傾斜センサに限らず、他の傾斜センサに適用してもよいことは勿論である。
本発明に係る傾斜センサの斜視図である。 図1に示した傾斜センサの分解斜視図である。 図A、図Bおよび図Cは、動作前を示す斜視図、正面図およびC−C線断面図である。 図A、図Bおよび図Cは、動作後を示す斜視図、正面図およびC−C線断面図である。 図Aおよび図Bは、本実施形態にかかる傾斜センサの正面図、および、タイムチャート図である。
符号の説明
10:ケース
11,13:電源端子
12,14:信号端子
15:中央凹部
16,17:凹部
18:転動溝
18a:静止位置
18b,18c:第1,第2終端部
20:ホールIC
21,23:電源端子
22,24:信号端子
25:磁気検出領域
30,31:永久磁石
32:転動体
33:カバー
41:第1磁気回路
42:第2磁気回路
43:第3磁気回路

Claims (2)

  1. 静止位置から異なる2方向に延在し、かつ、先端部に第1,第2終端部を有する転動溝を、内底面に形成した箱形ベースと、
    前記転動溝に転動自在に収納される磁性材からなる転動体と、
    前記第1,第2終端部のそれぞれに隣り合う位置に、かつ、対向する磁極面が互いに異極となるように配置した一対の永久磁石と、
    前記永久磁石の間に配置され、かつ、中央に磁力検出領域を有するホールICと、からなり、
    前記転動体が前記静止位置にあるときに、一対の前記永久磁石の間だけに磁力線が流れる第1磁気回路を閉成する一方、
    前記ケースが傾斜して転動体が第1終端部に転動したときに、前記転動体と一方の永久磁石との間だけに磁力線が流れる第2磁気回路を閉成するとともに、前記磁力検出領域が他方の永久磁石の磁力線を検出し、
    前記ケースが傾斜して転動体が第2終端部に転動したときに、前記転動体と他方の永久磁石との間だけに磁力線が流れる第3磁気回路を閉成するとともに、前記磁力検出領域が一方の永久磁石の磁力線を検出することにより、
    転倒方向に応じて異なる検出出力を出力することを特徴とする傾斜センサ。
  2. 前記転動体が球状であることを特徴とする請求項1に記載の傾斜センサ。
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