JP3866835B2 - 二輪車のライディングシミュレーション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、走行路を含む映像が表示された画面を見ながら、操作者(乗り手、運転者)が、模型二輪車を操作してライディングシミュレーションを行う二輪車のライディングシミュレーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、乗り手が各種操作可能な模型二輪車と、この模型二輪車の走行状態に係る走行路を含む所望の映像を表示するCRT等を利用した表示器とを組み合わせた二輪車のライディングシミュレーション装置が、遊技用として、あるいは二輪車の運転教育用として使用に供されている。
【0003】
例えば、特開平4−51078号公報に公表されているように、基台上に設けられ、前後、左右および上下方向に移動自在な移動台と、この移動台の動きを駆動する駆動手段と、前記移動台上に設置され乗り手が操作可能な模型二輪車と、前記模型二輪車の前方に配置され、予め記憶された走行路を含む映像を表示するディスプレイ装置と、乗り手の操縦操作や動きに応じて前記駆動手段を制御して前記模型二輪車のヨー、ロールおよびピッチ動を制御するとともに、前記ディスプレイ装置に表示される映像を前記模型二輪車の走行状態に応じて変化させる制御手段とを備える二輪車のライディングシミュレーション装置が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、実際の自動二輪車の走行時において、これを旋回させようとするとき、乗り手はハンドルの操作に対する反力を受ける。
【0005】
しかしながら、上記従来の二輪車のライディングシミュレーション装置では、乗り手に対してハンドルの操作に対する反力を与える手段が搭載されておらず、その点では、未だ、模型二輪車の操縦感は、実際の二輪車の操縦感に比較して現実感が低いという知見をこの出願の発明者等が見いだした。
【0006】
ハンドルの操作に対する反力を乗り手に与えるためには、例えば、ステアリングシャフトの回転を抑制するようにばねにより保持することが考えられるが、この手法では、それほどには現実感を得ることができない。
【0007】
この発明はこのような課題および知見を考慮してなされたものであり、模型二輪車の操縦者に対し、その模型二輪車の旋回操縦時に実車の走行感覚にきわめて近いステアリング反力を与えることを可能とする二輪車のライディングシミュレーション装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る二輪車のライディングシミュレーション装置は、例えば、図面に示すように、操作者28による模型二輪車30の操縦操作に基づいて、走行状態を疑似体験させる二輪車のライディングシミュレーション装置10において、前記模型二輪車のハンドル60の回転軸にはトルクセンサ94とモータ62とが連結され、前記トルクセンサの出力信号に基づき前記モータを駆動し、前記回転軸を介して前記ハンドルを回転させる制御回路18を備え、前記制御回路18は、前記操作者の前記ハンドル操作により発生するステアリングトルク(Ts)が前記トルクセンサにより検出されたとき、前記ハンドル操作により旋回された回転軸を、検出された前記ステアリングトルクの時間積分値S1に第1係数K3をかけた第1角度(S1×K3)と、検出された前記ステアリングトルクに比例したロールレート(R_v)の時間積分値として求められるロール角(R_a)に基づく角度S2に第2係数K4をかけた第2角度(S2×K4)とを加算した角度(Sm=S1×K3+S2×K4)だけ元に戻すように前記モータを駆動することを特徴とする。
また、前記ロール角(R_a)に基づく角度S2は、前記ロール角(R_a)に実車の二輪車のホイールベース長さLをかけ旋回半径Rrで割った角度(S2=R_a×L/Rr)とすることを特徴とする。
さらに車速を検出する車速検出手段を有し、前記制御回路は、低速では、前記第1角度(S1×K3)が前記第2角度(S2×K4)より大きくなるように、中高速では、前記第2角度(S2×K4)が前記第1角度(S1×K3)より大きくなるように前記第1係数K3と前記第2係数K4の値を制御することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、検出されたステアリングトルクと、この検出されたステアリングトルクから算出されたロール角とに応じて前記ハンドルの旋回角度を決定するようにすることで、実際の操縦感覚に近いハンドル旋回角、したがって疑似反力を与えることができる。
【0017】
また、車速にも応じてハンドル旋回角を制御することで、低速旋回時には、操縦者のハンドル操作により順方向に転舵する感覚が得られ、中高速走行時には、旋回操縦時に操縦者のハンドル操作により順方向に転舵し、その後は、車体ロール角に応じた切れ角に収束する感覚を得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、この一実施の形態に係る二輪車のライディングシミュレーション装置10の概略構成説明図である。
【0020】
ライディングシミュレーション装置10は、床面34に設置されている制御機構12と、この制御機構12に対し連結機構14を介して着脱自在なモーションユニット部16と、前記制御機構12に対して通信線200(200a、200b)で接続される制御テーブル(インストラクターテーブルともいう。)201とを備える。
【0021】
制御機構12は、ミニコンピュータ等の制御回路18とCGI発生装置23を収容する本体部19と、この本体部19の上部に設けられるディスプレイボックス20とを備えている。制御テーブル201は、制御機構12に対してホストコンピュータとしても動作するコンピュータ202と、このコンピュータ202に接続される、入力手段としてのキーボード203、マウス204と、表示手段であるCRTディスプレイ等のモニタ205とを備えている。なお、制御機構12およびコンピュータ202は、制御、判断、計算手段等として機能する中央処理装置としてのCPUと、システムプログラム等が記憶される記憶手段としてのROMと、ワーク用等に使用される記憶手段としてのRAMとを有している。
【0022】
図2にも示すように、ディスプレイボックス20は、スピーカユニット22を組み込むとともに、スクリーンを有する投写型ディスプレイ(ディスプレイ、スクリーンまたは画面ともいう。)24を有する。
【0023】
図1に示すように、ディスプレイ装置25は、基本的には、ディスプレイ24とCGI発生装置23とから構成され、そのスクリーン24上に走行路を含む種々の走行状態を表示する。この場合、CGI発生装置23は、制御回路18から伝達される情報(入力情報)およびコンピュータ202から伝達される情報(入力情報)と自身のコンピュータ(CPU、ROM、RAM、ハードディスク等の大容量記憶装置等を含む。)を用いてディスプレイ24に動体(例えば、他車両)および静体(例えば、風景、走行路)の動きのパターンを迅速に表示する。
【0024】
制御回路18から伝達される情報とは、基本的には、模型二輪車30の挙動に係わる、現在位置データ、現在ヨーデータ、現在速度データ、現在加速度データ、現在ピッチ動データ、現在ロール動データであり、これらのデータ(以下、これらのデータを模型二輪車の現在走行データまたは模型二輪車の現在挙動情報データともいう。)が時々刻々入力されるのに応じて、CGI発生装置23は、予め記憶されている風景を含む走行路の映像情報を発生する。
【0025】
スクリーン24上に表示される映像は、CGI発生装置23から通信線200を介してNTSC信号としてコンピュータ202にも供給され、そのモニタ205上にも表示することが可能である。
【0026】
モーションユニット部16は、連結機構14を介して制御機構12に着脱自在な基台26を備え、この基台26上に乗り手28が操作可能な自動二輪車の模型二輪車30と、この模型二輪車30を実際の二輪車の挙動に則して駆動する駆動機構32とが装着される。
【0027】
基台26は、この基台26を床面34上で移動させるための複数の車輪36と、基台26を床面34上で移動不能なように固定するための複数の固定部38とを備える。固定部38は、ねじ軸40を設けており、このねじ軸40が基台26にねじこまれることにより、固定部38が上下方向に移動自在である。
【0028】
基台26上に支持枠42が設けられ、この支持枠42の上部側には、車幅方向に延びるピッチ軸44(図2も参照)を介して模型二輪車30の車体46が前後方向(ピッチ方向)に揺動自在に支持される。また、支持枠42には、支点48を中心に揺動自在なピッチモータ50が支持され、このピッチモータ50に連結されたねじ軸52には、車体46に揺動自在に支持されたナット54に螺合する。さらに、支持枠42には、水平方向にロール軸56を有するロールモータ58が支持され、このロールモータ58の図示しない出力軸に車体46が係合する。
【0029】
模型二輪車30のハンドル60は、ハンドルトルクセンサ(ハンドル操作量検出手段、ステアリングトルク検出手段)94とアクチュエータであるステアリングモータ(反力付与手段、ハンドル旋回駆動手段)62の回転軸64とに直結されており、反力制御手段(ハンドル旋回角度決定手段)としても機能する制御回路18は、このハンドルトルクセンサ94の出力信号に基づき、ステアリングモータ62を介して乗り手28のハンドル60の回動操作に対応する反力を擬似的に付加する。
【0030】
駆動機構32は、ピッチモータ50、ロールモータ58およびステアリングモータ62により構成される。
【0031】
図3に示すように、モーションユニット部16側には、乗り手28が右手で操作するフロントブレーキレバー97に連結されたフロントブレーキ圧センサ98やリヤブレーキペダル99に連結されたリヤブレーキ圧センサ100、さらにアクセルであるスロットルグリップ63に連結されたアクセル開度センサ90等、参照符号90〜100に示す各種センサの他、所望のスイッチを備えたハンドルスイッチ102およびギヤシフトペダル103(図1には示していないが、乗り手28の左足で操作される。)に連結されたギヤポジションスイッチ104が、信号線を介してコネクタ70の一端側に接続される。また、駆動機構32を構成するピッチモータ50、ロールモータ58およびステアリングモータ62が、信号線を介してコネクタ72の一端側に接続される。
【0032】
一方、制御機構12側には、コネクタ70、72の他端側から信号線に接続される制御回路18が設けられている。
【0033】
この制御回路18には、乗り手28に風を送る電動ファン106、振動発生器108、スピーカユニット22およびディスプレイ装置25が接続されるとともに、映像用の通信線200bとデータ伝送用の通信線200aとを介して制御テーブル201が接続されている。
【0034】
制御回路18から前記ディスプレイ装置25を構成するCGI発生装置23に対して模型二輪車30の情報が伝達されることで、この模型二輪車30の情報に応じた映像がディスプレイ24上に表示される。
【0035】
次に、このように構成されるライディングシミュレーション装置10の動作について説明する。
【0036】
乗り手28が、ハンドル60に設けられているアクセルとしてのスロットルグリップ63やフロントブレーキレバー97やクラッチレバー91を操作することで、アクセル開度センサ90の出力信号やフロントブレーキ圧センサ98の出力信号およびクラッチレバー角センサ92の出力信号が制御回路18に供給される。また、リヤブレーキペダル99を操作することで、リヤブレーキ圧センサ100の出力信号が制御回路18に供給される。さらに、クラッチレバー91の操作に伴うギヤシフトペダル103の操作により、ギヤポジションスイッチ104のギヤポジション(ギヤ位置であり、例えば、5速のうちの1速またはニュートラル位置)情報が制御回路18に供給される。
【0037】
一方、模型二輪車30上で乗り手28の体重の移動方向や移動量が、リーントルクセンサ96により検出され、その出力信号が制御回路18に送られる。
【0038】
これらの出力信号に基づいて、制御回路18は、駆動機構32を駆動制御するとともに、ディスプレイ装置25等を駆動制御する。
【0039】
例えば、乗り手28がフロントブレーキレバー97の操作を行い、ブレーキをかけると、フロントブレーキ圧センサ98により検出されるブレーキ圧に応じてピッチモータ50が駆動されて模型二輪車30が前傾され、ブレーキング時の挙動が再現される。一方、スロットルグリップ63の操作によりアクセルを急速に開いた場合も同様に、アクセル開度センサ90により検出される開度に応じてピッチモータ50が駆動され、このピッチモータ50の作用下に模型二輪車30が後傾され、加速操作時の挙動が再現される。
【0040】
また、乗り手28が体重移動を行うと、その体重の移動方向および移動量と走行速度とに基づいてロールモータ58が駆動され、車体46が車幅方向TD(図2参照)に傾動してコーナリング(旋回)時の挙動が再現される。このときの体重移動に伴って、体重移動方向にハンドル60が切られる、すなわちステアリングが切られることになる。このとき、ハンドルトルクセンサ94によりハンドル60の操作量に応じたステアリングトルクが検出され、検出されたステアリングトルクに応じて制御回路18によりステアリングモータ62が駆動されて、ハンドル60が切られる方向と反対方向の反力がハンドル60に与えられ、実車によるものと同様の操縦感覚が実現される。
【0041】
上述したような乗り手28の種々の操作が行われる際に、制御回路18からリアルタイムに模型二輪車30の現在の挙動情報データがCGI発生装置23に供給されることで、ディスプレイ24に模型二輪車30の走行状態に基づいた風景と他車両の映像を含む走行路の映像がリアルタイムで表示されるため、乗り手28は、実車によるものと同等の走行感覚を得ることができる。
【0042】
次に、ハンドルトルクセンサ94により検出されるステアリングトルクに応じてステアリングモータ62を駆動することで、ハンドル60に与えられる反力(ステアリングに与えられる反力であるので、以下、ステアリング反力またはステア動ともいう。)の内容についてさらに詳しく説明する。
【0043】
実際の自動二輪車において旋回する場合、低速ではハンドルを切り、中高速では体重移動により車体をロールさせて旋回する感覚であるという知見が得られている。この知見に基づいて、この実施の形態に係るライディングシミュレーション装置10では、第1に、低速走行シミュレーション時においては、乗り手28のハンドル60の操作により順方向に転舵すること、第2に、中高速走行シミュレーション時においては、乗り手28のハンドル60の操作により初期には順方向に転舵し、その後は、車体46のロール角R_a(図2参照)に応じた切れ角に収束することを考慮してステアリング反力を計算することが必要である。そのため、ステアリング反力の計算式には、ハンドル60の操作とロール角の2つの項を持つようにすることで乗車感覚の向上が得られるものと推定される。 そこで、旋回しようとするときに、ハンドル60に与えられる反力の求め方について、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0044】
まず、乗り手28のハンドル60の操作によって発生するステアリングトルクTs(kg・m)をハンドルトルクセンサ94により検出する(ステップS1)。
【0045】
次いで、ロール方向への傾き速度(角速度)、いわゆるロールレートR_v(deg/sec)を次の(1)式により求める(ステップS2)。
【0046】
R_v=Ts×K1 …(1)
この(1)式から分かるように、ロールレートR_v(deg/sec)は、ステアリングトルクTs(kg・m)に、係数K1(deg/kg・m・sec)を掛けた値として得られるようにしている。換言すれば、ロールレートR_vは、ステアリングトルクTsに比例するようにしている。
【0047】
次に、ロール角R_a(deg)を、次の(2)式により算出する(ステップS3)。
【0048】
R_a=R_a+R_v×S_time …(2)
この(2)式に示すように、左辺に示す算出されるロール角R_aは、この実施の形態では33msに設定されているサイクルタイムS_time(sec)毎に、(1)式で求めたロールレートR_vにサイクルタイムS_timeを掛けた値(R_v×S_time)をその前回の値(右辺のロール角R_a)に加算した値として計算される。結局、ロール角R_aは、サイクルタイムS_time毎に更新されるハンドル60の操作の積分値として算出される。
【0049】
なお、求めたロール角R_aによりロールモータ58を駆動してロール軸56をロール角R_a分だけ車幅方向TDに傾動させる。
【0050】
次に、ステップS1で検出されたステアリングトルクTsに基づき、ハンドル60の操作量に応じた反力指令値(ハンドル操作による反力指令値)S1(deg)を、下記(3)式により求める(ステップS4)。
【0051】
S1=S1+Ts×K2×S_time …(3)
この(3)式から分かるように、左辺に示す算出されるハンドル操作による反力指令値S1は、ステアリングトルクTsに係数K2(deg/kg・m・sec)を掛けた値にサイクルタイムS_timeを掛けた値(Ts×K2×S_time)をその前回の値(右辺第1項のハンドル操作による反力指令値S1)に加算した値として計算される。この場合においても、ハンドル操作による反力指令値S1は、サイクルタイムS_time毎に更新される積分値として得られる。なお、ハンドル操作による反力指令値S1の値の次元を(deg)としているのは、ハンドル60の旋回操作により旋回されたステアリングモータ62の回転軸64を角度S1(deg)だけ元に戻す力を、反力としてステアリングモータ62に与えるためである。なお、反力指令値は、ステアリングモータ62の旋回角度(deg)を決定する値であるので、ハンドル60の旋回角度指令値または旋回角度決定値と称してもよい。以下の説明においても反力指令値は、旋回角度指令値または旋回角度決定値と称してもよい。
【0052】
次に、ステップS3で算出されたロール角R_aに基づく反力指令値(ロール角による反力指令値)S2(deg)を、下記(4)式により求める(ステップS5)。
【0053】
S2=f(R_a) …(4)
ここで、関数f(R_a)は、例えば、模型二輪車30に対応する実際の二輪車のホイールベース長さLを旋回半径Rrで割った形の関数とする。この場合、反力指令値S2は、(5)式で表すことができる。
【0054】
S2=R_a×L/Rr …(5)
(5)式において、旋回半径Rr(m)は、定数g、ロール角R_aおよび自車速度(車速)V(m/sec)からヨーレートYAW(deg/sec)をYAW=g・tan(R_a)/Vとして求めた後、Rr=V/YAWとして求めることができる。結局、ロール角による反力指令値S2は、ステアリングトルクTsに応じて求めたロール角R_aに比例し、かつ旋回半径Rrに反比例するような大きさとする。すなわち、旋回半径Rrが大きい場合にはロール角R_aを小さくする。
【0055】
この場合においても、ロール角による反力指令値S2の値の次元を(deg)としているのは、旋回されたステアリングモータ62の回転軸64を角度S2(deg)だけ元に戻す力を、反力としてステアリングモータ62に与えるためである。
【0056】
次に、ハンドル操作量による反力指定値S1とロール角による反力指定値S2とを合成した、ステアリングモータ62に付与する総合的な反力指定値(ステア動指令値)Sm(deg)を次の(6)式に示すように求める(ステップS6)。
【0057】
Sm=S1×K3+S2×K4 …(6)
(6)式において、K3、K4は、それぞれ、総合的な反力指令値Smに対するハンドル操作量による反力指令値S1およびロール角による反力指令値S2の寄与率を示す、無次元の係数である。(6)式から、ステアリングモータ62に付与される総合的な反力指令値Smは、ハンドル操作量による反力指定値S1とロール角による反力指定値S2の簡単な一次結合式で得られることが分かる。
【0058】
この場合、係数K3、K4は、図5に示すように、車速V(km/h)に応じて値0から値1.0の範囲で変化させるようにする。すなわち、低速、例えば、25(km/h)以下の速度(車速)では、ハンドル操作量による反力指令値S1がロール角による反力指令値S2より相対的に大きくなるように係数K3の値を係数K4の値より大きくなるように制御し、25(km/h)を超える中高速では、ロール角による反力指令値S2がハンドル操作量による反力指令値S1より相対的に大きくなるように係数K4の値を係数K3の値より大きくなるように制御する。
【0059】
このように制御することにより、低速時においては、Sm≒S1×K3となることから、乗り手28のハンドル60の操作により転舵する操縦感覚が得られ、中高速時においては、Sm≒S2×K4となることからロール角の小さい転舵の開始時においては、ハンドル60の操作により順方向に転舵し、その後は、すなわち、旋回が開始してから旋回の終了時に向かって、車体46のロール角に応じた切れ角に収束する操縦感覚が得られる。
【0060】
なお、模型二輪車30において、車速Vを求める場合には、発生加速度GをサイクルタイムS_time毎に積分して求めることができる。発生加速度Gは、G=(エンジントルク×ギヤレシオ−ブレーキ制動力)/車両重量(乗り手28の重量も含む)として計算することができる。この場合、エンジントルクは、スロットルグリップ63によるスロットル開度とエンジン回転数に応じたトルクとしてエンジン特性から求めることができる。ギヤレシオは、ギヤポジションスイッチ104から分かるギヤポジションとスプロケット比とから求められる。ブレーキ制動力は、フロントブレーキレバー97の操作に応じたフロントブレーキ圧センサ98の出力とリヤブレーキペダル99の操作に応じたリヤブレーキ圧センサ100の出力に基づき、各々ブレーキ力特性(ブレーキ圧とブレーキ力の対応関係)を参照して求めることができる。このようにして求めた発生加速度Gから、車速Vは、V=1サイクルタイム前の車速+G×S_time×9.8(m/s)として求めることができる。
【0065】
【発明の効果】
この発明によれば、検出されたステアリングトルクと、この検出されたステアリングトルクから算出されたロール角とに応じて前記ハンドルの旋回角度を決定するようにすることで、実際の操縦感覚に近いハンドル旋回角、したがって疑似反力を与えることができる。
【0066】
また、ハンドル旋回角を車速にも応じて制御することで、低速旋回時には、操縦者のハンドル操作により順方向に転舵する感覚を操作者に与えることができ、中高速走行時には、旋回操縦時に操縦者のハンドル操作により順方向に転舵し、その後は、車体ロール角に応じた切れ角に収束する感覚を操作者に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態の全体構成を示す説明図である。
【図2】図1例の装置を後方から見た図である。
【図3】図1例の装置の電気回路的ブロック図である。
【図4】ステアリングモータに付与される反力の算出説明に供されるフローチャートである。
【図5】車速に応じて反力の計算式中の係数を変化させる例を示す線図である。
【符号の説明】
10…ライディングシミュレーション装置
12…制御機構 16…モーションユニット部
18…制御回路 23…CGI発生装置
24…ディスプレイ 25…ディスプレイ装置
28…乗り手 30…模型二輪車
46…車体 56…ロール軸
58…ロールモータ 60…ハンドル
62…ステアリングモータ 64…回転軸
94…ハンドルトルクセンサ
Claims (3)
- 操作者による模型二輪車の操縦操作に基づいて、走行状態を疑似体験させる二輪車のライディングシミュレーション装置において、
前記模型二輪車のハンドルの回転軸にはトルクセンサとモータとが連結され、 前記トルクセンサの出力信号に基づき前記モータを駆動し、前記回転軸を介して前記ハンドルを回転させる制御回路(18)を備え、
前記制御回路(18)は、
前記操作者の前記ハンドル操作により発生するステアリングトルク(Ts)が前記トルクセンサにより検出されたとき、
前記ハンドル操作により旋回された回転軸を、
検出された前記ステアリングトルクの時間積分値(S1)に第1係数(K3)をかけた第1角度(S1×K3)と、検出された前記ステアリングトルクに比例したロールレート(R_v)の時間積分値として求められるロール角(R_a)に基づく角度(S2)に第2係数(K4)をかけた第2角度(S2×K4)とを加算した角度(Sm=S1×K3+S2×K4)だけ元に戻すように前記モータを駆動する
ことを特徴とする二輪車のライディングシミュレーション装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記ロール角(R_a)に基づく角度(S2)は、前記ロール角(R_a)に実車の二輪車のホイールベース長さ(L)をかけ旋回半径(Rr)で割った角度(S2=R_a×L/Rr)とする
ことを特徴とする二輪車のライディングシミュレーション装置。 - 請求項1又は2記載の装置において、
さらに車速を検出する車速検出手段を有し、
前記制御回路は、
低速では、前記第1角度(S1×K3)が前記第2角度(S2×K4)より大きくなるように、中高速では、前記第2角度(S2×K4)が前記第1角度(S1×K3)より大きくなるように前記第1係数(K3)と前記第2係数(K4)の値を制御する
ことを特徴とする二輪車のライディングシミュレーション装置。
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JPH10340041A (ja) | 1998-12-22 |
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