JP3581500B2 - 二輪車のライディングシミュレーション装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、走行路を含む映像が表示された前方の画面を見ながら、搭乗者としての乗り手が模型二輪車を操作してライディングシミュレーションを行う二輪車のライディングシミュレーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、乗り手が操作可能な模型二輪車と、この模型二輪車の走行状態に係る走行路を含む所望の映像を表示するCRT等を利用した表示器とを組み合わせた二輪車のライディングシミュレーション装置が、遊技用として、あるいは二輪車の運転教育用として使用に供されている。
【0003】
例えば、特開平4−51078号公報に公表されているように、基台上に設けられ、前後、左右および上下方向に移動自在な移動台と、この移動台の動きを駆動する駆動手段と、前記移動台上に設置され乗り手が操作可能な模型二輪車と、前記模型二輪車の前方に配置され、予め記憶された映像を表示するディスプレイ装置と、乗り手の操作ならびに動きに応じて前記駆動手段を制御して前記模型二輪車のヨー、ロールおよびピッチ動を制御するとともに、前記ディスプレイ装置に表示される映像を前記模型二輪車の走行状態に応じて変化させる制御手段とを備える二輪車のライディングシミュレーション装置が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のように構成されるライディングシミュレーション装置においては、模型二輪車により旋回(コーナリング)のライディングシミュレーションを行おうとする場合、実際の二輪車(自動二輪車)の旋回感が得られるように、乗り手が旋回しようとする方向に体を傾動させ、その旋回方向に体重を移動させることで旋回するようになっている。
【0005】
図11に示す模式的な平面図を利用して、この旋回過程を詳しく説明すると、例えば、矢印で示す模型二輪車2が右折しようとする場合には、まず、時点t0において進行方向右側に、いわゆる倒し込みを開始して旋回を開始し、時点t1において倒し込みを完了させ、その状態で必要量旋回した後、時点t2においていわゆる起こし上げを開始し、その後、時点t3において起こし上げを完了して、再び直進走行状態に入るようにしている。
【0006】
この場合、制御手段は、乗り手の操作並びに動きに応じて前記模型二輪車に取り付けられているポテンショメータ、トルクセンサ等各種検出手段からの検出信号に基づいて前記模型二輪車のヨー角を計算し(計算ヨー角ψcとする。)、これをディスプレイ装置に送出する。前記ディスプレイ装置は、CGI(コンピュータ生成画像)発生装置を有しており、前記計算ヨー角ψcに基づいて、ディスプレイ(スクリーン、画面)上に映出される映像のヨー角(映像ヨー角ψvとする)の制御を行うようになっている。具体的には、計算ヨー角ψcと映像ヨー角ψvの値を等しくする、ψc=ψvの制御を行うようになっている。なお、計算ヨー角ψcは、図11に示すように、例えば、画面上の上方向6と軌跡4の接線方向8とのなす角として定義される。
【0007】
ところが、このように計算ヨー角ψcと映像ヨー角ψvとが等しくなるように映像のヨー制御を行った場合、模型二輪車2が旋回し過ぎてしまう、いわゆるオーバーシュートΔx(図11参照)が発生し易いことが分かった。
【0008】
本願発明者等は、このオーバーシュートΔxの発生原因は、実際に二輪車で旋回する場合には、乗り手が前記旋回方向のより先の方向の映像情報を、首を回すことで得ているのに対し、前記ディスプレイ装置上では、画角等の制限があり、十分に先を見ることができないことにあることを見い出した。
【0009】
この発明はこのような課題、知見を考慮してなされたものであり、模型二輪車により旋回する場合に、オーバシュートが発生することのない二輪車のライディングシミュレーション装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、例えば、図1に示すように、
乗り手28が操作可能な模型二輪車30と、前記模型二輪車の前方に配置され、前記模型二輪車の操作に対応して予め記憶された映像を表示するディスプレイ装置25とを備える二輪車のライディングシミュレーション装置10において、前記模型二輪車のヨー動に対応して、前記映像をヨー動させるための映像ヨー角を計算する映像ヨー角計算部18を有し、
前記映像ヨー角計算部は、前記乗り手が前記模型二輪車を旋回させる時に、前記ディスプレイ装置上に表示される映像が、前記模型二輪車の操作に対応する表示映像よりも、旋回方向のより先の映像が表示されるように映像ヨー角を計算することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、乗り手が前記模型二輪車を旋回させる時に、前記ディスプレイ装置上に表示される映像が、前記模型二輪車の操作に対応する表示映像よりも、旋回方向のより先の映像が表示されるようにしている。
【0012】
このため、乗り手が前記旋回方向のより先の方向の映像情報を違和感なく見ることが可能となり、換言すれば、実際より先の画面を乗り手に見せるようにしているので、旋回時のオーバーシュートを防止することができる。
【0013】
なお、旋回方向の先の映像の映像ヨー角ψvは、例えば、式ψv=ψc+ωc×Ky(ψc:計算ヨー角、ωc:計算ヨーレート、Ky:係数、ωc×Ky:ヨー進角)により簡易に計算することができる。
【0014】
また、係数Kyを0.2〜0.5に設定することで、最適のヨー進角ωc×Kyが得られる。特に、係数Kyは、Ky=0.3が最適値である。
【0015】
この場合、係数Kyを前記計算ヨーレートωcの増加に応じて値0から値0.2〜0.5まで徐々に増加させるようにすることで、直進(ωc=0)に近い状態では、ヨー進角が発生しないようにすることができる。
【0016】
さらにまた、映像ヨー角ψvの微分係数の最大値を計算ヨー角ψcの微分係数の1.25倍に規制することで、映像に含まれる不要な高周波成分を取り除くことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に参照する図面において、図11に示したものと対応するものには同一の符号を付け、その詳細な説明は省略する。
【0018】
図1は、この一実施の形態に係る二輪車のライディングシミュレーション装置10の概略構成説明図である。
【0019】
ライディングシミュレーション装置10は、床面34に設置されている制御機構12と、この制御機構12に対し連結機構14を介して着脱自在なモーションユニット部16とを備える。制御機構12は、ミニコンピュータ等の制御回路(映像ヨー角計算部を含む。)18とCGI発生装置23を収容する本体部19と、この本体部19の上部に設けられるディスプレイボックス20とを備えている。
【0020】
図2にも示すように、ディスプレイボックス20は、スピーカユニット22を組み込むとともに、スクリーンを有する投写型ディスプレイ24を有する。図1に示すように、ディスプレイ装置25は、基本的には、このディスプレイ(スクリーンまたは画面ともいう。)24とCGI発生装置23とから構成され、そのスクリーン24上に走行路を含む種々の走行状態を表示する。
【0021】
モーションユニット部16は、連結機構14を介して制御機構12に着脱自在な基台26を備え、この基台26上に乗り手28が操作可能な模型二輪車30と、この模型二輪車30を実際の二輪車の挙動に則して駆動する駆動機構32とが装着される。
【0022】
基台26は、この基台26を床面34上で移動させるための複数の車輪36と、基台26を床面34上で移動不能なように固定させるための複数の固定部38とを備える。固定部38は、ねじ軸40を設けており、このねじ軸40が基台26に螺回されることにより、固定部38が上下方向に移動自在である。
【0023】
基台26上に支持枠42が設けられ、この支持枠42の上部側には、車幅方向に延びるピッチ軸44(図2も参照)を介して模型二輪車30の車体46が前後方向(ピッチ方向)に揺動自在に支持される。また、支持枠42には、支点48を中心に揺動自在なピッチモータ50が支持され、このピッチモータ50に連結されたねじ軸52には、車体46に揺動自在に支持されたナット54に螺合する。さらに、支持枠42には、水平方向にロール軸56を有するロールモータ58が支持され、このロールモータ58の図示しない出力軸に車体46が係合する。
【0024】
模型二輪車30のハンドル60は、ステアリングモータ62の回転軸64に直結されており、このステアリングモータ62を介してハンドル60の回動に対して制動力を付与する。ピッチモータ50、ロールモータ58およびステアリングモータ62により駆動機構32が構成される。
【0025】
図3に示すように、モーションユニット部16側には、参照符号90〜100に示す各種センサの他、所望のスイッチを備えたハンドルスイッチ102およびギヤポジションスイッチ104が、信号線を介してコネクタ70の一端側に接続される。また、駆動機構32を構成するピッチモータ50、ロールモータ58およびステアリングモータ62が、信号線を介してコネクタ72の一端側に接続される。
【0026】
一方、制御機構12側には、コネクタ70、72の他端側から信号線に接続される制御回路18が設けられ、この制御回路18には、乗り手28に風を送る電動ファン106、振動発生器108、スピーカユニット22およびディスプレイ装置25が接続されている。
【0027】
このように構成されるライディングシミュレーション装置10の動作について説明する。
【0028】
乗り手28が、ハンドル60に設けられている図示していないアクセルやブレーキを操作するとともに、模型二輪車30上で乗り手28の体重移動方向や移動量が検出されると、その信号が制御回路18に送られる。このため、制御回路18は、駆動機構32を駆動制御するとともに、ディスプレイ装置25等を駆動制御する。
【0029】
例えば、乗り手28がブレーキ操作を行えば、ピッチモータ50が駆動されて模型二輪車30が前傾され、ブレーキング時の挙動が再現される一方、アクセルを急速に開くと、ピッチモータ50の作用下に模型二輪車30が後傾され、加速操作時の挙動が再現される。また、乗り手28が体重移動を行えば、その体重の移動方向および移動量と走行速度とに基づいてロールモータ58が駆動され、車体46が車幅方向に傾動してコーナリング(旋回)時の挙動が再現される。その際、ディスプレイ24に走行状態に基づいた走行路を含む映像が表示されるため、乗り手28は、実車によるものと同等の走行感覚を得ることができる。
【0030】
この旋回時において、図11を参照しながら従来の技術の項で説明したように、乗り手28による模型二輪車30のハンドル操作に対応してハンドルトルクセンサ94から操舵トルクに応じた電気信号が制御回路18に供給され、かつ、ロードセル等から構成されるリーントルクセンサ96から車体を傾けることにより発生する応力、すなわちリーントルクに応じた電気信号が制御回路(映像ヨー角計算部)18に供給される。このとき制御回路18は、これらの電気信号に基づいて、計算ヨー角ψcを計算する。この計算ヨー角ψcを、従来の技術では、そのまま映像ヨー角ψv(ψv=ψc)としてディスプレイ装置25を構成するCGI発生装置23に供給している。そして、このCGI発生装置23により前記映像ヨー角ψv方向の映像信号(これから走行しようとする、例えば、模型二輪車30の位置から2m前方の位置以遠の走行路、景色、建物等を含む映像信号)が発生され、ディスプレイ24上にその映像が映出される。
【0031】
ところが、前述したように、このように計算ヨー角ψcと映像ヨー角ψvとが等しくなるような映像のヨー制御を行った場合、模型二輪車30が旋回し過ぎてしまう、いわゆるオーバーシュートΔxが発生してしまうことがある。この発生の原因について、本願発明者等は、実際に二輪車で旋回する場合には、乗り手28が前記旋回方向のより先の方向の映像情報を、首を回すことで得ているのに対し、前記ディスプレイ装置25上では、画角等の制限があり、十分に先を見ることができないことにあるという知見を得ている。
【0032】
そこで、この実施の形態では、乗り手28が模型二輪車30を旋回させる時に、映像ヨー角計算部としても機能する制御回路18は、ディスプレイ24上に表示される映像が、模型二輪車30の操作に対応する計算ヨー角ψcで表示される映像よりも、旋回方向のより先の映像が表示されるようにして、あたかも乗り手28が旋回方向に首を回したとき(言い換えれば、視線を移動したとき、または視線を進角させたとき)の映像が映出されるようにした。すなわち、制御回路18は、模型二輪車30のヨー動に対応して、ディスプレイ24上の映像をヨー動させるための映像ヨー角を計算するに際し、まず、模型二輪車30の操作に対応する計算ヨー角ψcを計算し、次に、映像ヨー角ψvを、進角係数(ヨー進角係数ともいう。)をKy(Ky=0〜1)とするとき、次の(1)式により計算される値とした。
【0033】
ψv=ψc+ψp=ψc+ψc×Ky=ψc×(1+Ky) …(1)
ここで、ψpは、進角である。
【0034】
図4、図5は、(1)式に基づくディスプレイ24に表示される具体的な映像の例を示している。図4は、進角係数Ky=0のときの従来の技術に基づく映像であり、走行路201と、その走行路201の両路側側に存在する障害物202〜205が映出されている。これに対して、進角係数Kyが0値でないときには、図5に示すように、走行路201上のより旋回方向の障害物206、207も映出されることが理解される。
【0035】
このような進角を考慮した映像表示にすることで、図11に対応する図6に示す模式的な平面図に示すように、例えば、矢印で示す模型二輪車30が右折しようとする場合には、まず、時点t0において進行方向右側に、いわゆる倒し込みを開始して旋回を開始し、時点t1′において倒し込みを完了させ、その状態で必要量旋回した後、時点t2′においていわゆる起こし上げを開始し、その後、時点t3′において起こし上げを完了して、再び直進走行状態に入るようにしている。このように制御することにより、必要以上の旋回し過ぎ、すなわち、オーバーシュートΔx(図11参照)が発生しないことを確認している。なお、図6において、映像ヨー角ψvが計算ヨー角ψcと進角ψpとの和(ψv=ψc+ψp)であることが理解される。
【0036】
模型二輪車30によるテスト模擬走行による確認の結果、この進角ψp、結局、進角係数Kyが、模型二輪車30の操縦性に大きく影響することが判明した。そこで、この進角係数Kyの最適値を求めるため、進角係数Kyを種々の値に選択して、模型二輪車30による旋回時に、例えば、走行路201の側端210(左側通行の場合には、左端。図4、図5参照)に対して、どの程度、ステアリングのずれが発生するかを計算により測定した。ステアリングのずれが発生しないニュートラルステアリング(ニュートラルステア)が操縦性が最高であり、内側に旋回し過ぎてしまうオーバステアまたは旋回不十分なアンダーステアになればなるほど、操縦性が悪くなると判定した。
【0037】
図7は、ヨー進角係数Kyを値0(0.0)〜0.9程度まで変化させたときの操縦性の特性212、いわゆるフィーリングを示している。この特性212から、ヨー進角係数KyがKy=0.3のときに、操縦性が最高であることが分かる。なお、操縦性は、ヨー進角係数KyがKy=0.2〜0.5の範囲で設定してあれば、ほぼ満足し得るレベルとなることが分かった。
【0038】
ところが、さらにテストを続けているうちに、特に、曲進走行(S字走行、クランク走行、シケイン走行)のシミュレーション時において、ハンドル60の操作が加わるために簡単に大きな計算ヨーレート(角速度)ωc{計算ヨー角ψcの時間微分値(Δψc/Δt)であり、単位はdeg/sec、サンプル時間(サイクルタイムともいう。)ΔtはΔt=0.033secである。}が発生し、これにより、ディスプレイ24上に表示される映像が左右にぐらぐら揺れる感じが発生することが分かった。
【0039】
そこで、このぐらぐら揺れる感じを低減するために、定数として設定していたヨー進角係数Kyにヨーレートωcを掛けて変数として扱うようにすることで対策した{(2)式参照}。
【0040】
ψv=ψc+ωc×Ky=ψc+ωc×0.3 …(2)
さらに、直進に近い状態では、ヨー進角ψp(図6参照)が小さい値となるようにすれば、より一層実際の走行感覚に近い状態になることが確認されたため、図8に示すように、ヨー進角係数Kyの値をヨーレートωcの増加に応じて進角係数Kyが値0.0から値0.2〜0.5(図では、値0.3)まで徐々に増加するようなルックアップテーブル214を参照することとした{(3)式参照}。
【0041】
ψv=ψc+ωc×Ky …(3)
さらに、テスト走行を続行した結果、(3)式のように制御しても、特に、周波数0.5Hz〜1Hz{1Hzとは、例えば、半径20mのスラロームコース(S字コース)を1秒間に1周期走行すること。}を超える操作に対して、なお、映像上で比較的遅い周期のぐらぐら感が発生することが分かり、このぐらぐら感を表現する式として(4)式が適することが判明した。
【0042】
ωv/ωc×K1=Pr …(4)
ここで、ωvは映像ヨー角ψvのヨーレート(Δψv/Δt)、ωcは計算ヨー角ψcのヨーレート(Δψc/Δt)、Δtはサンプリング時間、Δψvはサンプリング時間の間の映像ヨー角ψvの変化分、Δψcはサンプリング時間の間の計算ヨー角ψcの変化分、K1は係数である。なお、(4)式の計算値を進角比Prとよぶ。
【0043】
この進角比Prの値は、実験による確認の結果、Pr=0.2〜0.7程度の値に抑制することが好ましいことが分かった。
【0044】
そこで、周波数0.5Hzと周波数1.0Hzの操作で、係数K1の値を種々の値に変化させて、進角比Prの値を計算した。
【0045】
図9は、その中、係数K1の値が、K1=1.1、1.25、1.5の3つの値についての進角比Prの計算値を示している。図9から係数K1の値がK1=1.25のときに、進角比Prの値がPr=0.2〜0.7の範囲に収まっていることが理解される。
【0046】
そこで、係数K1をK1=1.25に決定することで、種々の走行状態に対して最良の操作感、映像感が得られることを確認した。このようにすれば、比較的に早い周期{例えば、1Hz程度}の映像のぐらぐら感が許容レベル以下となり(映像の不必要な高周波成分がほぼ除去でき)、かつ交差点等の右左折時等の旋回時には、十分な、換言すれば、オーバーシュートが発生しないで、ニュートラルステアとなる映像の進角を得ることができた。
【0047】
結局、この実施の形態によれば、映像ヨー角ψvは、進角係数Kyを図8に示すように設定して、上記の(3)式のように制御し、その際、(4)式で示される映像ヨーレートωvの最大値を計算ヨーレートωcの1.25倍を最大値として規制すれば、実際の走行に即した最適な操作感となることが分かった。
【0048】
すなわち、ψv=ψc+ωc×Ky{ただし、Kyは図9による。}とし、かつ{ωv/ωc}>1.25のとき、ωv=ωc×1.25に規制する。
【0049】
図10は、実際の自動二輪車により種々のテストコース{S字コース、クランクコース、45Rコース、30R連続コース(スラロームコース)、シケインコース}を速度40km/hおよび60km/hで走行したときの旋回挙動に係る周波数を測定しており、一般の旋回挙動は略0.5Hz程度であることが判明し、上記のように映像ヨーレートωvを規制することにより、シケインなどの直進に近い走行を除いてほぼ対応することが確認できた。
【0050】
なお、この発明は上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、乗り手が前記模型二輪車を旋回させる時に、ディスプレイ装置上に表示される映像が、模型二輪車の操作に対応する表示映像よりも、旋回方向のより先の映像が表示されるようにしている。このため、乗り手が前記旋回方向のより先の方向の映像情報を違和感なく見ることが可能となり、換言すれば、実際より先の画面を乗り手に見せるようにしているので、旋回時のオーバーシュートを防止することができるという効果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態の全体構成を示す説明図である。
【図2】図1例の装置を後方から見た図である。
【図3】図1例の装置の電気回路的ブロック図である。
【図4】従来の技術にかかる画面映像を示す図である。
【図5】旋回方向のより先の映像が見えるようにした図1例の装置による画面映像を示す図である。
【図6】この実施の形態に係る旋回走行の説明に供される模式的な平面図である。
【図7】ヨー進角係数と操縦性の対応関係の説明に供される図である。
【図8】計算ヨーレートに対する進角係数の値のルックアップテーブルの説明に供される図である。
【図9】旋回の挙動に係る周波数と進角比との関係を測定した図である。
【図10】練習走行時の操作周波数を測定した図である。
【図11】従来技術に係る旋回走行の説明に供される模式的な平面図である。
【符号の説明】
2、30…模型二輪車
10…ライディングシミュレーション装置
12…制御機構 16…モーションユニット部
18…制御回路 23…CGI発生装置
24…ディスプレイ 25…ディスプレイ装置
28…乗り手 32…駆動機構
44…ピッチ軸 50…ピッチモータ
58…ロールモータ 60…ハンドル
62…ステアリングモータ 201…走行路
ψc…計算ヨー角 ψp…進角
ψv…映像ヨー角 Δx…オーバーシュート
Claims (4)
- 乗り手が操作可能な模型二輪車と、前記模型二輪車の前方に配置され、前記模型二輪車の操作に対応して予め記憶された映像を表示するディスプレイ装置とを備える二輪車のライディングシミュレーション装置において、
前記模型二輪車のヨー動に対応して、前記映像をヨー動させるための映像ヨー角を計算する映像ヨー角計算部を有し、
前記映像ヨー角計算部は、前記乗り手が前記模型二輪車を旋回させる時に、前記ディスプレイ装置上に表示される映像が、前記模型二輪車の操作に対応する表示映像よりも、旋回方向のより先の映像が表示されるように前記映像ヨー角を計算する際、
前記模型二輪車の操作に対応する表示映像の計算ヨー角をψc、
この計算ヨー角ψcによる表示映像よりも旋回方向の先の映像の映像ヨー角をψv、
前記計算ヨー角ψcについての角速度(ヨーレート)をωc、
係数をKyとしたとき、
旋回方向の先の映像の映像ヨー角ψvを
ψv=ψc+ωc×Ky
としたことを特徴とする二輪車のライディングシミュレーション装置。 - 請求項1記載の装置において、
係数Kyを0.2〜0.5に設定したことを特徴とする二輪車のライディングシミュレーション装置。 - 請求項1記載の装置において、
係数Kyを前記ヨーレートωcの増加に応じて値0から値0.2〜0.5まで徐々に増加させるようにしたことを特徴とする二輪車のライディングシミュレーション装置。 - 請求項1記載の装置において、
映像ヨー角ψvの微分係数の最大値を計算ヨー角ψcの微分係数の1.25倍に規制したことを特徴とする二輪車のライディングシミュレーション装置。
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