JP3866428B2 - 光ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばDVD−RAM(Random Access Memory)等の光ディスクに対して、データの書き込みや読み出しを行なう光ディスク装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、DVD−RAMの物理フォーマットには、ウォブル・ランドグルーブ方式が採用されている。このウォブル・ランドグルーブ方式は、図4及び図5に示すように、レーザ光が照射される側から見て、光ディスク面に記録された凸状のグルーブトラック101と凹状のランドトラック102とに、それぞれマークを記録する方式である。
【0003】
これらグルーブトラック101及びランドトラック102は、ユーザデータが記録されるデータ領域であり、それぞれ、ウォブル103と称される微小なうねりが所定の周波数で形成されている。そして、光ディスク装置では、このウォブル103を検出することによって得た周波数信号に基づいて、ラフなリードチャネルPLL引き込みを行なうことが可能とされている。
【0004】
また、グルーブトラック101及びランドトラック102は、それぞれ、セクタ104と称される単位で区切られており、各セクタ104の先頭にヘッダ領域105が設けられている。このヘッダ領域105には、セクタアドレス情報がピット列の形態で製造時に記録されている。このため、ウォブル・ランドグルーブ方式では、ヘッダ領域105のピット列を読み取ることにより、セクタアドレスの検出が可能とされている。
【0005】
なお、このヘッダ領域105では、ピット列がトラック方向に2分割されており、それぞれのピット列がCAPA(Complementary Allocated Pit Address)と呼ばれる形態、つまり、各トラック101,102に対して、それぞれ、光ディスクのラジアル方向に交互にトラック幅(ピッチ)の半分の間隔でオフセットするように配置されている。
【0006】
図6は、この種の光ディスクを再生する光ディスク装置を示している。すなわち、光ディスク11は、スピンドルモータ12によって回転駆動された状態で、光ヘッド13によりその記録データの読み取りが行なわれる。まず、光ヘッド13では、レーザダイオード13aから発生されたレーザ光が、ビームスプリッタ13bを直進し対物レンズ13cを介して光ディスク11のデータ記録面上に照射されている。
【0007】
そして、光ディスク11から反射されたレーザ光が、対物レンズ13cを逆行し、ビームスプリッタ13bで略直角に反射されて、光ディテクタ13dに受光され光電変換される。この光ディテクタ13dは、その受光領域が、光ディスク11上のトラック列に対して、ラジアル方向とタンジェンシャル方向とにそれぞれ対応するように2分割されて、合計4つの受光領域に分けられている。
【0008】
この光ディテクタ13dの4つの受光領域から得られる各電気的信号は、それぞれI/V(電流/電圧)変換増幅器14a〜14dを介した後、加算器15でレベル加算されることにより和信号が生成される。
【0009】
この和信号は、図7(a)に示すように、ヘッダ領域105で得られる直流レベルの方が、データ領域(トラック101,102)で得られる直流レベルに対して高くなっている。なお、図7(a)に示す基準レベルL1は、光ディスク11からの反射光がない場合に加算器15から得られる直流レベルで、データ領域で得られる和信号のボトムレベルよりも低くなっている。
【0010】
このようにデータ領域における和信号の直流レベルが低くなるのは、グルーブトラック101とランドトラック102とに高さの差があるためで、両トラック101,102の反射光が混合されると、波長に対する位相が異なる光同士が干渉を起こし弱めあうからである。
【0011】
このため、光ディスク装置では、加算器15から出力された和信号を、HPF(High Pass Filter)16に通して直流成分を遮断することにより、ヘッダ領域105とデータ領域との直流レベルの差を吸収するようにしている。
【0012】
そして、HPF16によって直流レベルの差がなくなった和信号が、イコライザ回路17で波形等化処理され、データスライス回路18でクロック正規化されたデジタルデータに変換された後、デコーダ19によって必要なデコード処理が施され、ここに、ヘッダ領域105とデータ領域の各データが再生される。
【0013】
ところで、上記HPF16は、和信号の直流レベルが変わった時点、つまり、データ領域の和信号からヘッダ領域105の和信号に変わった時点、または、ヘッダ領域105の和信号からデータ領域の和信号に変わった時点で、変わった後の和信号の直流レベルを迅速に吸収するために、その動作の時定数を短く設定する必要がある。
【0014】
一方、HPF16は、その動作の時定数を短く設定すると、入力されるデータ(変調符号)の低域成分に歪みを生じさせるという不都合が生じる。
【0015】
このため、光ディスク装置では、和信号を引き込みパルス生成回路20に供給し、図7(b)に示すように、和信号の直流レベルが変わった時点で、一定期間H(High)レベルとなる引き込みパルスを発生させ、HPF16に供給している。このHPF16は、引き込みパルスのHレベル期間とL(Low)レベル期間とで、その動作の時定数が短い状態と長い状態とに切り替えられる。
【0016】
これにより、HPF16は、図7(c)に示すように、直流レベルが変わった後の和信号を、直流レベルの遮断された状態に迅速に引き込むことができるとともに、引き込み後の和信号に歪みを生じさせないようにすることができる。
【0017】
なお、引き込みパルスのHレベル期間は、HPF16の時定数を考慮して、和信号の直流レベルが変わった時点から、その和信号を直流レベルの遮断された状態への引き込みが完了するまでに要する時間に、十分対応するように設定されている。
【0018】
しかしながら、上記のような従来の光ディスク装置では、例えば光ディスク11上のディフェクト等により、図8(a)に示すように、ヘッダ領域105で得られた和信号のレベルが、同図(b)に示す引き込みパルスのHレベル期間、つまり、和信号を直流レベルの遮断された状態に引き込んでいる期間中に、基準レベルL1にまで低下した場合、次のような問題が生じる。
【0019】
すなわち、時刻T1で、和信号がデータ領域からヘッダ領域105に切り替わり、引き込みパルスがHレベル期間中である時刻T2で、ディフェクトにより和信号レベルが基準レベルL1に低下し、その後、引き込みパルスがHレベル期間中である時刻T3で、ディフェクトを通過し終わることにより和信号レベルが正常値に戻った場合を考える。
【0020】
この場合、時刻T1以後、HPF16が、和信号を直流レベルの遮断された状態に引き込む動作を開始するので、和信号は、図8(c)に示すように、その直流レベルが0になる方向、つまり、図中右下がりにレベル制御されるが、時刻T2で、和信号レベルが急激に低下するため、HPF16の出力レベルは、急激に負側に低下する。
【0021】
すると、時刻T2以後、HPF16は和信号の直流レベルを0にするために、その出力レベルを正側、つまり、図中右上がりに制御する。このため、時刻T3でディフェクトを通過し終わり正常な和信号が得られたとき、HPF16の出力レベルは、時刻T2の時点より、時刻T2からT3の間に正方向に高くなった分ΔLだけ高くなって現れる。
【0022】
そして、この状態から、HPF16は、その出力の直流レベルを0にするように動作するが、引き込みパルスが時間切れでLレベルに反転してしまうので、直流レベルが完全に0にされることなく、つまり、直流オフセットが残ったまま引き込み動作が終了されることになる。
【0023】
このため、このヘッダ領域105のデータは、後段のデータスライス回路18で正しくデータスライスすることができなくなり、アドレスデータが正しく再生できなくなるという問題が生じている。また、この問題は、和信号がヘッダ領域105からデータ領域に切り替わった場合にも、同様に発生する。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の光ディスク装置では、和信号から直流成分を遮断する引き込み動作中に、和信号に急激なレベル変動が発生した場合、引き込み動作が正常に完了されないうちに終了されることがあり、後段におけるデータ再生に不都合を与えるという問題を有している。
【0025】
そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、光ディスクから読み取った信号に急激なレベル変動が生じた場合でも、その信号に対する直流成分を遮断するための引き込み動作を正常に完了させることができる極めて良好な光ディスク装置を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る光ディスク装置は、アドレスデータの記録されるヘッダ領域と、このヘッダ領域とは異なる光反射率を有し、ユーザデータの記録されるデータ領域とを有する光ディスクに対して、光ヘッドを用いて少なくともデータの再生を行なうものを対象としている。
【0027】
そして、光ヘッドから得られる出力信号の直流成分を遮断するフィルタと、このフィルタの時定数を、光ヘッドから得られる出力信号の、ヘッダ領域とデータ領域との切り替わり時点から一定期間だけ、特定の値に設定する設定手段と、光ヘッドから得られる出力信号のレベルと所定の検出レベルとをレベル比較して、ディフェクトを検出する検出手段と、設定手段によってフィルタが特定の時定数に設定されている状態で、検出手段によりディフェクトが一旦検出されてから検出されなくなった場合、ディフェクトが検出されなくなった時点から、再度、フィルタの時定数を一定期間特定の値に設定することにより、フィルタを特定の時定数に設定している期間を、一定期間よりも引き延ばす制御手段とを備えるようにしている。
【0028】
また、この発明に係る光ディスク装置は、上記の対象において、光ヘッドから得られる出力信号の直流成分を遮断するフィルタと、このフィルタの時定数を、光ヘッドから得られる出力信号の、ヘッダ領域とデータ領域との切り替わり時点から一定期間だけ、特定の値に設定する設定手段と、光ヘッドから得られる出力信号のレベルと所定の検出レベルとをレベル比較して、ディフェクトを検出する検出手段と、設定手段によってフィルタが特定の時定数に設定されている状態で、検出手段によりディフェクトが一旦検出されてから検出されなくなった場合、ディフェクトの検出期間中、フィルタを特定の時定数に設定することを停止する制御手段とを備えるようにしている。
【0029】
上記のような構成によれば、フィルタが特定の時定数に設定されている状態で、ディフェクトが一旦検出されてから検出されなくなった場合、ディフェクトが検出されなくなった時点から、再度、フィルタの時定数を一定期間特定の値に設定することにより、フィルタを特定の時定数に設定している期間を、一定期間よりも引き延ばす、または、ディフェクトの検出期間中、フィルタを特定の時定数に設定することを停止するようにしたので、光ディスクから読み取った信号から直流成分を遮断する引き込み動作中に、信号に急激なレベル変動が生じた場合でも、その信号に対する直流成分を遮断するための引き込み動作を正常に完了させることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1において、図6と同一部分には同一符号を付して示している。すなわち、前記加算器15から出力される和信号は、前記HPF16及び引き込みパルス生成回路20に供給されるとともに、ディフェクト検出回路21に供給される。
【0031】
このディフェクト検出回路21は、図2(a)に示すように、入力された和信号と、予め設定されたディフェクト検出レベルDLとをレベル比較し、和信号レベルがディフェクト検出レベルDLより低くなっている期間、図2(c)に示すようにHレベルとなるディフェクト検出パルスを出力している。
【0032】
このディフェクト検出レベルDLは、データ領域で得られる和信号のボトムレベルと基準レベルL1との間に設定しておけば、いずれの領域で得られるディフェクトも検出することができる。なお、図2(b)は、引き込みパルスを示している。
【0033】
このディフェクト検出回路21から出力されるディフェクト検出パルスは、パルス制御回路22に供給される。このパルス制御回路22は、ディフェクト検出パルスがHレベルからLレベルに反転した時点、つまり、ディフェクトを通過し終わった時点で、図2(d)に示すように、引き込みパルス生成回路20に引き込みパルスを発生させて、HPF16に供給している。
【0034】
すなわち、HPF16には、和信号がデータ領域からヘッダ領域105に切り替わった時刻T4でHレベルの引き込みパルスが供給され、その時点から引き続いて、図2(e)に示すように、ディフェクトを通過し終わった時刻T5から、一定期間Hレベルとなる引き込みパルスが新たに供給されるようになる。要するに、引き込みパルスのHレベル期間が実質的に伸ばされたことになる。
【0035】
このため、HPF16は、図2(f)に示すように、時刻T5から和信号の直流成分を遮断するための引き込み動作を十分に完了させることができ、従来のように、和信号から直流成分を遮断する引き込み動作中に、引き込みパルスが時間切れになって、直流オフセットが残ることが防止される。
【0036】
図3は、上記した実施の形態の変形例を示している。すなわち、図3(a)に示すヘッダ領域105の和信号に対して、同図(b)に示すようにHレベルの引き込みパルスが発生されている状態で、同図(c)に示すタイミングでHレベルのディフェクト検出パルスが出力されたとする。
【0037】
この場合、前記パルス制御回路22は、ディフェクト検出パルスのHレベル期間、図3(d)に示すように、引き込みパルスをLレベルにしてHPF16に供給するようにしている。このことは、ディフェクト期間中、HPF16が、和信号の直流成分を遮断するための引き込み動作を停止するように制御されることを意味する。
【0038】
このようにすることにより、図3(e)に示すように、ディフェクト期間中のHPF16の出力レベルは一定に保たれ、図8(c)に示したようにΔL高くなることがないので、ディフェクトを通過し終わった後は、ディフェクト前のレベルから継続して引き込みを行なうことができる。このため、図2で説明したように、引き込みパルスのHレベル期間を延ばす必要がないので、迅速な引き込みを行なうことができる。
【0039】
なお、この発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、この外その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、光ディスクから読み取った信号に急激なレベル変動が生じた場合でも、その信号に対する直流成分を遮断するための引き込み動作を正常に完了させることができる極めて良好な光ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る光ディスク装置の実施の形態を示すブロック構成図。
【図2】同実施の形態における動作を説明するために示す波形図。
【図3】同実施の形態における動作の変形例を説明するために示す波形図。
【図4】ウォブル・ランドグルーブ方式の光ディスクの物理フォーマットを説明するために示す図。
【図5】同ウォブル・ランドグルーブ方式の光ディスクの物理フォーマットにおけるヘッダ領域の構成を説明するために示す図。
【図6】従来の光ディスク装置を示すブロック構成図。
【図7】同従来の光ディスク装置の動作を説明するために示す波形図。
【図8】同従来の光ディスク装置の問題点を説明するために示す波形図。
【符号の説明】
11…光ディスク、
12…スピンドルモータ、
13…光ヘッド、
14a〜14d…I/V変換増幅器、
15…加算器、
16…HPF、
17…イコライザ回路、
18…データスライス回路、
19…デコーダ、
20…引き込みパルス生成回路、
21…ディフェクト検出回路、
22…パルス制御回路。
Claims (2)
- アドレスデータの記録されるヘッダ領域と、このヘッダ領域とは異なる光反射率を有し、ユーザデータの記録されるデータ領域とを有する光ディスクに対して、光ヘッドを用いて少なくともデータの再生を行なう光ディスク装置において、
前記光ヘッドから得られる出力信号の直流成分を遮断するフィルタと、
このフィルタの時定数を、前記光ヘッドから得られる出力信号の、前記ヘッダ領域と前記データ領域との切り替わり時点から一定期間だけ、特定の値に設定する設定手段と、
前記光ヘッドから得られる出力信号のレベルと所定の検出レベルとをレベル比較して、ディフェクトを検出する検出手段と、
前記設定手段によって前記フィルタが特定の時定数に設定されている状態で、前記検出手段によりディフェクトが一旦検出されてから検出されなくなった場合、前記ディフェクトが検出されなくなった時点から、再度、前記フィルタの時定数を一定期間特定の値に設定することにより、前記フィルタを特定の時定数に設定している期間を、前記一定期間よりも引き延ばす制御手段とを具備してなることを特徴とする光ディスク装置。 - アドレスデータの記録されるヘッダ領域と、このヘッダ領域とは異なる光反射率を有し、ユーザデータの記録されるデータ領域とを有する光ディスクに対して、光ヘッドを用いて少なくともデータの再生を行なう光ディスク装置において、
前記光ヘッドから得られる出力信号の直流成分を遮断するフィルタと、
このフィルタの時定数を、前記光ヘッドから得られる出力信号の、前記ヘッダ領域と前記データ領域との切り替わり時点から一定期間だけ、特定の値に設定する設定手段と、
前記光ヘッドから得られる出力信号のレベルと所定の検出レベルとをレベル比較して、ディフェクトを検出する検出手段と、
前記設定手段によって前記フィルタが特定の時定数に設定されている状態で、前記検出手段によりディフェクトが一旦検出されてから検出されなくなった場合、前記ディフェクトの検出期間中、前記フィルタを特定の時定数に設定することを停止する制御手段とを具備してなることを特徴とする光ディスク装置。
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