JP3867024B2 - 毛髪化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛髪に優れた風合いを賦与する毛髪化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、本発明が属する毛髪化粧料には大きく分けて3つのタイプの毛髪化粧料があった。
第1のタイプはヘアクリームやヘアミルクといった油脂類を乳化させた毛髪化粧料であり、第2のタイプはヘアオイルといった椿油等の植物油100%の毛髪化粧料、第3のタイプは特許第2537629号公報で提案されているような高分子量シリコーンを配合する毛髪化粧料である。
【0003】
しかしながら、第1のタイプの毛髪化粧料では使用直後および時間経過後の風合いはともに良好であるが、シャンプーによりその効果は失われ、持続性の面で満足いくものではない。
【0004】
一方、第2のタイプの毛髪化粧料ではシャンプーによる洗髪後もその効果は失われず持続性には優れるものの、風合いの面で使用直後及び時間経過後の両方で満足できない。
【0005】
また、第3のタイプの毛髪化粧料では毛髪に優れた光沢を与え、なめらかな感触を賦与することで、一時的に毛髪表面の補修を感じさせるもので、カラーリング等によるダメージヘアに対して使用直後の風合いは良好であるが、その効果は持続せず、時間経過後の風合いは満足できるものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、カラーリング等によるダメージヘアに対して、使用直後はもちろん、時間経過後においても優れた風合い(使用感、ばさつき防止)を有し、かつ、シャンプー後にもその風合いが残る効果持続性に優れ、さらに、就寝前に使用することで、使用直後はもちろん翌朝起床時の毛髪の風合いに優れ、スタイリングしやすい状態に改善してくれるような毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の毛髪化粧料は上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、ステロール誘導体及び/またはシリコーンから選ばれる1種以上と、植物油とからなり、かつ、実質的に水を含有しない毛髪化粧料であり、このような構成により、カラーリング等によるダメージヘアに対して、使用直後はもちろん、時間経過後においても優れた風合い(使用感、ばさつき防止)を有し、かつ、効果持続性に優れ、特に就寝前に使用することで、使用直後はもちろん翌朝起床時の毛髪の風合いにも優れ、スタイリングしやすい状態となると云う効果が得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、ステロール誘導体としては、フィトステロール誘導体及び/またはコレステロール誘導体が挙げられる。
【0009】
フィトステロール誘導体としてはイソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、植物脂肪酸フィトステリル、ポリオキシエチレンフィトステロール、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)等が挙げられる。
【0010】
コレステロール誘導体としてはイソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸ジヒドロコレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、植物油脂肪酸コレステリル、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸(14〜25)コレステリル、長鎖分岐脂肪酸(12〜31)コレステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ノナン酸ジヒドロコレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸ジヒドロコレステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、酪酸コレステリル、酪酸ジヒドロコレステリル、ラノリン脂肪酸コレステリル等が挙げられる。
【0011】
ステロール誘導体は1種以上配合することが好ましく、その配合量は、毛髪化粧料全量中に好ましくは0.01重量%以上3重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%以上1重量%以下である。配合量が0.01重量%未満であると配合の効果が得られず、3重量%を超えて配合すると使用直後や時間経過後にべたつきを生じ風合いの面で満足できないものとなる場合がある。
【0012】
シリコーンとしては(I)式で示される環状シリコーンあるいは(II)式で示されるメチルポリシロキサンが挙げられる。
【0013】
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】
式(I)で表される環状シリコーンにおいてnが6を、式(II)で表される直鎖シリコーンにおいてnが13を、それぞれ超えると、植物油に溶けなくなり、このとき本発明の効果は得られない。さらに、式(II)で表される直鎖シリコーンにおいて、nがより大きくなった直鎖高分子シリコーンの場合、植物油と完全に分離するとともに本発明の効果は得られず、また、実用にも適さない。
また、式(I)で表される環状シリコーンにおいてnが4未満、式(II)で表される直鎖シリコーンにおいてnが3未満の場合、使用時の皮膚等への刺激性が懸念され、実用には適さない。
【0016】
シリコーンは1種以上配合することが好ましく、その配合量は毛髪化粧料全量中に好ましくは1重量%以上90重量%以下、さらに好ましくは5重量%以上50重量%以下である。
【0017】
本発明の毛髪化粧料はステロール誘導体類及び上記シリコーン類から選ばれた1種以上とともに植物油を配合する。植物油としては、アボカド油、アーモンド油、杏仁油、オリーブ油、オリーブスクワラン、キウイフルーツシード油、ククイナッツ油、グレープシード油、ココナッツ油、ゴマ油、小麦油、小麦胚芽油、米油、米胚芽油、山茶花油、サフラワー油、スイートアルモンド油、大豆油、椿油、トウモロコシ油、菜種油、ピスタチオナッツ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ヘーゼルナッツ油、紅花油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドウホーム油、綿実油、落花生油、ローズヒップ油等が挙げられる。
【0018】
これら植物油は少なくとも1種は配合することが必要で、2種以上配合してもよい。その配合量は毛髪化粧料全量中、10重量%以上99.99重量%以下、好ましくは50重量%以上99.95重量%以下である。
【0019】
本発明の毛髪化粧料には原則、水は配合しないが、配合成分由来の吸湿水等不可避的な水分は許容できる。通常これら水分は1重量%以下である。
【0020】
本発明の毛髪化粧料ではこれらステロール誘導体及び/またはシリコーンから選ばれる1種以上と、植物油とからなる毛髪化粧料に、本発明の効果を妨げない限りにおいて、香料、精油、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、植物抽出物などを配合してもよい。
【0021】
【実施例】
以下に本発明の毛髪化粧料について実施例を示し具体的に説明する。
まず、植物油として椿油を選択し、ステロール誘導体として、オレイン酸フィトステリル及びオレイン酸コレステリルを、シリコーンとして式(I)で表される環状シリコーン(ただし、整数nは4)及び、メチルポリシロキサンとして式(II)で表される直鎖シリコーン(ただし、整数nは3)を選択し、表1に示すような配合(重量比)で混ぜ合わせて毛髪化粧料1〜14を得た。
【0022】
また、比較例の毛髪化粧料15〜18を同様に表2に示すような配合(重量比)に混ぜ合わせて得た。なお、これらでは、一般的なエステル油としてミリスチン酸イソプロピルを、また、水を添加する比較例においては乳化剤(界面活性剤)成分として塩化セチルトリメチルアンモニウムを併用した。
【0023】
これら毛髪化粧料1〜18について評価を行った。
使用直後の風合いとしては、市販のカラー剤及びパーマ剤を用い、その用法・用量に従い、カラーリング処理を3回、及び、パーマ処理を1回行った人毛に、それぞれ純分に換算して毛髪化粧料を同量となるように使用した直後に、手で触って評価した。
【0024】
使用感とばさつき防止効果が非常に優れるときを「◎」、使用感とばさつき防止効果が優れるときを「○」、使用感とばさつき防止効果が劣るときを不充分として「△」、さらに、使用感とばさつき防止効果が非常に劣る場合を劣悪として「×」と、それぞれ評価した。
使用後に就寝した場合を想定した長時間経過後の風合いとしては上記使用直後から12時間経過後に同様に触感により評価した。
【0025】
一方、持続性評価としてはカラーリングで傷んだ人毛にそれぞれ純分に換算して同量となるように毛髪化粧料を使用し、12時間経過後にシャンプーを用いて、洗い、充分に水ですすいだ後、ドライヤーで乾燥した後に評価した。
【0026】
シャンプー後も風合いが残っている場合をきわめて良好として「◎」、風合いが少し残っている場合を良好として「○」、風合いがなくなっている場合を劣悪として「×」としてそれぞれ評価した。
これら評価結果を併せて表1及び表2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
表1及び表2から、本発明に係る毛髪化粧料1〜14ではステロール誘導体及び/またはシリコーンから選ばれる1種以上と、植物油との相乗効果により、優れた風合いが得られるとともに、その風合いは長時間保たれ、さらにシャンプー後にも持続することが判る。一方、比較例の毛髪化粧料15〜18においては、使用直後の風合いや12時間経過後の風合い及び持続性のいずれかにおいて、満足のいくものではない。
【0030】
これら毛髪化粧料1〜18以外に、ステロール誘導体として、ポリオキシエチレンフィトステロール、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、ステアリン酸コレステリル、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸(14〜25)コレステリル、ノナン酸コレステリル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)を用いた毛髪化粧料、あるいは、環状シリコーンとして式(I)中の整数nが6または4のものを用いた毛髪化粧料、直鎖シリコーンとして式(II)中の整数nが9または3のものをそれぞれ用いた毛髪化粧料について、それぞれ試作し、それらについても同様に評価した。それら評価結果を表3及び表4に示した。
【0031】
さらに、植物油としてそれぞれオリーブスクワラン、ゴマ油、小麦油、山茶花油、サフラワー油、大豆油、ヒマワリ油、マカデミアナッツ油、メドウホーム油を用いた本発明に係る毛髪化粧料について、それぞれ試作し、それらについても同様に評価した。それら評価結果を表5及び表6に示した。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
表3〜表6により、本発明に係る毛髪化粧料では、様々な植物油と、様々なステロール誘導体及び/または様々なシリコーンとを用いた場合においても優れた使用直後の風合い、12時間経過後の風合い、並びにシャンプー後にも風合いが残る持続性に優れていることが理解される。
【0037】
【発明の効果】
本発明の毛髪化粧料は、カラーリング等によるダメージヘアに対して、使用直後はもちろん、時間経過後においても優れた風合い(使用感、ばさつき防止)を有し、かつ、効果持続性に優れ、特に就寝前に使用することで、使用直後はもちろん翌朝起床時の毛髪の風合いに優れ、スタイリングしやすい状態に改善する優れた毛髪化粧料である。
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