JP3867472B2 - ツイスト加工用コネクタ保持具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤハーネスにツイスト加工を施すためのツイスト加工用コネクタ保持具に関する。
【0002】
【従来の技術】
伝送ノイズ等の影響を受け難い高信頼性を有する信号伝送用の電線として、従来から、いわゆるツイストペア構造の電線が知られている。ツイストペア構造とは、2本の電線を互いに撚り合わせた構造である。
【0003】
図8は、ツイストペア線を製作するための、従来のツイスト加工機90の概略構成を示しており、図9は、図8における矢印Pで示す上視図である。このツイスト加工機90では、ツイストペアを構成する電線81,82の両端に端子83を圧着した状態で、第1電線固定部91に設けられた第1クランプ部91aによって、電線81,82の一端側を固定する一方で、第2電線固定部92に設けられた第2クランプ部92aによって、電線81,82の他端側を固定する。そして、第1電線固定部91に設けられたモータ91bにより第1クランプ部91aを回転させることによって、両電線81,82に撚りをかけ、ツイストペア線を製作する。
【0004】
なお、図9に示すように、第2電線固定部92は、第1電線固定部91と第2電線固定部92とを連結するレール部材96,97に沿ってスライドできるようになっていて、製作するツイストペア線の長さに対応させて、第2電線固定部92の位置決めができるようになっている。第2電線固定部92をスライドさせる機構としては、例えば、図示していないが、レール部材96に形成したラックと、モータ92bの駆動軸に形成したピニオンとで構成されるラック・ピニオン機構を採用し、第2電線固定部92に備えられたモータ92bで、第2電線固定部92をスライド駆動させることができる。尚、ツイスト加工機90の運転操作は、操作部98で行う。
【0005】
また、第1クランプ部91aは、モータ91bの駆動軸に連結されたブラケット95と、これに取り付けられたクリップ93とを有している。クリップ93の先端部には、一対の挟持面93a,93bが形成されていて、この挟持面93a,93bによって、電線81,82の一端側が挟持されている。他方、第2クランプ部92aは、電線81,82の他端側が当接する当接面部94aと、これに対向配置され、エアシリンダ等の駆動手段によって、図9において矢印Mに示す方向に駆動される挟持板94bとを有している。そして、これら当接面部94aおよび挟持板94bによって、電線81,82の他端側が挟持されている。
【0006】
このように、ワイヤハーネスの製造工程において電線にツイスト加工を行う際は、通常は端子をコネクタに挿入する前に電線にツイスト加工を施し、その後に端子をコネクタに挿入するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ワイヤハーネスの自動生産ラインでは、端子付き電線にコネクタを自動挿入するようになっているものがあり、その場合には、端子付き電線にコネクタを自動挿入した後にツイスト加工を行うことになる。例えば、多極コネクタの複数の分岐線の各端子にコネクタが自動挿入されたワイヤハーネスの場合には、ツイスト加工を行う際にコネクタに端子を挿入した状態で分岐線毎に電線を撚ることになるため、撚り回転時にコネクタが振られたりして電線がコネクタから引っ張られ、コネクタと電線の接続部分に外力が加わり、端子がコネクタから抜けたり、端子係止部が破損したり、断線する等の不具合が生じるおそれがあった。
【0008】
本発明は、こうした従来技術の課題を解決するものであり、ツイスト加工を行う際に、コネクタに端子を挿入した状態で電線を撚ることができ、撚り回転時にコネクタと電線の接続部分に外力が加わるのを防止でき、端子抜けの発生、端子係止部の破損、断線等の発生を抑制することができると共に、保持具へのセットを簡単に行うことができるツイスト加工用コネクタ保持具を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のツイスト加工用コネクタ保持具は、ワイヤハーネスのコネクタを保持するホルダと、ホルダにおけるコネクタを保持する位置に近接して設けられ、ワイヤハーネスのコネクタ近傍の電線を挟んで保持する保持部材とを有し、上記ホルダは、ツイスト加工機の回転軸に固定可能となっており、上記保持部材は、電線保持状態でコネクタとともに上記ホルダに固定可能に構成されているものである。
【0010】
上記構成によれば、ワイヤハーネスのコネクタをホルダで保持すると共にコネクタに接続された電線をコネクタ近傍において保持部材で挟んで保持した状態でツイスト加工機にセットしてツイスト加工を行うことが可能となるため、撚り回転時に電線のみに回転力が作用し、コネクタが振られたりして電線がコネクタから引っ張られることがなくなり、コネクタと電線の接続部分に外力が加わるのを防止することができるので、コネクタに端子を挿入した状態で電線を撚ることが可能となる。その結果、ツイスト加工時に、端子がコネクタから抜けたり、端子係止部が破損したり、断線する等の不具合が生じることがなくなる。
【0011】
上記した本発明のツイスト加工用コネクタ保持具において、上記保持部材は、対向する一対の把持部材が弾性部材を介して連結されていて、上記ホルダに設けた凹部に対し出没可能になっており、該凹部から出ると対向する把持部材が弾性部材によって開いて電線を開放する状態になる一方で、該凹部に没すると対向する把持部材が閉じて電線を把持する状態になるように設定されている。
【0012】
この構成によれば、保持部材がホルダの凹部から出ていると、対向する把持部材が開いた状態にあるので、この把持部材の間に電線を収め、次に弾性部材の付勢力に抗して保持部材をホルダの凹部に収めることによって、ワイヤハーネスの電線が把持部材で挟まれて保持されるため、セット作業が容易となる。
【0013】
また、上記ホルダの凹部に没した状態にある保持部材を外方に押し出す押出部材が、該保持部材の収容位置におけるホルダの底面に出没可能に設けられている構成とすれば、装着された保持部材を押出部材を用いてホルダから外方に押し出して、保持部材に把持されていた電線を開放した状態に簡単にでき、作業性が向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
【0015】
ワイヤハーネスの自動生産ラインでは、端子付き電線にコネクタを自動挿入するようになっているものがあり、例えば、図1(a)に示すエアバッグ装置に用いられるワイヤハーネス2は、多極コネクタ3に複数の分岐する電線4が接続され、各電線4の端子がコネクタ5にそれぞれ装着されている。図2は、このコネクタ5において、2本の電線4a,4bの一端に圧着した端子6がハウジング5a内に挿入されて、端子6の端子係止部6bとハウジング5a側の係止突起5bが係合して、端子6がハウジング5aに係止されている状態を示す断面図である。このワイヤハーネス2に対し、ツイスト加工機でツイスト加工を行って、図1(b)示すような形態にして、電線4'における信号の減衰と雑音の影響を抑制するようにしている。
【0016】
ここで、図3は、先に図8及び図9を用いて説明したツイスト加工機90において、詳細を後述する本発明のツイスト加工用コネクタ保持具10を使用してツイスト加工を行うときの様子を表している。
【0017】
このツイスト加工機90において、第1クランプ部91aは、モータ91bの駆動軸に連結された回転軸31と、これに取り付けられたコネクタ保持具10とを有し、ツイストペアを構成する電線4a,4bの一端側のコネクタ5を保持して固定する。他方、第2クランプ部92aは、電線4a,4bの他端側の多極コネクタ3の近傍の電線4a,4bが当接する当接面部94aと、これに対向配置され矢印M方向に駆動される挟持板94bとを有し、これら当接面部94aと挟持板94bによって、他端側のコネクタ3の近傍の電線4a,4bを挟持する。そして、第1電線固定部91に設けられたモータ91bにより第1クランプ部91aを回転させることによって、両電線4a,4bに撚りをかけ、ツイストペア線を製作する。
【0018】
次に、上記のコネクタ保持具10について、図4〜図7を用いて以下に詳しく説明する。
【0019】
図4に示すように、本発明のコネクタ保持具10は、ワイヤハーネス2のコネクタ5を凹部11bに収めて保持するホルダ11と、このホルダ11におけるコネクタ5を保持する位置に近接して設けられ、ワイヤハーネス2の電線4a,4bを挟んで保持する保持部材20とを有する。
【0020】
上記保持部材20は、図6に示すように、対向する一対の把持部材21,22が、傾斜底面S1,S2で板ばね等の弾性部材23にねじ26で固定して連結されている。この保持部材20を、図4において矢印で示すように、ホルダ11の凹部11aに収め、ホルダ11の側面よりねじ16を把持部材22(21)の案内係止溝22a(21a)に締め込んで取り付ける。これによって、保持部材20が案内係止溝22a(21a)に案内されホルダ11の凹部11aに対し出没可能になると共に、保持部材20がホルダ11から抜け出ないようになる。
【0021】
そして、図7(a)に示すように、この保持部材20が凹部11aから出ると対向する把持部材21,22が弾性部材23によって開いて電線4a,4bを開放する状態になる一方で、図7(b)に示すように、保持部材20が凹部11aに没すると対向する把持部材21,22が閉じて電線4a,4bを把持する状態になるように設定されている。また、これらの把持部材21,22の各対向面には、ゴム板24,25が接着固定されていて、電線4a,4bを挟んだときに電線4a,4bが潰れるのを防止すると共に保持力を強化している。
【0022】
図4に示すように、このホルダ11の凹部11aと凹部11bの隔壁には、電線4a,4bを通すための切欠11dが形成されていると共に、この隔壁に対向する凹部11aの外壁にも同様の切欠11cが形成されている。また、このホルダ11の後側面には、ツイスト加工機90の回転軸31にホルダ11をはめ込んで固定するための横向きで所定長の嵌合穴11hが形成されていると共に、この嵌合穴11hに上方より貫通する取付穴11gが設けられている。
【0023】
そして、上記コネクタ保持具10を、図3に示すように、ツイスト加工機90のモータ91bの駆動軸に連結された回転軸31に嵌合穴11hよりはめ込んで、ボルト32を取付穴11gから締め込んで回転軸31に固定し、ワイヤハーネス2のコネクタ5を凹部11bに収めてホルダ11で保持すると共にコネクタ5に接続された電線4a,4bをコネクタ5の近傍において保持部材20で挟んで保持した状態で、ツイスト加工を行うことができるようになっている。
【0024】
また、ツイスト加工後にホルダ11から保持部材20及びコネクタ5を簡単に外方に押し出すことができるように、図5に示すように、ホルダ11の凹部11a及び凹部11bの各底面には、各凹部11a,11bに没した状態にある保持部材20及びコネクタ5を外方に押し出すための押出部材12,13が出没可能に設けられている。これらの押出部材12,13は、ホルダ11の底面に設けた貫通孔11e,11fを摺動するように軸形状になっていて、その頭部12a、13aがやや大径の円盤状になっている。ここでは、ホルダ11の各凹部11a,11bに没した状態にある保持部材20及びコネクタ5を、押出部材12,13を用いてホルダ11から外方に押し出すときの様子を想像線で表している。
【0025】
更に、保持部材20及びコネクタ5を収容するホルダ11の凹部11a,11bの内壁には、小球体を弾性支持した構造の弾性保持部材14,15が埋め込まれており、保持部材20及びコネクタ5を各凹部11a,11bにそれぞれ収めて弾性保持部材14,15によって保持する構成になっている。このため、ホルダ11へのコネクタ5の着脱並びに保持部材20による電線4a,4bの保持と解除を簡単に行うことができる。加えて、ホルダ11に装着された保持部材20及びコネクタ5を、ツイスト加工後に押出部材12,13を用いてホルダ11の各凹部11a,11bから簡単に押し出すことができ、作業性がよい。
【0026】
上記したコネクタ保持具10を用いて、ツイスト加工機90でワイヤハーネス2にツイスト加工を行えば、ワイヤハーネス2のコネクタ5をホルダ11で保持すると共にコネクタ5に接続された電線4a,4bをコネクタ5の近傍において保持部材20で挟んで保持した状態でツイスト加工機90にセットしてツイスト加工を行うことが可能となる。このため、撚り回転時に電線4a,4bのみに回転力が作用し、コネクタ5が振られたりして電線4a,4bがコネクタ5から引っ張られることがなくなるので、コネクタ5と電線4a,4bの接続部分に外力が加わるのを防止することができ、コネクタ5に端子を挿入した状態で電線4a,4bを撚ることができる。従って、図2に示す端子6がコネクタ5から抜けたり、端子係止部5aが破損したり、断線する等の不具合が生じるのを防止することができる。
【0027】
また、保持部材20は、ホルダ11の凹部11aから出ていると、対向する把持部材21,22が開いた状態にあるので、電線4a,4bを把持部材21,22の間に収め、次に弾性部材23の付勢力に抗して保持部材20をホルダ11の凹部11aに収めることによって、ワイヤハーネス2の電線4a,4bが把持部材21,22で挟まれて保持されるため、セット作業を容易に行うことができる。
【0028】
以上、本発明のツイスト加工用コネクタ保持具は、上記した実施形態の具体的構成に限定されるものではなく、必要に応じ適宜構成を変形、追加又は削除した構成としてもよいことは言うまでもない。
【0029】
例えば、上記では、ホルダに設けた2つの凹部に保持部材及びコネクタを収める形態を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ワイヤハーネスのコネクタを保持するホルダに対し、コネクタ近傍の電線を挟んで保持する保持部材を、ホルダにおけるコネクタを保持する位置に近接して設け、コネクタと共に保持部材を電線保持状態でホルダに固定できる構成であれば、他の形態であってもよい。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のツイスト加工用コネクタ保持具によれば、ワイヤハーネスのコネクタをホルダで保持すると共にコネクタに接続された電線をコネクタ近傍において保持部材で挟んで保持した状態でツイスト加工機にセットしてツイスト加工を行うことができる。従って、撚り回転時に電線のみに回転力が作用し、コネクタと電線の接続部分に外力が加わるのを防止することができるので、ツイスト加工時に、コネクタに端子を挿入した状態で電線を撚ることができ、端子がコネクタから抜けたり、端子係止部が破損したり、断線する等の不具合が生じることがなくなる。
【0031】
上記保持部材は、対向する一対の把持部材が弾性部材を介して連結されていて、上記ホルダに設けた凹部に対し出没可能になっており、該凹部から出ると対向する把持部材が弾性部材によって開いて電線を開放する状態になる一方で、該凹部に没すると対向する把持部材が閉じて電線を把持する状態になるように設定されている構成にすると、保持部材がホルダの凹部から出ていると、対向する把持部材が開いた状態にあるので、この把持部材の間に電線を収め、次に弾性部材の付勢力に抗して保持部材をホルダに収めることによって、ワイヤハーネスの電線が把持部材で挟まれて保持されるため、セット作業が容易となる。
【0032】
また、上記ホルダの凹部に没した状態にある保持部材を外方に押し出す押出部材が、保持部材の収容位置におけるホルダの底面に出没可能に設けられている構成にすると、凹部に没した状態にある保持部材を押出部材を用いてホルダから外方に押し出して、保持部材に把持されていた電線を開放した状態に簡単にできるので、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ツイスト加工を行うワイヤハーネスの構成例を示す図であって、(a)は加工前の状態を、(b)は加工後の状態を表す。
【図2】図1に示すコネクタにおいて、2本の電線の一端に圧着した端子がハウジング内に挿入されて係止されている状態を表す断面図である。
【図3】本発明のツイスト加工用コネクタ保持具を使用してツイスト加工を行うツイスト加工機の概略構成を示す上視図である。
【図4】本発明のツイスト加工用コネクタ保持具の構成例を示す斜視図である。
【図5】本発明のツイスト加工用コネクタ保持具における押出部材の構成例を示す側断面図である。
【図6】本発明のツイスト加工用コネクタ保持具における保持部材の構成例を示す斜視図である。
【図7】本発明のツイスト加工用コネクタ保持具における保持部材の動きを示す正面断面図であって、(a)は電線を開放した状態を、(b)は電線を把持した状態を表す。
【図8】従来のツイスト加工機の概略構成を示す正面図である。
【図9】図8における矢印Pで示す上視図である。
【符号の説明】
2 ワイヤハーネス
4,4',4a,4b 電線
5 コネクタ
10 コネクタ保持具
11 ホルダ
11a,11b 凹部
20 保持部材
12,13 押出部材
23 弾性部材
Claims (3)
- ワイヤハーネスのコネクタを保持するホルダと、
ホルダにおけるコネクタを保持する位置に近接して設けられ、ワイヤハーネスのコネクタ近傍の電線を挟んで保持する保持部材とを有し、
上記ホルダは、ツイスト加工機の回転軸に固定可能となっており、
上記保持部材は、電線保持状態でコネクタとともに上記ホルダに固定可能に構成されていることを特徴とするツイスト加工用コネクタ保持具。 - 上記保持部材は、対向する一対の把持部材が弾性部材を介して連結されていて、上記ホルダに設けた凹部に対し出没可能になっており、該凹部から出ると対向する把持部材が弾性部材によって開いて電線を開放する状態になる一方で、該凹部に没すると対向する把持部材が閉じて電線を把持する状態になるように設定されていることを特徴とする請求項1記載のツイスト加工用コネクタ保持具。
- 上記ホルダの凹部に没した状態にある保持部材を外方に押し出す押出部材が、該保持部材の収容位置におけるホルダの底面に出没可能に設けられていることを特徴とする請求項2記載のツイスト加工用コネクタ保持具。
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